JP4358117B2 - 口腔内速崩壊錠 - Google Patents

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本発明は、口腔内で速やかに崩壊する錠剤に関する。
経口投与される医薬の剤形としては、主として顆粒剤、散剤もしくは細粒剤、錠剤もしくはカプセル剤をはじめとする固形製剤、またはシロップ剤等の液剤が挙げられる。ここで、顆粒剤、散剤もしくは細粒剤は、服用する者にザラツキや歯の間に入り込んでしまう不快感を感じさせることも少なくない。錠剤やカプセル剤をはじめとする固形製剤は、顆粒剤、散剤もしくは細粒剤に比べ、利用者にとって非常に扱い易く、経口医薬品として汎用されているが、食道につかえる等の理由から嚥下力の弱い高齢者や小児にとって、服用しにくい剤形である。かかる固形製剤は、経口投与により消化管内で崩壊、溶解して医薬成分を吸収させることを目的としているので、一般的に口腔内での速い崩壊性や溶解性を示さない。一方、シロップ剤は、高齢者や小児にとっても服用しやすい剤形であるが、正確な計量が期待しにくいという問題点を有する。
かかる医薬製剤の現状に対して、人口の高齢化や生活環境の変化に伴い、錠剤の特徴である取扱いの便利さを保ちつつも、高齢者や小児等の嚥下力が弱い患者でも容易に服用することができ、また水なしで手軽に何時、何処でも随時服用することのできる口腔内崩壊型固形製剤の開発が要望されている。口腔内で速やかに崩壊する錠剤であれば嚥下力の弱い患者でも服用が容易であり、シロップ剤等の液剤とは異なり正確な薬物量を投与することが可能である。さらに、かかる患者以外の一般患者においても、水の用意ができない外出先などでも水なしで服用できることから、口腔内崩壊型固形製剤は患者全般に対して服薬コンプライアンスが向上できる剤形である。
ここで、単に崩壊の速い製剤であれば、薬物処方成分を低圧力で圧縮成型することにより容易に得られるが、このような製剤は製剤強度が低く、製剤の包装工程や流通過程、さらには利用者の服用時における包装からの製剤の取り出し時などにおいて、その形状を保持できず破壊してしまうことが十分にありえる。従って、口腔内速崩壊性製剤においては、優れた口腔内速崩壊性と共に、取扱い上問題のない程度の製剤強度を兼ね備えている必要がある。
しかし、一般に錠剤の溶解性と錠剤の硬度とは互いに二律背反の関係にある。すなわち、錠剤の溶解性を向上させ溶解速度の迅速化を図ることは、錠剤硬度を劣化させることにつながる。しかし、錠剤硬度は、上述のように製造過程での運搬や包装工程、さらには流通過程を経て利用者の服用時における包装からの錠剤の取出し時などにおいて重要な要素である。この錠剤硬度が不十分であれば、上記各過程において錠剤が形状を保持できず型崩れを起こしてしまうこととなる。
口腔内で速やかに崩壊し溶解する製剤をつくる技術としては、従来医薬成分を水性溶媒に溶解または懸濁させた後、ブリスターパックの予め成形したポケットに充填し、この溶液を凍結乾燥するかあるいは真空乾燥し水分を除去して製造する方法が提案されている。これら固形製剤は迅速な溶解性を有するものの十分な機械的強度が得られない、または完成状態での吸湿性が高く通常の取扱いが困難であるなどの問題を残している。さらに、これら固形製剤の製造方法は、種々の組成物を加熱溶融して充填成形した後で冷却固化する方法、または湿潤状態にて充填成形または加圧成形した後乾燥する方法をとるため、製造に長時間を要するなどの問題がある。
また、錠剤の製造方法として最もよく用いられている湿式成形による口腔内崩壊型製剤の製造についての研究も進められている。特許文献1には、薬物および加湿により成形可能に湿潤しかつ成形後の乾燥により該形状を維持する物質を含有する口腔内速崩壊性製剤が開示され、このような物質として、糖類、糖アルコール、水溶性高分子物質が例示されている。特許文献2には、薬物、糖類、糖類の粒子表面が湿る程度の水分を含む混合物を打錠し、乾燥させる方法が、特許文献3には、薬物、水溶性結合剤、水溶性賦形剤を含む混合物を低圧力で打錠後、加湿し、乾燥させる方法が記載されている。
しかしながら、上述の製造方法は、湿潤した混合物を打錠するため通常の打錠機を用いるのは困難であり、また打錠後、加湿および乾燥しなければならず製造時の工程数が多いなどの問題があり、さらに水に不安定な薬物に適用することができないという大きな問題点も有している。
特許文献4には、被覆された微結晶または被覆もしくは非被覆の微粒子の形状の有効物質と、賦形剤混合物とを含有し、口中で60秒より短い時間で崩壊することを特徴とする急速崩壊性多粒子状錠剤が開示されている。
しかし、かかる発明においては、崩壊剤を含有させることは記載されているが、その具体的化合物についての記載はない。また、賦形剤としてD−マンニトールを含有させることは全く記載されていない。
また、特許文献5には、口の中で40秒未満で分解し、被覆された微小結晶の形態の活性成分と賦形剤とを含む改良多粒子錠剤(improved multiparticulate tablet)が記載されている。該錠剤には、賦形剤として、例えばクロスポビドンなどの少なくとも一の分解剤と、例えばマンニトールなどのポリオールが平均粒子径100〜500μmの直接圧縮可能な生成物の形態または平均粒子径100μm未満の粉末の形態で、含有されている。
しかし、かかる発明において、マンニトールの比表面積については全く記載されていない。
一方、D−マンニトールは安全性、生理活性物質との配合性に優れ、また、吸湿性がなく、ほとんど水分を保持しないことから、特に、水分に感受性が高い生理活性物質を含有する錠剤またはカプセル剤等の製剤化のためには利用価値が高い賦形剤である。反面、D−マンニトールは圧縮成形時の結合性が悪く、しかも金属壁面との摩擦が大きいことから、賦形剤としてD−マンニトールを含有させると圧縮成形時にダイ・フリクション(die friction)やキャッピング(capping)を引き起こし、また錠剤に充分な硬度を付与できず、さらに錠剤機(打錠機)の臼壁面や杵側面の摩耗の原因ともなり、ときには錠剤機の運転が困難にさえなるという問題がある。そのため、賦形剤としてのD−マンニトールの使用は、咀嚼錠など極めて限られた剤形に限定されているのが現状である。
ここで、D−マンニトールは、X線回析パターンによりα型、β型およびδ型に分類される結晶多形を有する結晶性粉末である[非特許文献1]。結晶性粉末の成形性の改善、すなわち圧縮成形時の結合性の向上において、一般に結晶を微粉砕することで結合点数が増大し、これにより成形性(圧縮成形時の結合性)が向上することが知られている。しかし、D−マンニトールにおいては単に微粉砕することは圧縮成形時の金属壁面との摩擦を助長するばかりでなく、粉立ち、流動性低下といったハンドリング面に問題を抱えることになる。
したがって、従来、D−マンニトールを圧縮成型物の賦形剤として使用する場合は単独で使用されることは少なく、成形性の良い他の賦形剤、例えば糖類と配合し、かつ結合剤、フィラー等他の添加剤とともに配合されて用いられる。
D−マンニトールの成形性を改良する方法として、特許文献6には、D−マンニトールを噴霧乾燥することを特徴とする直打用賦形剤の製造方法が、特許文献7には、圧縮成型性に優れた賦形剤として約1m/g以上の比表面積を有するD−マンニトールを含有する固形組成物が開示されている。しかし、かかる発明で使用されているD−マンニトールの製造方法は煩雑であり、製造コストが高い。また、錠剤を製造する際、粉粒体の流動性が十分でないことや有効成分との混合性が十分ではないことから、錠剤重量および含量の均一性の低下が懸念される。
特許文献8には、平均粒子径が30μm以下のD−マンニトールを含む糖アルコールを含有する錠剤が開示されている。しかし、特に薬理活性成分として水溶性薬物を使用した場合に製剤の口腔内崩壊時間を短縮すべく、さらに改良の余地があった。
特開平9−48726号公報 特開平5−271054号公報 特開平8−291051号公報 特表平6−502194号公報(米国特許第5,464,632号) 特開平11−35450号公報 特開昭61−85330号公報 特開平10−36291号公報 WO97/47287号 Walter-Levy, L., Acad.Sci. Parist. 276 Series C, 1779, (1968)
本発明の目的は、口腔内で水なしでも速やかに崩壊し、また製造および流通過程や病院および患者が取り扱う過程で型崩れなどの問題を発生しない実用的な錠剤硬度を保有した口腔内速崩壊錠を提供することにある。
本発明者らは、水に溶解することができる、好ましくは水への溶解度が0.5mg/ml以上、より好ましくは水への溶解度が1mg/ml以上の薬理活性成分を主薬として含有する口腔内速崩壊錠において、上記目的を達成すべく、まず賦形剤についての試行錯誤の検討の結果、一次粒子の平均粒子径が約30μm程度以上でかつ比表面積が約0.4m/g程度以下であるD−マンニトールの結晶もしくは微粒子を含有させることにより、優れた崩壊性と実用的な錠剤硬度を有した口腔内速崩壊錠を得ることができるという思いがけない知見を得た。さらに、本発明者らは、崩壊剤についても試行錯誤の検討を加え、クロスポビドンを用いるのが好ましく、これ以外の崩壊剤を使用した場合、口腔内の崩壊時間が長くなるという知見を得た。
また、本発明者らは、かかる口腔内速崩壊錠の製造方法についても検討を重ねた結果、上記薬理活性成分、D−マンニトールの結晶もしくは微粒子およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、乾燥して得られる顆粒に、所望により他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形するだけで、実用上問題のない錠剤硬度(約20N程度以上)でかつ約30秒程度以内に口腔内で速やかに崩壊する口腔内速崩壊錠を得ることができることを見出した。特に、滑沢剤を含まない圧縮成型材料を、杵表面および臼壁に予め滑沢剤を塗布した圧縮成形機を用いて圧縮成形する方法(外部滑沢打錠法とよぶ)によれば、さらに口腔内崩壊時間を短縮(約20秒以内)することができるという驚くべき知見を得た。
本発明者らは、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)水への溶解度が0.5mg/ml以上の薬理活性成分、一次粒子の平均粒子径が30μm以上でかつ比表面積が0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンを含有する口腔内速崩壊性錠剤、
(2)ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩、一次粒子の平均粒子径が30μm以上でかつ比表面積が0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンを含有する口腔内速崩壊性錠剤、
(3)さらに、滑沢剤を含有する前記(1)または(2)のいずれかに記載の錠剤、
(4)滑沢剤が錠剤の表面にのみ含有されている前記(3)に記載の錠剤、
(5)滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルおよびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(3)または(4)のいずれかに記載の錠剤、
(6)さらに、矯味剤、甘味剤、香料および着色剤、安定化剤、流動化剤ならびに溶解補助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の錠剤、
(7)薬理活性成分の錠剤中配合率が0.01〜50重量%である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤、
(8)D−マンニトールの錠剤中配合率が20〜99重量%である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤、
(9)クロスポビドンの錠剤中配合率が0.5〜30重量%である前記(1)〜(8)のいずれかに記載の錠剤、
(10)錠剤硬度が20N以上である前記(1)〜(9)のいずれかに記載の錠剤、
(11)口腔内の崩壊時間が30秒以下である前記(1)〜(10)のいずれかに記載の錠剤、
(12)薬理活性成分が、塩酸ミドドリンである前記(1)〜(11)のいずれかに記載の錠剤、
(13)水への溶解度が0.5mg/ml以上の薬理活性成分、一次粒子の平均粒子径が30μm以上でかつ比表面積が0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、次いで乾燥して得られる顆粒に、所望により他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形することを特徴とする口腔内速崩壊錠の製造方法、
(14)ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩、一次粒子の平均粒子径が30μm以上でかつ比表面積が0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、次いで乾燥して得られる顆粒に、所望により他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形することを特徴とする口腔内速崩壊錠の製造方法、
(15)他の添加剤が、矯味剤、甘味剤、香料および着色剤、流動化剤、安定化剤ならびに溶解補助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する前記(13)または(14)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(16)粉粒体に、さらに滑沢剤が含有されている前記(13)〜(15)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(17)圧縮成形が、杵表面、臼壁面に予め滑沢剤が塗布されている圧縮成形機を用いて行われることを特徴とする前記(13)〜(16)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(18)滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルおよびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(16)または(17)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(19)薬理活性成分の錠剤中配合率が0.01〜50重量%である前記(13)〜(18)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(20)D−マンニトールの錠剤中配合率が20〜99重量%である前記(13)〜(19)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(21)クロスポビドンの錠剤中配合率が0.5〜30重量%である前記(13)〜(20)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(22)得られる錠剤の錠剤硬度が20N以上である前記(13)〜(21)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(23)得られる錠剤の口腔内の崩壊時間が30秒以下である前記(13)〜(22)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(24)水性媒体が、純水である前記(13)〜(23)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、
(25)薬理活性成分が、塩酸ミドドリンである前記(13)〜(24)のいずれかに記載の錠剤の製造方法、および、
(26)水への溶解度が1mg/ml以上の薬理活性成分、一次粒子の平均粒子径が30μm以上でかつ比表面積が0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンを含有する口腔内速崩壊性錠剤、
に関する。
ここで、上記(1)および(13)において、薬理活性成分は、水への溶解度が1mg/ml以上の薬理活性成分であることが好ましい。
本発明により、口腔内で水なしで速やかに崩壊し、また製造および流通過程や病院および患者が取り扱う過程で型崩れなどの問題を発生しない実用的な錠剤硬度を保有した口腔内速崩壊錠を提供することができる。かかる口腔内速崩壊錠は、老人や小児等の嚥下力が弱い患者でも容易に正確な薬物量を服用することができ、一般患者においても、水の用意ができない外出先などでも水なしで服用できることから、患者全般に対して服薬コンプライアンスが向上できるという利点を有す。
本発明に係る口腔内速崩壊錠中の薬理活性成分は、薬理活性などの生理活性を示し、経口投与を目的にしたものであれば特に限定されないが、約0.5mg/ml程度以上、好ましくは約1mg/ml程度以上の水への溶解度をもつ薬理活性成分が特に好適である。ここで、薬理活性成分の溶解度は、日本薬局方13通則の項23に記載の方法で、具体的には粉末を水に入れ、20±5℃で5分毎に強く30秒間振り混ぜる時に30分以内に溶ける度合いを測定することにより測定することができる。
具体的な薬理活性成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、向精神薬、抗不安薬、抗うつ薬、中枢神経作用薬、胃腸薬、抗潰瘍剤、制酸剤、睡眠鎮静剤、脳代謝改善薬、鎮咳去痰薬、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、強心薬、抗不整脈薬、抗ヒスタミン薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、利胆薬、抗高脂血症薬、冠血管拡張薬、抹消血管拡張薬、抗生物質、アルツハイマー治療薬および痛風治療薬などから選ばれた1種または2種以上の成分が挙げられる。
上述の「水への溶解度が約0.5mg/ml程度以上の薬理活性成分」としては、例えば、アセトアミノフェンもしくはジクロフェナクナトリウムのような解熱鎮痛消炎薬;塩酸フルラゼパムのような睡眠鎮静薬;フェニトインナトリウムのような抗てんかん薬;塩酸アマタジンのような抗パーキンソン薬;塩酸イミプランもしくは塩酸クロカプラミンのような精神神経用薬;アミノフィリンもしくは塩酸エチレフリンのような強心薬;塩酸オクスプレノールもしくは塩酸メキシレチンのような不整脈用薬;カプトプリルもしくは塩酸ヒドララジンのような血圧降下薬;塩酸ミドドリンもしくはメチル硫酸アメジニウムのような血管収縮薬;塩酸ジラゼプもしくは塩酸ジルチアゼムのような血管拡張薬;クエン酸ペントキシンベリンのような鎮咳薬;塩酸アンブロキソールもしくはL−塩酸メチルシステインのような去痰薬;塩酸クレンブテロールもしくは塩酸プロカテロールのような気管支拡張薬;または、塩酸セトラキサート、塩酸ピレンゼピンもしくはファモチジンのような消化性潰瘍薬等が挙げられる。例えば、塩酸ミドドリン、カプトプリル、塩酸アンブロキソール、塩酸ロペラミドおよびファモチジンの水への溶解度はそれぞれ、約100mg/ml、約60mg/ml、約20mg/ml、約1mg/mlおよび約0.7mg/mlである。
本発明に係る口腔内速崩壊錠中の該薬理活性成分は、生理活性等を有する化合物の薬理学的に許容される塩であってもよい。薬理学的に許容される塩とは、例えば、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)、有機酸(例えば、炭酸、重炭酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸等)、無機塩基(例えば、ナトリウムもしくはカリウム等のアルカリ金属、カルシウムもしくはマグネシウム等のアルカリ土類金属等)および有機塩基化合物(例えば、トリエチルアミン等の有機アミン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類)との塩が挙げられる。
したがって、例えば本発明に係る口腔内速崩壊錠中の該薬理活性成分がミドドリンである場合は、ミドドリンが薬理学的に許容される塩の形態で含有されていてもよく、具体的には例えば塩酸ミドドリンが含有されている場合が挙げられる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠中のD−マンニトールの一次粒子は、平均粒子径が約30μm程度以上で、かつ比表面積が約0.4m/g程度以下である結晶または微粒子であることが特長である。ここで、一次粒子とは造粒物のような粒子の凝集体を指すものではなく、凝集体を構成する個々の粒子を指すものである。
該結晶または微粒子の好ましい態様としては、好ましくは約30〜1000μm程度、より好ましくは約35〜300μm程度、特に好ましくは約40〜100μm程度の平均粒子径を有し、好ましくは約0.4〜4×10−20/g程度、より好ましくは約0.3〜2×10−6/g程度、特に好ましくは約0.3〜0.02m/g程度の比表面積を有する結晶または微粒子が挙げられる。
ここで、該平均粒子径は、50%粒子径を意味し、累積百分率グラフから50%の時の粒子径を表す。その測定方法としては、例えばレーザー回折式粒度分布測定法が挙げられ、具体例としてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910型(堀場製作所製)を用いる方法が挙げられる。該比表面積は、BET(Brunauer-Emmett and Teller's)方式を用いて測定することができ、具体的には、例えば堀場製作所のSA−9603型測定器を用いて測定することができる。
本発明において用いるD−マンニトールは、α型、β型またはδ型のいずれの結晶形をとっていてもよい。なお、α型、β型またはδ型D−マンニトール結晶とは、Walter-Levy, L.により報告[Acad. Sci. Parist. 276 Series C, 1779, (1968)]されたX線解析パターンによるD−マンニトールの結晶多型の分類に従って定義される。また、該D−マンニトールは、海藻からの液体抽出法、ブドウ糖液のアンモニア電解還元法、ショ糖溶液の接触還元法など自体公知の方法により得られるものであってよい。
本発明に係る口腔内速崩壊錠中のD−マンニトールの結晶または微粒子は、上記特長を有していれば、その製造方法は問わない。具体的には、例えば、D−マンニトール粒子を、例えばジェットミル、ハンマーミル、ボールミル、振動ボールミルまたはビンミルなど自体公知の粉砕機を用いて所望の大きさに粉砕する方法が挙げられる。または、D−マンニトールを適当な溶媒、好ましくは水に溶解して(このときに約60〜80℃程度に加温してもよい)、好ましくは約10〜40重量%程度の濃度の溶液として、自体公知の噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥によって所望の結晶または微粒子を得るという方法も挙げられる。噴霧乾燥条件としては、特に限定されないが、排熱温度が約120〜140℃程度であることが好ましい。
本発明で用いるD−マンニトールの結晶または微粒子の製造方法の好ましい態様としては、噴霧乾燥処理等の処理をして、比表面積を増加させていない結晶状または粉体状のもので比表面積が約0.4m/g程度以下であるD−マンニトールの結晶または微粒子を得るという方法が挙げられる。さらに、得られた結晶もしくは微粒子の平均粒子径が約30μm程度以上であれば、所望によりハンマーミルまたはジェットミル等の粉砕機を用いて粉砕することもできる。すなわち、ハンマーミルであればスクリーン径、ジェットミルであれば空気量もしくは粉体供給速度等の条件を調整することにより任意の粒子径(ただし、一次粒子の平均粒子径は約30μm程度以上)の結晶または微粒子を得ることができる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠に含まれるクロスポビドンは、1−ビニル−2−ピロリドンの架橋重合物であればいずれでもよく、通常分子量1,000,000以上のクロスポビドンが用いられる。該クロスポビドンは、崩壊剤として周知であるから自体公知の方法で製造することができ、また例えばコリドンCL(BASFジャパン製)、ポリプラスドンXL(ISPジャパン製)等の市販品を用いてもよい。
本発明に係る口腔内速崩壊錠において、上記薬理活性成分の配合率(錠剤全重量に対する薬理活性成分の配合重量割合)は特に制限はないが、約0.01〜50重量%程度が好ましく、約0.01〜30重量%程度がより好ましい。
本発明に係る口腔内速崩壊錠において、上記D−マンニトールの配合率(錠剤全重量に対するD−マンニトールの配合重量割合)は、約20〜99重量%程度が好ましい。
本発明に係る口腔内速崩壊錠において、クロスポビドンの配合率(錠剤全重量に対するクロスポビドンの配合重量割合)は特に制限がないが、約0.5〜30重量%程度が好ましく、約0.5〜20重量%程度がより好ましく、約1〜10重量%程度が特に好ましい。
本発明に係る口腔内速崩壊錠における上記薬理活性成分、D−マンニトールの結晶または微粒子およびクロスポビドンの配合割合(配合比)については、その薬理活性成分の溶解度、粒度または水への濡れ性等の物性により適宜選択することができる。
本発明の口腔内速崩壊錠には、滑沢剤を含有させることが好ましい。滑沢剤は特に限定しないが、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルアルコール、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルクまたはショ糖脂肪酸エステルなどを用いるのが好ましい。
本発明の口腔内速崩壊錠に対する滑沢剤の添加重量割合は、約0.001〜2重量%程度が好ましく、約0.01〜1重量%程度がより好ましく、約0.05〜0.5重量%程度が特に好ましい。
該滑沢剤は本発明の口腔内速崩壊錠の内部に含有されていてもよいが、後述する外部滑沢打錠法により、該錠剤の表面にのみ滑沢剤が含有されているほうが好ましい。
本発明の口腔内速崩壊錠は、所望により香料、着色剤、矯味剤、甘味剤、安定化剤、抗酸化剤、流動化剤および溶解補助剤からなる群より選択される1種もしくは2種以上の添加剤成分を含有してもよい。添加剤の錠剤全重量に対する添加重量割合としては、約5重量%程度以下が好ましく、約1重量%以下程度がより好ましく、約0.5重量%程度以下が特に好ましい。
香料としては、例えばL−メントール、レモン、オレンジ、ストロベリー、ミント等が挙げられる。
着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、赤色三二酸化鉄、食用黄色5号、食用青色2号等の食用色素、食用レーキ色素等が挙げられる。
矯味剤、甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、ステビア、グリチルリチン二カリウムなどが挙げられる。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、アスコルビン酸、トコフェロール等が挙げられる。
溶解補助剤としては、代表的には界面活性剤が挙げられ、より具体的には、例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール400等が挙げられる。
本願発明の口腔内速崩壊錠に添加する添加剤は特に制限が無いが、水に触れたときに高い粘性を示すD−マンニトール以外の他の糖類および結合剤を含有させない錠剤が本発明においては特に好ましい。このように、下記の他の糖類および結合剤を含有させないことにより、得られる口腔内速崩壊錠の口腔内における崩壊性が向上する傾向がある。
ここで、D−マンニトール以外の他の糖類としては、例えば、白糖、ブトウ糖、麦芽糖もしくは果糖等の糖類、またはソルビトールもしくはマルチトール等の糖アルコールなどが挙げられる。また、D−マンニトール以外の他の結合剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、プルラン、ポリビニルアルコール(PVA)またはゼラチン等が挙げられる。
このような(a)水への溶解度が、約0.5mg/ml程度以上、好ましくは約1mg/ml程度以上の主薬としての薬理活性成分、(b)平均粒子経が約30μm程度以上でかつ比表面積が約0.4m/g程度以下であるD−マンニトール、(c)クロスポビドンおよび(d)所望により滑沢剤や他の添加剤を含有する本発明に係る口腔内速崩壊錠は、実用的な硬度を有し、しかも口腔内で水なしでも速やかに崩壊することが特長である。
ここで、「実用的な錠剤硬度」とは錠剤成分および錠剤形状により異なるので一概には言えないが、約20N程度以上、好ましくは約30N程度以上の硬度が好適である。なお、錠剤硬度は、自体公知の錠剤硬度計、例えば富山化学株式会社製 TH−303型を用いて容易に測定することができる。
また、「速やかな崩壊」とは口腔内で水を服用しなくても唾液により実用上問題のない時間で崩壊することを意味する。この実用上問題のない崩壊時間とは個人差があるが約30秒程度以内が好ましい。ここで、崩壊時間は健康な成人男子および女子の口腔内の唾液で口腔内崩壊錠が完全に崩壊するまでの時間を測定することにより得られる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠は、水なしで服用することを限定したものではなく、水を用いれば唾液の少ない患者でも容易に服用できるメリットがあることから従来の錠剤より明らかに服用しやすい錠剤と言える。すなわち、本発明に係る口腔内速崩壊錠の服用方法としては、例えば(a)口に含みそのまま飲み込まず少量の水、または水なしで口腔内の唾液で溶解または崩壊させて服用する方法、(b)水とともにそのまま飲み込んで服用する方法、または(c)錠剤を水で溶解もしくは崩壊させた後、服用する方法などが挙げられる。
本発明の口腔内速崩壊錠は、上述のように水なしで服用することが可能であるから、(a)水なしで服用する必要が多い場合、(b)錠剤を飲み込むことが困難な患者が服用する場合、または(c)通常の錠剤なら喉に詰まらせてしまう恐れのある高齢者や子供が服用する場合などに、特に有利に用いられる。(a)の場合の例としては、解熱剤、鎮痛剤、消炎剤、抗不安剤、鎮咳去痰剤、鎮暈剤または乗物酔いの予防・治療薬等が好ましく挙げられる。(b)の場合の例としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、気管支喘息、脳血管障害等の疾病に対する予防・治療薬等が挙げられる。
本発明の口腔内速崩壊錠は、直接打錠法または間接打錠法など製剤分野における慣用の方法により製造される。例えば、上記薬理活性成分、D−マンニトール、クロスポビドンおよび所望により滑沢剤や他の添加剤を混合し、圧縮成形する方法が挙げられる。
該「混合」は、例えばバーチカルグラニュレーターVG10(パウレック社製)、万能練合機、流動層造粒機、V型混合機、タンブラー混合機などの装置を用いて行われる。「圧縮成形」は、単発錠剤機、ロータリー式打錠機など自体公知の打錠機を用いて行われる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠の製造方法の好ましい態様としては、上記薬理活性成分、D−マンニトールの結晶もしくは微粒子およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、次いで乾燥して得られる顆粒に、所望により上記粉粒体の構成成分以外の他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形する方法が挙げられる。
上述の製造方法において、水性媒体としては、精製水、メタノール、エタノール、アセトンまたはこれらの混合液等が挙げられ、その混合比は適宜選択できる。なかでも、精製水が好適に用いられる。上記粉粒体に対する水性溶媒の添加量は、約5〜30重量%程度が好ましい。
上述した薬理活性成分、D−マンニトールおよびクロスポビドンからなる粉粒体の造粒方法については特に限定しないが、全成分もしくは一部の成分について流動層造粒、転動流動層、攪拌造粒(好ましくは、岡田精工製NSK−250型高速攪拌造粒機またはパウレック社製VG−25型高速攪拌造粒機を使用)、押出造粒(好ましくは、不二パウダル製DGL−1型を使用)等の湿式造粒により調製するという方法が好ましいが、乾式造粒により造粒することもできる。これら造粒物の粒度や比表面積は打錠に差し支えない流動性があれば特に限定されず任意に設定することができる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠に滑沢剤を含有させる場合は、上述した薬理活性成分、D−マンニトールおよびクロスポビドンからなる粉粒体にさらに滑沢剤を加えて混合すればよい。また、滑沢剤以外の先に述べたその他の添加剤(例えば香料、安定剤など)を該粉粒体に加えて混合してもよいが、好ましくは下述するように、上述のようにして得られる造粒物にかかる添加剤を混合するほうが好ましい。
ついで、上述の造粒物を乾燥し顆粒を得る。乾燥方法としては特に限定されないが、自体公知の乾燥機、例えば通風箱型乾燥機(好ましくは、日本乾燥機TE−98型)を用い、約40〜80℃程度で約30〜90分間程度かけて乾燥するという方法、または流動層乾燥機(好ましくは、フロイント産業製FLO−5型)を用い、約70〜90℃程度の温度下で、約5〜30分程度かけて乾燥するという方法が好ましい。
また、上述の流動層造粒乾燥機(好ましくは、フロイント産業社製FLO−2型)を用いて、上記造粒とその乾燥を一度に行ってもよい。
次に、該顆粒に所望により例えば香料、安定剤など滑沢剤以外の先に述べた添加剤を添加し圧縮成型材料を調製する。その後、該圧縮成型材料を圧縮成形することにより、本発明に係る口腔内速崩壊錠が得られる。圧縮成形は、公知の打錠機、好ましくは生産性に優れた単発錠剤機、ロータリー式打錠機または油圧プレス機等を用いて行うことができる。圧縮成形時の圧力は、約3〜30kN程度、好ましくは約5〜20kN程度である。
本発明に係る口腔内速崩壊錠の製造方法の他の好ましい態様としては、上述した薬理活性成分、D−マンニトール、クロスポビドン、所望により滑沢剤や先の述べたその他の添加剤を自体公知の混合機、例えばV型混合機またはタンブラー混合機等用いて混合して得られる混合物を直接打錠することによって製造するという方法が挙げられる。
本発明に係る口腔内速崩壊錠の製造においては、上述のように滑沢剤を他の成分と一緒に錠剤内部に含有させてもよいが、滑沢剤を他の成分を混合することなく、圧縮成形機の杵表面および臼壁面に予め滑沢剤を塗布し、圧縮成型材料を圧縮成形する方法(外部滑沢打錠法)で製造することが好ましい。こうすることにより、錠剤の硬度を上げることまたは崩壊時間を短くすることができるという利点がある。なお、滑沢剤を杵臼に塗布する方法は特に制限がない。
本発明に係る口腔内速崩壊錠の重量および形状には、特に制限が無い。例えば、製剤の形態としては、円形状もしくは普通R面、糖衣R面、スミカク平面、スミマル平面、二段R面等の面形を有する各種異形状であってよい。また、該錠剤は、割線を入れた分割錠として用いてもよい。また、2層以上の多層錠剤であってもよい。
なかでも、本発明に係る口腔内速崩壊錠は小型の錠剤が好ましく、また錠剤の重量および/または形状により硬度および口腔内崩壊時間を制御することもできる。本願発明の錠剤としては、例えば、約80〜250mg程度の重量で約6〜9mm程度の錠剤径のものが好適である。
本発明の口腔内速崩壊錠は、ヒトはもちろん、ヒト以外の哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル等)に対しても、経口的に安全に投与することができる。本発明の口腔内速崩壊錠の投与量は、例えば医薬成分、投与対象、疾患の種類等により異なるが、その医薬成分としての投与量が有効量となる範囲から適宜選択すればよい。また、本発明の口腔内速崩壊錠は、1日1回または複数回、好ましくは2〜4回程度投与してもよい。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。また、薬理活性成分の水への溶解度は、日本薬局方13通則の項23に記載の方法で測定した。D−マンニトールの一次粒子の平均粒子径(以下、単に「平均粒子径」という)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−910型(堀場製作所製)を用いて測定したときの50%粒子径を表す。D−マンニトール比表面積は、BET(Brunauer-Emmett and Teller's)方式に従って、SA−9603型測定器(堀場製作所製)を用いて測定した。
〔実施例1〕
塩酸ミドドリン(水への溶解度約100mg/ml)20g、D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、平均粒子径60μm、比表面積0.1m/g)1120g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)60gを高速攪拌造粒機(岡田精工製NSK−250型)に仕込み、精製水200gを加え5分間練合し、0.8mmφのスクリーンを装着した押出造粒機(不二パウダル製、DGL−1型)を用いて造粒物を調製した後、通風箱型乾燥機(日本乾燥機TE−98型)を用い、60℃60分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量120mg、錠剤厚み2.6mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約7.5kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例2〕
塩酸ミドドリン(水への溶解度約100mg/ml)20g、実施例1で用いたD−マンニトール1156g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)24gを高速攪拌造粒機(岡田精工製NSK−250型)に仕込み、精製水200gを加え5分間練合し、0.8mmφのスクリーンを装着した押出造粒機(不二パウダル製、DGL−1型)を用いて造粒物を調製した後、通風箱型乾燥機(日本乾燥機TE−98型)を用い、60℃60分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量120mg、錠剤厚み2.6mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約7.5kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例3〕
塩酸ミドドリン(水への溶解度約100mg/ml)20g、D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、平均粒子径35μm、比表面積0.3m/g)1120g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)60gを高速攪拌造粒機(岡田精工製NSK−250型)に仕込み、精製水200gを加え5分間練合し、0.8mmφのスクリーンを装着した押出造粒機(不二パウダル製、DGL−1型)を用いて造粒物を調製した後、通風箱型乾燥機(日本乾燥機TE−98型)を用い、60℃60分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量120mg、錠剤厚み2.6mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約7.5kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例4〕
塩酸ミドドリン(水への溶解度約100mg/ml)20g、実施例1で用いたD−マンニトール1060g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)120gを高速攪拌造粒機(岡田精工製NSK−250型)に仕込み、精製水200gを加え5分間練合し、0.8mmφのスクリーンを装着した押出造粒機(不二パウダル製、DGL−1型)を用いて造粒物を調製した後、通風箱型乾燥機(日本乾燥機TE−98型)を用い、60℃60分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量120mg、錠剤厚み2.6mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約7.5kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例1〕
ドンペリドン(水への溶解度約2μg/ml)200gとD−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、比表面積0.1m/g,平均粒子径 60μm)2080g、クロスポビドン120gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製FLO−2型)に仕込み、精製水50mlを噴霧し、造粒物を得た。得られた造粒物1190gとステアリン酸マグネシウム10gを加え、打錠用顆粒とした。7φ平面の杵を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が120mg、錠剤厚みがそれぞれ2.55、2.60および2.65mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約10kN、約7.5kNおよび約6kNであった。得られた錠剤中には、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が0.8重量%含有されていた。
〔比較例2〕
D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、比表面積0.1m/g,平均粒子径60μm)2260g、クロスポビドン120gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製FLO−2型)に仕込み、精製水50mlを噴霧し、造粒物を得た。得られた造粒物1190gとステアリン酸マグネシウム10gを加え、打錠用顆粒とした。7φ平面の杵を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が120mg、錠剤厚みがそれぞれ2.55、2.60および2.65mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約10kN、約7.5kNおよび約6kNであった。得られた錠剤中には、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が1.0重量%含有されていた。
〔実施例5〕
塩酸アンブロキソール(水への溶解度約20mg/ml)300g、実施例1で用いたD−マンニトール1980g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)120gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水400gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が120mg、錠剤厚みがそれぞれ2.55、2.60および2.65mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約10kN、約7.5kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例6〕
塩酸アンブロキソール(水への溶解度約20mg/ml)300g、実施例1で用いたD−マンニトール1980g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)120gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水400gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥し、得られた乾燥物を20号金網で整粒した。その顆粒990gとステリン酸マグネシウム10gを混合し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が120mg、錠剤厚みがそれぞれ2.55、2.60および2.65mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約10kN、約7.5kNおよび約6kNであった。得られた錠剤中には、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が1.0重量%含有されていた。
〔実施例7〕
塩酸アンブロキソール(水への溶解度約20mg/ml)300g、実施例1で用いたD−マンニトール1980g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)120gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水400gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥し、得られた乾燥物を20号金網で整粒した。その顆粒990gとステリン酸マグネシウム9gを混合し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が120mg、錠剤厚みがそれぞれ2.55、2.60および2.65mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約10kN、約7.5kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。また、錠剤中には、ステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が0.9重量%含有されていた。
〔実施例8〕
塩酸ロペラミド(水への溶解度約1mg/ml)15g、実施例1で用いたD−マンニトール1410g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)75gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製FLO−2型)に仕込み、精製水50mlを噴霧し造粒乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ6.5mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が100mg、錠剤厚みが2.3mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例3〕
塩酸ロペラミド(水への溶解度約1mg/ml)15g、ソルビトール(東和化成社製)1410g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)75gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製FLO−2型)に仕込み、精製水50mlを噴霧し造粒乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ6.5mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が100mg、錠剤厚みが2.3mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例4〕
塩酸ロペラミド(水への溶解度約1mg/ml)15g、白糖(日新製糖社製)1410g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)75gを流動層造粒乾燥機(フロイント産業社製FLO−2型)に仕込み、精製水800gを噴霧し造粒乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ6.5mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸カルシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が100mg、錠剤厚みが2.3mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸カルシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例9〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、実施例1で用いたD−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、比表面積0.1m/g)1460g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例5〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、ソルビトール(東和化成社製)1460g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、打錠圧を調整し、錠剤重量180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例6〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、白糖(日新製糖社製)1460g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、打錠圧を調整し、錠剤重量180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔実施例10〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、平均粒子径30μm、比表面積0.4m/g)1460g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例7〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、実施例1で用いたD−マンニトール1460g、クロスカルメロースナトリウム(旭化成社製、「Ac−Di−Sol」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例8〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、実施例1で用いたD−マンニトール1460g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学社製、「L―HPC LH31」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、打錠圧を調整し、錠剤重量が180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
〔比較例9〕
カプトプリル(水への溶解度約60mg/ml)250g、D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、平均粒子径7μm、比表面積1.1m/g)1460g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)90gを高速攪拌造粒機(パウレック社製VG−25型)に仕込み、精製水350gを加え造粒後、流動層乾燥機(フロイント産業製FLO−5型)を用い、80℃15分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ8.0mm隅角平面の杵を有し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量が180mg、錠剤厚みがそれぞれ2.95、3.00および3.05mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧はそれぞれ約11kN、約8kNおよび約6kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。
下記表に錠剤の組成を示す。
Figure 0004358117
表中、EXは、滑沢剤が打錠機の杵および臼壁に予め塗布され、該打錠機を用いた打錠により滑沢剤が錠剤の表面に含有されることを表す。なお、表中の%は重量%を表す。
Figure 0004358117
表中、活性成分は薬理活性成分のことであり、具体的には塩酸アンブロキソールである。また、表中、EXは、滑沢剤が打錠機の杵および臼壁に予め塗布され、該打錠機を用いた打錠により滑沢剤が錠剤の表面に含有されることを表す。なお、表中の%は重量%を表す。
Figure 0004358117
表中、活性成分は薬理活性成分のことであり、具体的には塩酸ロペラミドである。また、表中、EXは、滑沢剤が打錠機の杵および臼壁に予め塗布され、該打錠機を用いた打錠により滑沢剤が錠剤の表面に含有されることを表す。
Figure 0004358117
表中、活性成分は薬理活性成分のことであり、具体的にはカプトプリルである。また、表中のEXは、滑沢剤が打錠機の杵および臼壁に予め塗布され、該打錠機を用いた打錠により滑沢剤が錠剤の表面に含有されることを表す。
〔試験例〕
実施例1〜10および比較例1〜7の錠剤の口腔内崩壊時間および硬度を測定した。口腔内崩壊時間は、健康な成人5名につき、1錠を口腔内に含み、唾液のみで錠剤が崩壊するまでの時間を測定し、平均値を算出した。また錠剤硬度は、5錠をとり、1錠毎、錠剤硬度計(富山化学株式会社製 TH−303型)で錠剤硬度を測定し、平均値を算出した。下記表にその結果を示す。
なお、比較例1および2については、10kN以上の打錠圧をかけても錠剤硬度は約15Nから上昇することはなかった。また、ラミネーションの発生も確認された。
Figure 0004358117
Figure 0004358117
Figure 0004358117
Figure 0004358117
〔実施例11〕
ファモチジン(水への溶解度約0.7mg/ml)100g、D−マンニトール(協和発酵/日研化成社製、平均粒子径60μm、比表面積0.1m/g)1040g、クロスポビドン(ISP社製、「ポリプラスドンXL−10」)60gを高速攪拌造粒機(岡田精工製NSK−250型)に仕込み、精製水200gを加え5分間練合し、0.8mmφのスクリーンを装着した押出造粒機(不二パウダル製、DGL−1型)を用いて造粒物を調製した後、通風箱型乾燥機(日本乾燥機TE−98型)を用い、60℃60分間乾燥した。得られた乾燥物を20号金網で整粒し打錠用顆粒とした。φ7.0mm隅角平面の杵を装着し、顆粒を打錠機の臼に充填する前にステアリン酸マグネシウムを杵表面および臼壁に塗布する装置を装着したロータリー型打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し、錠剤重量120mg、錠剤厚み2.6mmの錠剤を製造した。なお、打錠圧は約8kNであった。得られた錠剤の表面には、約0.1重量%のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)が付着していた。得られた錠剤の硬度は43N、口腔内崩壊時間は約16秒であった。

Claims (22)

  1. 水への溶解度が0.5mg/ml以上の薬理活性成分(ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩を除く)、一次粒子の平均粒子径が30μm以上100μm以下でかつ比表面積が0.02m /g以上0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶およびクロスポビドンを含有する口腔内速崩壊性錠剤。
  2. 水への溶解度が1mg/ml以上の薬理活性成分(ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩を除く)、一次粒子の平均粒子径が30μm以上100μm以下でかつ比表面積が0.02m /g以上0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶およびクロスポビドンを含有する口腔内速崩壊性錠剤。
  3. さらに、滑沢剤を含有する請求項1または2記載の錠剤。
  4. 滑沢剤が錠剤の表面にのみ含有されている請求項3記載の錠剤。
  5. 滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルおよびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3または4記載の錠剤。
  6. さらに、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤、安定化剤、抗酸化剤、流動化剤および溶解補助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤。
  7. 薬理活性成分の錠剤中配合率が0.01〜50重量%である請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。
  8. D−マンニトールの錠剤中配合率が20〜99重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤。
  9. クロスポビドンの錠剤中配合率が0.5〜30重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の錠剤。
  10. 錠剤硬度が20N以上である請求項1〜9のいずれかに記載の錠剤。
  11. 口腔内の崩壊時間が30秒以下である請求項1〜10のいずれかに記載の錠剤。
  12. 水への溶解度が0.5mg/ml以上の薬理活性成分(ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩を除く)、一次粒子の平均粒子径が30μm以上100μm以下でかつ比表面積が0.02m /g以上0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、次いで乾燥して得られる顆粒を圧縮成形するか、または該顆粒に他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形することを特徴とする該薬理活性成分を含有する口腔内速崩壊錠剤の製造方法。
  13. 水への溶解度が1mg/ml以上の薬理活性成分(ミドドリンまたはその薬理学的に許容される塩を除く)、一次粒子の平均粒子径が30μm以上100μm以下でかつ比表面積が0.02m /g以上0.4m/g以下であるD−マンニトールの結晶およびクロスポビドンを含有する粉粒体に水性媒体を添加し練合したものを造粒し、次いで乾燥して得られる顆粒を圧縮成形するか、または該顆粒に他の添加剤を添加し圧縮成型材料を調製し、これを圧縮成形することを特徴とする該薬理活性成分を含有する口腔内速崩壊錠剤の製造方法。
  14. 他の添加剤が、矯味剤、甘味剤、香料、着色剤、流動化剤、抗酸化剤、安定化剤および溶解補助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項12または13記載の錠剤の製造方法。
  15. 粉粒体に、さらに滑沢剤が含有されている請求項12〜14のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  16. 圧縮成形が、杵表面、臼壁面に予め滑沢剤が塗布されている圧縮成形機を用いて行われることを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  17. 滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルアルコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルおよびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項15または16記載の錠剤の製造方法。
  18. 薬理活性成分の錠剤中配合率が0.01〜50重量%となるように薬理活性成分を粉粒体に配合することを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  19. D−マンニトールの錠剤中配合率が20〜99重量%となるようにD−マンニトールを粉粒体に配合することを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  20. クロスポビドンの錠剤中配合率が0.5〜30重量%となるようにクロスポビドンを粉粒体に配合することを特徴とする請求項12〜19のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  21. 得られる錠剤の錠剤硬度が20N以上となるように圧縮成形することを特徴とする請求項12〜20のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
  22. 水性媒体が、純水である請求項12〜21のいずれかに記載の錠剤の製造方法。
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