JP6437781B2 - 低カリウムメロンの土壌栽培方法 - Google Patents

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本発明は、カリウム含有量が少ない青果物の土壌栽培方法に関する。
近年、植物工場で栽培する高付加価値野菜として、低カリウム野菜の栽培が脚光を浴びている。人工透析患者、慢性腎臓病患者等、医師からカリウム摂取制限を受けている患者数はわが国だけでも30万人程度はいると言われており、低カリウム野菜の潜在的な需要が高かったことから、低カリウム野菜が注目されていると考えられる。
腎不全患者は、腎臓のカリウム排泄能力が低下しているため、カリウムをうまく排泄することができない。その結果、不整脈となるおそれがあるだけでなく、深刻な場合には心臓停止を引き起こす高カリウム血症となるおそれが生じる。
そのため、慢性腎臓病の病期にもよるが、腎不全患者は1日のカリウム摂取量を1,500〜2,000mg以下に制限する必要がある。カリウムは多くの食材に含まれているため、腎臓病患者はタンパク質や塩分の摂取に気をつけるとともに、カリウム摂取にも留意する必要がある。
しかしながら、カリウムは植物の三大栄養素の一つとして古くから知られているように、植物の成長には必須であり、野菜には必ず含まれている。このため、カリウム含有量の少ない野菜を栽培することは、作物の成長阻害にもつながるため非常に難しい。したがって、これまでは治療や看護の現場では、野菜を茹でこぼす、水にさらすといった方法によりカリウムを減少させ、カリウム摂取制限に対応していた。そのため、腎臓病患者は、加熱処理を行わずに、生の野菜や果物を摂取することは制限されていた。
カリウム含有量の少ない野菜を提供する方法としては、低カリウムホウレンソウや葉菜を栽培する方法が開示されている(例えば、特許文献1,2)。また、低カリウムのメロンや苺を水耕栽培で得る方法も開示されている(特許文献3)。
特開2008−61587号公報 特開2011−36226号公報 特開2011−135797号公報
しかしながら、これら方法はすべて水耕栽培によるものであり、限られた葉物野菜、あるいは果物しか栽培できないという欠点があった。例えば、葉物野菜のうちでも、結球系のキャベツや白菜等の葉物野菜等は、水耕栽培には向かないとされている。
また、低カリウム野菜、果物を栽培することは、植物に必要なカリウムをカットする必要があることから、通常の水耕栽培より根腐れ、葉の黄変等の病変が生じやすく、安定して生産することは困難である。そのため、栽培期間の長い植物や、根や実に栄養分を蓄える根菜類、果物、実物等は、成長に必要なカリウムを制限することによって植物体の成長自体が阻害されることから、栽培は非常に困難であるとされている。
更に、特許文献3で試みられたメロン、苺等の果物の低カリウム水耕栽培は、水耕栽培施設を長期間占有しなければ収穫することができないことから、大規模水耕栽培を行うのが困難であった。
本発明は、カリウム含有量が少ないメロンを、土壌栽培法を用いて、容易に、短期間で栽培することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る低カリウムメロンの土壌栽培方法は、培養土を用いて低カリウムメロンを栽培する方法であって、前記培養土1リットル当たりの固定カリウム含有量は、45.0ミリグラム当量以上197.9ミリグラム当量以下であり、且つ、前記培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和は、0.772ミリグラム当量以上1.360ミリグラム当量以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、前記培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和は、1.0ミリグラム当量以上1.2ミリグラム当量以下であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、前記培養土が、灰色低地土と淡色黒ボク土との混合土壌を含むことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成に加えて、前記培養土には、前記固定カリウムを含有する有機物が混合されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成に加えて、前記培養土には、他の栄養素を含む肥料が混合されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成に加えて、前記培養土は、栽培に寄与しない周囲の土壌から隔離されていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、土壌栽培法を用いて、カリウム含有量が少ない青果物を栽培することができ、従って、水耕栽培に適さない青果物であっても、カリウム含有量が少ない状態で収穫することができる。また、土壌栽培法を用いることにより、水耕栽培の場合と比較して、設備費等の生産コストを低価格に抑えることができる。
加えて、請求項1の発明によれば、栽培中に培養土を入れ替える必要が無いので、栽培作業の負担が少ないと共に、青果物の栽培歩留まりが向上する。
請求項2の発明によれば、高品質の青果物を、高い栽培歩留まりで、栽培することができる。
請求項3の発明によれば、栽培土中の、固定カリウム量の調整や、交換性カリウム量と水溶性カリウム量との和の調整が容易になり、従って、本発明の培養土を容易に作成することができる。
請求項4の発明によれば、固定カリウム量の調整が容易になる。
請求項5の発明によれば、培養土に肥料を加えることで、カリウム含有量が少ない青果物の、品質の向上等を図ることができる。
請求項6の発明によれば、栽培土中の、固定カリウム量の調整や、交換性カリウム量と水溶性カリウム量との和の調整等を、正確に行うことができる。
低カリウム青果物の土壌栽培方法を示す工程図である。 低カリウム青果物の土壌栽培を行う栽培ベッドを概念的に示す斜視図である。 低カリウム青果物の栽培に用いる土壌の分析結果を示すレーダーチャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
この実施の形態では、土壌を用いて低カリウム青果物を栽培する。このために、この実施の形態では、周囲の土壌から隔離された隔離栽培領域内の培養土として、交換性カリウム量及び水溶性カリウム量の和の調整と、固定カリウム量の調整とが施されたものを使用する。
このような培養土を使用することにより、この実施の形態では、低カリウム青果物を土壌栽培法で栽培することが可能になった。そして、この結果、水耕栽培で栽培することが困難な植物についても、低カリウムの青果物を収穫することが可能になった。
ここで、水溶性カリウムとは、土壌内の溶液中に溶解している状態のカリウムである。また、交換性カリウムとは、土壌コロイド(すなわち粘土鉱物や腐植分)に静電気的に吸着されている状態のカリウムである。固定カリウムとは、一次鉱物や土壌微生物に含有されている状態のカリウムである。但し、この実施の形態では、有機物等に含有されるカリウムであって、ゆっくりと分解されて、少量ずつ、植物による摂取が可能になるものも、固定カリウムに含むこととする(後述)。
水溶性カリウム及び交換性カリウム(以下、両者をまとめて「水溶性・交換性カリウム」と記す場合がある)は、植物が容易に吸収できる状態のカリウムである。一方、固定カリウムは植物が吸収し難い状態のカリウムである。従って、土壌中のカリウムの全体量が同一であったとしても、全カリウム量に対する水溶性・交換性カリウム含有量の比が異なれば、植物に吸収されるカリウム量は異なるものとなる。
ここで、通常の土壌栽培(すなわち、青果物のカリウム含有量を問題にしない栽培)では、植物の生長を促進するために、栽培の全期間にわたって、十分な量の水溶性・交換性カリウム(すなわち、植物に吸収しやすい状態のカリウム)を、栽培植物に与える。この結果、栽培植物は、必要なカリウムの大部分を、水溶性・交換性カリウムから摂取し、固定カリウムからは殆ど摂取しない。従って、通常の土壌栽培では、土壌中の固定カリウム量を調整する必要は無い。
これに対して、土壌中の水溶性・交換性カリウムが不足している状態では、植物は、少しずつ土壌中に溶出する固定カリウムを順次摂取する。このため、低カリウム青果物の土壌栽培においては、土壌中の固定カリウム量も考慮する必要がある。
すなわち、低カリウム青果物の土壌栽培においては、水溶性・交換性カリウムの量を調整するだけでなく、固定カリウムの量の調整をも行う必要がある。なお、一般に土壌に含まれる水溶性カリウムはごく微量であることから無視し、交換性カリウムの含有量のみを調整してもよい。
この実施の形態では、土壌中の水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウム量を個別に調整することにより、植物が盛んに成長する時期には十分なカリウムが摂取されるが、収穫前の一定期間にはカリウムを十分に摂取できない状態(すなわちカリウムカット状態)となるような、環境を作り出す。
また、土壌中の水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量を個別に調整することにより、様々な品種の低カリウム青果物を栽培することが可能になる。具体的には、カリウム含有量が調整された土壌を用い、栽培する植物に応じて、この土壌に養分を多く含む沖積土等を配合する。
この実施の形態では、土壌として、赤黄色土、酸性褐色森林土、火山灰土等を使用することができる。これらの土壌は、土壌学上、カリウム含有量が少ないとされている。
この実施の形態では、これらの土壌を二種類以上混合することで、水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量をそれぞれ調整する。また、栽培する植物の品種に応じて、これら土壌の混合比を変更することで、様々な品種の低カリウム青果物について、水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量を適切に設定することが容易になる。但し、所望の水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量が得られるのであれば、一種類の土壌のみを用いても良い。
さらに、この実施の形態の土壌栽培方法では、上述の混合土壌に、さらに粗大有機物を配合することとする。すなわち、この実施の形態では、粗大有機物を土壌改良材として加えることにより、土壌の改良を行う。粗大有機物としては、微量のカリウムを含有しているものがある。従って、水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量をそれぞれ調整するに当たっては、粗大有機物に含有される水溶性・交換性カリウムや固定カリウムも、考慮する必要がある。
具体的には、この実施の形態では、粗大有機物としてココピートを使用する。ココピートに含まれる全カリウムは、ゆっくりと分解されて、少量ずつ、植物による摂取が可能になるため、土壌学上の固定カリウムと同様に扱うことができる。
以下、この実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の例で説明する水溶性・交換性カリウム量及び固定カリウム量は、一例にすぎない。植物が必要とするカリウム量(具体的には、水溶性・交換性カリウムの量及び固定カリウムの量)は、栽培品種だけではなく、栽培時期によっても異なる。
[具体例]
この実施の形態では、いわゆるマスクメロンの一品種である夏系27号を、オオイを台木として用いて、栽培した。また、この実施の形態の場合は、4月20日に播種し、7月28日に収穫を行った。
図1に、播種から、収穫までの工程を示す。メロンは、播種後の25〜30日、カリウムを含む完全栄養で育苗する。育苗期間の土壌としては、通常の土壌栽培(すなわち、青果物のカリウム含有量を問題にしない栽培)の育苗に用いられる土壌と同様の、水溶性・交換性カリウムを十分に含む土壌を用いる。その後、苗を、栽培ベッド1に定植して、栽培する。栽培ベッド1は、図2に示すように、培養土2を入れて使用される。
植物は、栽培ベッド1を用いることにより、培養土2に含有されるカリウムや他の栄養分のみで生育ことが可能になる。カリウムに関しては、前述のようにカリウムの土壌中での状態毎の含有量(すなわち、水溶性・交換性カリウム量及び固定カリウム量)が重要であることから、どのような状態のカリウムがどの程度存在するかを個別に調整する必要がある。但し、土壌に含まれる水溶性カリウム量は、ごく微量であることから無視した。
メロンの場合、果実、葉、茎等、植物体全体のカリウム量を測定した結果、通常栽培では、収穫時までに5900mgのカリウムが必要であると解析された。これに対して、本発明者は、メロンが培養土から吸収するカリウム量を、この必要量の1/2〜2/3程度に制限することにより、低カリウムメロンを収穫することを試みた。
この実施の形態のメロン栽培では、定植から収穫までの期間に使用する培養土2を五種類作成し、これらの培養土2を用いた試験区1〜5で、実験栽培を行った。これら五種類の培養土2には、土壌A、土壌B、ココピート及びパーライトの一部又は全部を、様々な割合で配合した(後述の表2参照)。なお、後述のように、土壌A及び土壌Bについては、予めカリウム含有量を測定した。ココピートは粗大有機物であり、また、パーライトは無機系土壌改良材である。
ここで、土壌Aは、土壌学上、灰色低地土に分類される土壌である。また、土壌Bは、土壌学上、淡色黒ボク土に分類される土壌である。表1及び図3に、土壌A及び土壌Bの成分分析の結果を示す。
表2に、土壌A、土壌B、ココピート及びパーライトの混合割合を示す。表2の混合率は、すべて容量%で表している。各土壌には、元肥として、同じ有機肥料を同量ずつ加えた。
また、土壌A及び土壌Bについて、全カリウム量及び固定カリウム量を測定した。これらの測定では、まず、土壌を硫酸で加熱し、有機物を分解後、カリボール法で土壌中の全カリウム量を測定した。そして、このようにして測定した全カリウム量から、カリボール法で測定した交換性カリウム量を引いた値を、固定カリウム量とした。表3は、土壌A及び土壌Bの、全カリウム量及び固定カリウム量を、それぞれ示している。
また、表4は、試験区1〜4の固定カリウム量、交換性カリウム量及び水溶性カリウム量であり、表1〜3のデータを用いて計算した。なお、この計算では、培養土2の容積を1リットル、土壌A、土壌B及びココピートの比重を1.0、0.5、0.3とし、単位はmeq/Lである。
Figure 0006437781
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表1及び図3に示すように、A,Bどちらの土壌も、交換性カリウム量はほとんど差がない。その一方で、表3に示すように、土壌Aと土壌Bとでは、固定カリウム量が大きく異なっている。表3から分かるように、土壌Aは、土壌Bの約2.3倍の固定カリウムを含んでいる。なお、上述のとおり、水溶性カリウム量は、この実施の形態で用いた土壌A、Bではごく微量であることから、考慮する必要がない。
上述のように、粗大有機物であるココピートにも、カリウムが含まれている。ココピートに含有されたカリウムは、ゆっくりと溶出することから、土壌学上の固定カリウムを同様の効果が期待され、従って、この実施の形態では固定カリウムとして扱う。ココピートのカリウム含有量は、500mg/100gであった。なお、水溶性・交換性カリウムはココピートに含有されていないため、全カリウム量も500mg/100gである。
配合肥料としては、どのようなものを用いても良いが、ここでは市販の有機肥料を使用した。なお、有機肥料は、土壌微生物によってゆっくりと分解されることによって、植物に吸収されていくことから、元肥として土壌に混合することにより、受粉時期まで、カリウムがゆっくりと溶出し、植物体に吸収されていくことになる。すなわち、有機肥料のカリウムも、固定カリウムとして機能する。
また、窒素、リン酸、カルシウム、マグネシウム、その他各種微量元素を含む他の栄養素に関しては十分に与えて栽培を行う。
図1に示すように、この実施の形態の土壌栽培では、定植から受粉までの25〜30日の育成期間は、土壌に含まれている栄養分と、土壌に混合され有機肥料により、植物体は完全栄養で生育する。この実施の形態では、元肥のみで栽培を行うが、追肥を行ってもよい。なお、この実施の形態では、培養土2中のカリウム量を管理しているので、追肥を行う場合は、カリウムを含まない肥料を使用することが望ましい。
メロンの場合、受粉後の約50日間は、本来、種の完成や果実の肥大のために、多くのカリウムを必要とする。これに対して、この実施の形態では、この期間を、カリウムを与えずに栽培するカリウムカット期間とする。この、育成期間の後期であるカリウムカット期間には、土壌中の水溶性・交換性カリウムはほとんど植物体に吸収しつくされており、土壌中には植物が利用しやすい形態のカリウムは存在しない。このため、メロンは、主として植物体の葉や茎の樹液中に存在するカリウムを果実に移行させると共に、土壌から僅かな量の固定カリウムを吸収することによって、果実を肥大させる。
なお、試験区5は、果実が直径10cm程度と非常に小さいものしか収穫できなかったので、カリウム含有量の測定を行わなかった。この試験区5では、カリウムが極端に少なかったことから、果実が大きくならなかったものと考えられる。試験区1〜4は、通常栽培のものと遜色ない大きさの果実を収穫することができたので、試験区1〜4のメロンを収穫し、カリウム量を測定した。試験区1〜4で収穫したメロンのカリウム値を表5に示す。
どの試験区も通常栽培のメロンに比べ、カリウム値の低いメロンを得ることができた。
Figure 0006437781
特に試験区4は、通常栽培に比べ1/3以下のカリウム値であった。しかしながら、カリウム欠乏による生育障害が出ているものが多く、安定して果実を収穫することは容易ではない。
カリウム欠乏症の症状が作物に出ず、安定して生産できたのは、試験区2及び試験区3であった。特に、試験区2は果実のカリウム値も通常栽培の1/2以下と低かったことから、灰色低地土、淡色黒ボク土を1:1の配合比とするのが、夏作メロンの場合には最適であると結論付けた。
土壌中の全カリウム量の合計は、試験区1が最も多く、次いで、試験区2、3、4の順となっている。しかしながら、固定カリウムは、植物体が容易に吸収できる状態のカリウムでは無いことや、固定カリウムといっても溶解しやすさは土壌によって異なることから、培養土中の全カリウム量の多少と植物が吸収できるカリウム量の多少とは、必ずしも一致しない。
上記のような実験を繰り返すことにより、本発明者は、カリウム含有量が十分に低い青果物を得るためには、培養土1リットル当たりの固定カリウム含有量を、30ミリグラム当量以上150ミリグラム当量以下とし、且つ、前記培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和を、0.5ミリグラム当量以上1.5ミリグラム当量以下とすることが望ましいと結論付けた(試験区2〜4に対応)。
更に、本発明者は、高品質の青果物を安定して収穫するためには、培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和を、1.0ミリグラム当量以上1.2ミリグラム当量以下とすることが特に望ましいと結論付けた(試験区2、3に対応)。
本発明者の検討によれば、固定カリウムの約1/10000程度が水溶性カリウムとして利用可能であると考えられる。この検討結果を踏まえ、固定カリウムから供給されるカリウム量を計算に入れて、土壌の配合を調整し、さらに、不足分は粗大有機物、元肥により補充した配合土壌を調整することで、品種や季節に拘わらず、低カリウム青果物を土壌栽培することが可能になる。
メロンの場合、定植後、受粉までの約30日の期間は肥料が十分に供給される必要があり、受粉後収穫まではカリウムの供給が断たれるように土壌の配合を調整する必要がある(図1)。それには、土壌から供給されるカリウムを通常栽培の1/2〜1/3以下とすればよい。定植から受粉までのカリウムが十分でない場合には、メロンの果実は十分に成長せず、ネット形成も不良となる。
また、メロンの場合、春作、秋作等、栽培する季節に応じて、必要とするカリウム量が異なる。したがって、季節に応じて、淡色黒ボク土1に対して灰色低地土0.6〜2.0の範囲内で、これら土壌の混合比を変更して、メロンを栽培することが好ましい。
栽培ベッド等を用い、周囲の土壌とは隔離された領域で栽培することにより、植物が吸収する養分を完全に制御した状態で栽培することにより低カリウム青果物を栽培することができる。
この実施の形態では、メロンの栽培を例に採ったが、トマト、レタス、キャベツ、ホウレンソウ、いちご、玉ねぎ、人参、馬鈴薯等、様々な品種の低カリウム青果物を栽培することが可能である。このためには、栽培する品種に合わせて、固定カリウム含有量や水溶性・交換性カリウム含有量を調整すれば良い。播種から収穫までに必要なカリウム量は栽培する品種によって異なるが、収穫までに十分とされるカリウム量よりも少ない量のカリウム量であって、植物が生育可能であるカリウム量を含有する培養土を用いることにより、低カリウム青果物を収穫することが可能となる。

Claims (6)

  1. 培養土を用いて低カリウムメロンを栽培する方法であって、
    前記培養土1リットル当たりの固定カリウム含有量は、45.0ミリグラム当量以上197.9ミリグラム当量以下であり、且つ、
    前記培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和は、0.772ミリグラム当量以上1.360ミリグラム当量以下である、
    ことを特徴とする低カリウムメロンの土壌栽培方法。
  2. 前記培養土1リットル当たりの交換性カリウム及び水溶性カリウムの含有量の和は、1.0ミリグラム当量以上1.2ミリグラム当量以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の低カリウムメロンの土壌栽培方法。
  3. 前記培養土は、灰色低地土と淡色黒ボク土との混合土壌を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の低カリウムメロンの土壌栽培方法。
  4. 前記培養土には、前記固定カリウムを含有する有機物が混合されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の低カリウムメロンの土壌栽培方法。
  5. 前記培養土には、他の栄養素を含む肥料が混合されていることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載の低カリウムメロンの土壌栽培方法。
  6. 前記培養土は、栽培に寄与しない周囲の土壌から隔離されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の低カリウムメロンの土壌栽培方法。
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