JP5891160B2 - キャパシタ及びその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、π共役系導電性高分子自体は、溶媒の種類にかかわらず、溶解しにくいため、加工性が低く、幅広い用途への適用が困難であり、実用性の点では不充分であった。
そこで、特許文献1には、π共役系導電性高分子を水に可溶化させる手法として、分子量が2,000〜500,000のポリスチレンスルホン酸をドーパントとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンを化学酸化重合してポリスチレンスルホン酸−ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)分散液を製造する方法が提案されている(以下、「ポリスチレンスルホン酸−ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)」のことを「PEDOT―PSS」と表記する。)。PEDOT−PSS分散液から形成した導電膜は導電性に優れ、透明性も高いため、多くの用途に適用可能である。例えば、特許文献2には、PEDOT−PSSを含む固体電解質層を備える固体電解キャパシタが開示されている。
しかしながら、PEDOT−PSS分散液はポリスチレンスルホン酸のスルホ基によって親水性を持たせているために、腐食性が高いという問題を有していた。そのため、金属製の部材を用いるキャパシタに対しては、必ずしも適していなかった。
そこで、本発明者らは、弱酸性またはアルカリ性(具体的にはpH5〜13)に調整することによって腐食性を抑えたPEDOT−PSS分散液によって固体電解質層を形成したキャパシタを提案した(特許文献3)。
そこで、本発明は、安定して、等価直列抵抗が小さく、静電容量が大きいキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]弁金属の多孔質体からなる陽極と、陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、誘電体層の、陽極と反対側に設けられた導電物質製の陰極と、誘電体層及び陰極の間に形成された固体電解質層とを具備するキャパシタにおいて、固体電解質層が、π共役系導電性高分子と分子中にスルホ基を有するポリアニオンとからなる導電性高分子複合体、及びアルカリ化合物を含有し、アルカリ化合物の含有量が導電性高分子複合体の中和当量に対して0.6〜4.0倍モルである、キャパシタ。
[2]アルカリ化合物が無機アルカリ化合物である、[1]に記載のキャパシタ。
[3]アルカリ化合物が、置換基を有してもよい炭化水素基を有するアミン化合物であり、該炭化水素基を有するアミン化合物は、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩であって、置換基を有してもよい炭化水素基として、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基から選択される置換基(ただし、任意の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、酸素原子が隣り合うことはない)を少なくとも1個以上有する、[1]に記載のキャパシタ。
[4]アルカリ化合物が窒素含有芳香族性環式化合物である、[1]に記載のキャパシタ。
[5]固体電解質層がさらに糖または糖アルコールを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のキャパシタ。
[6]固体電解質層がさらに質量平均分子量200〜3000の水溶性高分子を含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のキャパシタ。
[7]π共役系導電性高分子と分子中にスルホ基を有するポリアニオンとからなる導電性高分子複合体を含有する導電性高分子複合体分散液にアルカリ化合物を添加して導電性高分子分散液を調製する工程と、弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して誘電体層を形成する工程と、誘電体層に対向する位置に陰極を形成する工程と、誘電体層表面に前記導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層を形成する工程とを有し、導電性高分子分散液におけるアルカリ化合物の添加量を、前記導電性高分子複合体分散液の中和当量に対して0.6〜4.0倍モルにする、キャパシタの製造方法。
本発明のキャパシタの製造方法によれば、安定して、等価直列抵抗が小さく、静電容量が大きいキャパシタを製造できる。
本発明のキャパシタの一実施形態について説明する。
本実施形態のキャパシタは、図1に示すように、弁金属の多孔質体からなる陽極11と、陽極11の表面が酸化されて形成された誘電体層12と、誘電体層12上に形成された陰極13と、誘電体層12及び陰極13の間に形成された固体電解質層14とを具備する固体電解キャパシタ10である。
陽極11をなす弁金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、タンタル、ニオブが好適である。
陽極11の具体例としては、アルミニウム箔をエッチングして表面積を増加させた後、その表面を酸化処理したものや、タンタル粒子やニオブ粒子の焼結体表面を酸化処理してペレットにしたものが挙げられる。このように処理されたものは表面に凹凸が形成されている。
誘電体層12は、例えば、アジピン酸アンモニウム水溶液などの電解液中にて、金属体の陽極11の表面を陽極酸化することで形成されたものである。よって、図1に示すように、陽極11と同様に誘電体層12にも凹凸が形成されている。
本実施形態における陰極13としては、導電性ペーストから形成した導電層やアルミニウム箔など、導電物質製の金属層を使用することができる。
固体電解質層14は、導電性高分子複合体及びアルカリ化合物を含有する層である。ここで、導電性高分子複合体とは、π共役系導電性高分子と、分子中にスルホ基を有するポリアニオンとからなり、π共役系導電性高分子に前記ポリアニオンが配位して、複合化したものである。
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であり、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリチオフェン類、ポリピロール類及びポリアニリン類が好ましく、ポリチオフェン類がより好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入してもよい。
ポリピロール類としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン類としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子の中でも、導電性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
ポリアニオンとは、スルホ基を有する構成単位を有する重合体である。このポリアニオンのスルホ基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。ただし、ポリアニオンにおいては、全てのスルホ基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のスルホ基を有している。この余剰のスルホ基は親水基であるから、導電性高分子複合体の水分散性を向上させる役割を果たす。また、余剰のスルホ基は酸性度を高める原因にもなる。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万〜100万であることが好ましい。ポリアニオンの質量平均分子量が前記下限値以上であれば、後述する製造方法においてπ共役系導電性高分子を容易に可溶化でき、前記上限値以下であれば、充分に高い導電性を得ることができる。
アルカリ化合物としては特に限定されないが、固体電解質層14の導電性をより向上させてキャパシタ10の性能をより高くできることから、無機アルカリ化合物、炭化水素基を有するアミン化合物、窒素含有芳香族性環式化合物が好ましい。
炭化水素基を有するアミン化合物のうち、2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
炭化水素基を有するアミン化合物のうち、3級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、N−エチルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
炭化水素基を有するアミン化合物のうち、4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩等が挙げられる。アンモニウムの対となる陰イオンとしては水酸化物イオン等が挙げられる。
ここで、導電性高分子複合体の中和当量は、使用したアルカリ化合物により導電性高分子複合体を中和滴定して中和滴定曲線を取得し、その中和滴定曲線の変曲点におけるアルカリ化合物添加量より求める。
固体電解質層14は、キャパシタ10のESRがより小さくなり、静電容量がより大きくなることから、さらに、糖または糖アルコールを含有することが好ましい。
糖または糖アルコールとしては、ショ糖、グルコース、ラクトース、マルトース、キシロース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、D−グルシトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、等が挙げられる。
糖または糖アルコールの含有量は、導電性高分子複合体100質量部に対して20〜800質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。糖または糖アルコールの含有量が前記下限値以上であれば、糖または糖アルコールを含有する効果を充分に発揮できる。しかし、前記上限値を超えても、糖または糖アルコールを添加する効果は頭打ちになる。
固体電解質層14は、キャパシタ10のESRがより小さくなり、静電容量がより大きくなることから、さらに、水溶性高分子を含有することが好ましい。
水溶性高分子は、高分子の主鎖又は側鎖に上記親水基が導入されてなり、水溶性を示すものである。水溶性高分子の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレン、水溶性ポリウレタン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリアミド、水溶性ポリイミド、水溶性ポリアクリル、水溶性ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンの具体例としては、トリエチレングリコールモノクロルヒドリン、ジエチレングリコールモノクロルヒドリン、オリゴエチレングリコールモノクロルヒドリン、トリエチレングリコールモノブロムヒドリン、ジエチレングリコールモノブロムヒドリン、オリゴエチレングリコールモノブロムヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル類、ポリエチレンオキシド、トリエチレングリコール・ジメチルエーテル、テトラエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジメチルエーテル、ジエチレングリコール・ジエチルエーテル、ジエチレングリコール・ジブチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどが挙げられる。
次に、上記キャパシタ10の製造方法について説明する。
キャパシタ10の製造方法は、導電性高分子分散液調製工程と誘電体層形成工程と陰極形成工程と固体電解質層形成工程とを有する。なお、導電性高分子分散液調製工程は必ずしも誘電体層形成工程及び陰極形成工程より前におこなう必要はなく、固体電解質層形成工程より前であればいつでもよい。また、陰極形成工程は、固体電解質層形成工程の後であってもよい。
導電性高分子分散液調製工程は、導電性高分子複合体を含む導電性高分子複合体分散液にアルカリ化合物を添加し、必要に応じて、糖または糖アルコール、水溶性高分子等を添加して導電性高分子分散液を調製する工程である。
導電性高分子複合体分散液の調製方法としては、ポリアニオン及び分散媒の存在下、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを酸化重合する方法が挙げられる。
酸化重合の際に使用される酸化剤としては、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを酸化させてπ共役系導電性高分子を得ることができるものであればよく、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム(過硫酸アンモニウム)、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム(過硫酸ナトリウム)、ぺルオキソ二硫酸カリウム(過硫酸カリウム)等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
水に混合できる水系溶剤としては、溶解度パラメータが10以上の溶剤が挙げられ、例えば、水の他、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ブタンジオール、等の多価脂肪族アルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの水系溶剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
誘電体層形成工程は、弁金属の多孔質体からなる陽極11の表面を酸化して誘電体層12を形成する工程である。
誘電体層12を形成する方法としては、例えば、アジピン酸ジアンモニウム水溶液などの電解液中にて、陽極11の表面を陽極酸化する方法が挙げられる。
陰極形成工程は、誘電体層12に対向する位置に陰極13を形成する工程である。
陰極13を形成する方法としては、例えば、カーボンペースト、銀ペースト等の導電性ペーストを用いて陰極13を形成する方法、アルミニウム箔等の金属箔を誘電体層12に対向配置させる方法などが挙げられる。
固体電解質層形成工程は、誘電体層12の表面に導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層14を形成する工程である。
導電性高分子分散液の塗布方法としては、例えば、浸漬(すなわち、ディップコーティング)、コンマコーティング、リバースコーティング、リップコーティング、マイクログラビアコーティング等を適用することができる。これらの中でも、誘電体層12と陰極13との間に容易に固体電解質層14を形成できる点では、浸漬が好ましい。
乾燥方法としては、室温乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥など公知の手法が挙げられる。
本実施形態のキャパシタ10においては、固体電解質層14が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとからなる導電性高分子複合体及びアルカリ化合物を含有し、アルカリ化合物含有量が導電性高分子複合体の中和当量に対して上記特定範囲とされている。これにより、本実施形態のキャパシタ10は、安定して、等価直列抵抗が小さく、静電容量が大きいものとなる。
なお、本発明のキャパシタ及びその製造方法は上述した実施形態例に限定されない。例えば、本発明のキャパシタは、誘電体層12と陰極13との間に、必要に応じて、セパレータを設けることができる。誘電体層12と陰極13との間にセパレータが設けられたキャパシタとしては、巻回型キャパシタが挙げられる。
セパレータとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンなどからなるシート(不織布を含む)、ガラス繊維の不織布などが挙げられる。
セパレータの密度は、0.1〜1g/cm3の範囲であることが好ましく、0.2〜0.8g/cm3の範囲であることがより好ましい。
セパレータを設ける場合には、セパレータにカーボンペーストあるいは銀ペーストを含浸させて陰極を形成する方法を適用することもできる。
電解液用溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等のアルコール系溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル系溶媒、水等が挙げられる。
電解質としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、安息香酸、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、蟻酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸等のデカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸等のオクタンジカルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸、あるいは、硼酸、硼酸と多価アルコールより得られる硼酸の多価アルコール錯化合物、りん酸、炭酸、けい酸等の無機酸などをアニオン成分とし、一級アミン(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン等)、二級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン等)、三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリフェニルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等)、テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等)などをカチオン成分とした電解質が挙げられる。
導電性塗膜形成用の塗料においては、通常、公知のバインダ樹脂や添加剤を含む。
バインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂などが用いられる。バインダ樹脂は、水溶性もしくは水分散エマルジョンの形で添加すると混合しやすい。
添加剤としては、π共役系導電性高分子及びポリアニオンと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
無機導電剤としては、金属塩を水に溶解させて形成させる金属イオン、導電性カーボン等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
なお、以下の例において、導電性高分子組成物の粘度は、振動型粘度計SV−10(株式会社エー・アンド・デイ社製)を用いて測定した。
導電性高分子複合体分散液の中和当量は、導電性高分子複合体分散液を各例で使用したアルカリ化合物により中和滴定し、その中和滴定曲線における変曲点を中和点とし、中和に要したアルカリ化合物添加量から算出した。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間で滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
こうして得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、1000mlの10質量%硫酸水溶液、及び10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000mlを除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30000
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。このポリスチレンスルホン酸の質量平均分子量は約250000であった。
製造例1で得たポリスチレンスルホン酸36.7gを2000mlのイオン交換水に溶解した。ここに14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンを加え、20℃で攪拌混合した。
こうして得られた混合溶液を20℃に保ち、かき混ぜながら、29.64gの過硫酸アンモニウム及び8.0gの硫酸第二鉄を溶解させた水溶液240mlを1時間かけて滴下し、その後3時間撹拌した。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%硫酸水溶液と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、イオン交換水で濃度を調整し、1.6質量%の濃青色のPEDOT−PSS水分散液を得た。
エッチドアルミニウム箔(陽極箔)に陽極リード端子を接続した後、アジピン酸アンモニウム10質量%水溶液中で130Vの電圧を印加し、化成(酸化処理)して、アルミニウム箔の両面に誘電体層を形成して陽極箔を得た。
次に、陽極箔の両面に、陰極リード端子を溶接させた対向アルミニウム陰極箔を、セルロース製のセパレータを介して積層し、これを円筒状に巻き取ってキャパシタ用素子を得た。
γ−ブチロラクトン100g、スルホラン10g、及びフタル酸テトラメチルアンモニウム25gを混合溶解して、駆動用電解液を得た。
(実施例1)
製造例2より得られた1.6質量%のPEDOT−PSS水分散液100gに、イミダゾール0.240g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.658倍モル)、ポリエチレングリコール400(和光純薬工業社製)15.0g、ペンタエリスリトール1.0g、及びジメチルスルホキシド5.0gを加え、室温で攪拌した。次いで、高圧分散機(吉田機械興業社製ナノマイザー)により、25℃において18mPa・sの液粘度になるように分散して、導電性高分子組成物(I)を得た。
上記(3)で得たキャパシタ用素子を導電性高分子組成物(I)に減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機により10分間乾燥した。さらに、導電性高分子組成物(I)への浸漬を2回繰り返して、誘電体層表面上に、導電性高分子複合体を含む固体電解質層を形成させた。さらに上記(4)で得た駆動用電解液に減圧下で浸漬した後、アルミニウム製のケースに、キャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止し、120℃の雰囲気で75Vの電圧を1時間印加し、キャパシタを作製した。
得られたキャパシタについて、LCZメータ2345(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、キャパシタのESR変化率は下記のように測定した。
すなわち、得られた電解キャパシタを230℃のオーブンで3分間加熱処理した後に室温で15分間放冷する操作を5回繰り返してから、ESRを測定し、加熱処理前のESRと比較した。具体的には、下記式より、ESR変化率を求めた。
ESR変化率(%)=(加熱処理後のESR−加熱処理前のESR)/加熱処理前のESR×100
イミダゾールを0.320g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.877倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.480g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.315倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.640g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.754倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.800g(導電性高分子複合体の中和当量に対して2.192倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.960g(導電性高分子複合体の中和当量に対して2.631倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを1.120g(導電性高分子複合体の中和当量に対して3.069倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを加えない他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.080g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.219倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.112g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.307倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.160g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.438倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを0.192g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.526倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
イミダゾールを1.600g(導電性高分子複合体の中和当量に対して4.385倍モル)とした他は、実施例1に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表1に示す。
製造例2より得られた1.6質量%のPEDOT−PSS水分散液100gに、イミダゾール0.230g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.631倍モル)、ポリエチレングリコール400(和光純薬工業社製)5.0g、及びソルビトール2.0gを加え、室温で攪拌した。次いで、高圧分散機(吉田機械興業社製ナノマイザー)により、25℃において20mPa・sの液粘度になるように分散して、導電性高分子組成物(II)を得た。
上記(3)で得たキャパシタ用素子を導電性高分子組成物(II)に減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機により10分間乾燥した。さらに、導電性高分子組成物(II)への浸漬を2回繰り返して、誘電体層表面上に、導電性高分子複合体を含む固体電解質層を形成させた。アルミニウム製のケースに、キャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止し、120℃の雰囲気で75Vの電圧を1時間印加し、キャパシタを作製した。
得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値、及びESRの変化率を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを0.320g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.877倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを0.370g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.013倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを0.630g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.728倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを0.800g(導電性高分子複合体の中和当量に対して2.192倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを1.280g(導電性高分子複合体の中和当量に対して3.508倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを0.184g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.504倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
イミダゾールを1.600g(導電性高分子複合体の中和当量に対して4.385倍モル)とした他は、実施例8に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表2に示す。
製造例2より得られた1.6質量%のPEDOT−PSS水分散液100gに、10質量%アンモニア水0.560g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.615倍)、ポリエチレングリコール400(和光純薬工業社製)5.0g、及びエリスリトール2.0gを加え、室温で攪拌溶解した。次いで、高圧分散機(吉田機械興業社製ナノマイザー)により、25℃において20mPa・sの液粘度になるように分散して、導電性高分子組成物(III)を得た。
上記(3)で得たキャパシタ用素子を導電性高分子組成物(III)に減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機により10分間乾燥した。さらに、導電性高分子組成物(III)への浸漬を2回繰り返して、誘電体層表面上に、導電性高分子複合体を含む固体電解質層を形成させた。アルミニウム製のケースに、キャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止し、120℃の雰囲気で75Vの電圧を1時間印加し、電解キャパシタを作製した。
得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を0.800g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.878倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を0.920g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.010倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を1.580g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.734倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を2.000g(導電性高分子複合体の中和当量に対して2.195倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を3.520g(導電性高分子複合体の中和当量に対して3.863倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を0.480g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.527倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
10質量%アンモニア水を4.000g(導電性高分子複合体の中和当量に対して4.390倍モル)とした他は、実施例14に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表3に示す。
製造例2より得られた1.6質量%のPEDOT−PSS水分散液100gに、ジメチルアミノエタノール0.300g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.627倍)、ポリエチレングリコール400(和光純薬工業社製)5.0g、ペンタエリスリトール2.0g、及びγブチロラクトン5.0gを加え、室温で攪拌溶解した。次いで、高圧分散機(吉田機械興業社製ナノマイザー)により、25℃において20mPa・sの液粘度になるように分散して、導電性高分子組成物(IV)を得た。
上記(3)で得たキャパシタ用素子を導電性高分子組成物(IV)に減圧下で浸漬した後、120℃の熱風乾燥機により10分間乾燥した。さらに、導電性高分子組成物(IV)への浸漬を2回繰り返して、誘電体層表面上に、導電性高分子複合体を含む固体電解質層を形成させた。アルミニウム製のケースに、キャパシタ用素子を装填し、封口ゴムで封止し、120℃の雰囲気で75Vの電圧を1時間印加し、キャパシタを作製した。
得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを0.421g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.882倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを0.490g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.027倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを0.830g(導電性高分子複合体の中和当量に対して1.737倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを1.050g(導電性高分子複合体の中和当量に対して2.198倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを1.719g(導電性高分子複合体の中和当量に対して3.597倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを0.245g(導電性高分子複合体の中和当量に対して0.513倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
ジメチルアミノエタノールを1.970g(導電性高分子複合体の中和当量に対して4.124倍モル)とした他は、実施例20に準じてキャパシタを作製した。得られたキャパシタについて、実施例1と同様に120Hzでの静電容量、及び100kHzでのESRの初期値を測定した。測定結果を表4に示す。
アルカリ化合物の含有量が導電性高分子複合体の中和当量に対して0.6〜4.0倍モルの範囲にない比較例では、静電容量が小さくなることがあり、ESRが大きくなることがあった。
11 陽極
12 誘電体層
13 陰極
14 固体電解質層
Claims (5)
- 弁金属の多孔質体からなる陽極と、陽極表面が酸化されて形成された誘電体層と、誘電体層の、陽極と反対側に設けられた導電物質製の陰極と、誘電体層及び陰極の間に形成された固体電解質層とを具備するキャパシタにおいて、
固体電解質層が、π共役系導電性高分子と分子中にスルホ基を有するポリアニオンとからなる導電性高分子複合体、及びアルカリ化合物を含有し、アルカリ化合物の含有量が導電性高分子複合体の中和当量に対して0.6〜4.0倍モルであり、
アルカリ化合物が、置換基を有してもよい炭化水素基を有するアミン化合物であり、該炭化水素基を有するアミン化合物は、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩であって、置換基を有してもよい炭化水素基として、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基から選択される置換基(ただし、任意の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、酸素原子が隣り合うことはない)を少なくとも1個以上有する、キャパシタ。 - アルカリ化合物が窒素含有芳香族性環式化合物である、請求項1に記載のキャパシタ。
- 固体電解質層がさらに糖または糖アルコールを含む、請求項1または2に記載のキャパシタ。
- 固体電解質層がさらに質量平均分子量200〜3000の水溶性高分子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャパシタ。
- π共役系導電性高分子と分子中にスルホ基を有するポリアニオンとからなる導電性高分子複合体を含有する導電性高分子複合体分散液にアルカリ化合物を添加して導電性高分子分散液を調製する工程と、
弁金属の多孔質体からなる陽極の表面を酸化して誘電体層を形成する工程と、
誘電体層に対向する位置に陰極を形成する工程と、
誘電体層表面に前記導電性高分子分散液を塗布し、乾燥させて固体電解質層を形成する工程とを有し、
導電性高分子分散液におけるアルカリ化合物の添加量を、前記導電性高分子複合体分散液の中和当量に対して0.6〜4.0倍モルにし、
アルカリ化合物として、置換基を有してもよい炭化水素基を有するアミン化合物を用い、該炭化水素基を有するアミン化合物は、2級アミン、3級アミン、4級アンモニウム塩であって、置換基を有してもよい炭化水素基として、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基から選択される置換基(ただし、任意の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、酸素原子が隣り合うことはない)を少なくとも1個以上有する、キャパシタの製造方法。
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