JP5876833B2 - 抗1本鎖iv型コラーゲンポリペプチド抗体、並びに該抗体を含む医薬、及び腫瘍の診断薬、予防薬、又は治療薬 - Google Patents

抗1本鎖iv型コラーゲンポリペプチド抗体、並びに該抗体を含む医薬、及び腫瘍の診断薬、予防薬、又は治療薬 Download PDF

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Description

本発明は、IV型コラーゲン遺伝子産物で1本鎖として分泌される、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに結合し、かつ前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを発現する腫瘍組織の増殖を抑制するモノクローナル抗体に関する。また、本発明は、前記モノクローナル抗体を含む医薬、及び腫瘍の診断薬、予防薬、又は治療薬に関する。
生体組織は、生命の単位である細胞とその細胞周囲や細胞間に存在する細胞外マトリックスとで構成されている。前記細胞外マトリックスは、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、プロテオグリカン等の糖鎖修飾を受けた蛋白質などを主成分とした巨大な蛋白質複合体である。コラーゲンは、生体タンパク質の約30%を占め、結合組織に多く存在している。またコラーゲンは、上皮と結合組織との境界や、内皮と結合組織との境界では、基底膜を構成している。前記細胞外マトリックスの機能として細胞の増殖及び/又は分化の制御に関わることが知られており、正常組織の発生、修復、再生などにおいて、前記細胞外マトリックスと細胞との相互作用が重要であることが明らかとなっている。
この細胞外マトリックスと細胞との相互作用は、腫瘍形成における腫瘍細胞増殖及び血管新生に対しても重要な役割を果たすことが明らかとなっている。腫瘍細胞は、前記細胞外マトリックスの分解と合成を繰り返して細胞外微小環境を再構築し、腫瘍細胞の増殖や新たな血管の形成を促進して腫瘍組織は成長する。更に、腫瘍細胞の浸潤及び/又は転移は、この再構築された細胞外マトリックスの分解によって起こることが知られている。
前記コラーゲンは、20種類以上の遺伝子型が異なるものが知られており、例えば、線維芽細胞や間質細胞等で構成される結合組織ではI型コラーゲンが、基底膜ではIV型コラーゲンが主に存在する。
前記IV型コラーゲンは、線維芽細胞あるいは間質細胞以外に、上皮細胞、内皮細胞等の様々な細胞から分泌される。この分泌されたIV型コラーゲンは、互いに会合してメッシュ構造を有する基底膜骨格を構築すると考えられている。正常組織の基底膜は、上皮組織と間質組織との境界若しくは内皮組織と間質組織との境界などに存在し、組織の形態及び機能を調節する。
コラーゲン分子は、3本の左巻きのポリペプチド鎖が互いに合わさり、緩い右巻きの3重らせん構造を有してなる。前記IV型コラーゲンには、6種類の遺伝型が存在し、これらの遺伝子に由来するα1〜α6のポリペプチド鎖が知られており、前記ポリペプチド鎖の組み合わせの違いにより3種類以上の分子種があると考えられている。最も広範に存在する基底膜は、2本のα1ポリペプチド鎖と1本のα2ポリペプチド鎖とが分子間ジスルフィド結合によって架橋されたIV型コラーゲン分子の会合体で構築され、α3〜α6のポリペプチド鎖が構成するIV型コラーゲン分子は、限られた組織の基底膜にしか存在しない。
このように前記IV型コラーゲンとは、分子間ジスルフィド結合で架橋された3本のαポリペプチド鎖が3重らせん構造を形成している3量体分子又はこれらの会合体を指す。一般的にIV型コラーゲンは、3量体分子として細胞外に分泌され、細胞外で会合体を形成することが知られている。ところが本発明者らは、ヒト培養細胞が、前記IV型コラーゲンの他に、分子間ジスルフィド結合を有さず、またらせん構造を取らない単独のポリペプチド鎖(以下、「1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド」と称することがある)として分泌することを見出した(非特許文献1参照)。特に培地にビタミンCを含まない場合には、培養細胞は、前記IV型コラーゲンに比べて前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを圧倒的に多く産生する(非特許文献2参照)。また、前記IV型コラーゲンは、タンパク質分解酵素(ゼラチナーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ−2など)による分解を受けることが知られているが、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、らせん構造を取らないために、3重らせん構造を有する前記IV型コラーゲンに比べて分解酵素による分解を受け易く、生体内で完全長の1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを検出することは難しいと想定されたが、本発明者らは、ヒト胎盤において1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを見出した(非特許文献3参照)。
本発明者らは、更に、細胞から分泌される1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドが、IV型コラーゲンとは異なる翻訳後修飾を受けていることを明らかにした。IV型コラーゲンにおいてプロリン水酸化及びリジン水酸化が3重らせん構造の形成及び/又は安定化に関与することが知られているが、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、IV型コラーゲンに比べてプロリン水酸化及びリジン水酸化の程度が低い。また、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、Galβ1−3GalNAc糖鎖を認識するAgaricus bisporus凝集素(ABA)レクチンと反応するが、IV型コラーゲンはABAレクチンと反応しない。
このように1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、IV型コラーゲンあるいはその変性によって生じるポリペプチドとは異なる化学的構造を有しており、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドはIV型コラーゲンと異なる生物学的機能を有すると推測されている。
固形腫瘍は、増殖のために新しい血管を必要とする。このため血管新生を阻害することは、腫瘍増殖の阻害方法の一つである。前記IV型コラーゲンは、コラーゲン領域と非コラーゲン領域とからなり、C末端の非コラーゲン領域のポリペプチドであるArrestenが、管腔形成を阻害し、血管新生を阻害する結果、腫瘍の増殖を抑制することが報告されている(非特許文献4参照)。
前記IV型コラーゲンに対するモノクローナル抗体としては、JK199(特許文献1参照)及び血清中のIV型コラーゲンの測定キットに含まれる抗体(非特許文献5、非特許文献6、及び特許文献2参照)が報告されている。
また、変性したIV型コラーゲンに対するモノクローナル抗体としては、「隠れたコラーゲン部位(cryptic collagen site)」に作用する抗体(特許文献3参照)が報告されている。しかしながら、これらの抗体が、細胞外に分泌され、安定に存在する1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを認識することは開示も示唆もされていない。
一方、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを認識する抗体としては、JK132(非特許文献1、及び非特許文献7参照)が1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを認識することが報告されている。しかしながら、これらの報告では1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの生物学的役割及び癌との関連性は明らかにされておらず、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに対する抗体を含む医薬が腫瘍の診断薬及び治療薬として有用であることについては開示も示唆もされていない。
特開昭63−78067号公報 特開平2−1553号公報 特開2009−240324号公報
Takahashi,S.et al.Connective Tissue(1999)vol.31;p.161−168 Yoshikawa,K.et al.J.Biochem.(2001)vol.129;p.929−936 Kajimura,D.et al.Biochemical and Biophisical Research Communication(2004)vol.314;p.11−16 Thomas M.Mundel et al.Microvascular Research(2007)vol.74;p.85−89 IV型コラーゲン測定キット「パナッセイIV・C(ラテックス)」取扱説明書;第一化学薬品(2006年改訂版) Obata,K.et al.Clinical Chimica Acta181、p293−304、1989 Iwata,N.et al.Journal of Biochemistry(1995)vol.117(6);p.1298−1304
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、腫瘍組織への選択性に優れたモノクローナル抗体、並びに、該モノクローナル抗体を含む医薬、及び腫瘍の治療、診断に有用な腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬を提供することを目的とする。
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドが、ヒト癌細胞株、担癌動物の癌組織及びヒト臨床腫瘍において高発現していること、また前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体が前記担癌動物の癌組織の増殖を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)のハイブリドーマ株により産生され、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体である。
<2> H鎖が配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載のモノクローナル抗体である。
<3> H鎖が配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含む前記<1>に記載のモノクローナル抗体である。
<4> GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識する前記<1>から<3>のいずれかに記載のモノクローナル抗体である。
<5> 前記<1>に記載のモノクローナル抗体が有する相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)を含むことを特徴とするモノクローナル抗体である。
<6> 前記<2>に記載のモノクローナル抗体が有する、H鎖が配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体である。
<7> 前記<3>に記載のモノクローナル抗体が有する、H鎖が配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体である。
<8> 前記<4>に記載のモノクローナル抗体が認識する、GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識することを特徴とするモノクローナル抗体である。
<9> ヒト型化されてなる前記<5>から<8>のいずれかに記載のモノクローナル抗体である。
<10> 前記<1>に記載のモノクローナル抗体が有する相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)をヒト抗体へ移植してなることを特徴とするモノクローナル抗体である。
<11> H鎖が配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体である。
<12> H鎖が配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体である。
<13> GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識することを特徴とするモノクローナル抗体である。
<14> ヒト型化されてなる前記<11>から<13>のいずれかに記載のモノクローナル抗体である。
<15> Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)であることを特徴とするハイブリドーマ株である。
<16> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含むことを特徴とする医薬である。
<17> 前記<1>から<14>のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含むことを特徴とする腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬である。
<18> 腫瘍が、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを発現している癌細胞を含む腫瘍である前記<17>に記載の腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬である。
<19> 前記<1>、<2>、<4>から<6>、<8>から<11>、<13>、及び<14>のいずれかに記載のモノクローナル抗体の部分構造であって、
前記モノクローナル抗体が有する相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)を含み、前記CDRが、配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、且つ配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体の部分構造である。
<20> 前記<1>、<3>から<5>、<7>から<10>、及び<12>から<14>のいずれかに記載のモノクローナル抗体の部分構造であって、
前記モノクローナル抗体が有する相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)を含み、前記CDRが、配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、且つ配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とするモノクローナル抗体の部分構造である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、腫瘍組織への選択性に優れたモノクローナル抗体、並びに、該モノクローナル抗体を含む医薬、及び腫瘍の治療、診断に有用な腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬を提供することができる。
図1は、腫瘍細胞株(ヒト肝癌細胞株HLF又はヒト腎臓癌細胞株UO31)における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現の一例を示す図である。JK132とAb6586(Abcam社製)は、いずれもウエスタンブロッティングで1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを認識する抗体である。「3本鎖COL4」は、3本鎖分子間にジスルフィド結合を保ちSDS化により変性したIV型コラーゲンを示し、「1本鎖COL4」は、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを示し、還元処理の「−」は、泳動サンプル用緩衝液中に2−メルカプトエタノールを含まないことを示し、還元処理の「+」は、泳動サンプル用緩衝液中に2−メルカプトエタノールを含むことを示す。 図2は、担癌(ヒト肺癌Lu65A)ヌードラットの癌組織における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現の一例を示す図である。「3本鎖COL4」は、3本鎖分子間にジスルフィド結合を保ちSDS化により変性したIV型コラーゲンを示し、「1本鎖COL4」は、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを示し、還元処理の「−」は、泳動サンプル用緩衝液中に2−メルカプトエタノールを含まないことを示し、還元処理の「+」は、泳動サンプル用緩衝液中に2−メルカプトエタノールを含むことを示す。 図3は、ヒト臨床肺癌組織及び肺癌患者より得られたヒト臨床正常肺組織における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現量を比較した図である。「3本鎖COL4」は、3本鎖分子間にジスルフィド結合を保ちSDS化により変性したIV型コラーゲンを示し、「1本鎖COL4」は、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを示す。 図4は、ヒト肝癌細胞株HLFが産生した1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの精製品の一例を示す図である。「MW」は、分子量マーカーを示す。 図5は、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体(NK46141)が1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識することの一例を示す図である。「Sup.」は、ヒト肝癌細胞HLFの培養上清を示し、「CNT」は、免疫沈降用の1次抗体を含まないPBSのみの陰性対照を示し、「IgG2b」は、Mouse IgG2bアイソタイプ対照をそれぞれ示す。 図6は、ヒト肺癌Lu65A皮下移植ヌードマウスモデルにおいて、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体(NK46141)が腫瘍の増殖を抑制することの一例を示す図である。−△−は、Control群を示し、−○−は、本発明の抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体(NK46141)投与群を示す。 図7Aは、野生型IV型コラーゲンα1遺伝子(COL4A1)の全長(FL)及び変異型COL4A1の発現ベクターを用いて発現させた野生型組換えタンパク質(FL)及び変異型組換えタンパク質(Δ29〜488、Δ29〜989、Δ29〜1,066)を示す概略説明図である。 図7Bは、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体(NK46141)が認識するエピトープ絞込みのためのウエスタンブロッティングの結果を示す図である。「Mock」は、陰性対照を示し、JK132は、遺伝子発現確認用の対照を示す。 図8Aは、変異型COL4A1発現ベクターを示すを用いて発現させた変異型組換えタンパク質(990〜1,066myc、990〜1,019myc、1,020〜1,066myc)を示す概略説明図である。「myc」は、付加した遺伝子発現確認用マーカーであり、抗myc抗体で認識される。 図8Bは、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体(NK46141)が認識するエピトープの絞込みのためのウエスタンブロッティングの結果を示す図である。「Mock」は、陰性対照を示し、抗myc抗体は、遺伝子発現確認用の対照を示す。 図9Aは、野生型COL4A1の全長及び変異型COL4A1発現ベクターを用いて発現させた野生型組換えタンパク質(FL)及び変異型組換えタンパク質(Δ1,020〜1,066、Δ1,020〜1,049、Δ1,050〜1,066)を示す概略説明図である。 図9Bは、NK46141が認識するエピトープの絞込みのためのウエスタンブロッティングの結果を示す図である。「Mock」は、陰性対照を示し、JK132は、遺伝子発現確認用の対照を示す。 図10は、NK46141が認識するエピトープの絞込みのためのdot blotの結果を示す図である。#1:配列番号37で表されるペプチド配列、#2:配列番号38で表されるペプチド配列、#3:配列番号39で表されるペプチド配列、#4:配列番号40で表されるペプチド配列、#5:配列番号41で表されるペプチド配列、#6:配列番号42で表されるペプチド配列。
(モノクローナル抗体)
本発明のモノクローナル抗体(以下、「抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体」、「NK46141」などと称することがある)は、以下の第1〜第3の形態を含む。
前記第1の形態としての前記モノクローナル抗体は、Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)のハイブリドーマ株により産生され、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合する抗体である。前記Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに国際寄託されているハイブリドーマ株である(受領日2010年10月5日)。
前記第2の形態としての前記モノクローナル抗体は、H鎖が、配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むモノクローナル抗体、又は、H鎖が配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むモノクローナル抗体である。
前記第3の形態としての前記モノクローナル抗体は、GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識するモノクローナル抗体である。
なお、前記第1〜第3の形態のモノクローナル抗体は、いずれも1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合する抗体である。また、前記第1〜第3の形態に係るモノクローナル抗体は、前記特徴を有する限り、それぞれ同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
本発明において「1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド」とは、IV型コラーゲン遺伝子産物として1本鎖の状態で細胞から分泌されたタンパク質を指す。通常、「IV型コラーゲン」とは、3本のIV型コラーゲン遺伝子産物が分子間ジスルフィド結合により架橋され、3重らせん構造を有するタンパク質を指すが、「1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド」は、分子間ジスルフィド結合を有さない。
前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド(分子量約180kDa)は、IV型コラーゲン(分子量約500kDa)を還元して得られた単量体あるいはその変性によって生じるポリペプチドとは異なる化学構造を有している。前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、前記IV型コラーゲンに比べ、水酸化プロリン残基や水酸化リジン残基の割合が低い。また、前記IV型コラーゲンとは異なり、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、Agaricus bisporus凝集素(ABA)レクチンで認識されるGalβ1−3GalNAc糖鎖を有する。また、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、その遺伝子多型体、遺伝子変異体、スプライシングバリアント、翻訳後修飾バリアントをも含む。
前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを産生する細胞としては、天然由来のものでも、該1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドをコードする遺伝子を導入した遺伝子組換え体のいずれでもよく、該1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを産生する細胞であれば何ら制限はない。前記遺伝子組換え体は公知の手法により得ることができる。
本発明において「1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合する抗体」(抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体)とは、前記IV型コラーゲンを認識せず、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する抗体であれば、その由来、種類、形状などに制限はない。モノクローナル抗体に限らず、ポリクローナル抗体も、本発明の範囲内として含まれる。
前記ポリクローナル抗体は、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを感作した動物の血清免疫グロブリン画分から公知の手法によって得ることができる。なお、この際、被感作動物は、ポリクローナル抗体を得られる動物であれば種を問わない。
<第1の形態>
前記第1の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体は、前記Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)のハイブリドーマ株により産生される抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体そのものの他、例えば、該抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の部分構造を含むキメラ抗体、ヒト型化抗体、ヒト抗体、マウス抗体なども、本発明の範囲内として含まれる。これらの中でも、ヒト型化抗体、ヒト抗体が特に好ましい。
前記部分構造としては、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の一部であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)と結合する、Fab、F(ab’)、可変領域(V領域)、相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)、scFv(一本鎖抗体)等を含む部分構造などが挙げられる。
前記「キメラ抗体」とは、2つ以上の異なる抗体由来の領域を含む抗体を意味する。一形態では、前記キメラ抗体は、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体のV領域に由来する領域を含む。他の形態では、前記キメラ抗体は、複数の抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体由来のV領域がキメラ抗体中に含まれている。
前記「ヒト抗体」は、ヒトのイムノグロブリン配列に由来するV領域を有する抗体を指す。ヒト抗体を作製する技術も公知であり、遺伝子工学的手法によって作製する方法が確立されている。
前記「ヒト型化抗体」は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の1つ又は複数のCDRをヒト抗体のCDRへ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州出願公開EP125023号公報、国際公開第96/02576号パンフレット参照)。
具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)とを連結するように設計したDNA配列を、CDR及びFR両方の末端領域にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてPCR法によりヒト型化抗体を合成する方法が知られている(国際公開第98/13388号パンフレットに記載の方法を参照)。
前記CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、抗体の抗原への結合親和性が高い抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じて、抗体の抗原への結合親和性が高い抗原結合部位を形成するように、抗体の可変領域におけるFRのアミノ酸を置換してもよい。
前記CDRは、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される非連続な抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、当技術分野で公知であり、Kabatら(J.Biol.Chem.252:6609〜6616(1977))、Kabatら(米国保健社会福祉省、「Sequences of proteins of immunological interest」(1991))、Chothiaら(J.Mol.Biol.196:901〜917(1987))、及びMacCallumら(J.Mol.Biol.262:732〜745(1996))によって記載されている。
また、IMGT/LIGM−DBデータベース〔Giudicelli et al、2006、Nucleic Acids Research 34(Database Issue):D781−D784及びLefranc et al、1995、LIGM−DB/IMGT:An Integrated Database of Ig and TcR、Part of the Immunogenetics Database. Annual of the New York Academy of Science 764(1)、47−47doi;10.1111/j.1749−6632.1995.tb55805.xに記載(http://www.imgt.org/IMGTlect/)〕、IMGT Repertoireデータベース(http://www.imgt.org/IMGTrepertoire/)、IMGT/GENE−DBデータベース〔Giudicelli et al、2005、Nucleic Acids Res.2005 Jan 1;33(Database Issue):D256−61に記載(http://www.imgt.org/IMGT_GENE−DB/GENElect)〕、Kabatデータベース(http://www.kabatdatabase.com)のようないくつかのデータベースからも入手可能である。これらのデータベースに登録されているCDR配列情報と比較することにより、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体に含まれるCDRの同定も可能である。
前記第1の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体のCDRとしては、H鎖が、配列番号5〜7及び11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が、配列番号8〜10及び14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むH鎖と、配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むL鎖との組合せ、又は、配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むH鎖と、配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むL鎖との組合せがより好ましい。
なお、前記第1の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の前記CDRにおける配列番号5〜16で表されるアミノ酸配列の少なくともいずれかは、1個若しくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。
また、前記第1の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体は、GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識する抗体であることが好ましい。なお、前記エピトープにおいて、前記配列番号41で表されるアミノ酸配列は、1個若しくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。
また、前記第1の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体そのものの他、例えば、該抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の部分構造も、本発明の範囲内として含まれる。
前記部分構造としては、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の一部であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)と結合する、Fab、F(ab’)、V領域、相補性決定領域(CDR;complementarity determining region)、scFv(一本鎖抗体)等を含む部分構造などが挙げられる。
<第2の形態>
前記第2の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体は、H鎖が配列番号5〜7のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号8〜10のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むモノクローナル抗体、又は、H鎖が配列番号11〜13のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含み、L鎖が配列番号14〜16のいずれかで表されるアミノ酸配列から選択される少なくとも1種を含むモノクローナル抗体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第2の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体には、前記H鎖及び前記L鎖を含む、キメラ抗体、ヒト型化抗体、ヒト抗体、マウス抗体なども、本発明の範囲内として含まれる。これらの中でも、ヒト型化抗体、ヒト抗体が特に好ましい。
なお、前記第2の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体において、前記配列番号5〜16で表されるアミノ酸配列の少なくともいずれかは、1個若しくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。
また、前記第2の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体そのものの他、例えば、該抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の部分構造も、本発明の範囲内として含まれる。
前記部分構造としては、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の一部であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)と結合する、Fab、F(ab’)、V領域、CDR、scFv(一本鎖抗体)等を含む部分構造などが挙げられる。
<第3の形態>
前記第3の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体は、GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第3の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体には、前記配列番号41で表されるアミノ酸配列を認識する、キメラ抗体、ヒト型化抗体、ヒト抗体、マウス抗体なども、本発明の範囲内として含まれる。これらの中でも、ヒト型化抗体、ヒト抗体が特に好ましい。
なお、前記エピトープにおいて、前記配列番号41で表されるアミノ酸配列は、1個若しくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、挿入、又は付加されたアミノ酸配列であってもよい。
また、前記第3の形態に係る抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体そのものの他、例えば、該抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の部分構造も、本発明の範囲内として含まれる。
前記部分構造としては、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の一部であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)と結合する、Fab、F(ab’)、V領域、CDR、scFv(一本鎖抗体)等を含む部分構造などが挙げられる。
本発明において、「エピトープ」とは、抗体が結合するタンパク質(抗原)中の特定部位を指し、この特定部位は、直鎖及び非直鎖のエピトープの両方を含む。
前記エピトープの同定方法は、公知の分子生物学的手法や細胞工学的手法や生化学的手法を用いることができる。
例として、以下にエピトープの同定方法を次に示す。
前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを産生するヒト細胞株より調製したtotal RNAを用いて、IV型コラーゲンα1遺伝子(COL4A1、NCBI Gene ID:1282)の全長をクローニングし、COL4A1発現ベクター(野生型)を作製する。次に、クローニングしたCOL4A1のcDNAをテンプレートとして、様々なCOL4A1の変異体の発現ベクター(変異型)も併せて作製する。前記作製した野生型又は変異型COL4A1発現ベクターを適当な培養細胞株(例えば、ヒト細胞株)に導入し、野生型又は変異型1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを一過性に過剰発現させる。野生型又は変異型1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを一過性に発現させた培養細胞の上清あるいは細胞抽出液を用いて、1次抗体として前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を用いたウエスタンブロッティングを実施することにより、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体が認識する1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドのエピトープの同定が可能である。
また、上記の方法以外にも、IV型コラーゲンポリペプチドの部分配列ペプチドを化学合成し、dot blot法やELISA法などを用いて、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体が認識する1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドのエピトープを同定することも可能である。
更に、上記2種類の方法を組み合わせることによる前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体が認識する1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドのエピトープの同定も可能である。
<<抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の作製方法>>
前記第1〜第3の形態の抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の作製方法としては、特に制限はなく、公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などが挙げられる。これらの中でも、免疫学的手法が好ましい。
例として、免疫学的手法による抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の作製を次に示す。
前記免疫学的手法に用いられる抗原としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成した抗原、組換え抗原、生体試料から精製した抗原などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記抗原としては、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの全長のアミノ酸配列からなるタンパク質を用いることが好ましい。前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の調製の際、抗原が低分子量のために有効な免疫惹起作用を期待できない場合には、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いることが好ましい。
前記キャリアタンパク質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、KLM(Keyhole Light Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記キャリアタンパク質の結合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などが挙げられる。
また、前記抗原としては、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド(又はその一部)を、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、ヒスチジンタグ等との融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。
前記免疫学的手法による前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の調製方法の具体例としては、前記抗原を所望の動物に感作させ、必要に応じて免疫感作を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る方法などが挙げられる。十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。
次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞株とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。
一方、前記ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えば、マウスなど)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。
前記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独乃至任意に組み合わされて用いられる。
前記1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識する抗体としては、本発明の前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の他、JK132(非特許文献1及び非特許文献7参照)など公知の抗体が挙げられるが、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体は、前記公知の抗体と比較して、抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)に対する親和性が高い点で有利である。
(ハイブリドーマ株)
本発明のハイブリドーマ株は、Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141株と呼ばれ、受託番号:FERM BP−11300(受領日2010年10月5日)として独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(〒305−8566 日本国 茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に国際寄託されている。
前記ハイブリドーマ株は、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を産生することができる。
(医薬)
本発明の医薬は、本発明の前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又はその部分構造を少なくとも含み、必要に応じて、更にその他の成分を含む。本発明において前記部分構造は、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドのCDR又はエピトープを認識する部分、即ち抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の抗原結合部位を含むことが好ましい。
本発明の医薬は、後述する本発明の腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬(例えば、抗癌剤など)として好適に用いられる。
前記医薬は、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を含む医薬組成物も含む。前記医薬組成物には、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の他、医薬に用いられる担体を含む。
前記医薬に用いられる担体は、生理的に許容される、ヒト又はヒト以外の哺乳類への投与に適した溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などであれば特段限定ない。
前記医薬に用いられる担体の具体例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ブドウ糖、グリセリン、エタノールなどの1種以上、並びにそれらの組み合わせなどが挙げられる。多くの場合、組成物内に等張性の物質、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムが含まれることが好ましい。医薬に用いられる担体が、湿潤剤若しくは乳化剤、防腐剤又は緩衝剤などの微量の補助的物質を更に含んでもよく、これらのものは、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体又は該抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の部分構造の保存性又は有効性を高める点で有利である。
<剤形>
前記医薬の剤形は、特段限定されない。例えば、液体、半固体及び固形の剤形であり、具体的には、溶液(例えば、注射可能な溶液及び不溶性の溶液)、分散液若しくは懸濁液、錠剤、丸薬、粉剤、リポソーム、座薬などが挙げられる。
前記剤形は、投与経路や適応症に応じて適宜選択されるが、好ましくは、注射可能な剤形である。注射可能な剤形の好ましい組成としては、注射可能な溶液又は不溶性の溶液の剤形が挙げられ、筋肉内注射、好ましくは、皮下注射に適したものが挙げられる。
前記医薬は、この他、製造及び保存の条件下で無菌かつ安定であれば、溶液、マイクロエマルション、分散液、リポソーム、又は他の投与に適した態様のいずれにも限られない。抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を、必要に応じて上記に列挙された成分の1種又は組み合わせたものと共に、必要な量の適切な溶媒内に組み込み、次いでろ過滅菌することによって、注射可能な無菌の溶液を調製することができる。
基本的な分散媒と、上記に列挙されたものから必要な他の成分とを含む無菌の媒体内に、抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を組み込むことによって分散液を調製するのが一般的である。注射可能な無菌の溶液を調製するための無菌の粉剤の場合において、好ましい調製方法とは、真空乾燥及び凍結乾燥して、有効成分プラス既にろ過滅菌されたその溶液からの任意の所望の追加成分の粉剤を得ることである。例えば、レシチンなどの被覆剤を用いることによって、分散液の場合は必要な粒子径を維持することによって、そして界面活性剤を用いることによって、溶液の適切な流動性を維持することができる。モノステアリン酸塩及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を組成物内に含めることによって、注射可能な組成物の持続的な吸収を成し遂げることができる。
<投与>
前記医薬の投与経路は、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内等の非経口が好ましい。好ましくは皮下であるが、注射の他、インプラント、経皮貼布、及びマイクロカプセル化送達システムを含めた制御放出製剤((Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems)、ジェイ・アール・ロビンソン(J.R.Robinson)編、マルセル・デッカー社(Marcel Dekker、Inc.)、ニューヨーク、1978を参照)などの、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を急激な放出から保護するような担体を用いて活性化合物を調製してもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生物分解性、生物適合性ポリマーを用いることができる。
また、前記医薬は経口投与してもよい。その場合、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造は不活性化を防止する材料で化合物を被覆する、又は前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を、不活性化を防止する材料と同時投与することが好ましい。
例えば、前記医薬を、硬質又は軟質のゼラチンカプセル内に封入及び/又は圧縮して錠剤としてもよい。また、不活性な希釈剤又は吸収可能な食用になる担体と共に経口投与してもよい。更には被験体の食物に直接組み込んでもよい。治療のための経口投与に関して、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造を賦形剤と一緒に組み込んで、そして摂取用の錠剤、舌下錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、カシェ剤などの剤形で用いてもよい。
前記医薬に含まれる前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造の含有量は、特に制限はなく、治療又は予防目的に応じて適宜調整される。
また、実際の投与量は、個体の病状、年齢、性別及び体重等に応じて適宜調整される。なお、本発明においての予防のための投与とは、術後の再発防止、又は疾患の初期段階で増悪を抑制するための投与を指す。
1回の投与あたりの投与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常0.1mg/kg〜250mg/kgであり、0.5mg/kg〜50mg/kgがより好ましく、約5mg/kgが特に好ましい。前記投与量は、治療する症状に応じて投与の度に調整されうる。また、患者の症状、全身状態等を勘案して、この範囲に収まらない投与量を適用してもよい。
前記医薬の投与スケジュールは、単回、連投のいずれでもよい。また、一定期間の投与の後休薬期間を設け、再び投与を行うことであってもよい。
前記医薬は、他の1種以上の医薬と併用してもよく、併用される医薬は症状や副作用を考慮して適宜選択される。本発明において併用には他の医薬を同時又は相前後して投与する他、他の医薬と共に製剤化することも含まれる。
前記医薬と組み合わせることができる医薬は、症状に応じて適宜選択される。例えば、抗腫瘍活性を有する医薬品である、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン等の白金製剤;シクロフォスファミド、メルファラン等のアルキル化剤;ゲムシタビン、ティーエスワン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート等の代謝拮抗剤;ブレオマイシン、ダウノマイシン、アドリアマイシン等の抗腫瘍性抗生物質;イリノテカン、パクリタキセル、エトポシド、ビンクリスチン等のアルカロイド類;ホルモン類等の抗癌剤;エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ等の分子標的薬;トラスツズマブ、ベバシズマブ等の抗体医薬;などが挙げられる。
前記医薬を予防用医薬又は医薬組成物として用いる場合の剤形、投与経路、投与量、投与スケジュールは治療に用いられる場合と同一である。
本発明の前記医薬には、治療用キットも含まれる。前記治療用キットは、本発明の前記医薬又は医薬組成物と併用される他の1種以上の医薬を含む。
本発明の診断、予防、又は治療の対象としては、特に制限はなく、肺癌、胃癌、肝臓癌、大腸癌、腎臓癌、膵臓癌、胆のう癌、卵巣癌等すべての固形癌、及び造血器腫瘍に適用することができ、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現が確認された患者に対して診断、予防、又は治療を行うことができる。本発明の診断、予防、又は治療を実施するに際しては、本発明の前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体及び/又は又はその部分構造そのもの、本発明の前記医薬、又は本発明の前記医薬組成物のいずれをも使用することができる。また、本発明の前記医薬又は前記医薬組成物を予防用医薬又は医薬組成物として用いる場合は、固形癌外科手術時の転移予防及び再発予防のための転移予防剤として用いることが有効である。
(腫瘍の診断薬、予防薬又は抗癌剤)
本発明の腫瘍の診断薬、予防薬又は抗癌剤は、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を少なくとも含む。前記腫瘍の診断薬は、診断用キットの形態で提供される場合があり、前記キットも本発明に含まれる。
前記腫瘍の診断用キットは、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を少なくとも含み、必要に応て、そのほかに、標識物質、あるいは抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体又はその標識物を固定した固相化試薬などを含んでもよい。
前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体の標識物とは、酵素、放射性同位体、蛍光化合物、又は化学発光化合物によって標識されたものを意味する。前記キットは、前記の構成要素の他、検出を実施するための他の試薬、例えば、標識物が酵素標識物の場合は、酵素基質(発色性基質等)、酵素基質溶解液、酵素反応停止液、あるいは検体用希釈液等を含んでいてもよい。
前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を用いた腫瘍の検出は、検体として被験者から採取した生体試料、例えば、血液等と前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体又はその構造とを抗原抗体反応によって結合させ、結合した抗体量に基づいて試料中の目的とする抗原(1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド)の量を測定することにより行うことができる。
前記抗原量の検出は、公知の免疫学的測定法に従って行えばよく、例えば、免疫沈降法、免疫凝集法、標識免疫測定法、免疫比懸濁法、ウエスタンブロット法、フローサイトメトリー法などを用いることができる。
前記標識免疫測定法では、前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体のシグナルは、標識抗体を用いて直接検出した標識量で表すほか、既知濃度あるいは既知抗体価の抗体を標準液として相対的に表してもよい。即ち、標準液と検体を測定計により測定し、標準液の値を基準にして試料中の抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体シグナルを相対的に表すことができる。前記標識免疫測定法としては、例えばELISA法、EIA法、RIA法、蛍光免疫測定法(FIA)、化学発光免疫測定法(Luminescence immunoassay)などが挙げられる。これらの中でも、ELISA法が簡便かつ高感度という点で好ましい。
前記抗1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド抗体を用いた腫瘍の検出に基づいて、前記検出方法により得られた検出結果を指標として腫瘍の状態を評価又は診断することができる。例えば、検出結果が所定の基準値を超えるものを腫瘍陽性、所定の基準値以下のものを腫瘍陰性とし、陽性の場合には、いずれかの腫瘍を発症している可能性があると判断し、腫瘍の状態を評価することができる。
前記腫瘍の状態とは、腫瘍の罹患の有無又はその進行度を意味し、例えば、腫瘍の発症の有無、進行度、悪性度、転移の有無及び再発の有無等が挙げられる。前記評価に際し、これらの腫瘍の状態は1つを選択してもよく、複数個を適宜組み合わせて選択してもよい。
前記腫瘍の有無を評価するには、前記検出結果に基づき、所定の基準値を境界として腫瘍に罹患しているか否かを判断する。腫瘍の悪性度は、癌がどの程度進行しているのかを示す指標となるものであり、前記検出結果に基づき、病期(Stage)を分類して評価したり、あるいは早期癌、進行癌を分類して評価したりすることも可能である。例えば、上記検査結果を指標として早期癌又は進行癌であると評価することも可能である。前記腫瘍の転移は、前記検出結果を指標として、原発巣の位置から離れた部位に新生物が出現しているか否かにより評価する。前記腫瘍の再発は、間欠期又は寛解の後に検出結果が再び所定の基準値を超えたか否かにより評価する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で言及されている市販試薬は、特に示さない限りは製造者の使用説明に従い使用した。
(実施例1)
10容量%胎児牛血清(Tissue Culture Biologicals社製)を添加したRPMI1640培地(Mediatech社製)を用いて、ヒト肝癌細胞株HLF(RIKEN CELL BANKより入手)及びヒト腎臓癌細胞株UO31(National Cancer Institute製)を、それぞれ37℃、5%COの条件下で培養した。細胞がコンフルエントになった時点で、無血清RPMI1640培地に交換後48時間培養し、その後培養上清を回収した。この培養上清に4×泳動サンプル用緩衝液〔8(質量/容量)%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、40(容量)% glycerol、20(容量)% 2−mercaptoethanol、0.008(質量/容量)% bromphenol blue、0.25M Tris−HCl、pH6.8、(以下の実施例において、泳動サンプル用緩衝液は、同様の組成のものを使用した)〕を1/4量(体積比)を加え、90℃で5分間加熱してサンプルを作製した〔還元処理(+)〕。また、前記4×泳動サンプル用緩衝液に2−mercaptoethanolを含まないこと以外は同様の操作を行ったサンプルも作製した〔還元処理(−)〕。
これらのサンプルに対して、XV PANTERA MP System(DRC社製)を用いて、4.5(質量/容量)%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びポリビニリデンジフロライド(PVDF)膜への転写を行った。このPVDF膜を2枚用意し、5(質量/容量)%スキムミルクでブロッキングした後、JK132(抗ヒトIV型コラーゲンα1ポリペプチドマウスモノクローナル抗体、工学院大学工学部応用化学科 細胞工学研究室、今村保忠氏より入手、以下同様のものを使用した)若しくはAb6586(抗IV型コラーゲンウサギポリクローナル抗体、Abcam社製、以下同様のものを使用した)の各抗体溶液で、室温で1時間インキュベートした。TBS−Tween20(20mM Tris−HCl(pH7.4)、150mM NaCl、0.1(容量)% Tween 20)による10分間の洗浄を3回行った後、HRP標識された2次抗体として抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社製)の抗体溶液で、室温で1時間インキュベートした。TBS−Tween 20による10分間の洗浄を3回行った後、ECL plus(GE Healthcare社製)で化学発光反応をさせ、X線フィルムに感光させた。
結果を図1に示す。Ab6586及びJK132の各抗体は、1本又は移動度に違いのある2本からなるほぼ同様のバンドパターンを検出した。非還元処理サンプル〔還元処理(−)〕からは、(1)移動度が小さく、分子間ジスルフィド結合を保ったままのSDS化されたIV型コラーゲン(図1において、「3本鎖COL4」と示す)と、(2)約180kDaの、移動度が大きく、最初から分子間ジスルフィド結合を有さない1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド(図1において、「1本鎖COL4」と示す)が検出された。還元処理サンプル〔還元処理(+)〕からは、前記(2)分子間ジスルフィド結合を有さない1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドと同じ移動度のバンドのみが検出された。還元処理サンプル〔還元処理(+)〕のバンドは、前記(1)分子間ジスルフィド結合を保ったままのSDS化されたIV型コラーゲンの分子間ジスルフィド結合が切断されて生じた1本鎖と、前記(2)分子間ジスルフィド結合を有さない1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドとの両者を含む。従ってこれらの癌細胞株は、分子間ジスルフィド結合を有さない1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを発現していることが明らかとなった。
(実施例2)
ヌードラット(F344/N−rnu/rnu、7週齢、日本クレア社製)皮下で継代したヒト肺癌Lu65A(JCRB:Japanese Collection of Research Bioresourcesより入手)腫瘍塊を約3mm角のブロックにし、套管針を用いてヌードラットの背側部皮下に移植し、腫瘍体積がおよそ200mm以上になった時点で、癌組織を採取した。組織抽出緩衝液(pH7.4、0.1M NaCl/PBS、5mM EDTA、protease inhibitor cocktail(Roche社製)、1mM PMSF)を湿重量の4倍量を加えてホモジェナイズした。その後、12,000回転で5分間遠心し、遠心上清を回収した。この上清に4×泳動サンプル用緩衝液を1/4量(体積比)を加え、90℃で5分間加熱してサンプルを作製した〔還元処理(+)〕。また、前記4×泳動サンプル用緩衝液に2−mercaptoethanolを含まないこと以外は同様の操作を行ったサンプルも作製した〔還元処理(−)〕。
これらのサンプルに対して、XV PANTERA MP System(DRC社製)を用いて、4.5(質量/容量)%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びPVDF膜への転写を行った。このPVDF膜を2枚用意し、5(質量/容量)%スキムミルクでブロッキングした後、JK132若しくはAb6586の各抗体溶液で、それぞれ室温で1時間インキュベートした。TBS−Tween20による10分間の洗浄を3回行った後、HRP標識された2次抗体として抗マウスIgG抗体、抗ウサギIgG抗体(GE Healthcare社製)をそれぞれ室温で1時間インキュベートした。TBS−Tween20による10分間の洗浄を3回行った後、ECLで化学発光反応をさせ、X線フィルムに感光させた。
結果を図2に示す。JK132及びAb6586の各抗体は、非還元処理サンプル〔還元処理(−)〕から、分子間ジスルフィド結合を有さない1本鎖IV型コラーゲンポリペプチド(図2において、「1本鎖COL4」と示す)のバンドを検出した。従ってヒト肺癌Lu65Aの腫瘍組織では、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドが発現していることが明らかとなった。また、JK132抗体は、ヒトの1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドとは反応するが、マウスの1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドとは反応しないため、ヒト肺癌Lu65Aの腫瘍組織(ヌードラット皮下移植ヒト腫瘍組織)は、Lu65A細胞由来のヒト1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを発現していることが明らかとなった。
(実施例3)
実施例1において、ヒト肝癌細胞株HLF及びヒト腎臓癌細胞株UO31から、ヒト癌細胞株〔Lu65A(JCRB:Japanese Collection of Research Bioresourcesより入手)、NCI−H460(National Cancer Institute製)、NCI−H226(National Cancer Institute製)、MDA−MB−157(ATCC:American Type Culture Collectionより入手)、A498(ATCCより入手)、Panc−1(東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センターより入手)、OVCAR3(東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センターより入手)、又はHT1080(大日本製薬株式会社製)〕に変えた以外は、実施例1と同様の方法で各ヒト癌細胞株における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現を確認した。
また、実施例2において、ヒト肺癌Lu65Aから、HLF(RIKEN CELL BANKより入手)に変えたこと以外は、実施例2と同様の方法で、ヌードラット皮下移植ヒト腫瘍組織における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現を確認した。
さらにヒト臨床肺癌組織(Asterand社製、Sample ID:110443A1、112523A1、107811A1、111540B1、112294A1及び111541A1)、又は肺癌患者より得られたヒト臨床正常肺組織(Asterand社製、Sample ID:98859B2、112279B1及び112301B1)は、組織抽出緩衝液(pH7.4、0.1M NaCl/PBS、5mM EDTA、protease inhibitor cocktail(Roche社製)、1mM PMSF)を湿重量の4倍量を加えてホモジェナイズした。その後、12,000回転で5分間遠心し、遠心上清を回収した。この上清に前記4×泳動サンプル用緩衝液に2−mercaptoethanolを含まない前記4×泳動サンプル用緩衝液を1/4量(体積比)を加え、90℃で5分間加熱してサンプルを作製した〔還元処理(−)〕。
ヒト臨床肺癌組織及び肺癌患者より得られたヒト臨床正常肺組織における1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現では、内部標準としてβ−アクチン量を調べるために、抗β−アクチン抗体(SIGMA社製)を用いた。
なお、前記ヒト臨床組織において、癌組織及び正常肺組織は、専門医が病理学的に判別したものである。
実施例1及び2の結果と併せて、実施例1と同様の方法で1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現が確認されたヒト癌細胞株(in vitro)及び実施例2と同様の方法で1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現が確認されたヌードラット皮下移植ヒト腫瘍組織(in vivo)の結果を表1に示す。また、ヒト臨床肺癌組織及びヒト臨床正常肺組織の結果を図3に示す。
表1に示すように、10種のヒト癌細胞株及び2種のヌードラット皮下移植ヒト腫瘍組織で1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現が確認された。また、図3に示すように、6例の全てのヒト臨床肺癌組織で1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの高発現が確認された。一方、肺癌患者より得られたヒト臨床正常肺組織での1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドの発現は僅かであった。
以上の結果より、表1に記載のヒト癌細胞株及びヌードラット皮下移植ヒト腫瘍組織において1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドが発現していることが明らかとなった。また、図3の結果から1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドは、腫瘍組織に特異的に高発現していることが明らかである。
(実施例4)
<1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドの調製>
−細胞と細胞培養−
ヒト肝癌細胞株HLF(RIKEN CELL BANK)を10容量%胎児牛血清(Tissue Culture Biologicals社製)を添加したRPMI1640培地(Mediatech社製)を用いて、37℃、5%COの条件下で培養し、維持した。
−1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドの調製−
Takahashi,Sらの方法(Takahashi,S.et al.“Connective Tissue”(1999)vol.31;p.161−168)を参考に、1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを、無血清RPMI1640培地(Mediatech社製)中で7日間培養したヒト肝癌HLF細胞の培地から、イムノアフィニティー精製した。
簡潔に記載すると、先ずHiTrap NHS−activated HPカラム(GE Healthcare社製)に4.2mgのJK132抗体を固定化することで、JK132アフィニティーカラムを作製した。JK132アフィニティーカラムは、0.2M glycin−HCl、pH2.5で洗浄した。
培養上清450mlを1mlのJK132アフィニティーカラムに通して、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、0.2M glycin−HCl、pH2.5で収集した分画をSDS−PAGE及びウエスタンブロットにより分析した。得られた溶出画分を透析し、凍結乾燥したものを−80℃にて保管した。精製した1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを4.5(質量/容量)%ポリアクリルアミドゲル電気泳動後、銀染色(第一化学薬品株式会社製)した結果を図4に示す。分子量マーカー(MW)は、BioRad社のPrecision Plus Protein Standard Dual Colorを用いた。
(実施例5)
<モノクローナル抗体(NK46141)のスクリーニング>
−免疫−
実施例4で調製した1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(抗原)を用いてメスのBalb/cマウス(日本エスエルシー株式会社)を腹腔注射により免疫した。初回免疫は、一匹あたりFreundの完全アジュバント(DIFCO社製)中の100μg若しくは20μgの1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを投与し、以降は、RIBIアジュバント(Corixa社製)中の20μg〜50μgの1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを投与した。免疫は、それぞれ2週間〜3週間の間隔で行った。最後に免疫の7日間後に25μgの1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを含む食塩加リン酸バッファー(PBS)で追加免疫することにより動物の抗体価を高めた。
−ハイブリドーマの作製−
追加免疫の3日間後、免疫した高抗体価の動物から脾臓細胞を常法により調製し、該脾臓細胞と、P3.X63−Ag8.653マウス骨髄腫細胞(ATCCより入手、#CRL−1580)とを、ポリエチレングリコール4000(SIGMA社製)を用いて融合した。公知のKohler及びMilsteinの技術を用いて、ハイブリドーマ細胞をHAT培地〔FBS(Hyclone社製)10質量%、D(+)−Glucose(和光純薬工業株式会社製)500μM、ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen社製)2質量%、ヒポキサンチンナトリウム(Invitrogen社製)100μM、アミノプテリン(Invitrogen社製)0.1μM、及びチミジン(Invitrogen社製)16μMをRPMI1640(Invitrogen社製)に懸濁して作製;以下の実施例においても同様の組成のものを使用した。〕中のマイクロタイタープレート(NUNC社製)で選択した。
−抗体価の測定−
前記免疫した動物の抗体価を、下記に示すELISA法を用いた血清中の抗体価の測定により選択した。先ず、マイクロタイタープレート(NUNC社製)を1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(抗原)でコートした。次いで1(質量/容量)%BSA/TBS(20mM Tris−HCl、150mM・NaCl、pH7.5)−0.05(容量)% Tween20でブロッキングしたウェルに連続希釈した血清を添加しインキュベートした。1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(抗原)に結合した抗体をマウス免疫グロブリンに対するパーオキシターゼ結合抗体で検出した。
−ハイブリドーマのELISA法によるスクリーニング−
1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(抗原)(50mM炭酸バッファー中1μg/ml濃度)を96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC社製)に室温で2時間固定した。次いでプレートをTBS/0.05容量)% Tween20で洗浄し、プレート表面のフリーの吸着部分を1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween20を用いてブロックし(室温で30分間)、再びTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄した。ハイブリドーマ培養上清をそれぞれウェルに加え、室温で1時間反応させた。その後、プレートをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、次いで1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween20中に希釈したパーオキシターゼ結合マウス抗IgG抗体(BETHYL Laboratories、#E90−131)を50μL/ウェル加えた。室温で1時間インキュベートした後、プレートをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、基質溶液(クエン酸バッファー(pH5)、0.05(質量/容量)% o−フェニレンジアミン、0.03容量% H)をウェルに100μL/ウェルで加えた。20分間〜30分間後、2N硫酸で反応を止め、分光光度計で490nmの吸光度を測定した。
このようにして得られたハイブリドーマ株は、Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(以下、「#141株」と称することがある)として、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに国際寄託した(受領日2010年10月5日)。
−モノクローナル抗体の精製−
前記抗体産生ハイブリドーマ#141株を、HAT培地を用いて、37℃、5%COの条件下で培養した培養上清を調製した。また、前記抗体産生ハイブリドーマ#141株を腹腔内投与し、7日間〜10日間後に採取したマウス腹水をフィルターでろ過して不溶物を除去した。
前記抗体産生ハイブリドーマ培養上清、若しくは前記マウス腹水を、常法に従ってProtein G−sepharose4B(GE Helthecare)を充填したカラムに通して抗体成分を吸着させた後、非特異吸着分を除去してから酸性条件におくことで、遊離したモノクローナル抗体を回収し精製抗体とした。得られた精製抗体は、100倍量(体積比)のPBS緩衝液に透析して置換した。本発明者らは、このモノクローナル抗体を「NK46141」と名付けた。
−モノクローナル抗体NK46141アイソタイプの測定−
サンドイッチELISA法を用いて、NK46141のアイソタイプを測定した。抗マウスIgGヤギポリクローナル抗体(DAKO社製)50μl(固相抗体、50mM炭酸バッファーで1,000倍希釈)を96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC社製)6ウェルに分注し、室温で2時間固定した。次いでウェルをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、ウェル表面のフリーの吸着部分を1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween20を用いてブロックし(室温で30分間)、再びTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄した。
この各ウェルにNK46141産生ハイブリドーマの培養上清を50μl添加し、室温で1時間反応させた。その後、ウェルをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween20で1,000倍に希釈した6種類の検出用抗体(HRP標識抗マウスIgG1ヤギ抗体、HRP標識抗マウスIgG2aヤギ抗体、HRP標識抗マウスIgG2bヤギ抗体、HRP標識抗マウスIgG3ヤギ抗体、HRP標識抗マウスIgAヤギ抗体、HRP標識抗マウスIgGMヤギ抗体;全てBETHYL社製)をウェルごとに1種類ずつ50μL加えた。室温で1時間インキュベートした後、TBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、基質溶液(クエン酸バッファー(pH5.0)、0.05(質量/容量)% o−フェニレンジアミン、0.03容量%H)を各ウェルに100μ加えた。20分間〜30分間後、2N硫酸で反応を止め、分光光度計で490nmの吸光度を測定した。
その結果NK46141のアイソタイプはIgG2bであることが判明した。
−免疫沈降分析−
免疫沈降分析は、0.5μgの精製モノクローナル抗体(NK46141)と、実施例1と同様の方法で培養した、500μlの1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを発現しているヒト肝癌胞株HLFの培養上清とを4℃でローテーションしながら30分間インキュベートした。陽性対照としては、NK46141に代えてJK132を用いたこと以外は、前記同様の操作を行った。アイソタイプ対照としては、NK46141に代えてMouse IgG2b(Isotype Control)(Functional Grade、MBL社製、M077−3M2)を用いたこと以外は、前記同様の操作を行った。また、陰性対照としては、免疫沈降用の1次抗体を含まないPBSのみを用いたこと以外は、前記同様の操作を行った。
次に、Dynabeads M−280 Sheep anti−Mouse IgG二次抗体(dynabeads結合ヤギ抗マウスIgG、ベリタス社製、#DB11201)を10μl加え、4℃でローテーションしながら1時間インキュベートした。また、陰性対照として、ヒト肝癌胞株HLFの培養上清にDynabeads M−280 Sheep anti−Mouse IgG二次抗体を加え、同様にインキュベートした。
マグネットに2分間静置し、上清を除き、500μlのwash buffer(PBS中に0.05(容量)% Tween20、2mM EDTAを含む)で、Dynabeadsを3回洗浄した。Dynabeadsに50μlの2−mercaptoethanolを含まない1×泳動サンプル用緩衝液を添加し、90℃で5分間加熱し、サンプルを調製した。このサンプルに対して、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動及びPVDF膜への転写を行った。そしてPVDF膜をAb6586でインキュベーションし、実施例1と同様に分析した。
図5に結果を示す。図5において「Sup.」は、免疫沈降前のヒト肝癌胞株HLFの培養上清であり、Ab6586によって、複数のバンドが検出された。このサンプルをNK46141やJK132で免疫沈降すると、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドだけが選択的に回収されることが示された。免疫沈降法ではNK46141がIV型コラーゲンを認識せず、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを特異的に認識することを示した。
以上より、1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドを特異的に認識するモノクローナル抗体NK46141が得られた。
(実施例6)
<モノクローナル抗体NK46141の結合親和性>
Djavadi−Ohaniance L.らの方法〔Djavadi−Ohaniance L.、et al.(1996)In Antibody Engineering(Eds.:McCafferty J.、et al.)、Chapter 4、pp.77−97.IRL Press、Oxford.〕を参考に、ELISA法を用いて、精製モノクローナル抗体NK46141の解離定数を求めた。
簡潔に記載すると、予め1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(抗原)を固相化したイムノプレート(Nunc社製)を準備した。一方、一定濃度(0.10μg/ml)のJK132及びNK46141を様々な濃度の抗原と平衡に達するまでの充分な時間インキュベーションした。このインキュベーション液をELISAウェルに添加して、Free抗体の量を求めた。抗原抗体反応は、質量作用の法則により、下記式1に実測値を当てはめ、下記式2のX及びYを求めてグラフを描くことにより、その傾き(1/Kd)から解離定数を求めた。
(式1)
x/[全抗体濃度]×1/[Free抗原]=(1−x/[全抗体濃度])×1/Kd
ここで、
X=x/[全抗体濃度]、Y=x/([全抗体濃度]×[Free抗原]
とおくと、
(式2)
Y=(1−X)×1/Kd
その結果を表2に示す。
JK132及びNK46141の解離定数は、それぞれ15.3×10−8M及び3.4×10−8Mであり、NK46141は、JK132に比べて1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドに対する親和性が高いことが示された.
(実施例7)
<モノクローナル抗体NK46141が認識するエピトープ部位の解析>
サンドイッチELISA法を用いて、抗原(1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド)に対する反応性を評価した。実施例5で精製したモノクローナル抗体NK46141(固相抗体、50mM炭酸バッファー中5μg/ml濃度)を96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC社製)に室温で2時間固定した。次いでプレートをTBS/0.05(容量)% Tween 20で洗浄し、プレート表面のフリーの吸着部分を1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween20を用いてブロックし(室温で30分間)、再びTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄した。抗原として1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチド(1(質量/容量)% BSA/TBS−0.05(容量)% Tween 20中1μg/ml)をウェルに加え、室温で1時間反応させた。その後、プレートをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、次いでPeroxidase Labeling Kit−SH(WAKO社製)を用いて検出用にHRP標識抗体とした単クローン抗体を50μL/wellで加えた。室温で1時間インキュベートした後、プレートをTBS/0.05(容量)% Tween20で洗浄し、基質溶液(クエン酸バッファー(pH5)、0.05(質量/容量)% o−フェニレンジアミン、0.03容量%H)をウェルに100μL/ウェルで加えた。20分間〜30分間後、2N硫酸で反応を止め、分光光度計で490nmの吸光度を測定した。その結果を表3に示す。
本試験の結果、固相抗体にJK132を用い、かつ、HRP標識抗体にJK132又はモノクローナル抗体NK46141を用いたときの吸光度は、それぞれ、0.273及び3.354であった。また、固相抗体にNK46141を用い、かつ、HRP標識抗体にJK132又はNK46141を用いたときの吸光度は、それぞれ、3.284及び0.209であったことから、NK46141とJK132は、1本鎖IV型コラーゲンα1ペプチドに対する結合について競合しないことが明らかとなった。このことから、NK46141が認識するエピトープとJK132が認識するエピトープとは異なる部位に存在することが示され、NK46141とJK132が認識するエピトープが異なることが明らかとなった。
これらの分析により、モノクローナル抗体NK46141とJK132の結合親和性及び認識するエピトープ部位の違いが明らかとなった結果は、NK46141はJK132と異なる活性を有する抗体であることを示した。
(実施例8)
<ヌードマウス移植ヒト肺癌細胞株に対する抗腫瘍効果>
ヒト肺癌細胞株Lu65A(JCRBより入手)を10容量%胎児牛血清(Tissue Culture Biologicals社製)を添加したRPMI1640培地(Mediatech社製)を用いて、37℃、5%COの条件下で培養し、維持した。注射筒を用いて2×10個/0.2mlのLu65A細胞懸濁液をヌードマウス(Balb/cAJcl−nu/nu、9週齢、日本クレア社製)の背側部皮下に移植した。
モノクローナル抗体NK46141を腫瘍の移植前日、移植後3日目、7日目、10日目、及び14日目の計5回、尾静脈に投与した。NK46141は、生理食塩水(大塚製薬株式会社製)で稀釈して用いた。対照群には生理食塩水を用いた。
Lu65A移植後7日目、10日目、14日目、17日目、及び21日目の腫瘍体積を測定した。なお、腫瘍体積は、腫瘍の長径(Lmm)及び短径(Wmm)を計測し、(L×W)/2により算出した。
結果を図6に示す。ヒト肺癌細胞Lu65A皮下移植マウスモデルにおいて、NK46141(30mg/kg)投与群は、NK46141を投与しなかった対照群に比べて有意(p値<0.05、t検定)に腫瘍体積が小さかったことから、NK46141が腫瘍組織の増殖を抑制することが明らかとなった。
(実施例9)
<NK46141のCDR配列の決定>
ハイブリドーマ#141株より、RNeasy(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを得た。得られたtotal RNAから、5’‐RACE PCR法により、NK46141のH鎖及びL鎖の可変領域のcDNAを増幅しクローニングを行った。DNAシーケンシング及びN末端アミノ酸配列分析により、NK46141のH鎖若しくはL鎖の可変領域の遺伝子配列(配列番号1及び2)及びアミノ酸配列(配列番号3及び4)を決定した。
NK46141のCDRは、NK46141のアミノ酸配列と既知抗体のCDRアミノ酸配列とを比較して決定した。即ち、IMGT Repertoireデータベース(http://www.imgt.org/IMGTrepertoire/)、IMGTデータベース(IMGT/LIGM−DBデータベース(http://www.imgt.org/IMGTlect/)及びKabatデータベース(http://www.kabatdatabase.com)を用いて、NK46141と相同性の高い既知抗体遺伝子を検索し、この抗体遺伝子のCDRアミノ酸配列情報からNK46141のCDRを決定した。
前記2種類のIMGTデータベースによる解析結果では、H鎖のCDR1をGFTFTDYY(配列番号5)、CDR2をISEGGSYT(配列番号6)及びCDR3をASPYYGDGGFAY(配列番号7)と決定し、L鎖のCDR1をQSIVHSDGNTY(配列番号8)、CDR2をKVS(配列番号9)及びCDR3をFQGSHVPPT(配列番号10)と決定した。
Kabat データベースによる解析では、H鎖のCDR1をDYYMY(配列番号11)、CDR2をTISEGGSYTYYPDSVKG(配列番号12)及びCDR3をPYYGDGGFAY(配列番号13)と決定し、L鎖のCDR1をRSSQSIVHSDGNTYLE(配列番号14)、CDR2をKVSNRFS(配列番号15)及びCDR3をFQGSHVPPT(配列番号16)と決定した。
(実施例10)
<NK46141が認識するエピトープ配列の同定>
NK46141が認識するエピトープ部位の絞込みを実施するために、以下に示す方法で、様々な変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチドを作製した。
−野生型IV型コラーゲンα1遺伝子のクローニング−
1本鎖IV型コラーゲンペプチドを産生するヒト肝癌細胞HLF細胞株より、RNeasy(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを得た。得られたtotal RNAから、逆転写酵素(SuperscriptIII,Invitrogen社製)を用いてHLF細胞由来のcDNAを調製した。HLF細胞由来のcDNAをテンプレートとして、配列番号17及び18で表されるプライマー配列を用いて、野生型IV型コラーゲンα1遺伝子(COL4A1、NCBI Gene ID:1282)をPCRにより増幅し、クローニングを行った。クローニングした野生型COL4A1は、DNAシーケンシングにより、変異がないことを確認した。
−野生型COL4A1発現ベクターの作製−
前記野生型COL4A1を、pENTR1A(Invitrogen社製)へサブクローニングし、LR clonase(Invitrogen社製)を用いて、野生型COL4A1発現ベクターを作製した。
−変異型COL4A1発現ベクター1の作製−
1本鎖IV型コラーゲンα1ポリペプチドの第29残基〜第488残基のアミノ酸を欠失させた変異型COL4A1組換えタンパク質を得るため、以下の方法で変異型COL4A1発現ベクター1を作製した。
前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第488残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させるため、前記野生型COL4A1発現ベクターをテンプレートとし、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を用いてPCRによりcDNAを増幅させた。次いで、前記野生型COL4A1発現ベクターの作製において、野生型COL4A1を前記PCR産物に変えたこと以外は、前記野生型COL4A1発現ベクターの作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター1を作製した
−変異型COL4A1発現ベクター2の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号21及び22で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター2を作製した。
前記変異型COL4A1発現ベクター2は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第989残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
−変異型COL4A1発現ベクター3の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号23及び24で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター3を作製した。
前記変異型COL4A1発現ベクター3は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第1,066残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
作製した野生型COL4A1発現ベクター及び変異型COL4A1発現ベクター1〜3には、COL4A1由来のシグナル配列が存在することから、哺乳類細胞で一過性に過剰発現させた野生型あるいは変異型の1本鎖IV型コラーゲンペプチドは、培養上清に分泌される。
そこで、作製した野生型COL4A1発現ベクター及び変異型COL4A1発現ベクター1〜3を、それぞれヒト胎児腎細胞由来293FT細胞(Invitrogen社製)に導入して一過性に野生型あるいは変異型の1本鎖IV型コラーゲンペプチドを発現させた。以下、野生型COL4A1発現ベクターを用いて発現させた、1本鎖IV型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列の全長を有する野生型組換えタンパク質を「FL」、変異型COL4A1発現ベクター1を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ29〜488」、変異型COL4A1発現ベクター2を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ29〜989」、変異型COL4A1発現ベクター3を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ29〜1,066」と称することがある。
作製した野生型COL4A1発現ベクター及び変異型COL4A1発現ベクター1〜3、並びに、これらより発現したFL、Δ29〜488、Δ29〜989、及びΔ29〜1,066について、下記表4及び図7Aにまとめて示す。
図7Aは、野生型1本鎖1本鎖IV型コラーゲンペプチド(FL)又は3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチド(Δ29〜488、Δ29〜989、及びΔ29〜1,066)を示す概略説明図である。
野生型1本鎖IV型コラーゲンペプチド又は3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチドが分泌された培養上清を回収し、NK46141をプローブとしたウエスタンブロッティングを行い、NK46141のエピトープの絞込みを実施した。このとき、COL4A1遺伝子を含まないベクターのみを前記同様にヒト胎児腎細胞由来293FT細胞導入して得た培養上清を陰性対照とした(Mock)。更に、NK46141とは異なるエピトープを認識する抗1本鎖IV型コラーゲンペプチド抗体であるJK132を遺伝子発現確認用の対照として用いた。結果を図7Bに示す。
この結果、Δ29〜1,066にはバンドが検出されず、NK46141が認識するエピトープは、1本鎖IV型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列の第990残基〜第1,066残基に存在することが明らかとなった。なお、JK132が認識するIV型コラーゲンα1ポリペプチドのエピトープは、アミノ酸配列の第1,165残基〜第1,179残基に存在することが知られている。
更にNK46141が認識するエピトープを絞込む為に、以下の変異型COL4A1発現ベクター4〜6を作製した。
−変異型COL4A1発現ベクター4の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、テンプレートとしての野生型COL4A1発現ベクターを、前記変異型COL4A1発現ベクター2に変え、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号25及び26で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター4を作製した。次いで、変異型COL4A1発現ベクター4のC末端に、常法によりmycエピトープを付加した。
前記変異型COL4A1発現ベクター4は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第989残基及び第1,067残基〜第1,669残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
−変異型COL4A1発現ベクター5の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター4の作製において、配列番号25及び26で表されるプライマー配列を、配列番号27及び28で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター4の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター5を作製した。次いで、変異型COL4A1発現ベクター5のC末端に、常法によりmycエピトープを付加した。
前記変異型COL4A1発現ベクター5は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第989残基及び第1,020残基〜第1,669残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
−変異型COL4A1発現ベクター6の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター4の作製において、テンプレートとしての変異型COL4A1発現ベクター2を、前記変異型COL4A1発現ベクター4に変え、配列番号25及び26で表されるプライマー配列を、配列番号29及び30で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター4の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター6を作製した。次いで、変異型COL4A1発現ベクター6のC末端に、常法によりmycエピトープを付加した。
前記変異型COL4A1発現ベクター6は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第29残基〜第1.019残基及び第1,067残基〜第1,669残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
作製した変異型COL4A1発現ベクター4〜6を、それぞれヒト胎児腎細胞由来293FT細胞(Invitrogen社製)に導入して一過性に野生型あるいは変異型の1本鎖IV型コラーゲンペプチドを培養上清に発現させた。以下、変異型COL4A1発現ベクター4を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「990〜1,066myc」、変異型COL4A1発現ベクター5を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「990〜1,019myc」、変異型COL4A1発現ベクター6を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「1,020〜1,066myc」と称することがある。
作製した変異型COL4A1発現ベクター4〜6、並びに、これらより発現した990〜1,066myc、990〜1,019myc、及び1,020〜1,066mycについて、下記表5及び図9にまとめて示す。
図9は、3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチド(990〜1,066myc、990〜1,019myc、及び1,020〜1,066myc)を示す概略説明図である。
3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチドが分泌された培養上清を回収し、NK46141をプローブとしたウエスタンブロッティングを行い、NK46141のエピトープの絞込みを実施した。このとき、COL4A1遺伝子を含まないベクターのみを前記同様にヒト胎児腎細胞由来293FT細胞導入して得た培養上清を陰性対照とした(Mock)。また、1本鎖IV型コラーゲンペプチドの発現を確認するための陽性対照として抗myc抗体(SIGMA社製)を使用した。結果を図8Bに示す。
この結果、990〜1,019mycにはバンドが検出されず、NK46141が認識するエピトープは、1本鎖IV型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列の第990残基〜第1,019残基に存在することが明らかとなった。
更にNK46141が認識するエピトープを絞込む為に、以下の変異型COL4A1発現ベクター7〜9を作製した。
−変異型COL4A1発現ベクター7の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号31及び32で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター7を作製した。
前記変異型COL4A1発現ベクター7は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第1,020残基〜第1,066残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
−変異型COL4A1発現ベクター8の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号33及び34で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター8を作製した。
前記変異型COL4A1発現ベクター8は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第1,020残基〜第1,049残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
−変異型COL4A1発現ベクター9の作製−
前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製において、配列番号19及び20で表されるプライマー配列を、配列番号35及び36で表されるプライマー配列に変えたこと以外は、前記変異型COL4A1発現ベクター1の作製と同様の方法で変異型COL4A1発現ベクター9を作製した。
前記変異型COL4A1発現ベクター9は、前記1本鎖IV型コラーゲンペプチドの第1,050残基〜第1,066残基のアミノ酸欠失部位に相当する塩基を欠失させた発現ベクターである。
作製した変異型COL4A1発現ベクター7〜9を、それぞれヒト胎児腎細胞由来293FT細胞(Invitrogen社製)に導入して一過性に野生型あるいは変異型の1本鎖IV型コラーゲンペプチドを培養上清に発現させた。以下、変異型COL4A1発現ベクター7を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ1,020〜1,066」、変異型COL4A1発現ベクター8を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ1,020〜1,049」、変異型COL4A1発現ベクター9を用いて発現させた変異型組換えタンパク質を「Δ1,050〜1,066」と称することがある。
前記野生型COL4A1発現ベクターと併せて、作製した変異型COL4A1発現ベクター7〜9、並びに、これらより発現したΔ1,020〜1,066、Δ1,020〜1,049、及びΔ1,050〜1,066について、下記表6及び図9Aにまとめて示す。
図9Aは、3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチド(Δ1,020〜1,066、Δ1,020〜1,049、及びΔ1,050〜1,066)を示す概略説明図である。
3種類の変異型1本鎖IV型コラーゲンペプチドが分泌された培養上清を回収し、NK46141をプローブとしたウエスタンブロッティングを行い、NK46141のエピトープの絞込みを実施した。このとき、COL4A1遺伝子を含まないベクターのみを前記同様にヒト胎児腎細胞由来293FT細胞導入して得た培養上清を陰性対照とした(Mock)。更に、NK46141とは異なるエピトープを認識する抗1本鎖IV型コラーゲンペプチド抗体であるJK132を遺伝子発現確認用の対照として用いた。結果を図9Bに示す。
この結果、Δ1,020〜1,066及びΔ1,050〜1,066にはバンドが検出されず、NK46141が認識するエピトープは、1本鎖IV型コラーゲンペプチドのアミノ酸配列の第1,050残基〜第1,066残基に存在することが明らかとなった。
実施例10で、野生型COL4A1発現ベクター及び変異COL4A1発現ベクター1〜9の作製に使用したプライマー配列を以下にまとめて示す。
更に、NK46141が認識するエピトープを決定する為に、下記に示す配列番号37〜42で表されるペプチド配列を化学合成し、NK46141をプローブとしてdot blotを行った。図10において、#1は、配列番号37で表されるペプチド配列、#2は、配列番号38ので表されるペプチド配列、#3は、配列番号39で表されるペプチド配列、#4は、配列番号40で表されるペプチド配列、#5は、配列番号41で表されるペプチド配列、#6は、配列番号42で表されるペプチド配列を表す。
その結果、NK46141が認識するエピトープは、IV型コラーゲンα1ポリペプチドのアミノ酸配列の第1,056残基〜第1,064残基に存在するアミノ酸配列“GIGIPGLRG”(配列番号41)で表されるペプチドであることが明らかとなった(図10の#5)。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
FERM BP−11300
以上のように、腫瘍組織に特異的に発現している1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを標的とした本発明の抗体は正常組織や正常器官、正常細胞には作用しない医薬ないしは診断薬又は腫瘍の治療用キットないしは診断用キットとして有用である。

Claims (17)

  1. Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)のハイブリドーマ株により産生され、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体。
  2. 列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む重鎖可変領域と、
    列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  3. 列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む重鎖可変領域と、
    列番号14で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含む請求項1に記載のモノクローナル抗体。
  4. GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識する請求項1から3のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
  5. 請求項2に記載のモノクローナル抗体が有するCDRを含むモノクローナル抗体であって、
    重鎖可変領域が、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、且つ
    軽鎖可変領域が、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、
    1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体。
  6. 請求項3に記載のモノクローナル抗体が有するCDRを含むモノクローナル抗体であって、
    重鎖可変領域が、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、且つ
    軽鎖可変領域が、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、
    1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体。
  7. 請求項4に記載のモノクローナル抗体が認識する、GIGIPGLRG(配列番号41)で表されるアミノ酸配列を含むエピトープを認識することを特徴とするモノクローナル抗体。
  8. ヒト型化されてなる請求項5から7のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
  9. 配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む重鎖可変領域と、
    配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含み、
    1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体。
  10. 配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む重鎖可変領域と、
    配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含む軽鎖可変領域と、を含み、
    1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドに特異的に結合することを特徴とするモノクローナル抗体。
  11. ヒト型化されてなる請求項9から10のいずれかに記載のモノクローナル抗体。
  12. Anti NK−Antigen monoclonal antibody #141(受託番号:FERM BP−11300)であることを特徴とするハイブリドーマ株。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含むことを特徴とする医薬。
  14. 請求項1から11のいずれかに記載のモノクローナル抗体を含むことを特徴とする腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬。
  15. 腫瘍が、1本鎖IV型コラーゲンポリペプチドを発現している癌細胞を含む腫瘍である請求項14に記載の腫瘍の診断薬、予防薬又は治療薬。
  16. 請求項1、2、4、5、7から9、及び11のいずれかに記載のモノクローナル抗体の部分構造であって、
    前記モノクローナル抗体が有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
    前記重鎖可変領域が、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、且つ
    前記軽鎖可変領域が、配列番号8で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号9で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含むことを特徴とするモノクローナル抗体の部分構造。
  17. 請求項1、3、4、6〜8、10、及び11のいずれかに記載のモノクローナル抗体の部分構造であって、
    前記モノクローナル抗体が有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、
    前記重鎖可変領域が、配列番号11で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含み、且つ
    前記軽鎖可変領域が、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号15で表されるアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号16で表されるアミノ酸配列からなるCDR3を含むことを特徴とするモノクローナル抗体の部分構造。
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