JP5878510B2 - 安定なエグアレンナトリウム固形製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、エグアレンナトリウムの分解を抑制したエグアレンナトリウム固形製剤に関する。
エグアレンナトリウム[化学名:3−エチル−7−イソプロピル−1−アズレンスルホン酸ナトリウム・1/3水和物]は、経口投与で優れた胃粘膜保護作用を有し、胃潰瘍などの治療薬として優れた薬物である(特許文献1)。
従来から、エグアレンナトリウムと同じ母核構造をもつアズレンスルホン酸ナトリウムが、種々の炎症性疾患、胃炎・胃潰瘍等の治療に用いられているが、その不安定さから、安定性を確保すべく、製剤化に際しては工夫を必要とし、様々な方法が提案されている。アズレンスルホン酸ナトリウム又はアズレン誘導体を、製剤化に際し安定化する方法について、例えば、シクロデキストリンで包接する方法(特許文献2)、単独あるいは高分子化合物とともに噴霧乾燥又は凍結乾燥する方法(特許文献3)、脱酸素剤とともに密封包装する方法(特許文献4)、エデト酸及びその塩類を配合する方法(特許文献5)、プロピレングリコールなどの多価アルコールを配合する方法(特許文献6)、界面活性剤を配合する方法(特許文献7)、キサンチン類を配合する方法(特許文献8)などが提案されている。
エグアレンナトリウムは、アズレンスルホン酸ナトリウムと同じアズレン環を母核構造として持ちながら、アズレンスルホン酸ナトリウムに比べ遥かに安定な化合物である。しかしながら、そうであっても、高温、高湿度又は曝光下においては、わずかながらエグアレンナトリウム由来の分解物の生成が認められ、製剤化において、保管時に分解物の生成を抑える手法を施すことが要請されている。
特公平1―49259号公報 特開昭56−30927号公報 特開平1−50225号公報 特開昭59−176247号公報 特開平1−121216号公報 特開2005−154334号公報 特許第2505513号公報 特開2003−128537号公報
本発明は,エグアレンナトリウムの分解物の生成を抑えた、エグアレンナトリウム固形製剤、すなわち安定なエグアレンナトリウム固形製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、意外にも、ポビドン又はその誘導体を配合することによって、エグアレンナトリウム由来の分解物の生成を抑えることができることを見出した。また、塩基性を有する添加物を配合することによりエグアレンナトリウム由来の分解物の生成を抑えることができることを見出した。また、エグアレンナトリウムを含有する製剤を、容器中の空気を不活性ガスで置換した容器に封入すること、すなわち、いわゆる不活性ガス置換包装によって、エグアレンナトリウム由来の分解物の生成を抑えることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされた発明である。
すなわち、本発明は、ポビドン及びその誘導体並びに塩基性を有する添加物から選択される一種以上の添加物を配合してなるエグアレンナトリウム固形製剤である。ポビドン誘導体は、クロスポビドンが好ましい。また、塩基性を有する添加物としては、例えば、塩基性無機化合物、塩基性有機化合物が用いられる。そして、塩基性無機化合物としては、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれた一種又は二種以上が好ましく用いられる。また、塩基性を有する添加物としては、アルギニン、リジン、ヒスチジン及びオルニチンから選ばれた一種叉は二種以上が好ましく用いられる。また、本発明は、固形製剤を水に1W/V%濃度に分散させたときの水分散液のpHが6.5以上になるに十分な量の上記の塩基性を有する添加物を配合してなるエグアレンナトリウム固形製剤である。また、本発明は、不活性ガス置換包装されてなるエグアレンナトリウム固形製剤である。
ポビドン及びその誘導体並びに塩基性を有する添加物から選択される一種以上の添加物を配合することにより、エグアレンナトリウム由来の分解物の生成を抑え、安定なエグアレンナトリウム固形製剤を得ることができる。さらに、ポビドン及びその誘導体と塩基性を有する添加物とを併用して配合することにより、エグアレンナトリウム固形製剤の安定性をより向上させることができる。また、エグアレンナトリウム固形製剤を、容器中の空気を不活性ガスで置換した容器に封入することによって、エグアレンナトリウム由来の分解物の生成を抑え、安定なエグアレンナトリウム固形製剤を得ることができる。
本発明におけるエグアレンナトリウムは、例えば、特許文献1に開示される公知の方法により製造することが出来る。本発明で用いるポビドンは、N−ビニルー2−ピロリドンの重合体、すなわちポリビニルピロリドンである。また、ポビドン誘導体としては、クロスポビドンが挙げられる。クロスポビドンは、ポリビニルピロリドンの架橋物である。本発明で用いる塩基性を有する添加物としては塩基性無機化合物及び塩基性有機化合物が挙げられる。塩基性無機化合物としては、具体的には炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは炭酸水素ナトリウムが用いられる。また、塩基性有機化合物としては、具体的には塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の医薬品、食品で汎用されるものが挙げられ、好ましくはアルギニン、リジンが用いられる。これらは、一種叉は2種以上用いることができる。
ポビドン、その誘導体又は塩基性を有する添加物の配合量は、製剤中のエグアレンナトリウムの含有量に応じて適宜選択する。配合量の一例を挙げるとすれば、製剤中のエグアレンナトリウム1重量部に対し、クロスポビドンは0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜0.5重量部、ポビドンは0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜0.5重量部、塩基性を有する添加物は0.005〜1重量部、好ましくは、0.05〜0.1重量部程度である。塩基性を有する添加物を配合する場合は、製剤した固形製剤を水に1W/V%濃度に分散させたときの水分散液のpHが6.5以上になるに十分な量の塩基性を有する添加物を配合するのが好ましい。pHが7以上になるに十分な量の塩基性を有する添加物を配合するのがさらに好ましい。また、本発明において、ポビドン又はその誘導体と塩基性を有する添加物とを、併用して配合することにより、エグアレンナトリウム固形製剤の安定性をより向上させることができる。
本発明の製剤において、その他の配合成分として、通常の経口投与製剤に用いられる添加剤を使用することができる。医薬品に添加することができる成分であれば特に限定されないが、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、安定化剤、可塑剤、矯味剤、コーティング剤、着色剤等を配合することができる。
賦形剤としては、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、二酸化ケイ素、クエン酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、コムギデンプン、コメデンプン、ゼラチン、炭酸カルシウム、トウモロコシデンプン、トレハロース、白糖、バレイショデンプン、ブドウ糖、乳糖水和物、D-マンニトール、無水乳糖、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルセルロース、リン酸水素カルシウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カンテン末、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
結合剤としては、エチルセルロース、カラメル、カルメロース、グァーガム、コムギデンプン、コメデンプン、ゼラチン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、パラフィン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポリビニルアルコール、マクロゴール、メチルセルロース、ワックス等が挙げられる。滑沢剤としてはカルナウバロウ、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、軽質流動パラフィン、ジメチルポリシロキサン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、流動パラフィン等が挙げられる。滑沢剤は、錠剤化する成形材料の流動性を改善するためや、製造される錠剤に、スティッキング、ラミネーション、キャッピング等の打錠障害や、打錠工程における杵や臼のギシツキを防止するために、通常、成形材料中に添加される成分であるが、錠剤の濡れ性の改善のために、錠剤表面に塗布してもよい。
界面活性剤としては、アルキルアリルポリエーテルアルコール、コレステロール、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステル、スクワラン、ステアリルアルコール、セタノール、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリソルベート、マクロゴール、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール等が挙げられる。安定化剤としては、アスコルビン酸、アルブミン、エデト酸ナトリウム、トコフェロール等が挙げられる。可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン、ジメチルポリシロキサン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、濃グリセリン、ヒマシ油、フタル酸ジオクチル、プロピレングリコール、マクロゴール、流動パラフィン等が挙げられる。
矯味剤としては、アスパルテーム、アマチャ末、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、エリスリトール、オレンジ、カカオ末、果糖、還元麦芽糖水アメ、カンゾウ末、キシリトール、クエン酸カルシウム、クエン酸水和物、L-グルタミン、L-グルタミン酸、グレープフルーツエキス、サッカリン、シクロデキストリン、酒石酸、ステビア抽出精製物、精製白糖、精製ハチミツ、D-ソルビトール、トレハロース、白糖、ブドウ糖、マルチトール、D-マンニトール、メントール、緑茶末、レモン油等の医薬品、食品で汎用されるものを用いることが出来る。着色剤としては、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、褐色酸化鉄、カーボンブラック、黒酸化鉄、酸化チタン、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、銅クロロフィル、フェノールレッド、メチルロザニリン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等が挙げられる。
本発明の製剤の剤型としては、散剤、顆粒剤(コーティング顆粒等を含む)、細粒剤、錠剤(素錠、コーティング錠、糖衣錠、チュアブル錠、口腔内崩壊錠など)、硬カプセル剤、軟カプセル剤、丸剤、トローチ剤、ドライシロップ剤、液剤、エリキシル剤、酒精剤、シロップ剤、リニメント剤等製剤として知られている種々の固形剤型を採用することができる。
散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤については、例えば第15改正日本薬局方の製剤総則に記載された粉砕、分級、混合、練合、造粒、乾燥、整粒、打錠等の方法など、この技術分野における常法により製造することが出来る。すなわち、錠剤の場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤などに、クロスポビドン、ポビドン又は塩基性を有する添加物を加え混合し、エグアレンナトリウムの溶液を加えて顆粒とし、これに滑沢剤等を加えて打錠して錠剤とするか、あるいは、単にエグアレンナトリウムとクロスポビドン、ポビドン又は塩基性添加物及びその他の添加物を混合し、打錠するといった乾式法等によっても製することができる。造粒方法としては、特に制限は無いが、例えば流動層造粒、攪拌造粒、高速攪拌造粒、押出し造粒等の湿式造粒、乾式造粒が挙げられる。錠剤の製造方法は特に制限は無く、例えばロータリー式打錠機を用いて行うことができる。打錠機としては杵及び臼に滑沢剤を塗布する装置を備えたものを用いることも出来る。
錠剤、顆粒剤については、公知の方法でコーティングを施しても良い。コーティング剤としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、エチルセルロース、オパドライ、カルナウバロウ、カルボキシビニルポリマー、カルメロースカルシウム、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、酸化チタン、ジメチルポリシロキサン、白糖、ゼラチン、タルク、パラフィン、ヒプロメロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、フタル酸ジブチル、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、マクロゴール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタクリル酸コポリマー、メチルセルロース、ラウロマクロゴール等が挙げられる。さらに、錠剤の場合には、種々の崩壊剤等を配合することにより、口腔内崩壊錠、チュアブル錠などとすることもできる。
エグアレンナトリウム固形製剤は、不活性ガス雰囲気下において、エグアレンナトリウム由来の分解物の生成が抑えられる。本発明は、不活性ガス置換包装されてなるエグアレンナトリウム固形製剤にかかわる。エグアレンナトリウム固形製剤の不活性ガス置換包装は、エグアレンナトリウム固形製剤を、外気と遮断が可能な容器中に収納し、該容器内の空気を不活性ガスで置換することにより行える。容器としては、アルミラミネート分包容器、瓶、缶、PTP、カプセルなどの一般の医薬品に用いられる容器が使用できる。また、不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが用いられる。不活性ガスの充填は通常使用される一般的な装置を使用することができる。ここで、不活性ガス置換包装とは、不活性ガスが大部分の雰囲気であって、酸素濃度が10%以下、好ましくは3%以下に減少している雰囲気の容器内に、エグアレンナトリウム固形製剤が封入された包装形態をいう。
本発明のエグアレンナトリウム固形製剤は、優れた胃粘膜損傷形成抑制作用、潰瘍治癒促進作用などを示し、胃潰瘍の治療に用いることができる。本発明のエグアレンナトリウム固形製剤を胃潰瘍などの治療に用いる場合には、上記のように種々の剤型にして、経口投与することができる。その投与量は、エグアレンナトリウムとして、約15〜60mg/日、好ましくは、30mg/日である。
以下、本発明について実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。
実施例1
エグアレンナトリウムを50%エタノールに加え、攪拌して溶解し、エグアレンナトリウム溶液(0.33g/mL)を調製した。トウモロコシデンプン(133重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、クロスポビドン(10重量部)を混合し、上記エグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例2
トウモロコシデンプン(133重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、ポビドン(10重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例3
トウモロコシデンプン(143重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、結晶セルロース(10重量部)、クロスポビドン(5重量部)、ポビドン(5重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例4
トウモロコシデンプン(132重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、炭酸水素ナトリウム(1重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例5
トウモロコシデンプン(132重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、炭酸水素ナトリウム(5重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例6
トウモロコシデンプン(140重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、結晶セルロース(10重量部)、クロスポビドン(5重量部)、ポビドン(5重量部)及び炭酸水素ナトリウム(1重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例7
トウモロコシデンプン(140重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、結晶セルロース(10重量部)及びリジン(1重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実施例8
トウモロコシデンプン(140重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、結晶セルロース(10重量部)及びアルギニン(1重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
比較例1
トウモロコシデンプン(133重量部)、ヒドロキシプロピルセルロース(2重量部)、結晶セルロース(10重量部)を混合し、実施例1で調製したエグアレンナトリウム溶液(エグアレンナトリウムとして15重量部を含有する)を加え、造粒した。得られた顆粒を乾燥、整粒した後、打錠機で圧縮成型して錠剤とした。
実験例1
実施例及び比較例で得られた錠剤につき、その安定性を試験した。この試験は、実施例及び比較例で得られた錠剤を、以下の条件1〜3の保存条件にて5日間保存した。エグアレンナトリウムの分解によって種々の類縁物質が生成するが、5日間保存後に、エグアレンナトリウムの分解によって生成する類縁物質類の合計含量(総類縁物質の含量:質量%)を、高速液体クロマトグラフィーにて測定した。その測定結果を表1に示す。また、打錠用粉末1錠分を秤取し、水を加えて1W/V%の水分散液を調製し、そのpHを測定した。その結果も表1に示す。
[保存条件]
(条件1)
保存条件:室温、暗所
包装形態:ガラス瓶密栓
(条件2)
保存条件:50℃、暗所
包装形態:ガラス瓶密栓
(条件3)
保存条件:50℃、75%RH、暗所
包装形態:ガラス瓶開放
Figure 0005878510
クロスポビドン、ポビドンを配合した実施例1〜3の製剤においては、比較例の製剤に比べ、いずれの条件においても、エグアレンナトリウムの分解によって生じる総類縁物質量が少なく、クロスポビドン、ポビドンの配合により、製剤中のエグアレンナトリウム由来の分解物の生成量が減少したことが分かる。また、塩基性を有する添加物である炭酸水素ナトリウムを配合した実施例4、5の製剤においても、いずれの条件においても、比較例に比べ、エグアレンナトリウムの分解によって生じる総類縁物質量が少なく、製剤中のエグアレンナトリウム由来の分解物の生成量が減少したことが分かる。さらに、クロスポビドン、ポビドン及び炭酸水素ナトリウムを配合した実施例6の製剤においては、各々を単独で配合した実施例1〜5の製剤に比較して、エグアレンナトリウムの分解によって生じる総類縁物質量が少なく、製剤中のエグアレンナトリウム由来の分解物の生成量が減少したことが分かる。また、塩基性を有する添加物であるリジン又はアルギニンを添加した実施例7,8は、いずれも、いずれの条件においても、比較例に比べ、エグアレンナトリウムの分解によって生じる総類縁物質量が少なく、製剤中のエグアレンナトリウム由来の分解物の生成量が減少したことが分かる。
実施例9
比較例1で得られたエグアレンナトリウム錠剤を、ガラス瓶に入れ、窒素ガスで置換した状態でキャップをし、密栓状態で保管した。
密栓状態での保管において、実験例1の条件1及び条件2の保存条件下で、実験1と同様にして、エグアレンナトリウムの分解によって生成する類縁物質類の合計含量(総類縁物質の含量:質量%)を測定して、その安定性を試験した。その結果、条件1(室温、暗所)では、総類縁物質の含量は0.15質量%であり、条件2(50℃、暗所)では、総類縁物質の含量は0.16質量%であった。なお、不活性ガス置換しない場合(比較例1)については、条件1(室温、暗所)では総類縁物質の含量は0.30質量%であり、条件2(50℃、暗所)では、総類縁物質の含量は0.43質量%であった。窒素置換した場合は、窒素置換しない場合に比べ、総類縁物質量の生成量が少なく、製剤中のエグアレンナトリウム由来の分解物の生成量が減少したことが分かる。

Claims (4)

  1. ポビドン及び/又はクロスポビドンと塩基性無機化合物とを配合してなるエグアレンナトリウム固形製剤であって、
    製剤中のエグアレンナトリウム1重量部に対するポビドンの配合量が0.2〜0.5重量部、製剤中のエグアレンナトリウム1重量部に対するクロスポビドンの配合量が0.2〜0.5重量部であり、塩基性無機化合物が、製剤中のエグアレンナトリウム1重量部に対して0.005〜1重量部配合される、上記エグアレンナトリウム固形製剤。
  2. 塩基性無機化合物が、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び水酸化ナトリウムから選ばれた一種又は二種以上である、請求項1に記載のエグアレンナトリウム固形製剤。
  3. 固形製剤を水に1W/V%濃度に分散させたときの水分散液のpHが6.5以上になるのに十分な量の塩基性無機化合物が配合されている、請求項1又は2に記載のエグアレンナトリウム固形製剤。
  4. 製剤中のエグアレンナトリウム1重量部に対して塩基性無機化合物が0.05〜0.1重量部配合される、請求項1〜のいずれかに記載のエグアレンナトリウム固形製剤。
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