JP4297590B2 - シート処理装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート処理装置及びこれを備えた画像形成装置に関し、特に画像形成済のシートやシート束を折るための折りユニットを具備したものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像形成装置においては、画像形成部において画像が形成された後のシートを折るための折りユニットを具備したシート処理装置を備えたものがある。ここで、このような折りユニットを備えたシート処理装置としては、特開平9−183565号等の公報に開示されたものが知られている。
【0003】
そして、このようなシート処理装置では、例えば一対の折りローラと、折りローラに対してシートを押し込む突き板とを備えると共に、シート束をほぼ垂直状に立て掛け積載し、このシート束の一方側の面に位置する一対の折りローラに対しシート束の他方側の面から突き板を押し込み、この後折りローラの加圧力によって折りを行うように構成されたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のシート処理装置において、折りローラ及び突き板をそれぞれの異なる駆動源により駆動するようにした場合、それぞれの動作で負荷変動が発生するため、ローラ回転速度と突き板の移動速度の制御を最適化するのが難しく、このような場合にはシートの綴じ部の破れや折り曲げ内側の皺が発生することがある。また、それぞれの駆動源を設けた場合には、装置を小型化、軽量化するのが困難となる。
【0005】
そこで、装置の小型化、軽量化を図るため折りローラと突き板とを機械的に連結させることにより、折りローラと突き板とを一つの駆動源により駆動するように構成することが考えられる。
【0006】
ところが、このように折りローラと突き板とを一つの駆動源により駆動するようにした場合、突き板は一旦シートを折りローラ側に押し込む位置に移動した後も、再度突き位置に移動するようになる。
【0007】
このため、例えば折りローラ搬送速度と突き板移動速度を合わせる前提で減速を行う装置構成にすると、図15に示すように突き板255がシート束Saを折りローラ257a,257bに一度押し込んだ後、再度突き板255が押し込み位置へ移動した時に、図16に示すように折り込まれているシート束Saの両端部と同期する場合がある。
【0008】
そして、このように突き板255がシート束Saの両端部と同期した場合には、突き板255とシートSaの両端部との接触が発生し、シート(束)に折れ、破損等のダメージを与える等の欠点がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シートにダメージを与えるのを防ぐことができると共に小型軽量化が可能なシート処理装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シートを折り込む折りローラ対と、該折りローラ対に向けて前記シートを押し込む突き板と、前記折りローラ対と前記突き板とを駆動する共通の駆動手段と、前記駆動手段からの駆動を受けて前記突き板を、前記折りローラ対にシートを押し込む押し込み位置と、ホームポジションとの間で移動させる移動手段と、を有し、前記移動手段は、前記突き板により前記押し込み位置で前記折りローラ対にシートを押し込んだ後、前記突き板を前記ホームポジションに移動させ、さらに、前記折りローラ対による前記シートの折り動作中に、前記突き板を前記押し込み位置に再度移動させるものであって、前記突き板が前記押し込み位置へ再度移動した時に、前記突き板が前記シートの両端部と接触しない位置関係となるタイミングで前記突き板を再度移動することを特徴とするものである。
【0012】
また本発明は、前記駆動手段の駆動を前記突き板に伝達させる突き板伝達手段はカム手段を有し、前記突き板の移動はカム形状により行われることを特徴とするものである。
【0015】
また本発明は、画像形成部と、該画像形成部により画像が形成された後のシートを折るシート処理装置を備えた画像形成装置において、前記シート処理装置は上記のいずれかに記載のシート処理装置であることを特徴とするものである。
【0016】
また本発明のように、シートを折り込む折りローラ対及び折りローラ対に向けてシートを押し込む突き板を共通の駆動源により駆動すると共に、シートを折りローラ対に一度押し込んだ後、再度突き板が押し込み位置に移動した時、折り込まれているシートの両端部と接触しないように折りローラ対のシート折り込みタイミングと突き板の移動タイミングを設定する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である複写機の概略構成を示す図である。
【0019】
同図において、1Aは複写機、2はシート処理装置、1は複写機本体であり、この複写機本体1には原稿載置台としてのプラテンガラス906、光源907、レンズ系908、給紙部909、画像形成部902等が備えられている。また、940は原稿Dをプラテンガラス906に自動的に給送する原稿自動給送装置、950は複写機本体1に設けられた制御装置である。
【0020】
ここで、給紙部909は、記録用のシートSを収納して複写機本体1に着脱自在なカセット910,911及びペデイスタイル912に配置されたデッキ913を有している。また、画像形成部902には、円筒状の感光ドラム914と、その回りの現像器915、転写用帯電器916、分離帯電器917、クリーナ918、−次帯電器919等がそれぞれ備えられている。さらに、画像形成部902の下流側には、搬送装置920、定着装置904、排出ローラ対905等が配設されている。
【0021】
次に、この複写機本体1の動作を説明する。
【0022】
制御装置950から給紙信号が出力されると、カセット910,911またはデッキ913からシートSが給送される。一方、プラテンガラス906に載置されている原稿Dに、光源907から当てられて反射した光は、レンズ系908を介して感光ドラム914に照射される。ここで、感光ドラム914は、あらかじめ一次帯電器919により帯電されており、光が照射されることによって静電潜像が形成される。この後、この静電潜像を現像器915により現像してトナー像が感光ドラム上に形成される。
【0023】
また、給紙部909から給送されたシートSは、レジストローラ901で斜行が補正され、さらにタイミングが合わされて画像形成部902へ送られる。そして、画像形成部902では、感光ドラム914のトナー像が、送られてきたシートSに転写用帯電器916によって転写され、この後トナー像が転写されたシートSは、分離帯電器917によって転写用電器916と逆極性に帯電されて感光ドラム914から分離される。
【0024】
さらにこのようにして分離されたシートSは、搬送装置920により定着装置904に搬送され、この定着装置904によりシートSに転写画像が永久定着される。この後、画像が定着されたシートSは、排出ローラ対905により複写機本体1からシート処理装置2に排出される。このようにして、給紙部909から給送されたシートSは画像が形成されてシート処理装置2に排出される。
【0025】
次に、このシート処理装置2の構成について図2を用いて説明する。
【0026】
同図において、3は複写機1Aから排出されたシートを受け取り、シート処理装置内に案内する搬送ガイド対、4は搬送ガイド内を搬送されてくるシートを検出するシート検知センサであり、このシート検知センサ4のシート検出によって後述する図14に示す制御部は、整合タイミング等を決定すると共に、搬送ガイド3内でシートがジャムしていないか否かを検出するように構成されている。
【0027】
6は搬送ガイド3内のシートをニップ搬送する排出ローラである。8は排出ローラ6によって次々と排出されるシートを積載する積載手段としての処理トレイであり、この処理トレイ8には排出ローラ6によって排出されるシートの両端をガイドして幅寄せ整合する整合手段としての整合板9が設けられている。
【0028】
ここで、この整合板9は、シート搬送方向と交差する幅方向両端側に夫々配置されると共に、処理トレイ下方に配置されたステッピングモータからなる整合モータ14の軸に設けられたピンオン15と噛合するラック16が一体的に形成されており、このピンオン15とラック16により整合モータ14の回転に伴い整合板9はシート幅方向に適宜移動するようになっている。
【0029】
また、この処理トレイ8には、第1プーリ軸10aに取り付けられた第1プーリ10と、第2プーリ軸11aに固着された第2プーリ11と、これら第1及び第2プーリ10,11に張設されると共に押し出し爪13が設けられている移送ベルト12が設けられている。
【0030】
なお、第1プーリ軸10aには搬送下ローラ18が同軸上に設けられており、またこの搬送下ローラ18の上方には搬送上ローラ19が、一点鎖線で示す搬送下ローラ18に圧接する位置と、実線で示す搬送下ローラ18から離れた離間位置との間で移動自在に設けられている。
【0031】
7は排出ローラ6から排出されるシートを処理トレイ8内に案内する搬入ガイドであり、この搬入ガイド7の下方にはシート搬入を確実にするために、シートの上面に接して回転する一定の弾力をもったゴム材等で形成されたパドル17が設けられている。
【0032】
ここで、このパドル17は、軸17aを中心に回転すると共にパドル表面を支持するフイン17bが軸17aを中心にして放射状に一体成形されており、これによりシートが処理トレイ8に収積されるに従って容易に変形し、シートに適切な搬送力を与えることができるようになっている。
【0033】
21は処理トレイ8に排出ローラ6によって排出されて自重で落下し、さらにパドル17に回転によって移動するシートの端部を規制するストッパであり、このストッパ21は第1プーリ軸10aにその−端が軸承され、常時は同図に示すようにシート端部を規制する位置に不図示のバネ等により突出している。
【0034】
30は綴じ手段としてのステイプルユニットであり、二点鎖線で示されるユニット体として構成され、シート処理装置2から引き出し可能に構成されている。また、このステイプラユニット30は、搬送通路39を挟んで下方側に、不図示の針カートリッジを有する針打ち込みヘッドユニット31を、上方にこの針打ち込みヘッドユニット31から打ち出される針を折り曲げるアンビルユニット32を有している。なお、これら針打ち込みヘッドユニット31及びアンビルユニット32はシート搬送方向(図中右側から左側)と交差する方向に移動可能となっている。
【0035】
33、34は、夫々打ち込みヘッドユニット31、アンビルユニット32のシート搬送方向と交差する方向への移動(シフト移動)を案内する上下に設けられた案内ロッド、35、36はヘッドユニット31、アンビルユニット32の上記のシフト移動を行う螺旋状のネジ溝を有するスクリュー軸である。また37、38は打ち込みヘッドユニット31及びアンビルユニット32の夫々に針打ち込み動作、針折曲げ動作を行わせるための駆動軸である。
【0036】
50はシート束の折りユニットであり、二点鎖線で示されるユニット体として構成されると共に、ステイプルユニット30と同様に、シート処理装置2から引き出可能に構成されている。
【0037】
53は、ステイプルユニット30の入口側に位置する搬送上ローラ19と搬送下ローラ18によってニップ搬送されてくるシート束を案内する束搬送ガイド、51は折ユニット50の入口側に設けられた束搬送上ローラ、52は束搬送上ローラ51に対向して配置された束搬送下ローラである。
【0038】
ここで、この束搬送上ローラ51は、束搬送下ローラ52と圧接する実線位置と、束搬送下ローラ52と離間する一点鎖線位置との間で移動可能に構成されている。そして、この束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52は、搬送上ローラ19と搬送下ローラ18によって搬送されるシート束の先端部分が束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52を通過する迄は離間した状態になっており、この後圧接するようになっている。
【0039】
54はシート束の端部検出センサであり、この端部検出センサ54のシート束先端検出信号に基づき制御部は、束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とを圧接させると共にシート束の搬送方向の折り位置の設定制御を行うようにしている。
【0040】
55は突き板であり、先端の板厚が0.25mm程度のステンレス製の板で構成されている。57a、57bは折りローラ対を構成すると共に、シート束搬送方向と交差する方向にニップが形成されるように配された円柱形状の折りローラであり、互いに押圧する方向に付勢されると共に夫々回転駆動されるようになっている。
【0041】
なお、本実施の形態において、この折りローラ57a,57bはローラ径がφ40であり、後述する図12に示すように折り込まれる折りシート束長さLの1/2よりローラ外周長さが短く、折りシート束を搬送するのに少なくとも1回転以上回転するように構成されている。
【0042】
一方、突き板55は折りローラ57a,57bの略直上に位置すると共に、後述するシート折り動作の際には折りローラ57a,57bのニップ近傍までその先端エッジが移動し、折りローラ57a,57bのニップにシート束を押し込むようになっている。
【0043】
ところで、本実施の形態において、この突き板55の移動速度は、折りローラ57a,57bの搬送速度の約2.2倍となるように構成されている。これにより、中央部が綴じられたシート束の綴じ部が折りローラ57a,57bの搬送によりニップ部まで移動する時間と、突き板55がシート束の綴じ部に接してから折りローラ57a,57bのニップ部まで移動する時間が略同じとなり、折りローラ57a,57bと突き板55は同期して動作を行うことができるようになっている。
【0044】
更に、本実施の形態においては、2度突き以降の突き板55の移動タイミングは、折り込まれている所定サイズの折りシート束の両端部に接しないように機械的な設定が行われている。
【0045】
そして、このように突き板55の移動タイミングを設定すると共に、折りローラ57a,57bのローラ径を所定の値として折り込みタイミングを設定することにより、即ちシート折りの際、2つのタイミングにより折り動作を行うことにより、シートのサイズに拘らず突き板55が折り込まれているシートの両端部と接触しないようにすることができる。
【0046】
また、折りローラ57a、57bの上方周囲には、搬送ガイド53と共にシート束を搬送ガイドする略円弧状のバックアップガイド59a,59bが設けられている。ここで、このバックアップガイド59a、59bは突き板55の上下移動と連動し、突き板55の先端エッジが折りローラ57a、57bのニップ近傍まで移動したときには、折りローラ57a、57bのシート束に対する周面を開放するように移動するようになっている。
【0047】
56はシート束の案内ガイドであり、この案内ガイド56により、束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52によってニップ搬送されるシート束の搬送方向は下方側に変更され、これによりシート束の先端部はシート束通路58にたれ下がるようになっている。
【0048】
80は折りシート束の束排出スタッカであり、折りローラ57a,57bの折り動作によって折られ、排出されるシート束をスタックするためのものである。なお、81は排出されるシート束をバネ又は自重によって押える折りシート押えである。また、2Aはシート処理装置2の装置フレームであり、この装置フレーム2Aと束排出スタッカ80との間にシート束の移動可能な空間として、既述したシート束通路58が設けられている。
【0049】
90は装置フレーム2Aに対して垂直方向に昇降可能に構成された昇降トレイであり、この昇降トレイ90は実線位置と二点鎖線位置の間を移動するようになっている。なお、この昇降トレイ90は、昇降トレイ支持部92に支持されると共に、この昇降トレイ支持部92を不図示の昇降トレイモータ等の駆動手段によって回転移動する不図示のベルトの一部に係合させることにより昇降するようになっている。
【0050】
93は昇降トレイ上のシート最上面を検出する紙面センサ、94は昇降トレイ90が昇降移動する際、昇降トレイ90上のシートの後端をガイドする後端ガイド、91は昇降トレイ90に引き出し可能に構成された補助トレイであり、この補助トレイ91は大サイズシート等を収積する際、昇降トレイ90から引き出されて使用される。
【0051】
次に、上記シート処理装置2の処理トレイ8、ステイプルユニット30、折りユニットについて詳細に説明する。
【0052】
図3は処理トレイ8の平面図であり、同図に示すように移送ベルト12を張設している第1プーリ10と第2プーリ11とは、シート幅方向の略中央を挟んで設けられている。また、第1プーリ軸上には、搬送下ローラ18がシート幅方向の略中央を挟んで2ケ所づつ設けられている。なお、この搬送下ローラ18は中が中空となるタイヤ形式の中空ローラとなっている。
【0053】
一方、第1プーリ10と第1プーリ軸10aとの間にはワンウェイクラッチ75が介在している。そして、このワンウェイクラッチ75により第1プーリ軸10aが図2において反時計方向に回転すると、第1プーリ10は回転するが時計回りの方向に回転すると駆動が切断されて停止するようになっている。
【0054】
また、第1プーリ軸10a上にはプーリ73が固着されており、このプーリ73はタイミングベルト74、ギアプーリ72を介して搬送駆動源としての正逆転可能なステッピングモータ70に連結されている。
【0055】
これにより、ステッピングモータ70が処理トレイ8上のシートをステイプル方向(矢印B方向)に移動する方向に回転するときは、第1プーリ軸10aに固着されている搬送下ローラ18は回転駆動されるが、移送ベルト12はワンウェイクラッチ75より駆動伝達されず停止状態となる。一方、ステッピングモータ70が昇降トレイ90方向にシート移動する方向(矢印A方向)に回転するときは、搬送下ローラ18及び移送ベルト12は共に昇降トレイ方向に移動する。
【0056】
ところで、この移送ベルト12には既述したように押し出し爪13が設けられている。そして、処理トレイ8の下面には図4に示すように押し出し爪13のホームポジションHPの位置出しを行うため、押し出し爪13に係合する検出アーム76とアーム検出センサ77が設けられている。
【0057】
なお、本実施の形態において、押し出し爪13は押し出し爪13が移送ベルト12によって移動され、検出アーム76を押し、検出センサ77がOFFからONに切り変わった処をホームポジションHPとしている。
【0058】
ここで、押し出し爪13がホームポジションHPにあるとき、搬送下ローラ18と搬送上ローラ19のニップをPとすると、本実施の形態においては、ニップPからストッパ21までの距離をLl、ニップPから押し出し爪13までの距離をL2とすると、Ll<L2に設定してある。
【0059】
一方、搬送下ローラ18及び移送ベルト12が共に昇降トレイ方向に移動した後、不図示のカム等の作動により搬送上ローラ19が下降して搬送下ローラ18に圧接する。さらにこの後、ステッピングモータ70が回転し、第1プーリ回転軸10aが反時計回り方向に回転すると、搬送下ローラ18が回転して、シート束が昇降トレイ90方向に移動する。なお、搬送上ローラ19もステッピングモータ70で駆動される。
【0060】
これにより、シート束はステイプルユニット30側に入り込んだストッパ21の位置から移動する。さらに、ニップ位置Pを過ぎると、今度は移送ベルト12の回転に伴ってシート束の端部に押し出し爪13が当たり、この押し出し爪13によって押されながらシート束は昇降トレイ90方向に搬送される。
【0061】
この場合、既述したように搬送下ローラ18と搬送上ローラ19のニップPからストッパ21までの距離LlとニップPから押し出し爪13までの距離L2との関係はLl<L2になっているので、常に押し出し爪13が垂直状態でシート束端部を押し出すことになり、シートの移送に余分なストレス等が発生しない。
【0062】
なお、以上の押し出し爪13の動作は、同図に示すHP位置から移動してストッパ21位置にあるシート束を押し出す場合であって、通常はステイプルユニット30によって綴じ処理を行う場合に設定されている。
【0063】
一方、処理トレイ8に搬入されてくるシートに対して綴じ処理を行う必要ない場合には、ストッパ21の位置までシート束を搬入移動する必要がないので、この場合には予めステッピングモータ70を駆動して押し出し爪13をHP位置から、L2+α分だけ移動させて搬送下ローラ18と搬送上ローラ19のニップPよりも昇降トレイ側の待機位置(PreHP)に移動しておく。なお、このL+α分はステッピングモータ70のステップ数をカウントすることで設定できる。
【0064】
従って、綴じ処理が不要なシートにあっては、ストッパ21まで移送することなく、予め押し出し爪13を移動したPreHPでスタックしてから昇降トレイ90にシート束を押し出すことができるので、複写機1Aの処理速度が早い場合でも適用可能なシート処理装置となる。
【0065】
なお、同図に示すように、押し出し爪13のPreHPが搬入ガイド7と押し出し爪13の上端上においてオーバラップする位置である場合には、1枚づつ搬入されてくるシートを確実にプレHP位置の押し出し爪13にスタックすることができ、この後昇降トレイ90にすみやかに放出することができる。
【0066】
次にステイプラユニット30の構成について、図5を用いて説明する。
【0067】
ステイプラユニット30は、同図に示すように左右のユニットフレーム40,41間に案内ロッド33,34、スクリュー軸35,36、駆動軸37,38が設けられると共に、上方にアンビルユニット32、下方に打ち込みヘッドユニット31がそれぞれ配置されている。
【0068】
そして、打ち込みヘッドユニット31はスクリュー軸36と係合しており、このスクリュー軸36の回転によって図中左右方向に移動する。なお、アンビルユニット32側も同様な取り付け構成となっている。また、このスクリュー軸36のユニットフレーム外にはギアを介してステイプラスライドモータ42が配設されており、このステイプラスライドモータ42の駆動はタイミングベルト43によってアンビルユニット32にも同時に伝達される。
【0069】
このため、ヘッドユニット31とアンビルユニット32は上下位置がずれることなくシート搬送方向と交差する方向(図中左右方向)に移動する。従って、シートの幅に応じてステイプラスライドモータ42を駆動し、ヘッドユニット31及びアンビルユニット32を所定の位置に移動するように制御することにより、任意の位置にスラール針を自由に打ち込むことが可能となる。
【0070】
また、ヘッドユニット31内にある不図示の針を打ち込む打ち込みヘッドの移動、針の移動及びアンビルユニット32内にある針折りの移動等の駆動等は、シート処理装置2側からカップリング装置44で受けるようになっており、このカップリング装置44の駆動は一方のユニットフレーム40側でタイミングベルト45によってアンビルユニット側にも伝達されるようになっている。
【0071】
ところで、このステイプラユニット30(ヘッドユニット31)がシート幅方向移動する際、ストッパ21はステイプルパス通路から退避するように構成されている。次に、このようなストッパ21の出没移動機構について説明する。
【0072】
図5において、24はヘッドユニット31の下部に設けられたストッパ係合突起であり、ヘッドユニット31が移動する際、このストッパ係合突起24が,同図及び図6に示すストッパ移動アーム23の突起23bに係合するようになっている。そして、このようにヘッドユニット31の移動によりストッパ係合突起24がストッパ移動アーム23の突起23bに係合すると、ストッパ移動アーム23は図6に示すように回動軸23aを支点として反時計方向に移動する。
【0073】
さらに、このようにストッパ移動アーム23が移動すると、このストッパ移動アーム23の一端に軸23cを介して設けられた連結レバー22が降下し、これに伴い連結レバー22に係合されているストッパ21は、第1プーリ軸10aを中心として下方に回動し、二点鎖線に示す位置に移動する。これにより、ストッパ21によりヘッドユニット31、アンビルユニット32のシート幅方向移動が妨げられることはなくなる。
【0074】
次に折り手段を構成する折りユニット50について詳細に説明する。
【0075】
図7は、折りユニット50の側面図である。なお、この折りユニット50は既述したようにシート処理装置2に引き出し可能に設けられているので、他の奥側側面も同様になっている。
【0076】
同図において、61はユニットフレーム49に軸支された折りローラ57aの回転軸としての折りローラ駆動軸、63は軸69bを支点として回動する折りローラホルダであり、この折りローラホルダ63には一方の折りローラ57bの回転軸としての駆動軸62が取り付けられている。
【0077】
なお、この折りローラホルダ63とユニットフレーム49との間に約49N(約5kgf)を有する引張りスプリング67が張設されており、またユニットフレーム49には、折りローラホルダ63の回動に伴う折りローラ駆動軸62の移動を許容するガイド穴64が形成されている。
【0078】
そして、このように構成することにより、折りローラ57a,57bによってシート束を折って搬送する際に、このシート束に対して一定の圧力を引張りスプリング67により付与することができ、確実な折り動作が実行できる。
【0079】
また、110は突き板55を支持する支持ホルダであり、この支持ホルダ110にはコロ66が取り付けられている。一方、ユニットフレーム49には、支持ホルダ110のコロ66を案内する突き板ガイド穴65が形成されている。そして、この突き板ガイド穴65によってガイドされながら突き板55は折りローラ57a,57bのニップPに向けて移動するようになっている。
【0080】
また、ユニットフレーム49には、同図に示すようにシート束を折りユニット50内に搬送する束搬送上ローラ51の上ローラ軸101及び束搬送下ローラ52の下ローラ軸52aが軸支されている。ここで、既述したように束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とはシート束が折りユニット50内に搬入されて来るまでは離間させる必要があり、このため本実施の形態においては、束搬送上ローラ51を束搬送下ローラ52から離間した位置に位置させるよう次のように構成している。
【0081】
即ち、束搬送ローラ51の上ローラ軸101を軸受ホルダ102に支持させると共に軸受ホルダ102の上端にカムフロワー112を立設し、さらにこのカムフロワー112を折りユニットフレーム49に回転可能に取り付けられた上ローラ移動カム68に係合させる。
【0082】
また、軸受ホルダ102の下端と下ローラ軸52aとの間に束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とを圧接させるための約2.9N(約300gf)の張力を有する引張りスプリング104を張設し、この引張りスプリング104に抗しながら上ローラ移動カム68の回転に伴い軸受ホルダ102が上昇するようにしている。これにより、束搬送上ローラ51を束搬送下ローラ52から離間する位置と、圧接する位置とにコントロールできる。
【0083】
図8は折りユニットフレームの内側に設けられた折り機構を示す図であり、114は突き板55を移動するためのカム114aを備えたカム手段であるカム板であり、このカム板114はユニットフレーム49に軸支されたカム駆動軸111に取り付けられている。ここで、このカム板114のカムタイミングは折りローラ57a,57bの搬送速度の約2.2倍で突き板55が移動するように、また突き板55が2度突き以上しても折りシート束の両端部に突き板55が接しないように設定している。
【0084】
115は上ローラ移動カム68の軸113に回動可能に取り付けられた作動アームであり、この作動アーム115の回動端部に突き板55が取り付けられている支持ホルダ110が保持されている。なお、このカム板114にはカム溝114bが形成されており、このカム溝114bに作動アーム115のほぼ中央に立設されたカムフロワー116が入り込んでいる。
【0085】
これにより、カム板114が回転するとカム114aによりカムフロワー116が押圧されて作動アーム115が昇降し、これに伴い作動アーム115に取り付けられている突き板55がシートを押し込む位置と、待機する位置に移動するようになっている。
【0086】
また、119、120は、折りローラ57a,57bの軸61,62に回動自在に取り付けられたレバー片であり、このレバー片119,120には折りローラ57a,57bの外周面を覆うように配置されると共に、折りローラ57a,57bの軸61,62を中心にして折りローラ外周面に対して回動可能となっているバックアップガイド59a,59bが取り付けられている。
【0087】
なお、このバックアップガイド59a、59bは互いにスプリング121で懸引きされており、またレバー片119,120は支持ホルダ110の二股に分かれた作動片117,118にそれぞれ当接支持されている。
【0088】
そして、支持ホルダ110が同図に示す状態にあるとき、バックアップガイド59a,59bは折りローラ57a、57bの搬送通路側の外周面を覆う位置にあり、シート束の搬送をバックアップするガイドとしても機能している。なお、バックアップガイド59a、59bは、通常は束搬送ガイドと共に、シート束の下側搬送ガイドとしても機能する。
【0089】
一方、シート束の折り動作を行う際、図9に示すように支持ホルダ110が下降すると、これに伴い作動片117,118に押圧されてレバー片119,120が押し下げられ、この結果、バックアップガイド59a,59bはスプリング121に抗して、軸61,62を中心に回動する。これにより、シート束に折りローラ57a,57bの外周面が確実に当接するようになる。
【0090】
次に、折りユニット50の駆動伝達係について説明する。ここで、この駆動伝達系は、図10に示される束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52の回転及び離接と、図11に示される折りローラ57a,57bの回転及び突き板55の移動系に分けられる。なお、これらの駆動伝達係はいずれも図7に示すユニットフレーム49の不図示の奥側フレーム側に設けられている。
【0091】
まず、束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52の回転及び離接系について図10を用いて説明する。
【0092】
同図において、162はシート処理装置2側に設けられた正逆転可能な搬送モータであり、この搬送モータ162から駆動はギア127,128を介して折りユニット側のギアプーリ129に入力される。
【0093】
ここで、このギアプーリ129と上ローラ移動カム68を駆動する軸113との間にはワンウェイクラッチ123が設けられており、このワンウェイクラッチ123によりギア127,128が同図に示す矢印と反対方向に回転した場合にのみ上ローラ移動カム68は回転し、束搬送上ローラ51の上下移動を行うようになっている。
【0094】
一方、ギアプーリ129の回転は、タイミングベルト135を介して束搬送上ローラ軸101及び下ローラ軸52aにプーリ130,131によって伝達される。なお、このプーリ130,131と軸101,52aとの間にはワンウェイクラッチ124,125が設けられており、このワンウェイクラッチ124,125によりプーリ130,131が矢印方向に回転する場合にのみ軸101,52aが回転駆動されるようになっている。また、132、133、134は、タイミングベルトが掛け渡されるプーリである。
【0095】
これにより、同図の矢印方向にギア127,128が回転しているときは、束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52は折りユニット50内にシート束を搬送する方向に回転するようになっている。また、矢印と反対方向に回転するときは、既述したように上ローラ移動カム68が回転し、これにより束搬送上ローラ51が束搬送下ローラ52から離間するようになっている。なお、これらの動作は軸133に設けられた不図示のフラグ突起をセンサ等で検出することにより、制御される。
【0096】
次に、折りローラ57a,57bの回転及び突き板55の移動系について図11を用いて説明する。
【0097】
同図において、137はカップリング装置であり、このカップリング装置137により、折りローラ57a,57b及び突き板55は後述する図14に示すシート処理装置2側からのステイプル/折りモータ170の駆動を受けるようになっている。なお、本実施の形態おいては、ステイプル/折りモータ170の正転で、図5に示すステイプルユニット30のカップリング装置44を駆動し、逆転でカップリング装置137を回転するように構成されている。
【0098】
ところで、このカップリング装置137からの駆動は、折りローラ57aの軸61に固着されたギア138によって折りローラ57bの軸62に固着されたギア139に伝達される。さらに、このギア138の回転は軸140を中心に回転するギア142及びこのギア142と噛合するギア141を介して突き板55を移動する作動アーム115を作動させるカム板114の軸111に伝達される。なお、このカム板114の位置は軸111に固設されたフラグ突起をセンサで検出することにより行っている。
【0099】
次に、このように構成された折りユニット50の折り動作について説明する。
【0100】
折り動作を行う場合、例えばシート搬送方向のシート長さ略中央位置への綴じ処理と、折り処理を行うモードであるサドルステッチモードの場合には、処理トレイ8中のシート束の搬送方向の略中央に折り動作及びステイプル処理(中綴じ)を行うため、まず束シート搬送上ローラ51と、束搬送下ローラ52とを離間した状態でシート束Sを搬入する。この後、シート束先端が端部検出センサ54(図2参照)により検出されると、制御部はシート束の搬送方向中央を割り出し、この位置で綴じ処理を行う。
【0101】
次に、上ローラ移動カム68(図7参照)を回転させて束搬送下ローラ52に束搬送上ローラ51を押圧させた後、シート搬送方向の中央が突き板55直下になる位置迄上ローラ51、下ローラ52を駆動してシート束を搬送させる。なお、このときバックアップガイド59a,59bは折りローラ周面を覆う位置にあると共にシート下面側をバックアップしているのでスムーズにシート束の搬送を行うことができる。
【0102】
そして、この後、図12に示すようにシート束Saの搬送方向略中央が突き板55下に到達したことを端部検出センサ54からの検知信号に基づいて検出すると、制御部は一旦束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52の駆動を停止する。ここで、この状態のとき、シート束Saは同図に示すように束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52のみによってつり下げられた状態になっており、これにより自重でシート束の整列がなされるようになる。
【0103】
なお、このように構成することにより、突き板55より下流側はシートストッパ等の機構を設けることなく、単にシート束通路58(図2参照)を設ければよく、またシート束通路58を下方側に傾斜させることにより折りユニット50及びシート処理装置全体をコンパクトにすることができる。
【0104】
次に、同図に示すようにシート束Saの搬送方向略中央が突き板55の下方に到達した段階で、突き板55と折りローラ57a,57bの共通の駆動源であるステイプル/折りモータ170を駆動すると、折りローラ駆動軸61が回転駆動して折りローラ57a,57bが共に回転し、またカム板114も回転して図13に示すように突き板55が折りローラ57a,57bのニップP近傍まで移動する。
【0105】
これにより、シート束Saは折りローラ57a,57bにより折りたたまれ、この後、折りローラ57a,57bの回転により折りシート束排出スタッカ80(図2参照)に排出される。なお、この後カム板114が更に回転すると、バックアップガイド59a,59bのバネ121の作用により支持ホルダ110が上昇し、これにより突き板55もシート束Saから離れる方向に移動する。
【0106】
ここで、突き板55がシート束Saを折りローラ57a,57b側に押し込む際には束搬送上ローラ51、束搬送下ローラ52は停止した状態であるが、軸101,102との間にワンウェイクラッチ124,125(図10参照)が介在しているので、突き板55及び折り動作によってシート束Saが束搬送上ローラ51、束搬送下ローラ52に引っ張られることなく、なめらかに折り込まれる。またこの後も、折りローラ57a,57bにより、折りシート束を折りユニット50内から排出することができる。
【0107】
次に、シート処理装置2の制御系について説明する。
【0108】
図14はシート処理装置2の制御ブロック図であり、同図において、149は制御部であり、この制御部149は搬送・束搬送関連系149A、パドル関連系149B、ステイプル/折り関連系149C、整合関連系149D、昇降トレイ関連系149E、シート検知関連系149F及びドア開閉装着検知関連系149Gの制御を行うようになっている。
【0109】
なお、この制御部149は、中央演算処理装置(CPU)、このCPUが実行するプログラムを予め記憶したROM、CPUの演算データ、複写機1Aに設けられた制御装置950(図1参照)から受信した制御データ等を記憶するRAM等で構成されている。
【0110】
また、搬送・束搬送関連系149Aはシート搬送及びこのシートを収積した状態でのシート束搬送に関するものであり、この搬送・束搬送関連系149Aは、複写機本体1からシートがシート処理装置2に搬入されたことを搬送ガイド3上で検出するシート検知センサ4と、処理トレイ8上のシートの有無を検出する処理トレイシート検出センサ160と、処理トレイ8から搬送されてくるシートの搬送方向中央へのステイプル針を打ち込む位置と、このステイプル針を打ち込んだ位置と同じ位置でシートを折り曲げる位置を割り出すために、シート束の搬送方向先端を検出する端部検出センサ54と、移送ベルト12に設けられている押し出し爪13のホームポジション位置を検出する押し出し爪センサ76と、束搬送上ローラ51が下ローラ51から離間した位置のホームポジション位置を検出する束搬送上ローラHPセンサ161とを、制御部149に対する入力側として備えている。
【0111】
一方、制御部149に対する出力側としては、搬送ローラ対5、排出ローラ対6、束搬送上ローラ51、束搬送下ローラ52を駆動すると共に、他方回転の駆動で束搬送ローラ51を移動する上ローラ移動カム68を回転させる搬送モータ162と、搬送下ローラ18、搬送上ローラ19、移送ベルト12を移動させるステッピングモータ70とを備えている。
【0112】
またパドル関連系149Bは、パドル17の回転位置を検出するパドルHPセンサ163と、搬送上ローラ19が、搬送下ローラ18から離間した位置を検出する搬送ローラHPセンサ164を入力側とし、パドル17を駆動回転するパドルモータ165を出力側として備えている。
【0113】
またステイプル/折り関連系149Cは、ステイプルユニット30中のヘッドユニット31、アンビルユニット32が夫々針打ち可能であることを検出するステイプルHPセンサ166と、ヘッドユニット30内にステイプル針がセットされていることを検出する針センサ167と、ヘッドユニット31、アンビルユニット32のシート搬送方向移動シフトに際して初期位置(図5参照)にあることを検出するステイプルスライドHPセンサ168と、突き板55の位置を検知する突き板HPセンサ169と、ステイプルユニット駆動と折りユニット駆動を正逆転で切り換えるステイプル/折りモータ170の回転方向を検出する折りクロックセンサ171と、ステイプルユニット30及び折りユニット50が作動可能状態であることを検出する安全スイッチ172とを入力側として備えている。
【0114】
また出力側としては、打ち込みヘッドユニット31、アンビルユニット32をシート搬送方向と交差する方向に移動するガイドスクリュー軸36に駆動伝達するステイプラスライドモータ42と、正逆転駆動の一方向回転でステイプルユニット30のカブリング装置44(図5参照)を、他方回転で折りユニット50のカブリング装置137(図11参照)を駆動するステイプル/折りモータ170を備えている。
【0115】
また整合関連系149Dは、シートの両端を処理トレイ8で整合する整合板9のホームポジションを検知する手前及び奥整合HPセンサ151,152を入力側とし、整合板9を移動させるための手前及び奥整合モータ14を出力側として備えている。ここで、この手前及び奥整合モータ14は、本実施の形態においてはパルスモータであり、また夫々整合モータ14により整合板9を移動させるようにしているので、シート束ごとの搬送方向と交差する方向へのズラシ(ジョブ)なども自由に設定できる。
【0116】
また昇降トレイ関連系149Eは、昇降トレイ90上のシート最上面を検出する紙面センサ93と、昇降するモータの回転移動量をエンコーダによって検出する昇降クロックセンサ150と、昇降トレイ90の昇降移動範囲を規制する上限スイッチ153と、下限スイッチ154とを入力側として備え、これらからの信号によって昇降トレイ90を駆動する昇降トレイモータ155を出力側として備えている。
【0117】
またシート検知関連系149Fは、昇降トレイ90、折りシート排出スタッカ80内にシート又はシート束が積載されているか否かを検知するためのものであり、昇降トレイ90上のシート束の有無を検出する昇降トレイ紙センサ156と、折りシート排出スタッカ80内のシート束の有無を検出する折りシート排出スタッカ紙センサ157とを備えている。なお、これらのセンサ156,157は装置起動前にシートが残留されている場合や、所定時間経過後シート束が取り除かれない場合などにもオペレータに警告するセンサとしても使用される。
【0118】
またドア開閉装着検知関連系149Gはシート処理装置2のドア開放又は複写機本体1に適正にシート処理装置2が装着されている可否かを検知するためのものであり、前ドアセンサ158と、複写機本体1にシート処理装置2が適正に装着されているか否か検知するジョイントスイッチ159とを備えている。
【0119】
ところで、このように構成されたシート処理装置2においては、シートを処理するモードとして、例えばシートを綴じ処理することなく昇降トレイ90に積載するノンステイプルモードと、シートの搬送方向の端部(サイド)に1ケ所又は複数ケ所を綴じ昇降トレイ90に積載するサイドステイプルモードと、シート搬送方向のシート長さの半分の位置を複数ケ所綴じ、その綴じた位置でシートを折り曲げて製本し、束排紙スタッカ80に集積するサドルステップモードがある。
【0120】
次に、このような各モードにおけるシート処理装置の動作について説明する。
【0121】
まず、ノンステイプルモードについて説明する。
【0122】
このモードが選択されると、制御部149はまずステッピングモータ70を駆動し、押し出し爪13を図4に示すホームポジション位置(HP)から処理トレイ8上でのシート集積基準とするプレホームポジション位置(PreHP)に停止位置させる。
【0123】
これと同時に、搬送モータ162を駆動し、搬送ローラ5、排紙ローラ6を回転して複写機本体1の排紙ローラ905からシートが排出されるのを待つ。この後、複写機本体1からシートが排出されて来ると、搬送ローラ5、排紙ローラ6によって処理トレイ8にシートを搬送する。更に、この後シート検出センサ4がシートを検出すると、制御部149は整合板9を移動する整合モータ14、パドル17を回転するパドルモータ165の起動タイミングを計る。
【0124】
そして、シートが処理トレイ8上に排出されると、整合モータ14及びパドルモータ165を駆動する。この駆動により、整合板9はシート搬送方向と交わる幅方向に移動し、シート両端を整合すると共にパドル17は予めPreHP位置にある押し出し爪13にシート端部を突き当てて整列させるように回転する。
【0125】
更に、この動作をシートが夫々処理トレイ8に排出される毎に繰り返し、所定枚数のシートが押し出し爪13に整列されると、搬送モータ162及びパドルモータ165を停止すると共に、移送ベルト12を駆動するステッピングモータ70を駆動し、シート束を図2の矢印Aに示す昇降トレイ90側に移動する。
【0126】
これにより、シート束は昇降トレイ90上に積載される。なお、このようにシート束を積載した後、昇降トレイモータ155を回転させて昇降トレイ90を一定量下降させ、この後昇降トレイモータ155を逆転させることにより、紙面センサ93がシート最上面を検出する位置まで昇降トレイ90を上昇させ、次のシート束が載置されるまでこの位置で待機させる。
【0127】
次に、サイドステイプルモードについて説明する。
【0128】
このモードが選択されると、制御部149はまず搬送モータ162を駆動し、搬送ローラ5、排紙ローラ6を回転して複写機本体1からのシートを処理トレイ8に排出し、積載する。そして、シートが排出積載されると整合モータ14及びパドルモータ165を駆動する。これにより、シートは幅方向両端を整合板9で整合されると共にシート端部はストッパ21まで移送されて停止される。これを特定枚数繰り返す。
【0129】
次に、シート束がストッパ21に規制された状態で、搬送上ローラ19を搬送下ローラ18側に移動させシート束をニップする。この後、打ち込みヘッドユニット31、アンビルユニット32により綴じ処理を行う為にステイプル/折りモータ170をステイプル動作方向に駆動して綴じ処理を行う。なお、シート端部の複数位置に綴じ処理を行う場合には、ステイプルスライドモータ42を駆動してステイプルユニット30を移動した後、綴じ処理を行う。
【0130】
そして、この綴じ処理が完了すると、ステッピングモータ70により搬送下ローラ18、搬送上ローラ19及び移送ベルト12を昇降トレイ90側に駆動する。これにより、綴じ処理後のシート束は、搬送下ローラ18、搬送上ローラ19から押し出し爪13の順に引き渡され、昇降トレイ90に積載される。以後の昇降トレイ90の動作は前述のノンステイプルモードと同じなので省略する。
【0131】
次に、サドルステッチモードについて説明する。
【0132】
このモードが選択されると、既述したサイドステイプルプモードと同様にして複写機本体1から排紙されるシートは処理トレイ8上に積載される。そして、このように処理トレイ8上にシートを整合積載した後、搬送上ローラ19を搬送下ローラ18側に下降し、シート束をニップする。
【0133】
次に、ストッパ21をシート束搬送通路から退避させ、図2に示す矢印B方向にシート束を移送するため、ステイプルスライドモータ42を駆動する。この駆動により、打ち込みヘッドユニット31のストッパ係合突起24(図5参照)が移動してストッパ移動アーム23に係合し、この結果ストッパ21がヘッドユニット31、アンビルユニット32の移動領域から退避する。このとき、ヘッドユニット31、アンビルユニット32はシート移動方向と支差する方向の打ち込み設定位置で停止している。
【0134】
引き続いて、ステッピングモータ70をノンステイプルモードやサイドステイプルモードとは逆方向に駆動する。この駆動によりシート束は図2の矢印Bに示す昇降トレイ90とは逆の方向に移送される。
【0135】
そして、このようにシート束を移送した後、端部検出センサ54がシート束の搬送方向先端を検知すると、予め送られてきている搬送方向シート長さ情報に基づき制御部149は、シート搬送方向略中央部を綴じ位置に一致するところまで搬送した後、ステッピングモータ70を停止する。
【0136】
なお、ステッピングモータ70が逆方向に回転した場合には、移送ベルト12を張設する第1プーリ10と第1プーリ軸10aとの間にワンウェイクラッチ75(図3参照)が介在されているので、駆動伝達はされず移送ベルト12及び押し出し爪13は停止した状態を保っている。
【0137】
次に、ヘッド駆動軸38及びアンビル駆動軸37を駆動するステイプル/折モータ170を、これらを作動する方向に回転駆動して綴じ処理を行う。ここで、複数箇所を綴じる場合は、ステイプラスライドモータ42を駆動し、スクリュー軸35,36の回転によってステイプラユニット30(ヘッドユニット31、アンビルユニット32)をシート搬送方向と交差する方向所定位置に移動した後に綴じ処理を行う。
【0138】
なお、この綴じ処理位置にシート束が搬送されたとき、そのシート束の搬送方向先端側の位置は、すでに折りユニット内の束搬送下ローラ52とこれから離間している束搬送上ローラ51を通過した位置にある。
【0139】
次に、綴じ処理完了後折り処理を行うために、まず搬送モータ162を逆転して上ローラ移動カム68(図7参照)を回転させて軸受ホルダ102を介して束搬送上ローラ51を束搬送下ローラ側に下降させ、シート束を引張りスプリング104でニップする状態にする。
【0140】
次に、処理トレイ8中の搬送上ローラ19をシート束から上昇させ、シート束のニップを解除する。この後、搬送モータ162を駆動して束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52を回転させ、シート束をさらに下流に搬送する。
【0141】
この搬送時、端部検出センサ54からの検知信号と複写機1Aからのシート長さ情報から、制御部149はシート束の搬送方向略中央部、即ち綴じ処理位置が折り位置となるように、搬送モータ162を減速しながら停止する。なお、この状態ではシート束は、束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52によって搬送パス内につり下がった状態でニップ支持されている。
【0142】
次に、ステイプル/折りモータ170を綴じ処理とは逆の方向、即ち折り動作を行う方向に駆動すると、図9に示すように折りローラ57a,57bがシート束をニップする方向に回転すると共に突き板55が下降する。またこれと同時に、バックアップガイド59a,59bもシート束側の折りローラ周面を開放するように移動する。
【0143】
そして、このように突き板55が下降すると、シート束は折りローラ57a,57bに巻き込まれ、この後、突き板55はシート束から離れる方向に移動するが、シート束はさらに折りローラ57a,57bによって折り込まれていく。
【0144】
なお、この後、折りローラ57a,57bでニップ搬送されたシート束は折シート束排出スタッカ80に排出され、積載される。またこのとき、折られたシート束は折シート押え81によって押えられ、折られたシート束が開いてしまい次の折シート束の搬入をさまたげられないようになっている。
【0145】
一方、折り動作開始後、突き板Hpセンサ169により、突き板55がシート束の搬送方向長さに応じた所定回数往復運動したことを検知すると、制御部149はステイプル/折りモータ170を停止させる。また、折り動作が開始されてシート束が折りローラ57a,57bにニップされるまでの時間が経過した後、束搬送上ローラ51は、束搬送下ローラ52から離間するように上昇して次のシート束の搬入に備える。
【0146】
ここで、シート束を折り込む際、突き板55がシート束を折りローラ57a,57bに一度押し込んだ後、再度押し込み位置に移動した時、折り込まれているシート束の両端部と接触しないように折りローラ57a,57bのシート折り込みタイミングと突き板55の移動タイミングが設定されているので、共通の駆動源であるステイプル/折りモータ170により突き板55及び折りローラ57a,57bを駆動した場合でもシート束にダメージを与えるのを防ぐことができ、さらにシート処理装置2の小型軽量化が可能となる。
【0147】
なお、これまでの説明において、サドルステッチモードは綴じ処理と折り処理とを一連で行うものとして述べてきたが、本発明はこれに限らず綴じ処理を行わず、折り処理のみを行う場合にも採用できることは言うまでもない。
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、シートを折りローラに一度押し込んだ後、再度突き板が押し込み位置に移動した時、折り込まれているシートの両端部との接触が発生しないように折りローラのシート搬送タイミングと突き板の移動タイミングを設定することにより、シートにダメージを与えるのを防ぐことができると共に小型軽量化が可能なシート処理装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である複写機の概略構成を示す図。
【図2】上記シート処理装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート処理装置の処理トレイの平面図。
【図4】上記処理トレイに設けられた移送ベルト部の側面図。
【図5】上記シート処理装置のステイプラユニットの構成を説明する図。
【図6】上記シート処理装置のストッパの出没移動機構を説明する図。
【図7】上記シート処理装置の折りユニットの側面図。
【図8】上記折りユニットに設けられた折り機構の構成を説明する図。
【図9】上記折り機構の折り動作時の状態を示す図。
【図10】上記折りユニットの束搬送上ローラ及び束搬送下ローラの回転及び離接に関する駆動系を説明する図。
【図11】上記折りユニットの折りローラの回転及び突き板の移動に関する駆動系を説明する図。
【図12】上記折りユニットのシート束折り動作を説明する図。
【図13】上記折りユニットのシート束折り動作を説明する他の図。
【図14】上記シート処理装置の制御ブロック図。
【図15】従来のシート処理装置のシート束折り動作を説明する図。
【図16】従来のシート処理装置のシート束折り動作を説明する他の図。
【符号の説明】
1 複写機本体
1A 複写機
2 シート処理装置
30 ステイプルユニット
50 折りユニット
55 突き板
57a,57b 折りローラ
110 支持ホルダ
114 カム板
114a カム
170 ステイプル/折りモータ
149 制御部
902 画像形成部
S シート
Sa シート束
Claims (3)
- シートを折り込む折りローラ対と、該折りローラ対に向けて前記シートを押し込む突き板と、
前記折りローラ対と前記突き板とを駆動する共通の駆動手段と、
前記駆動手段からの駆動を受けて前記突き板を、前記折りローラ対にシートを押し込む押し込み位置と、ホームポジションとの間で移動させる移動手段と、を有し、
前記移動手段は、前記突き板により前記押し込み位置で前記折りローラ対にシートを押し込んだ後、前記突き板を前記ホームポジションに移動させ、さらに、前記折りローラ対による前記シートの折り動作中に、前記突き板を前記押し込み位置に再度移動させるものであって、前記突き板が前記押し込み位置へ再度移動した時に、前記突き板が前記シートの両端部と接触しない位置関係となるタイミングで前記突き板を再度移動することを特徴とするシート処理装置。 - 前記駆動手段の駆動を前記突き板に伝達させる突き板伝達手段はカム手段を有し、前記突き板の移動はカム形状により行われることを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
- 画像形成部と、該画像形成部により画像が形成された後のシートを折るシート処理装置を備えた画像形成装置において、
前記シート処理装置は請求項1又は2に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
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