JPH06228666A - 廃水素化処理触媒からの金属の分離回収方法 - Google Patents

廃水素化処理触媒からの金属の分離回収方法

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JPH06228666A
JPH06228666A JP28606793A JP28606793A JPH06228666A JP H06228666 A JPH06228666 A JP H06228666A JP 28606793 A JP28606793 A JP 28606793A JP 28606793 A JP28606793 A JP 28606793A JP H06228666 A JPH06228666 A JP H06228666A
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JP
Japan
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aqueous solution
vanadium
aluminum
extraction solvent
separating
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Application number
JP28606793A
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English (en)
Inventor
Hiromi Tsuyama
弘己 津山
Hiroshi Eguchi
博 江口
Haruaki Yamanaka
治昭 山中
Tadahiro Otsu
忠洋 大津
Shigemitsu Kido
繁光 城戸
Masanobu Nishimori
正信 西森
Toru Kudo
通 工藤
Yutaka Goto
裕 後藤
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KOWA SEIKO
KOWA SEIKO KK
JGC Catalysts and Chemicals Ltd
Original Assignee
KOWA SEIKO
KOWA SEIKO KK
Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Filing date
Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Abstract

(57)【要約】 【目的】 系統的な廃水素化処理触媒からの金属の分離
回収方法、とくに回収金属の純度および回収率が高く、
かつ低コストな廃水素化処理触媒からの金属回収する方
法の提供。 【構成】 廃水素化処理触媒から金属を分離回収する方
法において、a)該廃触媒を酸化雰囲気中で焙焼する工
程、b)これを硫酸水溶液に溶解して水溶液を形成する
工程、c)この水溶液に特定のアルキルスルホン酸エス
テルよりなる抽出剤〔I〕を用いてモリブデン成分を選
択的に抽出回収する工程、d)モリブデンを除去した水
溶液からアルミニウムを回収する工程、e)アルミニウ
ムを除去した水溶液を前記抽出剤〔I〕を用いてバナジ
ウム成分を抽出回収する工程、f)バナジウムを除去し
た水溶液から残存するアルミニウムを前記抽出剤のアン
モニウム塩〔II〕を用いて抽出回収する工程、g)つい
で前記抽出剤〔II〕を用いてコバルトを抽出回収する工
程、h)コバルトを除去した水溶液から抽出剤〔II〕を
用いてニッケルを分離回収する工程、からなることを特
徴とする金属の分離回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定のリン化合物を含
む抽出溶媒を用いて廃水素化処理触媒から金属成分を回
収する方法に関する。
【0002】
【従来技術】原油には、ニッケル、バナジウム、鉄ある
いは硫黄などの種々の汚染物が含まれており、原油など
の石油処理触媒にこれら成分が付着する。また、触媒中
にはモリブデン、コバルト、バナジウム、ニッケルなど
周期率表VA,VIA,VIII族金属などが触媒成分として、
またAlなどが坦体成分として含まれている。石油消費
量の増大に伴って廃触媒の量が増加し、環境問題のみな
らず、地球資源の再利用の見地からいっても、これら廃
触媒からの金属成分の回収は重要な課題となってきてい
る。そのため、この分野の技術は多々提案されており、
例えば、特開昭53−115603号公報では、廃触媒
中の金属を塩素化して金属塩化物溶液とし、これをアミ
ンと接触させて回収する方法を提案している。また、特
公平3−50805号公報では、400〜600℃の酸
素含有雰囲気下で廃触媒を焙焼し、得られた粒子をアン
モニアまたはアンモニウム塩水溶液で処理し、第一処理
液と沈殿物を分離し、沈殿物をSO2含有水溶液で処理
し、処理液と沈殿物を分離し、処理液に硫化水素を加え
て硫化物を沈殿させ、この金属硫化物は新しい廃触媒と
共に焙焼し、第一処理液中のVA,VIA族金属を液体イオ
ン交換により第一有機溶液に移し、VA,VIA金属成分を
第一のストリップ水溶液によりストリップし、VIII族金
属成分は連続液体イオン交換により第一の処理液から第
二の有機溶液に選択的に移し、これをストリップするこ
とにより金属成分を分離回収することを提案している。
しかし、これらの従来公知の廃水素化処理触媒から金属
を回収する方法は回収金属の純度が低く、また回収費用
が高く経済的ではなかった。
【0003】
【発明の目的】本発明の目的は、系統的な廃水素化処理
触媒からの金属の分離回収方法を提供する点にある。と
くに本発明の目的は、回収金属の純度および回収率が高
く、かつ低コストな廃水素化処理触媒からの金属回収す
る方法を提供する点にある。
【0004】
【構成】本発明の第一は、廃水素化処理触媒から金属を
分離回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
溶解して、アルミニウム、モリブデン、コバルト、ニッ
ケル、バナジウムなどを含有する水溶液を形成する工
程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
の場合はPH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
リブデン成分を選択的に抽出分離して、モリブデン成分
を回収する工程、 d) c)工程でモリブデンを除去した水溶液に硫酸ア
ンモニウムまたはアンモニア水を加えて、アルミニウム
をアンモニウムミョウバンとして沈殿させて、回収する
工程、 e) d)工程でアルミニウムを除去した水溶液のpH
を1.5〜3.0の範囲に調整した後、下記一般式で示
される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてバナジウム
成分を抽出分離して、バナジウム成分を回収する工程、 f) e)工程でバナジウムを除去した水溶液から残存
するアルミニウムを下記一般式で示される抽出剤〔II〕
を含む抽出溶媒を用いて抽出分離し、アルミニウムを回
収する工程、 g) f)工程でアルミニウムを除去した水溶液からコ
バルトを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出
溶媒を用いて抽出分離し、コバルトを回収する工程、 h) g)工程でコバルトを除去した水溶液からニッケ
ルを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
を用いて抽出分離し、ニッケルを回収する工程、からな
ることを特徴とする金属の分離回収方法に関する。 抽出剤〔I〕
【化17】 および/または
【化18】 抽出剤〔II〕
【化19】 および/または
【化20】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖、また
は側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、
アリール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基
である。)
【0005】本発明の第二は、廃水素化処理触媒からモ
リブデンを分離回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
の場合はPH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
リブデン成分を選択的に抽出分離し、ついで、該抽出溶
媒にアンモニウム水溶液を加えてモリブデンを逆抽出し
てモリブデンを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離する
ことを特徴とするモリブデンの分離回収方法に関する。 抽出剤〔I〕
【化21】 および/または
【化22】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
リール基よりなる群から選らばれた基である。)
【0006】本発明の第三は、廃水素化処理触媒からバ
ナジウムを分離回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
度で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHを、1.5〜
3.0の範囲に調整し、該水溶液に下記一般式で示され
る抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を加えて、バナジウムを
選択的に抽出分離し、次いで該抽出溶媒に硫酸水溶液を
加えてバナジウムを逆抽出してバナジウムを含有する水
溶液と抽出溶媒とに分離することを特徴とするバナジウ
ムの分離回収方法に関する。 抽出剤〔II〕
【化23】 および/または
【化24】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
リール基よりなる群から選らばれた基である。) 本発明の第四は、廃水素化処理触媒から金属を分離回収
する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
の場合はpH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
リブデン成分を選択的に抽出分離して、モリブデン成分
を回収する工程、 d) c)工程でモリブデンを除去した水溶液に硫酸ア
ンモニウムまたはアンモニア水を加えて、アルミニウム
をアンモニウムミョウバンとして沈殿させて、回収する
工程、 e) d)工程でアルミニウムを除去した水溶液のpH
を1.5〜3.0の範囲に調整した後、下記一般式で示
される抽出剤〔I〕および抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
を用いてバナジウムおよび残存するアルミニウムを抽出
分離してバナジウムおよびアルミニウムを回収する工
程、 f) e)工程でバナジウムおよびアルミニウムを除去
した水溶液からコバルトを下記一般式で示される抽出剤
〔II〕を含む抽出溶媒を用いて抽出分離し、コバルトを
回収する工程、 g) f)工程でコバルトを除去した水溶液からニッケ
ルを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
を用いて抽出分離し、ニッケルを回収する工程、からな
ることを特徴とする金属の分離回収方法に関する。 抽出剤〔I〕
【化25】 および/または
【化26】 抽出剤〔II〕
【化27】 および/または
【化28】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
リール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基で
ある。) 本発明の第五は、廃水素化処理触媒からバナジウムおよ
びアルミニウムを分離回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
度で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHを、1.5〜
3.0の範囲に調整し、該水溶液に下記一般式で示され
る抽出剤〔I〕および抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を加
えて、バナジウムおよびアルミニウムを選択的に抽出分
離し、次いで該抽出溶媒に硫酸水溶液を加えて、バナジ
ウムおよびアルミニウムを逆抽出して、バナジウムおよ
びアルミニウムを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離す
ることを特徴とするバナジウムおよびアルミニウムの分
離回収方法に関する。 抽出剤〔I〕
【化29】 および/または
【化30】 抽出剤〔II〕
【化31】 および/または
【化32】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
リール基よりなる群からそれぞれ独立して選らばれた基
である。)
【0007】
【発明の具体的な説明】以下に本発明について具体的に
説明する。本発明では廃水素化処理触媒を焙焼した後、
硫酸水溶液で溶解してアルミニウム、モリブデン、コバ
ルト、ニッケル、バナジウムなどを含有する水溶液と
し、該水溶液から前記一般式で示される抽出剤〔I〕を
用いて、モリブデン、バナジウムをそれぞれ抽出する
し、前記一般式で示される抽出剤〔II〕を用いて、アル
ミニウム、コバルト、ニッケルをそれぞれ抽出する。本
発明で使用される抽出剤〔I〕または抽出剤〔II〕のR
1およびR2で表わされるアルキル基の炭素数が3より小
さい場合は、これらの抽出剤は水にとけやすく、抽出時
に水溶液中に溶出するので好ましくない。また、炭素数
が18よりも大きい場合は、これらの抽出剤は有機溶媒
に溶けなくなるので好ましくない。代表的な抽出剤
〔I〕の例としては、2−エチルヘキシルホスホン酸モ
ノ−2−エチルヘキシルエステル、ホスホン酸ジ−2−
エチルヘキシルエステル、イソデシルホスホン酸モノ−
イソデシルエステル、ホスホン酸ジ−イソデシルエステ
ルなどが挙げられる。代表的な抽出剤〔II〕としては、
抽出剤〔I〕のアンモニウム塩である。抽出剤〔II〕
は、抽出剤〔I〕を含有する抽出溶媒にアンモニア水を
加えて反応させることにより得られる。
【0008】これらの抽出剤〔I〕または〔II〕は、単
独で抽出溶媒として使用可能であるが、通常適当な有機
溶媒で希釈して抽出溶媒として使用される。適当な有機
溶媒としては水に不溶な有機溶媒が用いられ、n−ヘプ
タン、n−ヘキサン、n−オクタン、ケロシン、ベンゼ
ン、キシレン、トルエンなどが例示される。前述の抽出
剤〔I〕または〔II〕と有機溶媒との混合比は、1:9
9〜99::1、好ましくは5:95〜50:50容積
比である。また、抽出の際の、抽出溶媒と水溶液との容
積比は、特に限定されるものではないが、通常1:10
〜10:1の範囲である。
【0009】本発明に係る廃水素化処理触媒からの金属
の分離回収方法の系統図を図1に示す。以下に図1に従
い、各工程順に具体的に説明する。 a)工程;廃水素化処理触媒は、反応器から取り出され
る際には、炭素質析出物、硫黄などの汚染物を含んでい
るが、これらの汚染物は、b)工程以降での溶解および
金属抽出に悪影響を与えるので除去しておく必要があ
る。これらの汚染物は酸化雰囲気中で燃焼させることに
より容易に除去されるが、該廃触媒の焙焼温度は、45
0〜650℃の温度範囲が好ましく、また、焙焼後の廃
触媒中に残存する炭素および硫黄分を共に2wt%以下
とすることが好ましい。該廃触媒を焙焼する温度が45
0℃よりも低い場合には、炭素質析出物や硫黄などの汚
染物を十分に除去することができないし、また、650
℃よりも高い場合には、モリブデンの昇華が生じ、また
アルミナの一部がα−アルミナとなり硫酸に溶解しなく
なるので好ましくない。該廃触媒の焙焼は、酸化雰囲気
中で、より好ましくは550〜620℃の温度範囲で
0.5〜10時間流動焙焼するのが望ましい。
【0010】b)工程;a)工程で焙焼された廃触媒を
硫酸水溶液中に加えて95℃以上の温度に0.5〜10
時間加熱して、廃触媒中のアルミニウム、モリブデン、
コバルト、ニッケル、バナジウムなどの可及的全量を硫
酸塩として溶解する。溶解に使用する硫酸の量は、廃触
媒中のそれぞれの金属1当量に対して1.0〜1.5当
量が望ましく、また硫酸水溶液の濃度は、溶解して得ら
れる水溶液が、Al23としての濃度が8wt%以下、
好ましくは3〜6wt%の範囲となるように調整するこ
とが望ましい。本工程で溶解されない残渣は分離して除
去される。
【0011】c)工程;b)工程で得られた水溶液は、
通常、pHが0.5以下であるが、もし該水溶液のpH
が0.5よりも高い場合には、硫酸を添加してPH0.
5以下好ましくは、0.1〜0.3の範囲に調整する。
ついで、該水溶液に抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を加え
て、モリブデンを抽出する。該水溶液のpHが0.5以
下では、抽出剤〔I〕によりモリブデンが選択的に抽出
されることから、モリブデンを含有する抽出溶媒と、ア
ルミニウム、コバルト、ニッケル、バナジウムなどを含
有する水溶液とに分離される。該水溶液のpHが0.5
よりも高い場合には、モリブデンとともにバナジウムが
抽出されるので好ましくない。ついで、分離された抽出
溶媒にモリブデン1モルに対して、4.5〜5モルのア
ンモニウム水溶液を加えてモリブデンを逆抽出し、モリ
ブデンを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離する。分離
されたモリブデン含有水溶液から周知の方法により、例
えば、該水溶液に硝酸を加えて、モリブデンをモリブデ
ン酸(H2MoO4)として沈殿させて回収する。抽出溶
媒は繰り返し金属の抽出に使用される。なお、抽出剤
〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモリブデンを抽出する際
に、水溶液相と抽出溶媒相の間にスカムと称される沈殿
物が生成する場合がある。このような場合には、抽出溶
媒を予め希硫酸で洗浄して使用すると、このような沈殿
物の生成は防止でき抽出操作がスムースに行える。 b)工程で得られた水溶液から、モリブデンを抽出する
のに用いられる抽出剤〔I〕の量はモリブデン1モルに
対して2〜5モルの範囲が好ましい。抽出剤〔I〕の量
が、2モルよりも少ない場合は、該水溶液からのモリブ
デンの抽出が十分に行なわれないために回収率が低下す
る。また、5モルよりも多い場合には、バナジウムの一
部がモリブデンと共に抽出されるので好ましくない。
【0012】d)工程;c)工程でモリブデンを除去し
た水溶液にアルミナ1当量に対して1〜2当量の硫酸ア
ンモニウムを加えるかまたはアンモニア水でpH2〜3
にして、アルミニウムをアンモニウムミョウバン〔(N
42Al2(SO44・24H2O〕として分離回収す
る。本工程では、アンモニウムミョウバンの溶解度があ
るため、アルミニウムを完全に除去することはできない
が、アルミニウムをできるだけ除去するためには、水溶
液中のアルミニウム濃度を高くする方が好ましい。b)
工程で得られる水溶液に硫酸アンモニウムを加えてアル
ミニウムを回収する場合は、濃度をAl23として3.
5wt%よりも高くするとアンモニウムミョウバンの沈
殿とともに他の金属の沈殿が生じ、回収アルミニウムの
純度が低下するが、しかし、モリブデンを除去した水溶
液では濃度をAl23として6wt%まで高めても、他
の金属の沈殿は生じない。従って、モリブデンを回収し
た後で、アルミニウムを回収する方が経済的である。
【0013】e)工程:d)工程でアルミニウムを除去
した水溶液に所望によりアンモニア水を添加し、該水溶
液のpHを1.5〜3.0の範囲に調整した後、該水溶
液に抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を加えて、バナジウム
を抽出する。該水溶液のpHが1.5〜3.0の範囲で
は、抽出剤〔I〕によりバナジウムが選択的に抽出され
ることから、バナジウムを含有する抽出溶媒と、コバル
ト、ニッケルおよび少量のアルミニウムなどを含有する
水溶液とに分離される。該水溶液のpHが3.0よりも
高い場合は、バナジウムと共にアルミニウムの一部が抽
出されると共に、アルミナの沈殿が生じ抽出操作が困難
となる。また、1.5よりも低い場合には、バナジウム
の抽出が十分に行なわれないため回収率が低下するので
好ましくない。次いで、分離された抽出溶媒に濃度5〜
25wt%の硫酸水溶液をバナジウム1モルに対して、
0.5〜2モルH2SO4相当量加えてバナジウムを逆抽
出し、バナジウムを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離
する。分離されたバナジウム含有水溶液から周知の方法
により、例えば、該水溶液に塩素酸ナトリウムを加えて
5価のバナジウムとした後、アンモニア水を加えてバナ
ジウムを酸化バナジウム(V25・1H2O)として沈
殿させて回収する。抽出溶媒は繰り返し金属の抽出に使
用される。本工程でバナジウムを抽出するのに用いられ
る抽出剤〔I〕の量は、バナジウム1モルに対して4〜
20モルの範囲が好ましい。抽出剤〔I〕の量が4モル
よりも少ない場合は、該水溶液からのバナジウムの抽出
が十分に行なわれないため回収率が低下する。また、2
0モルよりも多い場合は、アルミニウムの一部がバナジ
ウムと共に抽出されるので好ましくない。
【0014】f)工程;e)工程でバナジウムを除去し
た水溶液のpHは、通常1.5〜3.0の範囲にある。
該水溶液に抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を加えてアルミ
ニウムを抽出分離する。本工程で使用する抽出剤〔II〕
の量は、該水溶液中のアルミニウム1モルに対して3.
0〜3.6モルに調整される。使用する抽出剤〔II〕の
量がアルミニウムの3.0モルよりも少ない場合は、ア
ルミニウムを完全に抽出することができないので、後工
程で回収されるコバルトにアルミニウムが混入して来る
ので好ましくない。また、抽出剤〔II〕の使用量を3.
6モルより多くしても抽出効果は変らないので経済的で
ない。水溶液中のアルミニウム、コバルト、ニッケルな
どは抽出剤〔I〕では、抽出されないが、抽出剤〔II〕
を使用すれば抽出することができ、該水溶液のpHの低
い領域からの、抽出され易さの順序は、アルミニウム>
コバルト>ニッケルの順である。これらの金属を含有す
る水溶液のpHが1.5〜3.0の範囲ではアルミニウ
ムが選択的に抽出される。次いで、分離されたアルミニ
ウムを含有する抽出溶媒に、硫酸水溶液を加えてアルミ
ニウムを逆抽出し、アルミニウムを硫酸アルミニウム水
溶液として回収する。また、抽出溶媒は繰り返し金属の
抽出に使用される。
【0015】g)工程;f)工程でアルミニウムを完全
に除去した水溶液のpHは通常3.0〜3.5の程度で
ある。該水溶液に抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を加えて
コバルトを抽出分離する。本工程では、使用する抽出剤
〔II〕の量は、該水溶液中のコバルト1モルに対して
2.0〜2.4モルに調整される。この抽出剤〔II〕の
使用量は、コバルトを抽出するのに必要な理論量の1.
0〜1.2でありニッケルはほとんど抽出されない。次
いで、分離されたコバルトを含有する抽出溶媒に硫酸又
は硝酸水溶液を加えてコバルトを逆抽出し、コバルトを
硫酸又は硝酸コバルト水溶液として回収する。また、所
望により硫酸又は硝酸コバルト水溶液から硫酸コバルト
(CoSO4・7H2O)または硝酸コバルト〔Co(N
32・6H2O〕を得ることができる。抽出溶媒は繰
り返し金属の抽出に使用される。
【0016】h)工程;g)工程でコバルトを除去した
水溶液に、抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を加えてニッケ
ルを抽出分離する。本工程で使用する抽出剤〔II〕の量
は該水溶液中のニッケル1モルに対し2.0〜2.4モ
ルに調整される。次いで、分離されたニッケルを含有す
る抽出溶媒に硫酸または硝酸水溶液を加えてニッケルを
逆抽出し、ニッケルを硫酸または硝酸ニッケル水溶液と
して回収する。また所望により、硫酸又は硝酸ニッケル
水溶液から硫酸ニッケル(NiSO4・6H2O)または
硝酸ニッケル〔Ni(NO32・6H2O〕を得ること
ができる。そして抽出溶媒は繰り返し金属の抽出に使用
される。
【0017】本発明の他の方法は、前述のe)工程およ
びf)工程において、d)工程でアルミニウムを除去し
た水溶液からe)工程で抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を
用いてバナジウムを抽出分離した後、f)工程で抽出剤
〔II〕を含む抽出溶媒を用いてアルミニウムを抽出分離
する代りに、d)工程でアルミニウムを除去した水溶液
のpHを1.5〜3.0の範囲に調整した後、抽出剤
〔I〕および抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を用いてバナ
ジウムとアルミニウムを一緒に抽出分離し、次いで該抽
出溶媒に硫酸水溶液を加えて、バナジウムおよびアルミ
ニウムを逆抽出して、バナジウムおよびアルミニウムを
含有する水溶液と抽出溶媒とに分離し、該水溶液からバ
ナジウムとアルミニウムをそれぞれ分離回収する方法に
関する。本工程での抽出剤〔I〕および抽出剤〔II〕の
量は、バナジウム1モルに対して4〜20モルの抽出剤
〔I〕とアルミニウム1モルに対して3.0〜3.6モ
ルの抽出剤〔II〕が使用される。具体的には、抽出剤
〔I〕の使用量を、バナジウムに対して使用する量の外
に、アルミニウム1モルに対し3.0〜3.6モルに相
当する量だけ増やし、この抽出剤〔I〕にアンモニアを
3.0〜3.6モル添加した抽出剤が使用できる。ま
た、本工程でd)工程からのバナジウムなどを含有する
水溶液のpHを1.5〜3.0に調整するのは、前述の
理由にもとづく。次いで、分離された抽出溶媒にバナジ
ウム1モルに対して0.5〜2モルH2SO4とアルミニ
ウム1モルに対して1.5〜5モルH2SO4の相当量の
濃度5〜25wt%の硫酸水溶液を加えて、バナジウム
とアルミニウムを逆抽出し、バナジウムおよびアルミニ
ウムを含有する水溶液と抽出溶媒に分離する。分離され
たバナジウムおよびアルミニウムを含有する水溶液か
ら、周知の方法により、例えば、該水溶液に塩素酸ナト
リウムを加えて5価のバナジウムとした後、アンモニア
水を加えてバナジウムを酸化バナジウム(V25・1H
2O)として沈殿させて回収する。アルミニウムは、バ
ナジウムを除去した後、硫酸アルミニウム水溶液として
回収する。また、抽出溶媒は繰り返し金属の抽出に使用
される。この方法では、バナジウムとアルミニウムを一
緒にひとつの工程で抽出するのでより経済的である。
【0018】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0019】
【実施例】
実施例1 本実施例は、廃触媒の焙焼及び硫酸溶解工程を示す。廃
水素化処理触媒を流動焙焼炉で600℃−1時間空気雰
囲気中で焙焼した。焙焼された廃触媒の分析値を表1に
示す。なお、表1中のL.O.Iは、Loss on
ignition(灼熱減量)の略であり、600℃で
加熱して揮発する成分の量を表わす。
【表1】 焙焼された廃触媒500gを、96%硫酸789ml
(廃触媒中の全金属の1当量に対して1.2当量に相当
する量)を水1089mlで希釈した水溶液に加えて1
05℃で2時間撹拌して溶解した。得られた溶解液にさ
らに水6500mlを加えて希釈した後、残渣を分離し
てpH0.28の水溶液8150mlを得た。この水溶
液の分析値を表2に示す。なお、表2の分析値である含
有量は、溶液1リットル中に含まれる各成分の量を
“g”で表わした値である。
【表2】
【0020】実施例2 本実施例はモリブデン回収工程を示す。表2の金属成分
を含有する水溶液8150mlと、抽出剤〔I〕として
2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシ
ルエステル〔(株)大八化学工業製 商品名:PC−8
8A〕500ml(水溶液中のモリブデンの3.4モル
倍に相当する量)をケロシン3575mlで希釈した抽
出溶媒とをミキサーセトラー型向流抽出装置(段数4
段)を用いて室温で混合してモリブデンの抽出〔有機相
/水相(以下O/Aと記す)の容積比=1/2〕を行っ
た後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。分離された水溶
液は8150mlで、pHは0.26であった。この水
溶液の分析値を表3に示す。次いで、分離された抽出溶
媒4075mlと、4.5wt%のアンモニア水815
ml(モリブデン1モルに対して4.7モルに相当する
量)とをミキサーセトラー装置でモリブデンの逆抽出
(O/Aの容積比=5/1)を行った後抽出溶媒と水溶
液とに分離した。分離された水溶液は815mlで、p
Hは6.7であった。この水溶液に室温で63wt%の
硝酸水溶液をpHが0.9になるまで添加した後、1時
間放置した。生成した沈殿を濾過洗浄してモリブデン酸
63.90gを回収した。回収率は97%であった。こ
のモリブデン酸中に含まれる不純分は表4に示すとおり
であった。
【表3】
【表4】
【0021】実施例3 本実施例はアルミニウム回収工程を示す。表3の金属成
分を含有する水溶液8150mlに15wt%のアンモ
ニア水を添加してpH1.5に調整した後、水溶液中の
アルミニウム1当量に対して、1.2当量の硫酸アンモ
ニウムを加え、室温で1時間放置してアンモニウムミョ
ウバンの沈殿を生ぜしめた。次いで、沈殿物は母液と濾
過分離した後アンモニウムミョウバン2355gを回収
した。回収率は79.9%であった。このアンモニウム
ミョウバン中に含まれる不純分は表6に示すとおりであ
った。なお、回収母液の量は8150mlでpHは1.
3であった。この母液の分析値を表5に示す。
【表5】
【表6】
【0022】実施例4 本実施例はバナジウム回収工程を示す。表5の金属成分
を含有する水溶液8150mlに15wt%のアンモニ
ア水を添加してpH2.5に調整した。このpH調整し
た水溶液と、抽出剤〔I〕として(株)大八化学工業商
品名PC−88A 123ml(水溶液中のバナジウム
1モルに対して5モルに相当する量)をケロシン395
0mlで希釈した抽出溶媒とをミキサーセトラー型向流
抽出装置(段数4段)でバナジウムの抽出(室温O/A
の容積比=1/2)を行った後、抽出溶媒と水溶液とに
分離した。PC−88Aは、式
【化33】 で示されるジ−2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2
−エチルヘキシルエステルである。分離された水溶液は
8150mlで、pHは2.3であった。この水溶液の
分析値を表7に示す。次いで、分離された抽出溶媒40
73mlと、4.5wt%の硫酸水溶液815ml(P
C−88A1モルに対して1モルに相当するH2SO
4量)とをミキサーセトラ装置でバナジウムの逆抽出を
行った後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。分離された
水溶液に塩素酸ナトリウム16.3g(バナジウム1モ
ルに対して2モルに相当する量)を加えた。さらに、こ
の水溶液に15wt%のアンモニア水をpHが2.0に
なるまで添加した後、1時間放置した。生成した沈殿を
濾過、洗浄してバナジウムをV25として13.53g
回収した。回収率は96.5%であった。なお、このV
25中に含まれる不純物はAl23として0.13%の
アルミニウムを含有するだけであった。
【表7】
【0023】実施例5 本実施例は残存アルミニウム回収工程を示す。表7の金
属成分を含有する水溶液8150mlを用いて残存アル
ミニウムの回収を行った。抽出剤〔I〕のPC−88A
と同じ当量のアンモニア水を加えて反応させて下記の式
で示される抽出剤〔II〕とした。
【化34】 この抽出剤〔II〕630ml(水溶液中のアルミニウム
1モルに対し、6モルに相当する量)をケロシン752
0mlで希釈した抽出溶媒と、金属成分含有水溶液とを
ミキサーセトラ装置で、実施例2と同様の操作をしてア
ルミニウムの抽出を行った後、抽出溶媒と水溶液とに分
離した。分離された水溶液は8150mlで、pHは
3.2であった。この水溶液の分析値を表8に示す。次
いで分離された抽出溶媒8150mlと、6.3wt%
の硫酸水溶液1630mlとをミキサーセトラ装置で前
述と同様の操作をしてアルミニウムの逆抽出を行った
後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。分離された硫酸ア
ルミニウム水溶液は1630mlでAl2(SO43
して137.1g/lのアルミニウムが含有されてお
り、不純物として、V25を0.15g/lとB23
0.05g/l含有していた。
【表8】
【0024】実施例6 本実施例はコバルト回収工程を示す。表8の金属成分を
含有する水溶液8150mlと、実施例5と同様の方法
で調製した抽出剤〔II〕170ml(水溶液中のコバル
ト1モルに対して2.2モルに相当する量)をケロシン
3900mlで希釈した抽出溶媒とをミキサーセトラ装
置で、実施例2と同様の操作をしてコバルトの抽出を行
った後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。分離された水
溶液は8150mlで、pHは5.6であった。この水
溶液の分析値を表9に示す。次いで分離された抽出溶媒
4070mlと、4.1wt%の硝酸水溶液814ml
(コバルトの2.2モル倍に相当するHNO3量)とを
ミキサーセトラ装置で前述と同様の操作をしてコバルト
の逆抽出を行った後、抽出溶媒と硝酸コバルトを含む水
溶液とに分離した。分離された硝酸コバルト水溶液は8
14mlで、CoOとして22g/lのコバルトが含有
されていた。この硝酸コバルト水溶液を加熱濃縮して硝
酸コバルト〔Co(NO32・6H2O〕69.19g
を得た。回収率はほぼ100%であった。また、この硝
酸コバルトは、NiOとして0.01wt%のニッケル
が不純物として含まれていた。
【表9】
【0025】実施例7 本実施例はニッケル回収工程を示す。表9の金属成分を
含有する水溶液8150mlと、実施例5と同様の方法
で調製した抽出剤〔II〕27ml(水溶液中のニッケル
1モルに対して2.2モルに相当する量)をケロシン1
600mlで希釈した抽出溶媒とをミキサーセトラ装置
で、実施例2と同様の操作をしてニッケルの抽出を行っ
た後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。次いで分離され
た抽出溶媒1627mlと、3.2wt%の硝酸水溶液
163ml(ニッケル1モルに対して2.2モルに相当
するHNO3量)とをミキサーセトラ装置で前述と同様
の操作をしてニッケルの逆抽出を行った後、抽出溶媒と
硝酸ニッケルを含む水溶液とに分離した。分離された硝
酸ニッケル水溶液は163mlで、NiOとして17.
5g/lのニッケルが含有されていた。この硝酸ニッケ
ル水溶液を加熱濃縮して硝酸ニッケル〔Ni(NO32
・6H2O〕11.08gを得た。回収率はほぼ100
%であった。
【0026】実施例8 本実施例はバナジウムとアルミニウムを同時に回収する
方法を示す。表5の金属成分を含有する水溶液8150
mlに15wt%のアンモニア水を添加してpH2.5
に調整した。このpH調整した水溶液と、抽出剤〔I〕
として(株)大八化学工業商品名PC−88A 139
0ml(水溶液中のバナジウム1モルに対して5モルと
アルミニウム1モルに対して3モルに相当する量)をケ
ロシン2685mlで希釈した抽出溶媒に15wt%ア
ンモニア水をアルミニウム1モルに対し3モルに相当す
る量を添加したものとをミキサーセトラー型向流抽出装
置(段数4段)でバナジウムとアルミニウムの同時抽出
(室温O/Aの容積比=1/2)を行った後、抽出溶媒
と水溶液とに分離した。分離された水溶液は8250m
lで、pHは3.4であった。この水溶液の分析値を表
10に示す。次いで、分離された抽出溶媒4075ml
と、10wt%の硫酸水溶液1950ml(バナジウム
とアルミニウムのそれぞれに対して当量に相当するH2
SO4量)とをミキサーセトラ装置でバナジウムの逆抽
出を行った後、抽出溶媒と水溶液とに分離した。分離さ
れた水溶液に塩素酸ナトリウム16.3g(バナジウム
1モルに対して2モルに相当する量)を加えた。さら
に、この水溶液に15wt%のアンモニア水をpHが
2.0になるまで添加した後、1時間放置した。生成し
た沈殿を濾過、洗浄してバナジウムをV25として1
3.40g回収した。回収率は95.6%であった。な
お、このV25中に含まれる不純物はAl23として
0.25%のアルミニウムを含有するだけであった。沈
殿を分離した硫酸アルミニウム水溶液は2000mlで
Al2(SO43として111.1g/lのアルミニウ
ムが含有されており、不純分としてNaClを4.47
g/lとV25を0.31g/lとB23を0.04g
/l含有していた。
【表10】
【0027】
【効果】本発明の方法は、廃水素化処理触媒から系統的
に金属を分離、回収するために、回収金属の純度および
回収率が高く、しかも本発明で使用される抽出剤は、繰
り返し使用することができるので、低コストで金属回収
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る廃水素化処理触媒からの金属の分
離回収方法の系統図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22B 21/00 23/00 34/22 34/34 (72)発明者 山中 治昭 福岡県北九州市若松区北湊町13−2 触媒 化成工業株式会社若松工場内 (72)発明者 大津 忠洋 福岡県北九州市若松区北湊町13−2 触媒 化成工業株式会社若松工場内 (72)発明者 城戸 繁光 福岡県北九州市小倉北区中井5丁目8−16 −104 (72)発明者 西森 正信 福岡県北九州市若松区宮丸2丁目25−10 (72)発明者 工藤 通 福岡県北九州市戸畑区浅生3丁目8−13 (72)発明者 後藤 裕 福岡県北九州市戸畑区福柳木1丁目15−7

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃水素化処理触媒から金属を分離回収す
    る方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
    度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
    溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
    の場合はpH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
    般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
    リブデン成分を選択的に抽出分離して、モリブデン成分
    を回収する工程、 d) c)工程でモリブデンを除去した水溶液に硫酸ア
    ンモニウムまたはアンモニア水を加えて、アルミニウム
    をアンモニウムミョウバンとして沈殿させて、回収する
    工程、 e) d)工程でアルミニウムを除去した水溶液のpH
    を1.5〜3.0の範囲に調整した後、下記一般式で示
    される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてバナジウム
    成分を抽出分離してバナジウム成分を回収する工程、 f) e)工程でバナジウムを除去した水溶液から残存
    するアルミニウムを下記一般式で示される抽出剤〔II〕
    を含む抽出溶媒を用いて抽出分離し、アルミニウムを回
    収する工程、 g) f)工程でアルミニウムを除去した水溶液からコ
    バルトを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出
    溶媒を用いて抽出分離し、コバルトを回収する工程、 h) g)工程でコバルトを除去した水溶液からニッケ
    ルを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
    を用いて抽出分離し、ニッケルを回収する工程、からな
    ることを特徴とする金属の分離回収方法。 抽出剤〔I〕 【化1】 および/または 【化2】 抽出剤〔II〕 【化3】 および/または 【化4】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
    側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
    リール基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基で
    ある。)
  2. 【請求項2】 廃水素化処理触媒からモリブデンを分離
    回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
    度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
    溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
    の場合はpH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
    般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
    リブデン成分を選択的に抽出分離し、ついで該抽出溶媒
    にアンモニウム水溶液を加えてモリブデンを逆抽出し
    て、モリブデンを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離す
    ることを特徴とするモリブデンの分離回収方法。 抽出剤〔I〕 【化5】 および/または 【化6】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
    側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
    リール基よりなる群から選らばれた基である。)
  3. 【請求項3】 廃水素化処理触媒からバナジウムを分離
    回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
    度で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
    溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHを、1.5〜
    3.0の範囲に調整し、該水溶液に下記一般式で示され
    る抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を加えて、バナジウムを
    選択的に抽出分離し、次いで該抽出溶媒に硫酸水溶液を
    加えて、バナジウムを逆抽出して、バナジウムを含有す
    る水溶液と抽出溶媒とに分離することを特徴とするバナ
    ジウムの分離回収方法。 抽出剤〔I〕 【化7】 および/または 【化8】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
    側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
    リール基よりなる群から選らばれた基である。)
  4. 【請求項4】 廃水素化処理触媒から金属を分離回収す
    る方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
    度範囲で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
    溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHが、0.5以上
    の場合はpH0.5以下に調整し、この水溶液に下記一
    般式で示される抽出剤〔I〕を含む抽出溶媒を用いてモ
    リブデン成分を選択的に抽出分離して、モリブデン成分
    を回収する工程、 d) c)工程でモリブデンを除去した水溶液に硫酸ア
    ンモニウムまたはアンモニア水を加えて、アルミニウム
    をアンモニウムミョウバンとして沈殿させて、回収する
    工程、 e) d)工程でアルミニウムを除去した水溶液のpH
    を1.5〜3.0の範囲に調整した後、下記一般式で示
    される抽出剤〔I〕および抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
    を用いてバナジウムおよび残存するアルミニウムを抽出
    分離してバナジウムおよびアルミニウムを回収する工
    程、 f) e)工程でバナジウムおよびアルミニウムを除去
    した水溶液からコバルトを下記一般式で示される抽出剤
    〔II〕を含む抽出溶媒を用いて抽出分離し、コバルトを
    回収する工程、 g) f)工程でコバルトを除去した水溶液からニッケ
    ルを下記一般式で示される抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒
    を用いて抽出分離し、ニッケルを回収する工程、からな
    ることを特徴とする金属の分離回収方法。 抽出剤〔I〕 【化9】 および/または 【化10】 抽出剤〔II〕 【化11】 および/または 【化12】(但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の
    直鎖または側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂
    環式基、アリール基よりなる群からそれぞれ独立して選
    ばれた基である。)
  5. 【請求項5】 廃水素化処理触媒からバナジウムおよび
    アルミニウムを分離回収する方法において、 a) 該廃触媒を酸化雰囲気中で450〜650℃の温
    度で焙焼する工程、 b) a)工程で焙焼された廃触媒を硫酸水溶液で加熱
    溶解して、水溶液を形成する工程、 c) b)工程で得られた水溶液のpHを、1.5〜
    3.0の範囲に調整し、該水溶液に下記一般式で示され
    る抽出剤〔I〕および抽出剤〔II〕を含む抽出溶媒を加
    えて、バナジウムおよびアルミニウムを選択的に抽出分
    離し、次いで該抽出溶媒に硫酸水溶液を加えて、バナジ
    ウムおよびアルミニウムを逆抽出して、バナジウムおよ
    びアルミニウムを含有する水溶液と抽出溶媒とに分離す
    ることを特徴とするバナジウムおよびアルミニウムの分
    離回収方法。 抽出剤〔I〕 【化13】 および/または 【化14】 抽出剤〔II〕 【化15】 および/または 【化16】 (但し、R1およびR2は炭素数が3〜18の直鎖または
    側鎖を有するアルキル基、アルケニル基、脂環式基、ア
    リール基よりなる群からそれぞれ独立して選らばれた基
    である。)
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