JP5892576B2 - 上皮再構築体の作成方法及び該上皮再構築体を用いたスクリーニング方法 - Google Patents

上皮再構築体の作成方法及び該上皮再構築体を用いたスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、上皮細胞を培養して上皮再構築体を作成する方法に関するものであり、より詳細には、上皮細胞を初期増殖する工程、培養する工程を特定の酸素濃度のガス雰囲気下で行うことを特徴とする上皮再構築体の作成方法及び該上皮再構築体を用いたスクリーニング方法に関するものである。
ヒト等の動物の上皮細胞を増殖させた培養細胞や該培養細胞から再構築させた構築体は、動物実験代替法の一つの実験モデルとして用いられている。また、患者から採取して細胞を培養し、該培養細胞を再構築して患者に適用する技術も実用化されている。
皮膚外用剤や化粧料等の研究においては、前記したような上皮再構築体は、ヒト皮膚モデルとして、安全性試験や皮膚生理試験に用いられており、このような皮膚モデルは各種市販もされている。これらヒト皮膚モデルは、メンブレンやコラーゲンゲル、デエピダーミストダーミス(de-epidermised dermis)等の支持体上に角化細胞を播種して、浸漬培養、気相・液相培養することで、実際の皮膚と同様の上皮各層(基底層、有棘層、顆粒層、角層)からなる上皮が形成されている。
従来のヒト皮膚モデルは、細胞培養を大気中の酸素濃度である20%程度で行うものが殆どであり、細胞の分化も早く、市販品によっては納品後48時間以内に使用する等の注意書きが付されている。
しかしながら、生体を用いた皮膚の安全性試験や皮膚生理試験においては、数日〜数十週間の期間に渡って試験を継続する場合が多く、特に、皮膚のターンオーバーに関連する試験を行う場合には4週間以上の期間が必要である。皮膚モデルを用いて、これらの試験を行うためには、皮膚モデル中の細胞が角化せず未分化状態を維持している必要があるが、従来のヒト皮膚モデルでは、これら試験を行うことが困難であった。
このため、細胞の寿命を延長させ、増殖を上昇させるために、様々な技術が開発され報告されている。例えば、細胞培養の第一工程となる継代培養工程を酸素濃度1%未満のガス雰囲気で行い、第二工程となる重層化培養工程を酸素濃度20%程度のガス雰囲気で行う技術(特許文献1)等が挙げられる。
特開2005−168398号公報
しかしながら、細胞培養の第一工程となる継代培養工程を酸素濃度1%未満のガス雰囲気で行い、第二工程となる重層化培養工程を酸素濃度20%程度のガス雰囲気で行う技術においては、細胞の延命は期待できるが、細胞の分化は促進され、未分化細胞を長期間維持できる技術ではなかった。
従って、細胞の分化を抑制し、未分化細胞を長期間維持できる上皮再構築体の作成方法の開発が求められていた。
上記実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、培養酸素濃度が3体積%(以下、「%」とする)以上8%以下のガス雰囲気下で上皮細胞を増殖、培養することにより、細胞の分化を抑制し、未分化細胞を長期間維持できることを見出した。そして、上皮細胞を初期増殖する第一の培養工程、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する第二の培養工程と、該培養容器内で分化誘導させる第三の培養工程を含む三次元的な上皮再構築体を作成する方法であって、前記全ての工程を培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で行うことにより、長期間未分化細胞を維持できる上皮再構築体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
更には、前記上皮再構築体を用いることにより、従来では不可能であった長期間に渡る薬剤の評価又はスクリーニングが可能であることを見出し、本発明を完成させた。また、前記上皮再構築体を用いることにより、皮膚外用剤や化粧料についても、従来では不可能であった長期間に渡る評価又はスクリーニングが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
そして、前記皮膚構築体を用いることにより、皮膚のターンオーバーを指標とするスクリーニングが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[15]に係わる発明である。
[1] 上皮細胞を初期増殖する第一の培養工程、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する第二の培養工程と、該培養容器内で分化誘導させる第三の培養工程を含む三次元的な上皮再構築体を作成する方法であって、少なくとも第二の培養工程及び第三の培養工程を培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で行うことを特徴とする上皮再構築体の作成方法。
[2] 上皮細胞を初期増殖する第一の培養工程、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する第二の培養工程と、該培養容器内で分化誘導させる第三の培養工程を含む三次元的な上皮再構築体を作成する方法であって、前記全ての工程を培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で行うことを特徴とする上皮再構築体の作成方法。
[3] 上皮細胞がヒト上皮細胞であることを特徴とする前記[1]又は[2]記載の上皮再構築体の作成方法。
[4] 培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、増殖された上皮細胞を培養容器に播種して該培養容器内で培養し、更に該培養容器内で分化誘導させることにより作成された三次元的上皮再構築体を用いることを特徴とする薬剤の評価又はスクリーニング方法。
[5] 培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、増殖された上皮細胞を培養容器に播種して該培養容器内で培養し、更に該培養容器内で分化誘導させることにより作成された三次元的上皮再構築体を用いることを特徴とする皮膚外用剤の評価又はスクリーニング方法。
[6] 培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、増殖された上皮細胞を培養容器に播種して該培養容器内で培養し、更に該培養容器内で分化誘導させることにより作成された三次元的上皮再構築体を用いることを特徴とする化粧料の評価又はスクリーニング方法。
[7] 培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、増殖された上皮細胞を培養容器に播種して該培養容器内で培養し、更に該培養容器内で分化誘導させることにより作成された三次元的上皮再構築体を用いることを特徴とする薬剤、皮膚外用剤又は化粧料に使用するための被験物質の評価又はスクリーニング方法。
[8] 予め、培養酸素濃度が3%以上23%以下のガス雰囲気下で上皮細胞を初期増殖することを特徴とする前記[4]〜[7]の何れか1記載の評価又はスクリーニング方法。
[9] 皮膚のターンオーバーを指標とすることを特徴とする前記[4]〜[8]の何れか1記載の評価又はスクリーニング方法。
[10] 培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で増殖された上皮細胞の培養、該培養容器内での分化誘導を少なくとも行って、三次元的な上皮再構築体を作成する工程、
該三次元的上皮再構築体に被験物質を投与して培養する工程、
投与後培養された三次元的再構築体を判定する工程を行うことを特徴とする、薬剤、皮膚外用剤又は化粧料の評価又はスクリーニング方法。
[11] 前記三次元的な上皮再構築体を作成する工程が、上皮細胞を初期増殖する培養工程、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する培養工程及び該培養容器内で培養して分化誘導させる培養工程を含むことを特徴とする前記[10]記載の評価又はスクリーニング方法。
[12] 前記被験物質を投与する前に、培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、三次元的上皮再構築体を培養する培養工程を含むことを特徴とする前記[10]又は[11]記載の評価又はスクリーニング方法。
[13] 前記評価又はスクリーニングが、安全性及び/又は薬理性のためのものである前記[10]〜[12]の何れか1記載の評価又はスクリーニング方法。
[14] 前記薬理性が、しわ予防改善作用、皮膚老化予防改善作用、皮膚炎症予防改善作用、日焼け防止作用、美白作用又は皮膚収れん作用についてのいずれか一つ以上のものである前記[13]記載の評価又はスクリーニング方法。
[15] 次の(a)及び(b)工程を含み、該(a)及び(b)工程を培養酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で行う、三次元的な上皮再構築体を作成する方法により得られた三次元的上皮再構築体。
(a)増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する培養工程
(b)該培養容器内で分化誘導させる培養工程
本発明によれば、長期間未分化細胞を維持できる上皮再構築体を得ることができる。更に該上皮再構築体を用いることにより、皮膚安全性試験や皮膚生理試験等の評価或いは薬剤や皮膚外用剤、化粧料等又はこれに使用する被験物質のスクリーニング等が可能となる。
培養酸素濃度の違いによる上皮再構築体(5%O;本発明の上皮再構築体/20%O;比較の上皮再構築体)の断面像である。 培養酸素濃度の違いによる上皮細胞のインボルクリン及びGAPDHの発現状態(5%O;本発明の上皮細胞/20%O;比較の上皮細胞)を表した電気泳動バンド図である。 培養酸素濃度の違いによる上皮細胞のインボルクリンの発現状態(5%O;本発明の上皮細胞/20%O;比較の上皮細胞)を表した染色像である。 本発明の上皮再構築体に、抗酸化剤(blank(無添加)、SOD(添加)、NAC(添加)、VC−PMg(添加))を適用後、更に通常の培養酸素濃度環境下にて、培養した状態を表した断面像である。 本発明の上皮再構築体に、紫外線照射後、更に低濃度の培養酸素濃度環境下にて、培養した状態を表した断面像である。
本発明において上皮細胞とは、その由来は特に限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ブタ、ウシ等の動物から採取された種々の細胞を用いることができる。また、上皮細胞としては、皮膚上皮角化細胞あるいは口腔粘膜の上皮細胞、眼の角膜細胞等が挙げられる。これらの内で、最も好ましいのは、ヒト由来の角化細胞である。このような上皮細胞は、ヒト新生児包皮由来細胞等の市販品を用いることができる。
本発明における第一の培養工程は、上皮細胞を初期増殖させる工程であり、培養容器底面に播種した上皮細胞を細胞増殖用培地にて増殖させる工程である。
この増殖工程の培養中のガス雰囲気は、後述の第二、第三の培養工程にて培養中のガス雰囲気が低酸素濃度であれば、低酸素濃度〜通常の酸素濃度でもよい。当該酸素濃度範囲内であれば、形成される三次元的上皮再構築体の長期間培養ができるので有利であるが、低酸素濃度とするのが、未分化細胞を長期間維持できるので、好適である。
ここで、「低酸素濃度」とは、培養中のガス雰囲気の酸素濃度(以下、「培養酸素濃度」ともいう)が3%以上8%以下(以下、「3〜8%」ともいう)であり、好ましくは4〜7%、より好ましくは4〜6%である。
また、「通常の酸素濃度」とは、通常の大気中の酸素濃度に近い約20%程度、具体的には17〜23%程度であり、好ましくは18〜22%である。
また、「低酸素濃度〜通常の酸素濃度」とは、低酸素濃度の下限〜通常の酸素濃度の上限の範囲であり、具体的な培養酸素濃度は3〜23%程度であり、好ましくは4〜22%程度である。
このときのガス雰囲気中の二酸化炭素濃度は、約5%程度、具体的には4〜7%程度であり、好ましくは4〜6%である。また、ガス雰囲気における酸素及び二酸化炭素以外のガスは、窒素であることが好ましい。
第一の培養工程に用いる細胞増殖用培地は、市販されている細胞増殖用培地であれば何れも用いることができる。また、この培地は、第一の培養工程中、2〜3日に一回交換することが好ましい。
上皮細胞を播種する細胞の数は、特に限定されないが、通常5×10〜2×10cells/cmの範囲であることが好ましく、2×10〜8×10cells/cmの範囲がより好ましい。
第一の培養工程は、播種した上皮細胞が、シャーレ等の培養容器底面内に対してサブコンフルエントもしくはコンフルエントになるまで増殖させるものであり、数日〜10日程度増殖させることが好ましい。
本発明における第二の培養工程は、第一の培養工程で初期増殖させた上皮細胞を、上皮再構築体を作成するための培養インサート等の培養容器で、増殖培養する工程である。
この培養工程の培養中のガス雰囲気は、形成される三次元的上皮再構築体の長期間の培養を可能にする点で、上述の如き低酸素濃度とするのが重要である。
なお、第二の培養工程における低酸素濃度及びガス雰囲気は、上述の「第一の培養工程」と同様である。
第一の培養工程により増殖した上皮細胞をシャーレから剥がして回収し、回収した上皮細胞を細胞増殖用培地中に分散し、支持体としての培養インサートの液透過性膜底面に添加し、培養インサート外側も同じ細胞増殖用培地で満たし培養する。
培養インサートに添加する増殖された上皮細胞の数は、特に限定されないが、通常1×10〜1×10cells/cmの範囲であることが好ましく、5×10〜1.5×10cells/cmの範囲がより好ましい。
培養インサートの液透過性膜は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等を用いてもよく、さらに膜にコラーゲンやラミニン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスやポリL-リジン等の細胞の接着を補助するものをコーティングしてもよい。
更に、支持体として培養インサートを用いる他に、コラーゲンゲル、コラーゲンスポンジもしくは上皮や線維芽細胞が除去された無細胞化真皮を用いても良い。これらを支持体として用いる場合には、適宜線維芽細胞を組み込んでもよい。また、これらの支持体には支持体表面にガラスリングを設置し、その中に上皮細胞の細胞懸濁液を添加するのが好ましい。上皮細胞の細胞懸濁液中には、上皮由来の他の細胞を混合させてもよい。
第二の培養工程は、上皮細胞が培養インサート底面に対してコンフルエントになるまで培養させるものであり、数日間程度(1〜6日間程度、好ましくは2〜4日間程度)培養させることが好ましい。また、この間、培地を適宜交換してもよい。
本発明における第三の培養工程は、培養された上皮細胞を分化誘導する工程であり、この工程は上皮細胞が三次元化し重層化してくる工程である。
本発明における第三の培養工程では、第二の培養工程での培養インサート内の細胞増殖用培地から細胞分化用培地に変え、当該細胞分化用培地にて上皮細胞を培養(浸漬)した後、さらには、この上皮細胞表面を気相に暴露し、上皮細胞を培養する。斯様に上皮細胞表面を気相に暴露させることによって、上皮細胞の分化と重層化を誘導する。
なお、第三の培養工程における「気相」とは、「ガス雰囲気」と同義であり、これは「低酸素濃度」のものである。これら「低酸素濃度」及び「ガス雰囲気」は、上述の「第一の培養工程」と同様である。
第三の培養工程で用いる細胞分化用培地とは、細胞を組織化する培地であり、一般的にはカルシウム濃度の高い培地(例えば、カルシウム濃度1.2〜1.5mM程度)が用いられ、細胞増殖用培地のカルシウム濃度を上げたものを使用することが可能である。また、市販されている細胞分化用培地であれば何れも用いることができる。
第三の培養工程における細胞分化用培地中での培養(浸漬)時間は、14〜20時間程度とするのが好ましい。また、暴露後の培養期間は、特に限定されず、実験の目的によって自由に設定する事が可能であり、特に暴露後2週間以上の長期間(例えば2〜12週間)にわたり培養を維持できるのが本発明の特徴である。
上述の如く、本発明では、培養酸素濃度を3〜8%の範囲になるように調整することが特徴であり、それにより、長期間未分化細胞を維持できる上皮再構築体を得ることができる。
また、第一の培養工程〜第三の培養工程の全工程を、培養酸素濃度が3〜8%のガス雰囲気下で行うことによっても、長期間未分化細胞を維持できる上皮再構築体を得ることができる。
更に、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する培養工程と、該培養容器内で分化誘導させる培養工程とを、培養酸素濃度が3〜8%のガス雰囲気下で行うことでも前記上皮再構築体を得ることは可能である。
これに対し、三次元的上皮再構築体を形成する一般的な培養方法での培養工程における分化誘導は、細胞を気相(酸素濃度20%程度)に暴露させることにより行われるが、培養酸素濃度20%のガス雰囲気下で三次元的上皮再構築体を形成する場合では、上皮細胞の分化の進行が早く、早期に角化してしまうため、本発明の課題を解決し得ない。また、上皮細胞の培養工程を酸素濃度1%未満のガス雰囲気下で行う場合では、細胞の延命は期待できるが、細胞の増殖が低下し良好な再構築体が形成されないため本発明の課題を解決し得ない。
なお、本発明における各培養工程の培養温度は由来動物の体温付近であればよく、具体的にはヒト上皮細胞の場合は、36〜38℃程度とするのが好適である。また、未分化細胞を長期間維持できるように、本発明の三次元的上皮再構築体を培養する際に、培地中に抗酸化剤等を配合していてもよい。
上述の如き、培養酸素濃度が低濃度のガス雰囲気下で行う、上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する第二の培養工程及び該培養容器内で培養して分化誘導させる第三の培養工程を少なくとも含む三次元的な上皮再構築体を形成する方法により、本発明の三次元的上皮再構築体を得ることができる。そして、本発明の三次元的上皮再構築体は、従来の方法にて得られた再構築皮膚にはない、以下に示すような優れた特性を有する新規な再構築皮膚である。
本発明の方法により得られる三次元的上皮再構築体(以下、「本発明の再構築皮膚」ともいう)は、酸素濃度20%のガス雰囲気下で形成された従来の再構築皮膚の角化が数日間で進行するのに対し、長期間未分化細胞を維持することができる。また、本発明の再構築皮膚は通常の生体皮膚と同様に未分化細胞マーカーであるタンパク質が確認できる。
また、本発明の再構築皮膚は、動物実験代替法の一つの実験モデル(皮膚モデル等)として用いることもできる。例えば、薬剤、皮膚外用剤若しくは化粧料等又はこれらに使用するための被験物質の評価又はスクリーニングに用いることもできる。
また、本発明の再構築皮膚は、健常者や患者等の対象者から採取して上皮細胞を培養し、該培養細胞を再構築して対象者に適用する技術(オーダーメイド医療)にも利用可能である。対象者の細胞から本発明の方法にて得られた三次元的上皮再構築体は、その対象者自身の皮膚(免疫機構や代謝機構等)に近い状態のものとして利用することも可能となる。すなわち、対象者由来の本発明の再構築皮膚を、例えば、皮膚移植、薬量や副作用の見積り等に利用することが可能である。
本発明の方法により得られる再構築皮膚を実験モデルとして使用する方法としては、本発明の再構築皮膚を従来の空気暴露する方法により得られる再構築皮膚に、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等を投与(以下、「塗布」も含む)して、その細胞の角化する状態を互いに比較することにより、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等を評価、スクリーニングすることが可能である。
また、本発明の方法により得られる再構築皮膚をそのまま実験モデルとして用いることも可能であり、酸素濃度が3%以上8%以下のガス雰囲気下で、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等を投与して、その状態変化を観察することにより、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等を評価、スクリーニングすることが可能である。そして、この方法によれば、従来は不可能であった皮膚のターンオーバーを指標とするスクリーニングが可能となる。
すなわち、本発明の評価又はスクリーニング方法は、低酸素濃度〜通常の酸素濃度の環境下で、上述にて得られた三次元的上皮再構築体(場合によっては気相暴露後のその前駆体)に被験物質を投与して培養する工程(以下、「被験物質投与培養工程」ともいう)、投与後培養された三次元的再構築体を判定する工程(以下、「判定工程」ともいう)を行うことを含む。
この三次元的上皮再構築体は、上述の如き培養酸素濃度が3〜8%のガス雰囲気下で上皮細胞の増殖培養及び分化誘導を少なくとも行って、三次元的な上皮再構築体を作成する工程にて得ることが可能である。
具体的には、前記三次元的な上皮再構築体作成工程には、上述の如く、培養酸素濃度が3〜8%のガス雰囲気下で、増殖された上皮細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する培養工程及び該培養容器内で培養して分化誘導させる培養工程を少なくとも含む。この2工程及びその培養酸素濃度等は上述のとおりである。
この工程前に、上述の初期増殖をさせる培養工程を含んでもよい。この工程及びその培養酸素濃度は上述のとおりである。
また、前記被験物質投与培養工程における培養は、従来の再構築皮膚の培養と同様の手法にて通常の培養を行えばよい。例えば、低酸素濃度〜通常の酸素濃度の環境下で、一定期間培養を行えばよい。
この低酸素濃度〜通常の酸素濃度は、上述のとおりであるが、好ましくは上述の低酸素濃度である。
また、前記被験物質投与培養工程において、低酸素濃度〜通常の酸素濃度の環境下で、紫外線を一定時間連続的又は不連続的に照射する工程を含んでもよい。この紫外線照射の時期は、目的に応じて適用すればよく、投与前、投与後や投与中の何れでもよい。このときの培養酸素濃度は、上述の如く、低酸素濃度が好ましい。
前記評価又はスクリーニングは、安全性及び/又は薬理性に関するものが例示されるがこれに限定するものではない。
具体的には、本発明の再構築皮膚に、低酸素濃度〜通常の酸素濃度の環境下で薬剤や皮膚外用剤、化粧料等又はこれらに使用するための被験物質を投与して、培養を行う。この際、対照として、未投与の本発明の再構築皮膚を用いるのが、その細胞の角化する状態を互いに比較することにより判定が正確かつ容易に行うことができるので、好適である。なお、必要に応じて従来の再構築皮膚を用いてもよい。
このように本発明の再構築皮膚を用いれば、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等又はこれらに使用するための被験物質を評価又はスクリーニングすることが可能となる。
また、本発明の再構築皮膚は、少量採取した上皮細胞から生体皮膚に近い状態の再構築皮膚が得られることから、被験者数を多くでき、得られた結果データの信頼性が高まり、かつ比較的短期間で結果を得ることができるので、従来の評価又はスクリーニング法よりも有利である。
しかも、本発明の再構築皮膚を用いれば、皮膚のターンオーバーを指標とする評価又はスクリーニングも良好となる。皮膚のターンオーバーは4週間程度といわれているが、従来の再構築皮膚では未分化細胞を長期間維持することが困難であったことから、この点でも本発明の再構築皮膚はより生体皮膚に近い性質を有しており、評価・スクリーニングにおいて有利である。
ここで、安全性評価や薬理性評価やスクリーニングの(判定)基準としては、一般的に行われている安全性薬理試験や安全性薬理性評価を用いればよい。特に、本発明は再構築皮膚であるので、皮膚に関連する安全性薬理試験や安全性薬理性評価(例えば皮膚生理試験)を用いるのが好適である。
前記安全性試験・評価としては、例えば、細胞増殖阻害や細胞死等を指標とした細胞毒性試験が挙げられる。
前記薬理性試験や評価としては、例えば、しわ予防改善、皮膚老化予防改善、皮膚炎症予防改善、日焼け防止、美白、皮膚収れん、化粧膜形成能、肌荒れ状態、肌水分量増減等の試験・評価が挙げられる。
また、安全性や薬理性に関連する作用メカニズム(作用機序)についても試験・評価することも可能である。この作用機序としては、例えば、抗酸化作用、メラニン産生抑制作用、チロシナーゼ作用等が挙げられる。
このとき、安全性や薬理性を判定する際の指標としては、評価や試験項目に応じて公知の方法を適宜選択すればよく、例えば染色法による顕微鏡観察、画像解析法、水分量分析、遺伝子発現量分析(インボルクリン、GAPDH等)等が挙げられる。この遺伝子発現量分析としては、例えば、PCR法や等温増幅法、抗原抗体反応等を利用したものが挙げられる。
なお、これらを適宜組み合わせても良い。
更に、より具体的な本発明の評価又はスクリーニング法を、以下に挙げるが、これに限定されるものではない。
例えば、紫外線による皮膚ダメージの程度からの回復を見るために、紫外線を照射した後、本発明の再構築皮膚を低酸素濃度又は通常の酸素濃度にて1〜4週間程度培養を行なうことができる。また、各種薬剤の効果を比較するために比験物質を投与した本発明の再構築皮膚を低酸素濃度又は通常の酸素濃度にて1〜4週間程度培養を行なう事も可能である。
対照の再構築皮膚の状態と比較して、再構築皮膚の状態(未分化性維持等)を判定する。
未分化性維持の判定に関して、詳細に説明すると、一例として、低酸素環境下での細胞の未分化性維持については、分化誘導した培養細胞のインボルクリン発現状態を免疫染色像として蛍光観察により判定する。このとき対照として通常酸素環境下において培養した細胞を用いる。この染色は、抗インボルクリン抗体及びこれに対応する蛍光標識抗体を用いて、一次抗体反応次いで二次抗体反応によって行う。
また、上述の方法で培養した細胞を採取し、インボルクリン及びGAPDHの発現状態をPCR法、次いでアガロースゲル染色法等にて発現量を染色強度から判定する。
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実施例1
第一の培養工程:通常の大気下で、ヒト新生児包皮由来細胞(凍結されている市販品)を温浴中で細胞を融解した後、細胞増殖用培地にて1×10cells/cmの細胞懸濁液を調製し、100mmシャーレに10mL添加する。その後酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%のガス雰囲気下(以下、「低酸素濃度環境下」ともいう)、37℃、湿潤下にて、細胞が培養シャーレに対してサブコンフルエントもしくはコンフルエントになるまで7日間増殖させる。なお、培地は2日もしくは3日に一回交換した。
第二の培養工程:通常の大気下で、第一の培養工程で増殖した細胞を酵素にてシャーレから剥がし、回収する。回収した細胞は細胞増殖用培地にて5×10cells/cmに調製し、セルカルチャーインサート(フィルター直径:12mm、フィルター材質:ポリカーボネート)に400μL添加する。インサートは60mmシャーレに必要個数設置した後、インサートの外側にも細胞増殖用培地をインサート内の液面と同じ高さになるまで添加する。細胞を播種した後、低酸素濃度環境下で、インサート底面に対してコンフルエントになるまで細胞増殖用培地を用い、細胞がコンフルエントになるまで3日間培養させた。
第三の培養工程:第二の培養工程で上皮細胞がコンフルエントになった後、通常の大気下で培地を細胞分化用培地に変えた。上皮細胞の分化誘導を行うため、低酸素濃度環境下、細胞分化用培地で16時間浸漬培養し、上皮細胞表面を気相に暴露し、更に培養することで上皮再構築体を得た。
比較例
前記実施例の第一工程から第三工程の全てを空気中(酸素濃度20%)で行って上皮再構築体を得た。
(上皮再構築体の断面像観察)
実施例1及び比較例2で得られた上皮再構築体の5週間後と、8週間後の断面像を図1に示した。この図1より、培養酸素濃度5%の雰囲気下で得られた実施例の上皮再構築体は、培養酸素濃度20%の雰囲気下で得られた比較例の上皮再構築体より、角化が抑制されており、8週間たっても角層の下に生細胞が存在していることが確認できる。
上皮細胞の未分化性維持については、分化誘導した培養細胞のインボルクリン発現状態を免疫染色像として蛍光観察により判定した。このとき対照として通常酸素環境下において培養した細胞を用いた。この染色は、抗インボルクリン抗体及びこれに対応する蛍光標識抗体を用いて、一次抗体反応次いで二次抗体反応によって行った。
また、上述の方法で培養した細胞を採取し、インボルクリン及びGAPDHの発現状態をPCR法、次いでアガロースゲル染色法等にて発現量を染色強度から判定した。
(上皮細胞のインボルクリンの発現状態を表した染色像)
細胞を分化培地に浸漬させた状態にて0日、1日、3日、7日の時点で以下の染色を行った。各時点においてカバーグラス上に接着した細胞をウェル中でPBSにて洗浄し、固定処理をした後、細胞の透過処理をした。透過処理後、再度PBSにて洗浄した後、カバーグラス上に抗インボルクリン抗体を添加し、室温下で2時間、湿潤箱中にて反応を行った。洗浄後、蛍光色素標識二次抗体およびDAPIをPBSにて反応を行った。反応終了後PBSにて洗浄し、スライドグラスに封入し観察した。
図3より、培養酸素濃度5%の雰囲気下で得られた実施例の上皮細胞は、7日目においてもインボルクリンの発現が抑制されているのに対して、酸素濃度20%の雰囲気下で得られた比較例の上皮細胞では3日目から強い発現が確認できた。
(上皮再構築体のインボルクリン及びGAPDHの発現状態)
細胞を分化培地に浸漬させた状態にて0日、1日、3日、7日の時点で採取した細胞からRNAを抽出した後、cDNAを調製した。次いで、cDNAを調製した後、Involucrin primerもしくはGAPDH primerを用い、それぞれのPCR生成物を調製した。そして、調製されたPCR生成物を用い、2%アガロースゲルにて泳動を行った。泳動後、ゲルはLonza社製 SYBR(登録商標) Green I Nucleic Acid Gel Stainにて染色を行い、FUJIFILM社製 LAS4000にて撮影を行った後、解析を行った。
(1)Involucrin
インボルクリンは上皮細胞が増殖能を失い、分化した際に特徴的に発現するタンパク質であり、代表的な上皮細胞の分化マーカーであり、図2の(1)より、酸素濃度5%の雰囲気下で得られた実施例の上皮細胞は、7日目まで発現が弱いのに対して、酸素濃度20%の雰囲気下で得られた比較例の上皮細胞では分化1日目から強い発現が確認できた。
(2)GAPDH
GAPDHは糖からエネルギーを作る解糖系に関わる主要なタンパク質であり、図2の(2)より、培養酸素濃度20%の雰囲気下で得られた実施例の上皮細胞は、酸素濃度5%の雰囲気下で得られた比較例の上皮細胞に比べ、上皮細胞は経時的に分化(増殖する能力を失う、細胞が死んでゆく方向)していくことが各種解析からわかっており、分化したことによりエネルギーを産生する機構に関わる当タンパク質の発現が減衰していることが示唆されている。
上述のことから、実施例1で得られた三次元的上皮再構築体は、長期間未分化細胞を維持できることが確認できた。
参考例2
上記実施例1の第一の培養工程のガス雰囲気下を、約20%程度の通常酸素濃度(窒素濃度約75%、二酸化炭素濃度5%)のガス雰囲気下に代えて、培養を行い、上皮再構築体を得た。上記実施例1と同様の上皮再構築体を得ることができた。すなわち、第二の培養工程及び第三の培養酸素濃度を低濃度(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%のガス雰囲気下、培養温度37℃)にすることにより、長期間未分化細胞を維持できる三次元的上皮再構築体を得ることができることが確認できた。
試験例1:実施例1の三次元的上皮再構築体を用いた、通常酸素環境下にて抗酸化剤の評価又はスクリーニング
[製造例1]
実施例1の三次元的上皮再構築体の作成方法に準じて、試験例1に使用するための三次元的再構築体を得た。具体的には、第三の培養工程において、上皮細胞を分化培地中にて16時間浸漬培養した後、細胞表面を気相(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%のガス雰囲気下、温度37℃)に暴露し、引き続き、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度90%のガス雰囲気下、培養温度37℃にて5日間培養した。
[抗酸化剤の評価]
三次元的再構築体が存在する培養インサート外側の培地を以下に示す各種抗酸化剤を添加した培地に変え、通常酸素環境下(酸素濃度20%、二酸化炭素濃度5%、窒素濃度75%のガス雰囲気下)、温度37℃で、培養を行った。対照として、各種抗酸化剤を添加しない以外は、製造例1で得られた三次元的再構築体を同様に培養を行った。
そして、抗酸化剤添加時期を基準として、1,2,4週間後に、HE染色にて形態を評価した。
〔抗酸化剤〕
SOD: Superoxide Dismutase Solution(和光純薬工業社製) 45kunitを最終濃度1000unit/mLになるように添加した。
NAC:N-acetyl-L-cystein(Sigma社製)を最終濃度2mMになるように添加した。
VC-PMg:Magnesium Ascorbyl Phosphate(和光純薬工業社製)を最終濃度250μMになるように添加した。
〔HE染色法〕
再構築体の薄切切片をヘマトキシリン液にて5分間染色、水洗した後、エオシン液にて5分間染色を行った。染色後、水洗、脱水工程を行った後、カバーグラスにて封入し、観察標本とした。
対照の抗酸化剤無添加の再構築皮膚は、4週間目において角化が拮抗し、生細胞層がほとんど消失しているのに対して、用いた抗酸化剤すべてにおいて生細胞層の維持が見られ、これら抗酸化剤が再構築皮膚の維持に有用であることが確認された。
このように既知の抗酸化剤において再構築皮膚の維持に有用であることが認められたことから、本発明の再構築皮膚を用いれば、新規の抗酸化剤のスクリーニングや皮膚モデル(場合によっては対象者由来の皮膚)の安全性や薬理性評価を行うことが可能である。
試験例2:実施例1の三次元的上皮再構築体を用いた、紫外線刺激の評価又はスクリーニング
[製造例2]
上記製造例1での気相暴露後の培養期間「5日間」を「3週間」に代えた以外は、上記製造例1と同様にして三次元的再構築体を得た。
[紫外線刺激環境下での評価]
製造例2の三次元的再構築体に200mJ/cmのUVBを照射し、引き続き低酸素環境下で分化培地にて培養を行った。
そして、紫外線照射時期を基準として、1、2、3、5週間後に、HE染色にて形態を評価した。HE染色は上述のとおりである。
低酸素環境下で培養した再構築皮膚はUVB照射5週間後も生細胞層が角化せずに形態が維持されていた。 すなわち、本発明の再構築皮膚は一定期間形態が維持されているので、通常の皮膚と同様の評価を行うことが可能であり、医薬品、皮膚外用剤、化粧料等やこれに適用する目的物質(例えば、紫外線防止剤)をスクリーニング又は評価するために、利用することが可能である。
本発明の方法によれば、長期間未分化細胞を維持でき、生体皮膚に近い上皮再構築体を得ることができる。該上皮再構築体を用いることにより、皮膚の安全性試験や皮膚生理試験といった評価、薬剤や皮膚外用剤、化粧料等又はこれに使用するための被験物質のスクリーニング等が可能となる。

Claims (7)

  1. 上皮角化細胞を初期増殖する第一の培養工程、増殖された上皮角化細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する第二の培養工程と、該培養容器内で分化誘導させる第三の培養工程を含む三次元的な上皮再構築体を作成する方法であって、前記全ての工程を培養酸素濃度が3体積%以上8体積%以下のガス雰囲気下で行い、かつ、フィーダー細胞を用いないことを特徴とする上皮再構築体の作成方法。
  2. 上皮角化細胞がヒト上皮角化細胞であることを特徴とする請求項1記載の上皮再構築体の作成方法。
  3. 予め、培養酸素濃度が3体積%以上8体積%以下のガス雰囲気下で上皮角化細胞を初期増殖し、培養酸素濃度が3体積%以上8体積%以下のガス雰囲気下で、増殖された上皮角化細胞を培養容器に播種して該培養容器内で培養し、更に該培養容器内で分化誘導させることにより作成され、かつ、フィーダー細胞を用いずに作成された三次元的上皮再構築体を用いることを特徴とする薬剤、皮膚外用剤、化粧料又は薬剤、皮膚外用剤若しくは化粧料に使用するための被験物質の評価又はスクリーニング方法。
  4. 皮膚のターンオーバーを指標とすることを特徴とする請求項3記載の評価又はスクリーニング方法。
  5. 培養酸素濃度が3体積%以上8体積%以下のガス雰囲気下で増殖された上皮角化細胞の培養及び分化誘導を少なくとも行い、かつ、フィーダー細胞を用いずに三次元的な上皮再構築体を作成する工程、
    該三次元的上皮再構築体に被験物質を投与して培養する工程、
    投与後培養された三次元的再構築体を判定する工程を行
    前記三次元的な上皮再構築体を作成する工程が、上皮角化細胞を初期増殖する培養工程、増殖された上皮角化細胞を培養容器に播種し、該培養容器内で培養する培養工程及び該培養容器内で培養して分化誘導させる培養工程を含み、
    前記三次元的な上皮再構築体を作成する工程は、培養酸素濃度が3体積%以上8体積%以下のガス雰囲気下で行われることを特徴とする薬剤、皮膚外用剤又は化粧料の評価又はスクリーニング方法。
  6. 前記評価又はスクリーニングが、安全性及び/又は薬理性のためのものである請求項5記載の評価又はスクリーニング方法。
  7. 前記薬理性が、しわ予防改善作用、皮膚老化予防改善作用、皮膚炎症予防改善作用、日焼け防止作用、美白作用又は皮膚収れん作用についてのいずれか一つ以上のものである請求項記載の評価又はスクリーニング方法。
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