以下、本発明の実施形態について、添付した図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各図において、Y方向を(シートP等の)排出方向とし、Z方向を(シートP等の)積載方向または上下方向とし、排出方向および積載方向に直交するX方向をシフト方向または前後方向として設定する。また、Frを前方として設定する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1の全体構成について説明する。ここで、図1は画像形成装置1を構成する画像形成装置1を模式的に示す断面図である。図2はシート処理装置3を示す斜視図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、シートPに画像を形成する画像形成装置本体2と、画像が形成(印刷)されたシートPに所定の後処理を行うシート処理装置3と、を備えている。
画像形成装置本体2は、略箱型形状の装置本体4の内部に作像装置5および原稿上の画像を読み取る画像読取装置6等を収容して構成されている。また、装置本体4の上面には、画像読取装置6の画像読取位置に原稿を一枚ずつ自動的に送り込む自動原稿搬送装置7(ADF)が設けられている。
作像装置5は、例えば、パーソナルコンピューターや画像読取装置6から送信された画像データに基づいて画像形成処理を行うものである。作像装置5は、コピー用紙等のシートPを収納する用紙収容部8と、用紙収容部8から搬送経路9に供給されたシートPにトナー像を転写する4個の画像形成部10と、転写したトナー像をシートPに定着させる定着装置11と、定着後のシートPの排出先となる用紙排出部12と、を備えている。なお、シートPには、紙製の記録材に限らず、樹脂フィルムやOHPシート等のシート状の記録材も含まれる。
用紙収容部8の上方には、レーザー・スキャニング・ユニットで構成される露光器13が配設されている。露光器13の上方には、像担持体としての中間転写ベルト14が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト14の上方には、4個のトナーコンテナ15がトナーの色ごとに設けられている。また、中間転写ベルト14の下側に沿って4個の画像形成部10がトナーの色ごとに設けられている。
各画像形成部10は、回転可能に設けられた感光体ドラム16の周囲に一次転写のプロセス順に配置される帯電器17と、現像器18と、一次転写部19と、クリーニング装置20と、除電器21と、を含んで構成されている。
装置本体4の内部には、シートPの搬送経路9が設けられている。搬送経路9の上流部分には、用紙収容部8等からシートPを取り出す給紙部22が設けられている。搬送経路9の中流部分には、中間転写ベルト14の後端部との間に二次転写部23が設けられている。二次転写部23よりも下流側における搬送経路9には、加熱ローラーと加圧ローラーとで構成される定着装置11が設けられている。
搬送経路9の下流端部には、シートPの搬送方向を第1用紙排出部24または第2用紙排出部25に切り換える切換部26が設けられている。第1用紙排出部24から装置本体4の外部に排出されたシートPは、用紙排出部12上に積層される。一方、第2用紙排出部25から装置本体4の外部に排出されたシートPは、シート処理装置3内に搬入される。
なお、画像読取装置6および自動原稿搬送装置7は、これらの機能を備えた一般的なものと同様の構成であるため、その説明を省略する。
ここで、画像形成装置本体2の画像形成動作について説明する。画像形成装置本体2に接続されたコンピューターや画像読取装置6から画像データが入力(印刷開始の指示)されると、まず、帯電器17によって帯電された感光体ドラム16の表面に対し、露光器13によって画像データに応じた露光が行われる。これにより、感光体ドラム16上に形成された静電潜像は、現像器18によって各色のトナー像に現像される。このトナー像は、一次転写部19において中間転写ベルト14上に一次転写される。以上の動作を各画像形成部10が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト14上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、各感光体ドラム16上の残留トナーおよび電荷は、クリーニング装置20および除電器21によって除去される。
一方、給紙部22によって用紙収容部8等から取り出されたシートPは、上述の画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部23へと搬送される。中間転写ベルト14上のフルカラーのトナー像はシートPに二次転写され、そのシートPは搬送経路9を通って定着装置11に搬送される。定着装置11によってトナー像の定着が行われたシートPは、第1用紙排出部24または第2用紙排出部25に進入し、用紙排出部12またはシート処理装置3内に排出される。
次に、シート処理装置3について説明する。シート処理装置3は、画像形成装置本体2の第2用紙排出部25から排出されたシートPを筐体30の内部に搬入し、このシートPに対してステープル処理、穿孔処理および折り処理等の所定の後処理を行うものである。
図1および図2に示すように、シート処理装置3は、略箱型形状の筐体30と、第2用紙排出部25から排出されたシートPが搬入される搬入部31と、メイン排出部32から排出されたシートPおよびステープル処理されて排出されたシート束Sを積載するメイン排出トレイ33と、サブ排出部34から排出されたシートPを受けるサブ排出トレイ35と、シートPを所定の搬送路に一時的に待避させる待避ドラム36と、各種の搬送路切換部材および各種のローラー等と、を備えている。
また、シート処理装置3は、シートPに対して穿孔処理を行うパンチ装置37と、複数枚のシートPをスタックして針部T(ステープル)で綴じるステープル装置38と、シートPに折り処理を行うシート折り装置39と、少なくともメイン排出トレイ33上に積載されたシートPをシフト方向に移動させて揃えるシート揃え機構40と、各装置や機構を適宜制御する制御装置41と、を備えている。
搬入部31から延びる第1搬送路L1は、筐体30の側壁30aの上部に設けられるメイン排出部32に接続されている。第1搬送路L1に分岐接続される第2搬送路L2は、筐体30の上部に設けられるサブ排出部34に接続されている。また、第1搬送路L1に分岐接続される第3搬送路L3は、シート折り装置39に接続されている。また、第3搬送路L3に分岐接続される第4搬送路L4は、待避ドラム36の周りに沿って湾曲し、第1搬送路L1に合流している。
搬入部31から搬入されたシートPは、中間ローラー対42により下流側に送り出される。第1搬送路L1の終端部には、シートP(シート束S)をメイン排出トレイ33へ送り出す排出機構としてのメイン排出部ローラー対43が設けられている。メイン排出部ローラー対43は、それぞれ、メイン排出トレイ33の上方でシフト方向に延びたローラー軸に複数のローラー本体が固定されて構成されている。シートPをステープル装置38に送り出す際には、メイン排出部ローラー対43は、離間してニップが解除される。メイン排出トレイ33には、ステープル装置38によりステープル処理が行われたシートPの束(シート束S)が積載される。なお、メイン排出トレイ33には、後処理が施されない、または穿孔処理だけが施されたシートPが積載される場合もある。
メイン排出トレイ33は、筐体30の側壁30aから外側上方に向かって延設されている。メイン排出トレイ33は、昇降制御装置45を駆動制御することで、側壁30aに沿って上下方向に昇降するように設けられている。また、メイン排出部ローラー対43の下側近傍には、メイン排出トレイ33上に排出され積載されたシートP(シート束S)の高さを監視する上限センサー46が配設されている。
第2搬送路L2の終端部には、シートPをサブ排出トレイ35へ送り出すサブ排出部ローラー対44が設けられている。サブ排出トレイ35には、主にシート処理装置3で後処理が施されない、または穿孔処理だけが施されたシートPが積載される。
待避ドラム36は、第3搬送路L3を搬送されるシートPを第4搬送路L4に搬送し、第1搬送路L1を介して循環させる。これにより、待避ドラム36は、現在実施中のステープル処理が完了するまで、次のステープル処理を行うシートPの1枚目(または複数枚)を待機させる。
パンチ装置37は、搬入部31と中間ローラー対42との間で、上方から第1搬送路L1に対向して配設されている。パンチ装置37は、第1搬送路L1を搬送されるシートPに対して所定のタイミングで穿孔処理を行う。
ステープル装置38は、所定数のシートPがスタックされるトレイ38aと、スタックされたシートPの端部を揃える爪部材38bと、端部が揃えられた所定数のシートPを針部Tにより綴じるステープル処理を行うステープル処理部38cと、を含んで構成されている。ステープル処理が施されたシート束Sは、トレイ105に沿って移動する爪部材38bによってメイン排出部ローラー対43まで搬送され、メイン排出部ローラー対43によってメイン排出トレイ33に排出される。
シート折り装置39は、第3搬送路L3の下流側に設けられている。シート折り装置23は、導入したシートPまたはシート束Sに対し、2つ折り、3つ折り等の折り処理を行う。折り畳まれたシートP等は、下側排出部39aを介して下側排出トレイ39bに排出される。
次に、図2ないし図7を参照して、シート揃え機構40について説明する。図3および図4はシート揃え機構40を示す斜視図である。図5は各移動機構54A,54Bを模式的に示す平面図である。図6および図7は回転機構57Aを示す斜視図である。
図2に示すように、シート揃え機構40は、メイン排出部32においてメイン排出部ローラー対43の上側に配設されている。
図2ないし図4に示すように、シート揃え機構40は、機構本体50と、シートPおよびシート束Sのシフト方向両端部に接触可能な一対の揃え部材51A,51Bと、各揃え部材51A,51Bを支持する一対の台座52A,52Bと、各台座52A,52Bを介して各揃え部材51A,51Bをシフト方向に移動可能に支持するレール53と、レール53に沿って各揃え部材51A,51Bを移動させる一対の移動機構54A,54Bと、各揃え部材51A,51Bを回転可能に支持する一対の回転軸55A,55Bおよび回転軸56と、メイン排出トレイ33の上方でシフト方向に延びる各回転軸55A,55B周りに各揃え部材51A,51Bを積載方向に回転させる一対の回転機構57A,57Bと、各回転機構57A,57Bによって回転された後端側(一端側)の揃え部材51Aと前端側(他端側)の揃え部材51Bとの回転量の差を検出する検出機構58と、を備えている。
図3および図4に示すように、機構本体50は、シフト方向両端部に設けられる一対の第1支持部材60と、シフト方向中央部に設けられる中間支持部材61と、各第1支持部材60の上側に設けられる一対の第2支持部材62と、各第2支持部材62の上側に設けられる一対の第3支持部材63と、を有している。
図3および図4に示すように、一対の回転軸55A,55Bは、それぞれシフト方向に延びている。一対の回転軸55A,55Bは、シフト方向に並設され、その対向する内側端部は、所定間隔をおいて配置されている。各回転軸55A,55Bの両端部は、それぞれ、一対の第1支持部材60と中間支持部材61とによって支持されている。各回転軸55A,55Bは、それぞれ独立して軸心周りに回転可能に設けられている。回転軸56は、各回転軸55A,55Bの上方で、各回転軸55A,55Bに平行に設けられている。回転軸56の両端部は、一対の第2支持部材62によって軸心周りに回転可能に支持されている。レール53は、回転軸56の上方で、回転軸56に平行に設けられている。レール53の両端部は、一対の第3支持部材63に固定されている。
一対の揃え部材51A,51Bは、積載方向および排出方向に延びる平面を有する略平板状に形成されている。一対の揃え部材51A,51Bは、基端側が小さく先端側が大きくなるように形成されている。一対の揃え部材51A,51Bの平面部分は、シートPの前後両端部を押さえるように構成されている。なお、一対の揃え部材51A,51Bは略同一の構成を有しているため、以下の説明では、後端側の揃え部材51Aに着目して説明し、前端側の揃え部材51Bの説明を省略する。同様に、一対の台座52A,52B、一対の移動機構54A,54Bおよび一対の回転機構57A,57Bについても、後端側に着目して説明し、前端側の説明を省略する。なお、前後で対応する構成には、符号として同一の算用数字を付すと共に、後端側の各構成には「A」を付し、前端側の構成には「B」を付すこととする。
後端側の揃え部材51Aの基端部は、回転軸55Aに対して相対的に回転不能に、且つ回転軸55Aに沿って移動可能に取り付けられる。その結果、揃え部材51Aは、回転軸55Aと一体に回転すると共にシフト方向にスライドするように構成されている。
後端側の台座52Aは、レール53、回転軸56および回転軸55Aに沿って移動可能に取り付けられている。具体的には、台座52Aには、レール53がシフト方向に貫通する第1貫通部64と、回転軸56がシフト方向に貫通する第2貫通部65と、が形成されている。また、台座52Aの下部には、上記した揃え部材51Aと、これを回転させる回転機構57A(詳細は後述する。)と、が搭載されている。なお、回転機構57Aはカバー66で覆われている(図3参照)。
図5に示すように、後端側の移動機構54Aは、第2支持部材62に軸支される従動プーリー70と、中間支持部材61に軸支される駆動プーリー71と、従動プーリー70と駆動プーリー71との間に掛け渡されるシフト用タイミングベルト72と、駆動プーリー71を回転駆動させるシフト用駆動部73(ステッピングモーター等)と、を有している。
上記した台座52Aは、シフト用タイミングベルト72に固定されている。したがって、移動機構54Aは、シフト用駆動部73を駆動させることで、台座52Aをレール53に沿ってシフト方向に平行移動させる。すなわち、台座52A,52Bおよび一対の揃え部材51A,51Bは、独立して移動可能に構成されている。
図4、図6および図7に示すように、後端側の回転機構57Aは、揃え部材51Aの基端部に一体に形成される略円筒状の第1ハブ74と、第1ハブ74に対し、相対的に回転可能に連結される第2ハブ75と、第2ハブ75に固定される下側プーリー76と、回転軸56に対し相対的に回転不能に、且つ回転軸56に沿って移動可能に取り付けられる上側プーリー77と、下側プーリー76と上側プーリー77との間に掛け渡される回転用タイミングベルト78と、回転軸56を介して上側プーリー77を回転駆動させる回転用駆動部79(ステッピングモーター等)と(図5参照)、を有している。
図6および図7に示すように、第1ハブ74に形成された第1貫通孔80には、回転軸55Aが相対的に回転不能に挿入される。第2ハブ75に形成された第2貫通孔81には、回転軸55Aが回転可能に挿入される。第1ハブ74の端部には、段差部82が径方向から凹設されている。段差部82は、第1ハブ74の円周の約1/4の長さに形成されている。第2ハブ75の端部には、シフト方向に延びる突起部83が形成されている。第2ハブ75の端部が第1ハブ74の端部に接触すると、突起部83は、円周方向に移動可能な状態(遊びを有した状態)で段差部82の内部に差し込まれる。したがって、第1ハブ74は、第2ハブ75に対して、所定の角度(本実施形態では約90度)だけ、相対的に回転可能に連結されている。
回転用駆動部79を回転駆動させると、回転軸56、上側プーリー77、回転用タイミングベルト78および下側プーリー76を介して第2ハブ75に伝達される。第2ハブ75の回転に伴って突起部83が回転する。突起部83は、第1ハブ74の段差部82の前端82aまたは後端82bに当接して揃え部材51Aを回転軸55Aと共に回転させる。
図3および図4に示すように、検出機構58は、中間支持部材61に固定されるフォトインターラプター84と、一対の回転軸55A,55Bの内側端部に固定される一対の被検出部材85と、を含んで構成されている。
フォトインターラプター84は、発光素子84aおよび受光素子84bを下方に向けて中間支持部材61に取り付けられている。発光素子84aと受光素子84bとは、所定の間隔を有して配置されている。
一対の被検出部材85は、発光素子84aと受光素子84bとの間に配置されている。各被検出部材85は、円板の一部を切り欠いた扇状に形成されている。
次に、図8を参照して、制御装置41について説明する。図8は制御装置41を示すブロック図である。
制御装置41は、CPUや入出力インターフェースを含む制御部41aと、ROMやRAM等の記憶装置で構成される記憶部41bと、を含んで構成されている。
制御部41aには、昇降制御装置45、上限センサー46、シフト用駆動部73、回転用駆動部79、フォトインターラプター84、パンチ装置37、ステープル装置38およびシート折り装置39等が電気的に接続されている。なお、説明は省略するが、制御装置41(制御部41a)は、シート処理装置3を統括制御するために、その他各構成(例えばメイン排出部ローラー対43の駆動モーター等)にもそれぞれ接続されている。制御部41aは、記憶部41bに格納された制御プログラムや制御用データに基づいて、接続された各構成の制御を行うように構成されている。記憶部41bには、例えば、シートPの種類や厚さや、検出機構58の検出結果としての所定値(後述する一定量RT)等が記憶されている。
次に、図3、図4、図9ないし図12を参照して、制御装置41によるシート揃え機構40の各種制御について説明する。図9はシートPの揃え処理を説明する斜視図である。図10はシート揃え機構40を示す側面図であって、各揃え部材51A,51Bが退避位置P2または待機位置P4にある状態を示している。図11はシート束Sの高さ検出処理を説明する斜視図である。図12はシート束Sの崩落防止動作を説明する側面図である。なお、以下の説明では、図3に示すように、各揃え部材51A,51Bが先端部を上方に向けた起立姿勢で筐体30内に収容される位置を「収納位置P1」と呼び、図10に示すように、各揃え部材51A,51Bがメイン排出トレイ33上に排出されたシートP(シート束S)のシフト方向両端部からシフト方向に離れた位置を「退避位置P2」と呼び、図9に示すように、各揃え部材51A,51Bがメイン排出トレイ33上に排出されたシートP(シート束S)のシフト方向両端部に接触する位置を「基準位置P3」と呼ぶこととする。なお、図3に示すように、収納位置P1にある一対の揃え部材51A,51Bは、互いに離れるように各回転軸55Aの外側端部に位置している。
まず、図9および図10を参照して、メイン排出トレイ33上に排出されたシートPを揃える揃え処理について説明する。
制御装置41(制御部41a)は、回転用駆動部79を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを収納位置P1から退避位置P2まで回転させる(図10参照)。なお、退避位置P2は、排出されるシートPのサイズ(A4、B5等)によって異なる位置であるため、制御装置41は、シフト用駆動部73を駆動制御して、シートPのサイズに応じた位置に各揃え部材51A,51Bを独立して移動させる。
そして、制御装置41は、シフト用駆動部73を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを退避位置P2から基準位置P3までシフト方向に移動させる(図9参照)。これにより、一対の揃え部材51A,51Bは、それぞれ、レール53等に沿って移動し、各シートPの両端縁を挟んで複数のシートPを揃える。また、同様に、シート揃え機構40は、複数のシート束Sに対して揃え処理を行うこともできる。なお、シート揃え機構40は、印刷指示(ジョブ)毎にシートPをシフト方向にずらして複数のシートPを仕分ながら積載する仕分処理を行うこともできる。この場合、揃え機構1は、仕分けられたシートPの束に対して揃え処理を行う。
次に、図10ないし図12を参照して、メイン排出トレイ33上に排出されたシート束Sの高さ検出処理について説明する。なお、以下の説明では、図10に示すように、各揃え部材51A,51Bがメイン排出トレイ33上に排出されたシート束Sの最上面Uの上方に移動した位置を「待機位置P4」と呼び、図11に示すように、各揃え部材51A,51Bがそれぞれ第1箇所A1および第2箇所A2に当接した位置を「検出位置P5」と呼ぶこととする。
まず、制御装置41(制御部41a)は、ステープル装置38やメイン排出部ローラー対43等を駆動制御して、シート束Sをメイン排出トレイ33上に排出させる。ここでは、シート束Sは、所謂一点留めでステープル処理されているものとする。この際、シート束Sは、平面視で矩形のシート束Sの4辺のうち針部Tに近い1辺が最後尾となるように排出される。したがって、針部Tに近い1辺が側壁30aに当接するように、シート束Sはメイン排出トレイ33に積載される(図2参照)。なお、本実施形態では、シート束Sの後端部にステープル処理がなされているものとする。
制御装置41は、回転用駆動部79を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを収納位置P1から待機位置P4まで回転させる(図10の二点鎖線参照)。なお、一対の揃え部材51A,51Bの回転量は同一であり、待機位置P4における一対の揃え部材51A,51Bは、シート束Sの排出を阻害しないように配置されている。
そして、制御装置41は、シフト用駆動部73を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bをシート束Sのサイズに応じてシフト方向に移動させる。これにより、一対の揃え部材51A,51Bは、それぞれ、シート束Sの最上面Uにおける第1箇所A1の上方および第2箇所A2の上方に移動する(図2参照)。ここで、第1箇所A1は、最上面Uのうち、ステープル処理による針部Tの累積により形成される隆起領域に含まれている。第2箇所A2は、最上面Uの平坦な領域(以下、「平坦領域」と呼ぶ。)に含まれている。なお、制御装置41は、シート束Sのシフト方向端辺(側辺)から5mm〜50mmの位置に各揃え部材51A,51Bを配置することが好ましい。
続いて、制御装置41は、回転用駆動部79を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを待機位置P4から検出位置P5に回転させる(図11参照)。具体的には、制御装置41は、後端側の揃え部材51Aを待機位置P4から第1箇所A1に当接するまで回転させる。同様に、制御装置41は、揃え部材51Bを待機位置P4から第2箇所A2に当接するまで回転させる。すなわち、各回転機構57A,57B(回転用駆動部79)は、メイン排出トレイ33に積載されたシート束Sの最上面Uのシフト方向両端部付近に各揃え部材51A,51Bを接触させるように回転させる。
その結果、後端側の揃え部材51Aと前端側の揃え部材51Bとの回転量の差を検出機構58が検出し、この検出結果に基づいて第1箇所A1と第2箇所A2との高さの差Dが検出される。
当該高さの差Dを検出した後もシート束Sの排出が継続される場合は、検出位置P5にある一対の揃え部材51A,51Bは、メイン排出トレイ33から離れるように逆回転して待機位置P4に移動する。そして、新たにシート束Sが排出された後、一対の揃え部材51A,51Bは、メイン排出トレイ33に向かって再び回転して検出位置P5に移動する。以降、シート束Sの排出が終了するまで上記動作を繰り返し、シート束Sの排出が終了した後、一対の揃え部材51A,51Bは収納位置P1に戻される(図3参照)。
また、シート束Sの排出が連続して行われる場合、制御装置41は、昇降制御装置45を駆動制御して、メイン排出トレイ33を昇降させる。具体的には、昇降制御装置45は、排出されたシート束Sの最上面Uにおいてステープル処理による針部Tの累積によって隆起した隅部(以下、「突端部C」と呼ぶ。)が、所定の基準から一定の高さとなるようにメイン排出トレイ33を昇降させる。なお、所定の基準とは、例えば、シート処理装置3が載置される床面、回転軸55A,55B,56およびメイン排出部ローラー対43のうち少なくとも1つを指している。
具体的には、まず、上限センサー46は、シート束Sの突端部Cを検知すると、制御装置41の制御部41aに検知信号を出力する。制御装置41は、検知信号を受信すると、上限センサー46からの検知信号がなくなるまで、昇降制御装置45を駆動制御して、メイン排出トレイ33を下降させる。次に、制御装置41は、上限センサー46から検知信号が出力されるまで、昇降制御装置45を駆動制御して、メイン排出トレイ33を上昇させる。
このように突端部Cの高さが一定に制御されるため、待機位置P4と第1箇所A1との間での揃え部材51Aの回転量が略一定に維持される。一方、第2箇所A2の高さは、高さの差Dに応じて変動するため、揃え部材51Bの回転量も、高さの差Dに応じて変動する。したがって、突端部Cを一定の高さに維持することができるため、第1箇所A1に当接した揃え部材51Aを基準として、一対の揃え部材51A,51Bの接触箇所A1,A2の高さの差Dを正確に検出することができる。また、シート束Sの排出量に応じてメイン排出トレイ33を昇降させることができるため、前端側(他端側)の揃え部材51Bによってシート束Sの崩落を防止しつつ、より多くのシート束Sを積載することができる。
ここで、図3および図4を参照して、一対の揃え部材51A,51Bの回転時の回転機構57A,57Bの動きについて説明する。以下の説明では、一対の揃え部材51A,51Bが待機位置P4から回転を開始し、後端側の揃え部材51Aが第1箇所A1に当接するまでの区間を「第1ステージ」と定義し、揃え部材51Aが第1箇所A1に当接してから前端側の揃え部材51Bが第2箇所A2に当接するまでの区間を「第2ステージ」と定義する。
まず、第1ステージでは、各揃え部材51A,51Bの基端部に形成された第2ハブ75の突起部83は、第1ハブ74の段差部82の後端82bに当接している。第2ステージでは、揃え部材51Bは、突起部83が後端82bに当接したまま第2箇所A2に当接するまで回転する(図4に示す揃え部材51Bの突起部83参照)。一方、第2ステージにおける揃え部材51Aは、第1箇所A1に当接することで、それ以上の回転が規制される。しかし、突起部83は段差部82に遊挿されているため、揃え部材51Aに対応する下側プーリー76および第2ハブ75は、突起部83が段差部82の前端82aに当接するまで回転することができる(図4に示す揃え部材51Aの突起部83参照)。これにより、揃え部材51Aには回転力が伝達されず、当該揃え部材51Aへの過剰な負荷が抑制される。
また、ここで、各突起部83と各段差部82との遊び量について説明する。揃え部材51Aが第1箇所A1に当接した時の一対の揃え部材51A,51Bの回転量を0とした場合、第2ステージにおける揃え部材51Bの最大回転量は、揃え部材51Aの遊びに基づく最大回転量RAと一致する。最大回転量RAは、第2ハブ75の突起部83が、段差部82の後端82bに当接している状態から前端82aに当接するまでの回転量である。
一対の揃え部材51A,51Bの回転量の差が一定量RT(高さの差Dが許容量を超えたことを認定するための回転量)以上になったことを検出するためには、第2ステージにおいて揃え部材51Bが一定量RT以上回転可能でなければならない。したがって、当該遊び量(最大回転量RA)は、一定量RT以上になるように設定される。なお、最大回転量RAは、段差部82と突起部83との円周方向の長さによって規定される。
上記したように、シート束Sの突端部Cの高さは一定であるため、第1ステージでは、一対の揃え部材51A,51Bおよび一対の下側プーリー76の回転量R1は略一定である。第2ステージでは、揃え部材51Bおよび一対の下側プーリー76は、待機位置P4から最大で回転量(R1+RA)の回転が可能である。これにより、例えば、一対の揃え部材51A,51Bの回転量の差が一定量RTになる前に、揃え部材51Bが第2箇所A2に当接した場合(高さの差Dが許容範囲内の場合)、揃え部材51Bは、メイン排出トレイ33に向かう回転が規制される。しかし、一対の下側プーリー76は、各突起部83と各段差部82との遊びによって回転量RPまで回転する。なお、本実施形態では、一対の下側プーリー76の回転量RPを、回転量(R1+RT)以上、回転量(R1+RA)以下に設定している。
次に、図3、図4および図11を参照して、検出機構58による後端側の揃え部材51Aと前端側の揃え部材51Bとの回転量の差の検出について説明する。検出機構58は、当該回転量の差を、シート束Sの最上面Uにおける一対の揃え部材51Aの接触箇所の高さの差Dとして検出する。
一対の揃え部材51A,51Bが収納位置P1にある場合、一対の被検出部材85は、上下方向に沿った起立姿勢となっている(図3参照)。このとき、正面視で(シフト方向から見て)、一対の被検出部材85の切り欠いた部分は揃っており、一対の被検出部材85は、発光素子84aと受光素子84bとの間の光路を遮断しないようになっている。このため、受光素子84bは、発光素子84aからの光を受光する。
一方、図4および図11に示すように、高さの差Dに応じて、後端側の揃え部材51Aと前端側の揃え部材51Bとの回転量に差が発生し、この回転量の差が一定量RT以上になると、前端側の被検出部材85が光路を遮断する。このため、受光素子84bは、発光素子84aからの光を受光できず、光路が遮断されたことを検出する。上記したように、一定量RTは、高さの差Dが許容量となったことを認定するための回転量である。つまり、光路遮断の検出は、高さの差Dが許容量を超えたことを示す。なお、一定量RT(所定値)は、実験的および/または経験的に求められ、制御装置41の記憶部41bに予め記憶されている。このように、単一の検出機構58によって高さの差Dを簡易に検出することができる。
本実施形態に係るシート処理装置3では、高さの差Dが許容量になった場合に、複数積層されたシート束Sの崩落防止のための動作が実行される。以下、主に図12を参照して、シート束Sの崩落防止動作について説明する。
まず、検出機構58の検出結果が一定量RT(所定値)となった場合、検出機構58(フォトインターラプター84)は、光路の遮断を示す検出信号を制御装置41の制御部41aに出力する。制御装置41は、検出信号を受信すると、回転用駆動部79を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを検出位置P5から待機位置P4に回動させる(図10の二点鎖線参照)。
続いて、制御装置41は、シフト用駆動部73および回転用駆動部79を駆動制御して、一対の揃え部材51A,51Bを待機位置P4から退避位置P2に移動および回転させる(図10参照)。また、制御装置41は、シフト用駆動部73を駆動制御して、各揃え部材51A,51Bを、それぞれ、基準位置P3からシフト方向外側にずらした受止位置P6に移動させる(図12参照)。すなわち、揃え部材51Aをシート束S(シートP)の後端部から後方に離間させ、揃え部材51Bをシート束S等の前端部から前方に離間させる。基準位置P3と受止位置P6との距離は、10mm以上20mm以下となるように設定されている。本実施形態では、例えば、各揃え部材51A,51Bは、それぞれ、基準位置P3から前後両外側に10mm離れた受止位置P6に移動された状態が維持される。
本実施形態に係るシート処理装置3によれば、各移動機構54A,54Bは、シート束Sのシフト方向後端部(一端部)にステープル処理を施す場合に、制御装置41に制御され、少なくともシフト方向前端側(他端側)の揃え部材51Bを、シートP(シート束S)の前端部(他端部)に接触する基準位置P3からシフト方向外側(前側)にずらした受止位置P6に移動させる。このような構成を採用することで、所謂一点留めでステープル処理を行った各シート束Sの針部Tの重なりによって最上面Uの傾斜が大きくなり、複数積載されたシート束Sがバランスを崩したとしても(図12の矢印参照)、受止位置P6に移動した揃え部材51Bが各シート束Sを受け止めることができる。これにより、複数積載されたシート束Sの崩落を防止することができる。また、メイン排出トレイ33上のシートP(シート束S)をシフト方向に揃えるための一対の揃え部材51A,51Bを、シート束Sの崩落防止用部材として兼用することができるため、崩落防止用部材を別部品で構成する場合に比して、部品点数を削減することができる。これにより、装置の簡略化および低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態に係るシート処理装置3によれば、複数積載されたシート束Sの最上面Uの傾斜が大きくなり、検出機構58の検出結果が一定量RT(所定値)となった場合、すなわち一対の揃え部材51A,51Bの接触箇所A1,A2の高さの差Dが所定値となった場合、少なくとも前端側(他端側)の揃え部材51Bが、シートPの前端部(他端部)から離れる。すなわち、メイン排出トレイ33上にシート束Sが複数積載されていき、これらのシート束Sが崩れる虞が生じた場合に、この揃え部材51Bが受止位置P6に移動される。これにより、大量に排出され積載されたシート束Sの崩落を防止することができる。
さらに、本実施形態に係るシート処理装置3によれば、揃え部材51B(51A)の移動距離(基準位置P3と受止位置P6との距離)を所定範囲に制限することにより、シフト方向へのずれを所定範囲内に抑制しつつシート束Sを積み重ねることができる。これにより、複数積載されたシート束Sが崩落する程にバランスを崩すことを防止することができる。
<第1変形例>
次に、図13を参照して、本実施形態の第1変形例に係るシート処理装置3(シート揃え機構40)について説明する。図13は第1変形例でのシート束Sの崩落防止動作を説明する側面図である。なお、上記した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明は省略する。
上記した実施形態のシート束Sの崩落防止動作では、一対の揃え部材51A,51Bを、それぞれ受止位置P6に移動制御していたが、本発明はこれに限定されない。第1変形例に係るシート揃え機構40では、針部Tで綴じた部分の反対側に位置する揃え部材51Bのみを受止位置P6に移動制御する(図13参照)。すなわち、制御装置41は、積層されたシート束Sが崩れ落ちる方向の揃え部材51Bを受止位置P6に移動させる。この場合、上記した回転軸56を、回転軸55A,55Bと同様に、シフト方向に離間して一対並設し、各回転軸56A,56Bを、それぞれ独立して回転駆動するための回転用駆動部79A,79Bを一対設ける。
以下、第1変形例におけるシート束Sの崩落防止動作について説明する。まず、上記した実施形態に係るものと同様に、制御装置41は、一対の揃え部材51A,51Bを検出位置P5から待機位置P4に回動させる(図10の二点鎖線参照)。続いて、制御装置41は、シフト用駆動部73および回転用駆動部79Aを駆動制御して、隆起領域側(後端側)の揃え部材51Aを待機位置P4から収納位置P1に移動および回転させる(図13参照)。同時に、制御装置41は、シフト用駆動部73および回転用駆動部79Bを駆動制御して、平坦領域側(前端側)の揃え部材51Bを待機位置P4から退避位置P2に移動および回転させる(図10参照)。さらに、制御装置41は、シフト用駆動部73を駆動制御して、揃え部材51Bを基準位置P3からシフト方向外側にずらした受止位置P6に移動させる(図13参照)。
本実施形態の第1変形例に係るシート処理装置3によっても、同様に、複数積載されたシート束Sの崩落を防止することができる。
<第2変形例>
次に、本実施形態の第2変形例に係るシート処理装置3(シート揃え機構40)について説明する。上記した実施形態では、検出機構58の検出結果が一定量RT(所定値)となった場合に揃え部材51Bを受止位置P6に移動させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御装置41は、ユーザーから操作部(図示せず)を介して所謂一点留めでのステープル処理の指示が入力されたことに基づいて、揃え部材51Bを受止位置P6に移動させてもよい。すなわち、メイン排出トレイ33上に積載されたシート束Sの量にかかわらず揃え部材51Bを受止位置P6に移動させる。この場合、検出機構58の機能は停止される(高さ検出処理を行わない)。
なお、本実施形態(各変形例含む(以下同じ))では、基準位置P3から一定の受止位置P6に揃え部材51Bを移動させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、シート束Sの排出および積層の進行に応じて、基準位置P3からの距離が10mmから20mmの範囲内で揃え部材51Bを段階的に移動させてもよい。また、受止位置P6と退避位置P2とが同じ位置であってもよい。
なお、制御装置41は、他端側の揃え部材51Bを受止位置P6に移動させ、所定数のシート束Sの排出がなされた後に、シート束Sの排出を停止するように制御してもよい。これにより、複数積層されたシート束Sの崩落を更に有効に抑制することができる。
なお、制御装置41は、高さ検出処理を行わない場合は(例えばシート揃え処理を行う場合は)、検出機構58(フォトインターラプター84)の機能を停止する。なお、本実施形態では、フォトインターラプター33は透過型であったが、反射型のフォトインターラプターを使用してもよい。この場合、受光素子は、被検出部材85からの反射光を受光することにより光路遮断を検出する。
なお、本実施形態では、シート束Sの後端部を針部Tで綴じているが、これに代えて、シート束Sの前端部を針部Tで綴じてもよい。この場合、制御装置41は、少なくとも揃え部材51Aを受止位置P6に移動制御する(揃え部材51Bを収納位置P1に移動制御してもよい)。すなわち、制御装置41は、少なくとも、綴じた針部Tの反対側の揃え部材51A,51Bを受止位置P6に移動制御すればよい。
なお、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係るシート処理装置3を備えた画像形成装置1における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。