JP5887678B2 - 低カリウム含有野菜及びその栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、低カリウム含有葉物野菜及びその栽培方法に関する。特に低カリウムレタス及びその栽培方法に関する。
近年、植物工場で栽培する高付加価値野菜として、低カリウム野菜の栽培が脚光を浴びている。人口透析患者、慢性腎臓病患者等、医師からカリウム摂取制限を受けている患者数はわが国だけでも30万人程度はいると言われており、低カリウム野菜の潜在的な需要が高かった。そのため、低カリウム野菜が注目されていると考えられる。
カリウムは植物の三大栄養素の一つとして古くから知られており、植物の成長には必須であり、野菜には必ず含まれている。そのため、カリウム摂取制限を受けている患者や、医療関係者からカリウム含有量の少ない野菜の提供が望まれている。
今までに、カリウム含有量の少ない野菜を提供する方法として、低カリウムホウレンソウや葉菜を栽培する方法が開示されてきた(例えば、特許文献1〜3)。
先行技術文献によれば、カリウム含有水耕液で栽培し、その後カリウムを全く含まず、代わりにナトリウムを入れたカリウム不含有水耕液、あるいはカリウム及びナトリウムを配合しない水耕液を用いて栽培することによって低カリウム含有量の野菜を実現していた。例えば、下記特許文献1には、カリウム含有水耕液、カリウム不含有水耕液で栽培する期間を特定し、低カリウムホウレンソウを栽培する方法が開示されている。
特開2008−61587号公報 特開2011−36226号公報 特開2012−183062号公報
上記先行技術文献に開示されている方法は、研究室レベルでは含有量の少ない低カリウム野菜の栽培に成功している。しかしながら、栽培条件を忠実に再現しているにもかかわらず、植物工場のように大規模水耕栽培を行った場合には、カリウム含有量の少ない葉物野菜を安定して収穫することができなかった。
上記先行技術文献に記載されている低カリウム野菜の水耕栽培では、栽培期間後半はカリウムをナトリウムに代替した水耕液を用いて栽培する。しかしながら、カリウムは前述のように植物の三大栄養素であり、植物の生育には必須の栄養素であることから、葉の変色、根腐れ等のカリウム欠乏症による生育障害が生じ、重量、丈等の小さい野菜しか収穫できず、出荷基準に満たない不良品が生じることも多かった。
例えばリーフレタスの場合には、カリウム不含有水耕液で栽培した場合には、収穫時の草丈、重量の減少といった生育障害が起こり、葉の黄変等により、数%〜数10%程度の不良品が生じていた。
そのため大規模水耕栽培では、収穫した野菜のカリウム値は、通常栽培の1/3〜1/4程度の低い値を常に維持することは勿論であるが、丈や重量、葉の黄変のような出荷基準に満たない不良品をいかに少なくするかが生産性のうえで重要な課題となっていた。
本発明は、低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、カリウム含有水耕液で葉物野菜を一定期間栽培し、その後カリウムを含有した低カリウム栽培期用水耕液に代えて栽培することを特徴とする。
従来、低カリウム葉物野菜を栽培する場合は、水耕栽培期後半は、全くカリウムを含有しない水耕液によって栽培が行われていた。これに対し、本願発明では微量のカリウムを後半の栽培期に含有させている。この栽培方法によれば、野菜に含まれるカリウム量を低値に抑えつつ、重量、丈、葉の黄変のようなカリウム障害を生じることがない。
本発明は、カリウム含有水耕液で葉物野菜を一定期間栽培し、その後低カリウム栽培期用水耕液に代えて栽培する低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、低カリウム栽培期用水耕液中にカリウムを5〜50ppm含有させることを特徴とする。
従来、低カリウム野菜を栽培する場合には、後半の栽培期間の水耕液は、カリウムを全く含まず、代替としてナトリウムを含有した水耕液が用いられていた。しかしながら、カリウム欠乏症による葉の黄変、根腐れのような生育障害が生じることが多かった。カリウム欠乏症が生じた葉物野菜は、カリウム量は低いものの、葉の黄変だけではなく、重量、丈不足のため商品として販売することはできなかった。
また、カリウムを含まない水耕液で栽培する期間を短くすることによって、野菜にカリウム欠乏症が生じる前に収穫することも試みた。後半のカリウムを含まない水耕液で栽培する期間を短くすることにより、重量、丈の不足を生じにくくなるものの野菜中のカリウム量を安定して低い値にすることができないという問題が生じていた。
そこで、大規模水耕栽培において安定した低カリウムレベルを実現でき、かつ、カリウム欠乏症による生育障害が生じず、高品質の葉物野菜として出荷可能な栽培条件の検討を行った。その結果、従来はカリウムを全く含有させないで栽培していた栽培後期の水耕液に、ごく微量のカリウムを積極的に入れて栽培することにより、カリウム欠乏症は生じず、しかも収穫時のカリウム値は安定して低濃度で収穫できる栽培条件を見出した。
栽培品種や溶液の管理方法によって異なるが、5〜50ppm濃度になるようにカリウムを含有させた水耕液で栽培することにより、安定した品質の低カリウム葉物野菜を栽培できることを見出した。この濃度であれば、収穫時の葉物野菜は低カリウム状態を維持でき、葉の黄変等の生育障害も生じないだけではなく、草丈、重量等も十分な作物を収穫することが可能である。
カリウム濃度が5ppmより少ない場合には、カリウム欠乏症による生育障害が生じる頻度が高く、また、カリウム濃度が50ppmより多い場合には、収穫時の葉物野菜のカリウム値が高くなる場合がある。
本発明の低カリウム葉物野菜を栽培する方法は、低カリウム栽培期用水耕液中にさらにナトリウムを20〜400ppm含有させることを特徴とする。
カリウムの一部代替として20〜400ppmのナトリウムを添加した水耕液で低カリウム栽培期に栽培しても、栽培した作物のナトリウム値はさほど上昇することはない。
ナトリウム濃度が20ppmより少ない場合には、カリウムをナトリウムと代替した効果がなく、根痛み等のカリウム欠乏症を助長することになる。
一方、ナトリウム濃度が400ppmよりも多い場合には、必要以上に作物中のナトリウム濃度が高くなり、腎臓機能の劣っている患者にとって、過度の負担が生じる可能性がある。
本発明の低カリウム葉物野菜を栽培する方法は、水耕液のEC値を、カリウム含有栽培期間、低カリウム栽培期間を通じ、0.5〜1.8に調整して栽培することを特徴とする。
葉物野菜はEC値2.2〜3.0程度で栽培することが一般的であるが、低カリウム葉物野菜の栽培では、一貫してEC値が低い条件、すなわち肥料となる塩濃度が低い条件で栽培することにより、生育障害や葉の変色のようなカリウム欠乏症が生じることがない。
本発明の低カリウム葉物野菜を栽培する方法は、水耕液のpHを、カリウム含有栽培期間、低カリウム栽培期間を通じ、5.0〜7.0に調整することを特徴とする。
水耕液のpHが5.0〜7.0の範囲であれば、すべての肥料塩基の溶解性が良いため、水耕液の組成が安定する。その結果、収穫時の葉物野菜の品質も安定したものとなる。
本発明の低カリウム葉物野菜を栽培する方法は、全栽培期間を通して、連続して水耕液のEC値及びpHを一定に調整して栽培することを特徴とする。
EC値やpHを常時モニターしながら栽培することは、水耕液の条件を一定にし、安定した品質の葉物野菜を栽培するうえで重要である。
本発明の低カリウム葉物野菜を栽培する方法は、低カリウム栽培期用水耕液で栽培する期間を10日〜17日とすることを特徴とする。
栽培する葉物野菜の品種によって異なるが、10日〜17日の栽培期間で、カリウム含有量が低く、収穫の際の重量、丈等も満足のいく大きさの野菜を安定して得ることができる。
本発明の水耕栽培方法によって栽培した葉物野菜は、収穫時のカリウム含有量が、カリウムレベルを調整しない葉物野菜の30%以下であることを特徴とする。
本発明で厳密にカリウムレベルを調整した水耕液で栽培することによって、カリウムレベルを調整しない同種の葉物野菜の30%以下のカリウムしか含有しない葉物野菜を得ることができる。
本発明の栽培方法により、低カリウム葉物野菜を得ることができれば、カリウム摂取量を制限する必要のある腎臓病患者であっても安心して葉物野菜を食生活に取り入れることができる。
本発明の低カリウム葉物野菜の低カリウム栽培期用水耕液は、低カリウム栽培期間中の水耕液にカリウムを5〜50ppm含有することを特徴とする。
上述のとおり、後半の栽培期である低カリウム栽培期に水耕液中に5〜50ppmのカリウムを含有させることにより、カリウム欠乏症が起こらず、安定した量及び品質の低カリウム葉物野菜が収穫できる。
本発明の低カリウム葉物野菜の低カリウム栽培期用水耕液は、ナトリウムを20〜400ppm含有させることを特徴とする。
低カリウム野菜を栽培する場合には、通常カリウムの代替として、ナトリウムを与えている。本発明の場合にも、微量のカリウムに加えてナトリウムをカリウムの一部代替として与えるがその濃度は20〜400ppmが適正である。代替するナトリウムが20ppmより少ない場合には、カリウム欠乏症を解消し、成長を促す効果が見られない。また、ナトリウム濃度が400ppmよりも多い場合には、必要以上に作物中のナトリウム濃度が高くなり、腎臓機能の劣っている患者にとって、過度の負担が生じる可能性がある。
図1Aは本発明の低カリウム葉物野菜栽培方法の概略を示す。図1Bは従来の低カリウム葉物野菜栽培方法の概略を示す。
図1に低カリウム葉物野菜栽培方法の概略を示す。葉物野菜の種子を水に浸種する。リーフレタスの場合には、浸種期間は2〜3日である。使用する水は水道水で構わない。浸種後のリーフレタスは、発芽・発根を確認し、カリウムを含有する水耕液Aによって、一定期間栽培を行う。カリウム含有栽培期は、一般的な栽培条件を用いればよいが、栽培する葉物野菜の種類、照射する光、温度等の栽培条件によって適宜条件を設定することが好ましい。
カリウム含有栽培期は、例えば、特許文献1及び2で用いている水耕液を用いても良いし、一般的に水耕液として販売されている液肥を用いても構わない。リーフレタスを栽培する場合には、カリウム含有期の水耕液Aは、カリウムを110〜315ppm、より好ましくは110〜220ppmを含有しているものを使用することが好ましい。また、窒素は、全窒素量として80〜120ppm、リン酸として40〜50ppm含有しているものが好ましい。
ここでは、水耕液Aとして、全窒素量として95ppm、リン酸として50ppm、カリウムとして210ppmの濃度の水耕液に、マンガン、鉄、ホウ素、銅、亜鉛などの微量元素を含む水耕液を用いている。
従来は、図1Bに示すように、カリウム含有水耕液で葉物野菜が一定の草丈まで成長した後、KNOの代わりに、NaNO又はHNOを添加したカリウムを全く含まない水耕液B’を用いて、低カリウム葉物野菜を栽培していた。
これに対し、本発明では図1Aに示すように、水耕液Bは、カリウムを微量に含有し、また、不足分のカリウムを一部ナトリウムで代替した組成となっている。すなわち、従来の低カリウム葉物野菜の後半の栽培期間をカリウム不含有水耕液の代わりに低カリウム栽培期用水耕液で栽培を行う。微量のカリウムを添加することによって、収穫時の作物のカリウム値は低いまま維持されるが、カリウム欠乏症による生育障害が生じない(図1A参照)。
以下、実施例を示しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.低カリウム栽培期の栽培条件
リーフレタスの種子は水道水を用いて浸種し、3日後からカリウム含有水耕液Aを用いて26日間栽培する。その後、カリウムとして、KNOを9〜30ppm含む低カリウム栽培期用水耕液Bに切り替えて栽培される。低カリウム栽培期用水耕液Bに切り替えた後、水耕栽培システムの規模や種類に応じて、一定期間毎に水耕液Bを新しい水耕液Bと全量交換する。例えば、2日から10日毎に新しい水耕液Bと全量交換する。水耕液交換から水耕液交換の間は、EC値をモニターしながら、EC値が一定になるように管理する。
水耕液Aは、一般的な水耕栽培に用いる培養液であればどのようなものを使用してもよい。葉物野菜の種類、照射する光、温度等の栽培条件によって、最適な肥料濃度、窒素、カリウム、リン酸の比を変えた肥料を用いることができる。また、鉄、銅等の微量元素に関しては、一般の水耕液に含まれている量で構わない。
また、低カリウム栽培期用水耕液(水耕液B)としては、カリウムの代替としてナトリウムを20〜400ppm加え、窒素は90〜120ppm、リン酸は40〜100ppm、他に微量元素としてホウ素、鉄、銅、亜鉛、モリブデンを含む水耕液を用いればよい。
ここでは、水耕液Bとして、窒素105ppm、リン酸100ppm、ナトリウム145ppmに、微量元素として、マグネシウム、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデンを含む水耕液に下記の濃度のカリウムを添加して用いている。
下記表1のようにカリウム値を変えて低カリウム栽培期用水耕液Bを作成し、水耕液を低カリウム栽培期用水耕液に交換してから、14日栽培した後収穫し、重量及びカリウム含有量を測定した。結果を表1に示す。
日本人の平均的なカリウム摂取量は2300mg/日といわれている。これに対して、カリウム制限を受けている腎臓病患者は、1日のカリウム摂取量を1500mgに制限されている。すなわち、腎臓病患者は健常者の65%程度にカリウムを制限する必要がある。したがって、五訂増補日本食品標準成分表(以下、日本食品標準成分表と記載する場合もある。)の65%以下、より好ましくは50%以下、特に好ましくは30%以下にカリウム値がなるようにすることが好ましい。
日本食品標準成分表によるとリーフレタス(葉、生)は100g当たり490mgのカリウムを含むとされている。通常の野菜の65%以下のカリウム値(319mg/100g)になるように、リーフレタスを栽培するのであれば、水耕液Bは、40ppm程度のカリウムを含んでもよい。また、通常のリーフレタスの50%(245mg/100g)のカリウムを含む低カリウムリーフレタスであれば、30ppm程度のカリウムを含有した水耕液Bを、30%(147mg/100g)の低カリウムレタスであれば、17ppm程度のカリウムを含有した水耕液Bを用いて栽培すればよい。
一般にレタスをサラダとして食する場合、通常1食あたり30〜50g程度必要である。そこで、低カリウムレタスのカリウム値が日本食品標準成分表に公表されている約1/5である100mg/100g以下であれば、1食あたり最大でも50mg以下に抑えることができるので、一日のカリウム摂取量を十分に低い値に抑えて献立を組むことが可能となる。100mg/100g以下にカリウム値を維持しつつ、カリウム欠乏症が生じない生育条件に該当する栽培条件は、上記結果から水耕液に12ppm以下のカリウムを含有させた水耕液を用いればよいことがわかる。
また、例えば、カリウムを15ppm含有した水耕液Bを用いた場合、EC値を一定にして水耕液を循環しているにもかかわらず、循環している水耕液を分析すると、水耕液交換17時間後には、4ppm、23時間後には2ppm、41時間後には検出不能であった。
カリウムはごく微量しか含まれていないため、選択的に植物が吸収するものと考えられる。また、ごく微量であるため、EC値には影響しないので、EC値をモニターしていてもカリウム値を管理することは困難である。したがって、栽培品種にもよるが2〜5日毎に水耕液を交換することが好ましい。小さい試験区では水耕液全部を数日毎に交換しているが、実際の工場のラインでは、数日毎に水耕液の1/3〜1/5程度を新しい水耕液と交換すればよい。
ここでは、流路の短い試験区で栽培しているため、低カリウム栽培期用水耕液に含有させるカリウム濃度は比較的低い値となっている。実際には、水耕栽培に用いるシステムの流路の長さや、水耕液Bを交換する頻度によって、含有させるカリウム値の最適範囲は異なってくる。流路の長い工場の水耕栽培システムを用いる場合には、3日毎に水耕液Bを交換して栽培することは実際的ではない。そこで、流路の長い水耕栽培システムにおいて、40ppmのカリウムを含む水耕液Bを3〜5日毎に一部交換することにより、低カリウムリーフレタスを栽培した。その結果、カリウム欠乏症を起こさずに、100mg/100g以下のカリウム値のレタスを収穫することができた。また、リーフレタスの場合、ナトリウムを100〜160ppmの濃度で代替することにより、カリウムによる生育障害を回避できることがわかった。
一方、流路の短いシステムを用いて栽培する場合には、5ppmのカリウムを含む水耕液Bを用いることにより、低カリウムによる生育障害は起こらなかった。したがって、リーフレタスを栽培する場合には、用いる水耕栽培システムの規模によって異なるが、5〜40ppmのカリウムを水耕液に添加すれば、カリウムによる生育障害を回避して、低カリウムレタスを収穫することができる。
本発明者らは、リーフレタス以外にも、ホウレンソウ、小松菜、サンチュ、エンダイブで低カリウム水耕栽培を試みている。カリウム不含有水耕液B’を用いて栽培を行った場合に、サンチュ、エンダイブはカリウム欠乏症による葉先の黄変は生じなかったが、ホウレンソウ、小松菜はカリウム欠乏症を起こした。したがって、ホウレンソウ、小松菜は、カリウム要求性が高い野菜であると考えられる。したがって、10〜50ppmのカリウムを添加した低カリウム栽培期用の水耕液Bを用いる必要があると推定される。
2.低カリウム栽培期用水耕液を用いることによる収穫量に対する効果
従来法のカリウムを全く含まない水耕液B’に肥料を切り替えてからの栽培期間が長くなるほど、野菜のカリウム値も低くなる。しかしながら、1株の重量が低下する傾向が見られた。そこで、カリウムを全く含まない水耕液に切り替えてから、経時的にカリウムと、1株の重量がどのように変化するかを解析した。
リーフレタスをカリウム含有水耕液で栽培した後、カリウムを全く含まない水耕液B’に交換すると、カリウム含有量は、日数が経過するほど減少していき、10日後には日本食品標準成分表の16.6%の値となり、十分に低い値となっていた。しかしながら、1株の重量も低下していき、水耕液B’に交換後10日目には肥料切替時の重量の20%程度の減少が見られた。
重量の減少はレタスのカリウム値が十分に低くなる前に始まっており、水耕液をカリウム不含有水耕液B’に交換してから、5日後にすでに10日後と同定度の20%程度の重量減少が起こっていることが明らかとなった。
1株あたりの重量が減少すると、結果的に収穫量の減少につながる。また、カリウム不含有水耕液B’で栽培した場合には、葉の黄変等の生育障害が散見されることは前述のとおりである。
次に、上記で検討したカリウムを微量に含む水耕液Bで栽培を行った場合の重量や草丈等の影響を解析した。
カリウム含有栽培期は同一の水耕液Aを用いて栽培した後、14日間10ppmのカリウムを含む低カリウム栽培期用水耕液Bで栽培し、カリウムを全く含まないカリウム不含有水耕液B’とで夫々栽培し、重量、草丈を調べた。各30株の平均重量、平均草丈及び各々の最大値、最小値を表2に示す。本発明の栽培方法である栽培期後半の水耕液に微量のカリウムを含有させて栽培したものを「低カリウム」、水耕液の他の組成は同一にし、カリウムを全く含有させないで栽培した従来の栽培方法によるものを「カリウム不含有」として表す。
上記結果からも明らかなように、10ppmのカリウムを含んだ水耕液Bを用いて栽培を行うと、平均重量、平均草丈ともに従来法に比較して約7%ほど増加していた。
また、カリウム値は低カリウム栽培期用水耕液Bを用いたもので、53mg/100gと、カリウム不含有水耕液B’を用いたもののカリウム値57mg/100gと微量のカリウムを添加した場合でも、カリウムを全く含有しない水耕液で栽培したものと遜色ない値を得ることができた。
さらに、実際のラインでどの程度の不良品が出ているかを解析し、比較を行った。結果を表3に示す。
従来のようにカリウム不含有水耕液で栽培した場合には、989株中、23株の不良品が発生した。不良品の内訳としては、ピンクリブが9株で最も多く、チップバーン6株、生育不良3株、残りは縁腐れその他の不良となっている。
一方、試験区で低カリウム栽培期用水耕液Bを用いて栽培した30株に関しては、カリウム欠乏症による生育障害は見られなかった。
以上、示したように、低カリウム葉物野菜を栽培する際に、カリウム含有水耕液で葉物野菜を一定期間栽培し、その後カリウムを5〜50ppm含有した低カリウム栽培期用水耕液に代えて栽培することにより、収穫時のカリウムレベルを低く維持したまま、カリウム欠乏症を抑制して栽培することができる。また、ごく微量のカリウムを後半の栽培期でも与えるため、収穫時の1株当たりの重量も重いものが得られることから、非常に生産性良く、安定した栽培が可能となる。

Claims (5)

  1. カリウム含有水耕液で葉物野菜を一定期間栽培し、その後低カリウム栽培期用水耕液に代えて栽培する低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、
    低カリウム栽培期用水耕液はカリウムを5〜50ppm含有し、
    EC値は、カリウム含有栽培期間、低カリウム栽培期間を通じ、0.5〜1.8に調整して栽培することを特徴とする低カリウム葉物野菜を栽培する方法。
  2. 請求項記載の低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、
    低カリウム栽培期用水耕液はナトリウムを20〜400ppm含有することを特徴とする低カリウム葉物野菜を栽培する方法。
  3. 請求項1又は2記載の低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、
    水耕液のpHは、カリウム含有栽培期間、低カリウム栽培期間を通じ、5.0〜7.0に調整することを特徴とする低カリウム葉物野菜を栽培する方法。
  4. 請求項1〜いずれか1項記載の低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、
    全栽培期間を通して、連続して水耕液のEC値及びpHを一定に調整して栽培することを特徴とする低カリウム葉物野菜を栽培する方法。
  5. 請求項1〜いずれか1項記載の低カリウム葉物野菜を栽培する方法において、
    低カリウム栽培期用水耕液で栽培する期間を10日〜17日とすることを特徴とする低カリウム葉物野菜を栽培する方法。

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