JP5871029B2 - 感光性導電フィルム、導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法 - Google Patents

感光性導電フィルム、導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、感光性導電フィルム、導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法に関し、特には液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイやタッチスクリーン、太陽電池、有機EL等の装置に設けられる電極配線などの導電パターンを形成する方法に関する。
パソコンやテレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA・FA機器等の表示機器では、液晶表示素子やタッチスクリーンを備えるものが普及している。液晶表示素子やタッチスクリーンでは、透明電極など透明性が求められるところに透明な導電膜が利用されている。太陽電池などでも同様である。
透明な導電膜を形成できる材料としては、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジュウムや酸化スズなどが知られている。これらの材料は、可視光に対して高い透過率を示し、液晶表示素子用基板等の透明電極を形成する材料として主流になっている。
液晶表示装置においては、配線、画素電極、端子などの一部を透明導電膜で形成することがある。この場合、透明導電膜を所定の形状にすることが必要となる。透明導電膜のパターニング方法としては、透明導電膜を形成した後、この上にフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成し、ウエットエッチングにより導電膜をパターニングする方法が用いられる。エッチング液としては、ITO膜や酸化インジュウム膜に対しては、塩酸と塩化第二鉄の2液よりなる混合液がよく用いられている。
一方で、ITO以外の材料を用いて透明な導電膜を形成することが検討されている。例えば、下記特許文献1には、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの有機導電性ポリマーを含有する放射線硬化型導電性組成物を基材表面に塗布し硬化することにより、導電性を有し透明な硬化被膜を形成する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、支持体上に、ジアゾスルホニウム系等のレジスト材料を塗布し、さらにその上にチオフェン系有機導電材を塗布し、その後露光及び現像により導電性パターンを形成する方法が開示されている。
特開2005−170996号公報 特表2004−504693号公報
ところで、ITO膜や酸化スズ膜は一般にスパッタ法により形成されるが、スパッタ方式の違い、スパッタパワーやガス圧、基板温度、雰囲気ガスの種類等により膜の性質が変わりやすい。スパッタ条件の変動による透明導電膜の膜質の違いは、膜をウエットエッチングする際のエッチング速度のばらつきの原因となり、透明導電膜のパターンニング不良が発生し、製品の歩留り低下を招きやすい。そのため、ITOなどを用いる方法は、スパッタとレジスト形成並びにエッチングと工程が長く、コスト面でも大きな負担となる。また、係る方法はパターニング精度の均一性を得ることが難しい。
一方、有機導電材料による導電パターンの形成については、以下のような問題がある。上記特許文献1には、導電パターンの形成についての開示はない。マスクを用いたエッチングによってパターニングすることが考えられるが、適切なエッチング液がないためプラズマエッチングやレーザーを用いて加工する必要がある。
特許文献2には、有機導電材料とジアゾ化合物の感光材料を混合した液を支持体に塗布しパターニングする方法や、支持体と有機導電材料及び感光材料からなる層との間に感光材料を更に配置する方法が提案されている。しかし、これらの方法では、所望の基板上に導電パターンを設けようとした場合の導電パターンと基板との接着性ついては考慮されておらず、基板の表面処理などが必要であった。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、基板上に、基板との接着性が十分であり、有機導電材料を含んでなる導電パターンを十分な解像度で簡便に形成することを可能とする感光性導電フィルム、並びに、この感光性導電フィルムを用いた導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、支持体、有機導電材料を含有する導電層、及び感光性樹脂層がこの順に積層された構造を有する感光性導電フィルムを提供する。
本発明の感光性導電フィルムによれば、上記構成を有することにより、感光性導電フィルムを基板上に感光性樹脂層が密着するように貼り付け、これを露光、現像する簡便な工程で、基板との接着性が十分であり、十分な透明性を有する所望の導電パターンを容易に形成することができる。
また、本発明の感光性導電フィルムによれば、感光性導電フィルムを基板上に感光性樹脂層が密着するように貼り付け、これを露光することにより、十分な透明性と、基材に対する良好な接着性とを併せ持つ導電膜を形成することができる。
本発明の感光性導電フィルムにおいて、透明性と導電性の観点から、上記有機導電材料が、チオフェン誘導体のポリマーであることが好ましい。
また、導電膜のパターニング性と基材に対する接着性とを更に向上させる観点から、上記感光性樹脂層が、バインダーポリマー、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物からなるものであることが好ましい。
本発明の感光性導電フィルムは、製造から使用までの期間における異物付着や傷の防止の点で、上記感光性樹脂層の導電層側とは反対側に保護フィルムが更に積層されていることが好ましい。この保護フィルムは感光性導電フィルムを使用するときに除去することができる。
本発明は、また、上記本発明の感光性導電フィルムの上記感光性樹脂層を基材に貼り付けて基材上に少なくとも感光性樹脂層及び導電層をこの順に積層し、積層された上記感光性樹脂層を露光することを特徴とする導電膜の形成方法を提供する。
本発明の導電膜の形成方法によれば、基材に本発明の感光性導電フィルムの感光性樹脂層を貼り付けることにより基材上に感光性樹脂層及び導電層をこの順に設け、これを露光するという簡便な工程で、基材上に上記導電層からなる導電膜を容易に形成することができる。この導電膜は、上記感光性樹脂層が露光により硬化することで、基材上に十分接着される。
本発明は、また、上記本発明の感光性導電フィルムの上記感光性樹脂層を基材に貼り付けて基材上に少なくとも感光性樹脂層及び導電層をこの順に積層し、積層された感光性樹脂層を露光、現像することを特徴とする導電パターンの形成方法を提供する。
本発明の導電パターンの形成方法によれば、基材に本発明の感光性導電フィルムの感光性樹脂層を貼り付けることにより基材上に感光性樹脂層及び導電層をこの順に設け、これを露光、現像するという簡便な工程で、基材上に上記導電層がパターンニングされてなる導電パターンを容易に形成することができる。この導電パターンは、上記感光性樹脂層が露光により硬化することで、基材上に十分接着される。
本発明は、また、基板と、該基板上に上記本発明の導電膜の形成方法により形成された導電膜とを備える導電膜基板を提供する。
本発明は、また、基板と、該基板上に上記本発明の導電パターンの形成方法により形成された導電パターンとを備える導電膜基板を提供する。
本発明によれば、基板上に、基板との接着性が十分であり、有機導電材料を含んでなる導電パターンを十分な解像度で簡便に形成することを可能とする感光性導電フィルム、並びに、これを用いた導電膜の形成方法及び導電パターンの形成方法を提供することができる。
本発明の感光性導電フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の導電パターンの形成方法の一実施形態を説明するための模式断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又はそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
図1は、本発明の感光性導電フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す感光性導電フィルム10は、フィルム状の支持体1、有機導電材料を含有する導電層2、感光性樹脂層3、及び保護フィルム4がこの順に積層されてなる。
以下、本実施形態に係る感光性導電フィルム10を構成するフィルム状の支持体(以下「フィルム支持体」という場合もある。)、導電層、感光性樹脂層及び保護フィルムのそれぞれについて詳細に説明する。
フィルム支持体1としては、透明な支持フィルムであることが好ましい。ここで透明とは、基材に転写後の露光工程における露光光線に透過性を有することを意味し、本実施形態においては、紫外線(300〜400nm)領域で透過性を有することが好ましい。
透明な支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらのうち、透明性や耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。なお、これらの重合体フィルムは、後に感光性樹脂層3を現像するときや、形成された導電膜を露出させるために除去されるので、除去が不可能となるような表面処理が施されたものであったり、材質であったりしてはならない。
上記支持フィルムの厚みは、5〜300μmであることが好ましく、20〜300μmであることがより好ましい。支持フィルムの厚みが、5μm未満であると、機械的強度が低下し、導電層を形成するときや感光性樹脂層を形成するとき、或いは感光性樹脂層の現像前に支持フィルムを剥離する場合に、支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、一方、300μmを超えると、支持フィルムを介して活性光線を感光性樹脂層に照射する場合に解像度が低下する傾向があり、また価格が高くなる傾向にある。
導電層2に含まれる有機導電材料としては、例えば、チオフェン若しくはチオフェン誘導体のポリマーやアニリン若しくはアニリン誘導体のポリマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリアニリンなどを用いることができる。また、「クレビオスP」(エイチ・シー・スタルク(H.C.Starck)社製、商品名)、「セプルジーダOC−U1」(信越ポリマー株式会社製、商品名)などの市販品を用いることができる。
導電層2に含まれる有機導電材料が、光照射によりパターンを形成できる材料であることが好ましい。また、有機導電材料は、本発明の効果が得られる範囲であれば、光照射によりパターンを形成できる材料と併用して導電層2に含有させてもよい。
チオフェン若しくはチオフェン誘導体のポリマーとしては、下記式(1)で表すことができる反復単位を有するポリマーが挙げられる。
Figure 0005871029
式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜40のアリールアミノ基、置換又は無置換の核炭素数6〜40のアリール基、又は置換又は無置換の核炭素数2〜40の複素環基を表し、隣り合う置換基同士は互いに結合し環を形成してもよい。なお、ポリマーの末端基としてはそれぞれ、水素原子、又は置換あるいは無置換の一価の基が挙げられる。
上記式(1)のR及びRにおいて、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、3−メチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、3,5−テトラメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ブチルペンチル基、1−ヘプチルオクチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、及び3,5−テトラメチルシクロヘキシル基が挙げられる。
炭素数1〜20のハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、及びペンタフルオロエチル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基である。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、−OYと表され、Yが上記のアルキル基で説明したものと同様のものが挙げられ、好ましい例も同様である。
炭素数6〜40のアリールアミノ基としては、例えば、ジフェニルアミノ基等、又はジフェニルアミノ基やアミノ基を置換基として有する、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、ジフェニルアミノ基やアミノ基を置換基として有する、フェニル基、ナフチル基である。
核炭素数6〜40のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基が挙げられる。置換基としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基である。
置換又は無置換の炭素数2〜40の複素環基としては、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、2−イミダゾピリジニル基、3−イミダゾピリジニル基、5−イミダゾピリジニル基、6−イミダゾピリジニル基、7−イミダゾピリジニル基、8−イミダゾピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、β−カルボリン−1−イル、β−カルボリン−3−イル、β−カルボリン−4−イル、β−カルボリン−5−イル、β−カルボリン−6−イル、β−カルボリン−7−イル、β−カルボリン−6−イル、β−カルボリン−9−イル、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−シラフルオレニル基、2−シラフルオレニル基、3−シラフルオレニル基、4−シラフルオレニル基、1−ゲルマフルオレニル基、2−ゲルマフルオレニル基、3−ゲルマフルオレニル基、及び4−ゲルマフルオレニル基等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、2−ピリジニル基、1−インドリジニル基、2−インドリジニル基、3−インドリジニル基、5−インドリジニル基、6−インドリジニル基、7−インドリジニル基、8−インドリジニル基、2−イミダゾピリジニル基、3−イミダゾピリジニル基、5−イミダゾピリジニル基、6−イミダゾピリジニル基、7−イミダゾピリジニル基、8−イミダゾピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾフラニル基、3−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、1−ジベンゾチオフェニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、3−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、1−シラフルオレニル基、2−シラフルオレニル基、3−シラフルオレニル基、4−シラフルオレニル基、1−ゲルマフルオレニル基、2−ゲルマフルオレニル基、3−ゲルマフルオレニル基、4−ゲルマフルオレニル基である。
なお、置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、ブチル基、及びフェニル基等が挙げられる。
及びRは互いに結合し環を形成してもよい。環としては、例えば、ジオキサン環、ベンゼン環、シクロヘキシル環、ナフチル環が好ましい。
式(1)のY及びYは、好ましくは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換又は無置換の核炭素数6〜40のアリール基、又は置換又は無置換の核炭素数2〜40の複素環基である。アルキル基、アリール基又は複素環基については、R、Rと同様のものが挙げられる。
式(1)で表されるポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体は、市販の製品、又は公知の方法にて合成したものを使用できる。ポリチオフェン又はポリチオフェン誘導体の分子量は、一般に、数平均分子量として、1,000〜100,000の範囲のものを用いる。分子量がこれより小さいと、π電子共役系に基づく充分な導電性が発揮されず、他方、分子量が大きすぎると粘稠になり薄膜形成が困難となる。反復単位は隣接する反復単位と、ヘッド−テイル、ヘッド−ヘッドまたはテイル−テイルの様式で結合してポリマーを形成している。チオフェン環の3位を置換するアルキル基またはアルコキシ基は、あまり長鎖のものを用いると、分子の立体構造の規則に乱れが生じ移動度を損なうおそれがあるので、炭素数20以下のものが好ましい。
導電層2は、例えば、フィルム支持体1上に、上述した有機導電材料を水及び/又は有機溶剤、必要に応じて界面活性剤などの分散安定剤などを加えた導電層形成用分散液を塗工した後、乾燥することにより形成することができる。塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
導電層2の厚みは、本発明の感光性導電フィルムを用いて形成される導電膜若しくは導電パターンの用途や求められる導電性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、0.01μm〜0.5μmであることがより好ましく、0.01μm〜0.3μmであることが特に好ましい。導電層2の厚みが1μm以下であると、光の透過性を確保しやすくなる。
感光性樹脂層3としては、バインダーポリマー、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物からなるものが好ましい。
バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性に優れる観点から、アクリル樹脂を用いることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のバインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位若しくは芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸及びプロピオール酸等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物が挙げられる。
Figure 0005871029
一般式(2)中、R21は水素原子又はメチル基を示し、R22は炭素数1〜12のアルキル基を示す。上記炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステルが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いられるバインダーポリマーは、アルカリ現像性をより良好にする観点から、カルボキシル基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記カルボキシル基を有する重合性単量体としては、上述したような(メタ)アクリル酸が好ましい。
バインダーポリマーが有するカルボキシル基の比率は、使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合として、アルカリ現像性とアルカリ耐性のバランスを図る観点から、12〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましく、15〜25質量%であることが極めて好ましい。このカルボキシル基を有する重合性単量体の割合が12質量%未満ではアルカリ現像性が劣る傾向があり、50質量%を超えるとアルカリ耐性が劣る傾向がある。
バインダーポリマーの重量平均分子量は、機械強度及びアルカリ現像性のバランスを図る観点から、20000〜300000であることが好ましく、40000〜150000であることがより好ましい。重量平均分子量が、20000未満では耐現像液性が低下する傾向があり、300000を超えると現像時間が長くなる傾向がある。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定され、標準ポリスチレンを用いて作成した検量線により換算された値である。
これらのバインダーポリマーは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーが挙げられる。
次に、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物について説明する。エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては例えば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシトリ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールアルコキシペンタ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の中でも、透明性、接着性に優れる点では、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートから選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス[(メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート]ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、「EO」はエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、「PO」はプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、「UA−11」(新中村化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、「UA−13」(新中村化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
光重合性化合物の含有割合は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の総量100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましい。この含有割合が30質量部未満では光硬化が不十分となり、転写した導電膜の硬化性が不十分となる傾向があり、80質量部を超えるとフィルムとして巻き取った場合、保管が困難となる傾向がある。
次に、光重合開始剤について説明する。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物が挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらの中でも、透明性の見地からは、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等の芳香族ケトン化合物や1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル化合物がより好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
光重合開始剤の含有割合は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。この含有割合が0.1質量部未満では光感度が不十分となる傾向があり、30質量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不十分となる傾向がある。
感光性樹脂層3には、必要に応じて、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等の添加剤を、単独で又は2種類以上を組み合わせて含有させることができる。これらの添加剤の添加量は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部であることが好ましい。
感光性樹脂層3は、導電層2を形成した透明なフィルム支持体1上に、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液を塗布することが好ましい。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度で行うことができる。
感光性樹脂層3の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工が困難となる傾向があり、50μmを超えると光透過の低下による感度が不十分となり感光性樹脂層の光硬化性が低下する傾向がある。また、接着性、パターニングに優れる点では、感光性樹脂層3の厚みは1μm以上であることが好ましい。
次に、保護フィルムについて説明する。本発明の感光性導電フィルムにおいては、図1に示すように、感光性樹脂層3のフィルム支持体1側とは反対側の面に保護フィルムを積層することができる。
保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。保護フィルムとして上述のフィルム支持体と同様の重合体フィルムを用いてもよい。
保護フィルムと感光性樹脂層との間の接着力は、保護フィルムを感光性樹脂層から剥離しやすくするために、導電層2及び感光性樹脂層3とフィルム支持体1との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
また、保護フィルムは、低フィッシュアイのフィルムであることが好ましい。具体的には、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m以下であることが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることが更に好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの厚みが1μm未満ではラミネートの際、保護フィルムが破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると価格が高くなる傾向がある。
感光性導電フィルムは、フィルム支持体上に接着層、ガスバリア層等の層を更に有していてもよい。
感光性導電フィルムは、例えば、そのままの平板状の形態で、又は、円筒状などの巻芯に巻きとりロール状の形態で貯蔵することができる。なお、この際、フィルム支持体が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。
また、感光性導電フィルムが保護フィルムを有してない場合、かかる感光性導電フィルムは、そのままの平板状の形態で貯蔵することができる。
巻芯としては、従来用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。またロール状に巻き取られた感光性導電フィルムの端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、加えて耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、感光性導電フィルムを梱包する際には、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
本実施形態の感光性導電フィルムは、フィルム支持体上に、導電層形成用分散液を塗工して導電層を形成し、次いで感光性樹脂組成物を塗工して感光性樹脂層を形成したものであることが好ましい。フィルム支持体上に導電層形成用分散液を塗工することにより、均一な導電層を形成することが容易となる。
本実施形態の感光性導電フィルムによれば、導電パターンが必要とされる基材上に、感光性樹脂層及び導電層を転写し、露光及び現像を行うことにより、透明で、良好なパターンを有する導電膜を容易に形成できる。
また、本実施形態の感光性導電フィルムから形成される導電膜或いは導電パターンは柔軟性に富むことから、フレキシブルディスプレイの電極などとして好適である。さらに、形成される導電膜或いは導電パターンは有機物から構成できることから、バイアス電圧を印加する電子機器の電極として利用する場合にはマイグレーションを十分抑制できるという効果を有する。
本発明の導電膜の形成方法の一実施形態としては、上記の本実施形態の感光性導電フィルムを、基材上に感光性樹脂層が密着するようにラミネートするラミネート工程と、基材上の感光性樹脂層に活性光線を照射する露光工程とを備える方法が挙げられる。感光性導電フィルムが保護フィルムを有している場合は、保護フィルムを剥離した感光性導電フィルムを、基材上に感光性樹脂層側からラミネートする。上記ラミネート工程により、基材上に、感光性樹脂層、導電層及び支持体がこの順に積層される。
基材としては、例えば、ガラス基板、ポリカーボネート等のプラスチック基板などが挙げられる。
ラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルムを、保護フィルムがある場合はそれを除去した後、加熱しながら感光性樹脂層側を基材に圧着することにより積層する方法により行なわれる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性導電フィルムの積層は、感光性樹脂層及び/又は基板を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂層を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め基材を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために基材の予熱処理を行うこともできる。
露光工程では、活性光線を照射することによって照射された部分の感光性樹脂層が硬化され、この硬化物によって導電層が固定されることで、基材上に導電膜が形成される。活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものも用いられる。更に、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。
導電層上のフィルム支持体が活性光線に対して透明である場合には、フィルム支持体を通して活性光線を照射することができ、支持体が遮光性である場合には、フィルム支持体を除去した後に感光性樹脂層に活性光線を照射する。
また、基材が活性光線に対して透明である場合には、基材側から基材を通して活性光線を照射することができるが、解像度の点で、導電層側から導電層及び感光性樹脂層に活性光線を照射することが好ましい。
上記の工程を経ることにより、基材上に導電膜を備える導電膜付基材が得られる。本実施形態の導電膜の形成方法においては、形成された導電膜を、フィルム支持体のはく離後、必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより更に硬化してもよい。加熱と露光の両者を行い更に硬化してもよい。
このように、本発明の導電膜の形成方法によれば、ガラスやプラスチックなど基板上に容易に透明な導電膜を形成することが可能である。
次に、図面を参照しつつ、本発明の導電パターンの形成方法について説明する。
本実施形態に係る導電パターンの形成方法は、上述した感光性導電フィルム10を、基板20上に感光性樹脂層3が密着するようにラミネートする工程(図2の(a))と、基板20上の感光性樹脂層3の所定部分に活性光線を照射する露光工程(図2の(b))と、露光した感光性樹脂層3を現像することにより導電パターンを形成する現像工程とを備える。これらの工程を経ることにより、基板20上にパターニングされた導電膜(導電パターン)2aを備える導電膜付基板40が得られる(図2の(c))。
ラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルム10を、保護フィルムがある場合はそれを除去した後、加熱しながら感光性樹脂層3側を基板に圧着する積層方法により行なわれる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性導電フィルム10の積層は、感光性樹脂層3及び/又は基板20を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂層3を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために基板の予熱処理を行うこともできる。
露光工程での露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものも用いられる。更に、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。また、レーザ露光法などを用いた直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
導電層2上のフィルム支持体1が活性光線に対して透明である場合には、フィルム支持体1を通して活性光線を照射することができ、フィルム支持体1が遮光性である場合には、フィルム支持体1を除去した後に感光性樹脂層3に活性光線を照射する。
また、基板(被着物)20が活性光線に対して透明である場合には、基板20側から基板20を通して活性光線を照射することができるが、解像度の点で、導電層2側から導電層2及び感光性樹脂層3に活性光線を照射することが好ましい。
本実施形態の現像工程では、感光性樹脂層3の露光部以外の部分が除去される。具体的には、導電層2上にフィルム支持体1が存在している場合には、まずフィルム支持体1を除去し、その後、ウェット現像により感光性樹脂層3の露光部以外の部分を除去する。これにより、所定のパターンを有する樹脂硬化層3a上に有機導電材料を含有する導電層2aが残り、導電パターンが形成される。
ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂に対応した現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により行われる。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
また、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、3−アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
水系現像液は、有機溶剤の濃度を2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。さらに、水系現像液のpHは、レジストの現像が十分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
上述した現像液は、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
本実施形態においては、所定のパターンで露光した後の感光性樹脂層3を現像して未露光部分を除去することにより、未露光部分の感光性樹脂層上の導電層は一緒に除去され、露光部分の感光性樹脂層上の導電層は残り、導電パターンが形成される。現像時には、現像液が導電層2に染込み未露光の感光性樹脂層を膨潤させたり、感光性樹脂層の端部から現像液が染込み感光性樹脂層を膨潤させたりすることによって、感光性樹脂層が溶解、分散してパターンが形成される。導電層2の層厚が0.5μmと薄い場合には、現像液が導電層2を介して感光性樹脂層3へと到達しやすくなり、現像性が向上する。
本実施形態の導電パターンの形成方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより導電パターンを更に硬化してもよい。加熱と露光の両者を行い更に硬化してもよい。
このように、本発明の導電パターンの形成方法によれば、ITOなどの無機膜のようにエッチングレジストを形成することなく、ガラスやプラスチックなど基板上に容易に透明な導電パターンを形成することが可能である。
本発明に係る導電膜付基板は、上述した導電膜の形成方法や導電パターンの形成方法により得られるが、透明電極として有効に活用できる観点から、導電膜又は導電パターンの表面抵抗率が10000Ω/□以下であることが好ましく、5000Ω/□以下であることがより好ましく、2000Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、有機導電材料を含む分散液の濃度又は塗工量によって調整することができる。分散液の濃度を高くするほど、また、塗工量を多くして厚みを厚くするほど表面抵抗率は低下する傾向にある。また、ドーピング処理によっても調整することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
<導電層形成用塗液の調製>
(導電層形成用塗液1(有機導電材料溶液))
ポリエチレンジオキシチオフェンのアルコール溶液である「セプルジーダOC−U1」(信越ポリマー株式会社製、光パターニング塗料、商品名)をメタノールで10倍に希釈し、これを導電層形成用塗液1とした。
(導電層形成用塗液2(有機導電材料溶液))
ポリエチレンジオキシチオフェンの水溶液である「クレビオスP」(エイチ・シー・スタルク(H.C.Starck)社製、商品名)を水で5倍に希釈し、これを導電層形成用塗液2とした。
<感光性樹脂組成物の溶液の調製>
[アクリル樹脂の合成]
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製し、バインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は80000であった。これをアクリルポリマーAとした。
表1に示した材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
Figure 0005871029

1)メタクリル酸:メタクリル酸メチル:アクリル酸エチル:及びスチレン=20:50:20:10の質量比率のアクリルポリマー。
<感光性導電フィルムの作製>
(実施例1)
導電層形成用塗液1を、支持フィルム(フィルム支持体)である50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に25g/mで均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥し、導電層を形成した。なお導電層の乾燥後の膜厚は、約0.1μmであった。
次に、支持フィルムの導電層が設けられている側に、上記感光性樹脂組成物の溶液を均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は、5μmであった。更に、感光性樹脂層を、ポリエチレン製の保護フィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF−13」)で覆い、感光性導電フィルムを得た。
(実施例2)
導電層形成用塗液2を、支持フィルムである50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「G2−50」)上に25g/mで均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3間乾燥し、導電層を形成した。なお、乾燥後の導電層の膜厚は、約0.1μmであった。
次に、支持フィルムの導電層が設けられている側に、上記感光性樹脂組成物の溶液を均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は、5μmであった。更に、感光性樹脂層を、ポリエチレン製の保護フィルム(タマポリ株式会社製、商品名「NF−13」)で覆い、感光性導電フィルムを得た。
<導電膜の形成>
0.7mm厚のソーダガラス板を80℃に加温し、その表面上に実施例1、2で得られた感光性導電フィルムを、保護フィルムを剥離しながら感光性樹脂層を基板に対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基板を冷却し基板の温度が23℃になった時点でPETフィルム面に高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「HMW−201B」)を用いて、1000mJ/cmの露光量で導電層及び感光性樹脂層を露光した。露光後、室温(25℃)で15分間放置し、続いて、支持体であるPETフィルムを剥離することで、実施例で作製した導電膜をソーダガラス板上に形成した。実施例1、2のフィルムを用い形成したものの表面抵抗は、それぞれ2000Ω/□、2800Ω/□であり、650nmの光に対する透過率は90%、85%であった。結果を表2に示す。
なお、上記の表面抵抗は、低抵抗率計(三菱化学株式会社製、ロレスタGP)を用い、4探針法によりJIS K 7194に準拠して測定した表面抵抗率である。また、上記の透過率は、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3310」)を用いて測定した、450〜650nmの波長域における最小光透過率である。結果を表2に示す。
<導電パターンの形成>
1mm厚のポリカーボネート基板を80℃に加温し、その表面上に、実施例1、2で得られた感光性導電フィルムを、保護フィルムを剥離しながら感光性樹脂層を基板に対向させて、120℃、0.4MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、基板を冷却し基板の温度が23℃になった時点で、支持体であるPETフィルム面にライン幅/スペース幅が100/100μmで長さが100mmの配線パターンを有するフォトマスクを密着させた。そして、高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「HMW−201B」)を用いて、200mJ/cmの露光量で導電層及び感光性樹脂層を露光した。
露光後、室温(25℃)で15分間放置し、続いて、支持体であるPETフィルムを剥離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30秒間スプレーすることにより現像した。現像後、ライン幅/スペース幅が約100/100μmである導電パターンをポリカーボネート基板上に形成した。それぞれの導電パターンは良好に形成されていることが確認された。
Figure 0005871029
1…フィルム支持体、2…導電層、2a…導電パターン、3…感光性樹脂層、3a…硬化物層、4…保護フィルム、10…感光性導電フィルム、20…基板、30…アートワーク、40…導電膜付基板。

Claims (8)

  1. 支持体、有機導電材料を含有する導電層、及び感光性樹脂層がこの順に積層された構造を有し、
    前記感光性樹脂層が、カルボキシル基を有するバインダーポリマー、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び光重合開始剤、を含有する感光性樹脂組成物からなるものである、アルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  2. 前記有機導電材料がチオフェン若しくはチオフェン誘導体のポリマー又はアニリン若しくはアニリン誘導体のポリマーである、請求項1に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  3. 前記有機導電材料が、チオフェン誘導体のポリマーである、請求項1又は2に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  4. 前記エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物が、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  5. 前記光重合開始剤が、芳香族ケトン化合物又はオキシムエステル化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  6. 前記感光性樹脂層の前記導電層側とは反対側に保護フィルムが更に積層されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルムの前記感光性樹脂層を基材に貼り付けて該基材上に少なくとも前記感光性樹脂層及び前記導電層をこの順に積層し、積層された前記感光性樹脂層を露光することを特徴とする導電膜の形成方法。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ現像用転写形感光性導電フィルムの前記感光性樹脂層を基材に貼り付けて該基材上に少なくとも前記感光性樹脂層及び前記導電層をこの順に積層し、積層された前記感光性樹脂層を露光、現像することを特徴とする導電パターンの形成方法。
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