JP5879994B2 - 硬化油風味付与剤 - Google Patents

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Description

本発明は、実質的にトランス脂肪酸を含有せずに硬化油由来の好ましい風味を有する食品を提供可能な硬化油風味付与剤及びその製造方法並びにそれらを用いた油脂組成物に関する。
油脂を含む食品には、耐熱性、酸化安定性、可塑性などを付与することを目的として、硬化油脂(硬化油)が用いられてきた。この硬化油には、特有の好ましい風味がある。しかし、近年、硬化油中に含まれるトランス酸の摂取による動脈硬化等の疾病への懸念から、トランス脂肪酸を含まない油脂製品が求められている。しかし、通常、硬化油にはトランス脂肪酸が多く含まれており、硬化油風味を必要とする食品においては、トランス脂肪酸含量を減らすことが困難である。
上記のような背景から、硬化油由来の風味を有しながらトランス脂肪酸含有量が少ない油脂組成物及びその製法が開発されてきた。例えば、特許文献1には、50質量%以上のパーム油の分別硬質油に特定の硬化油を配合する方法が開示されている。また、特許文献2には、パーム油分別硬質油を50質量%未満で、パーム分別軟質油を65質量%以下とした油脂に特定の硬化油を配合する方法が開示されている。さらに、硬化油の配合量を減らす方法として、特許文献3には、加熱酸化させた過酸化物価(POV)の高い硬化油脂を配合する方法が開示されている。また、特許文献4には、減圧下で食用油を脱臭した後、硬化反応を行うことでバター香味に富み、トランス脂肪酸含量が低い加工食用油を調製する方法が開示されている。
しかし、上記特許文献1〜4の方法では、何れも風味を付与するために、トランス脂肪酸を含む硬化油脂を必須としており、食品の風味の質や強度を満足するためには、トランス脂肪酸の削減が不十分である。
また、硬化油を含まず硬化油様の風味を付与する方法として、特許文献5に、バニリン及び/またはエチルバニリンを含有する硬化油風味付与剤が開示されているが、高価であり、また、硬化油脂を使用した食品の風味と比べると、風味の質が十分とは言えない。
一方、畜肉を初めとする油由来の風味が、食品の呈味を向上させることが知られており、動植物油脂の酸化により誘導される脂肪族アルデヒド及びその他の化合物からなる呈味剤が、種々開発されている。例えば、特許文献6には、ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸に富んだ脂肪酸又は脂肪酸誘導体の酸化によって風味混合物を製造する方法が開示され、酸化剤と少なくとも 0.1重量%の酸化防止剤の存在下に、十分な時間、十分に高い温度まで加熱して、酸化混合物中の所望の濃度の風味化合物を得る方法が開示されている。また、特許文献7には、1種の脂肪酸又は2種以上の脂肪酸混合物を酸素の存在で150〜475℃の温度に処理し、生成処理脂肪酸又はそこから蒸留した揮発物を集めることを特徴とするフレーバー付与組成物の製造方法が開示されている。特許文献8には、動植物油脂と水との混合物を、酸素の存在下、100〜130℃の加熱条件下に還流しながらフレーバーを生成させ、排気される酸素に伝搬されて揮散するフレーバー混合物を脂肪酸トリグリセリド溶液中に収集することを特徴とするフレーバー付与剤の製造方法が開示されている。さらに、特許文献9には、一旦酸化処理した油脂から減圧蒸留法、水蒸気蒸留法あるいは減圧水蒸気蒸留法などの方法により低沸点成分を除去した蒸留残渣を呈味剤とする方法が開示されている。
しかし、これら特許文献6〜9には、実質的にトランス脂肪酸を含まず満足な硬化油様の風味を付与する方法およびその有効成分や組成物に関する知見は開示されていない。
一方、特許文献10には、バター様フレ−バを有する濃縮フレーバの付与法として、特定のアルデヒドを含有する酸化されたバターの製造物が開示されている。また、特許文献11には、バター類似の風味が得られる香味料組成物として、ω−3非共役性二重結合系を持つ少なくとも1種類のポリ不飽和脂肪酸を、0.01重量%以上含む脂肪酸及び脂肪酸誘導体またはこれら混合物の酸化による香味料組成物として硬化大豆油を酸化させたグリセリド脂肪が開示され、バター類似の風味が得られることが示されている。また、これら酸化脂肪の揮発分を高真空脱気法で回収した事例が開示されているが、硬化油様の風味を得るためには、不十分なものであった。特に硬化油の酸化によりバター様の風味が得られるとあるが、実施例の揮発成分組成において、青臭さ(液体油臭)の要因である2,4−デカジエナールの含有比率が高く、果実様香気の要因であるヘプタナールやオクタナールなどの含有比率が低いため、硬化油風味の質としては改善の余地がある。
特開2008−271818号公報 特開2010−99037号公報 特開2009−89684号公報 特表2010−504753号公報 国際公開第2008/032852号 特開平4−229151号公報 特開平1−23871号公報 特開平8−131116号公報 特開2007−110984号公報 特開昭64−39962号公報 特表平8−511691号公報
本発明の目的は、実質的にトランス脂肪酸を含有せずに硬化油由来の好ましい風味を付与することが可能で安価な硬化油風味付与剤並びに好ましい硬化油風味を有する油脂組成物及びそれを利用した食品を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定量のトランス酸を含む硬化油脂と、酸素を含む気体とを接触させてなる硬化油風味成分含有気体から回収して得られる、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)と炭素数8〜9の一不飽和アルデヒド(B)をそれぞれ10ppm以上、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を1ppm以上含有し、且つ、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量の重量比が2以上である風味付与剤を添加することで、実質的にトランス脂肪酸を含まずとも硬化油由来の好ましい風味を持つ油脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、硬化油風味付与剤全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を10〜100000ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を10〜100000ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を1〜100000ppm含有し、且つ、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2以上である硬化油風味付与剤に関する。好ましい実施態様は、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が5以上である上記記載の硬化油風味付与剤に関する。また、好ましい実施態様は、硬化油風味付与剤全体中、液状油を99重量%以上含有する上記記載の硬化油風味付与剤に関する。また、好ましい実施態様は、100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を、液状油と接触させて前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を前記液状油中に回収して得られる上記記載の硬化油風味付与剤に関する。より好ましい実施態様は、前記液状油の構成脂肪酸全体中、2個以上の2重結合を有する不飽和脂肪酸含量が15重量%以下である上記記載の硬化油風味付与剤に関する。更に好ましい実施態様は、前記液状油が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハイオレイック油、10℃のSFCが10%以下のパーム由来油からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記記載の硬化油風味付与剤に関する。また、好ましい実施態様は、100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を冷却することにより、前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を液化又は固化して回収される上記記載の硬化油風味付与剤に関する。より好ましい実施態様は、液化又は固化して回収された後、液状油と混合してなる上記記載の硬化油風味付与剤に関する。
本発明の本発明の第二は、上記記載の硬化油風味付与剤を含有してなる油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を2〜40ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.5〜15ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を2〜5ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2以上であり、さらにトランス酸含量が5重量%以下の加熱調理用である上記記載の油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、上記記載の硬化油風味付与剤を、油脂組成物全体中0.005〜5重量%含有する上記記載の加熱調理用の油脂組成物に関する。また、好ましい実施態様は、油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を0.03〜0.20ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.03〜0.12ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を0.02〜0.09ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2以上であり、さらにトランス酸含量が5重量%以下のマーガリン用である上記記載の油脂組成物に関する。更に好ましい実施態様は、上記硬化油風味付与剤を、油脂組成物全体中0.00001〜0.05重量%含有する上記記載のマーガリン用の油脂組成物に関する。
本発明の第三は、100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を、液状油と接触させることにより、前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を前記液状油中に回収することを特徴とする硬化油風味付与剤の製造方法に関する。
本発明の第四は、100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を冷却することにより、前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を液化又は固化して回収することを特徴とする硬化油風味付与剤の製造方法に関する。
本発明の第五は、100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を、液状油と接触させるか、又は冷却により液化又は固化して回収した硬化油風味付与剤と、液状油を混合することを特徴とする硬化油風味油脂組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、実質的にトランス脂肪酸を含有せずに硬化油由来の好ましい風味を付与することが可能で安価な硬化油風味付与剤並びに好ましい硬化油風味を有する油脂組成物及びそれを利用した食品を提供することができる。
本発明の硬化油風味付与剤は、該硬化油風味付与剤全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)、及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を、それぞれ特定量ずつ含有し、且つ、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が特定値以上である。
前記炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)及び炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)の含量は、硬化油風味付与剤全体中にそれぞれ10〜100000ppmであることが好ましく、より好ましくは、100〜10000ppmである。前記炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)や炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)の含量が10ppm未満の場合には、好ましい硬化油風味が得られにくい場合があり、100000ppmを超える場合は、好ましい硬化風味を付与するために必要な風味付与剤の量が微量となるため、使用しづらい場合がある。
また、前記炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量は、硬化油風味付与剤全体中に1〜100000ppmが好ましく、より好ましくは10〜13000ppmであり、更に好ましくは10〜1000ppmである。前記炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量が1ppm未満の場合には、好ましい硬化油風味が得られにくい場合があり、100000ppmを超える場合は、好ましい硬化風味を付与するために必要な風味付与剤の量が微量となるため、使用しづらい場合がある。
更に、前記〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)は、2以上が好ましく、より好ましくは5以上である。前記〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2未満では、好ましい硬化油風味が得られにくい場合がある。また、前記〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)は大きいほどよいが、実施のし易さなどの点から50以下が好ましい。
更に、本発明の風味付与剤には、アルコール類、ケトン類、上記(A)、(B)、(C)以外のアルデヒド類、炭化水素類、脂肪酸類などを含んでも良い。これらの成分の風味付与剤中の含量は特に制限されるものではないが、上記アルデヒド(A)、(B)、(C)と同程度以下であることが好ましい。
また、本発明の硬化油風味付与剤は、該硬化油風味付与剤全体中、後述の硬化油風味成分含有気体と接触させるのに用い得る液状油を99重量%以上含有することが、加工油脂製品に添加する際に取り扱い易くなることから好ましい。
上記のような本発明の硬化油風味付与剤は、硬化油と該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体を接触させた後の気体から、酸化反応により生成した、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)、及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)などの風味成分を回収することにより得られる。
本発明で用いる硬化油は、特定量のトランス酸を含む部分硬化油であり、トランス脂肪酸含量が5〜95重量%であることが好ましい。硬化油のトランス脂肪酸含量が前記の範囲を外れると、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量や、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が本発明の範囲を外れ、好ましい硬化油風味が得られにくい場合がある。
また、前記硬化油の沃素価は、30〜100が好ましい。
更に、前記硬化油の融点は、10〜60℃が好ましい。
上記のような硬化油の具体例としては、例えば、硬化大豆油、硬化菜種油、硬化魚油、硬化パーム油、硬化パーム軟質油、硬化綿実油、硬化ピーナッツ油、硬化向日葵油、硬化コーン油、硬化サフラワー油、硬化米油、硬化ラード、硬化牛脂などが挙げられ、これらの群から選ばれる1種以上を用いることができる。
前記硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体としては特に限定されるものではないが、コストや利便性の観点からは乾燥空気が好ましく用いられる。
前記硬化油と接触させる乾燥気体の量は、該硬化油を酸化させるのに必要な量であり、具体的には、例えば乾燥空気の場合であれば、硬化油に対し1分間に1体積%以上が好ましい。
前記乾燥気体との接触時の硬化油は、100〜250℃の温度に保温しておくことが好ましく、120〜200℃がより好ましく、150〜180℃が更に好ましい。乾燥気体との接触時の硬化油の温度が100℃未満であると、硬化油の酸化が進みにくく、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)、及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量や、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が本発明の範囲から外れる場合がある。また、乾燥気体との接触時の硬化油の温度が250℃を超えると、発煙加熱分解する場合がある。
前記硬化油と乾燥気体とを接触させる方法としては、パイプやホースなどを用いて乾燥気体を前記パイプやホースなどの先端から硬化油中に噴出させて硬化油と接触させる方法(バブリング)、多孔質膜を通して乾燥気体を硬化油中に分散する方法などが挙げられる。これらの方法の中でも、実施の容易さやコストの面から、バブリングにより接触させる方法が好ましい。
硬化油と乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体から硬化油風味成分を回収して硬化油風味付与剤を製造する方法としては、例えば、(1)前記硬化油風味成分含有気体を液状油と接触させて該液状油中に硬化油風味成分含有気体中の硬化油風味成分を回収する方法、(2)前記硬化油風味成分含有気体を冷却することにより、硬化油風味成分含有気体中の硬化油風味成分を液化又は固化して回収する方法、などが挙げられる。
前記(1)の、硬化油風味成分含有気体を液状油と接触させる方法としては、前記硬化油と乾燥気体とを接触させる方法と同様に、硬化油風味成分含有気体を液状油中に噴出させて接触させる方法(バブリング)、多孔質膜を通して乾燥気体を液状油中に分散する方法などが挙げられる。これらの方法の中でも、実施の容易さやコストの面から、バブリングにより接触させる方法が好ましい。
硬化油と乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を液状油と接触させて硬化油風味成分含有気体中の硬化油風味成分を前記液状油中に回収することで硬化油風味付与剤を製造する具体的な方法としては、例えば、所定の温度に保温した硬化油に所定量の乾燥空気を所定の時間吹き込むバブリングにより油脂と接触した後の硬化油風味含有気体を、所定の温度に温調したトラップ管中の液状油脂にバブリングする方法が挙げられる。前記硬化油風味成分含有気体をバブリングにより液状油と接触させる際のトラップ管中の液状油の温度は、30℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましく、−10℃以下が更に好ましい。前記接触の際の液状油の温度が30℃より高いと、トラップされる風味成分が少なくなったり、(C)成分が多くなり過ぎる場合がある。
また、本発明で用いる液状油としては、例えば、菜種油、大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、「MCT」と略記することもある。)、ハイオレイック向日葵油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイック紅花油などのハイオレイック油、10℃のSFCが10%以下、より好ましくは5%以下のパーム由来油などが挙げられる。本発明において、前記SFCは、「油脂基準分析試験法、2.2.9−2003 固体脂含量(NMR法)」により測定される値である。なお、液状油として菜種油や大豆油などの酸化安定性が低い油脂を用いる場合には、例えば、トコフェロールなどの抗酸化剤を併用することが好ましい。また、液状油としてパーム由来油を用いる場合には、SFCが大きいほど粗結晶が発生しやすいことから、結晶抑制効果のあるポリグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤を併用することが好ましい。
また、本発明で用いる液状油は、構成脂肪酸全体中、2個以上の2重結合を有する不飽和脂肪酸含量が15重量%以下であることが好ましい。前記不飽和脂肪酸が15重量%以下の液状油であれば、加熱油脂に接触させた乾燥気体に含まれる硬化油の好ましい風味成分を液状油に付与する処理の間に、好ましくない風味を生じない。一方、前記不飽和脂肪酸が15重量%を超える場合は、(C)成分の二価不飽和アルデヒドが増加する場合があり、好ましい硬化油風味付与剤が得られない場合がある。
また、前記(2)の、硬化油と乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体中の硬化油風味成分を液化又は固化して回収して風味付与剤を製造する具体的な方法としては、所定の温度に保温した硬化油に所定量の乾燥空気を所定の時間吹き込み、油脂と接触した後の硬化油風味成分含有気体を、所定の温度に温調したトラップ管に通して管内に凝縮した風味成分を回収して風味付与剤とする。更に、前記回収した風味成分を液状油で希釈した風味付与剤としてもよい。
上記のような本発明に係る風味付与剤は、各種油脂組成物に用いることで、それら油脂組成物に好ましい硬化油風味を付与することができる。油脂組成物としては、例えば、フライ用などに用いられる加熱調理油、折り込み用(ロールイン用)、練り込み用などに用いられるマーガリン(可塑性油脂組成物)、マヨネーズなどの酸性水中油型乳化油脂組成物、ホイップドクリーム用起泡性乳化油脂組成物、カスタードクリーム、コーヒークリームなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記のような各種油脂組成物に用いる硬化油風味付与剤量、即ち硬化油風味成分量は特に限定されるものではなく、油脂組成物の種類や、該油脂組成物が用いられる食品の種類などにより適宜決定すればよい。
例えば、加熱調理用油脂組成物の場合には、油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を2〜40ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.5〜15ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を2〜5ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2以上であることが好ましい。炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)、及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量や、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が前記の範囲を外れると、好ましい硬化油風味を有する加熱調理用油脂組成物を得ることが難しくなる。
また、加熱調理用油脂組成物におけるトランス酸含量は少ないほど好ましく、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%である。本発明の硬化風味付与剤を用いることで、トランス酸含量の少ない油脂を原料として、好ましい硬化油風味を有する加熱調理用油脂を得ることができる。
上記のような硬化油風味成分を有する加熱調理用油脂組成物は、硬化油風味付与剤を、加熱調理用油脂組成物全体中0.005〜5重量%含有させることで得ることができる。
また、折り込み用や練り込み用のマーガリン(可塑性油脂組成物)の場合には、油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を0.03〜0.20ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.03〜0.12ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を0.02〜0.09ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が2以上であることが好ましい。炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)、及び炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)の含量や、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が前記の範囲を外れると、好ましい硬化油風味を有する可塑性油脂組成物を得ることが難しくなる。
また、可塑性油脂組成物におけるトランス酸含量は少ないほど好ましく、5重量%以下が好ましく、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%である。本発明の硬化風味付与剤を用いることで、トランス酸含量の少ない油脂を原料として、好ましい硬化油風味を有する可塑性油脂組成物を得ることができる。
上記のような本発明の可塑性油脂組成物は、本発明の風味付与剤を、油脂組成物全体中0.00001〜0.05重量%含有させることで、常法により製造することができる。
また、本発明の硬化油風味付与剤は、これをそのまま食品に用いても良い。本発明の硬化油風味付与剤やこれを含む油脂組成物は、種々の食品に用いることができる。食品としては、例えば、フライ類などの揚げ物類、炒め物類、パン類、菓子類などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<GC−MSによる風味成分の定量法>
サンプル注入およびGC−MS分析は、加熱脱着冷却インジェクションシステムTDS(ゲステル社)およびガスクロマトグラフ6890およびマススペクトロメトリー5973(アジレント社)を用い、各サンプル10mgを使用し、熱抽出分析により行った。詳細な分析条件を以下に記載する。
サンプルは、ゲステル社製TDS用ガラスチューブに直接サンプリングし、加熱脱着TDSおよび冷却インジェクションCISにより、ガスクロマトグラフに供し、マススペクトロメトリーで含まれている成分を検出した。定量は、ヘキサデカン1ppmを内部標準としてサンプルに添加し、各成分と内部標準の面積値から含有量を算出して行った。尚、サンプルは必要に応じて精製直後の油脂などに希釈し、希釈後の含有量から元の含有量を算出した。
◆TDS条件
・トランスファーライン温度:250℃
・初期温度および保持時間:20℃、1分
・昇温速度:60℃/分
・最終温度および保持時間:240℃、5分
◆CIS条件
・初期温度および保持時間:−100℃、1分
・昇温速度:12℃/秒
・最終温度および保持時間:240℃、10分
◆ガスクロマトグラフ条件
・カラム:INNOWAX 60m×0.25mm×0.25μm
・一次昇温速度:3℃/分
・一次最終温度および保持時間:100℃、0分
・二次昇温速度:5℃/分
・二次最終温度および保持時間:240℃、30分
・ガス流量:1.8ml/分
・トランスファーライン温度:240℃
◆マススペクトロメトリー条件
・イオン源温度:230℃
・四重極温度:150℃
(実施例1〜2、比較例1〜2) 風味付与剤の作製
1L容量の三つ口フラスコに入れた硬化大豆油(融点:40℃、沃素価:70、トランス脂肪酸:44重量%)2500gを、マントルヒーターを用いて180℃に加熱し、これに内径1mmのガラス管を用いて乾燥空気を300ml/分で1時間吹き込み、硬化大豆油中に生じた気泡が油中を浮上しながら硬化大豆油と接触した後、油液面から放出された硬化油風味成分含有空気を、内径1mmのガラス管を介して、0℃に温調した100ml容量のトラップ管に通し、該トラップ管内に凝縮した風味成分を回収し、表1に示す風味付与剤1(実施例1)を得た。
表1に従って、風味付与剤1をさらに、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)で100倍(実施例2)、1万倍(比較例1)、10万倍(比較例2)に希釈し、風味付与剤2(実施例2)、風味付与剤3(比較例1)、風味付与剤4(比較例2)を得た。
(実施例3) 風味付与剤の作製
1L容量の三つ口フラスコに入れた硬化大豆油(融点:40℃、沃素価:70、トランス脂肪酸:44重量%)2500gを、マントルヒーターを用いて180℃に加熱し、これに内径1mmのガラス管を用いて乾燥空気を300ml/分で1時間吹き込み、硬化大豆油中に生じた気泡が油中を浮上しながら硬化大豆油と接触した後、油液面から放出された硬化油風味成分含有空気を、5℃に温調した100ml容量のトラップ管中のMCT50gに内径1mmのガラス管を用いてバブリングし、その後、トラップ管中の油脂を回収し、表1に示す風味付与剤5を得た。
(実施例4) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、別の硬化大豆油(融点:55℃、沃素価:38、トランス脂肪酸:40重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤6を得た。
(実施例5) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、硬化菜種油(融点:33℃、沃素価:75、トランス脂肪酸:43重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤7を得た。
(実施例6) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、硬化魚油(融点:38℃、沃素価:73、トランス脂肪酸:30重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤8を得た。
(実施例7) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、別の硬化大豆油(融点:17℃、沃素価:91、トランス脂肪酸:25重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤9を得た。
(実施例8) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、硬化パーム軟質油(融点:31℃、沃素価:53、トランス脂肪酸:11重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤10を得た。
(比較例3) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、精製大豆油(沃素価:134、トランス脂肪酸:0.6重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤11を得た。
(比較例4) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、精製菜種油(沃素価:112、トランス脂肪酸:0.2重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤12を得た。
(比較例5) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、精製ハイオレイック向日葵油(沃素価:92、トランス脂肪酸:0.2重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤13を得た。
(比較例6) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、精製パーム油(沃素価:49、トランス脂肪酸:2重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤14を得た。
(比較例7) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、精製ラード(沃素価:58、トランス脂肪酸:1.5重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤15を得た。
(比較例8) 風味付与剤の作製
硬化大豆油を、別の硬化大豆油(融点:67℃、沃素価:1、トランス脂肪酸:0.5重量%)に代えた以外は、実施例3と同様にして表1に示す風味付与剤16を得た。
<風味付与剤の風味評価>
実施例1〜8、比較例1〜8で得られた風味付与剤について、以下の方法で風味評価を実施した。
向日葵油100重量部に対し、実施例、比較例で得られた風味付与剤を1重量部添加し、硬化油様の風味を有するかを官能的に評価した。その際の評価基準は以下の通りである。評価結果を、表1に示した。
◎:硬化油風味を有し、向日葵油への添加効果が見られた。
○:僅かに弱いが、十分な硬化油風味を有する。
△:硬化油風味がなく、風味付与組成物の添加効果がない。
×:硬化油風味とは異なる異質な好ましくない風味がある。
Figure 0005879994
(実施例9〜16、比較例9〜16) 加熱調理用油脂組成物の作製
表2の配合に従って、各原料油を混合して、加熱調理用油脂組成物を作製した。
(参考例1) 加熱調理用油脂組成物の作製及び風味評価
加熱調理用油脂組成物の風味評価をする際の標準品として、大豆油とコーン油からなる混合油(重量比:30/70)の硬化油(融点:35℃、ヨウ素価:75、トランス脂肪酸:36重量%)を用い、市販のプレフライ済み冷凍ポテトを180℃で4分間揚げてフライドポテトを作製し、20人の熟練パネラーに食してもらい、実施例、比較例の油脂組成物を用いて作製したフライドポテトの風味評価基準とした。
<加熱調理用油脂組成物の評価>
実施例9〜16、比較例9〜16で得られた各加熱調理用油脂組成物を用いて、市販のプレフライ済み冷凍ポテトを180℃で4分間揚げてフライドポテトを作製し、20人の熟練パネラーに食してもらい、その風味を以下の基準で点数化し、その平均値を評価値とした。それらの結果を表2にまとめた。
5点:参考例1と同等の硬化油風味を有する。
4点:参考例1より僅かに弱いが、十分な硬化油風味を有する。
3点:参考例1より少し硬化油風味が弱い。
2点:参考例1より硬化油風味が弱い。
1点:参考例1より著しく硬化油風味が弱い。
Figure 0005879994
(実施例17〜23、比較例17〜22) ロールイン用可塑性油脂組成物の作製
表3に示す配合に従って、以下のようにロールイン用可塑性油脂組成物を作製した。
エステル交換油脂A、エステル交換油脂B、精製菜種油を配合した混合油に、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンをそれぞれ0.1重量部加え、60℃とした油相部を準備した。一方、水相部として、食塩を溶解した水に、バターフレーバ及び硬化風味付与剤を加えて乳化液を得た。この乳化液を80℃で殺菌した後、60℃まで予備冷却して水相部を準備した。そして、60℃に調温した油相部に対して60℃に調温した水相部を添加後、攪拌混合して得られた乳化液を常法に従い急冷捏和して、各実施例及び比較例のロールイン用可塑性油脂組成物を得た。
(参考例2) ロールイン用可塑性油脂組成物の作製
エステル交換油脂A、Bを大豆硬化油(融点40℃、トランス脂肪酸:44重量%)に変更し、且つ風味付与剤を配合しない以外は、表3に示す配合により、実施例17〜23、比較例17〜22と同様にしてロールイン用可塑性油脂組成物を作製した。
<ロールイン用可塑性油脂組成物を用いたクロワッサンの風味評価>
表4に示す配合により、実施例17〜23、比較例17〜22及び参考例2のロールイン用可塑性油脂組成物を用いてクロワッサンを作製した。
まず、表4に示す材料の内、可塑性油脂組成物以外の材料を縦型ミキサーにて混合して得たパン生地を、30分間のフロアータイム後に5℃まで冷却し、15℃に温調しておいた各可塑性油脂組成物を3つ折りで3回折り込んで成型し、35℃のホイロに60分間置いた後、200℃のオーブンで17分間焼成してクロワッサンを得た。
得られたクロワッサンを20人の熟練パネラーに食してもらい、その風味を以下の基準で点数化し、その平均値を評価値とした。それらの結果を表3にまとめた。
5点:参考例2と同等の硬化油風味を有し、風味付与剤の添加効果が見られた。
4点:参考例2より僅かに弱いが、十分な硬化油風味を有する。
3点:参考例2より硬化油風味が弱い。
2点:硬化油風味がなく、風味付与剤の添加効果がない。
1点:硬化油風味とは異なる異質な好ましくない風味がある。
Figure 0005879994
Figure 0005879994
(実施例24〜25、比較例23) 練り込み用可塑性油脂組成物の作製
表5に示す配合に従って、以下のように練り込み用油脂組成物を作製した。エステル交換油脂B及び精製菜種油を配合した混合油に、乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステル及びレシチンをそれぞれ0.1重量部ずつ加え、60℃とした油相部を準備した。一方、水相部として、食塩を溶解した水に、バターフレーバー及び風味付与剤を加えて乳化液を得た。この乳化液を80℃で殺菌した後、60℃まで予備冷却し、水相部を準備した。そして、60℃に調温した油相部に対して60℃に調温した水相部を添加後、攪拌混合して得られた乳化液を常法に従い急冷捏和して、各実施例及び比較例練り込み用可塑性油脂組成物を得た。
(参考例3) 練り込み用可塑性油脂組成物の作製
エステル交換油脂Bを大豆硬化油(融点33℃、トランス脂肪酸:43重量%)に変更した以外は、表5に示す配合に従って、実施例24〜25及び比較例23と同様にして練り込み用可塑性油脂組成物を得た。
<練り込み用可塑性油脂組成物を用いたクッキーの評価>
表6に示す配合に従って、以下のようにして実施例、比較例及び参考例の練り込み用可塑性油脂組成物を用いてクッキーを作製した。
先ず、表6に示す材料の内、練り込み用可塑性油脂組成物と砂糖を縦型ミキサーにて混合後に全卵を入れて均一に混合し、更に薄力粉を入れて纏まるまで混合して得た生地を、成型後、200℃のオーブンで14分間焼成してクッキーを得た。
得られたクッキーを20人の熟練パネラーに食してもらい、風味を点数化し、平均値を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示す。
5点:参考例3と同等の硬化油風味を有する。
4点:参考例3より僅かに弱いが、十分な硬化油風味を有する。
3点:参考例3より少し硬化油風味が弱い。
2点:参考例3より硬化油風味が弱い。
1点:参考例3より著しく硬化油風味が弱い。
0点:硬化油風味が全く感じられない。
Figure 0005879994
Figure 0005879994
以上の実施例、比較例から、本発明により、実質的にトランス脂肪酸を含有せずに、油脂組成物やそれを利用した食品に好ましい硬化油風味を付与すること出来ることが分かった。

Claims (12)

  1. 硬化油風味付与剤全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を10〜100000ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を10〜100000ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を1〜100000ppm含有し、且つ、〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が以上である硬化油風味付与剤。
  2. 硬化油風味付与剤全体中、液状油を99重量%以上含有する請求項に記載の硬化油風味付与剤。
  3. 液状油の構成脂肪酸全体中、2個以上の2重結合を有する不飽和脂肪酸含量が15重量%以下である請求項に記載の硬化油風味付与剤。
  4. 液状油が、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハイオレイック油、10℃のSFCが10%以下のパーム由来油からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項の何れかに記載の硬化油風味付与剤。
  5. 請求項1〜の何れかに記載の硬化油風味付与剤を含有してなる油脂組成物。
  6. 油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を2〜40ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.5〜15ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を2〜5ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が以上であり、さらにトランス酸含量が5重量%以下の加熱調理用である請求項記載の油脂組成物。
  7. 請求項1〜の何れかに記載の硬化油風味付与剤を、油脂組成物全体中0.005〜5重量%含有する請求項に記載の油脂組成物。
  8. 油脂組成物全体中に、炭素数7〜8の飽和アルデヒド(A)を0.03〜0.20ppm、炭素数8〜9の一価不飽和アルデヒド(B)を0.03〜0.12ppm、炭素数7〜10の二価不飽和アルデヒド(C)を0.02〜0.09ppm含有し、且つ〔アルデヒド(A)含量+アルデヒド(B)含量〕/アルデヒド(C)含量(重量比)が以上であり、さらにトランス酸含量が5重量%以下のマーガリン用である請求項記載の油脂組成物。
  9. 請求項1〜の何れかに記載の硬化油風味付与剤を、油脂組成物全体中0.00001〜0.05重量%含有する請求項に記載の油脂組成物。
  10. 100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を、液状油と接触させることにより、前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を前記液状油中に回収することを特徴とする硬化油風味付与剤の製造方法。
  11. 100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を冷却することにより、前記硬化油風味成分含有気体中の風味成分を液化又は固化して回収することを特徴とする硬化油風味付与剤の製造方法。
  12. 100〜250℃で保温したトランス脂肪酸含量が5〜95重量%の硬化油と、該硬化油を酸化させるのに必要な量の酸素を含む乾燥気体とを接触させた後の硬化油風味成分含有気体を、液状油と接触させるか、又は冷却により液化又は固化して回収した硬化油風味付与剤と、液状油を混合することを特徴とする硬化油風味油脂組成物の製造方法。
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