JP5875059B2 - 米粉パン用組成物 - Google Patents
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例えば、米粉85質量%、凍結乾燥グルテン15質量%にセルラーゼ、蔗糖脂肪酸エステル、アミラーゼ類、アンモニウム塩などを配合した原料を使用した米粉パンの製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
グルテンを使用しない米粉パンの例として、米粉を主材とし、増粘多糖類、βアミラーゼ、乳化剤が配合され、更にグルテンが配合されていない米粉パン原料が知られている(例えば特許文献2参照)。
使用する米粉を加工した例として、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機酸水溶液から単独若しくは二種類以上選択して組み合わせることで処理溶液を作成し、この処理溶液に玄米、精白米、くず米、古米、ミニマムアクセス米等の米を浸漬した後、脱水し製粉乾燥することを特徴とする小麦粉の代替品となる米粉が知られている(例えば特許文献3参照)。
近年、ホームベーカリーと呼ばれるパンを焼くための家庭用電化製品が普及し小麦粉を原料とした一般的なパンだけでなく米粉を使用したパンも焼くことができるようになってきた。
ホームベーカリーでは、原料を内釜に投入した後は、内釜内で生地の混捏、発酵、焼き上げまでを行うのでパンを作る条件がかなり特別なものとなっている。
ホームベーカリーの機能の向上により米粉パンの品質が向上してはいるが、原料による米粉パンの品質向上も同時に求められている。
従って、本発明は、米粉75質量部以上85質量部、バイタルグルテン15質量部以上25質量部以下からなる主原料100質量部に対して、副原料としてデキストリン3質量部以上5質量部以下、αアミラーゼ30U以上75U以下、βアミラーゼ570AUN以上950AUN以下を含むホームベーカリー用の米粉パン用組成物である。
本発明で使用するホームベーカリーとは、原料を内釜に投入した後は、自動的に内釜内で生地の混捏、発酵、焼き上げまでを行う家庭用の電化製品をいい、家電各社から発売されている。
ホームベーカリーの生地混捏は底部に配置した羽根により行うので用途に応じて羽根の形状を選択するようになっている機種もあるが、一般的なミキサーを使用してパン生地を調製する場合に比べると特別な生地の調製方法である。
また、基本的に焼き上げまでは自動的に行われるので、生地を取り出しての、分割、まるめ、ガス抜き、成型などができない。
本発明の米粉パン用組成物は、このような特別な製造工程でも良好な米粉パンを得ることができるように開発されたものである。
バイタルグルテンの配合比率が15質量部未満では製品のボリュームが不足し、25質量部を超えると製品外観が荒れるので不適となる。
使用する米粉は、うるち米を原料としてこれを粉状にしたもので、製粉方法としては、従来の米粉製粉に使用されている方法が使用でき、例えば、胴搗き製粉、ロール製粉、気流粉砕製粉、高速回転打撃製粉などの製粉方法を挙げることができる。
うるち米の種類は、特に限定されず、「あきたこまち」、「コシヒカリ」などの普通品種から、「モミロマン」、「越のかおり」などアミロース含量の高い品種も使用可能である。
デキストリンが3質量部未満では、製品のボリュームが不足し、5質量部を超えると製品外観が荒れるので不適となる。
さらに、本発明の米粉パン用組成物は副原料として主原料に対してαアミラーゼを30U以上75U以下含む。
αアミラーゼが30U未満では、製品のボリュームが不足し、75Uを超えると製品外観が荒れるので不適となる。
なお、αアミラーゼの酵素力価は、40℃10分間の反応で1mgグルコースに相当する還元糖を1分間で生成する酵素量を1U(ユニット)とする。
さらに、本発明の米粉パン用組成物は副原料として主原料に対してβアミラーゼを570AUN以上950AUN以下含む。
βアミラーゼが570AUN未満では、製品のボリュームが不足し、950AUNを超えると製品外観が荒れるので不適となる。
なお、βアミラーゼの酵素力価は、40℃10分間に1mgのグルコースに相当する還元力を生成するに要する酵素量を1AUNとする。
本発明では、これらの副原料を必須の原料とし、いずれかの副原料がその使用範囲を外れた場合には、その効果を発揮することができず、これらの必須原料の配合割合が重要である。
なお、本発明の米粉パン用組成物を使用して米粉パンを作る場合、必要に応じて従来から米粉パンに使用されている副原料を併用して米粉パンを作ることができる。
この副原料として、例えば、イーストフード、粉乳、食塩、増粘剤、穀粉(うるち米粉を除く)、澱粉、色素、フレーバー、糖類、油脂類、卵類、膨張剤、乳化剤、調味料、乳類、香辛料などを挙げることができる。
これらの副原料は、本発明の米粉パン用組成物と予め混合してミックス粉として使用することができる。
自動で米粉パンを製造するプログラムが組み込んであるホームベーカリーを使用する場合には、マニュアルの指示に従い米粉パンを作ることができる。
ホームベーカリーはそれぞれの機種ごとに単に米粉を使用した場合でも良好な米粉パンが得られるよう工程が調整されているが、本発明では米粉を特定の米粉組成物とすることでさらに良好な米粉パンを得ることができる。
[試験例1〜18]
(1)表1に示す配合の米粉パン用組成物100質量部、グラニュー糖5質量部、食塩2質量部、脱脂粉乳1質量部、ショートニング8質量部を均一に混合しミックス粉とした。
(2)ホームベーカリー(パナソニック株式会社製、SD-BMS102(一斤タイプ))のパンケースに前記(1)で得られたミックス粉300gと水200質量部を入れ、イースト容器にインスタントドライイースト3質量部入れ、米粉コース小麦入りメニューを使用し米粉パンを得た。
(3)得られた米粉パンをホームベーカリーから出してショックを与えた後、製品外観及び食感を以下の評価基準で10名のパネラーにより評価を行った。
製品ボリュームの評価は米粉パンの中央と4隅の高さを測定し平均を求めることで行った。
得られた結果を表1に示す。
[製品外観評価基準]
5点 上面がなめらかで腰折れがなく非常に良い
4点 上面がほぼなめらかでほぼ腰折れがなく良い
3点 普通
2点 上面にやや亀裂が入り、やや腰折れがあり劣る
1点 上面に亀裂が入り、腰折れがあり非常に劣る
[食感評価基準]
5点 非常に口溶けが良く非常に好ましい風味である
4点 口溶けが良く好ましい風味である
3点 普通
2点 口溶けが団子状でやや悪く風味もやや劣る
1点 口溶けが団子状で悪く風味が非常に劣る
米粉の配合比率が75質量部以上85質量部以下で良好な米粉パンが得られた。
試験例6〜10でデキストリンの配合比率による影響を評価した。
デキストリンの配合比率が3質量部以上5質量部以下で良好な米粉パンが得られた。
試験例11〜14でαアミラーゼの配合比率による影響を評価した。
αアミラーゼが30U以上75U以下で良好な米粉パンが得られた。
試験例15〜18でβアミラーゼの配合比率による影響を評価した。
βアミラーゼが570AUN以上950AUN以下で良好な米粉パンが得られた。
以上の結果から、各配合比率のうちを1つでも外れた場合には良好な米粉パンを得ることができないことが確認できた。
Claims (1)
- 米粉75質量部以上85質量部、バイタルグルテン15質量部以上25質量部以下からなる主原料100質量部に対して、副原料としてデキストリン3質量部以上5質量部以下、αアミラーゼ30U以上75U以下、βアミラーゼ570AUN以上950AUN以下を含むホームベーカリー用の米粉パン用組成物。
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