本発明は、シート束を折り手段で折るときに、折り手段と連動して動作する突き当て部材を設け、当該突き当て部材によってシートの折り部を加圧することにより、折り目を断面コの字形に形成し、折り高さを低減することを特徴とする。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成システムは、画像形成装置PRと、画像形成装置PRの後段に設置されたシート処理装置としてのシート後処理装置100とからなる。画像形成装置PRは例えば電子写真プロセスで画像を形成する図示しない画像形成ユニット、及び画像形成ユニットにシートを供給する給紙ユニットを備え、パーソナルコンピュータPCから送信された情報、スキャナで読み取った情報、画像形成装置PR内のハードディスクに格納された情報をシート上に印字若しくは画像形成する機能を有するものである。画像形成ユニットは電子写真プロセスではなくインクジェットなどの液滴吐出方式のものやサーマル方式のものなど、公知の画像形成ユニットが使用される。図1では、画像形成装置PRの装置筐体のシート後処理装置側の外形のみ1点鎖線で示している。
なお、本実施形態では、画像形成装置PRに対してシート後処理装置100を別体に構成し、シート後処理装置100を画像形成装置PRの後段に連結した例を例示しているが、両者を一体に構成することも可能である。また、画像形成装置PRは、複写機、あるいは複写機、プリンタ、ファクシミリなどの機能を複合して備えたデジタル複合機でもよい。
シート後処理装置100は、画像形成装置PRから排出されてきた画像形成済みのシートPを受け入れる第1の搬送経路(入口搬送路)1と、シートPを排紙(プルーフ)トレイ22に積載するための第2の搬送経路2と、シートPを中間積載する第3の搬送経路3と、第3の搬送経路3でシート長の中央部を中綴じされたシート束PBを紙折部へと搬送する第4の搬送経路4を有する。
第1の搬送経路1には、入口ローラ10と入口センサ13が配置され、入口センサ13はシートがシート後処理装置100内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流には用紙穿孔ユニット101が設置されており、その下流には第1及び第2の搬送ローラ11,12がこの順で搬送方向に沿って配置され、第1及び第2の搬送ローラ11,12によって用紙Pは第3の搬送経路3へ搬送される。
第2の搬送経路2はシートを排紙トレイ22へ搬送する経路であり、第1の搬送経路1から上方に分岐しており、分岐点には分岐爪20が設けられている。第1の搬送経路1から分岐爪20によって進行方向を変えられたシートPは第1の搬送ローラ11から排出ローラ21を経て排紙トレイ22へと搬送される。
第3の搬送経路3には排紙従動ローラ31、排紙駆動ローラ33及び排紙センサ35が配置されている。ソートモード時は、シフト機構を有する第2の搬送ローラ12が図示しない駆動手段により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによってシートPは一定量シフトし、排紙駆動ローラ33により排紙トレイ32に排出され、順次スタックされていく。排紙トレイ32への排出口部は、排紙駆動ローラ33と排紙従動ローラ31によってシートP又はシート束PBを挟持し、シートP又はシート束PBに搬送力を与えて排出する。この排出動作は、排紙従動ローラ31を備えた排出ガイド31aの排紙駆動ローラ33に対する接離動作によって、シートP又はシート束PBを挟持し、排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択可能となっており、シートPのシフト動作が完了した後、排出ガイド31aを動作させて排紙従動ローラ31と排紙駆動ローラ33間にシートPを挟持させ、これによりシートPは排紙トレイ32に排出される。
排紙口上方付近には、フィラー34が設けられており、シートPが排紙トレイ32上にスタックされたときのシートPの中央付近位置に先端が当接するように基端側が回動自由にシート後処理装置100に取り付けられている。フィラー34の基端付近には、フィラー34の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(不図示)が設けられ、これらによりスタックシートの紙面高さを検知している。
排紙トレイ32上の堆積枚数の増大によりシートの高さが上昇するに従って、上面検知センサがONすると、図示しない制御部は排紙トレイ32を上下動させる駆動手段(不図示)を制御して排紙トレイ32を下降させる。排紙トレイ32が下降し上面検知センサがOFFすると、排紙トレイ32の下降を停止する。この動作を繰り返し、排紙トレイ32が規定のトレイ満杯高さまで達すると、シート後処理装置100から画像形成装置PRに停止信号を出力し、画像形成装置PRの画像形成動作を停止させる。
第3の搬送経路3には、ステープルトレイ36と叩きローラ30が配置され、第3の搬送経路3の終端位置には紙面と直交する方向へ進退するドライバ、クリンチャとで分割されたステープラ41が配置されている。さらに、前記終端位置手前には、紙面と直交する方向に進退してステープルトレイ36上のシートを整合するジョガーフェンス37,38が設けられている。第3の搬送経路3に搬送されてきたシートはステープルトレイ36上に排出され、ジョガーフェンス37,38によって幅方向位置を揃えられる。
また、叩きローラ30は、振り子運動を行ってシート上面に当接することによってステープラ41方向にスイッチバックし、基準フェンス39,40にシート後端を突き当てることによりシート束の縦方向位置(搬送方向の位置)を揃える。このようにして揃えられたシート束PBは、端綴じモード時はステープラ41がシート束PBの後端に沿って移動してシート束PBの下縁部の適所を綴じる。綴じられたシート束PBは、排紙従動ローラ31及び排紙駆動ローラ33が挟持し、搬送力を付与することにより排紙トレイ32上に排紙される。
中綴じモードではシートP又はシート束PBの揃えとステープルが完了した後、シート束PBはクランプ可動フェンス120,121によってシート後端を挟持され、基準フェンス39,40はシート束PB搬送の邪魔とならないようシート幅の外側に待避する。クランプ可動フェンス120,121は、装置側板外に配置されたクランプ縦軸106に取り付けられ、縦方向(上下方向)、及び湾曲した第4の搬送経路4に沿って横方向(水平方向:図1左右方向)に移動する。
クランプ可動フェンス120,121は縦方向についてはクランプ縦軸106によって移動し、横方向については第4の搬送経路4の湾曲した軌跡と同一の軌跡である装置側板にあるガイドレール110に沿って移動し、シート束PBを搬送経路4に沿って搬送する。シート後端が挟持されたシート束PBはガイドレール110の軌道に沿ってシートサイズに対応した所定位置まで搬送され、シート束長センタ部の適所を中綴じされる。シートサイズに対応した所定位置はクランプ可動フェンスホームポジションセンサ49より所定パルス送られた位置である。
中綴じされたシート束PBは、クランプ可動フェンス120,121によりさらに下方
へ搬送され、シートサイズ長の中央部が折りブレード203の位置になるところで停止し、折り工程へ移行する。停止位置は、シート後端を折り位置センサ50が検知し、シートサイズに対応した所定パルス送られた位置である。次いで、折り位置に停止したシート束長の中央部を折りブレード203と搬送ローラ206,207により、プレス折り部200へ導入する。
プレス折り部200では、詳細は後述するが、導入されたシート束長のセンタ部を上下のプレス板219,220により、上下からプレスし、プレス位置を移動させることにより中折りする。このとき、突き当て部材301をシート束PBの折り先端部Wに突き当てて折りを施す。中折りされたシート束PBは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58によって中綴じトレイ62上に排紙される。なお、突き当て部材301は、用紙搬送方向と直交するシート幅方向の全幅でシート束の折り先端部が突き当たることができるシート幅方向の寸法を有する。言い換えれば、シートの最大幅方向のサイズ以上の奥行き寸法(長手方向の寸法)を有する。
中綴じトレイ62に排出されたシート束PBはシート押さえ60に取り付けられたシート押さえコロ61によって押さえられ、折られたシート束PBが膨らんで次に排出されるシート束排出の邪魔にならないようになっている。
シート穿孔ユニット101と搬送経路4を有する中折りユニット119は着脱可能な構成となっており、使用者のニーズに応じたシート後処理装置の提供が可能である。
図2はプレス折り部の斜視図、図3はプレス折り部を装置前面側から見た正面図である。プレス折り部200は中折りユニット119に設けられ、プレス板駆動カム201、折りブレード駆動カム202、折りブレード203、折りブレード支持棒204、装置前後側の両側板205を有する。折りブレード駆動カム202が回転すると折りブレード支持棒204が遊びを持って嵌められた(以下、「遊嵌」と称す。)カム溝202aの回転と側板205の水平溝205aとの関係により、折りブレード支持棒204が水平溝202c(図5参照)に沿って水平移動し、折りブレード203が矢印Q方向に移動する(図9参照)。これによりシート束PBのシート長のセンタ部をプレス折り折り部200へ誘導する。
図4は図2においてプレス板駆動カム201、折りブレード駆動カム202及び側板205を外した状態を示す図、図5は図4を装置前面側から見た正面図である。
これらの図において、プレス部折り部200は搬送ローラ206,207、移動プレート208、プレスガイドローラ211,212、プレス圧解除カム209,210を備えている。折りブレード203によってプレス折り部200へ誘導されたシート束PBが搬送ローラ206,207によってシート束PBの折り先端P部Wをプレス折り部200まで搬送する。移動プレート208が移動することにより移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212及びプレス圧解除カム209,210がシート搬送方向(矢印Q方向)に移動し、移動プレート208の往復動に伴ってプレスガイドローラ211,212及びプレス圧解除カム209,210も往復移動する。移動プレート208はプレス板駆動カム201に遊嵌されたピン208aによって水平方向に駆動される。
すなわち、図4に示す移動プレート208に設けられたピン208aが移動プレート208の図において内側でプレス板駆動カム201の螺旋状のカム溝201aに遊嵌され、プレス板駆動カム201の回転に従ってカム溝201aに対してカムフォロワとして機能し、水平方向に移動する。これにより移動プレート208がピン208aと同じ軌跡で矢印Q方向及び反矢印Q方向に往復移動する。
また、移動プレート208にはプレス圧解除カム209、210が固定され、移動プレート208の移動の移動に伴って一体に移動する。他方、図5に示すようにプレスガイドローラ211,212の軸端も移動プレート208の溝208b,208cに遊嵌され、移動プレート208の矢印Q方向の移動に伴って、プレスガイドローラ211,212がプレス板219,220上を同方向に移動し、プレス板219,220のニップを後述の図10で説明するようにして移動させ、シート束PBに折りを施す。
なお、プレス板駆動カム201及び折りブレード駆動カム202の駆動機構は、図示しない折り駆動モータ、折り駆動モータタイミングベルト、折り駆動プーリ、折り駆動部タイミングベルト、折りブレード駆動ギヤ、及びプレス板駆動ギヤ等から構成されている。前記各要素から構成された駆動機構では、折り駆動モータが回転すると、折り駆動モータの回転軸の駆動力がプーリを介して折り駆動モータタイミングベルトに伝達され、さらに、折り駆動プーリから折り駆動部タイミングベルトに伝達され、折りブレード駆動ギヤが折りブレード駆動カムを回転駆動し、プレス板駆動ギヤがプレス板駆動カムを回転駆動する。折りブレード駆動ギヤとプレス板駆動ギヤは同一の折り駆動部タイミングベルトに噛合し駆動されるので、両者は確実に同期駆動される。
また、折りブレード駆動カム202の螺旋状のカム溝202aを図5に示した折りブレード203と一体の軸204が移動し、折りブレード203が折りブレード駆動カム202のステー202bに設けた水平溝202cに沿って水平方向に移動できるようにしてある。すなわち、前記軸204の両端部が折りブレード駆動カム202の螺旋状のカム溝202aに遊嵌されるとともに折りブレード203がシートに対して前記水平溝202cに沿った移動のみ許容されていることから、折りブレード駆動カム202の回転運動が折りブレード203の直線往復運動に変換される。
図6は図4から移動プレート208を外した状態を示す斜視図、図7は図6の点線部分Hを拡大して示す装置前面側から見た正面図である。
図6及び図7において、シート搬送路を挟んで上方と下方に位置するプレス上ユニット217とプレス下ユニット218は、互いにユニットコーナの四隅部でスプリングにより圧を掛けた状態にある。待機状態では、移動プレート208内側に設けられたプレス圧解除カム209,210により、プレス上ユニット217とプレス下ユニット218が離れた状態となっており、この状態はシート束PBの折り先端部の受け入れ状態である。
移動プレート208が矢印Q方向に移動すると、移動プレート208に取り付けられているプレス圧解除カム209,210が移動し、プレス上ユニット217の圧解除ローラ213,215及びプレス下ユニット218の圧解除ローラ214,216がプレス圧解除カム209,210の傾斜面により、矢印A及びBの方向に移動することにより、シート束PBの折り部先端P1をプレスしていく。
図8は図3のプレスユニット内部を示す図、図9は図8を装置前面側から見た正面図である。
図8及び図9において、プレスユニット内部には上プレス板219及び下プレス板220がプレス上ユニット217及びプレス下ユニット218にそれぞれ設けられ、プレス圧解除カム209,210の移動により、上下のプレスユニット217,218と連動して上プレス板219が矢印A方向、下プレス板220が矢印B方向に移動する。この移動により、シート束PBは上下のプレス板219,220によって挟まれ、折りが施される。
移動プレート208に接続されているプレスガイドローラ211,212は移動プレート208の矢印Q方向移動と連動して上下のプレス板219,220の上を移動する。この移動により、上下のプレスユニット217,218側面の溝221,222,223,224(図7参照)に沿って移動可能かつ回動可能な上下のプレス板219,220の湾曲形状により、シート束PBの折り部先端P1に向かって折りが施される。このとき、突き当て部材301により、折り先端部を加圧する。
以下、プレス折り部200の各実施例について説明する。なお、以下の実施例におけるプレス折り部200は、これまでに説明した実施形態におけるシート後処理装置100を前提としている。また、各実施例において同一の構成若しくは同等の機能を有する各部には、同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図10及び図11は実施例1における突き当て部材を備えたプレス折り部の詳細と動作を示す図で、図10はプレス折り開始時の状態を示す正面図、図11は突き当て部材による押圧時の状態を示す正面図である。
図10に示すようにプレス折り部200には、搬送ローラ206,207のニップの下流側直後に設けられ、シート束PBを検出するシート検出センサ310と、上下のプレス板219,220と、上プレス板219のシート搬送方向最下流側に突き当て部材301の駆動機構400とが設けられている。駆動機構400は、上プレス板219の動作に連動して突き当て部材301を揺動駆動する機構である。
図10及び図11に示した駆動機構400は、歯車機構によって構成され、中間ギヤであるピニオン402と、このピニオン402にそれぞれ噛み合う駆動側の第1のギヤ403、及び従動側の第2のギヤ401を備えている。この機構では、駆動側の第1のギヤ403の揺動に伴ってピニオン402が回転し、このピニオン402と噛み合う従動側の第2のギヤ401が揺動する。
第1のギヤ403は、上プレス板219のシート搬送方向最下流側の端部に、図において上プレス板219の上方に延びるように設けられている。この第1のギヤ403は、自身のピッチ円が上プレス板219のシート搬送方向最下流側の端部の揺動軌跡と一致するように、かつ、揺動範囲内でピニオン402と噛み合うに足る歯数分だけの長さのギヤとなっている。
第2のギヤ401は軸404によって揺動自在に設置され、ピニオン402の前記第1のギヤ403とピニオン402の軸と挟んで逆側に位置する歯と噛み合うように配置されている。第2のギヤ401も第1のギヤ403と同様に揺動範囲内でピニオン402と噛み合うに足る歯数分だけの長さの扇形のギヤとなっている。第2のギヤ401の軸404には、突き当て部材301の支持部材302が同軸に取り付けられている。支持部材302は板状の部材であり、突き当て部材301をシートの幅方向で支持する。なお、第2のギヤ401は本実施例では扇形となっているが、円板形の通常形態のギヤ(円形のピッチ円を有するギヤ)でもよいことはいうまでもない。
前述のように図10はプレス折り開始時の状態を示し、この状態で第1のギヤ403の下端部がピニオン402に噛み合い、第2のギヤ401の上端部がピニオン402に噛み合っている。そして、突き当て部材301は、シート束PBの折り先端部Wから離れた位置に位置している。図11は突き当て部材による押圧時の状態を示し、この状態で第1のギヤ403の上端部がピニオン402に噛み合い、第2のギヤ401の下端部がピニオン402に噛み合っている。そして、突き当て部材301の平面状の突き当て面301aが、シート束PBの折り先端部Wに突き当たって加圧する位置に位置している。
このような機構で、シート束PBの折り先端部Wに折り目を付ける場合には、図10に示すように、開放されていた上下のプレス板219,220の間に搬送ローラ206,207によって搬送されてきたシート束PBを送り込み、シート検出センサ310によってシート束PBの折り先端部Wを検出した後、所定のタイミングで上下のプレス板219,220を駆動し、シート束PBを上下から挟み込む。そして、上下のプレス板219,220の下流側を閉じるようにしてシート束SBに折りを施す。その際、上プレス板219の閉じ動作に連動して、突き当て板301が図10矢印D1方向に回転し、突き当て面301aによってシート束SBの折り先端部Wを上下のプレス板219,220の端面Kとの間で加圧し、折り先端部Wを平らに成形する。
このようにシート束SBの折り先端部Wを平らに成形するために、本実施例では、折りに関係する各部が図10に示すような寸法関係に設定されている。すなわち、シート検出センサ310と上下のプレス板219,220の搬送方向下流側の端面Kとの間隔を距離Tとすると、突き当て部材301と前記端面Kとの間でシート束PBの折り先端部Wを挟み込み、突き当て部材301で加圧するには、シート束PBの折り先端部Wが端面Kよりも搬送方向下流側に到達している必要がある。そこで、この距離を突き当て量αとすると、この突き当て量αは、シート束PBの折り先端部Wをシート検出センサ310が検出した時点から距離T分シート束PBを搬送し、さらに距離Tを超えて搬送される距離である。
そこで、折りブレード203によって搬送ローラ206,207のニップに押し込まれたシート束PBが搬送ローラ206,207により搬送され、シート束PBの折り先端部Wがシート検出センサ310の位置に到達すると、シート検出センサ310がシート束PBの折り先端部Wを検出し、ONになる。シート検出センサ310がONになると、搬送ローラ206,207は、シート束PBを距離(T+α)だけ搬送した後、停止する。
この状態で、シート束PBの中央部Xを上プレス板219と下プレス板220が挟み込む。上下のプレス板上219,220は、両プレス板の湾曲形状に沿ってシート束PBの搬送方向上流側から、搬送方向下流側の折り先端部Wへと向かって、徐々に挟み込む位置を移動させながら、シート束PBを折り先端部W側に絞り込んでいって加圧していく。加圧する機構は前述の通りである。
図11に示すように上下のプレス板219,220によってシート束PBを挟み込む位置が、折り先端部Wに近い位置Yに達すると、上下のプレス板219,220の挟み込み移動動作は停止する。その際、突き当て量αの分だけシート束SBを多く搬送しているため、シート束PBの折り先端部Wは、端部Kから突き当て量α分だけ突出する。
この加圧動作と並行して、当該動作に応じて上プレス板上219の搬送方向下流側に設けられた第1のギヤ403が下方向(矢印D2方向)に動き、ピニオン402を図示時計回り方向(矢印D3方向)に回転させる。ピニオン402が矢印D3方向に回転すると、第2のギヤラック401が軸404を中心に図示反時計回り方向(矢印D4方向)に回転する。その結果、突き当て部材301が、軸404を中心に図示反時計方向(矢印D1方向)に回転し、シート束PBの折り先端部Wを、上下のプレス板219,220の端面Kに押し付け、シート束PBの折り先端部Wを加圧する。
加圧により、シート束PBの折り先端部Wに折りが施され、折り先端部Wが突き当て面301aの形状に合わせて平坦面に成形されると、上下のプレス板上219,220は互いに上下方向に離れ、シート束SBへの挟持力は解除される。
本実施形態では、図11に示したように突き当て部材301で、シート束PBの折り先端部Wを加圧することにより、折り目を付けたシート束PBの折り先端部Wを平坦にし、これによりシート束SBの折り高さを低減することができる。
図12は、突き当て部材301によって折り先端部Wを成形しない場合(従来の折り方法で成形した場合)のシート束PBの折り状態を示す図、図13は突き当て部材301によって折り先端部Wを成形した場合の折状態を示す図である。折り先端部Wを成形しない場合には、図12のように折り部先端Waは1箇所で折られているが、シート束SBの弾性力により折りが戻り、折り部の反対側が開いてしまい、折り高さR1が高くなってしまうことがある。
これに対して、実施例1のように突き当て部材301によって折り先端部Wを加圧したシート束Pは、折り目がシート搬送方向に対して直交する方向(幅方向)からみて、略コの字形(チャンネル形状)に成形される。すなわち、図13から分かるように折り先端部Wを加圧して平坦面Whとなるように成形するので、上下のプレス板219,220の端面Kとの間で挟まれ、上側と下側でそれぞれ第1及び第2の折り目Wb1,Wb2、Wc1,Wc2が形成される。その結果、第2の折り目Wb2,Wc2が鈍角となり、シート束PBの弾性力が大きく作用しなくなる。そのため、シート束SBの折り部の反対側が開かずに、図12に示すように平坦な状態を維持する。これにより、折り高さR2が高くなることはなく、低い状態を保持することができる。
折り先端部Wの加圧制御は、例えば図14に示す制御構成で実施される。図14は、本実施形態に関係のあるシート後処理装置100の制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置100の制御部は、CPU100−1、メモリ100−2、モータ制御部100−3及びシート検出センサ310を備えている。CPU100−1は図示しないROMとRAMを備え、ROMに格納されたプログラムをRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムで定義された制御を実行する。なお、前記メモリ100−2を前記RAMとして使用することも可能である。
モータ制御部100−3はCPU100−1の指示により図示しない折り駆動モータ及び搬送ローラ206を駆動する搬送モータの駆動を制御する。駆動制御とは、ここでは、ON/OFF制御、正転/逆転制御、及び速度制御を意味する。CPU100−1は、画像形成装置PR本体から送信されてくるシートの枚数、厚さ、サイズなどのシート情報を通信部100−1aで受信し、受信したシート情報に基づき、折り駆動モータの回転速度を制御し、上下のプレス板219,220加圧位置の移動速度を変化させ、無駄な折り処理時間を短縮させる。すなわち、シート枚数が多い場合、シート厚が厚い場合、シートサイズが大きい場合では、シート束に対してシート束を折る圧力の積分値を大きくする必要があるが、そうでない場合には小さくて良い。そこで、シートの枚数、厚さ、サイズなどの情報に基づき、前述のようにして加圧位置の移動速度を制御する。これにより、突き当て部材301が上プレス板219の移動速度(加圧速度と同期)と同期しているので、突き当て部材301の駆動速度も制御することができる。
また、モータ制御部100−3は、搬送モータによって駆動される駆動側の搬送ローラ206を駆動制御し、前記シート束PBの搬送量を制御する。すなわち、シート検出センサ310の検出タイミングをトリガとして前記距離T及び突き出し量αに対応した搬送量(T+α)分だけ搬送する。そして、シート束PBを停止させた後、前述のようにして上下の折りプレート219,220による加圧動作を開始する。
図15は、このような加圧制御の制御手順を示すフローチャートである。
図15に示した加圧制御手順では、まず、シート検出センサがONになるのを待ち、ONになった時点で(ステップS1:YES)、シート検出センサ310と、上下のプレス板219,220の搬送方向下流側の端面Kとの間隔である距離Tと突き当て量αを加算した距離(T+α)だけシート束PBを搬送する(ステップS2)。
次いで、上下のプレス板219,220を折り駆動モータを駆動した加圧し、この動作を並行して突き当て部材301によってシート束PBの折り先端部Wに圧力を加える(ステップS3)。この加圧動作により、当該折り先端部Wが図13に示すように平坦面になり、折りが施されると、折り駆動モータを逆転させて、上下のプレス板219,220の加圧状態を解除し、両者を互いに離れさせる。この動作と並行して、突き当て部材301はシート束PBの折り先端部Wから離れ、さらにシート束PBの排紙経路から退避する(ステップS4)。
このようにして中折りされ、折り先端部Wが平坦面Whとなり、折り高さR2が低くなるように折り先端部Wが成形されたシート束PBは、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58によって中綴じトレイ62上に排紙される。排紙されたシート束PBは折り高さR2が低くなっているので、中綴じトレイ62に積載されたときに、積載高さが低く抑えられ、より多くの部数を積載することができる。また、シート束PBの表紙側は裏表紙側の膨らみが押さえられているので、安定した積載状態となって山が崩れるようなことがなくなり、この点でもより多くの部数の積載が可能となる。
なお、突き当て部材301の排紙経路からの退避は、上プレス板219が下プレス板220から離れる際に、その移動に伴って、例えばピニオン402、第2のギヤ401、支持部材302及び突き当て部材301が一体に移動することにより行われる。
図16は実施例2における突き当て部材を備えたプレス折り部の詳細を示す図で、実施例1における図11に示した押圧時の状態を示す正面図である。
本実施例2は、突き当て部材301の突き当て面301bと、上下のプレス板219,220の搬送方向下流側の端面Kaを、前者は凸状の曲面、後者は凹状の曲面としたものである。両者は、突き当て面301bを端面Kaに押し当てたときに同一曲面で接するような曲率に設定されている。その他の各部は実施例1と同一である。このように突き当て面301bと凹状の端面Kaで押圧面を構成すると、シート束PBを加圧する際にシート束PBの折り先端部Wが両者によって形成される曲面の押圧面に倣って凹面状に成形される。
すなわち、まず、搬送されてきたシート束PBの中央部Xを上プレス板219と下プレス板220が挟み込む。次いで、上下のプレス板上219,220は、両プレス板の湾曲形状に沿ってシート束PBの搬送方向上流側から、搬送方向下流側の折り先端部Wへと向かって、徐々に挟み込む位置を移動させながら、シート束PBを折り先端部W側に絞り込んでいって加圧していく。この過程で折り先端部Wの搬送方向上流部Yの位置を挟み込み、上下のプレス板219,220の円弧(円筒の内面)状の端面Kaに対して、円弧(円筒の外面)状の突き当て面301bで、シート束PBの折り先端部Wを押し込みながら加圧する。
これにより、折り先端部Wは、図13に示した平坦面Whに対して凹面状となり、第1の折り目Wb1,Wb2がより鋭角に押し潰され、強固な折り目が形成される。その結果、折り後にシート束PBがより膨らみ難くなり、折り高さR2を低減する効果がより高くなる。
その他の各部の構成及び動作は実施例1と同様である。
図17及び図18は実施例3における突き当て部材を備えたプレス折り部の詳細と動作を示す図で、図17はプレス折り開始時の状態を示す正面図、図18は突き当て部材による押圧時の状態を示す正面図である。
実施例3は、実施例1における突き当て部材301が円運動を行ってシート束PBの折り先端部Wを押圧していたのに対し、直線運動を行ってシート束PBの折り先端部Wを押圧するようにしたものである。そのため、実施例1におけるピニオン402は大径の第3のギヤ501となり、第2のギヤ401は図17に示すような円周の全周にわたって歯が形成された第4のギヤ502となっている。そして、この第4のギヤ502と噛み合うラック503がシート束PBの搬送中心の延長線上の下流側に配置されている。
このように構成されていることから、実施例3における駆動機構500も、中間ギヤである第3のギヤ501と、この第3のギヤ501にそれぞれ噛み合う駆動側の第1のギヤ403、従動側の第4のギヤ502及び第4のギヤ502と噛み合うラック503とからなる歯車機構である。この歯車機構も上プレス板219から駆動力を得ており、上プレス板219の開閉動作に連動している。
さらに詳しくは、ラック503のシート束PB搬送方向上流側の端部には、突き当て板504が取り付けられている。この突き当て板504は、ラック503と一体に移動する。そのため、突き当て板504は、ラック503の後退時には図17に示すようにシート束PBの挟持開始時の折り先端部Wから予め設定された距離離れた位置に位置し、シート束PBのプレス折り終了時には図18に示すように折り先端部Wを上下のプレス板219,220の端面Kに押し付けた位置に位置するようになっている。
このように構成した実施例3の動作は以下の通りである。
シート検出センサ310がONした後、搬送ローラ206,207が、シート束PBを距離(T+α)だけ搬送し、停止する。ここまでの動作は実施例1と同一である。次いで、図17に示すように、シート束PBの中央部Xを上プレス板219と下プレス板220が挟み込む。上下のプレス板219,220は、湾曲形状に沿ってシート束PBの搬送方向上流側から、搬送方向下流側の折り先端部Wへと向かって、徐々に挟み込む位置を移動させながら、シート束PBを絞り込み、加圧していく。
このとき、上プレス板219の搬送方向下流側に設けられた第1のギヤ403は上プレス板219の加圧動作に同期して下方向に移動する。この移動により、第1のギヤ403に噛み合っている第3のギヤ501が図示時計回り方向(矢印D5方向)に回転し、さらに、第3のギヤ501に噛み合っている第4のギヤ502が図示反時計回り方向(矢印D6方向)に回転する。
第4のギヤ502の回転はラック503により、直線運動に変換され、突き当て部材504が、シート搬送方向上流側に向かってシート搬送方向に平行に移動する。この移動により、突き当て部材504は、シート束PBの折り先端部Wに突き当たり、折り先端部Wを上下のプレス板219,220の端面Kに押し付け、折り先端部Wを加圧する。
図18に示すように、シート束PBを挟み込む位置が、折り先端部Wに近い位置Yに達すると上下のプレス板219,220の絞り込み加圧動作は停止し、これと連動する突き当て板504の突き当て動作も停止する。その際、実施例1の場合と同様に、搬送ローラ206,207によってシート束PBは突き当て量αの分だけ多く搬送されているので、シート束PBの折り先端部Wは、突き当て部材504と前記端面Kにより挟まれ、加圧され、折り先端部Wに平坦面Whが形成された折りとなる。
折りが施された後、前記プレス板駆動カム201の動作により上プレス板219と下プレス板220は所定位置まで離れ、上プレス板219の移動に伴って第3のギヤ501,第4のギヤ502及びラック503も移動する。これにより、排紙ローラ58側の搬送経路が開放され、シート束PBは搬送ローラ206,207によって排紙ローラ58に送られ、その後、搬送ローラ206,207と排紙ローラ58とによって中綴じトレイ62上に排紙される。
このようにラック503を直線的に移動させて折り先端部Wを加圧するのは、折り先端部Wの折り形状の仕上がり品質を確保するためである。図19は実施例1及び2の場合の突き当て部材と折り先端部の折り形状との関係と示す図、図20は実施例3の場合の同様の関係を示す図である。
図19に示すように、突き当て部材301が円弧状に移動する場合(矢印D1方向)、加圧するときの突き当て部材301と上プレス板219の端面K1との距離F1と、突き当て部材301と下プレス板220の端面K2との距離F2が等しくはない。そのためシート束PBの折り先端部Wが、隙間の広い方に寄ってしまい、折りの仕上がり品質が低下してしまうおそれがある。
これに対し、本実施例では図20に示すように、突き当て部材504がシートの搬送方向に対して平行に移動するので、突き当て部材504と上プレス板219の端面K1との距離F3と、突き当て部材504と下プレス板220の端面K2との距離F4が等しくなる。その結果、シート束PBの折り先端部Wが図19に示したように片寄ることがなく、折りの仕上がり品質が低下することはない。
なお、図19に示す場合でも、図20に示す場合でも、加圧の最終工程では、突き当て部材301,504ともに、端面Kとほぼ平行な状態で押圧するので、腰の弱いシートの場合、あるいはシート束PBの厚さが薄い場合には、折りの仕上がり品質が問題となることはない。しかし、腰の強いシートの場合、あるいはシート束PBの厚さが厚い場合には、前記片寄りによって折りの仕上がり品質に影響を与えることが考えられるので、そのような場合には、実施例3の構成の方が有利である。
また、本実施例では、突き当て部材504の折り先端部Wに接触する面は、平面状に形成されているが、実施例2のように突き当て部材504の折り先端部Wに接触する面を凸面状に、上下のプレス板219,220の端面Kを前記凸面同一の負の曲率を有する凹面状の端面Kaとし、図16に示したような凹形状の背表紙となるような折り処理を行うことも可能である。
その他の各部の構成及び動作は実施例1と同様である。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
1)シート束PBを上下のプレス板219,220によって折る際に、シート束PBを加圧しながら下流側に絞り込んでいってシート束PBの折り先端部Wを、突き当て部材301,504によって上下のプレス板219,220の端部Kに押し当てて加圧する。これにより図13に示したように折り目が断面略コの字形に形成され、図12に示したような従来技術のように折りが弱くシートが膨らんでしまうことを防ぎ、折り高さを低くすることができる。
2)シート束の折り高さを低くすることができるので、シート束を排紙トレイ(中綴じトレイ62)に排出したときに積載できる部数を増やすことができる。
3)突き当て部材によって1回のみ加圧動作を行うだけで折り動作が完了するので、生産性の低下を最小限にとどめた上で折り高さを低くすることができる。
4)平面状の突き当て部材301を使用して折り先端部Wを平坦面Whとした場合、上下のプレス板219,220の端面Kとの間で挟まれ、上側と下側でそれぞれ第1及び第2の折り目Wb1,Wb2、Wc1,Wc2が形成され、第2の折り目Wb2,Wc2が鈍角となるので、図13に示したように強固な折り目とし、折り高さを低くすることができる。さらに、図16に示したように突き当て部材301の突き当て面301aを凸状の円弧面とし、上下のプレス板219,220の端面Kaを凹状の円弧面とすることにより、シート束PBの折り先端部Wが平坦面から窪んだ凹状の円弧面となるので、コの字形の折り目をより強固に形成することが可能となり、その分、シートの折り高さの低減に寄与することができる。
5)実施例1及び2では、突き当て部材301は円弧状に移動して、シート束PBの折り先端部Wを押圧したのに対し、実施例3では、突き当て部材504はシート搬送方向に対して平行方向に移動するので、突き当て部材504と上プレス板219の端面Kとの距離と、突き当て部材504と下プレス板220の端面Kとの距離が等しくなる。その結果、シート束PBの折り先端部Wを押圧するときに折り先端部Wが片寄ることがない。これにより、高い折りの仕上がり品質を保証することができる。
なお、特許請求の範囲におけるシートは実施形態では符号Pに、シート束は符号PBに、シート折り装置は符号100に、折り部はプレス折り部200に、押し込み手段は折りブレード203に、折り手段は上下のプレス板219,220に、シート又はシート束の先端部は折り先端部Wに、駆動源は折り駆動モータ(不図示)に、突き当て部材は符号301,504に、折り手段のシート搬送方向最下流側の端部は端面K,Ka,K1,K2に、折り目は第1及び第2の折り目Wb1,Wb2、Wc1,Wc2に、折り目形成手段は突き当て部材301,504及びその駆動機構400,500に、加圧板は上下のプレス板219,220に、加圧駆動機構は移動プレート208、ピン208a、折りブレード駆動カム202及びプレス板駆動カム201に、加圧位置移動機構は移動プレート208、ピン208a、折りブレード駆動カム202及びプレスガイドローラ211,212に、突き当て板の移動機構は駆動機構400,500に、突き当て部材の前記加圧板の端面と対向する面は突き当て面301a,301b,504aに、画像形成システムはシート折り装置100及び画像形成装置PRに、それぞれ対応する。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。