JP5888664B2 - 強磁性材スパッタリングターゲット - Google Patents

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Description

本発明は、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特に垂直磁気記録方式を採用したハードディスクの磁気記録層の成膜に使用される磁気記録膜用強磁性材スパッタリングターゲットに関し、スパッタリング時のパーティクル発生を抑制し、かつバーンイン時間の短縮が可能であり、漏洩磁束が大きく、マグネトロンスパッタ装置でスパッタする際に安定した放電が得られるスパッタリングターゲットに関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、記録を担う磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe、あるいはNiをベースとした材料が用いられている。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層にはCoを主成分とするCo−Cr系やCo−Cr−Pt系の強磁性合金が用いられてきた。
また、近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの記録層には、Coを主成分とするCo−Cr系又はCo−Cr−Pt系の強磁性合金と非磁性の無機物からなる複合材料が多く用いられている。
そしてハードディスクなどの磁気記録媒体の磁性薄膜は、生産性の高さから、上記の材料を成分とする強磁性材スパッタリングターゲットをマグネトロンスパッタリング装置を用いて作製されることが多い。
強磁性材スパッタリングターゲットの作製方法としては、溶解法や粉末冶金法が考えられる。どちらの手法で作製するかは、要求される特性によるので一概には言えないが、垂直磁気記録方式のハードディスクの記録層に使用される、強磁性合金と該磁性合金に非磁性の無機物粒子を分散させたスパッタリングターゲットは、一般に粉末冶金法によって作製されている。これはSiO等の無機物粒子を合金素地中に均一に分散させる必要があるため、溶解法では作製することが困難だからである。
例えば、急冷凝固法で作製した合金相を持つ合金粉末とセラミックス相を構成する粉末とをメカニカルアロイングし、セラミックス相を構成する粉末を合金粉末中に均一に分散させ、ホットプレスにより成形し磁気記録媒体用スパッタリングターゲットを得る方法が提案されている(特許文献1)。
この場合のターゲット組織は、素地が白子(鱈の精子)状に結合し、その周りにSiO(セラミックス)が取り囲んでいる様子(特許文献1の図2)又は細紐状に分散している(特許文献1の図3)様子が見える。他の図は不鮮明であるが、同様の組織と推測される。このような組織は、後述する問題を有し、好適な磁気記録媒体用スパッタリングターゲットとは言えない。なお、特許文献1の図4に示されている球状物質は、メカニカルアロイング粉末であり、ターゲットの組織ではない。
また、急冷凝固法で作製した合金粉末を用いなくても、ターゲットを構成する各成分について市販の原料粉末を用意し、それらの原料粉を所望の組成になるように秤量し、ボールミル等の公知の手法で混合し、混合粉末をホットプレスにより成型・焼結することによって、強磁性材スパッタリングターゲットは作製できる。
例えば、Co粉末とCr粉末とTiO粉末とSiO粉末を混合して得られた混合粉末とCo球形粉末を遊星運動型ミキサーで混合し、この混合粉をホットプレスにより成形し磁気記録媒体用スパッタリングターゲットを得る方法が提案されている(特許文献2)。
この場合のターゲット組織は、無機物粒子が均一に分散した金属素地である相(A)の中に、球形の金属相(B)を有している様子が見える(特許文献2の図1)。このような組織は、CoとCrの含有率によっては漏洩磁束が十分に向上しないケースもあり、好適な磁気記録媒体用スパッタリングターゲットとは言えない。
また、Co−Cr二元系合金粉末とPt粉末とSiO粉末を混合して、得られた混合粉末をホットプレスすることにより、磁気記録媒体薄膜形成用スパッタリングターゲットを得る方法が提案されている(特許文献3)。
この場合のターゲット組織は、図によって示されていないが、Pt相、SiO相およびCo-Cr二元系合金相が見られ、Co-Cr二元系合金層の周囲に拡散層が観察できたことが記載されている。このような組織も、好適な磁気記録媒体用スパッタリングターゲットとは言えない。
スパッタリング装置には様々な方式のものがあるが、上記の磁気記録膜の成膜では、生産性の高さからDC電源を備えたマグネトロンスパッタリング装置が広く用いられている。スパッタリング法とは、正の電極となる基板と負の電極となるターゲットを対向させ、不活性ガス雰囲気下で、該基板とターゲット間に高電圧を印加して電場を発生させるものである。
この時、不活性ガスが電離し、電子と陽イオンからなるプラズマが形成されるが、このプラズマ中の陽イオンがターゲット(負の電極)の表面に衝突するとターゲットを構成する原子が叩き出され、この飛び出した原子が対向する基板表面に付着して膜が形成される。このような一連の動作により、ターゲットを構成する材料が基板上に成膜されるという原理を用いたものである。
このような中で、磁性材料としてCoPtを使用すると共に、この磁性材料にITOを混合したターゲット又はAlをドープしたZnOを混合したターゲットをスパッタリングして膜を形成するという技術が開示されている(特許文献4)。この場合は、磁性材料の中に導電性材料を混合するという意味で、新たな発想と言える。
しかし、この場合、磁性膜中の非磁性材料の電気抵抗を比抵抗で10Ωcm以下とする磁性膜の作製を狙いとしているために、ターゲットとしての構造及びターゲットとしての保有すべき性質については、特に関心が払われていない。
また、下記特許文献5には、基板上にFe又はCoの磁性材料を堆積させた後、ITO膜を堆積し、次にこれを熱処理するという透明電気伝導性を持ちかつ強磁性である複合膜を作製するという技術が開示されている。この場合は、膜自体が透明電気伝導性と強磁性という2つの性質を持つものを狙いとしている意味で、新しい技術と言えるが、それぞれを別個に被覆しているので、ターゲットが双方の材料を兼ね具えているものではない。したがって、ターゲットの構造及びターゲットとしての保有すべき性質については、特に関心が払われていない。
この他、セラミックターゲットに導電性金属を添加してDCスパッタリングができるようにするという提案がある(特許文献6)。しかし、この場合は、磁性材料についての認識や問題点の認識はなく、添加する物質も導電性金属に限定されており、以下に説明する本願発明とは大きな乖離がある。
特開平10−88333号公報 特願2010−011326 特開2009−1860号公報 特開2001−76329号公報 特開2004−265738号公報 特表2009−511742号公報
一般に、マグネトロンスパッタ装置で強磁性材スパッタリングターゲットをスパッタしようとすると、磁石からの磁束の多くは強磁性材であるターゲット内部を通過してしまうため、漏洩磁束が少なくなり、スパッタ時に放電が立たない、あるいは放電しても放電が安定しないという大きな問題が生じる。
この問題を解決するには、強磁性金属であるCo等の含有割合を減らすことが考えられる。しかし、この場合、所望の磁気記録膜を得ることができないため本質的な解決策ではない。また、ターゲットの厚みを薄くすることで漏洩磁束を向上させることは可能だが、この場合ターゲットのライフが短くなり、頻繁にターゲットを交換する必要が生じるのでコストアップの要因になる。
このため、本発明者らは、磁気記録膜用スパッタリングターゲットに対して、スパッタリング中のパーティクル発生を抑制し、かつ漏洩磁束が大きくなるように調整し、マグネトロンスパッタ装置でスパッタする際に安定した放電が得られるスパッタリングターゲットを得ること課題とするものである。
このような知見に基づき、本発明は、
1)Coを主成分とする磁性合金と導電性酸化物からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、焼結体ターゲット中に平均粒子径が10〜100μmの範囲の導電性酸化物が分散されていることを特徴とする強磁性材スパッタリングターゲット
2)磁性合金が、Cr:20mol%以下、Pt:30mol%以下、残余がCoであることを特徴とする上記1)記載の強磁性材スパッタリングターゲット
3)添加元素として、さらにB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を、0.5mol%以上10mol%以下含有することを特徴とする上記1)〜2)のいずれか一項に記載の強磁性材スパッタリングターゲット、を提供する。
本発明は、また
4)導電性酸化物が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタンから選択した1種以上からなることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載の強磁性材スパッタリングターゲット
5)導電性酸化物が酸化チタンであり、Ti2n−1 (n=1, 2, ・・・, 20)となる形態で存在することを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載の強磁性材スパッタリングターゲット、を提供する。
このように調整した本発明の磁気記録膜用の強磁性材スパッタリングターゲットターゲットは、漏洩磁束の大きいターゲットとなり、バーンイン時間の短縮化が可能であり、マグネトロンスパッタ装置で使用したとき、不活性ガスの電離促進が効率的に進み、安定した放電が得られ、またターゲットの厚みを厚くすることができるため、ターゲットの交換頻度が小さくなり、低コストで磁性体薄膜を製造できる大きな効果を有する。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、高密度化することができるので、スパッタリング中のパーティクル発生を抑制し、マグネトロンスパッタ装置でスパッタする際に安定した放電が得られる効果を有する。このようにパーティクル発生が少ないので、磁気記録膜の不良率が減少し、コスト低減化になるというメリットを有する。また、前記バーンイン時間の短縮化は、生産効率の向上に大きく貢献するものである。
本発明の磁気記録膜用の強磁性材スパッタリングターゲットの基本は、Coを主成分とする磁性合金と導電性酸化物とからなる焼結体スパッタリングターゲットであり、必要に応じて添加元素を含有する。すなわち、本発明のターゲットは、Coを主成分とする金属相(合金相)とこの金属相中に導電性酸化物が分散した組織を備えている。分散する導電性酸化物の平均粒子径は10〜100μmの範囲である。
金属相中に導電性酸化物を粗粒状態で分散させることにより、高い漏洩磁束を維持できると共に、パーティクルの発生を抑制する強磁性材スパッタリングターゲットを得ることができる。前記金属相には、飽和磁化の異なる金属、非磁性金属及び合金を含ませることができる。本発明において、焼結体組織中の導電性酸化物の平均粒子径サイズが重要であり、平均粒子径が10μmよりも小さい場合は漏洩磁束が低くなり、逆に平均粒子径が100μmよりも大きい場合には、アーキングによるパーティクルが発生し易くなる。
本発明のスパッタリングターゲットに使用する磁性合金としては、Cr:20mol%以下、Pt:30mol%以下、残余がCoであるCr−Pt−Co、Cr−Coの強磁性合金を使用することができる。
また、上記強磁性合金に、さらに添加元素として、さらにB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を、0.5mol%以上10mol%以下含有する強磁性合金にも適用できる。
これらは、磁気記録媒体の磁気特性を向上させる効果を有するものであり、必要に応じて添加することができる。基本的にはCoを主成分とする素地中に存在するものであるが、これらが後述する導電性酸化物の界面を介して、導電性酸化物中に若干拡散する場合がある。本願発明は、これらを包含するものである。
導電性酸化物としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタンから選択した1種以上の酸化物を使用することができ、導電性酸化物として好適な材料である。特に、この中で、酸化チタンが有効である。酸化チタンは、いくつかの形態が存在するが、Ti2n−1 (n=1, 2, ・・・, 20)となる形態の全てが適用できる。
また、導電性酸化物以外の酸化物、例えば酸化ケイ素、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化コバルトなどを0.5mol%以上10mol%以下添加することができる。これらは、磁気記録媒体の磁気特性を向上させる効果を有するものであり、必要に応じて添加することができる。
本発明の強磁性材スパッタリングターゲットの製造に際しては、磁性合金を構成する金属又は合金の粉末原料と導電性酸化物の粉末原料とを混合、又はこれらの原料粉末と添加元素の原料粉末とを混合し、さらに粉砕して導電性酸化物の粒径が所望の範囲(平均粒子径で10〜100μmの範囲)になるように焼結することにより、本発明の強磁性材スパッタリングターゲットを製造することができる。
導電性酸化物の粒径を10〜100μmの範囲に調整した理由は、前記の通り、漏洩磁束を向上させ且つパーティクル発生を抑制するためである。
焼結条件(温度、加圧力)は、原料に応じて任意に変更することが可能である。すなわち、選択した原料粉末と焼結条件を制御することにより、ターゲットの相対密度を97%以上、さらには相対密度99%以上にすることができる。
磁気記録膜用の強磁性材スパッタリングターゲットの漏洩磁束を向上させたターゲットとしているため、マグネトロンスパッタ装置で使用したとき、不活性ガスの電離促進が効率的に進み、安定した放電を得ることができる。また、上記の高密度のターゲットは、スパッタリング中のパーティクルの発生を抑制できる。
なお、以下に製造方法の具体例を説明するが、この製造方法は、代表的かつ好適な例を示すものである。すなわち、本発明は以下の製造方法に制限するものではなく、他の製造方法であっても、本願発明の目的と条件を達成できるものであれば、それらの製造法を任意に採用できることは容易に理解されるであろう。
本発明の強磁性材スパッタリングターゲットは、粉末冶金法によって作製することができる。まず、各金属元素の粉末と、導電性酸化物、さらに必要に応じて添加金属元素の粉末を用意する。導電性酸化物粉末の平均粒径が20〜150μm、それ以外の粉末については最大粒径が20μm以下のものを用いることが望ましい。
また、各金属元素の粉末の代わりに、これら金属の合金粉末を用意してもよいが、その場合も最大粒径が20μm以下とすることが望ましい。
金属元素の粉末は、小さ過ぎると、酸化が促進されて成分組成が範囲内に入らないなどの問題があるため、0.1μm以上とすることがさらに望ましい。
そして、これらの金属粉末を所望の組成になるように秤量し、ボールミル等の公知の手法を用いて粉砕を兼ねて混合する。導電性酸化物を添加する場合は、この段階で金属粉末と混合すればよいが、粉砕混合にて粉砕される分も考慮して粒径調整を行なうか、導電性酸化物の粉砕が極端に進行しないような粉砕混合になるよう調整が必要である。
導電性酸化物の粉末としては、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタンから選択した1種以上を使用することができる。しかし、他の導電性酸化物の粉末の使用を否定するものではない。
また、ミキサーとしては、遊星運動型ミキサーあるいは遊星運動型攪拌混合機であることが好ましい。さらに、混合中の酸化の問題を考慮すると、不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で混合することが好ましい。
このようにして得られた粉末を、真空ホットプレス装置を用いて成型・焼結し、所望の形状へ切削加工することで、本発明の強磁性材スパッタリングターゲットを作製することができる。
また、成型・焼結は、ホットプレスに限らず、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。焼結時の保持温度はターゲットが十分緻密化する温度域のうち最も低い温度に設定するのが好ましい。ターゲットの組成にもよるが、多くの場合、800〜1300°Cの温度範囲とするのがよい。また、焼結時の圧力は300〜500kg/cmであることが好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
実施例1では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、導電性酸化物材料として平均粒径50μmに調整したTi粉末を用意した。そして、これらの粉末をターゲットの組成が83Co−7Cr−10Ti(mol%)となるように、秤量した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共にボールミルポットに封入し、4時間回転させて混合した。なお、大きな導電性酸化物の粉末を作製する場合には、バルク或いはショット形状の原料を事前に粉砕・篩別して粒径範囲を調整しておく必要ある。
次に、この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000°C、保持時間120分、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度99%の焼結体を得た。さらにこれを旋盤で切削加工して直径が180mm、厚さが5mmの円盤状のターゲットを得た。このターゲットの漏洩磁束密度は42%であった。
また、このターゲットの組織を観察したところ、Ti相の平均粒子径は、30μmであることを確認した。
このターゲットを用いてスパッタリングした結果、定常状態時のパーティクル発生数は8個であり、少なかった。また、スパッタリングのバーンインライフは0.5kWhであった。このように、Co−Cr合金マトリックス中に平均粒子径30μmのTi相が分散したスパッタリングターゲットは、漏洩磁束を大きくすることができるので、マグネトロンスパッタ装置において、安定した放電が得られ、バーンインも短縮化された。そしてパーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例2)
実施例2では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、導電性酸化物材料として平均粒径20μmに調整したZnO粉末を用意した。そして、これらの粉末をターゲットの組成が80Co−10Cr−10ZnO(mol%)となるように、秤量した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共にボールミルポットに封入し、2時間回転させて混合した。
次に、この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000°C、保持時間120分、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度98%の焼結体を得た。さらにこれを旋盤で切削加工して直径が180mm、厚さが5mmの円盤状のターゲットを得た。このターゲットの漏洩磁束密度は40%であった。
また、このターゲットの組織を観察したところ、ZnO相の平均粒子径は、10μmであることを確認した。
このターゲットを用いてスパッタリングした結果、定常状態時のパーティクル発生数は8個であり、少なかった。また、スパッタリングのバーンインライフは0.5kWhであった。このように、Co−Cr合金マトリックス中に平均粒子径10μmのZnO相が分散したスパッタリングターゲットは、漏洩磁束を大きくすることができるので、マグネトロンスパッタ装置において、安定した放電が得られ、バーンインも短縮化された。そしてパーティクル発生数は少ない結果となった。
(実施例3)
実施例3では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉末、平均粒径5μmのCr粉末、平均粒径3μmのPt粉末、導電性酸化物材料としてITO(In−10wt%SnO)焼結体を粉砕して平均粒径20μmに調整したITO(In−10wt%SnO)粉末を用意した。そして、これらの粉末をターゲットの組成が70Co−10Cr−10Pt−10:ITO(mol%)となるように、秤量した。
次に、秤量した粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共にボールミルポットに封入し、4時間回転させて混合した。
次に、この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000°C、保持時間120分、加圧力30MPaの条件でホットプレスして、相対密度97%の焼結体を得た。さらにこれを旋盤で切削加工して直径が180mm、厚さが5mmの円盤状のターゲットを得た。このターゲットの漏洩磁束密度は45%であった。
また、このターゲットの組織を観察したところ、ITO相の平均粒子径は、10μmであることを確認した。
このターゲットを用いてスパッタリングした結果、定常状態時のパーティクル発生数は8個であり、少なかった。また、スパッタリングのバーンインライフは0.5kWhであった。このように、Co−Cr合金マトリックス中に平均粒子径10μmのITO相が分散したスパッタリングは、スパッタリングターゲットの漏洩磁束を大きくすることができるので、マグネトロンスパッタ装置において、安定した放電が得られ、バーンインも短縮化された。そしてパーティクル発生数は少ない結果となった。
(比較例1)
比較例1では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉、平均粒径5μmのCr粉、平均粒径1μmのTi粉を用意した。これらの粉末をターゲット組成が80Co−7Cr−10TiO(mol%)となるように秤量した。
そして、これらの粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、20時間回転させて混合した。
次に、この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1000°C、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、相対密度99%の焼結体を得た。さらにこれを旋盤で直径が180mm、厚さが5mmの円盤状のターゲットへ加工した。このターゲットの漏洩磁束密度は28%であった。また、このターゲットの組織を観察したところ、Ti相の平均粒子径は、1μmであることを確認した。
このターゲットを用いてスパッタリングした結果、漏洩磁束密度が低すぎて安定したスパッタが困難であった。
(比較例2)
比較例2では、原料粉末として、平均粒径3μmのCo粉、平均粒径5μmのCr粉、平均粒径20μmの非晶質(一部に結晶質を含む)SiO粉を用意した。これらの粉末をターゲット組成が80Co−7Cr−10SiO(mol%)となるように秤量した。
そして、これらの粉末を、粉砕媒体のジルコニアボールと共に容量10リットルのボールミルポットに封入し、3時間回転させて混合した。
次に、この混合粉をカーボン製の型に充填し、真空雰囲気中、温度1100°C、保持時間2時間、加圧力30MPaの条件のもとホットプレスして、焼結体を得た。さらにこれを旋盤で直径が180mm、厚さが5mmの円盤状のターゲットへ加工した。
このターゲットの漏洩磁束密度は40%であった。また、このターゲットの組織を観察したところ、SiO相の平均粒子径は、12μmであることを確認した。
このターゲットを用いてスパッタリングした結果、定常状態時のパーティクル発生数は20個と増加した。また、スパッタリングのバーンインライフは1.5kWhであり、バーンインの時間が長くなった。このように、電気抵抗率の高いSiOが粗粒で存在したため、スパッタリングのバーンインの時間が長くなり、またスパッタ時のパーティクル発生数が増加する結果となった。
本発明のスパッタリングターゲットは、漏洩磁束の大きいターゲットとなり、マグネトロンスパッタ装置で使用したとき、不活性ガスの電離促進が効率的に進み、安定した放電が得られ、またターゲットの厚みを厚くすることができるため、ターゲットの交換頻度が小さくなり、低コストで磁性体薄膜を製造できるというメリットがある。
これにより、磁気記録媒体の磁性体薄膜、特にハードディスクドライブ記録層の成膜に使用される強磁性材スパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (3)

  1. Coを主成分とする磁性合金と導電性酸化物からなる焼結体スパッタリングターゲットであって、磁性合金が、Cr:20mol%以下(但し、0mol%を除く)、Pt:20mol%以下、残余がCoであり、焼結体ターゲット中に平均粒子径が10〜100μmの範囲の導電性酸化物が分散されており、当該導電性酸化物が酸化チタンからなり、Ti2n−1(n=1,2,・・・,20)の形態で存在することを特徴とするマグネトロンスパッタリング用ターゲット。
  2. 前記磁性合金に、添加元素として、さらにB、Ti、V、Mn、Zr、Nb、Ru、Mo、Ta、Wから選択した1元素以上を、0.5mol%以上10mol%以下含有することを特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタリング用ターゲット。
  3. 導電性酸化物が、酸化チタンに代えて、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムから選択した1種以上からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタリング用ターゲット。
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