以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1は、本発明の光走査装置を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を記録用紙に印刷する。このため、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電装置15等は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けられて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置22により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面の各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23aとの間にはニップ域が形成されており、S字状の用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ24と加圧ローラ25との間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
一方、記録用紙は、ピックアップローラ33により給紙カセット18から引出されて、用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ34、及び記録用紙の搬送を促す搬送ローラ35等が配置されている。
次に、光走査装置11の構成を、図2乃至図5を用いて詳細に説明する。図2は、図1の光走査装置11の筐体41の内部を斜め上方から視て示す斜視図であって、上蓋を外した状態を示している。また、図3は、光走査装置11の複数の光学部材を抽出して示す斜視図であり、図2の背面側から視た状態を示している。更に、図4及び図5は、光走査装置11の複数の光学部材を抽出して示す平面図及び側面図である。尚、図5には、光走査装置11外側に配置された各感光体ドラム13も示されている。
筐体41は、矩形状の底板41a及び底板41aを囲む4つの側板41b、41cを有している。底板41aの略中央には、平面視すると正方形のポリゴンミラー42が配置されている。また、底板41aの略中央にポリゴンモータ43が固定され、ポリゴンモータ43の回転軸にポリゴンミラー42の回転中心が接続固定され、ポリゴンモータ43によりポリゴンミラー42が回転される。
また、筐体41の1つの側板41bの外側には、2個の第1半導体レーザ44a、44b及び2個の第2半導体レーザ45a、45b(合計4個の半導体レーザ)を搭載した駆動基板46が固定されている。各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、側板41bに形成されたそれぞれの孔を通じて筐体41の内側を臨む。
各第1半導体レーザ44a、44bと各第2半導体レーザ45a、45bとは、ポリゴンミラー42の回転中心を通って主走査方向Xに延びる仮想配置中心線Mを想定すると、仮想配置中心線Mを中心にして対称に配置されている。尚、主走査方向Xと直交する方向を副走査方向Yとし、主走査方向X及び副走査方向Yと直交する方向(ポリゴンモータ43の回転軸の長手方向)を高さ方向Zとする。
駆動基板46は、平板状のプリント基板であって、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bを駆動する回路を有している。各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、平板状のプリント基板に搭載されることにより概ね同一の平面(YZ平面)上に配置され、またその平面に対しては垂直方向(主走査方向X)にかつ筐体41の内側向きにそれぞれの光束L1〜L4を出射する。
図2乃至図5においては、各光束L1〜L4がそれぞれ1本の一点鎖線で示されているが、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bからは直線偏光である2本の光束(マルチビーム)が出射される。従って、各光束L1〜L4を示すそれぞれの一点鎖線別に、一点鎖線と平行な2本の光束が存在する。
駆動基板46(YZ平面)上では、各第1半導体レーザ44a、44bが副走査方向Y及び高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置され、同様に各第2半導体レーザ45a、45bも副走査方向Y及び高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されている。
また、各第1半導体レーザ44a、44bの光束L1、L2をポリゴンミラー42へと導く第1入射光学系51と、各第2半導体レーザ45a、45bの光束L3、L4をポリゴンミラー42へと導く第2入射光学系52とを設けている。第1入射光学系51は、2個のコリメータレンズ53a、53b、2個のアパーチャー54、第1半導体レーザ44aと同一高さに配置された2個のミラー55a、55b、及びシリンドリカルレンズ56等からなる。同様に、第2入射光学系52は、2個のコリメータレンズ57a、57b、2個のアパーチャー58、第2半導体レーザ45bと同一高さに配置された2個のミラー59a、59b、及びシリンドリカルレンズ56等からなる。第1入射光学系51の各コリメータレンズ53a、53b、各アパーチャー54、及び各ミラー55a、55bと、第2入射光学系52の各コリメータレンズ57a、57b、各アパーチャー58、及び各ミラー59a、59bとは、仮想配置中心線Mを中心にして対称に配置されている。また、仮想配置中心線Mは、シリンドリカルレンズ56の中心を通っており、仮想配置中心線Mにより区分されるシリンドリカルレンズ56の片側半分が第1入射光学系51に配置され、シリンドリカルレンズ56の他の片側半分が第2入射光学系52に配置されている。
更に、ポリゴンミラー42で反射された各第1半導体レーザ44a、44bの光束L1、L2をブラック及びシアンに対応する2つの感光体ドラム13へと導く第1結像光学系61と、ポリゴンミラー42で反射された各第2半導体レーザ45a、45bの光束L3、L4をマゼンタ及びイエローに対応する2つの感光体ドラム13へと導く第2結像光学系62とを設けている。第1結像光学系61は、fθレンズ63及び4つの各反射ミラー64a、64b、64c、64d等からなる。同様に、第2結像光学系62は、fθレンズ65及び4つの各反射ミラー66a、66b、66c、66d等からなる。第1結像光学系61のfθレンズ63及び各反射ミラー64a、64b、64c、64dと、第2結像光学系62のfθレンズ65及び各反射ミラー66a、66b、66c、66dとは、仮想配置中心線Mを中心にして対称に配置されている。
また、第1結像光学系61側にBDミラー71、及びBDセンサ72を搭載したBD基板73を設け、第2結像光学系62側にもBDミラー74、及びBDセンサ75を搭載したBD基板76を設けている。第1結像光学系61側のBDミラー71及びBDセンサ72と、第2結像光学系62側のBDミラー74及びBDセンサ75とは、仮想配置中心線Mを中心にして対称に配置されている。
次に、各第1半導体レーザ44a、44bの光束L1、L2がそれぞれの感光体ドラム13に入射するまでの各光路、及び各第2半導体レーザ45a、45bの光束L3、L4がそれぞれの感光体ドラム13に入射するまでの各光路について説明する。
まず、第1入射光学系51において、第1半導体レーザ44aの光束L1は、コリメータレンズ53aを透過して平行光にされ、アパーチャー54で絞られて、各ミラー55a、55bに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。また、第1半導体レーザ44bの光束L2は、コリメータレンズ53bを透過して平行光にされ、アパーチャー54で絞られて、ミラー55bの下方(高さ方向Zの下向き)の空きスペースEを通過し、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。シリンドリカルレンズ56は、高さ方向Zのみについて、各光束L1、L2をポリゴンミラー42の反射面42aで略収束するように集光して出射する。
ここで、駆動基板46(YZ平面)上では各第1半導体レーザ44a、44bが高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されているものの、各第1半導体レーザ44a、44bの光束L1、L2の出射方向又は各ミラー55a、55bの向きの設定により、ポリゴンミラー42の反射面42a上で各光束L1、L2の入射スポットが略重なるようにされている。このため、各第1半導体レーザ44a、44bの光束L1、L2が斜め上方向及び斜め下方向からポリゴンミラー42の反射面42aへと入射する。また、高さ方向Zに視ると、各光束L1、L2が同一直線上に概ね重なった状態で反射面42aへと入射する。
そして、第1結像光学系61においては、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された各光束L1、L2が斜め下方向及び斜め上方向へと互いに離れて行く。一方の光束L1は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射され、fθレンズ63を透過して1つの反射ミラー64aで反射され、ブラックのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、他方の光束L2は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射され、fθレンズ63を透過して3つの反射ミラー64b、64c、64dで順次反射され、シアンのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。
また、ポリゴンミラー42は、ポリゴンモータ43により等角速度で回転されて、各反射面42aで各光束L1、L2を逐次反射し、各光束L1、L2を主走査方向Xに繰り返し等角速度で偏向させる。fθレンズ63は、主走査方向X及び副走査方向Yのいずれについても各光束L1、L2をそれぞれの感光体ドラム13の表面で所定のビーム径となるように集光して出射し、かつポリゴンミラー42により主走査方向Xに等角速度で偏向されている各光束L1、L2をそれぞれの感光体ドラム13上の主走査線に沿って等線速度で移動するように変換する。これにより、各光束L1、L2がそれぞれの感光体ドラム13の表面を主走査方向Xに繰返し走査する。
また、一方の光束L1は、各光束L1、L2による各感光体ドラム13の主走査が開始される直前に、BDミラー71で反射されてBDセンサ72に入射する。BDセンサ72は、各感光体ドラム13の主走査が開始される直前のタイミングで光束L1を受光して、この主走査開始直前のタイミングを示すBD信号を出力する。このBD信号に基づき各光束L1、L2による各感光体ドラム13の主走査開始時点が設定され、ブラック及びシアンの各画像データに応じた各光束L1、L2の変調が開始される。
その一方で、ブラック及びシアンのトナー像が形成される各感光体ドラム13が回転駆動されて、各光束L1、L2により該各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、該各感光体ドラム13の表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
次に、第2入射光学系52において、第2半導体レーザ45aの光束L3は、コリメータレンズ57aを透過して平行光にされ、アパーチャー58で絞られて、ミラー59aの下方(高さ方向Zの下向き)の空きスペースEを通過し、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。また、第2半導体レーザ45bの光束L4は、コリメータレンズ57bを透過して平行光にされ、アパーチャー58で絞られて、各ミラー59a、59bに入射して反射され、シリンドリカルレンズ56を透過してポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。
また、駆動基板46(YZ平面)上では各第2半導体レーザ45a、45bが高さ方向Zにおいて互いに異なる位置に配置されているものの、各第2半導体レーザ45a、45bの光束L3、L4の出射方向又は各ミラー59a、59bの向きの設定により、ポリゴンミラー42の反射面42a上で各光束L3、L4の入射スポットが略重なるようにされている。このため、各第2半導体レーザ45a、45bの光束L3、L4が斜め下方向及び斜め上方向からポリゴンミラー42の反射面42aへと入射する。また、高さ方向Zに視ると、各光束L3、L4が同一直線上に概ね重なった状態で反射面42aへと入射する。
そして、第2結像光学系62においては、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射された各光束L3、L4が斜め上方向及び斜め下方向へと互いに離れて行く。一方の光束L3は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め上方向に反射され、fθレンズ65を透過して3つの反射ミラー66b、66c、66dで順次反射されて、マゼンタのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。また、他方の光束L4は、ポリゴンミラー42の反射面42aで斜め下方向に反射され、fθレンズ65を透過して1つの反射ミラー66aで反射されて、イエローのトナー像が形成される感光体ドラム13に入射する。
また、他方の光束L4は、各光束L3、L4による各感光体ドラム13の主走査が開始される直前に、BDミラー74で反射されてBDセンサ75に入射し、BDセンサ75からは各光束L3、L4による各感光体ドラム13の主走査開始直前のタイミングを示すBD信号が出力され、このBD信号に応じてシアン及びブラックのトナー像が形成される各感光体ドラム13の主走査の開始タイミングが判定され、シアン及びブラックの各画像データに応じた各光束L3、L4の変調が開始される。
その一方で、マゼンタ及びイエローのトナー像が形成される各感光体ドラム13が回転駆動されて、各光束L3、L4により該各感光体ドラム13の2次元表面(周面)が走査され、該各感光体ドラム13の表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
このような構成の光走査装置11においては、筐体41の底板41aの略中央にポリゴンミラー42を配置し、ポリゴンミラー42の回転中心を通る仮想配置中心線Mを中心にして、各第1半導体レーザ44a、44bと各第2半導体レーザ45a、45bとを対称に配置し、第1入射光学系51と第2入射光学系52とを対称に配置し、第1結像光学系61と第2結像光学系62とを対称に配置しているので、側方から視ると、ポリゴンミラー42、各第1半導体レーザ44a、44b、各第2半導体レーザ45a、45b、第1入射光学系51、及び第2入射光学系52等を小さなスペースに集約させて、光走査装置11を小型化することができる。
ところで、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、直線偏光である2本の光束(マルチビーム)を出射する。図6は、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bを概念的に示す斜視図である。図6に示すように各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bの一端面が発光面81となっており、この発光面81に2つの発光点82、83が形成され、各発光点82、83から2本の光束La、Lbが出射される。各光束La、Lbは、直線偏光であり、それらの偏光方向Jが同一となっている。
図2乃至図5においては、それぞれの光束L1〜L4が2本の光束La、Lbに対応する。また、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bのいずれについても、発光面81の各発光点82、83が高さ方向Z(又はYZ方向)に並び、各光束La、Lbが高さ方向Z(又はYZ方向)に間隔を開けて発光面81から出射されてポリゴンミラー42の反射面42aに入射する。そして、各光束La、Lbは、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射され、更に各反射ミラー64a〜64d、66a〜66dで高さ方向Zに反射されて、それぞれの感光体ドラム13の表面に副走査方向Y(又はXY方向)に間隔を開けて入射し、それぞれの感光体ドラム13の表面で2本の主走査ラインを同時に走査する。
このため、感光体ドラム13の表面においては、各光束La、Lbの入射位置に副走査方向Yの間隔が生じ、また各光束La、Lbの入射位置が主走査方向Xにずれることがある。各光束La、Lbの入射位置の副走査方向Yの間隔(2本の主走査ラインの間隔)は、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45b別に、発光面81を回転させて、高さ方向Zにおける発光面81の各発光点82、83間の距離を調節することにより一定間隔に設定される。また、各光束La、Lbの入射位置の主走査方向Xのずれは、各光束La、Lbの変調開始タイミングを調節して、各光束La、Lbによる感光体ドラム13表面の各主走査ラインの書き込み開始位置を合わせることにより補正される。
ここで、図7に示すようにポリゴンミラー42の反射面42aや各反射ミラー64a〜64d、66a〜66dの反射面を反射面91とし、この反射面91に対して入射して反射される光束La又はLbを含む平面を入射面92とする。反射面91と入射面92とは直交する。この入射面92に対して直線偏光である各光束La、Lbの偏光方向J(電場の振動方向)が垂直となる場合は、反射面91に対して各光束La、LbがS偏光となり、反射面91に対する各光束La、Lbの入射角及び反射角にかかわらず、反射面91の反射率が略一定となる。また、入射面92に対して各光束La、Lbの偏光方向Jが平行となる場合は、反射面91に対して各光束La、LbがP偏光となり、反射面91に対する各光束La、Lbの入射角及び反射角に応じて反射面91の反射率が大きく変化する。
図8は、反射面に対する光束の入射角又は反射角に応じて変化するS偏光及びP偏光の反射率特性fs、fpを示すグラフである。S偏光の反射率特性fsから明らかなように、S偏光の反射率は、光束の入射角又は反射角に応じて僅かに変化するものの概ね一定に維持される。また、P偏光の反射率特性fpから明らかなように、P偏光の反射率は、光束の入射角又は反射角に応じて大きく変化する。
更に、入射面92に対して各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向Jが傾斜している場合は、入射面92に対する各光束La、Lbの偏光方向Jの傾斜角度に応じて、反射面91に対する各光束La、LbのS偏光成分とP偏光成分との比率が変化する。そして、反射面91に対する各光束La、Lbの入射角又は反射角に応じてP偏光の反射率が大きく変化することから、P偏光成分の割合が大きくなるほど各光束La、Lbの反射率が大きく変化する。例えば、ポリゴンミラー42の反射面42aや各反射ミラー64a〜64d、66a〜66dの反射面に各光束La、Lbが入射するとき、それらの反射面と直交する各入射面に対して各光束La、Lbの偏光方向Jが傾斜している場合は、それらの入射面に対する各光束La、Lbの偏光方向Jの傾斜角度によっては、それらの反射面に対する各光束La、LbのP偏光成分の割合が増大し、それらの反射面に対する入射角及び反射角に応じて各光束La、Lbの反射率が大きく変化する。
また、それらの反射面に対する各光束La、Lbの入射角及び反射角は、ポリゴンミラー42による各光束La、Lbの偏向に伴って変化することから、各光束La、Lbによる感光体ドラム13の走査位置に応じて変化する。そして、P偏光の反射率は、それらの反射面に対する各光束La、Lbの入射角及び反射角に応じて変化することから、各光束La、Lbによる感光体ドラム13の走査位置に応じて変化する。このため、それらの反射面に対する各光束La、LbのP偏光成分の割合が増大した場合は、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの走査方向の入射光量分布に片寄りが生じる。
更に、先に述べたように各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45b別に、発光面81を回転させて、高さ方向Zにおける発光面81の各発光点82、83間の距離を調節しているので、発光面81の回転により各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向Jが変化する。このため、それらの反射面に対する各光束La、LbのP偏光成分の割合がより増大して、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布の片寄りがより大きくなることがある。
そこで、光走査装置11では、各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45b別に、発光面81を回転させて、高さ方向Zにおける発光面81の各発光点82、83間の距離を調節するときに、ポリゴンミラー42の反射面42aにおける各光束La、Lbの反射率分布の片寄りと各反射ミラー64a〜64d、66a〜66dの反射面における各光束La、Lbの反射率分布の片寄りとが相殺されるような発光面81の回転方向を設定して、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布を均一化させている。
次に、そのような発光面81の回転方向について詳しく説明する。まず、ポリゴンミラー42の反射面42a、各反射ミラー64a、66aの反射面、これらの反射面と直交するそれぞれの入射面等について説明する。図9は、第1及び第2半導体レーザ45b、44a、各光束L1、L4、ポリゴンミラー42、及び各反射ミラー64a、66a等を模式的に示す平面図であり、他の光学部材を省略して示している。図9において、光束L4(又はL1)は、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射されることにより概ね扇形の範囲で繰り返し偏向される。この概ね扇形の範囲に、感光体ドラム13の有効走査領域Hの走査開始から走査終了までの走査期間においてポリゴンミラー42により偏向される光束L4(又はL1)の走査偏向範囲αが含まれる。有効走査領域Hとは、光束L4(又はL1)により走査される感光体ドラム13上の領域であって、静電潜像の形成領域を含む領域である。実際には、感光体ドラム13の有効走査領域Hが反射ミラー66a(又は64a)の上方に位置するが、有効走査領域Hを2次元平面に展開して示している。
ポリゴンミラー42が高さ方向Zの回転軸を中心にして回転し、ポリゴンミラー42の反射面42aが高さ方向Zと常に平行に維持され、光束L4(又はL1)が反射面42aに対して主走査方向Xに入射してY方向又はXY方向に反射されるので、反射面42aに対して入射して反射される光束L4(又はL1)を含む入射面92a(図10に示す)がXY平面となる。
また、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射され偏向されて、光束L4(又はL1)の偏光方向における反射ミラー66a(又は64a)の反射面の中心へと入射する光束L4(又はL1)に沿った線を仮想偏向中心Qとし、仮想偏向中心線Qにより走査偏向範囲αを2分して、その一方を第1偏向範囲α1とし、他方を第2偏向範囲α2として定義する。第1偏向範囲α1は、仮想偏向中心線Qよりも第2半導体レーザ45b(又は第1半導体レーザ44a)に近く、よって光束L4(又はL1)の入射側にあり、また第2偏向範囲α2は、仮想偏向中心線Qよりも第2半導体レーザ45b(又は第1半導体レーザ44a)から遠く離れ、よって光束L4(又はL1)の入射側とは反対側にある。このため、第2偏向範囲α2よりも第1偏向範囲α1の方で、ポリゴンミラー42の反射面42aに対する光束L4(又はL1)の反射角γ1が小さくなる。例えば、ポリゴンミラー42の反射面42aに対する光束L4(又はL1)の反射角γ1が概ね10°〜60°である。
図10は、各光束L1、L4、ポリゴンミラー42、及び各反射ミラー64a、66aを模式的に示す側面図であり、他の光学部材を省略して示している。図10において、光束L4(又はL1)は、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射されて反射ミラー66a(又は64a)の反射面に入射し、更に反射ミラー66a(又は64a)の反射面で高さ方向Zに反射されて感光体ドラム13の表面に入射する。ポリゴンミラー42により光束L4(又はL1)が主走査方向Xに偏向されると、反射ミラー66a(又は64a)の反射面で反射された光束L4(又はL1)により感光体ドラム13の有効走査領域Hが主走査方向Xに走査される。一方の反射ミラー66aの反射面に対する光束L4の反射角γ2は、例えば45°よりも大きく、反射ミラー66aの反射面に対して入射する光束L4と反射される光束L4とのなす角度(γ2の2倍の角度)が鈍角(>90°)である。
光束L4(又はL1)は、反射ミラー66a(又は64a)の反射面に対して副走査方向Y又はXY方向に入射して高さ方向Zに反射されるので、反射ミラー66a(又は64a)の反射面に対して入射して反射される光束L4(又はL1)を含む入射面92b(図9に示す)が、YZ平面又はYZ平面に対して傾斜した平面となる。仮想偏向中心線Q上では、その入射面92bがYZ平面となってXY平面と直交する。また、第1偏向範囲α1での入射面92bと第2偏向範囲α2での入射面92bとは、仮想偏向中心線Q上のYZ平面に対して互いに対称に傾斜してXY平面と交差する。
次に、第1実施形態における第2半導体レーザ45bの発光面81の回転方向と感光体ドラム13の表面における光束の入射光量分布との関係を、図11の図表を参照して説明する。図11は、第2半導体レーザ45bの発光面81の回転位置、ポリゴンミラー42の反射面42a、反射面42aにおける主走査方向Xの反射率分布、反射ミラー66aの反射面、反射ミラー66aの反射面における主走査方向Xの反射率分布、及び感光体ドラム13の表面における主走査方向Xの入射光量分布等を示す図表である。
図11のA欄の(イ)では、第2半導体レーザ45bの発光面81の各発光点82、83が高さ方向Zに沿って並ぶように第2半導体レーザ45bの発光面81を回転させ、各発光点82、83から出射される各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向を高さ方向Zと平行に設定している。
この場合は、図11のA欄の(ロ)に示すように各光束La、Lbの偏光方向J(高さ方向Z)は、ポリゴンミラー42の反射面42aに対して入射して反射される各光束La、Lbを含む入射面92a(XY平面)と垂直になる。尚、ポリゴンミラー42の反射面42aに対する各光束La、Lbの偏光方向Jは、第2半導体レーザ45bの側からポリゴンミラー42の反射面42aを視たときの方向である。
このため、図11のA欄の(ハ)、(ニ)に示すように反射面42aに対して各光束La、LbがS偏光成分だけとなり、反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角にかかわらず、よって光束L4が第1及び第2偏向範囲α1、α2のいずれで偏向されているかにかかわらず、反射面42aの反射率分布が略一定となる。従って、ポリゴンミラー42の反射面42aの反射率は、主走査方向Xのいずれの位置でも略一定となる。
また、図11のA欄の(ホ)に示すように各光束La、Lbの偏光方向J(高さ方向Z)は、反射ミラー66aの反射面に対して入射して反射される光束La又はLbを含む入射面92bとは垂直にならない。尚、反射ミラー66aの反射面に対する各光束La、Lbの偏光方向Jは、ポリゴンミラー42の側から反射ミラー66aの反射面を視たときの方向である。
仮想偏向中心線Q上では、各光束La、Lbの偏光方向Jが入射面92bと平行となり、よって反射ミラー66aの反射面に対して各光束La、LbがP偏光成分だけとなる。また、第1偏向範囲α1と第2偏向範囲α2とでは、それぞれの入射面92bが仮想偏向中心線Q上のYZ平面に対して互いに対称に傾斜することから、それぞれの入射面92bに対して各光束La、Lbの偏光方向Jが互いに逆向きのそれぞれの傾斜角度で傾斜し、よって反射ミラー66aの反射面に対して各光束La、LbがS偏光成分及びP偏光成分を共に含み、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど各傾斜角度が大きくなり、各光束La、LbのP偏光成分の割合が減少して、各光束La、LbのS偏光成分の割合が増大する。
また、図10から明らかなように反射ミラー66aの反射面に対して入射する各光束La、Lbと反射される各光束La、Lbとのなす角度は、鈍角(入射角及び反射角γ2が45°を越える)でありかつ第1及び第2偏向範囲α1、α2のいずれでも概ね一定に維持されることから、各光束La、LbのP偏光成分については、反射ミラー66aの反射面の反射率が大きく低下する。そして、図11のA欄の(ヘ)、(ト)に示すように仮想偏向中心線Q上では、各光束La、LbがP偏光成分だけになるから、反射ミラー66aの反射面の反射率が最も低くなり、また第1及び第2偏向範囲α1、α2では、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど、各光束La、LbのP偏光成分が減少して、各光束La、LbのS偏光成分が増大することから、反射ミラー66aの反射面の反射率が徐々に上昇する。従って、反射ミラー66aの反射面の反射率は、主走査方向Xの中心で最も小さく、その中心から離れるほど徐々に増大する。
ここで、各光束La、Lbは、ポリゴンミラー42の反射面42aと反射ミラー66aの反射面とで反射されてから感光体ドラム13の表面に入射する。ポリゴンミラー42の反射面42aが図11のA欄の(ニ)に示す反射率分布を有し、反射ミラー66aの反射面が図11のA欄の(ト)に示す反射率分布を有することから、各光束La、Lbは、それらの反射率分布を合成した図11のA欄の(チ)に示す反射率分布を有する仮想反射面で反射されてから感光体ドラム13の表面に入射することと等価である。そして、ポリゴンミラー42の反射面42aの反射率分布が略一定であることから、図11のA欄の(チ)に示す反射率分布は、反射ミラー66aの反射面の反射率分布と同様に、仮想偏向中心線Q上で最も低くなり、第1及び第2偏向範囲α1、α2では仮想偏向中心線Qから離れるほど徐々に上昇する。従って、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布は、主走査方向Xの中心で最も低くなり、その中心から離れるほど徐々に増大する。
次に、図11のB欄の(イ)では、発光面81の上側の発光点82が仮想配置中心線Mに近づきかつ下側の発光点83が仮想配置中心線Mから離れるように第2半導体レーザ45bの発光面81をF1方向に回転させて、各発光点82、83から出射される各光束La、Lbの偏光方向をYZ方向に傾斜させている。
この場合は、図11のB欄の(ロ)に示すように各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向J(YZ方向)は、ポリゴンミラー42の反射面42aに対して入射して反射される各光束La、Lbを含む入射面92a(XY平面)に対し傾斜する。このため、反射面42aに対して各光束La、LbがS偏光成分及びP偏光成分を共に含む。また、図11のB欄の(ハ)、(ニ)に示すように各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が徐々に大きくなって、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々に低下し、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が滑らかに変化して、各光束La、LbのP偏光成分の反射率も滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が徐々により大きくなって、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々により低下する。従って、反射面42aの反射率は、第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて徐々に低下する。
また、図11のB欄の(ホ)に示すように第1偏向範囲α1、仮想偏向中心線Q上、及び第2偏向範囲α2のいずれにおいても、各光束La、Lbの偏光方向J(YZ方向)は、反射ミラー66aの反射面に対して入射して反射される光束La又はLbを含む入射面92bに対して同じ向きに傾斜する。このため、反射ミラー66aの反射面に対して各光束La、LbがS偏光成分及びP偏光成分を共に含む。
また、発光面81をF1方向に回転させたことから、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度が、各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度よりも小さくなる。そして、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々に大きくなり、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、偏光方向Jの傾斜角度が滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々により大きくなって行く。このため、図11のB欄の(ヘ)、(ト)に示すように第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて、各光束La、LbのP偏光成分の割合が徐々に減少して、各光束La、LbのS偏光成分の割合が徐々に増大する。
また、反射ミラー66aの反射面に対して入射する各光束La、Lbと反射される各光束La、Lbとのなす角度は、概ね一定の鈍角(入射角及び反射角γ2が45°を越える)であることから、各光束La、LbのP偏光成分については、反射ミラー66aの反射面の反射率が大きく低下する。従って、反射ミラー66aの反射面の反射率は、第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて徐々に増大する。
更に、ポリゴンミラー42の反射面42aが図11のB欄の(ニ)に示す反射率分布を有し、反射ミラー66aの反射面が図11のB欄の(ト)に示す反射率分布を有することから、これらの反射率分布の片寄りが相殺し合う。このため、各光束La、Lbは、それらの反射率分布を合成した図11のB欄の(チ)に示す略一定の反射率分布を有する仮想反射面で反射されてから感光体ドラム13の表面に入射することと等価である。従って、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布も略一定となる。
このように第2半導体レーザ45bの発光面81をF1方向に回転させると、ポリゴンミラー42の反射面42aの反射率分布の片寄りと反射ミラー66aの反射面の反射率分布の片寄りとが相殺されて、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布が略一定となる。このため、高さ方向Zにおける第2半導体レーザ45bの発光面81の各発光点82、83間の距離を調節するときに、発光面81をF1方向に回転させれば、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布の片寄りを抑えることができる。
特に、図10に示すように反射ミラー66aの反射面に対して入射する各光束La、Lbと反射される各光束La、Lbとのなす角度が概ね一定の鈍角(入射角及び反射角γ2が45°を越える)である場合には、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が大きく低下し、これが感光体ドラム13の表面における入射光量分布の片寄りの原因となるが、発光面81をF1方向に回転させるだけで、そのような入射光量分布の片寄りを抑えることができる。
次に、比較例として、発光面81をF1方向とは逆の方向に回転させたときの入射光量分布の片寄りについて、図12の図表を参照して説明する。図12は、図11と同様の各項目を示す図表である。
図12の(イ)では、発光面81の上側の発光点82が仮想配置中心線Mから離れかつ下側の発光点83が仮想配置中心線Mに近づくように第2半導体レーザ45bの発光面81をF1方向とは逆のF2方向に回転させて、各発光点82、83から出射される各光束La、Lbの偏光方向をYZ方向に傾斜させている。
この場合は、図12の(ロ)に示すように各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向J(YZ方向)は、ポリゴンミラー42の反射面42aに対して入射して反射される各光束La、Lbを含む入射面92a(XY平面)に対し傾斜する。このため、反射面42aに対して各光束La、LbがS偏光成分及びP偏光成分を共に含む。そして、図12の(ハ)、(ニ)に示すように発光面81をF2方向に回転させた場合も、F1方向に回転させた場合と同様に、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々に低下し、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々により低下する。従って、反射面42aの反射率は、第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて徐々に低下する。
また、図12の(ホ)に示すように第1偏向範囲α1、仮想偏向中心線Q上、及び第2偏向範囲α2のいずれにおいても、各光束La、Lbの偏光方向J(YZ方向)は、反射ミラー66aの反射面に対して入射して反射される光束La又はLbを含む入射面92bに対し同じ向きに傾斜する。このため、反射ミラー66aの反射面に対して各光束La、LbがS偏光成分及びP偏光成分を共に含む。
また、発光面81をF1方向とは逆のF2方向に回転させたことから、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度が、各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度よりも大きくなる。そして、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々に小さくなり、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、偏光方向Jの傾斜角度が滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々により小さくなって行く。このため、図12の(ヘ)、(ト)に示すように第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて、各光束La、LbのP偏光成分の割合が増大して、各光束La、LbのS偏光成分の割合が減少し、反射ミラー66aの反射面の反射率が徐々に低下する。従って、反射ミラー66aの反射面の反射率は、第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて徐々に低下する。
更に、ポリゴンミラー42の反射面42aが図12の(ニ)に示す反射率分布を有し、反射ミラー66aの反射面が図12の(ト)に示す反射率分布を有することから、これらの反射率分布の変化が相乗し合う。このため、各光束La、Lbは、それらの反射率分布を合成した図12の(チ)に示すような反射率分布、つまり第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて大きく減少して行く反射率分布を有する仮想反射面で反射されてから感光体ドラム13の表面に入射することと等価である。このため、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布が大幅に片寄る。
従って、第2半導体レーザ45bの発光面81を回転させて、高さ方向Zにおける発光面81の各発光点82、83間の距離を調節するときには、発光面81をF2方向に回転させるのは好ましくない。
次に、第1半導体レーザ44aの発光面81の回転方向について説明する。第2半導体レーザ45bの発光面81についてはF1方向に回転させることにより感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布の片寄りを抑えることができるが、第1半導体レーザ44aの発光面81についてはF1方向とは逆の方向に回転させる必要がある。
これは、第1半導体レーザ44a、第1入射光学系51、及び第1結像光学系61と、第2半導体レーザ45b、第2入射光学系52、及び第2結像光学系62とが、仮想配置中心線Mに対して対称に配置されており、第1半導体レーザ44aの光束L1の偏光方向と第2半導体レーザ45bの光束L4の偏光方向とが仮想配置中心線Mに対して鏡像の関係になるためである。
尚、第1半導体レーザ44aの光束L1は、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射されて、まず第2偏向範囲α2で偏向され、仮想偏向中心線Qに重なり、更に第1偏向範囲α1で偏向される。従って、光束L1による感光体ドラム13表面の走査方向と光束L4による感光体ドラム13表面の走査方向とが互いに逆方向となる。
図13は、第2実施形態における第1半導体レーザ44aの発光面81の回転位置、ポリゴンミラー42の反射面42a、反射面42aにおける主走査方向Xの反射率分布、反射ミラー64aの反射面、反射ミラー64aの反射面における主走査方向Xの反射率分布、及び感光体ドラム13の表面における主走査方向Xの入射光量分布等を示す図表である。
図13の(イ)では、発光面81を図11のB欄の(イ)のF1方向とは逆のF2方向に回転させて、各発光点82、83から出射される各光束La、Lbの偏光方向を傾斜させている。
この場合は、図13の(ロ)に示すように各光束La、Lb(直線偏光)の偏光方向J(YZ方向)は、ポリゴンミラー42の反射面42aに対して入射して反射される各光束La、Lbを含む入射面92a(XY平面)に対し傾斜し、図11のB欄の(ロ)の傾斜方向とは逆方向に傾斜する。尚、ポリゴンミラー42の反射面42aに対する各光束La、Lbの偏光方向Jは、第1半導体レーザ44aの側からポリゴンミラー42の反射面42aを視たときの方向である。
そして、図13の(ハ)、(ニ)に示すように各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が徐々に小さくなって、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々に増大し、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が滑らかに変化して、各光束La、LbのP偏光成分の反射率も滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど反射面42aに対する各光束La、Lbの入射角及び反射角が徐々により小さくなって、各光束La、LbのP偏光成分の反射率が徐々により増大する。従って、反射面42aの反射率は、第2偏向範囲α2から第1偏向範囲α1にかけて徐々に増大し、図11のB欄の(ニ)の反射率と同様に変化する。
また、図13の(ホ)に示すように第2偏向範囲α2、仮想偏向中心線Q上、及び第1偏向範囲α1のいずれにおいても、各光束La、Lbの偏光方向J(YZ方向)は、反射ミラー64aの反射面に対して入射して反射される光束La又はLbを含む入射面92bに対し同じ向きに傾斜し、図11のB欄の(ホ)の傾斜方向とは逆方向に傾斜する。尚、反射ミラー64aの反射面に対する各光束La、Lbの偏光方向Jは、ポリゴンミラー42の側から反射ミラー64aの反射面を視たときの方向である。
また、発光面81をF2方向に回転させたことから、各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度が、各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときの入射面92bに対する偏光方向Jの傾斜角度よりも大きくなる。そして、各光束La、Lbが第2偏向範囲α2で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qに近づくほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々に小さくなり、引き続いて各光束La、Lbが仮想偏向中心線Q上にあるときには、偏光方向Jの傾斜角度が滑らかに変化し、更に各光束La、Lbが第1偏向範囲α1で偏向されているときには、各光束La、Lbが仮想偏向中心線Qから離れるほど偏光方向Jの傾斜角度が徐々により小さくなって行く。このため、図13の(ヘ)、(ト)に示すように第2偏向範囲α2から第1偏向範囲α1にかけて、各光束La、LbのP偏光成分の割合が徐々に増大して、各光束La、LbのS偏光成分の割合が徐々に減少する。従って、反射ミラー64aの反射面の反射率は、第2偏向範囲α2から第1偏向範囲α1にかけて徐々に減少し、図11のB欄の(ト)の反射率と同様に変化する。
更に、ポリゴンミラー42の反射面42aが図13の(ニ)に示す反射率分布を有し、反射ミラー64aの反射面が図13の(ト)に示す反射率分布を有することから、これらの反射率分布の片寄りが相殺し合う。このため、各光束La、Lbは、それらの反射率分布を合成した図13の(チ)に示す略一定の反射率分布を有する仮想反射面で反射されてから感光体ドラム13の表面に入射することと等価である。従って、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布も略一定となる。
このように第1半導体レーザ44aについては発光面81をF2方向に回転させると、ポリゴンミラー42の反射面42aの反射率分布の片寄りと反射ミラー64aの反射面の反射率分布の片寄りとが相殺されて、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布が略一定となる。
また、第2半導体レーザ45bの発光面81をF1方向に回転させ、第1半導体レーザ44aの発光面81をF1方向とは逆のF2方向に回転させるので、第2半導体レーザ45bの各光束La、Lbの直線偏光の偏光方向と第1半導体レーザ44aの各光束La、Lbの直線偏光の偏光方向とがポリゴンミラー42の回転軸に対して互いに対称に設定されることになる。
次に、第2半導体レーザ45aの発光面81の回転方向について説明する。第2半導体レーザ45aの光束L3は、ポリゴンミラー42の反射面42aで反射され、引き続いて3つの反射ミラー66b、66c、66dで反射されてから感光体ドラム13の表面に入射する。従って、第2半導体レーザ45aの光束L3は、第2半導体レーザ45bの光束L4と比較すると、より多くの反射ミラーで反射される。
ただし、第2半導体レーザ45aの光束L3は、反射ミラー66bで高さ方向Zに反射された後、引き続く2枚の反射ミラー66c、66dで副走査方向Y又は高さ方向Zに反射されることから、各反射ミラー66b、66c、66d別に定義されるそれぞれの入射面が概ねYZ平面となって、これらの入射面に対する光束L3(各光束La、Lb)の偏光方向の傾きが反射ミラー66aで定義された入射面92bに対する光束L4(各光束La、Lb)の偏光方向の傾きと概ね一致する。このため、第2半導体レーザ45aの発光面81がF1方向に回転されると、各反射ミラー66b、66c、66dの反射率が、反射ミラー66aの反射率と概ね同様に第1偏向範囲α1から第2偏向範囲α2にかけて徐々に増大する。従って、高さ方向Zにおける第2半導体レーザ45aの発光面81の各発光点82、83間の距離を調節するときには、第2半導体レーザ45aの発光面81をF1方向に回転させれば、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布の片寄りを抑えることができる。
同様の理由で、第1半導体レーザ44bの発光面81の回転方向についても、第1半導体レーザ44bの光束L2が3枚の反射ミラー64b、64c、64dで反射されるが、第1半導体レーザ44bの発光面81がF2方向に回転されると、各反射ミラー64b、64c、64dの反射率が、反射ミラー64aの反射率と概ね同様に第2偏向範囲α2から第1偏向範囲α1にかけて徐々に減少する。このため、第1半導体レーザ44bの発光面81をF2方向に回転させれば、感光体ドラム13の表面における各光束La、Lbの入射光量分布の片寄りを抑えることができる。
従って、第1半導体レーザ44bの発光面81の回転方向と第2半導体レーザ45aの回転方向とが互いに逆方向になり、第1半導体レーザ44bの各光束La、Lbの直線偏光の偏光方向と第2半導体レーザ45aの各光束La、Lbの直線偏光の偏光方向とがポリゴンミラー42の回転軸に対して互いに対称に設定される。
図14は、第1及び第2実施形態における各第1半導体レーザ44a、44bから出射される各La、Lbの直線偏光の偏光方向及び各第2半導体レーザ45a、45bから出射される各La、Lbの直線偏光の偏光方向を模式的に示す平面図である。図14から明らかなように各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bは、台形の各頂点位置に配置されている。各第1半導体レーザ44a、44bの発光面81がF2方向に回転され、各第2半導体レーザ45a、45bの発光面81がF1方向に回転されており、各第1半導体レーザ44a、44bから出射される合計4本の光束La、Lbの偏光方向Jと各第2半導体レーザ45a、45bから出射される合計4本の光束La、Lbの偏光方向Jとがポリゴンミラー42の回転軸42bに対して対称に設定されている。
尚、上記光走査装置11では、第1半導体レーザ44a、44b及び第2半導体レーザ45a、45bが台形の各頂点位置に配置されているが、それらの配置位置を変更しても構わない。例えば、図15に示す第3実施形態では、第1半導体レーザ44a、44b及び第2半導体レーザ45a、45bを矩形の各頂点位置に配置している。この場合も、各第1半導体レーザ44a、44bの発光面81の回転方向と各第2半導体レーザ45a、45bの発光面81の回転方向とが互いに逆方向にされて、各第1半導体レーザ44a、44bから出射される合計4本の光束La、Lbの偏光方向Jと各第2半導体レーザ45a、45bから出射される合計4本の光束La、Lbの偏光方向Jとがポリゴンミラー42の回転軸42bに対して対称に設定される。
また、上記光走査装置11は、第1半導体レーザ44a、44b、第1入射光学系51、及び第1結像光学系61と、第2半導体レーザ45a、45b、第2入射光学系52、及び第2結像光学系62とを仮想配置中心線Mに対して対称に配置した構成であるが、他の構成の光走査装置であっても、直線偏光成分を含む光束を出射する発光素子を備えるものであれば、本発明を適用することができる。また、上記光走査装置11は、カラー画像の各色に対応する各第1半導体レーザ44a、44b及び各第2半導体レーザ45a、45bを備えているが、モノクロに対応する少なくとも1個の発光素子を備える光走査装置であっても、本発明を適用することができる。
更に、第1乃至第3実施形態では、偏光方向が同一の2本の光束を出射する半導体レーザを例示しているが、偏光方向が同一の3本以上の光束を出射する半導体レーザを適用した光走査装置であっても、本発明を適用することができる。また、1つの半導体レーザにおいて、各光束の偏光方向が同一であれば、各光束を出射する各発光点が直線状に並ばなくてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。