以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
図1および図2は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。図3は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、MISFET形成領域RG1の要部平面図が示されている。なお、図1におけるMISFET形成領域RG1の断面は、図3のD1−D1線の断面にほぼ相当している。図4は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、ダイオード形成領域RG2の平面図が示されている。図5〜図7は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、ダイオード形成領域RG2の断面が示されているが、図4のA1−A1線の断面図が図5に対応し、図4のB1−B1線の断面図が図6に対応し、図4のC1−C1線の断面図が図7に対応している。なお、図5〜図7では、図面を見やすくするために、絶縁膜IL2は図示を省略している。
図3は、基板SUBの主面が示してあり、平面図であるが、図面を見やすくするために、p型半導体領域PR1,PR2、n+型半導体領域NR1、溝TR1およびゲート引き出し用配線部GE1にハッチングを付してある。また、図4は、基板SUBの主面が示してあり、平面図であるが、図面を見やすくするために、p型半導体領域PR3b、p+型半導体領域PR4、n+型半導体領域NR2および溝TR2にハッチングを付してある。なお、溝TR1には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEが埋め込まれているが、図3では、溝TR1が形成されている領域(平面領域)を、太い線のハッチングを付して示してある。また、図3には、ゲート引き出し用配線部GE1も示してあるが、ゲート引き出し用配線部GE1は、溝TR1に埋め込まれたゲート電極GEと一体的に形成されている。また、溝TR2には、ダミーゲート絶縁膜GIDを介してダミーゲート電極GEDが埋め込まれているが、図4では溝TR2が形成されている領域(平面領域)を、太い線のハッチングを付して示してある。
本実施の形態の半導体装置は、ダイオードとトレンチゲート型の電界効果トランジスタ、例えばトレンチゲート型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、とを備えた半導体装置である。このため、本実施の形態の半導体装置は、トレンチゲート型のMISFETが形成された領域であるMISFET形成領域RG1と、ダイオードが形成された領域であるダイオード形成領域RG2とを有している。MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とは、同一の半導体基板SUBの主面における互いに異なる領域に対応している。
また、図1では、MISFET形成領域RG1の隣にダイオード形成領域RG2を配置した場合を示しているが、これに限定されず、MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とは隣り合っていなくともよい。但し、MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とは、同じ半導体基板SUBに形成されている。
また、図2には、MISFET形成領域RG1が示されるだけでなく、MISFET形成領域RG1に形成されたトレンチゲート型MISFETのゲート電極をゲート引き出し用配線部GE1で引き出す領域(ゲート引き出し領域)も示されている。
以下、本実施の形態の半導体装置の構造について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。
トレンチゲート型のMISFET(トレンチ型ゲート構造を有するMISFET)とダイオードとが、半導体基板(以下、単に基板という)SUBの主面に形成されている。図1に示されるように、基板SUBは、例えばヒ素(As)が導入されたn+型の単結晶シリコンなどからなる基板本体(半導体基板、半導体ウエハ)SUB1と、基板本体SUB1の主面上に形成された、例えばn−型の単結晶シリコンからなるエピタキシャル層(半導体層)EPと、を有している。このため、基板SUBは、いわゆるエピタキシャルウエハである。基板本体SUB1とエピタキシャル層EPとは、同じ導電型(ここではn型)であるが、基板本体SUB1の不純物濃度(n型不純物濃度)は、エピタキシャル層EPの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高くなっており、基板本体SUB1の抵抗率(比抵抗)は、エピタキシャル層EPの抵抗率(比抵抗)よりも低い。エピタキシャル層EPは、基板本体SUB1の主面上にエピタキシャル成長により形成されている。
エピタキシャル層EPの主面には、例えば酸化シリコンなどからなるフィールド絶縁膜(素子分離領域)FILが形成されている。フィールド絶縁膜FILは、酸化シリコンなどの絶縁体で形成れており、活性領域を規定(画定)するための素子分離領域として機能することができる。MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とは、フィールド絶縁膜FILによって電気的に分離されている。すなわち、MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とは、それぞれ、フィールド絶縁膜FILによって電気的に分離された(すなわちフィールド絶縁膜FILによって平面的に囲まれた)活性領域である。
MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPにトレンチゲート型MISFETが形成され、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPにダイオード素子が形成されているが、まず、MISFET形成領域RG1に形成されたトレンチゲート型MISFETの構成について説明する。トレンチゲート型MISFETは、トレンチ型ゲート構造(基板に設けた溝に埋め込まれたゲート電極構造)を有するMISFETである。
MISFET形成領域RG1において、フィールド絶縁膜FILとその下層のp型ウエルPW1とに囲まれた活性領域に、複数の単位トランジスタセルが形成されており、後述のパワーMISFETQ1は、MISFET形成領域RG1に設けられたこれら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成されている。各単位トランジスタセルは、トレンチゲート型のMISFET(トレンチ型ゲート構造を有するMISFET)で形成されている。各単位トランジスタセルを構成するトレンチゲート型のMISFETは、nチャネル型のMISFETである。
基板本体SUB1およびエピタキシャル層EP(MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EP)は、上記単位トランジスタセルのドレイン領域としての機能を有している。基板SUBの裏面(すなわち基板本体SUB1の裏面)全面に、ドレイン電極用の裏面電極(裏面ドレイン電極、ドレイン電極)BEが形成されている。この裏面電極BEは、例えば、基板SUBの裏面から順にチタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層の積層膜により、形成することができる。
なお、基板SUBにおいて、エピタキシャル層EPが形成されている側とは反対側の主面を、基板SUBの裏面と称することとする。また、基板本体SUB1において、エピタキシャル層EPが形成されている側とは反対側の主面を、基板本体SUB1の裏面と称することとする。このため、基板SUBの裏面と、基板本体SUB1の裏面とは、同じものである。
また、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EP中には、p型半導体領域PR1が形成されており、このp型半導体領域PR1は、上記単位トランジスタセルのチャネル形成領域としての機能を有している。
また、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPにおいて、p型半導体領域PR1の上部にn+型半導体領域NR1が形成されており、このn+型半導体領域NR1は、上記単位トランジスタセルのソース領域としての機能を有している。従って、n+型半導体領域NR1はソース用の半導体領域である。
また、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPにおいて、p型半導体領域PR1の上部にp+型半導体領域PR2が形成されており、このp+型半導体領域PR2は、水平方向(水平方向は基板SUBの主面に平行な方向に対応)に見てn+型半導体領域NR1に隣接して形成されている。すなわち、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPにおいて、溝TR1に隣接してn+型半導体領域NR1が形成され、p+型半導体領域PR2は、n+型半導体領域NR1の分だけ溝TR1から離間して形成されている。つまり、p型半導体領域PR1の上部にn+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2が形成されているが、溝TR1に隣接してn+型半導体領域NR1が形成され、互いに隣り合うn+型半導体領域NR1の間に、p+型半導体領域PR2が形成されている。p+型半導体領域PR2とp型半導体領域PR1とは、同じ導電型であるが、p+型半導体領域PR2の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PR1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
また、基板SUBには、その主面から基板SUBの厚さ方向に延びる溝(トレンチ)TRが形成されている。溝TRには、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成された溝TR1と、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成された溝TR2とがある。すなわち、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成された溝TR1と、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成された溝TR2とは、同工程で形成されている。このため、溝TR1の深さ(底部の深さ位置)と溝TR2の深さ(底部の深さ位置)とは、ほぼ同じである。
なお、「深さ」または「深さ位置」とは、基板SUBの主面(すなわちエピタキシャル層EPの主面)からの距離(基板SUBの主面に垂直な方向の距離)に対応しており、基板SUBの主面(すなわちエピタキシャル層EPの主面)に近い側を浅い側とし、基板SUBの主面(すなわちエピタキシャル層EPの主面)から遠い側(換言すれば基板SUBの裏面に近い側)を深い側とする。
MISFET形成領域RG1において、溝TR1は、n+型半導体領域NR1の上面からn+型半導体領域NR1およびp型半導体領域PR1を貫通し(通り抜け)、その下層のエピタキシャル層EP中で終端するように形成されている。すなわち、溝TR1の底面は、p型半導体領域PR1の下面(底面)よりも深いが、基板本体SUB1には達しておらず、エピタキシャル層EPの途中(深さ方向の途中)に位置している。
溝TR1の底面および側面には、酸化シリコン膜などの絶縁膜からなるゲート絶縁膜GIが形成されている。また、溝TR1内には、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEが埋め込まれている。ゲート電極GEは、溝TR1内に埋め込まれた導電膜(導電体膜)からなり、例えばn型不純物(例えばリン)が導入された多結晶シリコン膜(ドープトシリコン膜)からなる。ゲート電極GEは、上記単位トランジスタセルのゲート電極としての機能を有している。
フィールド絶縁膜FIL上の一部にも、ゲート電極GEと同一層の導電膜からなるゲート引き出し用配線部(ゲート引き出し部)GE1が形成されている。ゲート引き出し用配線部GE1は、ゲート電極GEと一体的に形成されており、互いに電気的に接続されている。ゲート引き出し用配線部GE1は、溝TR1内のゲート電極GEを溝TR1外の基板SUBの表面上に引き出して基板SUBの表面上に延在させた部分であり、ゲート引き出し部とみなすことができる。すなわち、ゲート引き出し用配線部GE1は、溝TR1内に埋め込まれたゲート電極GEと一体的に形成されて溝TR1外の基板SUB上に延在するゲート引き出し部である。
p型ウエルPW1は、MISFET形成領域RG1に周辺部に形成されている。p型ウエルPW1は、ゲート引き出し用配線部GE1の下方に位置し、p型ウエルPW1の底部は、溝TR1の底部よりも深い。p型ウエルPW1は、MISFET形成領域RG1の周辺部のp型半導体領域PR1と隣接しているが、p型ウエルPW1の底部は、p型半導体領域PR1の底部よりも深い。
また、図1および図2に示される各溝TR1およびそれに埋め込まれた各ゲート電極GEは、図1および図2の紙面に垂直な方向に延在しているが、ゲート電極GE同士は、図1および図2の断面図には示されない領域において一体的に連結されている。このため、MISFET形成領域RG1に形成されている複数の単位トランジスタセルのゲート電極GEは、互いに電気的に接続されるとともに、ゲート引き出し用配線部GE1に電気的に接続されている。
次に、ダイオード形成領域RG2に形成されたダイオードの構成について説明する。
図1および図2に示されるように、ダイオード形成領域RG2の基板SUB(より特定的にはエピタキシャル層EP)には、p型ウエルPW2、p型半導体領域PR3、p+型半導体領域PR4、n+型半導体領域NR2および溝TR2が形成されており、溝TR2内にはダミーゲート絶縁膜GIDを介してダミーゲート電極GEDが形成されている(埋め込まれている)。
p型の半導体領域であるp型ウエルPW2は、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成されているが、MISFET形成領域RG1のp型ウエルPW1と同工程(同じイオン注入工程)で形成されている。このため、p型ウエルPW1,PW2は、エピタキシャル層EPの主面から所定の深さにわたって形成されているが、ダイオード形成領域RG2のp型ウエルPW2の深さ(接合深さ、底部の深さ位置)は、MISFET形成領域RG1のp型ウエルPW1の深さ(接合深さ、底部の深さ位置)とほぼ同じである。また、p型ウエルPW2の不純物濃度は、p型ウエルPW1の不純物濃度とほぼ同じである。
ダイオード形成領域RG2において、p型ウエルPW2の上層部分には、p型半導体領域(p型ベース領域)PR3が形成されており、このp型半導体領域PR3の上層部分には、p+型半導体領域PR4およびn+型半導体領域NR2が形成されている。
p+型半導体領域PR4とp型半導体領域PR3とは、同じ導電型であるが、p+型半導体領域PR4の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PR3の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。また、p型半導体領域PR3とp型ウエルPW2とは、同じ導電型であるが、p型半導体領域PR3の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ウエルPW2の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
また、p型半導体領域PR3の深さ(底部の深さ位置)は、p型ウエルPW2の深さ(底部の深さ位置)よりも浅く、かつ、p+型半導体領域PR4およびn+型半導体領域NR2の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR3の深さ(底部の深さ位置)よりも浅い。p+型半導体領域PR4の深さ(底部の深さ位置)とn+型半導体領域NR2の深さ(底部の深さ位置)とは、同じであっても、あるいは相違していてもよいが、例えば、ほぼ同程度とされている。
ダイオード形成領域RG2において、基板SUB(のエピタキシャル層EP)に溝TR2が形成されているが、溝TR2の底面および側面には、酸化シリコン膜などの絶縁膜からなるダミーゲート絶縁膜GIDが形成されている。ダミーゲート絶縁膜GIDは、MISFET形成領域RG1のゲート絶縁膜GIと同工程で形成された絶縁膜であり、ゲート絶縁膜GIと同種(同層)の絶縁膜により形成されている。このため、ダミーゲート絶縁膜GIDと上記ゲート絶縁膜GIとは、同じ絶縁材料で形成されており、例えば、上記ゲート絶縁膜GIが酸化シリコン膜の場合には、ダミーゲート絶縁膜GIDも酸化シリコン膜で構成されている。また、ダミーゲート絶縁膜GIDと上記ゲート絶縁膜GIとは、同工程で形成されていることを反映して、ほぼ同じ厚みを有している。
溝TR2内には、絶縁膜であるダミーゲート絶縁膜GIDを介して、導電体部であるダミーゲート電極GEDが埋め込まれている。ダミーゲート電極GEDは、導電体部であり、溝TR2内に埋め込まれた導電膜(導電体膜)からなる。ダミーゲート電極GEDは、MISFET形成領域RG1のゲート電極GEと同工程により形成されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDは、MISFET形成領域RG1のゲート電極GEと同工程で形成された導電体膜で形成されている。このため、ダミーゲート電極GEDは、ゲート電極GEを構成する導電膜と同種(同層)の導電膜により形成されている。従って、ダミーゲート電極GEDとゲート電極GEとは、同じ材料で形成されており、例えば、ゲート電極GEが多結晶シリコン膜の場合には、ダミーゲート電極GEDも多結晶シリコン膜で構成されている。
ダミーゲート電極GEDおよびダミーゲート絶縁膜GIDは、トレンチゲート型MISFETを構成するゲートGEおよびゲート絶縁膜GIと同工程で形成されているが、ダミーゲート電極GEDおよびダミーゲート絶縁膜GIDは、トレンチゲート型MISFETを構成していない。すなわち、ダミーゲート電極GEは、トランジスタのゲート電極としては機能せず、また、ダミーゲート絶縁膜GIDは、トランジスタのゲート絶縁膜としては機能しない。このため、ダミーゲート電極GEDは、トランジスタのゲート電極としては機能しないダミーの(擬似的な)ゲート電極であり、ダミーゲート絶縁膜GIDは、トランジスタのゲート絶縁膜としては機能しないダミーの(擬似的な)ゲート絶縁膜である。
このように、ダイオード形成領域RG2の溝TR2、ダミーゲート絶縁膜GIDおよびダミーゲート電極GEDは、MISFET形成領域RG1の溝TR1、ゲート絶縁膜GIおよびゲート電極GEと同工程で形成されているため、基本的には同様の断面構造を有しているが、形成されている位置(平面位置)と機能とが相違している。
溝TR2は、ダイオード形成領域RG2において、p型ウエルPW2中で終端するように形成されている。すなわち、溝TR2の底面は、p型半導体領域PR3、p型半導体領域PR4およびn+型半導体領域NR2の各底面(下面)よりも深いが、p型ウエルPW2の底面(下面)よりも浅くなっている。このため、溝TR2の底面は、n−型となっている部分のエピタキシャル層EPには達しておらず、p型ウエルPW2の途中(深さ方向の途中)に位置しており、p型ウエルPW2は溝TR2の直下にも延在している。
ダイオード形成領域RG2のn+型半導体領域NR2は、ダイオードのカソードとして機能するが、図4〜図7からも分かるように、n+型半導体領域NR2の周囲は、平面視で、溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDを介してダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)によって囲まれている。このため、n+型半導体領域NR2は溝TR2に平面視で隣接しているが、n+型半導体領域NR2の底面は、溝TR2の底面よりも浅くなっている。なお、「平面視」または「平面的に」とは、基板SUBの主面に平行な平面で見た場合を言うものとする。
p型半導体領域PR3の深さ(底面の深さ位置)は、溝TR2の底部よりも浅いため、p型半導体領域PR3は、溝TR2によって分割(分離)された状態になっている。すなわち、p型半導体領域PR3は、n+型半導体領域NR2の直下に位置するp型半導体領域PR3aと、n+型半導体領域NR2とは平面視で重ならないp型半導体領域PR3bとを有している。従って、p型半導体領域PR3のうち、n+型半導体領域NR2の直下に位置する部分(領域)が、p型半導体領域PR3aに対応し、p型半導体領域PR3のうち、n+型半導体領域NR2の直下に位置する部分(すなわちp型半導体領域PR3a)以外の部分(領域)が、p型半導体領域PR3bに対応することになる。
n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとは上下に(すなわち基板SUBの厚み方向に)重なっているが、p型半導体領域PR3bはn+型半導体領域NR2と重なっていない。そして、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとは、溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDおよびダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)によって分離されている。すなわち平面視で、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとの間に溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDおよびダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)が存在し、かつ、溝TR2の深さがp型半導体領域PR3a,PR3bの深さ(底部の深さ位置)よりも深いため、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとは直接的には接していない状態となっている。
本実施の形態では、p型半導体領域PR3aは、n+型半導体領域NR2と同じ平面領域に、n+型半導体領域NR2の直下に形成されているため、図4において、p型半導体領域PR3aが形成されている領域を示すとすれば、n+型半導体領域NR2が形成されている領域と同じ(平面視で同じ)である。
上下に重なっているn+型半導体領域NR2およびp型半導体領域PR3aの積層構造と、p型半導体領域PR3bとの間には、溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDおよびダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)が存在する。具体的には、上下に重なっているn+型半導体領域NR2およびp型半導体領域PR3aの積層構造の周囲(平面的に見た周囲)を溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDおよびダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)が囲んだ状態となっている。このため、p型半導体領域PR3bは、n+型半導体領域NR2にもp型半導体領域PR3aにも接していない。つまり、n+型半導体領域NR2は、p型半導体領域PR3aに接しているが、p型半導体領域PR3bには接しておらず、p型半導体領域PR3aは、n+型半導体領域NR2に接しているが、p型半導体領域PR3bには接しておらず、p型半導体領域PR3bは、n+型半導体領域NR2およびp型半導体領域PR3aのどちらにも接していない。
p+型半導体領域PR4の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR3bの深さ(底部の深さ位置)よりも浅く形成されている。p+型半導体領域PR4は、上面が基板SUBの表面で露出するとともに、側面および底面がp型半導体領域PR3bに接するように形成されている。すなわち、p+型半導体領域PR4は、p型半導体領域PR3bの上層部分の一部に、p型半導体領域PR3bに内包されるように形成されている。このため、p+型半導体領域PR4は、p型半導体領域PR3bと接しており、電気的に接続されている。また、p+型半導体領域PR4は、n+型半導体領域NR2およびp型半導体領域PR3aのどちらにも、平面視で重なっておらず、また、接してもいない。p+型半導体領域PR4は、プラグPG3のコンタクト抵抗を低減するために形成されており、p+型半導体領域PR4上に後述のプラグPG3が形成されている。
p型ウエルPW2の深さ(底部の深さ位置)は、溝TR2の深さ(底部の深さ位置)よりも深い。そして、p型ウエルPW2は、p型半導体領域PR3aおよびp型半導体領域PR3bの両方に接するとともに、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとの間にある溝TR2の下にも延在している。すなわち、p型ウエルPW2は、p型半導体領域PR3aの直下の領域、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとの間にある溝TR2の直下の領域、および、p型半導体領域PR3bの直下の領域にわたって、連続的に形成されている。このため、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとは、p型ウエルPW2を介して電気的に接続された状態になっている。従って、p型半導体領域PR3aは、p型ウエルPW2およびp型半導体領域PR3bを通じて、p+型半導体領域PR4に電気的に接続されている。つまり、p型ウエルPW2とp型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとp型半導体領域PR4とは、いずれも同じ導電型(ここではp型)の半導体領域であり、これら(PW2,PR3,PW4)が接することにより、p型ウエルPW2とp型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとp型半導体領域PR4とは、互いに電気的に接続されている。
このため、ダイオード形成領域RG2について、基板SUBの主面に垂直な断面で見ると、n+型半導体領域NR2の下にp型半導体領域PR3aがあり、更にその下にp型ウエルPW2があり、更にその下には、n−型の部分のエピタキシャル層EPがある。また、ダイオード形成領域RG2について、基板SUBの主面に垂直な断面で見ると、p+型半導体領域PR4の下にp型半導体領域PR3bがあり、更にその下にp型ウエルPW2があり、更にその下には、n−型の部分のエピタキシャル層EPがある。
ダイオード形成領域RG2のn+型半導体領域NR2は、ダイオードのカソードとして機能し、n+型半導体領域NR2に接するp型半導体領域PR3a(すなわちn+型半導体領域NR2の下に位置してn+型半導体領域NR2の接するp型半導体領域PR3aは、ダイオードのアノードとして機能する。すなわち、深さ方向にn+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとが隣接し、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間(界面)にPN接合が形成されることにより、ダイオード(ダイオード素子、PNダイオード、ダイオードDD)が形成される。ダイオード形成領域RG2に形成されたこのダイオードを、以下ではダイオードDDと称することとする。なお、深さ方向と基板SUBの厚み方向とは同義であり、いずれも、基板SUBの主面に略垂直な方向である。
このように、MISFET形成領域RG1の基板SUB(のエピタキシャル層EP)にトレンチゲート型MISFETが形成され、ダイオード形成領域RG2の基板SUB(のエピタキシャル層EP)にダイオード素子(ダイオードDD)が形成されている。
次に、エピタキシャル層EPよりも上層の構造について説明する。
基板SUの主面(すなわちエピタキシャル層EPの主面)上には、ゲート引き出し用配線部GE1、ゲート電極GEおよびダミーゲート電極GEDを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)IL1が形成されている。絶縁膜IL1は、層間絶縁膜であり、例えば酸化シリコン膜からなる。
絶縁膜IL1にはコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNTが形成されている。コンタクトホールCNTのうちのコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNT1は、ゲート引き出し用配線部GE1の上部に形成(配置)されており、コンタクトホールCNT1の底部では、ゲート引き出し用配線部GE1の一部が露出されている。また、コンタクトホールCNTのうちのコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNT2は、MISFET形成領域RG1において、平面視で隣り合う溝TR1の間に形成(配置)されており、コンタクトホールCNT2の底部では、n+型半導体領域NR1とp+型半導体領域PR2とが露出されている。
また、絶縁膜IL1に形成されたコンタクトホールCNTのうちのコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNT3は、ダイオード形成領域RG2において、p+型半導体領域PR4の上部に形成(配置)されており、コンタクトホールCNT3の底部では、p+型半導体領域PR4の一部が露出されている。また、コンタクトホールCNTのうちのコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNT4は、ダイオード形成領域RG2において、n+型半導体領域NR2の上部に形成(配置)されており、コンタクトホールCNT4の底部では、n+型半導体領域NR2の一部が露出されている。また、コンタクトホールCNTのうちのコンタクトホール(開口部、貫通孔)CNT5は、ダイオード形成領域RG2において、ダミーゲート電極GEDの上部に形成(配置)されており、コンタクトホールCNT5の底部では、ダミーゲート電極GEDの一部が露出されている。
コンタクトホールCNT内には、導電体部(接続用導体部)として導電性のプラグPGが埋め込まれている。
プラグPGは、コンタクトホールCNTの底部および側壁(側面)上に形成された薄いバリア導体膜と、このバリア導体膜上にコンタクトホールCNTを埋め込むように形成された主導体膜とで形成されているが、図面の簡略化のために、図1では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示してある。なお、プラグPGを構成するバリア導体膜は、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜とすることができ、プラグPGを構成する主導体膜は、タングステン膜とすることができる。なお、プラグPGは、後述する配線M1と一体的に形成することもでき、その場合には、プラグPGは配線M1の一部により形成されることになる。
プラグPGのうち、コンタクトホールCNT1内に埋め込まれているプラグPG1は、その底部でゲート引き出し用配線部GE1に接している。このため、プラグPG1は、その底部でゲート引き出し用配線部GE1に電気的に接続されている。また、プラグPGのうち、MISFET形成領域RG1においてコンタクトホールCNT2内に埋め込まれているプラグPG2は、その底部でn+型半導体領域NR1とp+型半導体領域PR2とに接している。このため、プラグPG2は、その底部でn+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2に電気的に接続されている。プラグPG1は、ソース用のn+型半導体領域NR1に電気的に接続されるとともに、p+型半導体領域PR2にも電気的に接続されているが、このp+型半導体領域PR2は、p型半導体領域PR1に接して電気的に接続されている。このため、プラグPG2は、p+型半導体領域PR2を通じて、チャネル形成用のp型半導体領域PR1と電気的に接続されていることになる。プラグPG2は、ソース用配線M1Sに電気的に接続されている。従って、ソース用配線M1Sが、ソース用のn+型半導体領域NR1だけでなく、チャネルとなるp型半導体領域PR1にも電気的に接続されていることになり、これにより、ベース電位を一定とすることができる。
また、プラグPGのうち、ダイオード形成領域RG2においてコンタクトホールCNT3内に埋め込まれているプラグPG3は、その底部でp+型半導体領域PR4に接している。このため、プラグPG3は、その底部でp+型半導体領域PR4に電気的に接続されている。また、プラグPGのうち、ダイオード形成領域RG2においてコンタクトホールCNT4内に埋め込まれているプラグPG4は、その底部でn+型半導体領域NR2に接している。このため、プラグPG4は、その底部でn+型半導体領域NR2に電気的に接続されている。また、プラグPGのうち、ダイオード形成領域RG2においてコンタクトホールCNT5内に埋め込まれているプラグPG5は、その底部でダミーゲート電極GEDに接している。このため、プラグPG5は、その底部でダミーゲート電極GEDに電気的に接続されている。
プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL1上には、導電膜からなる配線M1が形成されている。配線M1は、ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1Cを含んでいる。
配線M1のうちのゲート用配線M1Gは、一部がプラグPG1上に延在してプラグPG1に接することで、プラグPG1に電気的に接続されている。このため、ゲート用配線M1Gは、プラグPG1を介して、ゲート引き出し用配線部GE1に電気的に接続されている。従って、ゲート用配線M1Gは、プラグPG1およびゲート引き出し用配線部GE1を介して、MISFET形成領域RG1のゲート電極GEと電気的に接続されている。
また、配線M1のうちのソース用配線M1Sは、一部がプラグPG2上に延在してプラグPG2に接することで、プラグPG2に電気的に接続されている。このため、ソース用配線M1Sは、プラグPG2を介して、n+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2と電気的に接続されている。
また、配線M1のうちのアノード用配線M1Aは、一部がプラグPG3上に延在してプラグPG3に接することで、プラグPG3に電気的に接続されている。このため、アノード用配線M1Aは、プラグPG3を介して、p+型半導体領域PR4と電気的に接続されている。
また、配線M1のうちのカソード用配線M1Cは、一部がプラグPG4上に延在してプラグPG4に接することで、プラグPG4に電気的に接続されている。このため、カソード用配線M1Cは、プラグPG4を介して、n+型半導体領域NR2と電気的に接続されている。
カソード用配線M1Cは、プラグPG4を通じて、n+型半導体領域NR2に電気的に接続され、アノード用配線M1Aは、プラグPG3は、p+型半導体領域PR4、p型半導体領域PR3bおよびp型ウエルPW2を通じて、p型半導体領域PR3aに電気的に接続されている。そして、p型半導体領域PR3aとn+型半導体領域NR2との間に、PN接合が形成されることでダイオードDDが形成されている。
すなわち、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間にPN接合を形成したことでダイオードDDが形成され、このダイオードDDのカソード(n+型半導体領域NR2)を、プラグPG4を介してカソード用配線M1Cに引き出している。そして、このダイオードDDのアノード(p型半導体領域PR3a)を、p型ウエルPW2、p型半導体領域PR3b、p+型半導体領域PR4およびプラグPG3を介して、アノード用配線M1Aに引き出している。
また、プラグPG3が接続されたアノード用配線M1AまたはプラグPG4が接続されたカソード用配線M1Cのいずれか一方は、一部がプラグPG5上に延在してプラグPG5に接することで、プラグPG5に電気的に接続されている。このため、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5を介して、アノード用配線M1Aまたはカソード用配線M1Cのどちらか一方に電気的に接続されている。
具体的には、コンタクトホールCNT5は、n+型半導体領域NR2の周囲(平面的に見た周囲)を囲む溝TR2の上部に形成されており、コンタクトホールCNT5に埋め込まれたプラグPG5は、この溝TR2に埋め込まれたダミーゲート電極GEDに接して電気的に接続されている。そして、このプラグPG5は、アノード用配線M1またはカソード用配線M1Cのどちらか一方に接続されている。なお、図1および図4〜図7では、ダミーゲート電極GEDがプラグPG5を介してカソード用配線M1Cに電気的に接続されている場合が示されているが、後述の図36〜図39のように、ダミーゲート電極GEDを、プラグPG5を介して、カソード用配線M1Cではなくアノード用配線M1Aに接続することもできる。
また、図4の場合、コンタクトホールCNT5は、平面視で溝TR2に内包されるように形成されている。この場合、コンタクトホールCNT5に埋め込まれたプラグPG5の底部は、ダミーゲート電極GED(またはダミーゲート電極GEDおよびダミーゲート絶縁膜GID)にのみ接することになる。
しかしながら、プラグPG5をカソード用配線M1Cに接続する場合(すなわちダミーゲート電極GEDをn+型半導体領域NR2に電気的に接続する場合)には、平面視でコンタクトホールCNT5が溝TR2からはみ出して、n+型半導体領域NR2の一部がコンタクトホールCNT5から露出するようにすることもできる。この場合、コンタクトホールCNT5に埋め込まれたプラグPG5の底部は、ダミーゲート電極GEDとn+型半導体領域NR2との両方に接して電気的に接続されることになる。
また、プラグPG5をアノード用配線M1Aに接続する場合(すなわちダミーゲート電極GEDをアノード用のp型半導体領域に電気的に接続する場合)には、平面視でコンタクトホールCNT5が溝TR2からはみ出して、p型半導体領域PR3a(またはp+型半導体領域PR4)の一部がコンタクトホールCNT5から露出するようにすることもできる。この場合、コンタクトホールCNT5に埋め込まれたプラグPG5の底部は、ダミーゲート電極GEDとp型半導体領域PR3a(またはp+型半導体領域PR4)との両方に接して電気的に接続されることになる。
また、溝TR2の幅については、コンタクトホールCNT5を形成する部分(プラグPG5を接続する部分)を、他の部分よりも広い幅にすることも可能である。その場合も、溝TR2は、ダミーゲート電極GEDで埋め込み可能(すなわち後述の導電体膜CDPで埋め込み可能)な幅にすることが好ましい。
ゲート用配線M1Gとソース用配線M1Sとアノード用配線M1Aとカソード用配線M1Cとは、プラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL1上に導電膜(導電体膜)を形成し、この導電膜をパターニングすることにより形成されている。すなわち、ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1Cは、パターニングされた導電膜により形成されている。この導電膜は、金属膜からなり、好ましくはアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。このため、ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1Cは、同層の導電膜からなる。但し、ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1Cは、互いに分離されている。
なお、図1、図2、図5〜図7では、プラグPGと配線M1とを別々に形成した場合が示されている。他の形態として、プラグPGと配線M1とを一体的に形成することもできる。その場合、プラグPG1とゲート用配線M1Gとが一体的に形成され、プラグPG2とソース用配線M1Sとが一体的に形成され、プラグPG3とアノード用配線M1Aとが一体的に形成され、プラグPG4とカソード用配線M1Cとが一体的に形成され、プラグPG5はカソード用配線M1Cまたはアノード用配線M1Aと一体的に形成される。
配線M1(ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1C)は、例えばポリイミド系の樹脂などからなる表面保護のための絶縁膜(保護膜、表面保護膜)IL2により覆われている。すなわち、絶縁膜IL1上に、配線M1(ゲート用配線M1G、ソース用配線M1S、アノード用配線M1A、およびカソード用配線M1C)を覆うように、絶縁膜IL2が形成されている。この絶縁膜IL2は、半導体装置(半導体チップ)の最上層の膜(絶縁膜)である。絶縁膜IL2には複数の開口部OPが形成されており、各開口部OPからは、配線M1の一部が露出されている。開口部OPから露出する配線M1が、ボンディングパッド(パッド電極)となっている。
すなわち、絶縁膜IL2に形成された開口部OP(開口部OPのうち、ゲート用のボンディングパッドを形成するための開口部OP)から露出するゲート用配線M1Gによって、ゲート用のボンディングパッドPDGが形成される。また、絶縁膜IL2に形成された開口部OP(開口部OPのうち、ソース用のボンディングパッドを形成するための開口部OP)から露出するソース用配線M1Sによって、ソース用のボンディングパッドPDSが形成される。また、絶縁膜IL2に形成された開口部OP(開口部OPのうち、アノード用のボンディングパッドを形成するための開口部OP)から露出するアノード用配線M1Aによって、アノード用のパッド電極(図示せず)が形成される。また、絶縁膜IL2に形成された開口部OP(開口部OPのうち、カソード用のボンディングパッドを形成するための開口部OP)から露出するカソード用配線M1Cによって、カソード用のパッド電極(図示せず)が形成される。
このような構成の半導体装置においては、MISFET形成領域RG1に形成されたトレンチゲート型MISFETの動作電流は、ドレイン用のエピタキシャル層EPとソース用のn+型半導体領域NR1との間をゲート電極GEの側面(すなわち、溝TR1の側面)に沿って基板SUBの厚さ方向に流れるようになっている。すなわち、チャネルが基板SUBの厚さ方向に沿って形成される。p型半導体領域PR1のうち、ゲート絶縁膜GIを介してゲート電極GEに隣接する領域、すなわち、n型半導体領域NR1とエピタキシャル層EPとの間で溝TR1に沿った領域が、チャネル形成領域(チャネル層)となる。
このため、MISFET形成領域RG1に形成されたトレンチゲート型MISFETは、縦型のMISFETでもある。ここで、縦型のMISFETとは、ソース・ドレイン間の電流が、半導体基板(ここでは基板SUB)の厚さ方向(半導体基板の主面に略垂直な方向)に流れるMISFETに対応する。
トレンチゲート型MISFETに電流を流すには、ゲート用のボンディングパッドPDGから、ゲート用配線M1Gなどを介して、ゲート電極GEにVth(チャネルの反転電圧、しきい値電圧)以上の電圧を印加する。これにより、ソース用のボンディングパッドPDSと、裏面電極BEとの間に、ソース用配線M1S、ソース領域(n型半導体領域NR1)、チャネル層、エピタキシャル層EP(ドレイン領域)および基板本体SUB1を介して、電流を流すことができる。
また、本実施の形態では、上述のように、ダミーゲート電極GEDを、カソード用配線M1Cまたはアノード用配線M1Aのどちらか一方と繋いでいる。ダミーゲート電極GEDをカソード用配線M1Cに繋いだ場合には、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、カソード用配線M1C、およびプラグPG4を介して、n+型半導体領域NR2に電気的に接続されることになる。また、ダミーゲート電極GEDをアノード用配線M1Aに繋いだ場合には、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、アノード用配線M1A、およびプラグPG3を介して、p+型半導体領域PR4に電気的に接続されることになる。
すなわち、n+型半導体領域NR2の周囲(平面的に見た周囲)を囲む溝TR2に埋め込まれたダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのアノードまたはカソードのどちらか一方に電気的に接続されている。ダミーゲート電極GEDをダイオードDDのカソードに接続する場合は、プラグPG5をカソード用配線M1Cに接続すればよく、これにより、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、カソード用配線M1CおよびプラグPG4を介して、n+型半導体領域NR2(カソード領域)に電気的に接続される。一方、ダミーゲート電極GEDをダイオードDDのアノードに接続する場合は、プラグPG5をアノード用配線M1Aに接続すればよく、これにより、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、アノード用配線M1A、プラグPG3、p+型半導体領域PR4、p型半導体領域PR3bおよびp型ウエルPW2を介して、p型半導体領域PR3a(アノード領域)に電気的に接続される。
これにより、n+型半導体領域NR2の周囲(平面的に見た周囲)を囲む溝TR2に埋め込まれたダミーゲート電極GEDは、浮遊電位(フローティング電位)とはならず、ダイオードDDのアノードまたはカソードのどちらか一方と同電位となる。つまり、プラグPG5をアノード用配線M1Aに接続した場合(すなわちダミーゲート電極GEDをプラグPG5を介してアノード用配線M1Aに接続した場合)は、ダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのアノードと同電位となる。また、プラグPG5をカソード用配線M1Cに接続した場合(すなわちダミーゲート電極GEDをプラグPG5を介してカソード用配線M1Cに接続した場合)は、ダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのカソードと同電位となる。
また、ここでは、nチャネル型のトレンチゲート型MISFETを形成した場合について説明した。他の形態として、n型とp型の導電型を逆にすることもでき、この場合、pチャネル型のトレンチゲート型MISFETが形成され、また、ダイオードのアノードとカソードも逆になる。
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程について、図8〜図33を参照して説明する。図8〜図33は、半導体装置の製造工程中の要部断面図である。図8〜図33のうち、図8、図10、図12、図14、図16、図18、図20、図22、図24、図26、図28、図30および図32は、上記図1に相当する領域の断面図が示されている。また、図8〜図33のうち、図9、図11、図13、図15、図17、図19、図21、図23、図25、図27、図29、図31および図33は、上記図2に相当する領域の断面図が示されている。なお、図8と図9とは同じ工程段階であり、図10と図11とは同じ工程段階であり、図12と図13とは同じ工程段階であり、図14と図15とは同じ工程段階であり、図16と図17とは同じ工程段階であり、図18と図19とは同じ工程段階である。また、図20と図21とは同じ工程段階であり、図22と図23とは同じ工程段階であり、図24と図25とは同じ工程段階であり、図26と図27とは同じ工程段階であり、図28と図29とは同じ工程段階であり、図30と図31とは同じ工程段階であり、図32と図33とは同じ工程段階である。
本実施の形態の半導体装置を製造するには、まず、図8および図9に示されるように、半導体基板(以下、単に基板という)SUBを準備する。
基板(半導体基板、半導体ウエハ)SUBは、例えばヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn+型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である基板本体SUB1の主面上に、例えばリン(P)などのn型不純物が導入されたn−型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層EPをエピタキシャル成長させることにより、形成することができる。基板SUBは、いわゆるエピタキシャルウエハである。基板本体SUB1の不純物濃度(n型不純物濃度)は、エピタキシャル層EPの不純物濃度(n型不純物濃度)よりも高くなっており、基板本体SUB1の抵抗率(比抵抗)は、エピタキシャル層EPの抵抗率(比抵抗)よりも低い。エピタキシャル層EPの厚みは、例えば2.5μm〜10μm程度とすることができる。
次に、図10および図11に示されるように、基板SUB(エピタキシャル層EP)の表層部分にp型ウエル(p型半導体領域)PW1,PW2を形成する。p型ウエルPW1は、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成され、p型ウエルPW2は、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成されるが、p型ウエルPW1とp型ウエルPW2とは、同じ工程(同じイオン注入工程)によって形成される。具体的には、p型ウエルPW1,PW2は、次のようにして形成することができる。
すなわち、まず、基板SUBの主面上に、p型ウエルPW1,PW2形成予定領域を露出しかつそれ以外の領域を覆うフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。それから、このフォトレジストパターンをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、基板SUB(エピタキシャル層EP)の主面(p型ウエルPW1形成予定領域およびp型ウエルPW2形成予定領域)にp型の不純物(例えばホウ素(B))をイオン注入する。それから、前記フォトレジストパターンを除去してから、熱処理(イオン注入された不純物の活性化熱処理)を行う。熱処理温度は、例えば1000〜1200℃程度とすることができる。これにより、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに、p型不純物が導入(ドープ)されたp型ウエルPW1が形成され、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに、p型不純物が導入(ドープ)されたp型ウエルPW2が形成される。
次に、基板SUBの主面(すなわちエピタキシャル層EPの主面)に、酸化シリコンなどの絶縁膜からなるフィールド絶縁膜(素子分離領域)FILを形成する。具体的には、フィールド絶縁膜FILは、例えば、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法を用いて次のようにして形成することができる。
まず、図12および図13に示されるように、基板SUBの主面上に、窒化シリコン膜SN1を形成してから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、フィールド絶縁膜FIL形成予定領域の窒化シリコン膜SN1を除去する。これにより、基板SUB(エピタキシャル層EP)の主面は、フィールド絶縁膜FIL形成予定領域が露出され、かつそれ以外の領域が窒化シリコン膜SN1で覆われた状態になる。それから、熱酸化を行うことにより、窒化シリコン膜SN1で覆われていない領域(すなわちフィールド絶縁膜FIL形成予定領域)の基板SUBの表面(すなわちエピタキシャル層EPの表面)を酸化して、酸化シリコンからなるフィールド絶縁膜FILを形成する。基板SUBの表面(すなわちエピタキシャル層EPの表面)のうち、窒化シリコン膜SN1で覆われている領域には、熱酸化膜は形成されないため、フィールド絶縁膜FILは形成されない。
フィールド絶縁膜FILは、活性領域を規定(画定)するための素子分離領域として機能することができ、フィールド絶縁膜FILによって、MISFET形成領域RG1とダイオード形成領域RG2とが、それぞれ他の領域から電気的に分離される。すなわち、MISFET形成領域RG1は、フィールド絶縁膜FILによって平面的に囲まれた活性領域であり、ダイオード形成領域RG2は、フィールド絶縁膜FILによって平面的に囲まれた活性領域である。
次に、基板SUBの主面に、溝(トレンチ)TRを形成する。溝TRは、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成される溝TR1と、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成される溝TR2とを有しており、溝TR1は、トレンチゲート(ゲート電極GE)形成用の溝(トレンチ、ゲート用トレンチ、ゲート電極用の溝)であり、溝TR2は、ダミーゲート電極用の溝である。具体的には、溝TR(TR1,TR2)は、例えば次のようにして形成することができる。
まず、図14および図15に示されるように、基板SUB上に、フィールド絶縁膜FILおよび窒化シリコン膜SN1を覆うように、絶縁膜SO1を形成する。絶縁膜SO1は、酸化シリコン膜などからなり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により形成することができる。それから、絶縁膜SO1上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(図示せず)を形成する。このフォトレジストパターンは、溝TR形成予定領域に開口部を有している。それから、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて絶縁膜SO1をエッチング(例えばドライエッチング)することで、溝TR形成予定領域の絶縁膜SO1を選択的に除去する。それから、このフォトレジストパターンを除去する。絶縁膜SO1は、溝TR形成予定領域に開口部を有した状態となっているため、この絶縁膜SO1をエッチングマスク(ハードマスク)として用いて、窒化シリコン膜SN1およびエピタキシャル層EPをエッチング(例えばドライエッチング)することにより、図14および図15に示されるように、エピタキシャル層EPに溝TR(TR1,TR2)を形成する。その後、図16および図17に示されるように、絶縁膜SO1および窒化シリコン膜SN1を、エッチング(例えばウェットエッチング)などにより除去する。このようにして、溝TR(TR1,TR2)を形成することができる。溝TR(TR1,TR2)の深さは、例えば0.5μm〜3.0μm程度とすることができる。
また、他の形態として、基板SUB上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、エピタキシャル層EPをドライエッチングすることにより、溝TRを形成することができる。
MISFET形成領域RG1の溝TR1とダイオード形成領域RG2の溝TR2とは、同じ工程(同じエッチング工程)によって形成されるため、同じ深さを有している。MISFET形成領域RG1の溝TR1の深さは、後で形成するp型半導体領域PR1の底部(接合面)よりも深く、かつエピタキシャル層EPの底部(エピタキシャル層EPと基板本体SUB1との界面)よりは浅くなる寸法である。ダイオード形成領域RG2の溝TR2の深さは、後で形成するp型半導体領域PR3の底部よりも深く、かつp型ウエルPW2の底部よりは浅くなる寸法である。
次に、図18および図19に示されるように、例えば熱酸化法などを用いて、溝TR(TR1,TR2)の内壁面(側面および底面)上などに比較的薄い酸化シリコン膜などからなる絶縁膜GIaを形成する。この絶縁膜GIaは、後でゲート絶縁膜GIおよびダミーゲート絶縁膜GIDとなる絶縁膜であり、溝TR(TR1,TR2)の内壁面(側面および底面)と、エピタキシャル層EPの露出する上面とに形成される。
次に、基板SUBの主面上に、溝TR(TR1,TR2)内を埋めるように、不純物(例えばn型不純物)が導入されて低抵抗率とされた多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)などの導電膜(導体膜)CDPを形成する。
次に、ゲート引き出し用配線部GE1形成予定領域を覆いかつそれ以外の領域を露出するようなフォトレジストパターン(図示せず)を導電膜CDP上に形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、導電膜CDPをエッチバック(エッチング、異方性エッチング)する。このエッチバックにより、図20および図21に示されるように、溝TR(TR1,TR2)内と上記フォトレジストパターンの下に導電膜CDPを残し、それ以外の導電膜CDPを除去する。その後、フォトレジストパターンは除去する。溝TR1内に残存する絶縁膜GIaがゲート絶縁膜GIとなり、溝TR1内に残存する導電膜CDPがゲート電極GEとなり、溝TR2内に残存する絶縁膜GIaがダミーゲート絶縁膜GIDとなり、溝TR2内に残存する導電膜CDPがダミーゲート電極GEDとなり、上記フォトレジストパターンの下に残存する導電膜CDPがゲート引き出し用配線部GE1となる。また、導電膜CDPのエッチバック工程で、エピタキシャル層EPの上面の絶縁膜GIa(溝TRの内壁以外の絶縁膜GIa)を除去する場合もある。
このようにして、溝TR1内に埋め込まれた導電膜CDPからなるゲート電極GEと、ゲート電極GEと一体的に形成されたゲート引き出し用配線部GE1と、溝TR2内に埋め込まれた導電膜CDPからなるダミーゲート電極GEDと、が形成される。ゲート電極GEは、絶縁膜GIa(すなわちゲート絶縁膜GI)を介して溝TR1内に埋め込まれた状態となっており、ダミーゲート電極GEDは、絶縁膜GIa(すなわちダミーゲート絶縁膜GID)を介して溝TR2内に埋め込まれた状態となっている。
なお、図21には、点線で囲まれた領域RG3の拡大図も示されているが、この領域RG3の拡大図に示されるように、導電膜CDPのエッチバック工程でのオーバーエッチングにより、溝TR1に埋め込まれたゲート電極GEの上面が、エピタキシャル層Eの上面よりも後退する(高さが低くなる)場合もある。図21の領域RG3の拡大図では、溝TR1に埋め込まれたゲート電極GEの上面が、エピタキシャル層Eの上面よりも距離L1だけ低くなっている場合が示されている。ここで、基板SUBの裏面に近い方を低いとし、基板SUBの裏面から遠い方を高いとしている。このような場合でも、この距離L1は、後で形成されるn+型半導体領域NR1の深さ(厚み)よりも小さくする。すなわち、ゲート電極GEの上面が、後で形成されるn+型半導体領域NR1の底面(下面)よりも高い位置になるようにする。これにより、ゲート電極GEに所定の電圧を印加してチャネルを反転したときに、ソース用のn+型半導体領域NR1とドレイン用のエピタキシャル層EPとの間に、ゲート電極GEの側面(すなわち溝TR1の側面)に沿って電流を的確に流すことができるようになる。
次に、図22および図23に示されるように、基板SUBの主面に対してp型の不純物(例えばホウ素(B))をイオン注入することなどにより、p型半導体領域PR1,PR3を形成する。p型半導体領域PR1は、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成され、p型半導体領域PR3は、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成されるが、p型半導体領域PR1とp型半導体領域PR3とは、同じ工程(同じイオン注入工程)によって形成される。p型半導体領域PR1は、チャネル領域用のp型半導体領域であり、p型半導体領域PR3は、アノード用のp型半導体領域である。
MISFET形成領域RG1のp型半導体領域PR1とダイオード形成領域RG2のp型半導体領域PR3とは、同じ工程(同じイオン注入工程)によって形成されるため、同じ深さを有している。MISFET形成領域RG1のp型半導体領域PR1の深さ(底部の深さ位置)は、溝TR1の深さ(底部の深さ位置)よりも浅く、かつ、ダイオード形成領域RG2のp型半導体領域PR3の深さ(底部の深さ位置)は、溝TR2の深さ(底部の深さ位置)よりも浅い。
次に、図24および図25に示されるように、基板SUBの主面に対してn型の不純物(例えばヒ素(As))をイオン注入することなどにより、n+型半導体領域NR1,NR2を形成する。n+型半導体領域NR1は、ソース領域用のn型半導体領域であり、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成され、n+型半導体領域NR2は、カソード用のn型半導体領域であり、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成される。
n+型半導体領域NR1,NR2を形成するためのイオン注入の際には、まず、n+型半導体領域NR1,NR2形成予定領域を露出しかつ他の領域を覆うようなフォトレジストパターンを基板SUB(エピタキシャル層EP)の主面上に形成する。それから、このフォトレジストパターンをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、基板SUB(エピタキシャル層EP)の主面(n+型半導体領域NR1,NR2形成予定領域)にn型の不純物をイオン注入する。イオン注入後、フォトレジストパターンは除去する。
n+型半導体領域NR1とn+型半導体領域NR2とは、同じ工程(同じイオン注入工程)によって形成される。このため、MISFET形成領域RG1のn+型半導体領域NR1とダイオード形成領域RG2のn+型半導体領域NR2とは、同じ深さを有している。MISFET形成領域RG1のn+型半導体領域NR1の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR1の深さ(底部の深さ位置)よりも浅く、かつ、ダイオード形成領域RG2のn+型半導体領域NR2の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR3の深さ(底部の深さ位置)よりも浅い。
次に、図26および図27に示されるように、基板SUBの主面に対してp型の不純物(例えばホウ素(B))をイオン注入することなどにより、p+型半導体領域PR2,PR4を形成する。p+型半導体領域PR2は、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPに形成され、p+型半導体領域PR4は、ダイオード形成領域RG2のエピタキシャル層EPに形成される。
p+型半導体領域PR2,PR4を形成するためのイオン注入の際には、まず、p+型半導体領域PR2,PR4形成予定領域を露出しかつ他の領域を覆うようなフォトレジストパターンを基板SUBの主面上に形成する。それから、このフォトレジストパターンをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、基板SUB(エピタキシャル層EP)の主面(p+型半導体領域PR2,PR4形成予定領域)にp型の不純物をイオン注入する。イオン注入後、フォトレジストパターンは除去する。
p+型半導体領域PR2とp+型半導体領域PR4とは、同じ工程(同じイオン注入工程)によって形成される。このため、MISFET形成領域RG1のp+型半導体領域PR2とダイオード形成領域RG2のp+型半導体領域PR4とは、同じ深さを有している。MISFET形成領域RG1のp+型半導体領域PR2の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR1の深さ(底部の深さ位置)よりも浅く、かつ、ダイオード形成領域RG2のp+型半導体領域PR4の深さ(底部の深さ位置)は、p型半導体領域PR3の深さ(底部の深さ位置)よりも浅い。また、p+型半導体領域PR2の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PR1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高く、p+型半導体領域PR4の不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型半導体領域PR3の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
p型半導体領域PR2およびn型半導体領域NR1は、MISFET形成領域RG1のエピタキシャル層EPの表層部分に形成されるが、p型半導体領域PR1の上部に形成される。n型半導体領域NR1は、トレンチゲート型MISFETのソース領域としての機能を有しており、ソース用の半導体領域とみなすことができる。p型半導体領域PR1は、トレンチゲート型MISFETのチャネル形成領域としての機能を有している。MISFET形成領域RG1において、n型半導体領域NR1およびp型半導体領域PR1は、溝TR1よりも浅く形成されるため、溝TR1は、n型半導体領域NR1およびp型半導体領域PR1を貫通して、その下層のエピタキシャル層EP(n−型のエピタキシャル層EP)中で終端した状態となっている。また、ダイオード形成領域RG2において、p型半導体領域PR3は、溝TR2よりも浅く形成されるため、溝TR2は、p型半導体領域PR3を貫通して、p型ウエルPW2中で終端した状態となっている。
また、ここでは、n+型半導体領域NR1,NR2を先に形成してから、p+型半導体領域PR2,PR4を形成する場合について説明したが、他の形態として、p+型半導体領域PR2,PR4を先に形成してから、n+型半導体領域NR1,NR2を形成することもできる。
次に、導入された不純物を活性化するための熱処理である活性化アニールを行う。この活性化アニールは、例えば800〜1000℃程度で行うことができる。これにより、基板SUB(エピタキシャル層EP)に形成した各半導体領域(p型半導体領域PR1,PR3、p+型半導体領域PR2,PR4およびn+型半導体領域NR1,NR2など)に導入された不純物を活性化させることができる。
次に、図28および図29に示されるように、基板SUBの主面上に、ゲート電極GE、ゲート引き出し用配線部GE1およびダミーゲート電極GEDを覆うように、層間絶縁膜として絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)IL1を形成する。
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜IL1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、絶縁膜IL1をエッチング(例えばドライエッチング)することにより、絶縁膜IL1にコンタクトホール(開口部、孔、貫通孔)CNTを形成する。コンタクトホールCNTのうち、コンタクトホールCNT1からゲート引き出し用配線部GE1が露出され、コンタクトホールCNT2からn+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2が露出される。また、コンタクトホールCNTのうち、コンタクトホールCNT3からp+型半導体領域PR4が露出され、コンタクトホールCNT4からn+型半導体領域NR2が露出され、コンタクトホールCNT5からダミーゲート電極GEDが露出される。
次に、図30および図31に示されるように、コンタクトホールCNT内に、導電体部(接続用導体部)として、タングステン(W)などからなる導電性のプラグPGを形成する。
プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL1上に、バリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、このバリア導体膜上にタングステン膜などからなる主導体膜をコンタクトホールCNTを埋めるように形成し、絶縁膜IL1上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグPGを形成することができる。なお、図面の簡略化のために、図30および図31では、プラグPGを構成するバリア導体膜および主導体膜(タングステン膜)を一体化して示してある。
コンタクトホールCNT1内に埋め込まれたプラグPGが、プラグPG1であり、コンタクトホールCNT2内に埋め込まれたプラグPGが、プラグPG2である。また、コンタクトホールCNT3内に埋め込まれたプラグPGが、プラグPG3であり、コンタクトホールCNT4内に埋め込まれたプラグPGが、プラグPG4であり、コンタクトホールCNT5内に埋め込まれたプラグPGが、プラグPG5である。プラグPG1は、コンタクトホールCNT1の底部でゲート引き出し用配線部GE1に接して電気的に接続される。プラグPG2は、コンタクトホールCNT2の底部でn+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2に接して、それらと電気的に接続される。プラグPG3は、コンタクトホールCNT3の底部でp+型半導体領域PR4に接して電気的に接続される。プラグPG4は、コンタクトホールCNT4の底部でn+型半導体領域NR2に接して電気的に接続される。プラグPG5は、コンタクトホールCNT5の底部でダミーゲート電極GEDに接して電気的に接続される。
次に、基板SUBの主面上に、すなわちプラグPGが埋め込まれた絶縁膜IL1上に、導電体膜(例えばアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜を主体とする金属膜)をスパッタリング法などにより形成し、この導電体膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターン化することにより、配線M1を形成する。
配線M1のうちのゲート用配線M1Gは、プラグPG1を介して、ゲート引き出し用配線部GE1に電気的に接続される。また、配線M1のうちのソース用配線M1Sは、プラグPG2を介して、n+型半導体領域NR1およびp+型半導体領域PR2と電気的に接続される。また、配線M1のうちのアノード用配線M1Aは、プラグPG3を介して、p+型半導体領域PR4と電気的に接続される。また、配線M1のうちのカソード用配線M1Cは、プラグPG4を介して、n+型半導体領域NR2と電気的に接続される。また、配線M1のうちのカソード用配線M1またはアノード用配線M1Aは、プラグPG5を介して、ダミーゲート電極GEDと電気的に接続される。
ここでは、プラグPGと配線M1とを別々に形成する場合について説明した。他の形態として、プラグPGと配線M1とを一体的に形成することもできる。この場合、プラグPGを形成せずに、基板SUBの主面上に(すなわち絶縁膜IL1上に)、コンタクトホールCNTを埋めるように、導電体膜(例えばアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜を主体とする金属膜)を形成し、この導電体膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターン化することにより、配線M1を形成する。この場合は、プラグPGが配線M1の一部で形成された状態(すなわちプラグPGが配線M1と一体的に形成された状態)となる。
次に、図32および図33に示されるように、基板SUBの主面上に、すなわち絶縁膜IL1上に、配線M1を覆うように、絶縁膜IL2を形成する。絶縁膜IL2は、例えばポリイミド系の樹脂などからなり、表面保護のために形成する。
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて絶縁膜IL2をパターン化し、配線M1の一部が露出するような開口部OPを絶縁膜IL2に形成することで、ボンディングパッド(パッド電極)を形成する。
絶縁膜IL2の開口部OPから露出するソース用配線M1Sが、ソース用のボンディングパッドPDSとなり、絶縁膜IL2の開口部OPから露出するゲート用配線M1Gが、ゲート用のボンディングパッドPDGとなる。また、絶縁膜IL2の開口部OPから露出するアノード用配線M1Aが、アノード用のボンディングパッド(図示せず)となり、絶縁膜IL2の開口部OPから露出するカソード用配線M1Cが、カソード用のボンディングパッド(図示せず)となる。
また、開口部OPから露出する配線M1の表面(すなわちボンディングパッドの表面)上には、メッキ法などで更に金属層(図示せず)を形成する場合もある。この金属層は、例えば、下から順に形成された銅(Cu)膜とニッケル(Ni)膜と金(Au)膜との積層膜や、あるいは、下から順に形成されたチタン(Ti)膜とニッケル(Ni)膜と金(Au)膜との積層膜などからなる。この金属層を形成したことにより、下地のアルミニウム(配線M1)の表面の酸化を抑制または防止することができる。
次に、基板SUBの裏面(エピタキシャル層EPを形成した側とは逆側の基板SUBの主面、すなわちエピタキシャル層EPを形成した側とは逆側の基板本体SUB1の裏面)を研削または研磨して、基板SUBの厚みを薄くする。その後、基板SUBの裏面(基板本体SUB1の裏面)全体に金属層を蒸着法などによって被着することにより、裏面電極(ドレイン電極)BEを形成する。裏面電極BEは、トレンチゲート型のMISFETのドレインに電気的に接続されており、ドレイン電極(ドレイン用裏面電極)として機能することができる。基板本体SUB1およびエピタキシャル層EPは、トレンチ型ゲート構造を有する縦型のMISFETのドレイン領域としての機能を有している。裏面電極BEは、例えば、基板SUBの裏面から順にチタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層の積層膜により形成することができる。
このようにして、本実施の形態の半導体装置が製造される。その後、基板SUBをダイシングなどによって分割(分離、切断)することにより、基板SUBから個々の半導体チップ(半導体装置)が取得される。
<半導体装置の回路構成例について>
次に、本実施の形態の半導体装置の回路構成例について説明する。図34は、本実施の形態の半導体装置の使用例を示す回路ブロック図である。図34において、一点鎖線で囲まれた部分が本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)CP1で構成された部分であり、二点鎖線で囲まれた部分が他の半導体装置(半導体チップ)CP2で構成された部分である。
図34に示されるように、半導体装置CP1は、スイッチ用のパワーMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)Q1を有し、半導体装置CP2は、制御回路DRを有している。パワーMISFETQ1は、制御回路DRによって制御され、制御回路DRは、パワーMISFETを駆動するためのドライバ回路(駆動回路)の機能も備えている。
パワーMISFETQ1は、上記MISFET形成領域RG1に形成された複数の単位トランジスタセル(トレンチゲート型MISFET)が並列に接続されることで形成されている。このため、上記裏面電極BEは、パワーMISFETQ1のドレイン用の裏面電極であり、パワーMISFETQ1のドレインは、半導体装置CP1の外部に配置された電源(バッテリなど)BTと接続されている。パワーMISFETQ1のソースは、半導体装置CP1の外部に配置された負荷LA1に接続されている。パワーMISFETQ1のゲートは、制御回路DRに接続されている。つまり、上記裏面電極BEが電源BTに接続され、上記ソース用のボンディングパッドPDSが負荷LA1に接続され、上記ゲート用のボンディングパッドPDGが制御回路DRに接続されている。
制御回路DRからパワーMISFETQ1のゲートにオン信号(パワーMISFETQ1をオン状態とするゲート電圧)を供給することで、パワーMISFETQ1をオン状態とすることができるようになっている。パワーMISFETQ1がオン状態になると、電源BTの電圧がパワーMISFETQ1から出力されて負荷LA1に供給される。制御回路DRからパワーMISFETQ1のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMISFETQ1がオフ状態になると、電源BTから負荷LA1への電圧の供給が停止される。半導体装置CP1のパワーMISFETQ1のオン/オフの制御は、半導体装置CP2の制御回路DRによって行われる。
このように、半導体装置CP1,CP2(あるいは半導体装置CP1,CP2を備えた半導体装置)は、電源BTから負荷LA1への電圧の印加のオン・オフの切換を行う、スイッチ用の半導体装置として機能することができる。また、半導体装置CP1のパワーMISFETQ1はスイッチ素子(スイッチング素子)として機能することができる。また、パワーMISFETQ1の出力が負荷LA1に供給されるため、パワーMISFETQ1は出力回路とみなすこともできる。
また、半導体装置CP1内には、温度検知用のダイオードDD1が設けられている。ダイオードDD1は、パワーMISFETQ1の温度を検知するためのダイオード(回路)であり、パワーMISFETQ1の発熱を検知するためのダイオード(回路)とみなすこともでき、パワーMISFETQ1の温度(発熱)を検知可能とするために、半導体装置CP1内(好ましくは半導体装置CP1内におけるパワーMISFETQ1の近傍)に配置されている。また、ダイオードDD1を温度検知回路とみなすこともできる。
ダイオードDD1は、上記ダイオード形成領域RG2に形成された上記ダイオードDDであり、上記n+型半導体領域NR2と上記p型半導体領域PR3aとの間にPN接合が形成されることで形成されている。また、このダイオードDD1は、ダイオードのPN接合に順方向バイアスをかけて使用するVFダイオードである。
ダイオードDD1のアノード(アノード用の上記配線M1A)およびカソード(カソード用の上記配線M1C)の一方または両方は、制御回路DRに接続されている。ダイオードDD1は、温度によって電圧−電流特性が変化するため、ダイオードDD1の電圧−電流特性を検知(モニタ)することで、半導体装置CP1におけるダイオードDD1の温度(半導体装置CP1におけるダイオードDD1が配置された領域の温度に対応)を検知することができる。このため、半導体装置CP1にダイオードDD1を配置する(好ましくはパワーMISFETQ1の近傍に配置する)ことで、パワーMISFETQ1の温度(発熱)をダイオードDD1で検知することができる。
このため、パワーMISFETQ1が過剰に発熱してダイオードDD1の温度が所定の上限温度よりも高くなったときには、制御回路DRがパワーMISFETQ1のゲートにオフ信号を供給する(あるいはオン信号の供給を停止する)ことでパワーMISFETQ1をオフ状態に切り換える。これにより、パワーMISFETQ1の過剰な発熱時には、これをダイオードDD1によって検知して、パワーMISFETQ1を速やかにオフ状態に切り換えることができる。
例えば、パワーMISFETQ1をオンにして電源BTから負荷LA1に電圧を印加している状態でもしも負荷LA1が短絡すると、パワーMISFETQ1に大電流(通常動作時よりも大きな電流)が流れてしまい、パワーMISFETQ1が過剰に発熱する。このパワーMISFETQ1の過剰な発熱による温度上昇をダイオードDD1で検知することで、負荷LA1が短絡したときには、パワーMISFETQ1を速やかにオフ状態に切り換えることができる。負荷LA1としては、スイッチ用の半導体装置(CP1)を介して電源BTに接続することが望まれる任意の電子装置(または電子部品)を適用することができる。
また、ここでは、本実施の形態を適用するのに好適な回路構成例について図34を参照して説明したが、他の回路構成に適用することもできる。
<比較例について>
図35は、比較例の半導体装置の要部断面図であり、比較例の半導体装置におけるダイオード形成領域が示されている。
図35の比較例の半導体装置は、基板SUBに相当する基板(半導体基板)SUB101にダイオードが形成されている。具体的には、基板SUB101は、n+型の単結晶シリコンからなる基板本体(半導体基板)SUB102と、基板本体SUB102の主面上に形成されたn−型の単結晶シリコンからなるエピタキシャル層EP101とを有している。そして、フィールド絶縁膜FIL101で規定されたエピタキシャル層EP101の活性領域に、ダイオード用のn+型半導体領域NR102、p型半導体領域PR103およびp+型半導体領域PR104が形成されている。基板SUBの主面上には、層間絶縁膜IL101が形成され、層間絶縁膜IL101にコンタクトホールCNT103,CNT104が形成され、コンタクトホールCNT103,CNT104内にプラグPG103,PG104がそれぞれ形成されている。プラグPG103,PG104が埋め込まれた層間絶縁膜IL101上には、アノード用の配線M101Aおよびカソード用の配線M101Cが形成されている。層間絶縁膜IL101上には、配線M101A,M101Cを覆うように保護膜(上記絶縁膜IL2に相当するもの)が形成されているが、図35では、この保護膜の図示は省略している。基板SUB101の裏面には、上記裏面電極BEに相当する裏面電極BE101が形成されている。
n+型半導体領域NR102は、ダイオードのカソード用のn型半導体領域であり、エピタキシャル層EP101の表層部に形成されている。カソード用の配線M101Cは、コンタクトホールCNT104から露出するn+型半導体領域NR102に、プラグPG104を介して電気的に接続されている。p型半導体領域PR103は、ダイオードのアノード用のp型半導体領域であり、n+型半導体領域NR102を内包するように形成されている。すなわち、n+型半導体領域NR102の側面および底面が、p型半導体領域PR103に接しており、n+型半導体領域NR102とp型半導体領域PR103との間にPN接合が形成されることで、ダイオードが形成されている。また、p型半導体領域PR103よりの高不純物濃度のp+型半導体領域PR104がエピタキシャル層EP101の表層部に形成されているが、このp+型半導体領域PR104は、n+型半導体領域NR102から離間し、かつp型半導体領域PR103に内包される(従ってp型半導体領域PR103に接する)ように形成されている。アノード用の配線M101Aは、コンタクトホールCNT103から露出するp+型半導体領域PR104に、プラグPG103を介して電気的に接続されている。
このような構成(図35)の比較例の半導体装置は、次のような課題を有している。
すなわち、基板SUB101(エピタキシャル層EP101)に対してイオン注入を行うことにより、各半導体領域(図35の場合はn+型半導体領域NR102、p型半導体領域PR103およびp+型半導体領域PR104)を形成するが、このイオン注入の際に、基板SUB101(エピタキシャル層EP101)の表面に、イオン注入に伴う結晶欠陥が発生する。特に、ドーズ量が大きなイオン注入で結晶欠陥が発生しやすく、n+型半導体領域NR102形成用のイオン注入工程でn+型半導体領域NR102の表層部分(表面付近)に結晶欠陥が発生しやすい。図35では、n+型半導体領域NR102の表層部分に発生した結晶欠陥を×印で模式的に示してある。
イオン注入の後に、結晶欠陥を回復させるのに十分な熱処理を行うことも考えられるが、この場合、熱処理温度を高くする必要があるが、これは、イオン注入で注入された不純物を熱拡散させてしまうことにつながるため、熱処理温度の高温化には限界がある。また、トレンチゲート型MISFETとダイオードを同一の半導体基板に形成した場合には、トレンチゲート型MISFETのオン抵抗を低減するために、トレンチゲート型MISFETのソース用の半導体領域(n+型半導体領域NR1に対応)、チャネル用の半導体領域(p型半導体領域PR1に対応)およびトレンチゲート電極(ゲート電極GEに対応)の各深さを浅くする要求がある。この要求をかなえるためには、イオン注入で注入した不純物の熱拡散を抑制することが好ましく、イオン注入後の熱処理温度を高くすることには、限界がある。
このため、イオン注入に起因した結晶欠陥が基板SUB101(エピタキシャル層EP101)の表面に残ってしまう虞があるが、その場合、トレンチゲート型MISFETの特性には大きな問題は生じないが、ダイオードのリーク電流を増大させる虞がある。ダイオードのリーク電流が増大するのは、図35の比較例の半導体装置の場合、ダイオードのカソード用のn+型半導体領域NR102とダイオードのアノード用のp型半導体領域PR103とが、基板SUB101(エピタキシャル層EP101)の表面で隣接しており、PN接合面が基板SUB101(エピタキシャル層EP101)の表面に達しているためである。結晶欠陥が無い領域のPN接合に比べて、結晶欠陥が生じている領域のPN接合は、リークしやすい。このため、基板SUB101(エピタキシャル層EP101)の表面およびその近傍では、イオン注入に伴う結晶欠陥が残存している可能性があり、そこにダイオードのPN接合があることで、n+型半導体領域NR102とダイオードのアノード用のp型半導体領域PR103との間のPN接合がリークしやすくなる(図35では矢印YGで指した位置でリークしやすくなる)。これは、ダイオードの特性の低下につながり、半導体装置の性能を低下させてしまう。
<本実施の形態のダイオードの主要な特徴について>
本実施の形態の半導体装置の主要な特徴の一つは、上記図4〜図7からも分かるように、ダイオード(DD)のカソードとして機能するn+型半導体領域NR2の周囲が、平面視で、溝TR2によって囲まれていることである。すなわち、ダイオード形成領域RG2において、溝TR2が、平面視でn+型半導体領域NR2を囲むように形成されている。つまり、ダイオード(DD)のカソードとして機能するn+型半導体領域NR2の周囲は、平面視で、ダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2によって囲まれている。
n+型半導体領域NR2の周囲が、平面視で溝TR2によって囲まれていることにより、ダイオード(DD)のカソードとして機能するn+型半導体領域NR2は、ダイオード(DD)のアノードとして機能するp型半導体領域に対して、平面的には(平面視では)接しておらず、基板SUBの厚み方向に接した状態となる。すなわち、アノード用のp型半導体領域の一部(ここではp型半導体領域PR3a)が、カソードとして機能するn+型半導体領域NR2の直下に形成されており、n+型半導体領域NR2とn+型半導体領域NR2の直下に位置するp型半導体領域(ここではp型半導体領域PR3a)との間にPN接合が形成されることにより、ダイオード(DD)が形成されている。つまり、n+型半導体領域NR2の底面(下面)がp型半導体領域(ここではp型半導体領域PR3a)に接することにより、n+型半導体領域NR2の底面(下面)にPN接合が形成され、それによってダイオード(DD)が形成されている。
n+型半導体領域NR2は、その底面(下面)が、アノード用のp型半導体領域(ここではp型半導体領域PR3a)と接しているため、カソードとして機能するn+型半導体領域NR2は、ダイオード(DD)のアノード用のp型半導体領域(ここではp型半導体領域PR3a)と、基板SUBの厚み方向に接していることになる。一方、n+型半導体領域NR2の側面は、溝TR2に接しているため、n+型半導体領域NR2の側面は、ダイオード(DD)のアノード用のp型半導体領域とは接していない。このため、n+型半導体領域NR2の底面がアノード用のp型半導体領域と接し、n+型半導体領域NR2の側面は、アノード用のp型半導体領域とは接しておらず、その結果、n+型半導体領域NR2の側面は、いずれのp型半導体領域とも接しておらず、n+型半導体領域NR2は、いずれのp型半導体領域とも、平面的には(平面視では)接していないことになる。このため、カソード用のn型半導体領域(ここではn+型半導体領域NR2)とアノード用のp型半導体領域との間のPN接合は、n+型半導体領域NR2の側面には形成されずに、n+型半導体領域NR2の底面(下面)に形成されることになる。
n+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成する(このPN接合によりダイオードDDが形成される)のは、p型半導体領域PR3のうち、n+型半導体領域NR2の直下に位置する部分であるp型半導体領域PR3aである。このため、主としてp型半導体領域PR3aがダイオード(DD)のアノードとして機能するが、このp型半導体領域PR3aは、p型半導体領域PR3aと同じ導電型のp型ウエルPW2、p型半導体領域PR3bおよびp+型半導体領域PR4を介して、プラグPG3および配線(アノード用の配線)M1Aに電気的に接続されている。このため、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとp型ウエルPW2とp+型半導体領域PR4とを合わせたものを、ダイオード(DD)のアノード用のp型半導体領域とみなすことができる。但し、ダイオード(DD)を形成するPN接合が生じているのは、n+型半導体領域NR2とn+型半導体領域NR2に接する部分のp型半導体領域との間であるため、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間(すなわちn+型半導体領域NR2の底面)になる。また、ダイオード(DD)のカソード用のn型半導体領域は、n+型半導体領域NR2である。
このように、本実施の形態では、ダイオード(DD)のカソード用のn+型半導体領域NR2の周囲が、平面視で溝TR2によって囲まれていることにより、ダイオード(DD)を形成するPN接合が、n+型半導体領域NR2とn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域PR3aとの間に形成されることになる。これにより、カソード用のn+型半導体領域NR2とアノード用のp型半導体領域との間のPN接合は、基板SUBの表面に達しておらず、たとえイオン注入に伴う結晶欠陥(上記図35の比較例に関連して説明した結晶欠陥に対応)が基板SUBの表面付近に形成されていたとしても、その結晶欠陥が、ダイオード(DD)のPN接合に影響するのを防止できる。
つまり、本実施の形態では、ダイオード(DD)を形成するPN接合は、イオン注入に伴う結晶欠陥が残存しやすい基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面を避け、基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面よりも深い位置(ここではn+型半導体領域NR2の底面)に形成されている。n+型半導体領域NR2の底面の深さは、基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面よりも深い位置にあり、基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面に比べてn+型半導体領域NR2の底面の深さ位置には、イオン注入に伴う結晶欠陥が生じにくい。このため、n+型半導体領域NR2の底面で形成されるPN接合は、イオン注入に伴う結晶欠陥の影響をほとんど受けず、結晶欠陥に起因したリークを生じにくい。従って、ダイオードの特性を向上させることができ、トレンチゲート型MISFETおよびダイオードを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
本実施の形態の半導体装置の主要な特徴の他の一つは、ダミーゲート電極GEDが、ダイオードDDのアノードまたはカソードのいずれか一方に電気的に接続されていることである。すなわち、ダミーゲート電極GEDは、アノード用のp型半導体領域またはカソード用のn+型半導体領域NR2のいずれか一方に電気的に接続されている。
本実施の形態とは異なり、ダミーゲート電極GEDが、いずれの電位にも接続されておらず、フローティング電位(浮遊電位)とされている場合には、フローティング状態のダミーゲート電極GEDの電位が不安定になって、ダイオードDDの特性がばらついて(変動して)しまう。
それに対して、本実施の形態では、ダミーゲート電極GEDは、フローティング電位(浮遊電位)ではなく、ダイオードDDのアノードまたはカソードのいずれか一方に電気的に接続されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのアノード用のp型半導体領域またはカソード用のn+型半導体領域NR2のいずれか一方に電気的に接続されている。これにより、ダミーゲート電極GEDの電位は安定化するため、ダイオード(DD)の特性のばらつき(変動)を抑制または防止することができる。
図4〜図7の場合は、ダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのカソードに電気的に接続されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDは、カソード用のn+型半導体領域NR2に電気的に接続されている。具体的には、次のような接続関係になっている。
すなわち、図4〜図7の場合、カソード用のn+型半導体領域NR2には、プラグPG4を介して配線(カソード用の配線)M1Cが電気的に接続されている。つまり、n+型半導体領域NR2の上部にプラグPG4が形成され、プラグPG4の下部(底面)がn+型半導体領域NR2に接し、プラグPG4の上部(上面)が配線M1Cに接することで、配線M1Cがn+型半導体領域NR2にプラグPG4を介して電気的に接続された状態となっている。この配線M1Cは、プラグPG5を介してダミーゲート電極GEDにも電気的に接続されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDの上部にプラグPG5が形成され、プラグPG5の下部(底面)がダミーゲート電極GEDに接し、プラグPG5の上部(上面)が配線M1Cに接することで、配線M1Cがダミーゲート電極GEDにプラグPG5を介して電気的に接続された状態となっている。つまり、カソード用の配線M1Cは、プラグPG4を介してカソード用のn+型半導体領域NR2に電気的に接続されるだけでなく、プラグPG5を介してダミーゲート電極GEDにも電気的に接続されている。これにより、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5,配線M1CおよびプラグPG4を介して、カソード用のn+型半導体領域NR2に電気的に接続された状態となっている。
また、図4〜図7の場合、アノード用の配線M1Aは、プラグPG3を介してアノード用のp型半導体領域(ここではアノード用のp型半導体領域の一部であるp+型半導体領域PR4)に電気的に接続されている。すなわち、p+型半導体領域PR4の上部にプラグPG3が形成され、プラグPG3の下部(底面)がp+型半導体領域PR4に接し、プラグPG3の上部(上面)が配線M1Aに接することで、配線M1AがプラグPG4を介してp+型半導体領域PR4に(従ってアノード用のp型半導体領域に)電気的に接続された状態となっている。しかしながら、図4〜図7の場合、ダミーゲート電極GEDは、アノード用の配線M1Aには電気的に接続されておらず、従って、ダミーゲート電極GEDは、アノード用のp型半導体領域には電気的に接続されていない。
他の形態として、ダミーゲート電極GEDを、ダイオードDDのカソードではなくアノードに電気的に接続することもでき、その場合を図36〜図39を参照して説明する。
図36〜図39は、ダミーゲート電極GEDを、ダイオードDDのアノードに電気的に接続した場合(すなわちダミーゲート電極GEDを、カソード用のp型半導体領域に電気的に接続した場合)の、本実施の形態の半導体装置の要部平面図(図36)または要部断面図(図37〜図39)である。図36〜図39は、上記図4〜図7にそれぞれ対応するものであり、図36のA2−A2線の断面図が図37に対応し、図36のB2−B2線の断面図が図38に対応し、図36のC2−C2線の断面図が図39に対応している。図37〜図39では、図面を見やすくするために、上記絶縁膜IL2は図示を省略している。また、図36は、基板SUBの主面が示してあり、平面図であるが、図面を見やすくするために、上記図4と同様にハッチングを付してある。
図36〜図39の構造と、上記図4〜図7の構造との相違点は、コンタクトホールCNT5およびそれに埋め込まれたプラグPG5の位置と、配線M1A,M1Cのレイアウト(平面形状)であり、それ以外は基本的には同様とすることができる。
図36〜図39の場合は、ダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDのアノードに電気的に接続されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDは、アノード用のp型半導体領域に電気的に接続されている。具体的には、次のような接続関係になっている。
すなわち、図36〜図39の場合、アノード用のp型半導体領域には、プラグPG3を介して配線(アノード用の配線)M1Aが電気的に接続されており、この点は、図4〜図7の場合と同様である。つまり、アノード用のp型半導体領域の一部であるp+型半導体領域PR4の上部にプラグPG3が形成され、プラグPG3の下部(底面)がp+型半導体領域PR4に接し、プラグPG3の上部(上面)が配線M1Aに接することで、配線M1AがプラグPG3を介してp+型半導体領域PR4に(従ってアノード用のp型半導体領域に)電気的に接続された状態となっている。このアノード用の配線M1Cは、図36〜図39の場合、プラグPG5を介してダミーゲート電極GEDにも電気的に接続されている。すなわち、ダミーゲート電極GEDの上部にプラグPG5が形成され、プラグPG5の下部(底面)がダミーゲート電極GEDに接し、プラグPG5の上部(上面)が配線M1Aに接することで、配線M1Aがダミーゲート電極GEDにプラグPG5を介して電気的に接続された状態となっている。つまり、図36〜図39の場合、アノード用の配線M1Aは、プラグPG3を介してアノード用のp型半導体領域に電気的に接続されるだけでなく、プラグPG5を介してダミーゲート電極GEDにも電気的に接続されている。これにより、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、配線M1AおよびプラグPG3を介して、アノード用のp型半導体領域に電気的に接続された状態となっている。なお、p+型半導体領域PR4は、p型半導体領域PR3bおよびp型ウエルPW2を介してp型半導体領域PR3aに電気的に接続されているため、ダミーゲート電極GEDは、プラグPG5、配線M1A、プラグPG3、p+型半導体領域PR4、p型半導体領域PR3bおよびp型ウエルPW2を介して、p型半導体領域PR3aに電気的に接続されることになる。
また、図36〜図39の場合、カソード用のn+型半導体領域NR2に、プラグPG4を介して配線(カソード用の配線)M1Cが電気的に接続されている点は、図4〜図7の場合と同様である。しかしながら、図36〜図39の場合、ダミーゲート電極GEDは、カソード用の配線M1Cには電気的に接続されておらず、従って、ダミーゲート電極GEDは、カソード用のn+型半導体領域NR2には電気的に接続されていない。
このように、本実施の形態では、ダイオードDDのアノード(従ってアノード用のp型半導体領域)に電気的に接続されるか(図36〜図39の場合に対応)、あるいは、カソード(従ってn+型半導体領域NR2)に電気的に接続されている(図4〜図7の場合に対応)。これにより、ダミーゲート電極GEDは、フローティング電位とならず、ダミーゲート電極GEDの電位が安定する。このため、ダイオードの特性のばらつき(変動)を抑制または防止することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態の半導体装置は、同一の基板SUBにトレンチゲート型のMISFETとダイオード(DD)とを形成した半導体装置である。このため、n+型半導体領域NR2を平面的に囲む溝TR2は、トレンチゲート(ゲート電極GE)形成用の溝TR1と同工程で形成することができ、溝TR2に絶縁膜を介して埋め込まれた導電体部を、トレンチゲート(ゲート電極GE)と同工程で形成したダミーゲート電極GEDとすることができる。これにより、製造工程数を増加させること無く、n+型半導体領域NR2を溝TR2(ダミーゲート絶縁膜GIDを介してダミーゲート電極GEDが埋め込まれた溝TR2)で囲むことができる。従って、製造工程数を抑制し、半導体装置の製造コストを低減できる。
また、溝TR2は、フィールド絶縁膜FILに比べて、小さな幅で形成することが可能である。このため、n+型半導体領域NR2を囲むように溝TR2を形成したとしても、ダイオード形成領域RG2の平面寸法の増加を抑制することができ、半導体装置の平面積の増加を抑制または防止することができる。
また、トレンチゲート構造を形成するのと同工程でアノード用のn+型半導体領域NR2を囲む溝構造を形成した場合、n+型半導体領域NR2を囲む溝TR2内には、絶縁膜(ダミーゲート絶縁膜GID)を介して導電体部(ダミーゲート電極GED)が埋め込まれた構造となる。溝TR2に埋め込まれたこの導電体部(ダミーゲート電極GED)をフローティングとせずに、アノードまたはカソードと電気的に接続することが重要であり、そうすることで、ダイオードの特性を安定させることができる。
また、イオン注入に伴う結晶欠陥(上記図35の比較例に関連して説明した結晶欠陥に対応)が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面付近に形成されるが、基板SUBの表面からおよそ100nm以上の深さの領域には、イオン注入に伴う結晶欠陥はほとんど形成されていないか、形成されても回復しやすい。このため、カソード用のn+型半導体領域NR2の深さ(底面の深さ位置)は、基板SUBの表面から100nm以上とすることが、より好ましい(例えば300nm程度の深さとすることができる)。これにより、n+型半導体領域NR2の底面に形成されるPN接合面が、基板SUBの表面から100nm以上の深さとなるため、PN接合面に結晶欠陥が形成されているのを、より的確に防止することができ、結晶欠陥に起因したリークを、より的確に防止することができる。従って、ダイオードの特性を、より的確に向上させることができ、トレンチゲート型MISFETおよびダイオードを備える半導体装置の性能を、より的確に向上させることができる。
また、本実施の形態では、n+型半導体領域NR2と、その直下のp型半導体領域PR3aとの間にPN接合を形成することでダイオードDDを形成しているが、このアノード用のp型半導体領域PR3aを基板SUBの表面(すなわちエピタキシャル層EPの表面)に引き出すことで、アノード用の配線M1Aをp型半導体領域PR3aに電気的に接続することが可能になる。このため、n+型半導体領域NR2に直接接してPN接合を形成するのは、アノード用のp型半導体領域の一部であるp型半導体領域PR3aであるが、アノード用のp型半導体領域は、n+型半導体領域NR2の直下の領域から、n+型半導体領域NR2に溝TR2を介して平面視で隣接する領域にかけて形成することが好ましい。図4〜図7の場合(または図36〜図39の場合)には、p型半導体領域PR3a,3b、p型ウエルPW2およびp+型半導体領域PR4からなるアノード用のp型半導体領域が、n+型半導体領域NR2の直下の領域から、n+型半導体領域NR2に溝TR2を介して平面視で隣接する領域にかけて形成されている。
具体的には、アノード用のp型半導体領域の一部(p型半導体領域PR3aとn+型半導体領域NR2の直下の部分のp型ウエルPW2とに対応)は、平面視でn+型半導体領域NR2に重なる領域(すなわちn+型半導体領域NR2の直下の領域)に形成されている。また、アノード用のp型半導体領域の他の一部(p+型半導体領域PR4とp型半導体領域PR3bとp型半導体領域PR3bの直下の部分のp型ウエルPW2とに対応)は、平面視で、溝TR2を介してn+型半導体領域NR2に隣接する領域に形成されている。また、アノード用のp型半導体領域の更に他の一部(溝TR2の直下の部分のp型ウエルPW2に対応)は、平面視で溝TR2に重なる領域(すなわち溝TR2の直下の領域)に形成されている。つまり、アノード用のp型半導体領域は、平面視で、n+型半導体領域NR2に重なる領域と、溝TR2に重なる領域と、溝TR2を介してn+型半導体領域NR2に隣接する領域とにわたって連続的に形成されている。
このように、アノード用のp型半導体領域を、n+型半導体領域NR2の直下の領域(平面視でn+型半導体領域NR2に重なる領域)から、平面視で溝TR2を介してn+型半導体領域NR2に隣接する領域にかけて形成する。そうすることで、平面視で溝TR2を介してn+型半導体領域NR2に隣接する領域において、アノード用のp型半導体領域(ここではp型半導体領域PR3bおよびp+型半導体領域PR4)を、基板SUBの表面で露出させることができ、そこに、プラグPG3を介してアノード用の配線M1Aを接続することができる。これにより、アノード用の配線M1Aをアノード用のp型半導体領域に電気的に接続することが容易に可能となり、従って、アノード用の配線M1Aをp型半導体領域PR3aに電気的に接続することが容易に可能となる。
また、カソード用のn+型半導体領域NR2の底部(底面)は、溝TR2の底部(底面)よりも浅いが、アノード用のp型半導体領域の底部(底面)は、溝TR2の底部(底面)よりも深くなっている。すなわち、カソード用のn+型半導体領域NR2の底部(底面)の深さ位置は、溝TR2の底部(底面)の深さ位置よりも浅く、アノード用のp型半導体領域の底部(底面)の深さ位置は、溝TR2の底部(底面)の深さ位置よりも深くなっている。なお、図4〜図7の場合(または図36〜図39の場合)、アノード用のp型半導体領域の底部(底面)は、p型ウエルPW2の底部(底面)に対応している。
アノード用のp型半導体領域の底部(底面)を、溝TR2の底部(底面)よりも深くすることにより、溝TR2直下にもアノード用のp型半導体領域の一部が延在するようになる。このため、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成するp型半導体領域(PR3a)を、溝TR2直下に位置するp型半導体領域(p型ウエルPW2)を介して、溝TR2を挟んでn+型半導体領域NR2に隣接する領域のp型半導体領域(PR3b,PR4)に電気的に接続することができる。これにより、アノード用の配線M1A(プラグPG3)を、p型半導体領域を経由して、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(PR3a)まで電気的に接続することが容易に実現できる。
図40は、第1検討例の半導体装置の要部断面図であり、図4〜図7(または図36〜図39)の構造において、p型ウエルPW2の形成を省略した場合の半導体装置の要部断面図であり、上記図5に対応する断面図が示されている。
図40の場合、p型ウエルPW2が形成されていないため、アノード用のp型半導体領域は、p型半導体領域PR3a,PR3bおよびp+型半導体領域PR4で形成されることになるが、この場合、アノード用のp型半導体領域の底部が、溝TR2の底部よりも浅いことになる。アノード用のp型半導体領域の底部が、溝TR2の底部よりも浅いと、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成するp型半導体領域(PR3a)を、基板SUBの表面(すなわちエピタキシャル層EPの表面)に引き出すことが難しい。つまり、図40の場合は、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとの間がp型半導体領域でつながっていないため、アノード用の配線M1Aを、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(PR3a)と電気的に接続することが困難となる。
それに対して、本実施の形態では、アノード用のp型半導体領域の底部(p型ウエルPW2の底部に対応)は、溝TR2の底部よりも深くなっている。このため、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成するp型半導体領域(PR3a)を、溝TR2を越えて基板SUBの表面(すなわちエピタキシャル層EPの表面)に引き出すことができる。つまり、図4〜図7(または図36〜図39)の場合は、アノード用のp型半導体領域の底部(p型ウエルPW2の底部に対応)が、溝TR2の底部よりも深いことで、p型半導体領域PR3aとp型半導体領域PR3bとの間が、p型ウエルPW2でつながっている状態になる。このため、アノード用の配線M1Aを、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(PR3a)と電気的に接続することが容易に実現できる。
図41は、第2検討例の半導体装置の要部断面図であり、図4〜図7(または図36〜図39)の構造において、p型半導体領域PR3(PR3a,PR3b)の形成を省略した場合の半導体装置の要部断面図であり、上記図5に対応する断面図が示されている。
図41の場合、p型半導体領域PR3(PR3a,PR3b)が形成されていない。このため、図4〜図7(または図36〜図39)では、p型半導体領域PR3(PR3a,PR3b)となっていた領域は、図41の場合は、p型ウエルPW2の一部となる。このため、図41の場合は、アノード用のp型半導体領域は、p型ウエルPW2およびp+型半導体領域PR4で形成されることになる。この場合、n+型半導体領域NR2と、n+型半導体領域NR2の直下に位置する部分のp型ウエルPW2との間に、PN接合が形成されてダイオード(DD)が形成されることになる。
図41の場合は、アノード用のp型半導体領域の底部(p型ウエルPW2の底部に対応)が、溝TR2の底部よりも深いため、溝TR2直下にもアノード用のp型半導体領域の一部(溝TR2直下のp型ウエルPW2に対応)が延在するようになる。このため、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成する部分のp型ウエルPW2を、溝TR2直下に位置する部分のp型ウエルPW2を介して、溝TR2を挟んでn+型半導体領域NR2に隣接する領域のp型ウエルPW2およびp+型半導体領域PR4に電気的に接続することができる。これにより、アノード用の配線M1A(プラグPG3)を、p型半導体領域を経由して、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(p型ウエルPW2)まで電気的に接続することが容易に実現できる。
このため、図41の構造であっても、図4〜図7(または図36〜図39)の構造と同様に、カソード用のn+型半導体領域NR2を溝TR2で平面的に囲んだことにより、イオン注入に伴う結晶欠陥に起因したリークを生じにくいダイオードを形成できる。そして、ダミーゲート電極GEDをアノードまたはカソードのいずれか一方に電気的に接続したことにより、ダイオードの特性のばらつき(変動)を抑制または防止できる。なお、n+型半導体領域NR2の底部が溝TR2の深さよりも浅いことは、図41の構造も、図4〜図7(または図36〜図39)の構造も、共通である。従って、図41の第2検討例は、本実施の形態の変形例とみなすことができる。
しかしながら、図41の構造よりも、図4〜図7(または図36〜図39)の構造の方が、次の点で有利である。
すなわち、溝TR2は、トレンチゲート用の溝TR1と同工程で形成しており、ゲート電極GEを埋め込むことを考慮して、深さをある程度確保する必要があるが、このような溝TR1,TR2よりも更に深さ(底面の位置)が深くなるような不純物拡散領域をイオン注入で形成する場合には、不純物濃度を高くすることは容易ではない。このため、図41の場合のように、カソード用のn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成するp型半導体領域(図41ではp型ウエルPW2に対応)を、深さ(底面の位置)が溝TR2の深さよりも深くなるように形成する場合には、そのp型半導体領域(図41ではp型ウエルPW2に対応)の不純物濃度を高くすることには限界がある。
しなしながら、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2(カソード領域)との間にPN接合を形成するp型半導体領域(アノード領域)は、不純物濃度が低いとダイオード特性が安定しにくい(ばらつきやすい)。これは、p型半導体領域の不純物濃度が低い場合、そのp型半導体領域の不純物状態がばらつきやすく、また、可動イオンの影響を受けやすくなるためである。このため、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2(カソード領域)との間にPN接合を形成するp型半導体領域(アノード領域)は、ある程度高い不純物濃度とすることが望ましい。しかしながら、上述のように、深さ(底面の位置)が溝TR2の深さよりも深くなるp型半導体領域を高不純物濃度に形成することは難しい。
それに対し、図4〜図7(又は図36〜図39)の構造の場合、アノード用のp型半導体領域は、n+型半導体領域NR2の直下に形成されてn+型半導体領域NR2に接しかつ溝TR2の底部より浅いp型の第1領域(p型半導体領域PR3aに対応)と、この第1領域(p型半導体領域PR3a)に接しかつ溝TR2の底部より深いp型の第2領域(p型ウエルPW2に対応)とを有している。すなわち、p型の第1領域(p型半導体領域PR3a)の底部は、溝TR2の底部よりも浅く、p型の第2領域(p型ウエルPW2)の底部は、溝TR2の底部よりも深い。そして、第1領域(p型半導体領域PR3a)は、第2領域(p型ウエルPW2)よりも高不純物濃度であり、第2領域(p型ウエルPW2)は、溝TR2の直下にも延在している。
このため、図4〜図7(または図36〜図39)の構造の場合、n+型半導体領域NR2の直下に形成されてn+型半導体領域NR2に接するp型の第1領域(p型半導体領域PR3aに対応)については、溝TR2の底部よりも浅くしたことにより、高不純物濃度のp型領域とすることが容易である。n+型半導体領域NR2の直下に、n+型半導体領域NR2(カソード領域)との間にPN接合を形成するように、高不純物濃度のp型の第1領域(p型半導体領域PR3a)を設けたことで、ダイオード特性を安定させることができる。すなわち、ダイオード特性のばらつき(変動)を抑制することができる。そして、このp型の第1領域(p型半導体領域PR3a)に接しかつ溝TR2の底部よりも深いp型の第2領域(p型ウエルPW2)を設けているが、このp型の第2領域(p型ウエルPW2)は、p型の第1領域(p型半導体領域PR3a)よりも低不純物濃度である。このため、p型の第2領域(p型ウエルPW2)は、溝TR2の深さよりも深く形成することが容易であり、p型の第2領域(p型ウエルPW2)を溝TR2の直下にも延在させることができる。
これにより、n+型半導体領域NR2の直下に位置してn+型半導体領域NR2との間にPN接合を形成するp型の第1領域(p型半導体領域PR3a)を、溝TR2直下に位置する部分のp型ウエルPW2を介して、溝TR2を挟んでn+型半導体領域NR2に隣接する領域のp型半導体領域(PW2、PR3b、PR4)に電気的に接続することができる。従って、アノード用の配線M1A(プラグPG3)を、p型半導体領域を経由して、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(p型半導体領域PR3a)まで電気的に接続することが容易に実現できる。
また、上記p型の第1領域(p型半導体領域PR3a)は、MISFET形成領域RG1の上記p型半導体領域PR1と同工程(同じイオン注入工程)で形成すれば、製造工程数を低減することができる。また、上記p型の第2領域(p型ウエルPW2)は、MISFET形成領域RG1の上記p型ウエルPW1と同工程(同じイオン注入工程)で形成すれば、製造工程数を低減することができる。
<変形例について>
次に、本実施の形態の半導体装置の変形例について説明する。図42は、本実施の形態の第1変形例の半導体装置の要部平面図であり、ダイオード形成領域RG2が示されている。図43は、本実施の形態の第2変形例の半導体装置の要部平面図であり、ダイオード形成領域RG2が示されている。なお、図42の第1変形例は、上記図4〜図7の半導体装置の変形例に対応し、図42は上記図4に対応するものであり、図43の第2変形例は、上記図36〜図39の半導体装置の変形例に対応し、図43は上記図36に対応するものである。
溝TR2がn+型半導体領域NR2を平面視で囲んでいる点は、上記図4〜図7の半導体装置と図42の第1変形例の半導体装置とで同じである。図42の第1変形例の場合は、更に、アノード用のp型半導体領域が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面の露出した部分(p型半導体領域PR3bおよびp型半導体領域PR4)を、溝TR2が平面視で囲んでいる。それ以外の構成については、図42の第1変形例の半導体装置は、上記図4〜図7の半導体装置と同様である。
また、溝TR2がn+型半導体領域NR2を平面視で囲んでいる点は、上記図36〜図39の半導体装置と図43の第2変形例の半導体装置とで同じである。更に、図43の第2変形例の場合は、図42の第1変形例の場合と同様に、アノード用のp型半導体領域が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面の露出した部分(p型半導体領域PR3bおよびp型半導体領域PR4)を、溝TR2が平面視で囲んでいる。それ以外の構成については、図43の第2変形例の半導体装置は、上記図36〜図39の半導体装置と同様である。
すなわち、図42の第1変形例の場合と図43の第2変形例の場合は、溝TR2により平面的に囲まれかつ溝TR2を介して互いに隣接する2つの平面領域を設け、その2つの平面領域のうちの一方に、カソード用のn+型半導体領域NR2を配置し、他方に、アノード領域を露出させてそこにプラグPG4(配線M1A)を接続している。
このような図42の第1変形例および図43の第2変形例の場合も、上述した本実施の形態の効果を得ることができる。
図44および図45は、本実施の形態の第3変形例の半導体装置の要部平面図(図44)または要部断面図(図45)であり、ダイオード形成領域RG2の平面図が図44に示され、ダイオード形成領域RG2の断面図が図45に示されている。なお、図45は、ダイオード形成領域RG2の模式的な断面図であるため、図44の断面には完全には一致しない。また、図45では、図面を見やすくするために、上記絶縁膜IL2は図示を省略している。また、図44は、平面図であるが、上記図4で付したハッチングと同様のハッチングを付してある。
図44および図45に示される第3変形例の半導体装置では、ダイオード形成領域RG2に複数のダイオードが形成され、それら複数のダイオードが直列に接続されており、ここでは一例として、ダイオード形成領域RG2に3つのダイオードが形成されて直列に接続されている場合について説明する。
図44および図45に示される第3変形例の半導体装置では、ダイオード形成領域RG2は、3つのダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cを有しており、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2c同士は、フィールド絶縁膜(素子分離領域)FILにより分離されている。図44および図45の場合は、ダイオード形成領域RG2aの隣にダイオード形成領域RG2bが配置され、ダイオード形成領域RG2bの隣(ダイオード形成領域RG2aに隣り合う側とは反対側)にダイオード形成領域RG2cが配置されている。
図44および図45に示される第3変形例の半導体装置において、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cの基板SUB(エピタキシャル層EP)のそれぞれには、p型ウエルPW2、p型半導体領域PR3a,PR3b,PR4、n+型半導体領域NR2および溝TR2が形成されている。各ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cにおけるp型ウエルPW2、p型半導体領域PR3a,PR3b,PR4、n+型半導体領域NR2および溝TR2の構成は、上記図4〜図7の場合、上記図36〜図39の場合、上記図42の場合、あるいは上記図43の場合のいずれかと同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。なお、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cにおいても、溝TR2には、ダミーゲート絶縁膜GIDを介してダミーゲート電極GEDが埋め込まれている。
しかしながら、図44および図45に示される第3変形例の半導体装置の場合、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cに形成したプラグと配線の接続関係については、上記図4〜図7(または上記図36〜図39)の場合と一部相違しているおり、この点について以下に説明する。
ダイオード形成領域RG2aには、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間のPN接合によりダイオードDDa(以下、ダイオード形成領域RG2aに形成されたダイオードDDをダイオードDDaと称す)が形成されている。また、ダイオード形成領域RG2bには、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間のPN接合によりダイオードDDb(以下、ダイオード形成領域RG2bに形成されたダイオードDDをダイオードDDbと称す)が形成されている。また、ダイオード形成領域RG2cには、n+型半導体領域NR2とp型半導体領域PR3aとの間のPN接合によりダイオードDDc(以下、ダイオード形成領域RG2cに形成されたダイオードDDをダイオードDDcと称す)が形成されている。これらのダイオードDDa,DDb,DDcが直列に接続されている。すなわち、ダイオード形成領域RG2aのダイオードDDaのアノードが、ダイオード形成領域RG2bのダイオードDDbのカソードに接続され、ダイオード形成領域RG2bのダイオードDDbのアノードが、ダイオード形成領域RG2cのダイオードDDcのカソードに接続されている。
具体的には、ダイオード形成領域RG2aのp型半導体領域PR4に接続されたプラグPG3a(ダイオード形成領域RG2aのプラグPG3をプラグPG3aと称す)は、配線M1AC1に接続され、この配線M1AC1は、ダイオード形成領域RG2bのプラグPG4b(ダイオード形成領域RG2bのプラグPG4をプラグPG4bと称す)にも接続されている。このプラグPG4bは、ダイオード形成領域RG2bのn+型半導体領域NR2に接続されている。このため、ダイオード形成領域RG2aのp型半導体領域PR4(ダイオードDDaのアノード用のp型半導体領域)は、プラグPG3a、配線M1AC1およびプラグPG4bを介して、ダイオード形成領域RG2bのn+型半導体領域NR2(ダイオードDDbのカソード用のn型半導体領域)に電気的に接続されている。配線M1AC1は、ダイオード形成領域RG2aのダイオードDDaのアノード用の配線と、ダイオード形成領域RG2bのダイオードDDbのカソード用の配線とを兼ねている。
更に、ダイオード形成領域RG2bのp型半導体領域PR4に接続されたプラグPG3b(ダイオード形成領域RG2bのプラグPG3をプラグPG3bと称す)は、配線M1AC2に接続され、この配線M1AC2は、ダイオード形成領域RG2cのプラグPG4c(ダイオード形成領域RG2cのプラグPG4をプラグPG4cと称す)にも接続されている。このプラグPG4cは、ダイオード形成領域RG2cのn+型半導体領域NR2に接続されている。このため、ダイオード形成領域RG2bのp型半導体領域PR4(ダイオードDDbのアノード用のp型半導体領域)は、プラグPG3b、配線M1AC2およびプラグPG4cを介して、ダイオード形成領域RG2cのn+型半導体領域NR2(ダイオードDDcのカソード用のn型半導体領域)に電気的に接続されている。配線M1AC2は、ダイオード形成領域RG2bのダイオードDDbのアノード用の配線と、ダイオード形成領域RG2cのダイオードDDcのカソード用の配線とを兼ねている。
そして、ダイオード形成領域RG2aのn+型半導体領域NR2(ダイオードDDaのカソード用のn型半導体領域)に接続されたプラグPG4a(ダイオード形成領域RG2aのプラグPG4をプラグPG4aと称す)は、配線M1C1に接続されている。また、ダイオード形成領域RG2cのp型半導体領域PR4(ダイオードDDcのアノード用のp型半導体領域)に接続されたプラグPG3c(ダイオード形成領域RG2cのプラグPG3をプラグPG3cと称す)は、配線M1A1に接続されている。配線M1C1は、ダイオード形成領域RG2aのダイオードDDaのカソード用の配線であり、配線M1A1は、ダイオード形成領域RG2cのダイオードDDcのアノード用の配線である。配線M1A1,M1AC1,M1AC2,M1C1は、上記配線M1により形成されているが、互いに分離されている。
これにより、配線M1C1と配線M1A1との間に、ダイオード形成領域RG2aのダイオードDDaとダイオード形成領域RG2bのダイオードDDbとダイオード形成領域RG2cのダイオードDDcとが直列に接続された状態となっている。これら直列接続されたダイオードを、例えば上記温度検知用のダイオードDD1として用いることができる。
図44および図45に示される第3変形例の半導体装置においても、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cのカソード用のn+型半導体領域NR2は、それぞれ溝TR2により平面的に囲まれている。これにより、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cのそれぞれにおいて、ダイオードを形成するPN接合が、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面に形成される。このため、たとえイオン注入に伴う結晶欠陥(上記図35の比較例に関連して説明した結晶欠陥に対応)が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面付近に形成されていたとしても、その結晶欠陥が、ダイオードのPN接合に影響するのを防止できる。従って、ダイオードの特性を向上させることができ、トレンチゲート型MISFETおよびダイオードを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
また、図44および図45に示される第3変形例の半導体装置においても、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cに形成されたダミーゲート電極GEDが、ダイオードDDa,DDb,DDcのアノードまたはカソードに電気的に接続されている。
具体的には、ダイオード形成領域RG2aのダミーゲート電極GEDに接続されたプラグPG5a(ダイオード形成領域RG2aのプラグPG5をプラグPG5aと称す)は、配線M1AC1に接続されている。これにより、ダイオード形成領域RG2aのダミーゲート電極GEDは、プラグPG5a,PG3aと配線M1AC1を介して、ダイオード形成領域RG2aのp型半導体領域PR4に電気的に接続されるとともに、プラグPG5a,PG4bと配線M1AC1を介して、ダイオード形成領域RG2bのn+型半導体領域NR2に電気的に接続されている。つまり、ダイオード形成領域RG2aのダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDbのカソード用のn型半導体領域と、ダイオードDDaのアノード用のp型半導体領域とに、電気的に接続されている。
また、ダイオード形成領域RG2bのダミーゲート電極GEDに接続されたプラグPG5b(ダイオード形成領域RG2bのプラグPG5をプラグPG5bと称す)は、配線M1AC2に接続されている。これにより、ダイオード形成領域RG2bのダミーゲート電極GEDは、プラグPG5b,PG3bと配線M1AC2を介して、ダイオード形成領域RG2bのp型半導体領域PR4に電気的に接続されるとともに、プラグPG5b,PG4cと配線M1AC2を介して、ダイオード形成領域RG2cのn+型半導体領域NR2に電気的に接続されている。つまり、ダイオード形成領域RG2bのダミーゲート電極GEDは、ダイオードDDcのカソード用のn型半導体領域と、ダイオードDDbのアノード用のp型半導体領域とに、電気的に接続されている。
また、ダイオード形成領域RG2cのダミーゲート電極GEDに接続されたプラグPG5c(ダイオード形成領域RG2cのプラグPG5をプラグPG5cと称す)は、配線M1A1に接続されている。これにより、ダイオード形成領域RG2cのダミーゲート電極GEDは、プラグPG5c,3cおよび配線M1A1を介して、ダイオード形成領域RG2cのp型半導体領域PR4(ダイオードDDcのアノード用のp型半導体領域)に電気的に接続されている。
他の形態として、ダイオード形成領域RG2aのダミーゲート電極GEDをプラグPG5aを介して配線M1A1に接続し、ダイオード形成領域RG2bのダミーゲート電極GEDをプラグPG5bを介して配線M1AC1に接続し、ダイオード形成領域RG2cのダミーゲート電極GEDをプラグPG5cを介して配線M1AC2に接続することもできる。
図44および図45に示される第3変形例の半導体装置においても、ダミーゲート電極GEDは、フローティング電位(浮遊電位)ではなく、いずれかのダイオードDDa,DDb,DDcのアノードまたはカソードに電気的に接続されていることにより、ダミーゲート電極GEDの電位が安定化するため、ダイオードの特性のばらつき(変動)を抑制または防止することができる。
また、図44では、次のようにレイアウトを工夫している。
すなわち、ダイオード形成領域RG2aの隣にダイオード形成領域RG2bを配置し、その更に隣(ダイオード形成領域RG2aに隣り合う側とは反対側)にダイオード形成領域RG2cを配置している。そして、ダイオード形成領域RG2aのカソード用のn+型半導体領域NR2と、ダイオード形成領域RG2bにおいてプラグPG3bを接続するアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)とが対向するようにする。また、ダイオード形成領域RG2aにおいてプラグPG3aを接続するアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)と、ダイオード形成領域RG2bのカソード用のn+型半導体領域NR2とが対向するようにする。また、ダイオード形成領域RG2bのカソード用のn+型半導体領域NR2と、ダイオード形成領域RG2cにおいてプラグPG3cを接続するアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)とが対向するようにする。また、ダイオード形成領域RG2bにおいてプラグPG3bを接続するアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)と、ダイオード形成領域RG2cのカソード用のn+型半導体領域NR2とが対向するようにする。
こうすることで、ダイオード形成領域RG2aのアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)と、ダイオード形成領域RG2bのカソード用のn+型半導体領域NR2とを、プラグPG3a,PG4bおよび配線M1AC1を介して接続しやすくなる。また、ダイオード形成領域RG2bのアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)と、ダイオード形成領域RG2cのカソード用のn+型半導体領域NR2とを、プラグPG3b,PG4cおよび配線M1AC2を介して接続しやすくなる。また、配線M1AC1,M1AC2、M1A1,M1C1を配置しやすくなり、配線M1AC1,M1AC2、M1A1,M1C1の加工が容易になる。また、配線抵抗の低減も可能になる。
つまり、複数のダイオード(ここではダイオードDDa,DDb,DDc)を直列に接続する場合、ダイオード形成領域RG2a,RG2b,RG2cが並んだ方向に見て、基板SUBの表面露出しているアノード用のp型半導体領域(PR4,PR3b)とカソード用のn型半導体領域(NR2)とが、交互に並ぶ(千鳥配列となる)ようにすることが好ましい。これにより、複数のダイオード(ここではダイオードDDa,DDb,DDc)を直列に接続しやすくなる。
次に、ダイオードDDa,DDb,DDcを上記温度検知用のダイオードDD1として用いる場合の動作例について説明する。
ダイオードDDa,DDb,DDcを上記温度検知用のダイオードDD1として用いる場合には、図45に模式的に示されるように、配線M1C1を抵抗RSTを介して、接地電位(グランド電位)に接続する。この抵抗RSTは、上記半導体装置CP2(制御回路DR)に形成することができる。上記半導体装置CP2(制御回路DR)から、接地電位(グランド電位)が、抵抗RSTを介して配線M1C1に供給され、配線M1C1およびプラグPG4aを介して、ダイオード形成領域RG2aのカソード用のn+型半導体領域NR2に供給される。
基板SUBにダイオードDDa,DDb,DDcを形成しているが、基板SUBはn型半導体により構成されている。このため、カソード用のn+型半導体領域NR2と、アノード用のp型半導体領域(p型半導体領域PR3a,PR3b,PR4およびp型ウエルPW2を合わせたもの)と、n型の基板SUB(エピタキシャル層EP)とにより、バイポーラトランジスタが形成されることになる。ダイオード形成領域RG2a(ダイオードDDa)のカソード用のn型半導体領域(NR2)とアノード用のp型半導体領域(PR3a,PR3b,PR4,PW2)とn型の基板SUBとにより形成されるバイポーラトランジスタをバイポーラトランジスタBP1と称す。ダイオード形成領域RG2b(ダイオードDDb)のカソード用のn型半導体領域(NR2)とアノード用のp型半導体領域(PR3a,PR3b,PR4,PW2)とn型の基板SUBとにより形成されるバイポーラトランジスタをバイポーラトランジスタBP2と称す。ダイオード形成領域RG2c(ダイオードDDc)のカソード用のn型半導体領域(NR2)とアノード用のp型半導体領域(PR3a,PR3b,PR4,PW2)とn型の基板SUBとにより形成されるバイポーラトランジスタをバイポーラトランジスタBP3と称す。図46は、ダイオードDDa,DDb,DDcにより形成した温度検知用ダイオードDD1の回路図であり、ダイオードDDa,DDb,DDcおよび基板SUBにより形成されたバイポーラトランジスタBP1,BP2,BP3がダーリントン接続された状態が示されている。
上記温度検知用のダイオードDD1を動作する際には、裏面電極BEおよび配線M1A1に、接地電位(グランド電位)よりも高い電圧(電位)を供給する。これにより、配線M1A1に配線M1C1よりも高い電圧が供給されることになるため、図46の回路図に示されるように、各ダイオードDDa,DDb,DDcでアノードからカソードに電流が流れる。しかしながら、このとき、バイポーラトランジスタBP1,BP2,BP3も動作して、裏面電極BEから各ダイオードDDa,DDb,DDcのカソード側に電流が流れる。
ダイオードDDcのアノードからカソードに流れる電流を電流IB3とし、ダイオードDDbのアノードからカソードに流れる電流を電流IB2とし、ダイオードDDaのアノードからカソードに流れる電流を電流IB1とし、ダイオードDDcのカソードから配線M1Aを経て抵抗RSTに流れる電流を電流IFとする。このとき、IB2=IB3+IC3かつIB1=IB2+IC2かつIF=IB1+IC1となる。ここで、裏面電極BE(n型の基板SUB)からダイオードDDcのカソードに流れる電流が電流IC3であり、裏面電極BE(n型の基板SUB)からダイオードDDbのカソードに流れる電流が電流IC2であり、裏面電極BE(n型の基板SUB)からダイオードDDaのアノードに流れる電流が電流IC1である。そして、IB1≒IF/hFE、IB2≒IF/(hFE)2、IB3≒IF/(hFE)3が成り立つ。
なお、バイポーラトランジスタBP1,BP2,BP3でみた場合、電流IB3はバイポーラトランジスタBP3のベース電流に対応し、電流IC3はバイポーラトランジスタBP3のコレクタ電流に対応する。また、電流IB2はバイポーラトランジスタBP2のベース電流に対応し、電流IC2はバイポーラトランジスタBP2のコレクタ電流に対応する。また、電流IB1はバイポーラトランジスタBP1のベース電流に対応し、電流IC1はバイポーラトランジスタBP1のコレクタ電流に対応する。また、hFEは、直流電流増幅率である。
図47は、電圧−電流特性を示すグラフであり、温度検知用ダイオードDD1の電圧−電流特性と、抵抗RSTの電圧−電流特性とが示されている。この温度検知用ダイオードDD1は、直列接続されたダイオードDDa,DDb,DDcにより形成され、実際には図46のようにダーリントン接続されたバイポーラトランジスタBP1,BP2,BP3により形成されている。
図47に示されるような電圧−電流特性を有する抵抗RSTおよび温度検知用ダイオードDD1を用いた場合には、ちょうど電圧V0および電流I0でつりあって、この電圧V0が温度検知用ダイオードDD1に印加されて電流I0が温度検知用ダイオードDD1に流れることになる(電流I0に等しい上記電流IFが流れる)。しかしながら、温度検知用ダイオードDD1は、温度が変わると電圧−電流特性も変化し、つりあう電圧V0および電流I0が変わるため、電圧V0および電流I0の一方または両方をモニタ(検知)することにより、温度検知用ダイオードDD1の温度を検知することができる。
また、温度検知用ダイオードDD1は、1つのダイオードDD、または直列接続した複数のダイオードDDにより形成することができる(図44〜図46の場合は3つのダイオードDDを直列接続している)。直列接続するダイオードDDの数を増やした方が、温度検知用ダイオードDD1の電圧−電流特性の温度依存性が大きくなり、温度検知用ダイオードDD1の電圧−電流特性の温度依存性が大きい方が、温度検知用ダイオードDD1による温度検知の精度を高めやすい。このため、温度検知用ダイオードDD1を、複数のダイオードDD(直列に接続した複数のダイオードDD)により形成することにより、温度検知用ダイオードDD1による温度検知の精度を、より向上させることができる。
また、本実施の形態および以下の実施の形態2,3では、半導体装置(半導体チップ)にフィールド絶縁膜FILを形成した場合について説明している。他の形態として、半導体装置(半導体チップ)全体に、フィールド絶縁膜FILが無い場合もあり得る。
(実施の形態2)
図48は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記図1に対応するものである。
p型半導体領域PR3bを形成せず、また、p型半導体領域PR3aの代わりにp型半導体領域PR3cを形成したこと以外は、本実施の形態2は、上記実施の形態1と基本的には同じである。以下、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
本実施の形態2では、図48に示されるように、ダイオード形成領域RG2において、p型半導体領域PR3bを形成せず、また、p型半導体領域PR3aの代わりにp型半導体領域PR3cを形成している。すなわち、上記実施の形態1では、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面(下面)全体がp型半導体領域PR3aに接していたが、本実施の形態2では、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面(下面)は、一部がp型半導体領域PR3cに接し、他部はp型ウエルPW2に接している。つまり、本実施の形態2では、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面(下面)は、p型半導体領域PR3cに接する部分とp型ウエルPW2に接する部分とがある。
p型半導体領域PR3cは、p型ウエルPW2よりも高不純物濃度であり、p型半導体領域PR3cの底面は、p型ウエルPW2の底面よりも浅い。p型半導体領域PR3cとp型ウエルPW2とは、互いに接しているため、電気的に接続されている。
ダイオードDDを形成するためのPN接合は、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面(下面)に形成されている点は、上記実施の形態1と本実施の形態2とで共通である。しかしながら、上記実施の形態1では、n+型半導体領域NR2とその直下のp型半導体領域PR3aとの間のPN接合により、ダイオードDDが形成されているのに対して、本実施の形態2では、n+型半導体領域NR2とその直下のp型半導体領域PR3cおよびp型ウエルPW2との間のPN接合により、ダイオードDDが形成されている。すなわち、本実施の形態2では、n+型半導体領域NR2とその直下のp型半導体領域PR3cとの間のPN接合と、n+型半導体領域NR2とその直下のp型ウエルPW2との間のPN接合とにより、ダイオードDDが形成されている。
また、本実施の形態では、上記p型半導体領域PR3bが形成されておらず、上記実施の形態1でp型半導体領域PR3bが形成されていた領域も、本実施の形態ではp型ウエルPW2となっている。このため、本実施の形態2は、p+型半導体領域PR4はp型ウエルPW2に接して電気的に接続されている。上記実施の形態1では、アノード用のp型半導体領域は、p型半導体領域PR3a,PR3b,PR4およびp型ウエルPW2により形成されていたが、本実施の形態2では、アノード用のp型半導体領域は、p型半導体領域PR3c,PR4およびp型ウエルPW2により形成されている。
p型半導体領域PR3cは、上記p型半導体領域PR1と同工程(同じイオン注入工程)で形成すれば、製造工程数を低減することができる。
本実施の形態の他の構成については、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態2においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本実施の形態2においても、カソード用のn+型半導体領域NR2は、溝TR2により平面的に囲まれている。これにより、ダイオードDDを形成するPN接合が、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面に形成される。このため、たとえイオン注入に伴う結晶欠陥(上記図35の比較例に関連して説明した結晶欠陥に対応)が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面付近に形成されていたとしても、その結晶欠陥が、ダイオードのPN接合に影響するのを防止できる。従って、ダイオードの特性を向上させることができ、トレンチゲート型MISFETおよびダイオードを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態2においても、ダミーゲート電極GEDは、フローティング電位ではなく、ダイオードDDのアノードまたはカソードに電気的に接続されていることにより、ダミーゲート電極GEDの電位が安定化するため、ダイオードの特性のばらつき(変動)を抑制または防止することができる。
また、n+型半導体領域NR2の直下に、n+型半導体領域NR2の底面の一部と接するように、p型ウエルPW2よりも高不純物濃度のp型半導体領域PR3cを設けたことで、上記図41の場合に比べて、ダイオード特性を安定させることができる(その理由は、上記p型半導体領域PR3aを設けた場合と同様である)。
しかしながら、製造工程数の低減や製造のしやすさの観点では、本実施の形態2よりも上記実施の形態1の方が有利である。これは、本実施の形態2では、n+型半導体領域NR2の直下の領域の一部のみにp型半導体領域PR3cを形成するため、p型半導体領域PR3c形成用のフォトレジストパターン(イオン注入のマスク用フォトレジストパターン)が必要となるためである。それに対して、上記実施の形態1では、n+型半導体領域NR2の直下の領域全体にp型半導体領域PR3aを形成するため、p型半導体領域PR3a形成用のフォトレジストパターン(イオン注入のマスク用フォトレジストパターン)は不要とすることができる。
(実施の形態3)
図49は、本実施の形態3の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記図1に対応するものである。
p型半導体領域PR3aの一部の直下にp型ウエルPW2が形成されていないこと以外は、本実施の形態3は、上記実施の形態1と基本的には同じである。以下、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
本実施の形態2では、図49に示されるように、ダイオード形成領域RG2において、p型半導体領域PR3aの下にp型ウエルPW2が形成されている領域とp型ウエルPW2が形成されていない領域とがある。すなわち、p型半導体領域PR3aの一部の直下にはp型ウエルPW2が形成されてp型半導体領域PR3aとp型ウエルPW2とが接しているが、p型半導体領域PR3aの他部の直下にはp型ウエルPW2が形成されておらず、そこではp型半導体領域PR3aとn型のエピタキシャル層EPとが接している。このため、p型半導体領域PR3aの底面(下面)の一部にp型ウエルPW2が接し、p型半導体領域PR3aの底面(下面)の他部にp型ウエルPW2が接していない(n型のエピタキシャル層EPが接している)状態となっている。
但し、溝TR2の下にもp型ウエルPW2が延在している点は、上記実施の形態1と本実施の形態3とで共通である。このため、本実施の形態3においても、p型半導体領域PR3aは、p型半導体領域PR3aの直下に位置する部分のp型ウエルPW2と、溝TR2の下に位置する部分のp型ウエルPW2とを介して、溝TR2を挟んでn+型半導体領域NR2に隣接する領域のp型半導体領域(p型ウエルPW2、p型半導体領域PR3bおよびp+型半導体領域PR4)に電気的に接続することができる。これにより、本実施の形態3においても、アノード用の配線M1A(プラグPG3)を、p型半導体領域を経由して、カソード用のn+型半導体領域NR2の直下のp型半導体領域(p型半導体領域PR3a)まで電気的に接続することが容易に実現できる。
本実施の形態の他の構成については、上記実施の形態1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態3においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本実施の形態3においても、カソード用のn+型半導体領域NR2は、溝TR2により平面的に囲まれている。これにより、ダイオードDDを形成するPN接合が、カソード用のn+型半導体領域NR2の底面に形成される。このため、たとえイオン注入に伴う結晶欠陥(上記図35の比較例に関連して説明した結晶欠陥に対応)が基板SUB(エピタキシャル層EP)の表面付近に形成されていたとしても、その結晶欠陥が、ダイオードのPN接合に影響するのを防止できる。従って、ダイオードの特性を向上させることができ、トレンチゲート型MISFETおよびダイオードを備える半導体装置の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態3においても、ダミーゲート電極GEDは、フローティング電位ではなく、ダイオードDDのアノードまたはカソードに電気的に接続されていることにより、ダミーゲート電極GEDの電位が安定化するため、ダイオードの特性のばらつき(変動)を抑制または防止することができる。
また、本実施の形態3(図49)と上記実施の形態1(図1など)とを比べると、p型半導体領域PR3aの一部の直下にp型ウエルPW2が形成されていない本実施の形態3よりも、p型半導体領域PR3aの直下全体にp型ウエルPW2が形成されている上記実施の形態1の方が、より好ましい。その理由の一つは、次のようなものである。
ダイオードのカソード用のn型半導体領域(NR2)とアノード用のp型半導体領域(PR3a,PR3b,PR4,PW2)とn型の基板SUBとで形成されるバイポーラトランジスタ(上記バイポーラトランジスタBP1,BP2,BP3に相当するもの)のhFE(直流電流増幅率)は、本実施の形態3(図49)よりも、上記実施の形態1(図1など)の方が小さくなる。これは、本実施の形態3では、p型半導体領域PR3aの一部の直下にp型ウエルPW2が形成されていないのに対して、上記実施の形態1では、p型半導体領域PR3aの直下全体にp型ウエルPW2が形成されているためである。
温度検知用ダイオードDD1を、直列接続した複数のダイオードDDにより形成し、その直列接続数を多くすることにより、温度検知用ダイオードDD1の電圧−電流特性の温度依存性が大きくすることができ、それによって、温度検知用ダイオードDD1による温度検知の精度を高めることができる。しかしながら、hFEが大きいと、ベース電流(ダイオードDDに流れる電流)が小さくなるため、ダイオードDDを直列接続する段数を多くする効果が薄れてくる。このため、hFEは、ある程度低くすることが好ましい。従って、p型半導体領域PR3aの一部の直下にp型ウエルPW2が形成されていない本実施の形態3よりも、p型半導体領域PR3aの直下全体にp型ウエルPW2が形成されている上記実施の形態1の方が、より有利である。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。