JP2020200227A - バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 - Google Patents

バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020200227A
JP2020200227A JP2019109344A JP2019109344A JP2020200227A JP 2020200227 A JP2020200227 A JP 2020200227A JP 2019109344 A JP2019109344 A JP 2019109344A JP 2019109344 A JP2019109344 A JP 2019109344A JP 2020200227 A JP2020200227 A JP 2020200227A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vanadium
solid
crystallization
alkali
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019109344A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6909826B2 (ja
Inventor
学 政本
Manabu Masamoto
学 政本
大地 赤木
Daichi Akagi
大地 赤木
雄太 北川
Yuta Kitagawa
雄太 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Nihon Kanki Industry Inc
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
Nihon Kanki Industry Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Heavy Industries Ltd, Nihon Kanki Industry Inc filed Critical Kawasaki Heavy Industries Ltd
Priority to JP2019109344A priority Critical patent/JP6909826B2/ja
Priority to EP20822390.9A priority patent/EP3984958A4/en
Priority to CN202080042257.7A priority patent/CN113939478A/zh
Priority to US17/618,727 priority patent/US20220364204A1/en
Priority to PCT/JP2020/023075 priority patent/WO2020250989A1/ja
Publication of JP2020200227A publication Critical patent/JP2020200227A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6909826B2 publication Critical patent/JP6909826B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】得られるバナジウム化合物の純度が高く、かつ低コストで実施可能なバナジウム化合物の製造方法を提供する。【解決手段】硫安分と硫酸とバナジウムとニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される少なくとも1種類のその他金属とを少なくとも含有する原料灰からバナジウムを分離するバナジウム化合物の製造方法であって、pH13以上となるように原料灰にアルカリ及び水、又はアルカリ溶液を添加してアルカリ浸出液を得るアルカリ抽出工程(ステップ12)と、アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含むアルカリ浸出液を浸出ろ液として得る固液分離工程(ステップ13)と、浸出ろ液を蒸発濃縮して濃縮液を得る蒸発濃縮工程(ステップ14)と、濃縮液を冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する晶析・固液分離工程(ステップ15)と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼灰などからバナジウム化合物を分離するためのバナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置に関する。
バナジウムは、大型蓄電池であるレドックス・フロー電池の主要構成物である電解液の原料として使用されている。バナジウムを含むレドックス・フロー電池(バナジウム・レドックス・フロー電池)では、電解液の構成物として、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)などの夾雑金属化合物を含まない安価な高純度バナジウムが求められている。しかしながら、一般的に流通しているバナジウム製品は、鋼材添加用のフェロバナジウムで、鉄と共存し純度が低いこと、鋼材向けが主流で大量供給ができないという欠点があった。
これに代わるバナジウム源として、バナジウムを含む燃焼灰が挙げられる。燃焼灰は、原油など重質油を常圧蒸留した常圧蒸留残渣油や減圧蒸留して得られる減圧蒸留残渣油、オイルコークス、オイルサンドなどを燃焼したものであり、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)などの複数の金属が含まれる。しかしながら、燃焼灰は、バナジウム含量(濃度)が少ないため、酸アルカリで抽出、精製する湿式法では薬剤使用量が多くなり、製造コストが高いという欠点があった。
燃焼灰からバナジウムを回収する技術として、例えば特許文献1の方法が知られている。この方法では、焼却灰をアルカリ性溶液に浸漬し、焼却灰からバナジウムをアルカリ性溶液中に浸出させて浸出液スラリーを得るアルカリ浸出工程と、アルカリ浸出工程で得られた浸出液スラリーを固液分離し、不溶物を除去して浸出液を得る固液分離工程と、固液分離後の浸出液に酸を添加し、酸性にするpH調整工程と、pH調整後の浸出液に析出物が析出するまで熟成する熟成工程と、熟成工程後の浸出液から析出物を分離する分離工程と、を有する。この方法によれば、鉄元素の含有量の少ないバナジウム化合物を得ることができるとされている。
また、特許文献2には、集塵機灰を水で洗浄しながら、アルカリ溶液の添加によってpH調整を行い、洗浄残渣を分離する第1工程と、洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して加熱し、第1濾液を分離する第2工程と、第1濾液中からバナジン酸アルカリの結晶を析出させ、第2濾過残渣として分離する第3工程と、第2濾過残渣を酸で中和するとともに第1工程で得られる洗浄廃水を混合して五酸化バナジウムを生成させ、第3濾過残渣として分離する第4工程と、を有する電解液の製造方法が記載されている。
本文献の第1工程では、懸濁液のpHが好ましくは6〜8となるように調整することで、懸濁液に鉄、ニッケルなどの金属夾雑物の溶解を防止できるとされている。また、第2工程では、加熱温度は好ましくは50〜100℃とされており、第1濾過液にはバナジウムが溶液の形態で含まれ、第1濾過残渣と固液分離されることが記載されている。さらに、第3工程では、バナジン酸アルカリの析出方法は特に限定されておらず、溶解度の差によって選択的に分離する方法などを用いることができ、バナジン酸アルカリの結晶としてバナジン酸ナトリウム(NaVO)が析出することが記載されている。また、第3工程で得られる第2濾過液は、第2工程におけるアルカリ溶液として再利用され、第2濾過液は、アルカリ濃度が減少しているために、濃度回復用のアルカリ溶液を補充して所定濃度のアルカリ溶液にした後、第2工程におけるアルカリ溶液として再利用され、洗浄残渣に添加されることが記載されている。
国際公開2017/208471号(要約、段落0024等) 特開2019−46723号(要約、請求項1、請求項3、段落0025、段落0028〜0032等)
特許文献1の方法などのように、バナジウムを液中に浸出させる方法では、浸出液の回収率を上げるために、固形分に対して一定の比率以上でアルカリ溶液を投入する必要がある。したがって、バナジウム含有量の少ない燃焼灰から、バナジウムを回収するには、バナジウムの含量の多い原料に比べ、相対的に多くのアルカリ溶液が必要となり、実用的な安価な処理コストを達成することが困難であった。
また、本文献の方法では、アルカリ浸出後の浸出液に酸(HSOなど)を添加して酸性にする必要があるため、酸性化薬剤のコストや添加の手間がかかる。さらに、上述したように焼却灰中のバナジウム含有量が低いことから、相対的に多くのアルカリが投入されており、このため投入する酸が多量に必要となり、酸性化薬剤コストの一層の増大に繋がっている。
さらにまた、熟成工程後に析出物を分離した浸出液には析出しきれなかったバナジウムが含まれるため、これをリサイクルして再度アルカリ浸出することが好ましい。しかしながら、本文献の方法では、浸出液は酸性となっているため、アルカリ性溶液を再度添加してアルカリ浸出する必要があり、この点からも多大なコストや手間がかかるという問題がある。
特許文献2では、洗浄残渣にアルカリ溶液を添加して第1濾液を得ている。集塵機灰には硫酸根が多く含まれているため、洗浄残渣には硫酸イオンが含まれており、これにアルカリ溶液を添加すると、硫酸ナトリウム(芒硝)などの硫酸アルカリが生じる。バナジウムを精製する過程で硫酸アルカリは分離しにくいため、最終的に得られるバナジウム精製物に硫酸アルカリが夾雑物として残存しやすい。本文献では、この硫酸アルカリを分離する処理を行っていないため、バナジウム精製物に硫酸アルカリが夾雑物として残存していると考えられる。
また、本文献では、第3工程では溶解度の差によって選択的に分離する方法などを用いることができると記載されているが、具体的な方法は何ら記載されていない。第3工程で得られる第2濾液は、第1濾液と比較してアルカリ濃度が減少していることから、第3工程の晶析では溶液の濃縮は行われていないことがわかる。このため、多量の溶液を処理する必要があり、装置が大きくなりコストがかかる。また、第2濾液の第2工程へのリサイクルの際に高濃度アルカリを大量に添加する必要があるため、この点からもコストがかかる。
さらに、本文献では、第4工程において、バナジン酸ナトリウム塩(NaVO)が生成している。このため、第2工程のアルカリ添加後のpHは、公知のバナジウムの状態図から判断すると、pH7〜9程度と推測される。また、図4は各種金属の温度とpHによる浸出率の変化を示しており、(a)はバナジウム、(b)はニッケル、(c)は鉄、(d)はマグネシウムを示している。この図から、特にニッケル、マグネシウムは、pHが11.5以下の領域では浸出率が増加することがわかる。このため、本文献においても、pH7〜9と低い範囲でアルカリ浸出しているため、ニッケル、マグネシウムなどの金属夾雑物が多く浸出し、バナジウム精製物にもこれらの金属夾雑物が含まれる結果となる。
本発明の目的は、得られるバナジウム化合物の純度が高く、かつ低コストで実施可能なバナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することにある。
本発明者らは、オルトバナジン(V)酸ナトリウムなどのバナジウム化合物と硫酸ナトリウムなどの硫酸アルカリの溶解度が温度とアルカリ濃度の条件によって異なること、さらには硫酸アルカリが溶解しオルトバナジン(V)酸アルカリが析出する最適な温度・アルカリ濃度の条件を見出し、本発明を完成させた。
本発明は、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分と、硫酸と、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される少なくとも1種類のその他金属と、を少なくとも含有する原料灰からバナジウムを分離するバナジウム化合物の製造方法であって、pH13以上となるように前記原料灰にアルカリ及び水、又はアルカリ溶液を添加し、バナジウムを液相に浸出させてアルカリ浸出液を得るアルカリ抽出工程と、前記アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含む前記アルカリ浸出液を浸出ろ液として得る固液分離工程と、前記浸出ろ液を蒸発濃縮して濃縮液を得る蒸発濃縮工程と、前記濃縮液を所定の冷却温度に冷却して晶析し、バナジウム化合物を含む析出物を固形分として回収する晶析・固液分離工程と、を含み、前記濃縮液は、前記冷却温度においてバナジウム化合物が飽和濃度以上、硫酸アルカリが飽和濃度以下となることを特徴とするバナジウム化合物の製造方法である。
本発明では、アルカリ抽出工程でpH13以上とし、固液分離工程でバナジウムを含む浸出ろ液を回収する。続いて、蒸発濃縮工程で浸出ろ液を蒸発濃縮してアルカリが所定の濃度となるようにし、晶析・固液分離工程でバナジウムを含む析出物を回収する。濃縮液は、冷却温度においてバナジウム化合物が飽和濃度以上、硫酸アルカリが飽和濃度以下となるようにしている。このため、硫酸アルカリを選択的に除去し、バナジウム化合物を効率的に回収することができる。このように、本発明では従来のように酸を添加する必要がなく、バナジウム化合物と硫酸アルカリの温度及びアルカリ濃度の条件下における溶解度の差によってバナジウム化合物を選択的に析出させて回収している。このため、従来と比較して、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することができる。
また、アルカリ抽出工程ではpH13と高いpH領域で浸出を行っているため、ニッケル等の夾雑物が浸出しにくく、最終的に得られるバナジウム化合物の純度を高くすることができる。
さらに、晶析・固液分離工程でバナジウム化合物を含む固形分を分離した晶析ろ液には、析出しなかったバナジウム化合物のほかアルカリが含まれているため、必要に応じて再度アルカリ抽出工程にリサイクル利用することができる。また、本発明では浸出ろ液の蒸発濃縮を行っているため、得られる濃縮液のアルカリ濃度が高く、アルカリ抽出工程へのリサイクルの際にアルカリ濃度回復のためのアルカリの追加が不要であるか少量で済むため、低コストでリサイクルすることができる。
すなわち、本発明では、硫酸アルカリや金属夾雑物を選択的に除去できるため得られるバナジウム化合物の純度が高く、かつ大きな装置を必要とせず使用するアルカリ量も少ないため低コストで実施可能なバナジウム化合物の製造方法を提供することができる。
ここで、前記アルカリが水酸化ナトリウムである場合、前記蒸発濃縮工程は、前記濃縮液中の水酸化ナトリウムの濃度が10〜25%になるように濃縮することが好ましい。
さらに、前記蒸発濃縮工程は、前記浸出ろ液を70〜130℃で蒸発濃縮し、前記晶析・固液分離工程は、前記濃縮液を0〜20℃に冷却することが好ましい。
この場合において、前記アルカリ抽出工程の前段階において、前記原料灰を洗浄する原料灰洗浄工程を更に備えることが好ましい。
このように、アルカリ抽出工程の前段階で原料灰を洗浄することで、硫安分と硫酸を相当程度少なくし、蒸発濃縮・冷却晶析をしても液中の硫酸ナトリウム(芒硝)などの硫酸アルカリの濃度を飽和濃度未満に維持することができる。このため、晶析・固液分離工程で得られる固形分には硫安分や硫酸アルカリがほとんど含まれておらず、高品質のバナジウム化合物を得ることができる。
さらに、前記晶析・固液分離工程の後段階において、前記晶析・固液分離工程で前記固形分から分離された晶析ろ液を前記アルカリ抽出工程で再利用するリサイクル工程を更に含むことが好ましい。
このように、晶析・固液分離工程で固形分を分離したろ液に含まれるアルカリをアルカリ抽出工程で再利用することで、バナジウムの製造を安価かつ高い回収率で行うことができる。
この場合、前記アルカリ抽出工程において、前記晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、前記原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、前記晶析・固液分離工程における冷却後の硫酸アルカリの飽和濃度中の硫酸相当量以下になるように、リサイクルする前記晶析ろ液の量を調整する晶析ろ液量調整工程を更に含むことが好ましい。
このようにすることで、硫酸アルカリの結晶を含まない高純度なバナジウム化合物を回収することができる。
さらにまた、前記アルカリ抽出工程の前段階において、前記原料灰を酸化する酸化工程を更に備えることが好ましい。
このように、アルカリ抽出工程の前段階において原料灰を酸化することで、価数の大きなバナジウム化合物を生成させている。これにより、バナジウムの抽出回収率を向上させることができる。
また、前記アルカリ抽出工程の後段階において、前記固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収し、前記洗浄液を前記浸出ろ液とともに前記蒸発濃縮工程に移行させる固形分洗浄工程を更に備えることが好ましい。
このように、固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収することで、固形分に含まれるバナジウムを回収することができるため、バナジウムの回収率を高めることができる。
本発明は、上記のいずれかに記載のバナジウム化合物の製造方法で製造した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法である。
このように、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することで、レドックス・フロー電池用電解液を安価で簡便に製造することができる。
本発明は、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分と、硫酸と、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される少なくとも1種類のその他金属と、を少なくとも含有する原料灰からバナジウムを分離するバナジウム化合物の製造装置であって、pH13以上となるように前記原料灰にアルカリ及び水、又はアルカリ溶液を添加し、バナジウムを液相に浸出させてアルカリ浸出液を得るアルカリ抽出手段と、前記アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含む前記アルカリ浸出液を浸出ろ液として得る固液分離手段と、前記浸出ろ液を蒸発濃縮して濃縮液を得る蒸発濃縮手段と、前記濃縮液を所定の冷却温度に冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する晶析・固液分離工程と、を含み、前記濃縮液は、前記冷却温度においてバナジウム化合物が飽和濃度以上、硫酸アルカリが飽和濃度以下となることを特徴とするバナジウム化合物の製造装置である。
本発明では、アルカリ抽出工程でpH13以上とし、固液分離手段でバナジウムを含む浸出ろ液を回収する。続いて、蒸発濃縮工程で浸出ろ液を蒸発濃縮してアルカリが所定の濃度となるようにし、晶析・固液分離工程でバナジウムを含む析出物を回収する。このように、本発明では従来のように酸を添加する必要がなく、バナジウム化合物と硫酸アルカリの温度及びアルカリ濃度の条件下における溶解度の差によってバナジウム化合物を選択的に析出させて回収している。このため、従来と比較して、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することができる。また、晶析・固液分離手段でバナジウム化合物を含む固形分を分離した晶析ろ液には、析出しなかったバナジウム化合物のほかアルカリが含まれているため、必要に応じて再度アルカリ抽出手段にリサイクル利用することができる。
ここで、前記アルカリが水酸化ナトリウムである場合、前記蒸発濃縮手段は、前記濃縮液中の水酸化ナトリウムの濃度が10〜25%になるように濃縮することが好ましい。
さらに、前記蒸発濃縮手段は、前記浸出ろ液を70〜130℃で蒸発濃縮し、前記晶析・固液分離手段は、前記濃縮液を0〜20℃に冷却することが好ましい。
この場合において、前記アルカリ抽出手段の前段階において、前記原料灰を洗浄する原料灰洗浄手段を更に備えることが好ましい。
このように、アルカリ抽出手段の前段階で原料灰を洗浄することで、硫安分と硫酸を相当程度少なくし、蒸発濃縮・冷却晶析をしても液中の硫酸ナトリウム(芒硝)などの硫酸アルカリの濃度を飽和濃度未満に維持することができる。このため、晶析・固液分離手段で得られる固形分には硫安分や硫酸アルカリがほとんど含まれておらず、高品質のバナジウム化合物を得ることができる。
さらに、前記晶析・固液分離手段の後段階において、前記晶析・固液分離手段で前記固形分から分離された晶析ろ液を前記アルカリ抽出工程で再利用するリサイクル手段を更に含むことが好ましい。
このように、晶析・固液分離手段で固形分を分離したろ液に含まれるアルカリをアルカリ抽出手段で再利用することで、バナジウムの分離を安価かつ高い回収率で行うことができる。
この場合、前記アルカリ抽出手段において、前記晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、前記原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、前記晶析・固液分離工程における冷却後の飽和濃度相当量以下になるように、リサイクルする前記晶析ろ液の量を調整する晶析ろ液量調整手段を更に含むことが好ましい。
このようにすることで、硫酸アルカリの結晶を含まない高純度なバナジウム化合物を回収することができる。
さらにまた、前記アルカリ抽出手段の前段階において、前記原料灰を酸化する酸化手段を更に備えることが好ましい。
このように、アルカリ抽出手段の前段階において原料灰を酸化することで、価数の大きなバナジウム化合物を生成させている。これにより、バナジウムの抽出回収率を向上させることができる。
また、前記アルカリ抽出工程の後段階において、前記固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収し、前記洗浄液を前記浸出ろ液とともに前記蒸発濃縮手段に移行させる固形分洗浄手段を更に備えることが好ましい。
このように、固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収することで、固形分に含まれるバナジウムを回収することができるため、バナジウムの回収率を高めることができる。
本発明は、上記のいずれかに記載のバナジウム化合物の製造装置で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置である。
このように、バナジウムを安価で簡便かつ選択的に分離することで、レドックス・フロー電池用電解液を安価で簡便に製造することができる。
本発明によれば、得られるバナジウム化合物の純度が高く、かつ低コストで実施可能なバナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るバナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法を示す処理フロー図である。 異なる温度とアルカリ濃度におけるオルトバナジン酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムの溶解度曲線を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係るバナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法を示す処理フロー図である。 バナジウム、ニッケル、鉄、マグネシウムのpHによる浸出率の変化を示すグラフである。 固形分洗浄工程により回収した洗浄液の量とバナジウム化合物の回収率を示すグラフである。 バナジウムのpH、酸化還元電位による状態変化を表すプールベ図と水洗時pH調整によるバナジウムの水洗ロスの割合の変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、その構成を説明する。本発明は、その要旨を変更しない範囲で、適宜変更して実施することが可能である。
1.第1の実施形態
以下、図1を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るバナジウム化合物の製造方法を示しており、(a)はバナジウム化合物の製造方法の工程を示すフロー図、(b)は(a)のフロー図のそれぞれの工程において原料中に含まれる成分の推移を示す模式図である。
本発明のバナジウム化合物の製造方法は、バナジウム及び/又はバナジウム化合物を含有する原料灰に好適に適用することができる。このような原料灰としては、例えば、重質油などの石油系燃焼灰、常圧又は減圧蒸留残油となる焼却ボイラ灰、部分酸化灰、石油コークス灰、オイルサンドの残渣灰などを挙げることができる。
本発明における原料灰は、硫安分と、硫酸と、バナジウムと、ニッケル、鉄、マグネシウムなどのその他金属と、を少なくとも含んでいる。硫安分は、硫酸アンモニウム((NHSO)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NHHSO)からなる。原料灰に含まれる硫安分は、重量比で20〜60%程度であり、より一般的には30〜50%程度である。硫安分を多く含む廃棄物としては、石油系燃焼灰などを挙げることができる。また、原料灰に含まれる硫酸は、1〜20質量%(wt%)程度であり、より一般的には5〜10質量%程度である。
原料灰に含まれるバナジウムは、3価、4価、5価の様々な価数の化合物の形態をとっており、具体的にはNH(OH)(SO、VOSO・5HO、VOなどとなっている。一般に、原料灰に含まれるバナジウムは、0.1〜30質量%程度であり、より一般的には1〜10質量%程度である。
原料灰には、炭素分として、未燃焼カーボンを主成分とする非水溶性固形物(SS分)が含まれる。原料灰に含まれる炭素分は、乾物当たり5〜90質量%程度であり、より一般的には30〜70質量%程度である。
原料灰には、これら以外にも、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、マンガン、チタン、銅、亜鉛、パラジウム、白金、リン、硫黄など、バナジウム以外の他の元素(金属夾雑物)が含まれる場合がある。一般にこれらの金属夾雑物は、硫酸塩や酸化物などとして含まれることが多い。一般に、原料灰に含まれるこれらの金属夾雑物は、元素の種類にもよるが、0.1〜20質量%程度であり、より一般的には1〜10質量%程度である。
(原料灰準備工程)
図1(a)に示すように、本発明のバナジウム化合物の製造方法は、まず燃焼灰(原料灰)を準備する(ステップ10)。この工程では、上述した原料灰をそのまま使用するか、あるいは水などの溶媒に溶解して原料灰スラリーとしたものを原料灰として使用する。この場合の原料灰に含まれる成分は図1(b)(ステップ10)のようになっている。
(アルカリ浸出工程)
次に、原料灰(原料灰そのもの又は原料灰スラリー)にアルカリを添加してpH13以上とし、バナジウムを含むアルカリ浸出液を得る(ステップ12)。本工程で使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))などを挙げることができる。これらのうち、入手が容易などの理由から、水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリ浸出工程の温度は、後述する蒸発濃縮工程の温度よりも低い温度であり、例えば10〜40℃程度であり、20〜30℃が好ましい。アルカリ添加後のアルカリ浸出液は、pH12.5〜15であり、pH13〜14が好ましい。アルカリ浸出液のpHが13以上、14以下であると、バナジウムをアルカリ浸出液中に選択的に抽出させやすくなる。アルカリ浸出液に含まれるアルカリの濃度は、後述する蒸発濃縮工程での濃縮率に依存し、10質量%/濃縮率〜25質量%/濃縮率の範囲内とすることが好ましい。例えば、濃縮率が5倍(1/5に減容)の場合、アルカリ浸出液に含まれるアルカリの濃度は2〜5質量%であることが好ましい。
(固液分離工程)
次に、アルカリ浸出液から不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含む浸出ろ液を得る(ステップ13)。分離方法としては、特に制限はないが、沈殿分離、遠心分離、吸引ろ過などを挙げることができる。本工程後の原料灰に含まれる成分は図1(b)(ステップ13)のように、炭素分が除去されたものとなっており、浸出ろ液中には硫安分、硫酸イオン、バナジウムが含まれている。
(固形分洗浄工程)
固液分離工程後に、固形分(ケーキ)を洗浄する工程(固形分洗浄工程)を行うことが好ましい。この固形分洗浄工程では、水を固形分(ケーキ)に含まれる水(固形分含水)の1〜3倍量加え、洗浄を行う。この工程により、固形分含水からバナジウムを抽出し、回収することができる。これは、アルカリ浸出後の固形分が高pHであることから、ケーキ洗浄水もpH12〜13程度の高pHとなるため、バナジウムが溶液状態となり、洗浄によって回収しやすくなるためである。さらに、固形分洗浄工程で得られた洗浄液(洗浄ろ液)を回収して浸出ろ液とともに次の蒸発濃縮工程に移行させる。図5に示すように、洗浄液の回収を行わなかった場合(洗浄ろ液量0mL)、88%の回収率であったのに対して、洗浄液を回収した場合は、100%以上と高い回収率となる。なお、ケーキ洗浄水のpH、電気伝導度を監視することで、洗浄水量を制御してもよい。
一方、特許文献2では、pH9以下でアルカリ浸出を行っており、ケーキ洗浄については記載されていない。なお、特許文献2においては、仮にケーキ洗浄を行ったとしても、中性付近のpHで洗浄を行うことになり、バナジウムの新たな抽出は見込めず、むしろ図4に示すようにニッケル等の金属夾雑物が多く浸出する可能性がある。
(蒸発濃縮工程)
次に、浸出ろ液を蒸発濃縮し、アルカリの濃度が10〜25質量%の濃縮液を得る(ステップ14)。蒸発濃縮方法としては、特に制限はないが、蒸発濃縮缶などを用いて行うことができる。蒸発濃縮温度は、浸出ろ液の塩濃度にもよるが、70〜130℃であることが好ましい。蒸発濃縮温度が高いと濃縮に必要な投入エネルギー量が多くなり、処理コストが増大するため、減圧下で蒸発させることにより、温度100℃以下、特に80〜90℃で処理することが好ましい。
蒸発濃縮工程は、減圧下で行うことが好ましい。蒸発濃縮工程後の浸出ろ液の体積に対する蒸発濃縮工程前の浸出ろ液の体積の割合(濃縮率)は、通常は2〜8倍程度であり、4〜6倍がより好ましい。図1(b)(ステップ14)に示すように、本工程では浸出ろ液が減容化され、浸出ろ液中には硫安分、硫酸イオン、バナジウムが含まれる。蒸発させた水分については、アルカリ抽出工程における調整水として使用してもよく、後述する第2の実施形態における原料灰洗浄工程において洗浄水として使用してもよい。
(晶析・固液分離工程)
次に、濃縮液を冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する(ステップ15)。冷却温度は0〜20℃であることが好ましい。晶析方法としては、冷却機能を備えた水槽、冷却晶析槽や、メタノールなど有機系貧溶媒を加える貧溶媒晶析槽などを用いた方法を挙げることができる。晶析後は、固液分離を行う。固液分離方法としては、シックナー、デカンター、バスケット遠心真空ベルトフィルタなどを用いた方法を挙げることができる。図1(b)に示すように、本工程後では、硫安分、硫酸アルカリ(本実施形態では、硫酸ナトリウム(NaSO:芒硝))、バナジウム化合物(NaVOなど)のそれぞれの一部が固形分として析出し、これらの残りとアルカリ(NaOH)が晶析ろ液に含まれる。
固形分はバナジウム化合物を主成分として精製されたバナジウム原料として回収され(ステップ17)、レドックス・フロー電解液の製造などに使用される。本工程の晶析ろ液は、アルカリと未回収のバナジウムが含まれているため、必要に応じてアルカリ抽出工程(ステップ12)に返送されてリサイクルされる。
ここで、蒸発濃縮工程と晶析・固液分離工程でバナジウム化合物が選択的に分離されるメカニズムについて説明する。図2は、異なる温度とアルカリ濃度におけるオルトバナジン酸ナトリウム(NaVO)及び硫酸ナトリウム(NaSO:芒硝)の溶解度曲線を示すグラフである。この図の(a)がオルトバナジン酸ナトリウムの溶解度曲線を、(b)が硫酸ナトリウムの溶解度曲線を示している。
この図に示すように、いずれの化合物も、温度が高いほど溶解度が高くなる。また、いずれの化合物も、溶解度はアルカリ濃度(NaOH濃度)に依存しており、アルカリ濃度が高くなるにつれて溶解度が低くなるとともにほぼ一定となる。
図2において、アルカリ浸出液(30℃の場合)に含まれるNaVOとNaSOの組成を、それぞれのグラフの「ろ液@30℃」で示す。このアルカリ浸出液を80℃で蒸発濃縮すると、NaVOとNaSO及びアルカリ(NaOH)は液中に残留するため、その濃度変化は原点を通る直線で表される。濃縮後の濃縮液は80℃となっており、これに含まれるNaVOとNaSOの組成を、それぞれのグラフの「濃縮後@80℃」で示す。図2は5倍濃縮した場合の例示である。この濃度が80℃の飽和溶解度よりも低ければ(溶解度曲線の下であれば)、その時点で固形物の析出は生じない。次に、晶析・固液分離工程で、この濃縮液を10℃まで冷却すると、濃縮液は10℃での飽和溶液の組成に行きつき、飽和濃度を超えた成分が析出し、固形分(ケーキ)として回収される。これに含まれるNaVOとNaSOの組成を、それぞれのグラフの「ろ液@10℃」で示す。
ここで、アルカリ抽出液の成分濃度から算出される濃縮液相当濃度が、晶析・固液分離工程における温度(例えば10℃)において、NaVOが飽和濃度以上、NaSOは飽和濃度以下であれば、NaSOの結晶を含まない高純度なNaVO析出物を回収することができる。
さらに、上述において、NaVO飽和濃度がゼロに漸近し下限に近い領域で晶析処理すれば、高収率でのバナジウム化合物の回収が可能であり、NaSO飽和濃度がゼロに漸近せず、高い溶解度を示す領域で晶析すれば、安定した高純度バナジウム化合物の回収が可能である。
このような条件としては、アルカリ抽出液中のSOを0.6質量%以下として、2〜7倍濃縮することにより、濃縮液のアルカリ濃度10〜25質量%、NaSO飽和濃度4〜7質量%、NaVO飽和濃度0〜2質量%とすることが好ましい。
(変形例)
アルカリ抽出工程の前段階において、原料灰を酸化する酸化工程を更に備えていてもよい。酸化工程としては、原料灰に酸化性ガス及び/又は酸化剤を添加する方法を挙げることができる。酸化性ガスとしては、空気、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素、塩素などを挙げることができる。酸化剤としては、過酸化水素、次亜塩素酸などを挙げることができる。原料灰中において、バナジウムは3価、4価、5価の様々な価数の化合物の形態をとっているが、アルカリ抽出工程において、概ね5価のバナジウムが選択的にアルカリ浸出液に溶解し、3価や4価のバナジウムや金属夾雑物はほとんど溶解しない。それゆえ酸化工程を追加することにより3価や4価のバナジウムを5価のバナジウムに変換し、バナジウムの回収率を向上させることが可能となる。
(レドックス・フロー電池用電解液の製造方法)
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造方法は、バナジウム化合物の製造方法で製造したバナジウム化合物をレドックス・フロー電池用の電解液の原液とするための方法である。レドックス・フロー電池用電解液の製造方法としては、上述したバナジウム化合物の製造方法で製造したバナジウム原料をもとにレドックス・フロー電池用電解液を製造する工程である電解液製造工程を備える。
レドックス・フロー電池用電解液としては、正極側はバナジウム(V)やバナジウム(IV)が、負極側はバナジウム(III)やバナジウム(II)が用いられている。本発明の方法では、バナジウムは主にオルトバナジン酸ナトリウム(NaVO)などのバナジウム(V)として回収されるため、特に負極側の電解液の製造に好適に使用することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、例えば回収されたバナジウム(V)を還元してバナジウム(III)やバナジウム(II)とすることで、正極側の電解液の製造に使用してもよい。レドックス・フロー電池用電解液中に含まれるバナジウムの濃度は、特に制限はないが、正極側、負極側いずれも、例えば0.1mol/l〜10mol/lの範囲内、好ましくは1〜3mol/lの範囲内とすることができる。
(バナジウム化合物の製造装置)
本発明のバナジウム化合物の製造装置は、上記の第1の実施形態のバナジウム化合物の製造方法を実施するための装置として構成することができる。本実施形態のバナジウム化合物の製造装置は、アルカリ抽出手段、固液分離手段、蒸発濃縮手段、晶析・固液分離手段を備える。
アルカリ抽出手段は、第1の実施形態のアルカリ抽出工程を実施する手段であり、pH13以上、14以下となるように原料灰にアルカリを添加し、バナジウムを含むアルカリ浸出液を得る。アルカリ抽出手段としては、例えば、アルカリ溶液及びボイラー燃焼灰を混合する撹拌混合槽などを挙げることができる。
固液分離手段は、第1の実施形態の固液分離工程を実施する手段であり、アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含む浸出ろ液を得る。固液分離手段としては、例えば、アルカリ浸出液及び固形分を分離する脱水機などを挙げることができる。
固形分洗浄手段は、第1の実施形態の固形分洗浄工程を実施する手段であり、固液分離後に、固形分(ケーキ)を洗浄する。固形分洗浄手段としては、例えば、水添加用の水槽と固液分離のための真空ベルトフィルタ、バスケット式遠心機、デカンターなどの脱水機等の組み合わせなどを挙げることができる。また、固形分洗浄手段としては、水添加用の水槽を用いずに真空ベルトフィルタ上へ散水する手段でもよい。
蒸発濃縮手段は、第1の実施形態の蒸発濃縮工程を実施する手段であり、浸出ろ液を70〜100℃で蒸発濃縮し、アルカリの濃度が10〜25質量%の濃縮液を得る。固液分離手段としては、例えば、蒸発濃縮缶やRO膜分離装置などを挙げることができる。
晶析・固液分離手段は、第1の実施形態の晶析・固液分離工程を実施する手段であり、濃縮液を0〜20℃に冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する。晶析・固液分離手段は晶析手段と固液分離手段とから構成される。晶析手段としては、例えば、冷却機能を備えた水槽、冷却晶析槽、メタノールなど有機系貧溶媒を加える貧溶媒晶析槽などを挙げることができる。固液分離手段としては、例えば、シックナー、デカンター、バスケット遠心真空ベルトフィルタなどを挙げることができる。
バナジウム化合物の製造装置は、アルカリ抽出手段の前段階において、原料灰を酸化する酸化手段を更に備えていてもよい。酸化手段としては、酸化ガス通気用の散気設備などを挙げることができる。
(レドックス・フロー電池用電解液の製造装置)
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造装置は、バナジウム化合物の製造装置で製造したバナジウム化合物をレドックス・フロー電池用の電解液の原液とするための装置である。レドックス・フロー電池用電解液の製造装置としては、上述したバナジウム化合物の製造装置で製造したバナジウム原料をもとにレドックス・フロー電池用電解液を製造する工程である電解液製造手段を備える。レドックス・フロー電池用電解液の製造装置の詳細については、上述したレドックス・フロー電池用電解液の製造方法を参考にすることができる。
2.第2の実施形態
以下、図3を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係るバナジウム化合物の製造方法を示しており、(a)はバナジウム化合物の製造方法のフロー図、(b)は原料中に含まれる成分の推移を示す模式図である。
本実施形態のバナジウム化合物の製造方法は、原料灰準備工程(ステップ20)、原料灰洗浄工程(ステップ21)、アルカリ浸出工程(ステップ22)、固液分離工程(ステップ23)、蒸発濃縮工程(ステップ24)、晶析・固液分離工程(ステップ25)、リサイクル工程(ステップ26)を備える。これらの工程のうち、原料灰洗浄工程(ステップ21)、リサイクル工程(ステップ26)以外については、上述した第1の実施形態と同様であるため、説明は省略又は簡便に済ませる。
(原料灰洗浄工程)
本実施形態では、原料灰準備工程(ステップ20)の後に、原料灰を洗浄する原料灰洗浄工程(ステップ21)を行う。本工程では、原料灰から溶解性の金属夾雑物(鉄、ニッケル、マグネシウムなど)を除去するとともに、アルカリ再使用の妨げとなる溶解性塩類(硫安分、硫酸など)を除去する。原料灰の洗浄に使用する溶媒は、水又はアルカリ溶液を挙げることができる。原料灰洗浄工程は、原料灰に対して重量比で2〜20倍の溶媒で洗浄を行うことが好ましい。
洗浄方法としては、バッチ法や連続法などが挙げられ、具体的には、水添加用の水槽と固液分離のための真空ベルトフィルタ、バスケット式遠心機、デカンターなどの脱水機等の組み合わせによる方法などを挙げることができる。また、洗浄方法としては、水添加用の水槽を用いずに真空ベルトフィルタ上へ散水する方法でもよい。洗浄温度としては、10〜40℃であり、20〜30℃が好ましい。また、洗浄時間としては、バッチ法や連続法などで異なるが、おおむね1秒〜60分程度であり、1〜30分程度が好ましい。
また、原料灰洗浄工程では、バナジウムが水洗中に溶出することを防ぐため、洗浄中の原料灰水溶液のpHは4〜7、好ましくは5〜6とする。以下、このpHが好ましいことを説明する。図6(a)はバナジウムのpH、酸化還元電位による状態変化を表すプールベ図、図6(b)は水洗時pH調整によるバナジウムの水洗ロスの割合の変化を示すグラフである。図6(a)のプールベ図より、pHが3以下のように低い領域では、バナジウムの安定状態はVO2+などのイオンであるのに対して、pHが4〜7のように高い領域では、バナジウムの安定状態はVなどの固体となる。したがって、原料灰洗浄工程でpHを4〜7とすることで、バナジウムを固体として洗浄液にバナジウムを溶出させにくくすることで、夾雑物を効率的に除去することができる。実際、図6(b)に示すように、洗浄時に原料灰水溶液のpHを調整しなかった場合、pHは3と低くなり、バナジウムのロスが大きくなる。一方、原料灰水溶液のpHを4、5、6に調整した場合、バナジウムのロスはpHを調整しなかった場合と比較して小さくなることがわかる。
本工程では、固液分離工程後、原料灰の重量に対し硫安分、硫酸などを含む可溶性成分を重量比で5%以下とすることが望ましい。本実施形態では、アルカリ抽出工程の前段階で原料灰洗浄工程を備えるため、図3(b)に示すように、原料灰に含まれる硫安分や硫酸を大幅に減少させることができる。
次に、アルカリ浸出工程(ステップ22)、固液分離工程(ステップ23)、蒸発濃縮工程(ステップ24)、晶析・固液分離工程(ステップ25)を順次行う。ここで、図3(b)に示すように、本実施形態では原料灰洗浄工程によって硫安分と硫酸などが原料灰から大幅に減少しているため、その後の工程においてアルカリ浸出液や浸出ろ液、濃縮液に硫安分と硫酸などの残存量が少なくなっている。そして、晶析・固液分離工程で得られる析出物には、これら夾雑物がほとんど含まれておらず、ほぼバナジウム化合物とアルカリのみとなっている。
(リサイクル工程)
晶析・固液分離工程の後段階において、晶析・固液分離工程で得られる晶析ろ液は、アルカリ抽出工程へリサイクルされることが好ましい。リサイクル工程は、返送ポンプやオーバーフロー槽などで行ってもよい。この場合、晶析ろ液の全量をアルカリ溶液としてアルカリ抽出工程で再使用しても良いが、硫酸根の系内蓄積を抑えるため、1〜30質量%の範囲で系外へ排出し、残りを使用してもよい。
本実施形態では、原料灰洗浄工程で硫安分や硫酸などの夾雑物を除去しているため、晶析・固液分離工程(ステップ25)で得られる析出物には、これら夾雑物がほとんど含まれていない。したがって、第1の実施形態の方法と比較して、高品質のバナジウム原料を得ることができる。
また、原料灰洗浄工程においてこれらの夾雑物を除去するため、第1の実施形態のように夾雑物が含まれる場合と比較してアルカリ抽出液の沸点が低くなる。このため、蒸発濃縮工程において低い温度で蒸発濃縮を行うことができる。したがって、第1の実施形態と比較して、蒸発濃縮工程で大きな投入エネルギーを必要とせず、バナジウム原料の製造コストを低減することができる。
さらに、晶析・固液分離工程(ステップ25)で得られる晶析ろ液にも夾雑物がほとんど含まれておらず、ほぼバナジウム化合物とアルカリのみとなっている。このため、第1の実施形態の方法と比較して、投入するアルカリの量を低減できるとともに、原料灰からのバナジウム回収率を高くすることができる。
このように、原料灰洗浄工程を行うことで、高品質のバナジウム原料を得ることができる。具体的には、晶析・分離工程で得られた析出物(固形分)に含まれるバナジウム化合物(NaVOなど)の含有量を、30〜40質量%とすることができる。また、固形分を乾燥させた乾物ベースであれば、NaVOを70〜80質量%、NaSOを2〜5質量%、NaOHを20〜25質量%とすることができる。さらに、晶析・分離工程後に固形分を水などで洗浄する固形分洗浄工程を設けると、乾物ベースでNaVOを90質量%以上とすることも可能である。
また、晶析・分離工程の晶析ろ液に含まれる塩濃度は15〜20質量%と低くすることができ、さらに、蒸発濃縮工程で必要なエネルギー量を、純バナジウム1kg回収あたり14000kcal以下とすることができる。
(晶析ろ液量調整工程)
また、リサイクル工程では、アルカリ抽出工程において、晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、晶析・固液分離工程における冷却後の飽和濃度相当量以下になるように、リサイクルする晶析ろ液の量を調整することが好ましい。
(バナジウム化合物の製造装置)
本発明のバナジウム化合物の製造装置は、上記の第2の実施形態のバナジウム化合物の製造方法を実施するための装置として構成することができる。本実施形態のバナジウム化合物の製造装置は、原料灰洗浄手段、アルカリ抽出手段、固液分離手段、蒸発濃縮手段、晶析・固液分離手段、リサイクル手段、晶析ろ液量調整手段を備える。これらのうち、アルカリ抽出手段、固液分離手段、蒸発濃縮手段、晶析・固液分離手段については、上記の第1の実施形態において説明しているため、説明を省略する。
原料灰洗浄手段は、第2の実施形態の原料灰洗浄工程を実施する手段であり、原料灰を洗浄する原料灰洗浄手段としては、例えば、水添加用の水槽と固液分離のための真空ベルトフィルタ、バスケット式遠心機、デカンターなどの脱水機等の組み合わせなどを挙げることができる。また、原料灰洗浄手段としては、水添加用の水槽を用いずに真空ベルトフィルタ上へ散水する手段でもよい。
リサイクル手段は第2の実施形態のリサイクル工程を実施する手段であり、晶析・固液分離手段で固形分から分離された晶析ろ液をアルカリ抽出手段で再利用する。リサイクル手段としては、例えば、返送ポンプやオーバーフロー槽などを挙げることができる。
晶析ろ液量調整手段は、リサイクル工程では、アルカリ抽出工程において、晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、晶析・固液分離工程における冷却後の飽和濃度相当量以下になるように、リサイクルする晶析ろ液の量を調整する。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではなく、また、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)水洗工程
ボイラー燃焼灰 5kg wet(含水率14.9%、バナジウム(V)含有率2.3%)を原料とし、水:10kgを加え、60分間撹拌したのち、遠心脱水機にて固液分離を行った。得られた残渣は、4.5kg(含水率33wt%)であった。この水洗工程において、原料灰中に含まれるバナジウム(V)の16.6wt%がろ液中に溶出した。
(2)アルカリ浸出工程
水洗工程で得られた残渣1kgに、スラリー化水:2.1kg、30wt%苛性ソーダ(NaOH):1.0kgを投入し、pH13.8として60分間撹拌したのち、加圧ろ過を行い、ろ液:2.8kgを得た。残渣を2.1kgの水でケーキ洗浄し、その際の洗浄液も回収することで合計4.8kgのアルカリ浸出液を得た。
(3)蒸発濃縮工程
アルカリ浸出工程で得られたろ液(濃縮前液)4.8kgを、80〜85℃、−70kPaで減圧濃縮を行い、濃縮液:1.0kgを得た。
(4)冷却晶析工程
蒸発濃縮工程で得られた濃縮液1.0kgをとり、徐々に冷却を行い、5℃にて5時間攪拌し、結晶を析出させた。1.0μmのメンブレンを使用して吸引ろ過によって固液分離を行った。これにより固形物であるケーキI:157g(うち、NaVO:64gとしてのバナジウム(V):18g)を得た。このケーキIの乾物中構成比は、NaVOが85wt%、NaSOが0.1wt%、NaOHが15wt%であった。なお、NaOHの混入はその大部分が付着水によるものであるため、固液分離性を高めることで混入率は大幅に削減できる。また、蒸発濃縮工程に必要な投入エネルギーは、純バナジウム1.0kg回収あたり、13950kcalであった。

Claims (14)

  1. 硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分と、硫酸と、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される少なくとも1種類のその他金属と、を少なくとも含有する原料灰からバナジウムを分離するバナジウム化合物の製造方法であって、
    pH13以上となるように前記原料灰にアルカリ及び水、又はアルカリ溶液を添加し、バナジウムを液相に浸出させてアルカリ浸出液を得るアルカリ抽出工程と、
    前記アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含む前記アルカリ浸出液を浸出ろ液として得る固液分離工程と、
    前記浸出ろ液を蒸発濃縮して濃縮液を得る蒸発濃縮工程と、
    前記濃縮液を所定の冷却温度に冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する晶析・固液分離工程と、を含み、
    前記濃縮液は、前記冷却温度においてバナジウム化合物が飽和濃度以上、硫酸アルカリが飽和濃度以下となることを特徴とするバナジウム化合物の製造方法。
  2. 前記アルカリ抽出工程の前段階において、前記原料灰を洗浄する原料灰洗浄工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム化合物の製造方法。
  3. 前記晶析・固液分離工程の後段階において、前記晶析・固液分離工程で前記固形分から分離された晶析ろ液を前記アルカリ抽出工程で再利用するリサイクル工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のバナジウム化合物の製造方法。
  4. 前記アルカリ抽出工程において、前記晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、前記原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、前記晶析・固液分離工程における冷却後の飽和濃度相当量以下になるように、リサイクルする前記晶析ろ液の量を調整する晶析ろ液量調整工程を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のバナジウム化合物の製造方法。
  5. 前記アルカリ抽出工程の前段階において、前記原料灰を酸化する酸化工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム化合物の製造方法。
  6. 前記アルカリ抽出工程の後段階において、前記固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収し、前記洗浄液を前記浸出ろ液とともに前記蒸発濃縮工程に移行させる固形分洗浄工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のバナジウム化合物の製造方法で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法。
  8. 硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムからなる硫安分と、硫酸と、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される少なくとも1種類のその他金属と、を少なくとも含有する原料灰からバナジウムを分離するバナジウム化合物の製造装置であって、
    pH13以上となるように前記原料灰にアルカリ及び水、又はアルカリ溶液を添加し、バナジウムを液相に浸出させてアルカリ浸出液を得るアルカリ抽出手段と、
    前記アルカリ浸出液を固液分離し、不溶物を固形分として除去するとともにバナジウムを含むアルカリ浸出液を浸出ろ液を得る固液分離手段と、
    前記浸出ろ液を蒸発濃縮して濃縮液を得る蒸発濃縮手段と、
    前記濃縮液を所定の冷却温度に冷却して晶析し、バナジウムを含む析出物を固形分として回収する晶析・固液分離手段と、を含み、
    前記濃縮液は、前記冷却温度においてバナジウム化合物が飽和濃度以上、硫酸アルカリが飽和濃度以下となることを特徴とするバナジウム化合物の製造装置。
  9. 前記アルカリ抽出手段の前段階において、前記原料灰を洗浄する原料灰洗浄手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のバナジウム化合物の製造装置。
  10. 前記晶析・固液分離手段の後段階において、前記晶析・固液分離手段で前記固形分から分離された晶析ろ液を前記アルカリ抽出手段で再利用するリサイクル手段を更に含むことを特徴とする請求項8に記載のバナジウム化合物の製造装置。
  11. 前記アルカリ抽出手段において、前記晶析ろ液により持ち込まれる硫酸根と、前記原料灰から持ち込まれる硫酸根との合計が、前記晶析・固液分離工程における冷却後の飽和濃度相当量以下になるように、リサイクルする前記晶析ろ液の量を調整する晶析ろ液量調整手段を更に含むことを特徴とする請求項8に記載のバナジウム化合物の製造装置。
  12. 前記アルカリ抽出手段の前段階において、前記原料灰を酸化する酸化手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のバナジウム化合物の製造装置。
  13. 前記アルカリ抽出工程の後段階において、前記固形分を洗浄してバナジウムを含む洗浄液を回収し、前記洗浄液を前記浸出ろ液とともに前記蒸発濃縮手段に移行させる固形分洗浄手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載のバナジウム化合物の製造装置。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載のバナジウム化合物の製造装置で分離した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置。
JP2019109344A 2019-06-12 2019-06-12 バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 Active JP6909826B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109344A JP6909826B2 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置
EP20822390.9A EP3984958A4 (en) 2019-06-12 2020-06-11 METHOD AND DEVICE FOR THE PRODUCTION OF A VANADIUM COMPOUND, AND METHOD AND DEVICE FOR THE PRODUCTION OF A REDOX FLOW BATTERY ELECTROLYTE
CN202080042257.7A CN113939478A (zh) 2019-06-12 2020-06-11 钒化合物的制造方法和制造装置以及氧化还原液流电池用电解液的制造方法和制造装置
US17/618,727 US20220364204A1 (en) 2019-06-12 2020-06-11 Method and apparatus for producing vanadium compound, and method and apparatus for producing redox-flow battery electrolyte
PCT/JP2020/023075 WO2020250989A1 (ja) 2019-06-12 2020-06-11 バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109344A JP6909826B2 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020200227A true JP2020200227A (ja) 2020-12-17
JP6909826B2 JP6909826B2 (ja) 2021-07-28

Family

ID=73742434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019109344A Active JP6909826B2 (ja) 2019-06-12 2019-06-12 バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6909826B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021031344A (ja) * 2019-08-27 2021-03-01 川崎重工業株式会社 バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
CN114275813A (zh) * 2021-12-30 2022-04-05 中国科学院过程工程研究所 一种碱液体系中钒酸钠闪蒸降温结晶的方法
WO2023106164A1 (ja) * 2021-12-06 2023-06-15 川崎重工業株式会社 バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021031344A (ja) * 2019-08-27 2021-03-01 川崎重工業株式会社 バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
WO2023106164A1 (ja) * 2021-12-06 2023-06-15 川崎重工業株式会社 バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
CN114275813A (zh) * 2021-12-30 2022-04-05 中国科学院过程工程研究所 一种碱液体系中钒酸钠闪蒸降温结晶的方法
CN114275813B (zh) * 2021-12-30 2022-09-02 中国科学院过程工程研究所 一种碱液体系中钒酸钠闪蒸降温结晶的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6909826B2 (ja) 2021-07-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2020250989A1 (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
CN106542512B (zh) 利用废旧电池的锂废液的高纯度磷酸锂制备方法
RU2456241C2 (ru) Способ получения оксида ванадия с использованием экстракции
JP6909826B2 (ja) バナジウム化合物の製造方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム化合物の製造装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置
JP2015183292A (ja) コバルトおよびニッケルの回収方法
RU2591903C2 (ru) Способ выделения оксида цинка
KR101773439B1 (ko) 리튬 함유 폐액으로부터 고상의 탄산리튬 제조방법
KR101771596B1 (ko) 리튬 함유 폐액으로부터 고상의 리튬염 제조방법
KR101021180B1 (ko) 고순도 황산 코발트 제조방법
CN101259956A (zh) 一种粗碲粉深度除杂的方法
US8747802B2 (en) Method for preparing manganese sulfate monohydrate
TW202343870A (zh) 由黑物質(black mass)製造二次電池材料之方法
JP5512482B2 (ja) 亜鉛めっき廃液からの亜鉛の分離回収方法
JP2021031345A (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置
JP6860628B2 (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
JP4215547B2 (ja) コバルトの回収方法
WO2023106164A1 (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置並びにレドックス・フロー電池用電解液の製造方法及び製造装置
CN110627106A (zh) 一种利用高炉布袋灰脱氯废水生产碳酸锌的方法
JP7243749B2 (ja) 有価金属の回収方法及び回収装置
JP2023179939A (ja) 硫安含有排水の再利用方法
US20240014457A1 (en) Method for producing secondary battery material from black mass
JP2022174564A (ja) バナジウム化合物の製造方法及び製造装置
JPH11293361A (ja) 銅電解スライムからの高純度セレンの製造方法
WO2023006826A1 (en) Crystallization process for the separation of metals
KR20240049385A (ko) 블랙 매스로부터 금속을 회수하기 위한 방법 및 설비

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190703

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20201224

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210205

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210205

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20210205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20210208

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210420

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210609

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210705

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6909826

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150