JP2003073192A - 半導体シリコン結晶の製造条件の決定方法 - Google Patents

半導体シリコン結晶の製造条件の決定方法

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JP2003073192A JP2001267549A JP2001267549A JP2003073192A JP 2003073192 A JP2003073192 A JP 2003073192A JP 2001267549 A JP2001267549 A JP 2001267549A JP 2001267549 A JP2001267549 A JP 2001267549A JP 2003073192 A JP2003073192 A JP 2003073192A
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silicon
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JP2001267549A
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Masahiko Okui
正彦 奥井
Koji Sueoka
浩治 末岡
Masanori Akatsuka
雅則 赤塚
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Sumco Corp
Original Assignee
Sumitomo Mitsubishi Silicon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Grown-in欠陥のないシリコン単結晶を製造する
ための条件を、電子計算機による計算で正確に決定する
方法の提供。 【解決手段】原子空孔濃度Cおよび格子間原子濃度C
の時間変化を表す式の、格子間原子の径方向拡散の項
を補正した改良式を用い、融点より十分低いCおよび
がほぼ一定になる温度でのC−Cの値を求め、
このC−Cの値が特定範囲内となる結晶内温度分布
および育成速度を選定し、それに基づいて総合伝熱解析
手法によりホットゾーンの構造および単結晶の冷却方法
を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、半導体材料として
使用されるシリコンウェーハ用単結晶、すなわちチョク
ラルスキー法(以下CZ法という)により育成するウェ
ーハ用シリコン単結晶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体材料のシリコンウェーハに用いる
シリコン単結晶の製造に、最も広く採用されている方法
がCZ法による結晶の育成方法である。CZ法は、石英
るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸けて引き上
げ、単結晶を成長させるものであるが、このシリコン結
晶の育成技術の進歩により、欠陥の少ない、無転位の大
型シリコン単結晶が製造されるようになってきている。
【0003】半導体デバイスは、このシリコン結晶から
得られたウェーハを基板とし、多数のプロセスを経過し
て製品化される。その過程で基板には数多くの物理的処
理、化学的処理、さらには熱的処理が施され、中には11
00℃を超える高温処理など、過酷な熱的環境での処理も
含まれる。このため、デバイスの製造過程で顕在化して
その性能を低下させる結果をもたらす酸素析出物に起因
する欠陥はもちろんのこと、結晶育成時に形成され、熱
的処理では容易には消失せず、デバイスの性能に大きく
影響する微細欠陥、すなわちGrown-in欠陥が問題にな
る。
【0004】Grown-in欠陥には、0.1μm程度の大きさの
COP(Crystal Originated Particle)等と呼ばれる
ボイド状欠陥や、転位クラスターと呼ばれる大きさが数
十μmの欠陥がある。これらの欠陥の育成結晶内におけ
る分布状態は、凝固直後の結晶内の温度分布と結晶育成
速度とに大きく影響されることが知られている。
【0005】例えば、一般的に用いられるCZ法の結晶
育成装置にて、育成速度を初め速くしておき、それから
徐々に低下させて結晶を育成し、この結晶の引き上げ軸
に平行な中心軸を含む断面にて、酸素雰囲気中熱処理
や、硝酸銅水溶液浸漬によりCuを付着させ熱処理後X
線トポグラフ法での観察等の手法により、欠陥分布を調
査すると、図1(a)の結果が得られる。
【0006】シリコンの融液を凝固させつつ引き上げる
円柱状の結晶は、主として外周面から熱が放散されるた
め、凝固直後の固液界面に近い部分では、通常、円柱状
結晶の中心部の温度が同じ高さでの外周の表面部分より
高く、引き上げ軸方向の温度勾配は中心部は小さく外周
に近い部分は大きい傾向を示す。図1(a)はこのような
結晶内温度分布の場合における、育成速度の欠陥分布へ
の影響を示している。
【0007】ウェーハは、通常結晶の引き上げ軸に垂直
な断面の載片として切り出されるので、そのウェーハ面
で欠陥を観察すれば、育成速度が速い場合全面にボイド
状欠陥が分布しているが、育成速度が低下し、図1(a)
の結晶の、Xの位置に相当する速度になると、ウェーハ
には、中心軸と同心円状のリング状に酸素誘起積層欠陥
(Oxidation induced Stacking Fault−以下OSFと略
称)発生領域が存在するようになる。この場合、リング
状OSF発生領域の内側はCOP欠陥が存在する領域と
なり、その外側のウェーハ外周近くは転位クラスター欠
陥が存在する領域となる。
【0008】さらに育成速度を低くしていくと上記リン
グ状OSF発生領域の径が小さくなってやがては消失
し、リング状分布OSF領域の外側部分のみからなる、
すなわち転位クラスター欠陥発生領域のみのウェーハと
なる。
【0009】ホットゾーンの構造や冷却条件、すなわち
結晶内の温度分布が同じであれば、例えば育成速度をX
の一定として結晶を育成すると、全長にわたって図1
(a)のXの位置での欠陥分布を有する結晶とすることが
できる。
【0010】OSFはデバイスの様々な特性を劣化させ
るので、従来よりウェーハのデバイスの形成される部分
には存在しないことが好ましいとされてきた。そこで、
リング状OSF発生領域を避けた低い育成速度を選ぶ
と、その外側部分、すなわち転位クラスター欠陥発生領
域のみのシリコン結晶とすることができる。しかし転位
クラスター欠陥はデバイスの特性不良をもたらすので、
この条件では通常製造されない。
【0011】一方、速い育成速度を選ぶと、リング状O
SF発生領域の内側の、ボイド状欠陥発生領域が主とな
る結晶が得られる。しかし速くしすぎると多結晶になり
やすくボイド状欠陥の密度が増大するため、普通はリン
グ状OSF発生領域がウェーハの外周にはき出される高
速育成条件にて、結晶の引き上げがおこなわれる。ボイ
ド状欠陥は転位クラスター欠陥に比べればその悪影響が
小さく、その欠陥発生領域ではウェーハ内部に不純物の
ゲッタリング作用を有する酸素析出物が形成されやす
く、その上、育成速度も速くできるからである。
【0012】しかしながら、ウェーハ上に形成される回
路の集積密度が増大し、ゲート酸化膜が薄膜化され、ソ
ース・ドレイン等の拡散層深さが浅くなってくると、ボ
イド状欠陥に基づく絶縁耐圧の低下や接合リーク電流の
増大が問題になってきた。
【0013】図1(a)に示したような欠陥発生状況を詳
細に観察すると、リング状OSF発生領域の外側にボイ
ド状欠陥も転位クラスター欠陥も現れない無欠陥領域が
存在している。そしてその無欠陥領域は、OSF発生領
域に接した酸素析出の生じやすい酸素析出促進領域と、
転位クラスター発生領域側の無欠陥領域との2つに分け
られる。通常の育成条件では、図1(a)から推察される
ように、これらの無欠陥領域はウェーハ上でOSF発生
領域と同様リング状でしか存在し得ない。
【0014】これに対し、結晶育成装置内のホットゾー
ン、すなわちるつぼやヒータを取り囲む高純度グラファ
イト等からなる保温部材の構造を工夫することにより、
凝固直後の結晶内部の温度分布を変え、この無欠陥領域
を拡大したシリコン結晶を得る製造方法が開発されてい
る。例えば、特開平8-330316号公報に開示された発明の
方法は、育成速度をV、結晶内の融点から1300℃までの
引き上げ軸方向の温度勾配の平均値をGとするとき、V
/Gの値を0.20〜0.22の範囲とし、かつ中心よりも外周
の方を大きくして引き上げをおこなうもので、これによ
り、無欠陥領域が拡大され、ウェーハ面全面を無欠陥領
域とすることができるとしている。
【0015】V/Gの値が中心部より外周部の方が大き
いということは、育成速度は同じなので、垂直方向の温
度勾配は中心部より外周部の方が小さいことを意味して
いる。このような温度分布を実現させれば、図1(a)の
場合と同様、育成速度を初期の速い速度から徐々に低下
させて結晶を育成すると、図1(b)に示すようなリング
状OSF発生領域および無欠陥領域を水平方向に拡大し
た欠陥分布とすることができる。
【0016】リング状OSF発生領域は、ボイド状欠陥
や転位クラスター欠陥などGrown-in欠陥に関しては無欠
陥の領域である。ゲート酸化膜が薄膜化されて、デバイ
ス製造工程での処理温度が低下してくると、高温処理で
生じるOSFはその発生が抑止されるようになり、リン
グ状OSF発生領域のデバイス特性劣化は、以前ほど問
題にされなくなってきた。一方、ウェーハ内部における
酸素析出は、デバイス製造過程における汚染元素のゲッ
タリングサイトとして重視される。
【0017】そこで、図1(b)のような欠陥分布をもた
らすホット−ゾーンの構造を有する結晶育成装置を用い
れば、図中に示す育成速度fP1〜fP3の範囲にて育
成をおこなうと、ボイド欠陥も転位クラスター欠陥もな
いシリコン単結晶を製造することができる。
【0018】このように、凝固直後の結晶内の温度分布
を、垂直方向の温度勾配が中心部よりも外周近傍の方が
緩やかになるように育成装置内のホットゾーン、すなわ
ち加熱体、遮熱部品、冷却部品等の設定をおこない、そ
の上で最適育成速度にて育成することにより、その大部
分からGrown-in欠陥がなく適度の酸素析出の生じるウェ
ーハが採取できる、シリコン結晶を製造することができ
るようになってきた。
【0019】現実の結晶育成では、総合伝熱解析の手法
などにより、装置内の温度分布が上記の条件を満たすよ
うに、装置内部品の構造や配置を設定し、その上で、例
えば図1に示したような育成速度を徐々に変えた結晶育
成をおこない、結晶内の欠陥分布を調査して育成条件を
選定する。そして多くの場合、目的とする十分な条件が
一度では確定できないので、温度分布条件の修正、結晶
の育成および欠陥分布調査を繰り返しおこなって製造条
件が決定される。
【0020】しかしながら、このような製造条件の決定
には、装置内のホットゾーンを構成する部品の改造、試
験用の結晶育成、欠陥分布調査のための試験片加工、欠
陥評価等に多大の工数と時間を必要とする。とくにシリ
コン結晶が大口径化してくると、これらに要する時間と
費用とが膨大になり、欠陥発生領域が制御された目的と
する結晶の製造条件を、短時間かつ低コストで決定する
ことが重要な課題となっている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Grow
n-in欠陥のないシリコン結晶を製造するための条件に関
し、実際に結晶育成をおこなってその内部の欠陥分布を
調査するという手段を用いることなく、電子計算機によ
る計算で正確に決定する方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Grown-in
欠陥のないシリコン結晶を製造することを目的とした製
造条件の選定が、実験の繰り返しによっておこなわれて
おり、そのための時間と費用とがかかりすぎることか
ら、電子計算機を用いてより簡便に決定することの可能
性について、検討をおこなった。
【0023】まず、図1(a)に示したような欠陥分布の
生じる理由を、単純化して考えると次のようになる。結
晶育成の引き上げ時、融液は凝固して固体結晶に変化し
ていくが、ランダムな原子配列の液相から整然と原子が
配列する固相に移行するため、その固液境界面近傍の固
相の結晶には、あるべき原子の欠けた空孔、および余分
のSi原子が原子の結晶格子配列の間に入り込んだ格子
間原子が、大量に存在する。凝固直後においては、通常
格子間原子の数よりも空孔の方が多い。
【0024】引き上げにより凝固し結晶化した部分が固
液境界面から離れるにしたがって、これら格子間原子と
空孔とは拡散や合体によって消失していき、整然とした
原子配列の結晶格子が形成されていくが、育成速度が速
い場合、相対的にその数の多い空孔が多少は残存しボイ
ド状欠陥となる。一方、育成速度が遅い場合、空孔の合
体消失は十分におこなわれるが、その際、格子間原子の
方が空孔よりも拡散速度が速いため、固液境界面近傍か
らの格子間原子の拡散供給がより速やかにおこなわれ
る。その状態で冷却が進むので、格子間原子が多少過剰
の状態で温度が低下していき、その結果として転位クラ
スターを発生させる。
【0025】空孔の濃度と格子間原子の濃度とが適度に
バランスした状態にて冷却された場合、無欠陥領域が形
成される。無欠陥領域のやや空孔が過剰に存在する部分
には酸素析出が形成されやすい。結晶内の空孔および格
子間原子の濃度は、凝固時に取り込まれた数とその後の
拡散および合体の進行より定まるが、拡散や合体は温度
に大きく支配されるので、結晶内部の温度分布の状況に
よって、図1(a)や(b)に示した欠陥分布がもたらされ
る。
【0026】このような、CZ法によるシリコン結晶製
造の際の、空孔と格子間原子とから生じるボイド欠陥と
転位クラスター欠陥の発生について、Voronkovは数学的
に記述した欠陥挙動モデルを提案している(V.V.Voronk
ov:J.Crystal Growth 59(1982),625-643)。それによれ
ば、シリコン結晶育成時の空孔濃度Cと格子間原子濃
度Cの時間変化は同じ形の次式で表せる。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】ここで、fは結晶の育成速度、Dおよ
びDはそれぞれ空孔および格子間原子の拡散定数、k
は空孔と格子間原子の合体による消滅反応、すなわち
フレンケル対の結合反応の反応定数、C およびC
はそれぞれ空孔および格子間原子の熱平衡濃度であ
る。数1式または数2式において、右辺の第一項は育成
速度による変動、第2項は濃度差による拡散、第3項は
空孔と格子間原子との結合反応による消滅を表してい
る。
【0030】育成中の結晶において、育成速度と温度分
布または引き上げ軸方向の温度勾配が与えられれば、上
記数1式および数2式を用いて結晶各位置における空孔
または格子間原子の濃度を、差分法等により電子計算機
で求めることができる。
【0031】そこで、拡散定数、熱平衡濃度およびフレ
ンケル対結合の反応定数をそれぞれ設定し、固液界面で
の濃度を融点での熱平衡濃度、結晶表面での濃度を表面
温度での熱平衡濃度として、育成速度fおよび引き上
げ軸方向の温度勾配を種々変えて計算してみると、空孔
濃度Cと格子間原子濃度Cの値は、いずれも1150℃
以下でほぼ一定になることがわかった。
【0032】次に、結晶の育成速度fとその際の結晶
内温度分布がわかっているシリコン結晶について、Grow
n-in欠陥の存在状態をCu付着後熱処理によるX線トポ
グラフ法で観察し、その結果と、同じ育成速度および温
度分布として上述の方法の計算で求めた1150℃における
とCとの差、C−Cの値とを対比してみた。
そうすると、C−Cが正の大きい値となる部位にお
いてはボイド状欠陥が発生しており、C−Cが負の
大きい値になる部位においては、転位クラスター欠陥が
生じていた。そしてC−Cの値が0となる近傍にお
いては無欠陥となっていることが明らかになった。
【0033】固液境界面近傍にて結晶中に取り込まれた
空孔と格子間原子は、その後の冷却の過程で拡散や合体
によって消滅していくが、これらの消滅の進行速度が大
きく低下してしまう温度域にまで低下したとき、空孔濃
度が高ければボイド状欠陥を発生し、格子間原子の濃度
が高ければ転位クラスター欠陥が残るという傾向が、こ
のように計算機シミュレーションにより推測可能である
と思われた。
【0034】ところが、さらに育成したシリコン結晶と
計算結果を対比していくと、結晶の中心部では上述のよ
うによく一致するが、結晶の周辺部では実際の結晶で観
察される結果が、計算による予測と合わない場合が多
い。すなわち、実際の結晶では周辺部で転位クラスター
欠陥が現れるにも関わらず、計算結果ではC−C
大きな正の値を示し、ボイド状欠陥の出現を示している
ことが多いのである。
【0035】この状態では、実際の欠陥のない結晶育成
をシミュレーションできないので、数1式または数2式
の修正を種々検討した。その結果、1150℃以下のC
を求めるときに、融点から少し低くなった温度ま
で、例えば融点から1350℃までの範囲で、数2式の格子
間原子の半径方向の拡散の項を小さくするかまたは削除
してしまい、他はそのまま、すなわち数1式と融点から
1350℃までの範囲以外の温度域においては、元と同様に
して計算を進めればよいことがわかった。
【0036】このようにして求めた1150℃以下のC
の値は、結晶の中心から周辺部まで、とくにGrown-
in欠陥が無欠陥のシリコン結晶の育成速度および結晶内
温度分布の選定に、有効であることを見いだしたのであ
る。
【0037】数2式の第2項は、格子間原子の拡散の項
である。この項の半径方向の拡散を上述のように補正す
ることにより改善されたのは、現実の結晶では高温での
結晶表面に酸化膜が成長していて、その影響で圧縮応力
が存在し不連続となって、拡散速度の速い格子間原子の
拡散消失が大きく阻害されているためではないか、と思
われたが明らかではない。
【0038】上記の計算モデルを用い、必要とする1150
℃以下のC−Cの値から、結晶内の温度分布、また
は引き上げ軸方向の温度勾配を求め、その結果から総合
伝熱解析の手法にて育成装置内の加熱体、遮熱部品、冷
却部品等ホットゾ−ンの構造の選定をおこなえば、試験
的な結晶育成および欠陥分布調査を実施することなく、
無欠陥のシリコン結晶の製造条件を決定できる。
【0039】本発明の要旨は次のとおりである。
【0040】(1)半導体シリコン結晶の製造に際し、電
子計算機を用いて製造条件を決定する方法であって、育
成する単結晶内の融点近傍における格子間シリコン原子
の径方向の拡散に関する項を与えられた条件により定ま
る値よりも小さく限定した、原子空孔濃度Cおよび格
子間シリコン原子濃度Cの時間変化を表す式を用い、
およびCがほぼ一定になる温度でのC−C
値を求め、そのC−Cの値が特定範囲内となる結晶
内温度分布および育成速度を選定し、それに基づいて総
合伝熱解析手法によりホットゾーンの構造および単結晶
の冷却方法を決定することを特徴とする半導体シリコン
結晶の製造条件の決定方法。
【0041】(2)1150℃以下の温度におけるC−C
の値が−4×1012〜8×1012個/cmとなる結晶内温
度分布および育成速度条件を求め、それに基づいて総合
伝熱解析手法によりホットゾーンの構造および単結晶の
冷却方法を決定することを特徴とする、上記(1)の半導
体シリコン結晶の製造条件の決定方法。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、前述のシリコン
結晶育成時の結晶内における原子空孔濃度C と格子間
シリコン原子濃度Cとの時間変化を示す数1式および
数2式を用いて、育成中の結晶の各位置におけるC
とを求める。その場合、差分法にて刻み時間Δtを
適宜設定(例えばΔt=0.0005(hr))して逐次解いてい
き、1150℃以下になったときのC−Cの値が、結晶
のいずれの位置でも所定の範囲内になる育成速度と結晶
内の温度分布、または引き上げ軸方向の温度勾配を選定
する。
【0043】育成速度および結晶内温度分布は、まず初
めに暫定的に設定しておき、得られる1150℃以下のC
−Cの値から、これを修正して再度C−Cの値を
求め、この操作を繰り返して最適の温度分布および引き
上げ速度を決定すればよい。そして、このようにして選
定された結晶内温度分布が得られるよう、総合伝熱解析
の手法にて育成装置内のホットゾーンの構造を定める。
【0044】上述の方法において、育成中のシリコン結
晶は、形状、温度分布および濃度が回転対称形なので、
数1式および数2式は円柱座標を用いれば次式のように
表すことができる。
【0045】
【数3】
【0046】
【数4】
【0047】上式の拡散定数DおよびD、熱平衡濃
度C およびC 、さらにフレンケル対消滅の反応
定数kなどは公知のものを用いればよく、その一例を
表1に示す。また、境界条件として、結晶の固液境界面
のCまたはCは融点(1412℃)の温度におけるC
またはC を用い、最外周のCまたはCは表面
温度でのC またはC を用いた。
【0048】
【表1】
【0049】ここで、数4式の右辺第2項は格子間原子
の半径方向の拡散の項であるが、本発明においては融点
から1350℃に低下するまでの間、この拡散定数DIM
0、すなわち第2項を除き、1350℃を下回る温度では、
IMを表2のDと同じに戻して計算をおこなう。た
だし、この1350℃までは第2項を除くという厳密な限界
条件は必ずしも必要ではない。例えば、凝固からしばら
くの間、融点から1350±30℃程度の間まで、拡散定数D
IMを表2に示されるDの値よりも小さい値にするこ
とによって、上記の数3式および数4式による結果を、
現実のシリコン結晶に近づけることが可能である。この
ように、凝固の直後しばらくの間は、半径方向の拡散を
小さく見積もることにより、実際の結晶の欠陥分布と計
算機によるシミュレーション結果とを一致させることが
できたのである。
【0050】この凝固直後の半径方向の格子間原子の拡
散を小さく見積もることは、外周面への格子間原子の拡
散量が小さくなっていることを意味しており、最外周の
の値をC の値より大きくすることによっても、
同様な結果を得ることができる。
【0051】以上の方法にて、CとCの値がほぼ一
定になる1150℃またはこれより低い温度で、C−C
の値を求める。この温度は1150℃以下であれば何度であ
っても大きくは変わらず、低くすればそれだけ計算時間
が増すだけなので、1150℃で求めればよい。
【0052】同じ引き上げ速度および結晶内温度分布の
条件で、実際に育成をおこなったシリコン結晶に見いだ
される欠陥の発生状況と、この計算機により求めた1150
℃におけるC−Cの値とを対比してみると表2の結
果が得られた。
【0053】
【表2】
【0054】表2の結果から、Grown-in欠陥のないシリ
コン結晶を得ようとすれば、1150℃におけるC−C
の値が−4×1012〜8×1012atoms/cmとなるよう
にシリコン結晶の育成中の結晶内温度分布を制御すれば
よいことがわかる。さらにより精度よく制御することが
できれば、例えば、酸素析出促進領域のみからなるシリ
コン結晶の製造条件の選定も可能になる。
【0055】1150℃またはそれ以下の温度におけるC
−Cの値が、特定の範囲にあることがGrown-in欠陥の
ないシリコン結晶を得るための要件であるので、この値
になるための育成速度、温度分布または温度勾配を定
め、これを実現するため総合伝熱解析の手法にて育成装
置の構造を選定する。この総合伝熱解析は、例えばMiya
haraらの提案した方法(S.Miyahara,他:J.Crystal Gro
wth 99(1990),696-701)を用いればよい。
【0056】
【実施例】直径が200mmのシリコン結晶を対象とし、中
心部の垂直方向温度勾配をG、外周部の垂直方向温度
勾配をGとするとき、融点から1300℃までの結晶内温
度分布が、 温度分布(1):G/G=1.28 温度分布(2):G/G=1.37 の2つの場合の、育成速度fを変えた1150℃における
−Cの値を計算した。計算の方法は数3式および
数4式を用い、表1に示した値をそれぞれ適用し、融点
から1350℃に低下するまでの間、数4式の右辺第2項は
除き、1350℃を下回ってからは数4式の右辺第2項を加
えDIMは表1のDとした。
【0057】図2に計算結果の例を示す。この結果から
結晶内の温度分布を上記(1)とし、f/Gを0.180
{mm/(℃・mim)}としたとき、ウェーハ面全面にお
いてC −Cの値が本発明にて定める−4×1012〜8
×1012個/cmとの範囲内に入っており、この条件に
て結晶育成をおこなえば、Grown-in欠陥のないものが得
られると考えられた。そこで、るつぼ径、ヒータ位置、
熱遮蔽材および冷却用部材の配置などホットゾーンの構
造を調整して、結晶内の温度分布が上記(1)となるよう
にし、f/Gを0.180{mm/(℃・mim)}として結
晶育成をおこなった。得られた結晶を調査の結果、目的
とするGrown-in欠陥に関し、無欠陥のシリコン結晶の得
られることが確認された。
【0058】計算に要する時間は、用いる計算機にもよ
るが、1条件1〜3日で結果を出すことができる。これに
対し、育成装置を用いてシリコン結晶を作製し欠陥分布
を調査すれば、1条件を求めるのに1週間から4週間の日
時を要し、結晶径が大きくなればさらに時間を必要とす
る。これに要する費用は、実際に結晶を育成し調査する
場合に比べれば、計算機では無視できる程度である。
【0059】
【発明の効果】本発明は、CZ法によるシリコン結晶の
製造において、Grown-in欠陥のない結晶を得るための製
造条件を、電子計算機により決定する方法である。この
方法によれば、計算機により得られた結果が、実際にお
こなった結果ときわめてよい一致を示し、最適製造条件
を選定するために要する時間およびコストが大幅に合理
化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン結晶の育成速度変化に対する欠陥分布
の変化を示す図である。
【図2】シリコン結晶の1150℃における空孔と格子間原
子との濃度差C−Cの計算結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤塚 雅則 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BA04 CF10 EH07 EH10 HA12 PE01 PF55

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体シリコン結晶の製造に際し、電子計
    算機を用いて製造条件を決定する方法であって、育成す
    る単結晶内の融点近傍における格子間シリコン原子の径
    方向の拡散に関する項を、与えられた条件により定まる
    値よりも小さく限定した原子空孔濃度Cおよび格子間
    シリコン原子濃度Cの時間変化を表す式を用い、C
    およびCがほぼ一定になる温度でのC−Cの値を
    求め、そのC−Cの値が特定範囲内となる結晶内温
    度分布および育成速度を選定し、それに基づいて総合伝
    熱解析手法によりホットゾーンの構造および単結晶の冷
    却方法を決定することを特徴とする半導体シリコン結晶
    の製造条件の決定方法。
  2. 【請求項2】1150℃以下の温度におけるC−Cの値
    が−4×1012〜8×1012個/cmとなる結晶内温度分
    布および育成速度条件を求め、それに基づいて総合伝熱
    解析手法によりホットゾーンの構造および単結晶の冷却
    方法を決定することを特徴とする請求項1に記載の半導
    体シリコン結晶の製造条件の決定方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010037114A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Sumco Corp シリコン単結晶の育成方法および温度推定方法
JP2016013957A (ja) * 2014-07-03 2016-01-28 信越半導体株式会社 点欠陥濃度計算方法、Grown−in欠陥計算方法、Grown−in欠陥面内分布計算方法及びこれらを用いたシリコン単結晶製造方法

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JP2010037114A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Sumco Corp シリコン単結晶の育成方法および温度推定方法
JP2016013957A (ja) * 2014-07-03 2016-01-28 信越半導体株式会社 点欠陥濃度計算方法、Grown−in欠陥計算方法、Grown−in欠陥面内分布計算方法及びこれらを用いたシリコン単結晶製造方法

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