JP4174300B2 - L−グルタミンおよびアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法 - Google Patents

L−グルタミンおよびアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する経口投与錠剤は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎等の胃腸障害治療薬として、経口投与錠剤や散剤といった剤形のものが幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら経口投与錠剤は服用時に多量の水を必要とし、また嚥下力の弱い高齢者や小児にとっては服薬しづらいといった問題がある。
【0004】
また散剤は服用時に水を必要とし、また服用時に粉がこぼれるといった問題がある。
【0005】
このため患者、医師、薬剤師等から、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する製剤であって服用時に水を必要としないか、少量の水で服用できる、服用時に粉がこぼれるといった問題の無い速崩錠または口腔内崩壊錠を提供して欲しいという要望がある。
【0006】
かかる要望に応えるものとしては、例えば特許文献1に記載のアズレンスルホン酸ナトリウムグルタミン経口用錠剤が既に提案されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のアズレンスルホン酸ナトリウムグルタミン経口用錠剤は、錠剤中に炭酸金属塩と有機酸とを含有し口腔内で唾液と接触すると炭酸金属塩が分解し炭酸ガス(CO2ガス)を発生することにより錠剤の崩壊を促進する、いわゆる発泡錠であるため口腔内への刺激がある。
【0008】
また、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠では、L−グルタミンの含有量に対しアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が著しく少ないため、L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウム、炭酸金属塩、有機酸を単純に混合して成形材料を準備し、これを圧縮成形した場合には、錠剤中にアズレンスルホン酸ナトリウムが均一に分散しない錠剤が製造される場合がある。
【0009】
また、速崩錠または口腔内崩壊錠として、水または唾液に対する崩壊時間を短時間にするために、成形材料を圧縮する際の圧縮力を低くすると、錠剤の保存中、搬送中に加わる外部からの力により錠剤に欠けが生じ易くなるという問題もある。
【特許文献1】
特開2000−26286号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、服用時に水を必要とせず、口腔内で唾液と接触することで速やかに崩壊する服用しやすいL−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
また本発明は、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する製剤であって、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性に優れた速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
また本発明は、アズレンスルホン酸ナトリウムが、錠剤中に均一に分散しているL−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
また、本発明は、口腔内において崩壊時間が短く、且つ、保存や運搬中に、外部から力が加わっても錠剤に欠けが生じ難い、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
また、本発明は、錠剤中に、発泡成分を含んでおらず、口腔内への刺激が少ない、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記(1)〜(8)に関する。
【0016】
(1) L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して得られる造粒物を圧縮成形して得られる実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠。
【0017】
(2) L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して得られる造粒物と、添加剤との混合物からなる成形材料を圧縮成形して得られる実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠。
【0018】
(3) 造粒物中に無水乳糖が形成されている、前記(1)または(2)に記載の速崩錠または口腔内崩壊錠。
【0019】
(4) 外部滑沢錠である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の速崩錠または口腔内崩壊錠。
【0020】
(5) L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を準備する工程と、該混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して造粒物を製造する工程と、該造粒物を圧縮成形する工程とを備える、実質的に発泡成分を含まない、L−グルタミンおよびアズレンスルホン酸ナトリウムを含む速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
【0021】
(6) L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を準備する工程と、該混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して造粒物を製造する工程と、該造粒物と添加剤とを混合して成形材料を準備する工程と、該成形材料を圧縮成形する工程とを備える、実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
【0022】
(7) 造粒物の製造工程で無水乳糖が形成される前記(5)または(6)に記載の速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
【0023】
(8) 該成形材料を圧縮成形する工程が、表面に滑沢剤を塗布した杵、臼を用いて、該成形材料を、圧縮成形する工程であることを特徴とする、前記(5)〜(7)のいずれかに記載の速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の速崩錠は、少量の水で服用できる錠剤を意味する。また本発明の口腔内崩壊錠は、水無しで服用できるいわゆる口腔内速崩壊錠を意味する。速崩錠および口腔内崩壊錠の口腔内での崩壊時間としては、60秒以下が好ましく、30秒以下が特に好ましい。本発明の速崩錠または口腔内崩壊錠の強度は、30N以上が好ましく、40N以上がより好ましく、50N以上が特に好ましい。
本願発明の速崩錠または口腔内崩壊錠中のL−グルタミンの含量は特に制限はないが、30〜99.9重量%が好ましく、50〜98重量%がより好ましく、70〜95重量%が特に好ましい。
【0025】
本願発明の速崩錠または口腔内崩壊錠中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含量は特に制限はないが、0.001〜5.0重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましく、0.03〜1重量%が特に好ましい。
【0026】
本願発明の速崩錠または口腔内崩壊錠において崩壊剤は2種類以上含まれていてもよい。
【0027】
崩壊剤としては、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムがあげられ、クロスポビドンが好ましい。
【0028】
崩壊剤は、製造される速崩錠または口腔内崩壊錠中に、1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%となるように配合する。乳糖は市販のものを用いることができる。
【0029】
本発明において結合剤として用いる乳糖含有水溶液に由来する乳糖の量は、速崩錠または口腔内崩壊錠1錠中、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。
【0030】
乳糖含有水溶液中の乳糖の濃度は、特に制限はないが、1.0〜40重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましく、5〜20重量%が特に好ましい。
【0031】
乳糖は、それ自身が、炭水化物としての栄養を有すると同時に、水に溶けるが、水に溶けても粘性が低いという性質を有する。
【0032】
また、この速崩錠または口腔内崩壊錠中には、添加剤が添加されていてもよい。添加剤は、本発明の速崩錠または口腔内崩壊錠の製造過程のいずれに添加されてもよく、例えば、L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物に混合して使用されてもよく、またL−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を造粒して得られる造粒物に混合して使用してもよい。
【0033】
添加剤としては、医薬品に添加することができる成分であれば特に制限はないが、例えば、香料、甘味剤、矯味剤、着色剤、流動化剤、滑沢剤、賦形剤があげられ、単独または組み合わせて使用される。これらの速崩錠または口腔内崩壊錠中の濃度は、特に制限はないが各々微量〜10重量%が好ましく、0.001〜5重量%がより好ましく、0.01〜2重量%が特に好ましい。
【0034】
しかしながら本願発明の添加剤には、炭酸塩と有機酸等の組合せからなる発泡成分は実質的に含まれない。
【0035】
香料としては、例えば、柑橘系のフレーバー、メントール等のような医薬品、食品で汎用されるものを用いることができ、甘味剤および矯味剤としては、例えば、アスパルテーム、グルコース、フルクトース、サッカリン等があげられる。
【0036】
着色剤としては、例えば、ベータカロチン等の食用色素や黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄等をあげることができる。
【0037】
流動化剤または滑沢剤としては、タルク、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム等をあげることができる。
【0038】
賦形剤としては、例えばトレハロース、マンニトールまたは乳糖等をあげることができる。
【0039】
本発明に係る速崩錠または口腔内崩壊錠は、錠剤内部に滑沢剤を含んでいても良いが、錠剤内部に滑沢剤が含まれていると滑沢剤の撥水性が原因となって錠剤の水に対する濡れ性が、錠剤内部に滑沢剤が含まれていない錠剤に比べて、低下するという現象が生じるので錠剤の内部に滑沢剤を含有しないものが好ましい。
【0040】
滑沢剤は、錠剤化する成形材料の流動性を改善するためや、製造される錠剤に、スティッキングや、ラミネーションや、キャッピング等の打錠障害や、打錠工程における杵や臼のギシツキを防止するために、通常、成形材料中に添加される成分であり例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムやステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等があげられる。
【0041】
本発明の、速崩錠または口腔内崩壊錠は、L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を乳糖含有水溶液を結合剤に用いて造粒し乾燥して得られる造粒物を圧縮成形することにより製造される。
【0042】
造粒方法としては、特に制限はないが、例えば流動層造粒、転動流動層造粒、攪拌造粒、高速攪拌造粒、押出造粒等の湿式造粒よる調製が好ましい。これら造粒物の粒度や比表面積は打錠に差し支えない流動性があれば特に限定されず任意に設定することができる。
【0043】
乳糖含有水溶液は、乳糖を純水等の水に溶解して製造することができ、溶解温度は特に制限がないが、40〜100℃が好ましく、50〜95℃が好ましく、60〜90℃が特に好ましい。造粒温度は特に制限はないが、40〜100℃が好ましく、40〜95℃がより好ましく、50〜90℃が特に好ましい。これによりアミノ酸粒子−アミノ酸粒子間、崩壊剤粒子−崩壊剤粒子間、アミノ酸粒子−崩壊剤粒子間を結合している結合剤(乳糖)中に無水乳糖結晶が形成されやすくなり、これが、外部からの物理的な力に対して、形態保持性をより発揮しやすくなる。
【0044】
なお、本発明の速崩錠または口腔内崩壊錠中には、無水乳糖結晶が存在している場合には、例えば、該存在は例えば薬剤学、48(1)、1(1988年)に記載のX線回折方法等で確認することができる。
【0045】
乾燥方法としては特に制限はないが、例えば流動層乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等があげられる。乾燥温度は特に制限はないが、40〜100℃が好ましく、50〜95℃が好ましく、60〜90℃が特に好ましい。
【0046】
本発明において、錠剤の製造方法は特に制限はなく、例えばロータリー式打錠機を用いて行うことができる。打錠機としては、杵および臼に滑沢剤を塗布する装置を備えないものも使用できるが、杵および臼に滑沢剤を塗布する装置を備えたものを用いることが好ましい。圧縮形成は、滑沢剤を塗布した杵および臼または滑沢剤を塗布していない杵および臼を用いて行うことができる。
【0047】
【実施例】
実施例1
L−グルタミン(協和発酵工業社製)4534g、アズレンスルホン酸ナトリウム(寿製薬社製)15g、クロスポビドン(商品名:ポリプラスドンXL−10、アイエスピー・ジャパン社製)250gを攪拌造粒機(製品名:VG−25型、パウレック社製)に投入し、5分間混合した。乳糖(日本薬局方品)150gを60〜70℃の温度範囲に加温した精製水750gに溶解させ室温まで放冷した後、混合物に添加し5分間練合を行い、0.8mm口径のスクリーンを装着した押出造粒機(商品名:DGL−1型、不二パウダル社製)に投入し押出造粒した。その後速やかに流動層乾燥機(WSG−5型、グラット社製)に移し、80℃の吸気温度で約15分間乾燥をした。得られた乾燥物を28号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(商品名:AP−15型、畑鉄工所製)に、打錠用顆粒を臼内に充填する前に上および下杵の表面、臼壁にステアリン酸マグネシウムを塗布する装置を装着し、錠剤重量728mg、打錠圧20kNで圧縮成形し口腔内速崩錠または口腔内崩壊錠を得た。
【0048】
実施例2
L−グルタミン(協和発酵工業社製)4534g、アズレンスルホン酸ナトリウム(寿製薬社製)15g、クロスポビドン(商品名:ポリプラスドンXL−10、アイエスピー・ジャパン社製)125gを攪拌造粒機(VG−25型、パウレック社製)に投入し、5分間混合した。乳糖150gを加温した精製水750gに溶解させ室温まで放冷した後、混合物に添加し5分間練合を行い、0.8mm口径のスクリーンを装着した押出造粒機(DGL−1型、不二パウダル社製)に投入し押出造粒した。その後速やかに流動層乾燥機(WSG−5型、グラット社製)に移し、80℃の吸気温度で約15分間乾燥をした。得られた乾燥物を28号金網で整粒し、その整粒物1950g、クロスポビドン50g、L−メントール1gを混合し、打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(AP−15型、畑鉄工所製)に、打錠用顆粒を臼内に充填する前に上および下杵の表面、臼壁にステアリン酸マグネシウムを塗布する装置を装着し、錠剤重量728mg、打錠圧20kNで圧縮成形し口腔内速崩錠または口腔内崩壊錠を得た。
【0049】
実施例3
実施例1で得られた乾燥整粒物1980g、ステアリン酸マグネシウム20gを混合し、打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(AP−15型、畑鉄工所製)を用いて、錠剤重量728mg、打錠圧20kNで圧縮成形し速崩錠または口腔内崩壊錠を得た。
比較例1
L−グルタミン(協和発酵工業社製)4534g、アズレンスルホン酸ナトリウム(寿製薬社製)15g、クロスポビドン(商品名:ポリプラスドンXL−10、アイエスピー・ジャパン社製)250gを攪拌造粒機(VG−25型、パウレック社製)に投入し、5分間混合した。精製水750gを混合物に添加し5分間練合を行い、0.8mm口径のスクリーンを装着した押出造粒機(DGL−1型、不二パウダル社製)に投入し押出造粒した。その後速やかに流動層乾燥機(WSG−5型、グラット社製)に移し、80℃の吸気温度で約15分間乾燥をした。得られた乾燥物を28号金網で整粒し、その整粒物2980g、ステアリン酸マグネシウム20gを混合し打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(AP−15型、畑鉄工所製)を用いて、錠剤重量706mg、打錠圧20kNで圧縮成形し錠剤を得た。
【0050】
比較例2
L−グルタミン(協和発酵工業社製)4534g、アズレンスルホン酸ナトリウム(寿製薬社製)15g、クロスポビドン(商品名:ポリプラスドンXL−10、アイエスピー・ジャパン社製)250g、乳糖150gを攪拌造粒機(VG−25型、パウレック社製)に投入し、5分間混合した。精製水750gを混合物に添加し5分間練合を行い、0.8mm口径のスクリーンを装着した押出造粒機(DGL−1型、不二パウダル社製)に投入し押出造粒した。その後通風箱型乾燥機(日本乾燥機製、TE-81型)を用いて、通風温度40℃で18時間乾燥した。得られた乾燥物を28号金網で整粒し、その整粒物2980g、ステアリン酸マグネシウム20gを混合し打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(AP−15型、畑鉄工所製)を用いて、錠剤重量728mg、打錠圧20kNで圧縮成形し錠剤を得た。
【0051】
比較例3
L−グルタミン(協和発酵工業社製)4534g、アズレンスルホン酸ナトリウム(寿製薬社製)15g、クロスポビドン(商品名:ポリプラスドンXL−10、アイエスピー・ジャパン社製)250gを攪拌造粒機(VG−25型、パウレック社製)に投入し、5分間混合した。乳糖150gを加温した精製水750gに溶解させ室温まで放冷した後、混合物に添加し5分間練合を行い、0.8mm口径のスクリーンを装着した押出造粒機(DGL−1型、不二パウダル社製)に投入し押出造粒した。その後速やかに流動層乾燥機(WSG−5型、グラット社製)に移し、80℃の吸気温度で約15分間乾燥をした。得られた乾燥物を28号金網で整粒し、その整粒物3600g、クエン酸180g、炭酸水素ナトリウム180g、ステアリン酸マグネシウム40gを混合し打錠用顆粒とした。φ13mm平面杵を装着したロータリー型打錠機(AP−15型、畑鉄工所製)を用いて、錠剤重量800mg、打錠圧20kNで圧縮成形し錠剤を得た。
【0052】
試験例1
次に、上記した実施例1〜3および比較例1〜3の各々の速崩錠または口腔内崩壊錠について、錠剤硬度試験と、口腔内崩壊時間試験とを行った。
【0053】
尚、錠剤硬度試験は、錠剤硬度計(商品名:TH−303MP型、富山産業社製)を用い、各々の錠剤10錠の硬度を測定し、その平均値を算出するようにした。
【0054】
また、口腔内崩壊時間試験は、健康な成人10名に、各々の錠剤を口腔内に入れてもらい、各々の錠剤を口腔内に入れてから、唾液のみにて、錠剤が崩壊するまでの時間を測定し、その平均値を算出するようにした。
【0055】
結果を、表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004174300
表1の結果から、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、いずれも、保存や運搬時に、錠剤に割れや欠けが生ぜず、実用レベルで問題が無いとされる、40N以上の錠剤硬度を有していた。一方、比較例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、実用レベルの錠剤で必要とされる錠剤硬度(40N)以下であった。
【0057】
また、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、いずれも、口腔内に錠剤を入れてから30秒以内に錠剤が口腔内で完全に崩壊したのに対し、比較例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、口腔内に錠剤を入れてから完全に崩壊するまでに、30秒以上の時間を要した。
【0058】
以上の結果から、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、実用レベルの錠剤として必要とされる錠剤硬度を有し、且つ、口腔内で速やかに崩壊するという優れた崩壊特性を有する速崩錠または口腔内崩壊錠であることが明らかになった。
【0059】
また、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、発泡成分を含んでいないため、口腔内に対する刺激が無いという長所を有する。
【0060】
また、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠は、製造される錠剤に打錠工程においてスティッキングが発生しなかったのに対し、錠剤強度を高めた比較例3の速崩錠または口腔内崩壊錠の一部にスティッキングが発生したものが観察された。
【0061】
また、実施例1〜3の速崩錠または口腔内崩壊錠を対比した場合には、実施例3の速崩錠または口腔内崩壊錠(内部滑沢錠剤)に比べ、実施例1〜2の速崩錠または口腔内崩壊錠(外部滑沢錠剤)の方が、口腔内で速やかに崩壊し、且つ錠剤強度が高いことが明らかになった。
【0062】
【発明の効果】
本発明により、服用時に水を必要とせず、口腔内で唾液と接触することで速やかに崩壊する服用しやすいL−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法が提供される。
【0063】
また本発明により、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する含有する製剤であって、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性に優れた速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法が提供される。
【0064】
また本発明により、アズレンスルホン酸ナトリウムが、錠剤中に均一に分散しているL−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法が提供される。
【0065】
また、本発明により、口腔内において崩壊時間が短く、且つ、保存や運搬中に、外部から力が加わっても錠剤に欠けが生じ難い、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法が提供される。
【0066】
また、本発明により、錠剤中に、発泡成分を含んでおらず、口腔内への刺激が少ない、L−グルタミンとアズレンスルホン酸ナトリウムとを含有する速崩錠または口腔内崩壊錠並びにその製造方法が提供される。

Claims (8)

  1. L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して得られる造粒物を圧縮成形して得られる実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠。
  2. L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して得られる造粒物と、添加剤との混合物からなる成形材料を圧縮成形して得られる実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠。
  3. 造粒物中に無水乳糖が形成されている、請求項1または2に記載の速崩錠または口腔内崩壊錠。
  4. 外部滑沢錠である請求項1〜3のいずれかに記載の速崩錠または口腔内崩壊錠。
  5. L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を準備する工程と、該混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して造粒物を製造する工程と、該造粒物を圧縮成形する工程とを備える、実質的に発泡成分を含まない、L−グルタミンおよびアズレンスルホン酸ナトリウムを含む速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
  6. L−グルタミン、アズレンスルホン酸ナトリウムおよび崩壊剤を含む混合物を準備する工程と、該混合物を、乳糖含有水溶液を結合剤として用いて造粒し乾燥して造粒物を製造する工程と、該造粒物と添加剤とを混合して成形材料を準備する工程と、該成形材料を圧縮成形する工程とを備える、実質的に発泡成分を含まない速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
  7. 造粒物の製造工程で無水乳糖が形成される請求項5または6に記載の速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
  8. 該成形材料を圧縮成形する工程が、表面に滑沢剤を塗布した杵、臼を用いて、該成形材料を、圧縮成形する工程であることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の速崩錠または口腔内崩壊錠の製造方法。
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