JP5882596B2 - 車両用環境負荷表示方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を駆動するエンジンの燃料消費や電気モータの電力消費等に伴って直接、もしくは間接的に発生する環境負荷物質に関する情報を表示するための車両用環境負荷表示方法に関する。
自動車などの車両においては、環境に及ぼす影響を減らすために、二酸化炭素(CO2。以後、本明細書では、CO2と表記する。)や窒素酸化物(NOx。以後、本明細書では、NOxと表記する)のような環境負荷物質の排出量を削減することが求められている。例えば、ガソリンや軽油などの燃料を燃焼させることによって駆動力を発生するエンジンを搭載した車両においては、エンジン始動後にエンジンの排気ガスとして二酸化炭素や窒素酸化物が排出されるので、この排気ガスが環境に影響を及ぼす。
また、例えば電気モータの駆動力だけで走行することが可能な電気自動車の場合であっても、間接的に、すなわち電気モータが消費する電力を生成する際に、二酸化炭素等の環境負荷物質を排出している場合が多い。
本発明と関連のある従来技術に関しては、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示された技術が知られている。
特許文献1には、評価装置を備えた自動車の二酸化炭素表示装置が開示されている。この表示装置においては、測定した燃料消費量等に基づいて二酸化炭素の排出量を算出し、ある区間の排出量および積算された総排出量を選択的にデジタル表示する。また、走行距離等に応じて決定される排出量基準値と計測した排出量とを比較して、排出量の増減率をパーセント数値で表示する。更に、前記増減率に基づいて運転者の評価を行い、「優秀」、「良好」、「不可」の3段階に区分し、その結果を色、図柄、文字形状等の違いにより表示する。
特許文献2には、エコロジー・エコノミー運転状態を認識しやすい車両用表示装置が開示されている。この装置においては、検出された車両のエンジン回転数、車速、走行距離、燃料消費量、燃料噴射量、アクセル開度等に基づいて判定した結果をエコロジー・エコノミー運転状態として表示する。また、第1の運転状態表示画像として、植物を表す複数の画像13a〜13cの形態変化を用いて前記エコロジー・エコノミー運転状態を表示することを開示している。また、第2の運転状態表示画像として、帯状に配置された複数のセグメント(ブロック)を用いたバーグラフ表示画像によりエコロジー・エコノミー運転状態を表示することも開示している。
特許文献3には、環境に配慮したエコドライブの支援を可能とする車両用表示装置が開示されている。この表示装置においては、車両がアイドリング状態であるか否かを判定し、この判定結果に基づいて前記アイドリング積算時間を計測して表示手段に表示させる。また、車両がアイドリング状態であることを検出した時に、アイドリング状態を表示により報知する。
特開2008−155903号公報 特開2010−151746号公報 特開2010−179764号公報
例えば、特許文献1に開示された技術を採用すれば、二酸化炭素の排出量を数値でデジタル表示することができるので、車両の運転者はどの程度の量の環境負荷物質を排出しながら走行しているのかを把握することが可能である。しかしながら、表示された数値を運転者が視覚的に読み取る際には、認識にある程度の時間が必要であり、その間は運転の操作に集中することもできない。従って、二酸化炭素の排出量を頻繁に確認することは難しい。
例えば、車両の走行のための駆動源としてガソリンエンジン及び電気モータの両方を搭載しているハイブリッドカーの場合には、車両全体の駆動力に占めるガソリンエンジンの駆動力と電気モータの駆動力との割合を、その時の状況に応じて車両のコンピュータが自動的に制御する。
従って、例えば同じ速度でハイブリッドカーが走行している場合であっても、ガソリンエンジンの駆動力だけで走行している場合もあるし、電気モータの駆動力だけで走行している場合もあるし、ガソリンエンジンと電気モータの両方の駆動力で走行している場合もある。
そして、ガソリンエンジンの駆動力だけで走行している場合にはエンジンから直接排出する二酸化炭素の量が多くなり、電気モータの駆動力だけで走行している場合にはエンジンから直接排出する二酸化炭素の量が0になる。また、ガソリンエンジンと電気モータの両方の駆動力で走行している場合には、エンジンだけの場合と比べて直接排出する二酸化炭素の量が減少する。
従って、ハイブリッドカーのように二酸化炭素の排出量が状況に応じてダイナミックに変化する車両の場合には、その時の排出量を運転者が正しく把握することにより、排出する二酸化炭素を減らすような運転操作を行うことも可能になる。つまり、二酸化炭素等の環境負荷物質の排出量を表示することにより、環境負荷物質の排出を減らすための運転操作を支援することができる。
しかし、特許文献1のように数値を表示する場合には、二酸化炭素の排出量を運転者が頻繁に確認できないので、排出量を常時減らすように最適な運転状態を維持するのは困難である。また、特許文献2のようにエコロジー・エコノミー運転状態を植物を表す複数画像の形態変化で表現する場合には、結果的にエコロジーあるいはエコノミーであるか否かを運転者が知ることは容易である。しかし、特許文献2の表示では二酸化炭素の排出量を把握できないので、運転者が排出量を減らすために役立てるのは難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二酸化炭素等の環境負荷物質の排出量を運転者が容易に把握することが可能な車両用環境負荷表示方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る車両用環境負荷表示方法は、下記(1)〜(7)を特徴としている。
(1) 車両を駆動するエンジンの燃料消費または電気モータの電力消費に伴って直接、もしくは間接的に発生する環境負荷物質に関する情報を表示するための車両用環境負荷表示方法であって、
発生する環境負荷物質の排出量を表す環境負荷情報を取得し、
前記環境負荷情報を、環境負荷物質の量が0である第1の状態と、環境負荷物質の量が基準値より少ない第2の状態と、環境負荷物質の量が前記基準値以上である第3の状態との3種類もしくはそれ以上の状態に区分し、
前記環境負荷情報が前記第2の状態又は第3の状態に該当する場合には、車両および排気ガスを模擬した特定形状パターンを含む静止画もしくは動画を表示すると共に、少なくとも前記第2の状態と第3の状態とで前記特定形状パターンの排気ガスの表示面積を切り替え、
前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、前記特定形状パターンから排気ガスのパターンを除いた情報を表示すること。
(2) 上記(1)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、更にエンジン停止を表す特別なパターンを表示すること。
(3) 上記(1)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
更に、自車両からの環境負荷物質の排出に関する削減量を予め定めた基準車両の燃料消費量に基づき算出し、
前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、算出した前記削減量を表す特別なパターンもしくは数値を更に表示すること。
(4) 上記(3)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
自車両におけるアクセル開閉度を検出し、検出したアクセル開閉度に基づいて前記削減量を計算により推定すること。
(5) 上記(3)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
自車両における走行距離を検出し、
自車両における非走行状態の時間長を表すアイドリング時間を検出し、
前記基準車両における距離と燃料消費量との関係を表す第1の燃費情報と、前記基準車両におけるアイドリング時の単位時間あたりの燃料消費量を表す第2の燃費情報とを利用し、
前記走行距離、前記第1の燃費情報、前記アイドリング時間および前記第2の燃費情報に基づいて前記削減量を計算により推定すること。
(6) 上記(1)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
自車両における現在の車速および変速機のギア比の情報を取得し、
前記基準値を、最新の車速およびギア比に応じて自動的に変更すること。
(7) 上記(1)に記載の車両用環境負荷表示方法であって、
自車両における走行距離を検出し、
自車両における環境負荷物質の排出量の累積値を検出し、
前記基準値を、検出した走行距離および環境負荷物質の排出量の累積値に基づいて算出される排出量平均値に応じて自動的に変更すること。
上記(1)の構成の車両用環境負荷表示方法により表示される情報を参照することにより、運転者は環境負荷物質の排出状況を瞬時に把握することが可能になる。すなわち、環境負荷物質の排出の有無が排気ガスパターンの有無により表示され、排出量の大小が排気ガスパターンの面積の大小により表示されるので、数値を読み取ることなく運転者は直感的に状況を把握できる。従って、運転者は環境負荷物質の排出状況を常時把握可能になり、排出量を減らす運転を行うように運転者を支援できる。
上記(2)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、エンジンが停止している時に、直接排出する環境負荷物質の排出量が0であることを運転者に瞬時に認知させることができる。
上記(3)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、例えばハイブリッドカーの車両について情報を表示する場合に、例えば一般的なガソリン車のように環境負荷物質の排出量が比較的多い車両を基準車両として、排出量を現在どの程度削減できているのかを運転者に知らせることができる。
上記(4)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、比較的簡単な処理だけで前記削減量を推定することができる。すなわち、前記基準車両の燃料噴射量はアクセル開閉度と大きな相関があるので、前記基準車両の燃料消費量を把握しこれに基づいて算出される環境負荷物質の排出量を削減量とみなすことができる。
上記(5)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、アイドリング時間の長さも考慮して前記削減量を計算するので、車両が停止している状況も含む排出量の全体の削減量を高精度で算出することができる。
上記(6)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、車速およびギア比に応じて前記基準値を修正するので、実際の燃料消費量の変動に対する前記基準値の誤差を減らすことが可能になる。
上記(7)の構成の車両用環境負荷表示方法によれば、実際の排出量を平均化した結果を前記基準値として利用するので、様々な運転状況において、排出量が多い状態と少ない状態との双方を確実に表示することができる。
以上のように本発明の車両用環境負荷表示方法によれば、二酸化炭素等の環境負荷物質の排出量を運転者が容易に把握できるように表示できる。従って、環境負荷物質の排出量を減らす運転を行うように運転者を支援することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
環境負荷物質排出量を表示するための制御の処理手順を表すフローチャートである。 車両用計器板ユニットの電気回路の構成例を示すブロック図である。 図2に示した車両用計器板ユニットの外観の具体例を示す正面図である。 環境負荷物質の排出に関する表示画面の状態遷移の具体例(1)を示す模式図である。 環境負荷物質の排出に関する表示画面の状態遷移の具体例(2)を示す模式図である。 環境負荷物質の排出に関する表示画面の状態遷移の具体例(3)を示す模式図である。 環境負荷物質の排出に関する表示画面の状態遷移の具体例(4)を示す模式図である。
本発明の車両用環境負荷表示方法に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
車両用計器板ユニット10の電気回路の構成例が図2に示されている。また、この車両用計器板ユニット10を正面から見た外観が図3に示されている。この車両用計器板ユニット10は、本発明の車両用環境負荷表示方法を採用しており、環境負荷物質の排出状況を表示する機能を備えている。勿論、環境負荷物質の排出状況を表示する機能を計器板とは独立した別の装置に搭載しても良い。
車両用計器板ユニット10は、自動車等の車両の運転席の前方に配置され、運転に必要な様々な情報を運転者に提供する。図3に示すように、車両用計器板ユニット10には、液晶表示器(LCD)14、速度計15、回転計16、警報表示部31、トリップノブ32等が備わっている。
液晶表示器14は、矩形の平面状の表示画面上に、数値、文字、図形などの様々な情報を可視表示することができる。本実施形態においては、二酸化炭素(CO2)の排出量を表す情報も液晶表示器14の画面上に表示される。
速度計15は、現在の車速(km/h)を表す情報を指針が指し示す数値として提供する。また、回転計16は現在のエンジン回転速度(rpm)を表す情報を指針が指し示す数値として提供する。
警報表示部31は、様々なインジケータを備えており、例えば車両上の油圧の異常、冷却水温の異常、バッテリー電圧異常など各部の異常発生に対して該当するインジケータの表示部を点灯あるいは点滅することにより異常の発生を運転者に報知する。
トリップノブ32は、トリップメータやオドメータの表示の切り替えなどの操作を行うために使用される。トリップメータやオドメータは、例えば液晶表示器14の画面上に表示される。
また、図2に示すように、車両用計器板ユニット10の電気回路には、マイクロコンピュータ(CPU)11、モータドライバ12、LCDドライバ13、速度計15、回転計16、読み出し専用メモリ(EEPROM)17、電源回路18、インタフェース(I/F)19〜21、スイッチ22等が備わっている。
マイクロコンピュータ11は、内蔵されている読み出し専用メモリ(ROM)に予め書き込まれているプログラムを実行することにより、車両用計器板ユニット10に必要とされる機能を実現する。例えば図1に示す動作もマイクロコンピュータ11の処理によって実現する。また、マイクロコンピュータ11の内部には、読み出し及び書き込みが自在なメモリ(RAM)や、通信機能(CAN)も含まれている。
速度計15および回転計16にはそれぞれの指針を駆動する図示しない電気モータが備わっている。マイクロコンピュータ11は、モータドライバ12を介して、前記電気モータをそれぞれ駆動し、速度計15および回転計16の指針が適切な値を指示するように制御する。
また、マイクロコンピュータ11は、LCDドライバ13を介して液晶表示器14の画面に表示する内容を制御する。読み出し専用メモリ17は、マイクロコンピュータ11が所定の制御を行うために必要な各種定数データなどを予め保持している。
電源回路18は、車両のバッテリー側から供給される電圧(+B)をマイクロコンピュータ11の動作に必要な安定化された電圧に変換する。また、電源のオン時にリセット信号を生成する。
インタフェース19は、車両側のイグニッションオンオフの状態を表す信号IGNを、マイクロコンピュータ11が扱うのに適した信号に変換してマイクロコンピュータ11に与える。
インタフェース20は、車両側の図示しない電子制御ユニット(ECU)との間で通信を行い、車両用計器板ユニット10のマイクロコンピュータ11が必要とする各種の情報を取得する。例えば、エンジンに備わっている燃料噴射装置の燃料噴射量、すなわち燃料消費量を表すデータなどを取得する。
インタフェース21は、車両側に備わっている各種センサから出力される信号を入力し、マイクロコンピュータ11が扱うのに適した信号に変換してマイクロコンピュータ11に与える。例えば、車速パルスの信号やエンジン回転パルスの信号がインタフェース21を経由してマイクロコンピュータ11に入力される。
車速パルスの信号は、変速機の出力軸が所定量回転する毎に発生するので、このパルスを監視することにより、車速や走行距離を把握することが可能である。また、エンジン回転パルスの信号は、エンジンの出力軸の回転に伴って発生するので、このパルスを監視することによりエンジン回転速度(rpm)を把握することができる。
スイッチ22は、図3に示したトリップノブ32の操作に連動するスイッチであり、トリップメータおよびオドメータの表示切替や数値リセット等の操作のために利用される。
車両用計器板ユニット10の制御に関するマイクロコンピュータ11の主要な動作が図1に示されている。図1に示す動作について説明する。なお、図1に示す処理においては二酸化炭素の排出量だけを表示する場合を想定しているが、例えば窒素酸化物(NOx)のような他の環境負荷物質についても同様の処理によって表示することが可能である。
マイクロコンピュータ11は、ステップS11で信号IGNの状態、すなわちイグニッションのオンオフを識別する。イグニッションがオンの場合は次のステップS12に進み、オフであればステップS21に進む。
ステップS12では、マイクロコンピュータ11は自車の燃料消費量を表す最新のデータをインタフェース20を介して図示しないエンジン制御装置等から取得する。
ステップS13では、マイクロコンピュータ11はステップS12で取得した燃料消費量のデータに基づいて二酸化炭素(CO2)の排出量を算出する。具体的には、単位走行距離[1km]を走行するのに要した燃料消費量(リットル)に事前に定めた係数(定数:2.32)をかけて、二酸化炭素の排出量を算出している。すなわち、ガソリン1リットル(1L)あたりの二酸化炭素排出量は2.32[kg]であるので、燃料がガソリンの場合を想定し、ガソリンの二酸化炭素排出係数(2.32[kg−CO2/L])をかけて1km走行あたりの排出量を算出する。
ステップS14では、マイクロコンピュータ11はステップS13で求めた二酸化炭素の排出量が0か否かを識別し、0であればステップS15に進み、0を超える場合はステップS16に進む。
ステップS15では、マイクロコンピュータ11は二酸化炭素の排出量と関連のある情報を表示するための液晶表示器14の画面上に、表示画面52Aの内容を表示する。表示画面52Aの内容は、現在の二酸化炭素の排出量が0であることを運転者が瞬時に把握可能な内容になっている。この状態は、例えばガソリンエンジンと電気モータの両方を搭載しているハイブリッドカーが、エンジンを停止して電気モータの駆動力だけで走行している状態に相当する。
ステップS16では、マイクロコンピュータ11はステップS13で求めた二酸化炭素の排出量を、排出量の大小を識別するための基準値(判定基準)と比較する。排出量が比較的少ない場合、つまり(0<排出量<基準値)の条件を満たす場合はステップS17に進み、排出量が多い場合はステップS18に進む。なお、排出量の基準値については後で詳細に説明する。
ステップS17では、マイクロコンピュータ11は二酸化炭素の排出量と関連のある情報を表示するための液晶表示器14の画面上に、表示画面51Aの内容を表示する。表示画面51Aの内容は、現在、比較的少ない排出量の二酸化炭素を排出しながら走行していることを運転者が瞬時に把握可能な内容になっている。この状態は、例えばガソリンエンジンと電気モータの両方を搭載しているハイブリッドカーが、エンジンと電気モータの両方の駆動力を利用して走行している状態に相当する。
ステップS18では、マイクロコンピュータ11はステップS13で求めた二酸化炭素の排出量を前記基準値と比較する。排出量が比較的多い場合、つまり(排出量≧基準値)の条件を満たす場合はステップS19に進み、そうでない場合はステップS20に進む。
ステップS19では、マイクロコンピュータ11は二酸化炭素の排出量と関連のある情報を表示するための液晶表示器14の画面上に、表示画面53Aの内容を表示する。表示画面53Aの内容は、現在、二酸化炭素の排出量が比較的多い状態で走行していることを運転者が瞬時に把握可能な内容になっている。この状態は、例えばガソリンエンジンと電気モータの両方を搭載しているハイブリッドカーであっても、蓄積している電力が少ない場合のように、全体の駆動力に占めるエンジンの駆動力の割合が多い状態に相当する。
ステップS20では、マイクロコンピュータ11はシステムに何らかの異常が発生していることを表す表示画面54Aを液晶表示器14に表示する。表示画面54Aの中には、異常の発生を表す「アシスト異常」の文字情報が含まれている。
ステップS21では、マイクロコンピュータ11は液晶表示器14の表示をオフにする。すなわち、イグニッションがオフの状態では二酸化炭素が全く排出されないことを運転者は理解しているので排出量の表示は行わない。
環境負荷物質の排出に関する表示画面の状態遷移の具体例が図4〜図7にそれぞれ示されている。図4に示す各表示画面51A、52A、53Aは、図1中に示されている表示画面51A、52A、53Aに相当する。
図4中の表示画面53Aにおいては、車両の輪郭形状を模擬した特定パターンP1の可視情報と、排気ガスの排出状況を表す形状を模擬した特定パターンP2の可視情報とが含まれている。また、特定パターンP2については、特定パターンP1の車両後部の排気管かある箇所の近傍から後方に広がるような位置関係で表示されている。
なお、表示画面53Aの内容については、内容が変化しない静止画として表示しても良いし、複数種類の静止画を順番に切り替えて動画やアニメーションのように表示しても良い。
図4中の表示画面51Aにおいては、表示画面53Aと同じ車両の特定パターンP1と、排気ガスの排出状況を表す形状を模擬した特定パターンP3の可視情報とが含まれている。特定パターンP3については、排気ガスに相当する矩形パターンの数とこれら全体の表示面積の大きさが特定パターンP2と比べて小さくなっている。つまり、表示画面51Aの表示内容は、表示画面53Aと比べて二酸化炭素の排出量が相対的に少ないことが分かるような内容を表現している。
図4中の表示画面52Aにおいては、表示画面53Aと同じ車両の特定パターンP1は表示されているが、特定パターンP2、P3は表示されていない。つまり、表示画面52Aの表示内容は、現在の二酸化炭素の排出量が0であることが分かるような内容を表現している。
従って、図1に示した処理の結果として、図4に示すように、二酸化炭素の排出量が基準値と比べて多いか少ないかに応じて表示画面53Aと表示画面51Aとが切り替わり、二酸化炭素の排出量が0の時には表示画面52Aに切り替わる。
図4に示す表示画面53A、51A、52Aのように、二酸化炭素の排出の有無を排気ガスを模擬した特定パターンP2、P3の有無により表現し、更に排出量を表示する特定パターンP2、P3の面積や数の違いで表現することにより、運転者は直感的に状況を把握可能になる。つまり、数値を読み取る場合と異なり、瞬間的に二酸化炭素の排出の有無および排出量の大小を運転者が認識できる。
図4に示した表示画面53A、51A、52Aの代わりに、図5に示した表示画面53B、51B、52Bを表示しても良い。図5の表示画面53Bにおいては、排気ガスの排出状況を表す形状を模擬した特定パターンP2Bとして、煙の分布形状に近似したパターンの可視情報が、特定パターンP1の車両後部の排気管かある箇所の近傍から後方に広がるような位置関係で表示されている。
また、図5の表示画面51Bにおいては、排気ガスの排出状況を表す形状を模擬した特定パターンP3Bとして、特定パターンP2Bよりも表示面積やパターン数が少ない可視情報を表示している。
また、表示画面52Bにおいては、「エンジンOFF」の文字情報を含む特別なパターンP4の可視情報が表示されている。パターンP4は他の表示画面53B、51Bでは表示されないので、運転者は表示画面52Bに表示されるパターンP4を認識することにより、現在の二酸化炭素の排出量が0であることを直ちに把握することができる。
次に、図1のステップS16、S18で参照する基準値(判定基準)の具体例について説明する。
<基準値[g−CO2]の具体例1>
例えば10・15モード燃費のように、規格や法律等で定められた基準に従って求められる基準燃費[km/L]を固定値として基準値[g−CO2]に割り当てる。なお、「10・15モード燃費」とは、10・15モード法に則って車両の種類毎に個別に測定される燃料消費率(燃費)のことであり、1リットルの燃料で何km走行できるかを表す参考値として一般的に用いられる。また、同様の規格に従って測定可能な数値である「JC08モード燃費」を採用しても良い。
<基準値[g−CO2]の具体例2>
車両の走行状況に応じて基準値を適切な値に逐次変更する。具体的には、次のように基準値を決定する。
(1)車速および変速機のギア比を検出し、車速の変化に応じた修正量と、ギア比の変化に応じた修正量とを用いて、基準値を逐次修正する。例えば次式のようにする。
基準値[g−CO2]=基準値の初期値+車速修正量+ギア比修正量
(2)走行距離を検出し、走行距離の違いを反映するように基準値を逐次修正する。例えば次式のようにする。
基準値[g−CO2]=基準値の初期値[km/L]/走行距離[km]
<基準値[g−CO2]の具体例3>
計算により平均化した基準値を求める。具体的には、電源(+B)がオンになってから現在までに排出した二酸化炭素の排出量の累積値と、その間の走行距離の累積値とを取得し、次式により平均化した値を求めて基準値を逐次更新する。
基準値[g−CO2]=(二酸化炭素の排出量の累積値)/(走行距離の累積値)
一方、図6に示す表示画面52C、51C、53Cのように表示内容を切り替えるようにしても良い。図6の例では、エンジンの停止状態を表す表示画面52Cにおいて、排気ガスのパターン表示を消してエンジンが停止している状態を表示するだけでなく、「CO2削減預金:10」の文字情報を含むパターンP5を表示している。
ここで、「CO2削減預金:10」の情報は、基準状態に対して削減された二酸化炭素の排出量、つまり削減量を表している。この削減量は次のようにして算出することができる。例えば、自車両がガソリンエンジンと電気モータの両方を駆動源とするハイブリッドカーである場合には、ガソリンエンジンの駆動力だけで走行する一般的な車両を基準車両として自車両と対比することにより、前記削減量を算出できる。具体的には次のようにして算出する。
<CO2削減量の具体例1>
自車両のエンジンの回転速度を制御するアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開閉度に相当)に基づいて推測し次式により算出する。
削減量[g−CO2]=換算係数×基準車両の燃料消費量
換算係数=2.32(基準車両がガソリン車の場合)[kg−CO2/L]
基準車両の燃料消費量=自車両アクセル開閉度[度]×基準車両の燃料噴射量[L/度]
基準車両の燃料噴射量:事前に測定した結果を定数として保持しておく。
基準車両:車両重量等の特徴が自車両と同等のガソリンエンジン車。
自車両アクセル開閉度:他の制御装置との通信により又はセンサ出力から取得する。
<CO2削減量の具体例2>
自車両の走行距離と基準車両の燃費の情報に基づいて、例えば次式から算出する。
削減量[g−CO2]=換算係数×((距離A/燃費A)+(燃費B×時間B))
換算係数=2.32(基準車両がガソリン車の場合)[kg−CO2/L]
距離A:自車両の走行距離[km](実測して求める)
燃費A:基準車両の走行時の燃費[km/L]
燃費B:基準車両のアイドリング時の燃料消費量[L/秒]
時間B:自車両がアイドリング状態の時の時間長(実測して求める)
基準車両:車両重量等の特徴が自車両と同等のガソリンエンジン車。
従って、上述のような方法により算出された削減量[g−CO2]の数値の情報を含むパターンP5を、図6に示す表示画面52Cの中に表示することができる。従って、例えばハイブリッドカーを運転している場合に、運転者は一般的なガソリンエンジン車の場合と比べてどの程度の二酸化炭素の排出を削減できているのかを把握できる。
また、二酸化炭素の削減量を表すパターンP5の表示については、運転者の操作によってオンオフできるようにしても良い。すなわち、運転者のスイッチ操作によりオンオフを指示して、図7に示すようにパターンP5を表示する表示画面52Cと、パターンP5を表示しない表示画面52Dとを切り替える。
なお、上述の実施の形態では、自車両がガソリンエンジンと電気モータの両方を備えるハイブリッドカーの場合を想定しているが、それ以外の車両の場合にも同じような表示を行うことが可能である。すなわち、電気自動車、燃料電池自動車、ソーラーカーのような車両についても二酸化炭素などの環境負荷物質の排出量を表す情報を表示することができる。例えば電気自動車の場合には、二酸化炭素を直接的に排出することはないが、電気モータが消費する電力を生成する際に間接的に二酸化炭素を排出する場合が多いので、間接的に排出する二酸化炭素の排出量を推定しそれを表示することが想定される。
また、図1に示した実施形態では、二酸化炭素の排出量を3種類の表示画面51A、52A、53Aに対応付けて3つに区分しているが、4以上に区分して4種類以上の画面で表示しても良い。
以上のように、本発明の車両用環境負荷表示方法は、例えばハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池自動車、ソーラーカーのような車両に適用することが想定でき、車両を駆動するエンジンの燃料消費や電気モータの電力消費等に伴って直接、もしくは間接的に発生する環境負荷物質に関する情報を表示するために利用できる。本発明の実施により、運転者は二酸化炭素等の環境負荷物質の排出状況を瞬時に把握することが可能になる。従って、二酸化炭素等の環境負荷物質の排出をより削減するような運転の実施を支援することが可能である。
10 車両用計器板ユニット
11 マイクロコンピュータ
12 モータドライバ
13 LCDドライバ
14 液晶表示器
15 速度計
16 回転計
17 読み出し専用メモリ
18 電源回路
19,20,21 インタフェース
22 スイッチ
31 警報表示部
32 トリップノブ
51A,52A,53A 表示画面
P1 車両のパターン
P2,P3 排気ガスのパターン

Claims (7)

  1. 車両を駆動するエンジンの燃料消費または電気モータの電力消費に伴って直接、もしくは間接的に発生する環境負荷物質に関する情報を表示するための車両用環境負荷表示方法であって、
    発生する環境負荷物質の排出量を表す環境負荷情報を取得し、
    前記環境負荷情報を、環境負荷物質の量が0である第1の状態と、環境負荷物質の量が基準値より少ない第2の状態と、環境負荷物質の量が前記基準値以上である第3の状態との3種類もしくはそれ以上の状態に区分し、
    前記環境負荷情報が前記第2の状態又は第3の状態に該当する場合には、車両および排気ガスを模擬した特定形状パターンを含む静止画もしくは動画を表示すると共に、少なくとも前記第2の状態と第3の状態とで前記特定形状パターンの排気ガスの表示面積を切り替え、
    前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、前記特定形状パターンから排気ガスのパターンを除いた情報を表示する
    ことを特徴とする車両用環境負荷表示方法。
  2. 前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、更にエンジン停止を表す特別なパターンを表示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用環境負荷表示方法。
  3. 更に、自車両からの環境負荷物質の排出に関する削減量を予め定めた基準車両の燃料消費量に基づき算出し、
    前記環境負荷情報が前記第1の状態に該当する場合には、算出した前記削減量を表す特別なパターンもしくは数値を更に表示する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用環境負荷表示方法。
  4. 自車両におけるアクセル開閉度を検出し、検出したアクセル開閉度に基づいて前記削減量を計算により推定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用環境負荷表示方法。
  5. 自車両における走行距離を検出し、
    自車両における非走行状態の時間長を表すアイドリング時間を検出し、
    前記基準車両における距離と燃料消費量との関係を表す第1の燃費情報と、前記基準車両におけるアイドリング時の単位時間あたりの燃料消費量を表す第2の燃費情報とを利用し、
    前記走行距離、前記第1の燃費情報、前記アイドリング時間および前記第2の燃費情報に基づいて前記削減量を計算により推定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用環境負荷表示方法。
  6. 自車両における現在の車速および変速機のギア比の情報を取得し、
    前記基準値を、最新の車速およびギア比に応じて自動的に変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用環境負荷表示方法。
  7. 自車両における走行距離を検出し、
    自車両における環境負荷物質の排出量の累積値を検出し、
    前記基準値を、検出した走行距離および環境負荷物質の排出量の累積値に基づいて算出される排出量平均値に応じて自動的に変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用環境負荷表示方法。
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