JP5874493B2 - 金属粉末射出成形用成形型 - Google Patents
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Description
射出成形法に用いられる成形型は、一般に、キャビティと、そこに成形材料を供給するゲート、ランナーおよびスプルーと、を有する。成形機のノズルから供給された成形材料は、スプルー、ランナーおよびゲートを順次通過しキャビティ内に充填される。その結果、キャビティの形状が転写された成形体が得られる。
このため、各ゲートまでのランナーの長さを等しくした等長ランナーが用いられる(例えば、特許文献1参照)。等長ランナーでは、ランナーを2つに分岐する分岐点を繰り返し設けることによって、各ゲートまでのランナー長が等しくなるよう設計される。このため、成形材料の流動速度が等しければ、原理上、各ゲートにほぼ同時に成形材料が到達すると考えられる。
そこで、分岐回数をできるだけ減らしつつ、各ゲートへの成形材料の到達時間の均等化を図り、充填性を高めることが課題となっている。
本発明の金属粉末射出成形用成形型は、キャビティ内に金属粉末射出成形材料を導入する複数のゲートと、
スプルーからランナー分岐点までをつなぐ主ランナーと、
前記ランナー分岐点から前記各ゲートに接続する副スプルーまでをそれぞれつなぐ複数の副ランナーと、を有し、
前記複数の副ランナーと前記主ランナーとがなす角度は、それぞれ直角または鈍角であり、
前記複数の副ランナーのうち、前記スプルーに垂直な面に対する平面視において前記主ランナーとなす角度が鈍角であるものを第1の副ランナーとし、前記主ランナーとなす角度が直角であるものを第2の副ランナーとしたとき、前記第1の副ランナーの長さは前記第2の副ランナーの長さより短くなっており、かつ、前記第2の副ランナーは前記平面視においてその途中で湾曲していることを特徴とする。
これにより、複数のゲートからキャビティに対して成形材料を供給する際のタイムラグを短縮することができるので、複雑な形状のキャビティに対しても高い充填性を発揮し、高品質の成形体を効率よく製造可能な金属粉末射出成形用成形型が得られる。
これにより、ゲートの数によらず、高品質の成形体を効率よく製造可能な金属粉末射出成形用成形型が得られる。
これにより、第1の副ランナーには主ランナーから流れてきた成形材料がより短時間で充填されることとなる。その結果、第1の副ランナーに成形材料が充填されるまでの時間をより短縮することができ、ひいては、複数のゲートからそれぞれ成形材料が供給され始めるまでのタイムラグをさらに短縮することができる。
これにより、主ランナーを流れてきた成形材料は、複数の第2の副ランナーに均等に分配される。その結果、複数の第2の副ランナーに成形材料が充填されるまでのタイムラグが確実に短縮され、ひいては、複数のゲートからそれぞれ成形材料が供給され始めるまでのタイムラグをさらに短縮することができる。
前記複数の主ランナーの配置および前記各主ランナーからそれぞれ分岐する複数の前記副ランナーの配置は、前記スプルー分岐点に対して点対称の関係を満たすことが好ましい。
これにより、スプルーを流れてきた成形材料は、複数の主ランナーに均等に分配される。その結果、各キャビティに充填される成形材料の充填密度および充填時間のバラツキが抑えられることとなり、個体差の少ない成形体を効率よく製造することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の金属粉末射出成形用成形型の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の金属粉末射出成形用成形型の第1実施形態の型閉め状態を示す縦断面図、図2は、図1に示す金属粉末射出成形用成形型に形成された成形材料流動用の流路を模式的に示す平面図、図3は、図2に示す流路を模式的に示す斜視図である。
また、上側プレート11および中間プレート12内には、キャビティ10内に成形材料を流動させるための流路2が形成されている。この流路2は、キャビティ10から見て最も上流側に位置する主スプルー21と、主スプルー21の下流側に位置するランナー22と、流路2とキャビティ10との接続部に位置するゲート23と、を有している。また、ランナー22は、図2に示すように、その上流側の部分である主ランナー221と、主ランナー221の下流側に位置する副ランナー222とに分かれている。射出成形機から供給された成形材料は、主スプルー21、ランナー22およびゲート23を順次通過してキャビティ10に充填される。これにより、成形材料はキャビティ10の形状に成形され、任意の形状の成形体を得ることができる。
図2、3に示す流路2においては、主スプルー21がその終端において4本の主ランナー221に分岐している。この分岐点をスプルー分岐点215とする。4本の主ランナー221は、主スプルー21に対して直交する面、すなわちパーティング面Pにおいてスプルー分岐点215から放射状に延伸するよう構成されている。
また、各主ランナー221は、それぞれ、その終端において3本の副ランナー222に分岐している。この分岐点をランナー分岐点225とする。3本の副ランナー222は、パーティング面Pに対する平面視(以下、単に「平面視」という。)においてランナー分岐点225から放射状に延伸するよう構成されている。
また、第1の副ランナー2221の長さ(延長)は、第2の副ランナー2222よりも短くなるよう設定されている。なお、各副ランナー222の長さとは、ランナー分岐点225から各副ランナー222と副スプルー24との接続点までの平面視における長さである。
これに対し、図2に示す成形型1では、ランナー分岐点225において主ランナー221を3本の副ランナー222に分岐させることができるので、ランナー分岐点の数を減らすことができる。その結果、成形材料がゲート23に到達するまでの時間を短縮し、ウェルドラインや充填不良等の発生を抑制することができる。
なお、第1の副ランナー2221は、平面視において湾曲していてもよい。また、主ランナー221も平面視において湾曲していてもよい。
また、成形型1に形成された流路2では、上述したように、主スプルー21がその終端において4本の主ランナー221に分岐しており、各主ランナー221の先にはそれぞれ各副ランナー222、各副スプルー24、各ゲート23等が設けられており、さらにその先にキャビティ10が設けられている。
なお、1つの成形型1に形成されるキャビティ10の数は、特に限定されず、1〜3個でも、5個以上でもよい。
次に、本発明の金属粉末射出成形用成形型の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の金属粉末射出成形用成形型の第2実施形態に形成された成形材料流動用の流路の一部を模式的に示す平面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図4において第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明したのと同様の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
第2実施形態は、各主ランナー221がその終端において4本の副ランナー222に分岐している以外、第1実施形態と同様である。
図5に示す流路2には、第1の副ランナー2221が3本配置されている。これらの第1の副ランナー2221の配置も、主ランナー221に対して線対称の関係を満たしている。なおこの場合、3本の第1の副ランナー2221のうちの1本は主ランナー221の延長線上に配置されることとなる。
例えば、成形型には、上記の構造物以外に任意の構造物が付加されていてもよい。
また、本発明の金属粉末射出成形用成形型のキャビティは、いかなる形状であってもよい。
1.成形体の製造
(実施例1)
まず、水アトマイズ法により製造されたSUS316L粉末を用意した。SUS316L粉末について、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、日機装株式会社製、HRA9320−X100)により平均粒径を測定したところ、平均粒径が10μmであった。有機バインダーは、ポリプロピレンとパラフィンワックスを質量比で9:1となるよう混合したものを用いた。そして、SUS316L粉末と有機バインダーとの質量比は、91:9とした。
次いで、得られた混練物をペレタイザーにより粉砕し、平均粒径5mmのペレットを得た。
次いで、得られたペレットを用い、材料温度:150℃、射出圧力:10.8MPa(110kgf/cm2)という成形条件で、射出成形機にて成形を行った。これにより、成形体を得た。なお、成形体の形状は、直径30mm×厚さ5mmの円盤形状である。
また、成形型としてはキャビティの数が4つの多数個取りのものを用い、流路が図3に示す形状になっているものを用いた。なお、流路の形状条件は以下に示す通りである。
・スプルー分岐点における分岐数:4
・ランナー分岐点における分岐数:3
・キャビティ当たりのゲート数 :3個
・第1の副ランナーの本数 :1本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :180°
・第2の副ランナーの分岐角度 :90°
流路の形状を以下に示す形状(図4に示す形状)に変更し、1つのキャビティ当たりのゲートの数を4個に変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
<流路の形状>
・ランナー分岐点における分岐数:4
・第1の副ランナーの本数 :2本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :135°
・第2の副ランナーの分岐角度 :90°
流路の形状を以下に示す形状(図5に示す形状)に変更し、1つのキャビティ当たりのゲートの数を5個に変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。
<流路の形状>
・ランナー分岐点における分岐数:5
・第1の副ランナーの本数 :3本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :120°および180°
・第2の副ランナーの分岐角度 :90°
流路の形状を以下に示す形状に変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得た。なお、図6は、比較例1で用いた成形型に形成された成形材料流動用の流路を模式的に示す平面図である。
<流路の形状>
・第1の副ランナーの本数 :1本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :180°
・第2の副ランナーの分岐角度 :60°
流路の形状を以下に示す形状に変更した以外は、実施例2と同様にして成形体を得た。
<流路の形状>
・第1の副ランナーの本数 :2本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :135°
・第2の副ランナーの分岐角度 :60°
流路の形状を以下に示す形状に変更した以外は、実施例3と同様にして成形体を得た。
<流路の形状>
・第1の副ランナーの本数 :3本
・第2の副ランナーの本数 :2本
・第1の副ランナーの分岐角度 :120°および180°
・第2の副ランナーの分岐角度 :60°
次に、各実施例および各比較例で得られた成形体を脱脂、焼成して焼結体を得た。そして、得られた焼結体について以下の評価を行った。なお、脱脂条件および焼成条件は以下に示す通りである。
<脱脂条件>
・脱脂温度 :500℃
・脱脂時間 :1時間
・脱脂雰囲気:窒素雰囲気
<焼成条件>
・焼成温度 :1300℃
・焼成時間 :3時間
・焼成雰囲気:アルゴン雰囲気
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により密度を測定した。また、測定された焼結密度の平均値と金属粉末の真密度から焼結体の相対密度を算出した。
その結果、各実施例で得られた焼結体は、各比較例で得られた焼結体に比べて相対密度が高いことが認められた。
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外観を以下の評価基準にしたがって評価した。
<外観の評価基準>
◎:割れ、欠損および変形が発生した焼結体の数が3個以下である。
○:割れ、欠損および変形の発生した焼結体の数が4個以上10個以下である。
△:割れ、欠損および変形の発生した焼結体の数が11個以上50個以下である。
×:割れ、欠損および変形の発生した焼結体の数が51個以上である。
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、その外径をマイクロメーターで測定した。そして、測定値の平均値について、JIS B 0411(金属焼結品の普通許容差)に規定の「幅の普通許容差」に基づき、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:等級が精級である(許容差±0.05mm以下)。
○:等級が中級である(許容差±0.05mm超±0.1mm以下)。
△:等級が並級である(許容差±0.1mm超±0.2mm以下)。
×:許容外である。
以上、2.2および2.3の評価結果を表1に示す。
各実施例および各比較例で得られた焼結体100個について、ランダムに選択した10カ所のビッカース硬度を測定した。そして、10個の測定値の分布幅を算出し、これを各実施例および各比較例の間で比較した。
その結果、各実施例で得られた焼結体は、各比較例で得られた焼結体に比べてビッカース硬度の分布幅が狭く、かつその平均値が高いことが認められた。すなわち、各実施例で得られた焼結体は、各比較例で得られた焼結体に比べて焼結均一性が高いことが認められた。
Claims (5)
- キャビティ内に金属粉末射出成形材料を導入する複数のゲートと、
スプルーからランナー分岐点までをつなぐ主ランナーと、
前記ランナー分岐点から前記各ゲートに接続する副スプルーまでをそれぞれつなぐ複数の副ランナーと、を有し、
前記複数の副ランナーと前記主ランナーとがなす角度は、それぞれ直角または鈍角であり、
前記複数の副ランナーのうち、前記スプルーに垂直な面に対する平面視において前記主ランナーとなす角度が鈍角であるものを第1の副ランナーとし、前記主ランナーとなす角度が直角であるものを第2の副ランナーとしたとき、前記第1の副ランナーの長さは前記第2の副ランナーの長さより短くなっており、かつ、前記第2の副ランナーは前記平面視においてその途中で湾曲していることを特徴とする金属粉末射出成形用成形型。 - 前記ランナー分岐点1個当たり、前記第1の副ランナーの数は1本以上3本以下、前記第2の副ランナーの数は1本または2本である請求項1に記載の金属粉末射出成形用成形型。
- 前記第1の副ランナーは前記平面視において直線状に延伸している請求項1または2に記載の金属粉末射出成形用成形型。
- 前記複数の副ランナーの配置は、前記主ランナーに対して線対称の関係を満たす請求項1ないし3のいずれかに記載の金属粉末射出成形用成形型。
- さらに、前記スプルーが複数の前記主ランナーに分岐するスプルー分岐点を有し、
前記複数の主ランナーの配置および前記各主ランナーからそれぞれ分岐する複数の前記副ランナーの配置は、前記スプルー分岐点に対して点対称の関係を満たす請求項1ないし4のいずれかに記載の金属粉末射出成形用成形型。
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