JP5880353B2 - シリコン単結晶の育成方法 - Google Patents

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Description

本発明はチョクラルスキー法(CZ法)によってシリコン単結晶を育成する方法に関するものであり、特には、直径300mm以上のN領域シリコン単結晶を育成する方法に関する。
近年半導体デバイス用シリコンウェーハでは、面積当りのチップ数を有効に取るため、大口径化が進んでおり、次世代用として例えば直径450mm結晶が望まれている。現在450mmは量産ベースにはなっておらず、どのような品種が主要品種となるか定かではない。
しかしながら、現行の直径300mmでは高品質要求が厳しく、少なくともデバイスが動作するウェーハ表面近傍は無欠陥であるウェーハが標準的になっており、それらを達成できるウェーハとして、エピタキシャルウェーハ、アニールウェーハ、無欠陥(N領域)結晶PW(ポリッシュドウェーハ)などが主流となっている。
この中でエピタキシャルウェーハやアニールウェーハは結晶成長中に欠陥が形成されても、エピタキシャル層の形成や、アニールによって表層近辺が無欠陥化されるので、結晶育成時の製造マージンは比較的広い。
一方で無欠陥結晶を育成してそれをポリッシュしただけの無欠陥結晶PWは、結晶育成時に無欠陥となるような育成条件を達成する必要がある。
無欠陥結晶は成長速度Vと成長界面近傍での温度勾配Gとの比V/Gをある一定値に保つことで得られる。更にそのV/Gを結晶成長面内で一定に制御することで得られる。
しかし、V/Gを面内で完全に一定にすることは難しく、若干のV/Gのずれがあっても製造可能な、所謂製造マージンが必要である。
この製造マージンを拡大するための方法は特許文献1に開示されており、結晶を急冷することが有効である。この方法によれば7%と工業的に製造するのに十分な製造マージンを確保できる。
急冷手段として、特許文献2にはCZ単結晶製造装置内の冷却筒に冷却補助部材を用いる技術が開示されているし、また特許文献3では冷却補助筒の密着性の向上で冷却能力を向上する手段が開示されている。これらの技術を用いて結晶を急冷すれば無欠陥結晶を得やすくなることが明らかである。
しかし、直径450mm結晶は現行主流の200mmや300mmに比較し、中心からの距離が大きいため、中心部が冷え難い。中心部での冷却速度を直径200mmや300mmと同程度にするためには、200mmや300mmより冷却を強化する必要が出てくる。したがって、更なる冷却強化によって結晶の内部の応力は大きくなってしまう。内部応力が大きくなると、育成中の結晶が崩落するなどの問題が起こりうる。
これらの問題に対して特許文献4では結晶崩落防止として成長界面での応力を抑えることが記載されているが、そのような条件は結晶崩落より前に結晶が有転位化してしまうので通常用いることはない。また特許文献5では1100−900℃の温度域の熱応力値が40MPa未満であることを特徴としているが、この条件では不十分である。
特開2005−132665号公報 国際公開公報第WO01/057293号 特開2009−161416号公報 特開2003−165791号公報 特開2006−213582号公報
Materia Japan 第37巻 第12号 P1018−1025(1998)
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、結晶が崩落するのを有効に防いでシリコン単結晶を育成することができる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、前記シリコン単結晶を育成しているときの、結晶中の内部応力が所定のしきい値を超える結晶成長界面からの位置と、前記シリコン単結晶における結晶の崩落の有無との相関関係に基づいて、前記結晶の崩落が生じない育成条件を予備検討し、該予備検討から設定した結晶の崩落が生じない育成条件に基づいて、シリコン単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶の育成方法を提供する。
このようにすれば、上記の、結晶成長条件によって決まる結晶中の内部応力が所定のしきい値を超える結晶成長界面からの位置と、シリコン単結晶における結晶の崩落の有無との相関関係を予め調査するので結晶の崩落が生じる条件がわかる。そして、該相関関係に基づいて、結晶が崩落しない育成条件を予備検討し、設定して育成するので、従来に比べ、結晶の崩落をより確実に防ぎつつシリコン単結晶を育成することが可能である。
なお、ここでいう所定のしきい値とは、後述するように、例えば結晶の崩落に関する過去のデータの実績や、酸素濃度などを考慮しつつ適宜決定することができる。
また、前記所定のしきい値を、1.27×10exp(10170/T)(ここで、Tは結晶温度(K))とすることができる。
このようなしきい値を用いることで、簡便かつ有効に、上記相関関係を求めることができ、結晶の崩落なしにシリコン単結晶を育成することができる。
また、前記シリコン単結晶を育成するとき、結晶中心部の成長界面近傍の温度勾配(G)が350/結晶半径(r)(K/mm)以上となるようにして育成することができる。
前述したように例えばN領域単結晶を育成するとき、製造マージンを拡大するため結晶を急冷することが有効である。そこで本発明のように結晶の崩落を防ぎつつ、上記温度勾配の値を満たすような急冷下で結晶の育成を行えば十分な製造マージンでN領域単結晶を製造することができる。また、N領域単結晶を製造するための条件は結晶成長速度Vと温度勾配Gとの比V/Gがある一定条件になることであるため、温度勾配Gが大きければ成長速度Vを大きくすることができ、生産性を向上させることができる。またN領域結晶に限らず、高速結晶を育成する際にも温度勾配(G)が大きい方が結晶成長速度を高速化でき、生産性を向上させることができる。
なおここでの温度勾配Gは、例えばシリコンの融点(1412℃)から1400℃までの間で求めた値とすることができる。
また、前記シリコン単結晶を、直径300mm以上のものとすることができる。
本発明は、結晶内部が冷却しにくく結晶の崩落がより発生し易い大口径結晶、つまりは直径300mm以上、さらには450mm以上のシリコン単結晶の育成において特に有効である。
また、前記シリコン単結晶を育成するとき、該シリコン単結晶を囲繞して冷却媒体によって強制冷却する冷却筒と、該冷却筒に接して配置されて、前記シリコン単結晶を囲繞する冷却補助筒とを有する育成装置を用いて育成し、前記育成条件として、前記冷却筒または前記冷却補助筒のうちのいずれか1以上の下端の位置を含むことができる。
このようにすれば、結晶の崩落が生じない育成条件を簡便に設定することができる。
また、前記冷却筒を、材質が、鉄、クロム、ニッケル、銅、チタン、モリブデン、タングステンのうちのいずれかの金属からなるもの、もしくは該金属を含む合金からなるもの、または前記金属もしくは合金からなるものにチタン、モリブデン、タングステンもしくは白金族金属で被覆したものとすることができる。
このような材質を用いれば、汎用性が高く使い易いし、高温下でありながら安定した冷却効果を保つことが可能である。
また、前記冷却補助筒を、材質が黒鉛材、炭素複合材、ステンレス、モリブデン、タングステンのいずれかからなるものとし、かつ、該冷却補助筒に軸方向に貫く切れ目を有するものとすることができる。
このような材質を用いれば、熱伝導率が良いことに加え輻射率が高く結晶からの熱を吸熱しやすい。また切れ目によって、熱膨張した際に冷却筒に密着するようになり、より熱を伝える能力が増加する。
また、前記シリコン単結晶を育成するとき、シリコンの融点から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.96℃/min以上、1150℃から1080℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.88℃/min以上、1050℃から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.71℃/min以上となるようにして前記シリコン単結晶を育成することができる。
このようにすれば、ボイド欠陥やOSF核、格子間型の欠陥など、各欠陥の成長を抑制することができ、N領域単結晶を製造する際の製造マージンを拡大することが可能である。
以上のように、本発明のシリコン単結晶の育成方法によれば、結晶の崩落をより確実に防ぎつつシリコン単結晶を育成することが可能である。
本発明のシリコン単結晶の育成方法の工程の一例を示すフロー図である。 CZシリコン単結晶製造装置の一例を示す概略図である。 (a)予備調査で示した一般的な結晶の温度分布を模式的に表した図である。(b)内部応力分布を模式的に表した図である。 予備調査における一般的な結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。 反転領域を模式的に表した図である。 予備調査における崩落が生じた結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。 予備調査における崩落が生じた他の結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。 実施例1における結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。 実施例2における結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。 比較例1における結晶の内部応力としきい値の軸方向分布をプロットしたグラフである。(a)結晶中心の分布であり、(b)結晶周辺の分布である。
以下では、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
ここで、本発明者らが本発明を完成させた経緯について詳述する。
前述したような問題点に鑑み、本発明者らは結晶の崩落に関して鋭意研究を行った。
まずシリコン結晶では、非特許文献1に示されている様に、融点から約600℃程度までは塑性変形領域と言われており、転位がすべることによって塑性変形が起こる領域である。これより低い温度帯では劈開による脆性破壊が主となる。
600℃より高温の塑性変形領域において、変形試験により応力−ひずみ曲線を求めると、弾性変形から塑性変形領域へ変化する際に折れ曲がり点が発生する。この点が降伏点であり、このときの応力が降伏応力である。塑性変形領域において降伏応力以上の力がかかれば、転位がすべり結晶が変形する。
非特許文献1には、降伏応力は温度の依存性が強く、低温になるに従って急激に増加することが記されている。従って低温部ほど応力耐性が高い。無転位の結晶においては降伏応力が酸素濃度に依存しないが、有転位結晶においては降伏応力が結晶中の酸素濃度に依存して、酸素濃度の増加と共に降伏応力も増加することが示されている。
このことを育成中の結晶で考えると、結晶が有転位化してしまう現象は酸素濃度に関係ないが、有転位化してしまった場合にその転位がすべり塑性変形が進んでしまう応力は酸素濃度に依存していることになる。
ここで有転位化する応力について考える。シリコン結晶の原子間力等から計算される理想強度は13.7GPaと非常に大きい。しかし実際にはこれよりも小さい応力で降伏する。この原因として不純物や欠陥などが考えられている。
これを育成中の結晶に当てはめると、完全性の高い結晶であれば熱応力のみで有転位化することはない。しかし実際にはCZ結晶であれば酸素原子が含まれているし、抵抗制御用のドーパントも含まれている。従って例えば高速成長など結晶成長界面の高さが高くなり結晶中心部の内部応力が大きくなるような操業においては、成長界面の中央部から有転位化が発生することがある。この時の応力は不純物の種類・濃度によって異なってくる。これらは成長中の原子の配列は正しかったものの、熱的に生じる応力に耐えかねて有転位化したものと考えられる。
しかし、一般的な有転位化はこの様な内部応力によって結晶界面中央部から起こるものが主ではなく、結晶の外部など不規則な場所から始まるものがほとんどである。つまりは不純物や不溶物・固化等の存在によって、成長中の原子の配列が乱れて有転位化したと考えられる。つまり理想強度とは関係なく、不溶物等の存在により、比較的容易に発生してしまうものである。
従って結晶を崩落させないためには、有転位化を防止するより、入ってしまった転位がすべり塑性変形が進まないようにすることが重要である。
ここで、転位は降伏強度を超える応力がかかっている範囲では容易にすべる。従って結晶内の温度分布から計算される内部応力が、その温度での降伏応力を上回っていれば、その範囲で転位が容易にすべることになる。この範囲が大きいと結晶が崩落する可能性がある。なお、より正確には、転位のすべりに関わる応力は変形試験における応力をすべり面のすべり方向に投影した分解せん断応力である。従ってここで言う降伏応力はより正確には臨界分解せん断応力のことである。
これらのことを考慮して、本発明者らは、育成したシリコン単結晶のある結晶位置における内部応力、該結晶位置における臨界分解せん断応力に相当する所定のしきい値について調査を行った。その結果、内部応力が所定のしきい値を超える結晶成長界面からの位置(なお、内部応力が所定のしきい値を超える領域を反転領域と呼ぶ)と崩落の有無に相関関係があることを見出した。もちろん内部応力がしきい値を超える位置は結晶育成条件によって決まる値である。さらには、この相関関係を用いて予備検討することによって、より確実に、より簡便に、結晶が崩落することなくシリコン単結晶を育成することができることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明のシリコン単結晶の育成方法について詳述する。
まず、本発明の方法で用いることができるCZシリコン単結晶製造装置について説明する。図2に示すように、CZシリコン単結晶製造装置1は、原料多結晶シリコンを収容して溶融するための部材や、熱を遮断するための断熱部材などを有しており、これらは、メインチャンバー2内に収容されている。メインチャンバー2の天井部からは上に伸びる引上げチャンバー3が連接されており、この上部にシリコン単結晶4をワイヤー5で引上げる機構(不図示)が設けられている。
メインチャンバー2内には、溶融された原料融液6を収容する石英ルツボ7とその石英ルツボ7を支持する黒鉛ルツボ8が設けられ、これらのルツボ7、8は駆動機構(不図示)によって回転昇降自在にルツボ軸9で支持されている。
そして、ルツボ7、8を囲繞するように、原料を溶融させるための黒鉛ヒーター10が配置されている。この黒鉛ヒーター10の外側には、断熱部材11がその周囲を取り囲むように設けられている。
また、引上げチャンバー3の上部にガス導入口12が設けられており、アルゴンガス等の不活性ガスが導入され、メインチャンバー2の下部のガス流出口13から排出されるようになっている。
さらに原料融液6と対向するように遮熱部材14が設けられ、原料融液6の表面からの輻射をカットするとともに原料融液6の表面を保温するようにしている。
また、冷却筒15、冷却媒体導入口16、冷却補助筒17がさらに設けられている。
冷却筒15は、ここでは円筒形状であり、引上げ中の単結晶4を取り囲むようにメインチャンバー2の天井部から原料融液6の表面に向って延伸している。冷却筒15内には、冷却媒体導入口16から冷却媒体が導入され、該冷却媒体は、冷却筒15内を循環して冷却筒15を強制冷却した後、外部へ排出される。
冷却筒15は、例えば、鉄、クロム、ニッケル、銅、チタン、モリブデン、タングステン、もしくはこれを含む合金で作製することができる。またはこれらの金属若しくは合金をチタン、モリブデン、タングステン、もしくは白金族金属で被覆してもよい。
特に鉄・クロム・ニッケルの合金であるSUSなどは汎用性が高く使いやすい。このような材質のものを用いることで、高温下でありながら安定した冷却効果を保つことが可能になる。
また、冷却筒15の内側に冷却補助筒17が嵌め合わせられている。冷却補助筒17は、ここでは円筒形状であり、引上げられた直後の高温のシリコン単結晶4の周囲を囲んでいる。
この冷却補助筒17の配置位置、形状等を変更することによって、単結晶引上げの際に、各温度帯を所望の冷却速度で急冷するように制御することが可能である。
冷却補助筒17の材質は、高温で安定な且つ熱伝導率の高いものが好ましく、黒鉛材、炭素複合材、ステンレス、モリブデン、タングステンなどが好ましい。特に熱伝導率が良いことに加え輻射率が高く結晶からの熱を吸熱しやすい黒鉛材がより好ましい。
更に軸方向に貫く切れ目を入れることで、熱膨張した際に冷却筒に密着するようになり、より熱を伝える能力が増加することができる。
本発明の方法の工程のフロー図を図1に示す。図1に示すように予備調査、予備検討、結晶育成からなっている。
予備調査では、シリコン単結晶を育成しているときの、結晶中の内部応力が所定のしきい値を超える結晶成長界面からの位置と、シリコン単結晶における結晶の崩落の有無との相関関係を調査する。
そして、予備調査で得た相関関係に基づいて、結晶の崩落が生じない育成条件をシミュレーション等により予備検討する。
予備検討から得られた結晶の崩落が生じない育成条件にてシリコン単結晶を育成する。
以下、各工程についてさらに詳述する。
(予備調査)
まず、シリコン単結晶を育成しているときの、結晶中の内部応力が所定のしきい値を超える結晶成長界面からの位置、結晶の崩落の有無との相関関係を調査する。結晶成長条件が決まると、結晶内の温度分布がFEMAG等のシミュレーションによって求められる。この温度分布から内部応力としきい値とが求められるので、内部応力がしきい値を超えている位置を求めることができる。
調査方法自体は特に限定されないが、例えば、既に蓄積された過去のデータの実績から調査することが単結晶製造メーカーにとっては現実的であるが、例えば様々なCZシリコン単結晶製造装置や結晶育成条件を用いてシリコン単結晶を複数本育成し、これらの育成に関するデータから調査しても良い。
このとき育成するシリコン単結晶の欠陥領域、直径等は限定されず、適宜決定することができる。例えば本試験で育成する所望のシリコン単結晶と同様の欠陥領域、直径を有するものとすることができる。
本発明は高速成長など内部応力が大きな操業において有効であることは当然であるが、N領域単結晶のように結晶の急冷が行われる場合にも有効である。急冷によって結晶の内部応力が大きくなり、結晶の崩落が起きやすくなる条件下であってもその崩落をより確実に防ぐことができるためである。
直径に関しても300mm以上の大口径のものとすることができる。大口径のように結晶内部を冷却しにくく崩落が発生しやすいものであっても、本発明であれば十分に崩落を未然に防ぐことが可能になる。
そして、このときの結晶の内部応力は、例えばシミュレーションソフトFEMAGを用いて計算することができる。ここでは、ヤング率は156GPa、ポアソン比0.25、線膨張係数5.2×10−6(/K)とした。
また、所定のしきい値に関しては特に限定されず、適宜決定することができる。
ここでは、過去のデータの実績から、αexp(β/T)という形をとり、臨界分解せん断応力に相当するしきい値を1.27×10exp(10170/T)(ここで、Tは結晶温度(K))とした。
より具体的には、宮崎ら(N.Miyazaki et. al. J.Crystal Growth 125 (1992) 102−111)が示したCRSS(臨界分解せん断応力)=3.82×10exp(10170/T)の1/3の値とした。変形試験から得られた降伏応力は非特許文献1に示されるように様々な条件によって変ってしまうので、本発明者らの結晶崩落の経験と合わせて1/3の値とした。
ただし、上記αやβの数値(1.27×10や10170)は、不純物、特に酸素濃度によって変わるはずである。これらの値はCZ結晶における変形試験から得られた降伏応力から文献値と経験値とから求めたものであり、そのときの酸素濃度は(12.0±2.5)×1017atoms/cm(ASTM’79)程度である。酸素濃度がこれより高い場合にはより大きな値となるα、βを用いると良く、また酸素濃度がこれより低い場合にはより小さな値となるα、βを用いると良い。
また、この他、前述した内部応力に関するヤング率等の計算条件によっても上記α、βは変化しうるものである。
結晶の崩落の有無や育成条件に関しては、過去のデータを参照して(あるいは実際に予備調査用に育成して)結晶の崩落が生じたかどうか、そのときの育成条件はどのようであったかについて調べれば良い。
なお、育成条件の一例としては、図2の冷却筒または冷却補助筒のうちのいずれか1以上の下端の位置が挙げられる。
図2のような配置のCZシリコン単結晶製造装置1においては、育成されるシリコン単結晶4が、水冷されている冷却筒15および該冷却筒15に接触して冷やされている冷却補助筒17に囲繞されているため、輻射による伝熱が盛んに行われ、結晶の冷却が効率的に行われる。
ここで、シリコン単結晶4は、配置された冷却筒15や冷却補助筒17の下端に対応する位置以上の高さの範囲では急冷されている。前述したしきい値の式から分かるように、しきい値は温度の低下に伴い急激に大きくなり、結晶の成長界面から上述した高さより高い範囲では応力耐性を極端に高くすることができる。すなわち、これらの下端の位置は、しきい値や実際の内部応力、そして上記反転領域の大きさに影響を与えるパラメータの1つと言える。
これらの相関関係についてさらに詳述する。
まず、結晶の崩落が生じない一般的な場合のシミュレーションの結果を紹介する。シミュレーションのソフトは総合伝熱解析ソフトFEMAGを用いた。
結晶内の温度分布を求めたところ、図3(a)のような温度分布が得られた。これから内部応力としてフォンミゼス相当応力を求めたのが図3(b)である。なお、これらの図では温度が高いほど、もしくは応力が大きいほど黒が濃くなる様に表示してある。
また応力を求める際に用いたヤング率は156GPa、ポアソン比は0.25、線膨張係数は5.2×10−6(/K)である。
この図3(b)を見て解るように、横方向で見ると結晶の中心部、もしくは結晶の周辺部で大きくなっている。従って結晶中心及び周辺での軸方向プロファイルにより、その結晶の内部応力の概要を把握できる。
それを結晶成長界面からの位置(距離)(結晶半径rで規格化してある)に対してプロットしたのが図4である。ここで図4(a)は結晶中心、図4(b)は結晶周辺のプロットである。更に図4中に、その温度でのしきい値1.27×10exp(10170/T)(ここで、Tは結晶温度(K))を点線にてプロットした。
しきい値は結晶成長界面からの距離が離れると温度が低下するので、急激に大きくなる。結晶成長界面近傍では内部応力がしきい値を上回っている(反転領域)ことが判る。
しかしこの場合、反転領域が中心で0.36r、周辺で0.78rまでであり、1rまで達することは無い。周辺部は0.78rでわずかに反転しているものの、0.20rから0.78rまでの間はしきい値を下回っており、転位がすべりにくい。従って何らかの原因により有転位化したとしても、内部応力がしきい値を超えている領域が小さいので、転位がすべって結晶崩落に至る、ということはない。
なお、反転領域を模式的に表した図を図5に示した。反転領域が結晶成長界面から1rまで達しておらず、結晶の崩落が生じない場合の例である。
また、結晶成長中に結晶が崩落したことのある事例を収集した。地震による揺れで結晶がぶつかったなど、明らかに別な原因で崩落した例を除くと、ふたつの事例が挙げられた。このときの条件をそれぞれ条件A、条件Bとし、崩落した際の状態をシミュレーションにより試算した。
結晶崩落条件Aをシミュレーションした結果を図6に示す。図4と同様に、図6(a)には結晶中心、図6(b)には結晶周辺の内部応力分布およびしきい値分布を示した。
なおこの結晶の狙い酸素濃度は(12.8±1.6)×1017atoms/cm(ASTM’79)であった。結晶が崩落し酸素濃度測定ができないので、実酸素濃度ではなく狙い酸素濃度を示した。
図6(b)から判るように、内部応力がしきい値を越える反転領域が1.09rまで広がっている。つまり何らかの原因により有転位化すると、内部応力がしきい値を超えている領域では転位がすべり易く、このため多数のスリップが発生し、結晶が塑性変形し、結晶崩落に至ったと考えられる。
同様に結晶崩落条件Bをシミュレーションした結果を図7に示す。図4と同様に図7(a)には結晶中心、図7(b)には結晶周辺の応力分布およびしきい値分布を示した。
なおこの結晶の狙い酸素濃度は(11.2±1.6)×1017atoms/cm(ASTM’79)であった。また結晶長さが短いところ(結晶長さ約2.3r)で結晶が崩落してしまった。
このときも図7(b)を見て判るように、内部応力がしきい値を越える反転領域が1.01rまで広がっていた。つまり何らかの原因により有転位化すると、内部応力がしきい値を超えている領域では転位がすべり易く、このため多数のスリップが発生し、結晶が塑性変形し、結晶崩落に至ったと考えられる。
以上の結晶崩落の例から、少なくとも酸素濃度(12.0±2.5)×1017atoms/cm(ASTM’79)の結晶において、しきい値1.27×10exp(10170/T)より大きな内部応力を有する領域が結晶半径r以上の場合(すなわち、結晶成長界面からの位置がr以上の場合)には崩落の危険性があることが判明した。
ただし、前述したようにこのしきい値は不純物の濃度やシミュレーション条件など様々な条件で変わるものであり、例えばこのしきい値をもっと小さなものとした場合には、反転領域が1rでなく1.2rとした方が良い場合もある。ここでの主旨は、内部応力がαexp(β/T)という形で表されるしきい値を超える領域がある一定以上の範囲の場合に結晶が崩落すると言うことである。
上記条件下での調査では、図4、6、7に示したように、しきい値が1.27×10exp(10170/T)であり、1rが境となったといえる。
さらに図4、6、7の各々における育成条件を調査して前述した相関関係を得ることができる。
(予備検討)
そして、予備調査で求めた前記相関関係に基づき、崩落が生じない育成条件について予備検討する。つまりは例えば図4、6、7の場合であれば、内部応力がしきい値(1.27×10exp(10170/T))を超える結晶成長界面からの位置が、結晶半径1r以内に収まるような育成条件を予備検討する。所望の育成条件にて、シミュレーション等により内部応力がしきい値を超える位置を求めて崩落の可能性を検討し、育成条件を設定する。
ここでの育成条件のパラメータとして、前述したように冷却筒や冷却補助筒の下端の位置、さらには適宜その他の条件が挙げられる。
(結晶育成)
次に、設定した育成条件に基づいてシリコン単結晶を実際に育成する。このようにすれば、従来発生してしまっていた結晶の崩落をより確実に防ぐことができる。したがって、生産性、歩留りの改善を図ることができる。
特には、結晶の崩落が比較的生じやすくなる、高速結晶やN領域を得るために急冷が必要となる300mm以上、さらには450mm以上の大口径で全面N領域の単結晶を効率良く育成することができる。
このN領域単結晶を製造する場合、シリコン単結晶の育成条件の設定および育成において、結晶の崩落を防ぐ条件とするとともに、結晶中心部において成長界面近傍の温度勾配Gが350/r(℃/mm)以上を満たすような急冷下の条件にすると良い。
前述したようにN領域単結晶を製造するための条件は結晶成長速度Vと温度勾配Gとの比V/Gがある一定条件になることであり、温度勾配Gが大きければ成長速度Vを大きくすることができ、生産性を向上させることができる。また高速結晶においても温度勾配Gが大きければ、成長速度を大きくすることができ、生産性を向上させることができる。なお、ここでの温度勾配Gとしてはシリコンの融点(1412℃)から1400℃までの間で求めた値を用いることができる。
また大口径結晶では、結晶内部が冷却しにくいため、上記の温度勾配Gを達成しようとすると応力が大きくなりやすい上、結晶崩落が起こった場合に大きな被害が発生する可能性があるので、特に300mm以上の結晶を育成する場合において本発明は有効である。特に、まだ量産化されておらず今後製造条件が開発・標準化されていくであろう450mm以上の結晶成長条件を検討する際には極めて重要である。
さらに、N領域単結晶を製造する際にはその製造マージンを拡大するため、シリコンの融点から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.96℃/min以上、1150℃から1080℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.88℃/min以上、1050℃から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.71℃/min以上となるようにして条件を設定し、シリコン単結晶を育成すると良い。
このような条件を用いることで、空孔型の2次欠陥であるボイド欠陥の形成温度帯といわれる1150−1080℃の通過時間を短くおさえることが可能となり、ボイド欠陥の成長を抑制することができる。
同様に空孔型の2次欠陥であるOSF核の形成温度は1000℃程度といわれるので、1050−950℃の冷却速度向上によりOSF核の成長を抑制できる。
一方、格子間型欠陥の凝集温度は明確でないが転位クラスターが発生することから高温域と考えられる。従って融点から950℃の冷却速度も速くすることで格子間型の欠陥も抑制できると期待される。
以上の急冷条件を満たすことで、各欠陥の成長を抑制でき、N領域単結晶の製造マージンを拡大することが可能である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本発明のシリコン単結晶の育成方法を実施した。図2に示すCZシリコン単結晶製造装置を用いて直径456mm(半径228mm)、直胴長さ約80cmのシリコン単結晶を育成するにあたり、シミュレーションにより育成条件の検討を行った。
上述の予備調査によって、結晶崩落が起こる可能性のある結晶中の内部応力がしきい値(1.27×10exp(10170/T)(ここで、Tは結晶温度(K)))を超える結晶成長界面からの位置(反転領域)は1r(228mm)であることが分かっている。
そこで、図における遮熱部材を非常に大きくしたことと、冷却補助筒の下端を冷却筒の下端よりも20mm下げたHZを用意した。このとき冷却補助筒の下端位置は原料融液面より415mmであり、結晶の半径228mmより大きいものであった。
このときの4本目の条件で、結晶の内部応力を計算して予備検討を行った。その結果を図8に示す図8(a)が結晶中心、図8(b)が結晶周辺部を示している。内部応力がしきい値を上回る反転領域は0.53r以下にとどまっているという計算結果が得られた。
そして、結晶のトップ側とボトム側の一部を除くほぼ直胴部分全長でN領域を得ることができるように、育成条件をさらに微調整することを繰り返して(具体的には、遮熱部材と融液面との距離及び成長速度を微調整することで)、シリコン単結晶を4本育成した。
その結果、これら4本の結晶を育成する際に有転位化が5回発生したが、いずれの結晶においても結晶の崩落が発生することはなかった。
ただし、いずれの結晶においても面内の一部分がN領域になることはあるものの、面内全域においてN領域になることはなかった。全面がN領域の単結晶を得るのに十分な製造マージンがあるとは言えなかった。
結晶の崩落は発生しなかったものの、結晶中心部での融点から1400℃までの温度勾配Gは1.44℃/mmであり、350/r=350/228=1.54℃/mmを下回っており、全面N領域単結晶を得るには冷却が充分とはいえない。
更に融点から950℃、1150−1080℃、1050−950℃の冷却速度を計算により求めた。その結果、結晶中心部における値はそれぞれ0.50℃/min、0.52℃/min、0.50℃/minであった。全面N領域単結晶の製造マージンを確保できなかったといえる。
(実施例2)
本発明のシリコン単結晶の育成方法を実施した。
に示したHZ、つまり冷却筒と冷却補助筒の下端の位置を調整して同じ高さとし、遮熱部材を小さくし、共に原料融液面から160mmとし、結晶半径の228mm以下とする以外は実施例1と同様とした。
そして、4本目のときの条件での結晶の内部応力を計算して予備検討を行った。その結果を図9に示す。図9(a)が結晶中心、図9(b)が結晶周辺部を示している。内部応力がしきい値を上回る反転領域は0.72r以下にとどまっているという計算結果が得られた。
このようにして育成条件を設定し、シリコン単結晶を育成したところ、狙い通り、結晶の崩落なしにシリコン単結晶を得ることができた。
さらには、結晶の崩落がないように育成条件を設定するとともに、結晶のトップ側とボトム側の一部を除くほぼ直胴部分全長でN領域を得ることができるように、育成条件をさらに微調整することを繰り返して(具体的には、遮熱部材と融液面との距離及び成長速度を微調整することで)、シリコン単結晶を4本育成した。
その結果、これら4本の結晶を育成する際に有転位化が7回発生したが、狙い通り、いずれの結晶においても結晶の崩落が発生することはなかった。
しかも、4本目の結晶ではほぼ直胴部全長でN領域のシリコン単結晶を得ることができた。従って、N領域結晶を得るのに充分な製造マージンがあったということができる。
また結晶中心部での融点から1400℃までの温度勾配Gは2.23℃/mmと、350/r=350/228=1.54℃/mmを上回っており、全面N領域単結晶を得るにあたり、充分冷却されているといえる。
更に融点から950℃、1150−1080℃、1050−950℃の冷却速度を計算により求めた。その結果、結晶中心部における値はそれぞれ0.96℃/min、0.97℃/min、0.89℃/minであった。この冷却速度は十分であり、このためにN領域単結晶の製造マージンを確保できたといえる。
(参考例1)
装置としては、冷却筒と融液面の距離が実施例1より短く、実施例2より長くなるように配置した。冷却筒と冷却補助筒の下端位置は同じ高さであり、融液面より290mmであり、結晶の半径228mmより大きかった。
シミュレーションにより予備検討したところ、内部応力を試算すると、内部応力がしきい値を上回る反転領域は1.15rまで広がっていて1rを超えていた。このように、この条件で結晶を育成すると結晶の崩落の危険性があるので、結晶の育成を中止した。
(比較例1)
直径450mmの結晶が崩落すると物的損害が大きいので、参考例1のチャンバー、HZサイズ、直径を約2/3に縮小したことを除いて、参考例1と同様にして直径306mm(半径153mm)シリコン単結晶の育成を行った。
そしてシリコン単結晶を引上げ、有転位化、もしくは直胴工程が終了したらそこまで引きがっていた結晶を再度溶融し、結晶が崩落するまでこれを続けた。その結果、10回目の有転位化の際に結晶が崩落した。
なお、内部応力的には比較例1のように450mm結晶の場合と同様の結果が得られた。この内部応力の計算結果を図10に示す。図10から判るように反転領域が1.20rまで広がっていて1rを超えていた。反転領域が広かったため崩落が生じたと考えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…CZシリコン単結晶製造装置、 2…メインチャンバー、
3…引上げチャンバー、 4…シリコン単結晶、 5…ワイヤー、
6…原料融液、 7…石英ルツボ、 8…黒鉛ルツボ、 9…ルツボ軸、
10…黒鉛ヒーター、 11…断熱部材、 12…ガス導入口、
13…ガス流出口、 14…遮熱部材、 15…冷却筒、 16…冷却媒体導入口、
17…冷却補助筒。

Claims (7)

  1. チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を育成する方法であって、
    前記シリコン単結晶を育成しているときの、結晶中の内部応力が1.27×10 exp(10170/T)(ここで、Tは結晶温度(K))というしきい値を超える結晶成長界面からの位置と、
    前記シリコン単結晶における結晶の崩落の有無との相関関係に基づいて、前記しきい値より大きな内部応力を有する領域が結晶成長界面から結晶半径(r)未満に収まる、結晶の崩落が生じない育成条件を予備検討し、
    該予備検討から設定した結晶の崩落が生じない育成条件に基づいて、シリコン単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。
  2. 前記シリコン単結晶を育成するとき、結晶中心部の成長界面近傍の温度勾配(G)が350/結晶半径(r)(K/mm)以上となるようにして育成することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  3. 前記シリコン単結晶を、直径300mm以上のものとすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  4. 前記シリコン単結晶を育成するとき、
    該シリコン単結晶を囲繞して冷却媒体によって強制冷却する冷却筒と、
    該冷却筒に接して配置されて、前記シリコン単結晶を囲繞する冷却補助筒とを有する育成装置を用いて育成し、
    前記育成条件として、前記冷却筒または前記冷却補助筒のうちのいずれか1以上の下端の位置を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  5. 前記冷却筒を、材質が、鉄、クロム、ニッケル、銅、チタン、モリブデン、タングステンのうちのいずれかの金属からなるもの、もしくは該金属を含む合金からなるもの、または前記金属もしくは合金からなるものにチタン、モリブデン、タングステンもしくは白金族金属で被覆したものとすることを特徴とする請求項4に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  6. 前記冷却補助筒を、材質が黒鉛材、炭素複合材、ステンレス、モリブデン、タングステンのいずれかからなるものとし、かつ、該冷却補助筒に軸方向に貫く切れ目を有するものとすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  7. 前記シリコン単結晶を育成するとき、シリコンの融点から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.96℃/min以上、1150℃から1080℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.88℃/min以上、1050℃から950℃までの温度帯を通過する際の冷却速度が0.71℃/min以上となるようにして前記シリコン単結晶を育成することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の育成方法。
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