JP4501507B2 - シリコン単結晶育成方法 - Google Patents

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本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)により半導体材料として使用されるシリコン単結晶の育成方法に関し、より詳しくは、結晶欠陥の少ない高品質結晶を、効率的に製造できるシリコン単結晶育成方法に関するものである。
半導体材料のシリコンウェーハに用いるシリコン単結晶の製造に、最も広く採用されている方法がCZ法による単結晶育成方法である。
CZ法は、石英るつぼ内の溶融したシリコンに種結晶を浸けて引き上げ、単結晶を成長させるものであるが、このシリコン単結晶育成技術の進歩により、欠陥の少ない、無転位の単結晶が製造されるようになってきている。半導体デバイスは、単結晶から得られたウェーハを基板とし、数百のプロセスを経過して製品化される。
その過程で基板には数多くの物理的処理、化学的処理、さらには熱的処理が施され、中には1000℃以上での高温処理など、過酷な熱的環境での処理も含まれる。このため、単結晶の成長過程にてその原因が導入されていて、デバイスの製造過程で顕在化し、その性能を低下させる結果となる微小欠陥、すなわちGrown−in欠陥が問題になる。
図1は、シリコンウェーハで観察される典型的な欠陥分布の例を模式的に示した図である。同図に示す微少欠陥の代表的なものの分布は、成長直後の単結晶からウェーハを切り出し、硝酸銅水溶液に浸けてCuを付着させ、熱処理後、X線トポグラフ法により微小欠陥分布の観察をおこなった結果を、模式的に示している。
すなわち、このウェーハは、外径の約2/3の位置に、リング状に分布した酸化誘起積層欠陥{以下OSF(Oxygen induced Stacking Fault)という}が現れたものであるが、そのリングの内側部分には赤外線散乱体欠陥(COPまたはFPDともいわれるがいずれも同じSiが欠損した状態の欠陥)が見出される。また、リング状OSFに接してすぐ外側には酸素析出物が現れやすい酸素析出促進領域があり、それに接して欠陥の現れない無欠陥領域があり、その外側のウェーハの周辺部は転位クラスターの発生しやすい部分となっている。
上記の欠陥の発生位置は、通常、単結晶育成の際の引き上げ速度に大きく影響される。一例として、転位のない健全な単結晶を得る育成速度の範囲内にて、引き上げ速度を連続して減少させながら成長させた単結晶について、結晶中心の引き上げ軸に沿って縦方向に切断された面での各種の欠陥の分布を調べると、図2(a)のような結果が得られる。
単結晶引き上げ軸に対し垂直に切り出した円盤状のウェーハ面で見る場合、ショルダー部を形成させ所要の直胴径とした後、育成速度を下げていけば、結晶周辺部からリング状OSFが現れる。周辺部に現れたこのリング状OSFは、育成速度の低下にともない、その径が次第に小さくなり、やがては消失し、ウェーハ全面がリング状OSFの外側部分に相当するものになる。
すなわち、前記図1は、図2(a)における単結晶のAの引き上げ軸に垂直な断面、またはその引き上げ速度で育成した単結晶のウェーハを示したものであり、リング状OSF発生の位置を基準にすれば、育成速度の速い場合はリング状OSFの内側領域に相当する相対的には赤外線散乱体欠陥の多い高速育成単結晶となり、遅い場合は外側領域の転位クラスターの多い低速育成単結晶となる。
溶融したシリコンが凝固して単結晶になるとき、結晶格子としてシリコン原子が不足している欠陥部分と過剰な欠陥部分とが同時に取り込まれ、これらは合体したり拡散したりして消滅するが、最終的に不足している部分には赤外線散乱体欠陥、過剰な部分には転位クラスターが残る。そして、両者の過不足のない部分は無欠陥領域となり、その中の特定位置にリング状OSFが現れると考えられ、この無欠陥領域をニュートラル領域と言うこともある。
シリコン単結晶の転位は、その上に形成されるデバイスの特性を劣化させる原因になることはよく知られている。また、OSFはリーク電流増大など電気特性を劣化させるが、リング状OSFにはこれが高密度に存在する。
したがって、現在、通常のLSI用には、リング状OSFが単結晶の最外周に分布するような、比較的高速の引き上げ速度で単結晶が育成されている。それによって、ウェーハの大部分をリング状OSFの内側部分、すなわち、高速育成単結晶にして、転位クラスターを回避する。これは、リング状OSFの内側部分は、デバイスの製造過程にて発生する重金属汚染に対するゲッタリング作用が、外側部分よりも大きいことにもよっている。
近年LSIの集積度増大にともない、ゲート酸化膜が薄膜化されて、デバイス製造工程での温度が低温化してきている。このため、高温処理で発生しやすいOSFが低減され、結晶の低酸素化もあってリング状OSFなどのOSFは、デバイス特性を劣化させる因子としての問題が少なくなってきた。
ところが、高速育成単結晶中に主として存在する赤外線散乱体欠陥の存在は、薄膜化したゲート酸化膜の耐圧特性を大きく劣化させることが明らかになっており、特に、デバイスのパターンが微細化してくると、その影響が大きくなって高集積度化への対応が困難になる。
前記図1に示した欠陥分布において、リング状OSFに接する酸素析出促進領域および無欠陥領域を拡大できれば、Grown−in欠陥の極めて少ないウェーハ、または単結晶の得られる可能性がある。
例えば、特許文献1には、単結晶育成時の引き上げ速度をV(mm/min)、融点から1300℃までの温度範囲における引き上げ軸方向の結晶内温度勾配をG(℃/mm)とするとき、結晶中央部より外周から30mmまでの内部位置ではV/Gを0.20〜0.22とし、結晶外周に向かってこれを漸次増加させるように結晶内の温度勾配を制御して、転位クラスターを生成させることなく、リング状OSFの外側部分の無欠陥領域のみをウェーハ全面さらには単結晶全体に広げる方法が提案されている。
前述のように、引き上げ速度を連続して減少させながら単結晶を育成した場合、通常は、リング状OSFが図2(a)に示したV字状に現れる。これに対し、上記特許文献1に示された方法は、引き上げ軸方向の温度勾配を結晶の中央部は大きく周辺部は小さくなるようにし、かつその範囲を限定することにより、図2(a)と同じようにして育成した単結晶のリング状OSFの発生を、図2(b)に示すU字状または平底状に変えることができる。
そこで、例えばB1として示した引き上げ速度にて育成を行えば、無欠陥領域が大幅に拡大された単結晶が得られることになる。この特許文献1に示された方法は、結晶内の温度勾配Gを、伝熱解析シミュレーションによりにより求め予測しているが、そのような温度勾配を実現させる具体的手法については必ずしも明らかではない。
その後、上記の単結晶全体を無欠陥領域にするという考え方を実現するための製造方法がいくつか提案されている。例えば、特許文献2には、単結晶育成時シリコン溶融液の湯面直上にシリコン単結晶を囲繞するように断熱材を配置して、断熱材と湯面との隙間を30〜50mmとし、0.2T以上の水平磁場を印加する装置を用い、結晶の固液界面の形状が平均値に対し±5mm以内、引き上げ軸方向の温度勾配が結晶中心部と結晶周辺部とでその差が0.5℃/mm以内とし、引き上げ速度を調整することにより、単結晶全体を前述の無欠陥領域またはニュートラル状態領域にする製造方法の発明が開示された。
次に、特許文献3には、上記の無欠陥のシリコン単結晶を製造する方法として、固液界面の形状を平坦または上凸状態にするのがよいとし、その実現のために、るつぼの回転速度を5回転/分以下、単結晶は回転速度を13回転/分以上にて引き上げる発明が提案されている。
また、特許文献4には、るつぼと単結晶の回転速度の選定、単結晶の周囲に配置する熱遮蔽体の位置設定、および融液に対し水平磁場あるいはカスプ磁場の印加、等の組合せによって、固液界面形状を周辺部に対し中央部の高さが5mmを超える上凸状、単結晶の引き上げ軸方向の温度勾配を中央部が大きく周辺部が小さくなる温度分布として、引き上げ育成をおこなう、全体が無欠陥領域である高品質のシリコン単結晶を製造する方法の発明が開示されている。
さらに、特許文献5には、上凸状固液界面の形状とともに単結晶側面の温度分布を制御して、上述の無欠陥単結晶を得る発明が提案されている。
電子機器の多機能制御の発展にともない、LSIのチップサイズの大型化が進められているが、ウェーハ当たりのチップ採取率を高めるため、ウェーハの大口径化、すなわちシリコン単結晶の大径化が必要となる。また、チップサイズの大型化は、Grown−in欠陥のような点欠陥の発生密度を従来より低くしなければ、良品採取率を低下させる。このため、無欠陥領域を拡大させた単結晶が望ましい。
しかしながら、単結晶の径が大きくなり300mm以上になってくると、単結晶からの抜熱が容易でなく、生産性向上のため冷却を強化しようとすれば、熱応力が増大して転位を発生させたり、さらには結晶に割れが発生することもある。このために、引き上げ速度を大きくすることができず、生産性が大きく低下する。
これに加えて、無欠陥領域を拡大させたシリコン単結晶を得ようとするとき、大径単結晶になると従来の200mm、またはそれ以下の小径単結晶のように単結晶内の温度勾配を制御することは容易ではなく、無欠陥単結晶を育成できる引き上げ速度範囲が極めて狭くなり、速度の制御が困難となって、無欠陥部分の生成歩留まりが大きく低下する。
特開平8−330316号公報
特開平11−79889号公報 特開2000−72590号公報 特開2001−158690号公報 特開2001−261495号公報 特開2000−7485号公報
本発明の目的は、直径が300mm以上の大径のシリコン単結晶において、Grown−in欠陥をできるだけ少なくした高品質結晶を、歩留まりよくしかも引き上げ育成速度を高くして製造できる方法の提供にある。
前述のように、従来から、引き上げ時の単結晶内温度分布および固液界面の形状を、断熱材の使用、るつぼおよび単結晶の回転の制御、並びに融液への磁場印加等により制御するとともに、引き上げ速度を選定して、全体を無欠陥領域とする単結晶の製造方法が提案されている。
しかしながら、単結晶の径が大きくなってくると、引き上げ速度を大幅に低下させなければならず、その上、無欠陥とするための最適速度範囲が狭くなってしまい、実生産への適用は困難になっている。
これに対し、本発明は、最適速度範囲を拡大でき、しかも育成速度を大きくできる無欠陥単結晶の製造方法を提供するものである。
本発明は、(1)CZ法により、るつぼ内の融液に水平方向の磁場を印加しつつ単結晶を引き上げる半導体用シリコン単結晶製造において、融液表面からの深さが100mmから600mmまでの範囲にて、磁場中心(磁束密度の最大値位置)が位置し、かつ当該範囲における磁束密度分布の変動が3%以上10%以下であり、磁場中心の磁場強さが0.1〜0.2Tの範囲にある磁場を印加しつつ、転位クラスター欠陥の現れない下限の引き上げ速度から赤外線散乱体欠陥の現れない上限の引き上げ速度の間の速度で引き上げをおこない、直径が300mm以上の単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶育成方法であり、さらに(2)単結晶の回転を6回転/分以上とし、るつぼの回転を5回転/分以下とするとともに、磁場密度が均一な磁場を印加させた場合に単結晶が無欠陥領域となる引き上げ速度に対して10〜40%増加させた引き上げ速度で引き上げをおこなうことを特徴とする上記(1)のシリコン単結晶育成方法である。
大径のシリコン単結晶において、Grown−in欠陥をできるだけ少なくした高品質結晶を、歩留まりよく、しかも引き上げ育成速度を高くして製造できる。このような単結晶から得られたウェーハは、LSIチップの高密度化および大型化の傾向に対し、歩留まりの向上やコストの低減など効果的に適応できる。
転位クラスター欠陥や赤外線散乱体欠陥のようなGrown−in欠陥、または点欠陥をできるだけ少なくした単結晶を製造するには、引き上げ速度を連続して低下させながら育成したときに、リング状OSFまたは無欠陥領域が図2(b)に示したように平底状になるようにし、その上で、Bの速度、またはB1(転位クラスター欠陥の現れない下限の引き上げ速度)からB2(赤外線散乱体欠陥の現れない上限の引き上げ速度)の間の速度にて育成する。
この図2(b)のような形状の無欠陥領域を出現させるため、従来の外径が200mmまでの単結晶では、例えば、前述の特許文献4に示されているように、育成中単結晶の引き上げ軸方向の結晶内温度勾配を中心部は大きく周辺部は小さくし、固液界面形状を上凸型として引き上げ速度を限定し育成する方法が用いられている。
しかしながら、単結晶の径が300mm以上になると、ウェーハ全面が無欠陥領域となる引き上げ速度を見出すのは容易ではなく、それを実現できたとしても許容速度範囲が極めて小さくて、安定して無欠陥単結晶を得るのは困難になる。図2(b)に示される無欠陥領域が、水平方向に十分平らなものとならないのである。
これは、単結晶の径が大きくなるほど凝固直後の結晶からの抜熱が困難になり、断熱材や冷却体の活用、または気体吹きつけなどの、単結晶表面からの冷却または加熱による単結晶内の温度分布制御が不十分になるためである。この制御をより強力におこなおうとすれば、温度差による熱ひずみが大きくなり、転位の発生、さらには結晶の割れを発生させるおそれがでてくる。
一方、固液界面形状を上凸型としその高さを高くするには、単結晶の回転速度を大きくし、さらに融液に磁場を印加して融液の対流を制御する方法があるが、単結晶の回転速度を大きくすることは、径が大きくなると転位が発生しやすくなるので、十分に大きくすることができない。
このように、単結晶の径が大きくなった場合、単結晶内部の引き上げ軸方向の温度勾配が中心部は大きく周辺部は小さい、という単結晶の径に見合った温度分布が十分実現されず、図2(b)に示したような、平底状の無欠陥領域が十分には得られなくなる。
しかしながら、凝固界面の温度は一定なので、固液界面の上凸形状をより大きくできれば、引き上げ中の単結晶内の温度分布が同じような場合、中心部の引き上げ軸方向温度勾配は周辺部のそれよりも大きくできる可能性があると考えられる。
固液界面の形状は、凝固潜熱が一定なので、融液からの熱の供給と固体となった結晶への伝熱による熱の排除とのバランスにより決まってくるが、熱の排除は前述のように結晶の径により限界があることから、融液からの熱の供給すなわち融液の対流を制御することにより固液界面の形状を制御するのがよいと思われる。
融液の対流などその流動に大きく影響するのは、結晶の回転と磁場印加であるが、単結晶の径が大きくなると、上述のように結晶の回転は制限されるので、磁場の印加条件にについて種々検討を行ってみた。
その結果、融液に限定された範囲で特定の磁場を印加すれば、効果的に固液界面の形状すなわちその上凸形状の高さを適度に大きくできることが見出された。そこで、この固液界面の形状と、引き上げ速度を連続的に変化させて得られた単結晶の、無欠陥領域の生成形状、および転位のない健全な単結晶が育成できる条件との関係をさらに検討し、固液界面形状に好ましい範囲のあることを確認することができた。
従来、シリコン単結晶育成時の磁場印加は、融液の対流を抑止し単結晶に取り込まれる酸素量の制御に主として用いられ、また、単結晶育成時の固液界面形状に影響を及ぼすことも知られている。そして、通常用いられる水平磁場印加では、融液に対し均一性のよい磁場が適用され、通常、水平磁場では磁場発生コイルの中心軸位置の磁束密度が最も高く、中心から離れるに従って磁束密度が低下する。
そこで、単結晶の回転速度は、安定して育成できる上限近くに設定し、この磁場の強さおよび磁場中心の位置の固液界面形状におよぼす影響を調べてみた。その結果、磁場の強さは大きくすると上凸形状が抑制され、小さくすると上凸型の高さは大きくでき、同じ強さの磁場でも、固液界面の上凸形状をより大きくするには、磁場の中心を融液表面から100mm以上の深さにするのがよいことがわかった。
このような調査の過程で、磁場印加に用いる磁場発生装置も取り替えて試験してみたところ、均一な磁場を用いるよりも不均一な磁場とする方がより効果的であることが見出された。
そこで、これらの条件の限界を、単結晶内の引き上げ軸方向における温度勾配が、中央部は大きく、周辺部は小さくなり、前記図2における無欠陥領域ができるだけ水平に近くすることを目標に、さらに検討をおこなった。
その結果、印加する磁場は水平磁場とし、融液表面からの深さが100mmから〜600mmまでの範囲に磁場中心(磁束密度の最大値位置)が位置し、かつ当該範囲における磁束密度分布の変動が3%以上であることとするのがよいことが確認できた。さらに望ましくは、磁場中心の磁場強さを0.1〜0.2Tの範囲にすることである。
このような条件にて単結晶の育成を種々試みたところ、引き上げ速度をより大きくできること、および無欠陥単結晶を製造するための許容速度範囲(速度マージン)が大幅に拡大できることがわかった。
これまで口径が300mmの場合、Grown−in欠陥に関して無欠陥となる単結晶を得ようとすると、速度マージンが0.01mm前後であり単結晶全体に無欠陥領域を拡大することは極めて困難であった。しかし、上記条件にて育成をおこなえば、この速度マージンが倍近く拡大される。その上、無欠陥領域とするための引き上げ速度は10〜40%向上できる。
ここで、磁場中心の位置が融液表面から100mmより浅くなると、固液界面の上凸形状が不十分となる。これは、融液の流動が抑制されるためと思われる。また、磁場中心の位置が融液表面から600mmを超える深さになると、単結晶の有転位化や割れが発生することがあるが、これは固液界面の上凸形状が高くなりすぎるためと思われる。
そして、磁場中心における磁場強さは、0.1Tより小さくなると、上凸形状が高くなりすぎてしまう。また、0.2Tを回ると、上凸形状の高さが低くなってしまう。このため、磁場中心の磁場強さを0.1〜0.2Tの範囲にすることが望ましい。
また、磁場の磁束密度は、均一よりも不均一である方が、単結晶の無欠陥領域が拡大される。この理由は必ずしも明らかではないが、不均一である方が融液の流動が容易になり、上凸の形状をより好ましい状態にするのではないかと思われる。
この不均一の状態をより明確に定義すると、融液表面からの深さが100mmから〜600mmまでの範囲において、最高の磁束密度THと最低の磁束密度TLすれば、下記(1)式で示される不均一性を示すΔT(%)が、3%を超える値になることである。
ΔT(%)=100×(TH−TL)/TH ・・・・ (1)
なお、単結晶の有転位化および割れの発生を抑制する観点からは、ΔTは大きくても10%以内に留めることが望ましく、ΔTの大きさは水平磁場発生コイルの上下コイル間隔を変えることによって調整することができる。
上記のような磁場の印加は、不均一な磁場を持つ水平磁場発生コイルの磁場中心軸を、融液表面からの深さが100mmから〜600mmまでの範囲に配置することによって実現できるが、その場合、磁場中心を深さ200mmから400mmの範囲におくことがより好ましい。これは深さが200mmを超える方が、固液界面を上凸状にする効果がより大きくなり、400mmを超えてもそれ以上は大きくは変化せず不安定性が増してくるからである。
磁場印加に用いる装置は、上記の磁場を発生できるものであれば、特には限定するものではない。しかし、単結晶が大径化してくると、磁場発生装置も大型化してくる。磁場発生装置の大型化は、単結晶製造装置のるつぼ取り替えなど溶融引き上げのための炉回りの作業の際、取り付け取り外しが煩雑になってくる。
これに対し、磁場を発生させる磁気コイルを鞍型として容易に二分割できるものとし、しかも垂直磁場と水平磁場のいずれも、その二つのコイルの距離を変えることによって発生させることができる技術が、特許文献6に開示されている。このような鞍型の磁気コイルを用い、水平磁場を発生させれば、上記の不均一磁場は容易に得ることができる。
育成中の単結晶の回転およびるつぼの回転は、特に限定するものではないが、磁場で融液の対流を抑制する一方、単結晶の固液界面に対しては、融液の流動が大きい方が好ましく、るつぼ面に対しては小さい方が好ましいので、単結晶の回転は6回転/分以上、るつぼの回転は5回転/分以下とするのがよい。
直径300mmの単結晶育成装置を用い、内径810mmの石英るつぼ内で230kgの多結晶シリコンを電気抵抗が20Ωcmとなるようボロンを添加し、2600Paのアルゴン雰囲気中にて溶融した。磁場の印加は水平磁場とし、発生装置は、従来の均一磁場を発生させるもの、または不均一磁場を発生できるものを用いた。均一磁場の場合前述の式(1)のΔTは2.3%であり、不均一磁場の場合、磁気発生装置は鞍型コイルのものを用い、ΔTは、3%、6%および7%とした。
種結晶を融液に接触させて引き上げ、所定のネック部、ショルダー部を形成させ、目標のボディ径となった後、引き上げ速度を徐々に低下させてシリコン単結晶を育成した。単結晶の回転数は13回/分、るつぼの回転数は3回/分とした。固液界面形状の確認のため、無欠陥領域を形成すると予想される引き上げ速度を経過させた後、育成を中止して単結晶を融液から引き離した。
得られた単結晶の底面について、周辺部に対する中央部の高さを測定し、固液界面の上昇率を測定した。この場合、単結晶の径にはそれぞれ多少の変動があるので、単結晶直径に対する中央部の高さの比率を求め、均一磁場を印加し磁場中心を融液面から50mm下の位置としたときの比率を100(%)とし、他の条件の場合はこれに対する比を上昇率とした。
さらに、単結晶は引き上げ軸に平行に切断して、引き上げ軸を含む厚さ1.4mmのスライス片を採取し、16質量%の硝酸銅溶液に浸漬して銅を付着させ、900℃にて20分間加熱し冷却後X線トポグラフ法にて欠陥分布を調査した。
表1に、通常の水平磁場、ΔTが3%、6%および7%の不均一磁場を、磁場中心の融液面からの高さを変えて印加した場合の、固液界面高さの上昇率を示す。通常の水平磁場の場合に比し、不均一磁場では固液界面高さが大幅に上昇していることがわかる。ただし、固液界面高さが50mmを大きく超える場合は、有転位化を生じやすく好ましくない。
表2に、磁場中心の磁束密度が0.2T、不均一性ΔTが6%の磁場の中心位置を変えたときの、無欠陥領域の分布から判断される育成速度の向上率および育成速度マージン(無欠陥単結晶を得るための速度範囲)を示す。
育成速度は、通常の均一水平磁場印加にて無欠陥単結晶を製造したときの速度を基準としたが、不均一磁場を用いても、磁場の中心位置が−50mmであれば、育成速度向上の効果はなく、均一磁場印加とほぼ同じである。育成速度マージンは、通常の水平磁場印加では0.01mm程度であったのに対し、不均一磁場印加とすれば範囲が拡大されていることがわかる。
表3に、磁場中心の位置を融液面から−280mmとし、ΔT=6%の不均一磁場の強さを変えた時の結果を示す。磁場の強さが0.1Tを下回る場合、固液界面高さの上昇がやや高すぎ、0.2Tを超える場合は固液界面高さが十分上昇しない。
Figure 0004501507
Figure 0004501507
Figure 0004501507
シリコンウェーハで観察される典型的な欠陥分布の例を模式的に示した図である。 引き上げ速度を連続的に低下させて育成した単結晶の縦断面における欠陥の分布を模式的に示した図である。{(a)図1に対応する通常の場合、(b)単結晶内の温度分布を制御した場合}

Claims (2)

  1. チョクラルスキー法により、るつぼ内の融液に水平方向の磁場を印加しつつ単結晶を引き上げる半導体用シリコン単結晶の製造において、
    融液表面からの深さが100mmから600mmまでの範囲にて、磁場中心(磁束密度の最大値位置)が位置し、かつ当該範囲における磁束密度分布の変動が3%以上10%以下であり、磁場中心の磁場強さが0.1〜0.2Tの範囲にある磁場を印加しつつ、転位クラスター欠陥の現れない下限の引き上げ速度から赤外線散乱体欠陥の現れない上限の引き上げ速度の間の速度で引き上げをおこない、直径が300mm以上の単結晶を育成することを特徴とするシリコン単結晶育成方法。
  2. 単結晶の回転を6回転/分以上とし、るつぼの回転を5回転/分以下とするとともに、磁場密度が均一な磁場を印加させた場合に単結晶が無欠陥領域となる引き上げ速度に対して10〜40%増加させた引き上げ速度で引き上げをおこなうことを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶育成方法。
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