JP2017156510A - 感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板、並びにタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】静電気放電耐性に優れた導電パターンを形成できる感光性導電フィルムを提供すること。【解決手段】支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電膜及び該導電膜上に設けられた感光性樹脂層を備える感光性導電フィルムであって、感光性樹脂層は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(c)光重合開始剤を含有し、導電膜は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する、感光性導電フィルム。【選択図】図1
Description
本発明は、感光性導電フィルム、当該感光性導電フィルムを用いた導電パターンの形成方法及び導電パターン基板、並びに当該導電パターン基板を用いたタッチパネルに関し、特に液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ、タッチパネル(タッチスクリーン)、太陽電池、照明等の装置の電極配線として用いられる導電パターンの形成方法、導電パターン基板及びタッチパネルに関する。
パソコン、テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA・FA機器等の表示機器には、液晶表示素子及びタッチパネルが普及している。これらの液晶表示素子及びタッチパネル、さらに太陽電池、照明等のデバイスでは、透明であることが要求される配線、画素電極又は端子の一部に透明導電膜が使用されている。
従来、透明導電膜の材料には、可視光に対して高い透過率を示すことから、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジュウム及び酸化スズなどが用いられている。液晶表示素子用基板等に設けられる電極は、上記の材料からなる透明導電膜をパターニングしたものが主流になっている。
ITO膜、酸化スズ膜等は一般にスパッタ法により形成される。この方法では、スパッタ方式の違い、スパッタパワー、ガス圧、基板温度、雰囲気ガスの種類等によって透明導電膜の性質が変わりやすい。スパッタ条件の変動による透明導電膜の膜質の違いは、透明導電膜をウエットエッチングする際のエッチング速度のばらつきの原因となり、パターンニング不良による製品の歩留まり低下を招きやすい。また、上記の導電パターンの形成方法は、スパッタ工程、レジスト形成工程及びエッチング工程を経ていることから、工程が長く、コスト面でも大きな負担となっている。
近年ITO、酸化インジウム及び酸化スズ等に替わる材料を用いて透明な導電パターンを形成する試みがなされている。例えば、基板上に、銀繊維等の導電性繊維を含有する導電膜を形成した後、導電膜上に感光性樹脂層を形成し、その上からパターンマスクを介して露光し、現像する導電パターンの形成方法が開示されている(特許文献1又は2参照)。
しかしながら、銀繊維等の導電性繊維を使用した導電パターンは、ITOと比較した場合、低い電圧においても、繊維間の接触抵抗によって発生したジュール熱で断線しやすく、これによりライン抵抗値が上昇する又は導通が取れなくなるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、静電気放電耐性に優れた導電パターンを形成できる感光性導電フィルム、並びに当該感光性導電フィルムを用いた導電パターンの形成方法、当該導電パターンを備える導電パターン基板及びタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明は、下記<1>〜<9>の感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法、導電パターン基板及びタッチパネルを提供する。
<1> 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電膜及び該導電膜上に設けられた感光性樹脂層を備える感光性導電フィルムであって、感光性樹脂層は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(c)光重合開始剤を含有し、導電膜は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する、感光性導電フィルム。
<2> 上記非導電性無機フィラは、ナノアルミナを含む、<1>に記載の感光性導電フィルム。
<3> 導電性繊維は、銀繊維を含む、<1>又は<2>に記載の感光性導電フィルム。
<4> 450〜650nmの波長域における光線透過率が80%以上である、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルム。
<5> 基板と前記感光性樹脂層とが密着するように、<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルムを前記基板上にラミネートするラミネート工程と、ラミネート工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する露光工程と、露光工程の後、導電膜及び感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。
<6> 基板と感光性樹脂層とが密着するように、<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルムを基板上にラミネートするラミネート工程と、導電膜及び感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する第一露光工程と、酸素存在下で、第一露光工程における導電膜及び感光性樹脂層の未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二露光工程と、第二露光工程の後に導電膜及び感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。
<7> 基板と、基板上に設けられた<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性樹脂層の硬化物からなる層と、当該硬化物からなる層上に設けられた導電パターンと、を有し、当該導電パターンが、パターン化された請求項1〜4に記載の導電膜である、導電パターン基板。
<8> 導電パターンの静電気放電(ESD)電圧が導電ライン幅200μmにおいて800V以上である、<7>に記載の導電フィルム。
<9> <7>又は<8>に記載の導電パターン基板を含む、タッチパネル。
<1> 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電膜及び該導電膜上に設けられた感光性樹脂層を備える感光性導電フィルムであって、感光性樹脂層は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(c)光重合開始剤を含有し、導電膜は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する、感光性導電フィルム。
<2> 上記非導電性無機フィラは、ナノアルミナを含む、<1>に記載の感光性導電フィルム。
<3> 導電性繊維は、銀繊維を含む、<1>又は<2>に記載の感光性導電フィルム。
<4> 450〜650nmの波長域における光線透過率が80%以上である、<1>〜<3>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルム。
<5> 基板と前記感光性樹脂層とが密着するように、<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルムを前記基板上にラミネートするラミネート工程と、ラミネート工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する露光工程と、露光工程の後、導電膜及び感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。
<6> 基板と感光性樹脂層とが密着するように、<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性導電フィルムを基板上にラミネートするラミネート工程と、導電膜及び感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する第一露光工程と、酸素存在下で、第一露光工程における導電膜及び感光性樹脂層の未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二露光工程と、第二露光工程の後に導電膜及び感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。
<7> 基板と、基板上に設けられた<1>〜<4>のいずれか一つに記載の感光性樹脂層の硬化物からなる層と、当該硬化物からなる層上に設けられた導電パターンと、を有し、当該導電パターンが、パターン化された請求項1〜4に記載の導電膜である、導電パターン基板。
<8> 導電パターンの静電気放電(ESD)電圧が導電ライン幅200μmにおいて800V以上である、<7>に記載の導電フィルム。
<9> <7>又は<8>に記載の導電パターン基板を含む、タッチパネル。
本発明によれば、静電気放電耐性に優れた導電パターンを形成できる感光性導電フィルム、並びに当該感光性導電フィルムを用いた導電パターンの製造方法及び当該導電パターンを備える導電パターン基板を提供することができる。また、本発明の感光性導電フィルムによれば、光線透過率を維持しつつ、静電気放電耐性が向上し、電圧による導電ラインの断線が抑制された導電パターンを得ることができる。また、本発明の感光性導電フィルムを用いることで信頼性の高い導電パターンの形成方法を提供することができ、導電パターン基板及びタッチパネルセンサを生産性高く提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。また、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは「アクリル酸アルキルエステル」及びそれに対応する「メタクリル酸アルキルエステル」を意味する。さらに、「EO」はエチレンオキサイドを示し、「EO変性」された化合物とはエチレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物を意味する。同様に、「PO」はプロピレンオキサイドを示し、「PO変性」された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物を意味する。
本実施形態の感光性導電フィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電膜及び該導電膜上に設けられた感光性樹脂層を備える感光性導電フィルムであって、感光性樹脂層は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(c)光重合開始剤を含有し、導電膜は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する。このような感光性導電フィルムによれば、該感光性導電フィルムを用いて導電パターンを形成した際に、静電気放電耐性の優れた導電パターンを得ることが出来る。この理由としては、必ずしも明確ではないが、本発明者らは、導電性繊維間の接触抵抗で発生する熱を、熱伝導性を有する非導電無機フィラで放熱することで、熱による断線を抑制していることが理由の一つであると考えている。
図1は、本実施形態に係る感光性導電フィルムを示す模式断面図である。図1に示す感光性導電フィルム10は、支持フィルム1と、支持フィルム1上に設けられた感光層4とを有する。感光層4は、支持フィルム1上に設けられた導電膜2と、導電膜2上に設けられた感光性樹脂層3とを有する。
支持フィルム1としては、重合体フィルムを用いることができ、耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが好ましい。このような重合体フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルムが挙げられる。これらのうち、透明性及び耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
上記の重合体フィルムは、後に感光層4からの剥離が容易となるよう、離型処理されたものであってもよい。
後述の第二の露光工程で支持フィルムを剥離する場合、支持フィルム1はガスバリア層等の層をさらに有していてもよい。
支持フィルム1の厚みは、機械的強度の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。支持フィルム1の厚みを5μm以上とすることによって、例えば、導電膜2を形成するために導電体分散液又は導電体溶液を塗工する工程、感光性樹脂層3を形成するために感光性樹脂組成物を塗工する工程、又は第二の露光工程に際し感光層4から支持フィルム1を剥離する工程において、支持フィルム1が破れることを防止することができる。また、支持フィルム1を介して感光性樹脂層3に活性光線を照射する場合に導電パターンの解像度を充分に確保する観点から、支持フィルム1の厚みは、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
上記の観点から、支持フィルム1の厚みは、5〜300μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましく、15〜100μmであることが特に好ましい。
支持フィルム1のヘーズ値は、感度及び解像度を良好にできる観点から、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.01〜3.0%であることがより好ましく、0.01〜2.0%であることが特に好ましく、0.01〜1.5%であることが極めて好ましい。なお、ヘーズ値はJIS K 7105に準拠して測定することができ、例えば、NDH−1001DP(日本電色工業株式会社製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
導電膜2は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する。導電膜2が導電性繊維を含有するために、導電性と透明性を両立することができ、現像性が向上して、解像度に優れた導電パターンを形成することができる。非導電性無機フィラは、1W/m・K以上の熱伝導率を有すると好ましい。
導電性繊維としては、例えば、金属繊維及び炭素繊維が挙げられる。金属繊維としては、例えば、金繊維、銀繊維及び白金繊維が挙げられる。金属繊維としては、導電性に優れる観点から、金繊維及び/又は銀繊維が好ましく、導電膜の導電性の調製が容易である観点から、銀繊維がより好ましい。前記の金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又は、ポリオール法により作製することができる。炭素繊維としては、例えばカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブは、Unidym社のHipco単層カーボンナノチューブ等の市販品を使用することができる。導電性繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電膜2は、界面活性剤、分散安定剤等をさらに含有していてもよい。
導電性繊維の繊維径は、ヘーズ値を低減する観点から、1nm〜50nmであることが好ましく、2nm〜30nmであることがより好ましい。また、導電性繊維の繊維長は、導電性に優れる観点から、1μm〜100μmであることが好ましく、2μm〜50μmであることがより好ましい。繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
導電膜2は、導電性繊維以外の無機導電体及び有機導電体からなる群より選択される少なくとも一種の導電体をさらに含有することができる。導電膜2の導電性がさらに良好になるものであれば、上記導電性繊維以外の無機導電体及び有機導電体を特に制限なく用いることができ、これらの導電体は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機導電体としては、導電性ポリマーが挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン、及び、ポリアニリン誘導体からなる群より選択される少なくとも一種の導電体を用いることができる。例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリヘキシルチオフェン及びポリアニリンのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電膜2が有機導電体を含む場合、有機導電体と感光性樹脂を含むことが好ましい。
また、導電膜2は、非導電性無機フィラを含有する。非導電性無機フィラの材質としては、例えばケイ素、シリカ、アルミナ、ホウ素等が挙げられる。また、非導電性無機フィラとしては、視認性(透過率、ヘーズ)確保の観点から、無機ナノ粒子を含むと好ましい。無機ナノ粒子の材質としては、上記のものが挙げられるが、放熱性の高さからアルミナ又はホウ素のナノ粒子が好ましく、放熱性及び形状の観点からアルミナのナノ粒子(ナノアルミナ)がより好ましい。
上記無機ナノ粒子の平均粒径は1〜100nmであることが好ましく、視認性の観点から1〜50nmがより好ましく、二次凝集を抑制するという観点から30〜50nmであることが望ましい。ここで、無機ナノ粒子の平均粒径は、粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒径とすることができ、例えば、動的光散乱法によって測定することができる。
導電膜2における上記非導電性無機フィラの含有量は、導電性繊維100質量部に対して0.1質量部〜3質量部が好ましく透過率の観点から0.1質量部〜1質量部がより好ましい。
図2は、本実施形態に係る感光性導電フィルムを示す一部切欠き斜視図である。導電膜2は、図2に示すように、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。このような網目構造を有する導電膜2は、感光性樹脂層3の支持フィルム1側の表面に形成されていてもよいが、支持フィルム1を剥離したときに露出する感光層4の表面においてその面方向に導電性が得られるのであれば、導電膜2に感光性樹脂層3の一部が入り込む形態で形成されていてもよく、感光性樹脂層3の支持フィルム1側の表層に導電膜2が含まれる形態で形成されていてもよい。
導電膜2は、例えば、導電性繊維及び非導電性無機フィラ、並びに必要に応じて上述した無機導電体及び有機導電体のうちの一種以上と、水及び/又は有機溶剤と、必要に応じて界面活性剤などの分散安定剤とを含む導電体分散液又は導電体溶液を、支持フィルム1上に塗工した後、乾燥することにより形成することができる。塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。導電膜2において、導電性繊維及び非導電性無機フィラ、並びに必要に応じて配合される無機導電体又は有機導電体は界面活性剤又は分散安定剤と共存していてもかまわない。導電膜2は、複数の導電体分散液又は導電体溶液を支持フィルム1上に順に塗工・乾燥して得られる複数の膜からなるものであってもよい。
導電膜2の厚みは、形成する導電パターンの用途及び求められる導電性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、1nm〜0.5μmであることがより好ましく、5nm〜0.1μmであることがさらに好ましい。導電膜2の厚みが1μm以下であると、450〜650nmの波長域での光透過率が充分高く、パターン形成性にも優れ、特に透明電極の作製に好適なものとなる。なお、導電膜2の厚みは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
本実施形態においては支持フィルム1上に導電膜2を形成した後、さらに感光性樹脂層3を設けているが、必要に応じて、支持フィルム1上に形成された導電膜2を、基板上に設けられた感光性樹脂層の上にラミネートしてもよい。
感光性樹脂層3は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(c)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物から形成することができる。感光性樹脂層3が上記の成分を含有することにより、基板と導電パターンとの接着性及びパターンニング性をさらに向上させることができる。
(a)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物の反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる観点から、アクリル樹脂を用いることが好ましい。また。上記アクリル樹脂が(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するモノマー単位を構成単位として有するとより好ましい。ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体に由来するモノマー単位を主に有する重合体のことを意味する。
上記アクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体をラジカル重合して製造される。このアクリル樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
また、上記アクリル樹脂は、上記のような(メタ)アクリロイル基を有する重合性単量体の他に、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸などの1種又は2種以上の重合性単量体が共重合されていてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)バインダーポリマーは、アルカリ現像性をより良好にする観点から、カルボキシル基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーを得るためのカルボキシル基を有する重合性単量体としては、上述したような(メタ)アクリル酸が挙げられる。
(a)バインダーポリマーが有するカルボキシル基の比率は、バインダーポリマーを得るために使用する全重合性単量体に対するカルボキシル基を有する重合性単量体の割合として、10〜50質量%であることが好ましく、12〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが特に好ましく、15〜25質量%であることが極めて好ましい。アルカリ現像性に優れる点では10質量%以上であることが好ましく、アルカリ耐性に優れる点では、50質量%以下であることが好ましい。
(a)バインダーポリマーの酸価は、現像工程において、公知の各種現像液に対する現像性を向上させる観点から、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましい。
(a)バインダーポリマーの酸価は、次のようにして測定することができる。酸価を測定すべきバインダーポリマー1gを精秤する。
上記バインダーポリマーにアセトン30gを加え、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインを上記溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定することにより測定できる。なお、酸価は次式により算出できる。
酸価=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
なお、バインダーポリマーに合成溶媒又は希釈溶媒が含まれる場合は、精秤前に予め、上記溶媒の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。この際、低分子量の光重合性化合物等の揮発性成分が除去されることもある。
上記バインダーポリマーにアセトン30gを加え、これを均一に溶解する。次いで、指示薬であるフェノールフタレインを上記溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定することにより測定できる。なお、酸価は次式により算出できる。
酸価=10×Vf×56.1/(Wp×I)
式中、Vfはフェノールフタレインの滴定量(mL)を示し、Wpは測定した樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは測定した樹脂溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
なお、バインダーポリマーに合成溶媒又は希釈溶媒が含まれる場合は、精秤前に予め、上記溶媒の沸点よりも10℃程度高い温度で1〜4時間加熱し、揮発分を除去しておく。この際、低分子量の光重合性化合物等の揮発性成分が除去されることもある。
(a)バインダーポリマーの重量平均分子量は、機械強度及びアルカリ現像性のバランスを図る観点から、5,000〜300,000であることが好ましく、20,000〜150,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましい。耐現像液性に優れる点では、重量平均分子量が、5,000以上であることが好ましい。また、現像時間の観点からは、300,000以下であることが好ましい。なお、重量平均分子量の測定条件は本願明細書の実施例と同一の測定条件とする。
(a)バインダーポリマーは、上述した樹脂を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。2種類以上の樹脂を組み合わせて使用する場合、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上の樹脂が含まれる混合物からなるバインダーポリマーが挙げられる。
(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であり、プロピレン基の数が2〜14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタンモノマーとしては、例えば、β位にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス[(メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート]ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、「UA−11」(新中村化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。また、EO、PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、「UA−13」(新中村化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の含有割合は、(a)バインダーポリマー及び(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の総量100質量部に対して、30〜80質量部であることが好ましく、40〜70質量部であることがより好ましい。光硬化性及び形成された導電膜2上への塗工性に優れる点では、30質量部以上であることが好ましく、フィルムとして巻き取った場合の保管安定性に優れる点では、80質量部以下であることが好ましい。
(c)光重合開始剤としては、活性光線の照射によって感光性樹脂層3を硬化させることができるものであれば、特に制限されないが、光硬化性に優れる観点からは、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。例えば、ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物などが挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
これらの中でも、透明性の見地からは、芳香族ケトン化合物又はオキシムエステル化合物を含有することが好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1又は1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)を含有することが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(c)光重合開始剤の含有割合は、(a)バインダーポリマー及び(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが特に好ましい。光感度に優れる点では、0.1質量部以上であることが好ましく、感光性樹脂層3の内部の光硬化性に優れる点では、20質量部以下であることが好ましい。
感光性樹脂層3には、必要に応じて、各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤(オクタメリルシクロテトラシロキサン等)、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等の添加剤を、単独で又は2種類以上を組み合わせて含有させることができる。これらの添加剤の添加量は、(a)バインダーポリマー及び(b)光重合性化合物の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部であることが好ましい。
感光性樹脂層3は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルム上に形成された導電膜2上に塗工した後、乾燥することにより形成できる。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
塗工は、公知の方法で行うことができる。例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法が挙げられる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
感光性樹脂層3の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜200μmであることが好ましく、1〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。この厚みが1μm以上であると、塗工による層形成が容易となる傾向にあり、200μm以下であると、光透過性が良好であり、充分な感度を得ることができ、感光性樹脂層3の光硬化性の観点から好ましい。感光性樹脂層3の厚みは、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
感光性導電フィルム10において、感光層4(上記導電膜2及び上記感光性樹脂層3の積層体)は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。感光層4がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。また、感光層4の膜厚を1〜10μmとしたときに450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。感光層4(導電膜2及び感光性樹脂層3の積層体)がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
本実施形態に係る感光性導電フィルム10では、感光性樹脂層3の支持フィルム1側とは反対側の面に接するように、保護フィルムがさらに設けられていてもよい。
保護フィルムとしては、表面粗さを有する耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが挙げられる。また、保護フィルムとして上述の支持体フィルムと同様の重合体フィルムを用いてもよい。表面粗さを有する保護フィルムは、例えば延伸ポリエチレンフィルムを表面に梨地といわれる文様等を加工した金属ロールとゴムロール間に通すことで得られる。このようにして得られたフィルムは梨地加工フィルム又はエンボス加工フィルムなどといわれる。また、別の方法ではフィルム中に微粒子を均一分散させて表面粗さを有する保護フィルム用フィルムを得ることもできるが、表面粗さを有する保護フィルムを得る方法はこれらの方法に限られない。
保護フィルムの厚みは、1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜40μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることが特に好ましい。保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で1μm以上であることが好ましく、比較的安価となる点で100μm以下であることが好ましい。
保護フィルムと感光性樹脂層3との間の接着力は、保護フィルムを感光性樹脂層3から剥離しやすくするために、支持フィルム1と感光層4(導電膜2及び感光性樹脂層3)との間の接着力よりも小さいことが好ましい。
また、保護フィルムは、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が5個/m2以下であることが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
感光性導電フィルム10は、保護フィルム上に、接着層、ガスバリア層等の層をさらに有していてもよい。
感光性導電フィルム10は、例えば、そのままの平板状の形態で、又は、円筒状などの巻芯に巻きとりロール状の形態で貯蔵することができる。なお、この際、支持フィルム1が最も外側になるように巻き取られることが好ましい。
また、感光性導電フィルム10が保護フィルムを有してない場合、かかる感光性導電フィルム10は、そのままの平板状の形態で貯蔵することができる。
巻芯としては、従来用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。またロール状に巻き取られた感光性導電フィルムの端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、加えて耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、感光性導電フィルムを梱包する際には、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
図3は、本実施形態に係る導電パターンの形成方法を説明するための模式断面図である。本実施形態の導電パターンの形成方法は、基板20と感光性樹脂層3とが密着するように、上述の感光性導電フィルム10を基板20上にラミネートするラミネート工程(図3(a))と、ラミネート工程の後、導電膜及び感光性樹脂層にパターン状に活性光線Lを照射する露光工程(図3(b))と、露光工程の後、導電膜及び感光性樹脂層を現像する工程とを備えることが好ましい。また、本実施形態に係る導電パターンの形成方法は、上述した感光性導電フィルム10を、基板20上に感光性樹脂層3が接するようにラミネートするラミネート工程と、支持フィルム1を有する感光層4の所定部分に活性光線を照射する第一露光工程と、その後、支持フィルム1を剥離してから、酸素存在下で、第一露光工程での露光部及び未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二露光工程と、第二露光工程の後に感光層4を現像する現像工程とを備えていてもよい。これらの工程を経ることにより、導電パターン2aと、導電パターン2aを支持する樹脂硬化層3aとを基板20上に備える導電パターン基板40が得られる(図3(c))。なお、樹脂硬化物層は、上記感光性樹脂層の硬化物である。
基板20としては、例えば、ガラス基板、ポリカーボネート等のプラスチック基板などが挙げられる。基板20の厚みは、使用の目的に応じて適宜選択することができ、フィルム状の基板を用いてもよい。フィルム状の基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマフィルム等が挙げられる。また、これらに数umの加飾段差が施されたものがあり、この段差は通常10μm程度が要求されており、10μm以下であることがより好ましい。基板20は、450〜650nmの波長域での最小光透過率が80%以上であるものが好ましい。基板20が、このような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
ラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルム10を、保護フィルムがある場合はそれを除去した後、加熱しながら感光性樹脂層3側を基板20に圧着することにより積層する方法が挙げられる。なお、この工程は、密着性、追従性及び残存気泡の除去の見地から減圧下で積層することが好ましく、減圧度は10hPa以下であることが好ましいが、この条件には特に制限はない。感光性導電フィルム10の積層は、感光性樹脂層3及び/又は基板20を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、感光性樹脂層3を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め基板20を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために基板20の予熱処理を行うこともできる。
本実施形態の方法によれば、別途作製した感光性導電フィルム10を基板20にラミネートすることにより感光層4を設けることで、より簡便に感光層4を基板20上に形成することが可能となり、生産性の向上を図ることができる。
露光工程での活性光線の光源としては、公知の光源が挙げられる。例えば、紫外線、可視光などを有効に放射することができるカーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等が用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザ等も用いられる。さらに、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。また、レーザ露光法などを用いた直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
露光工程での露光量は、使用する装置及び感光性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは5mJ/cm2〜1000mJ/cm2であり、より好ましくは10mJ/cm2〜200mJ/cm2である。光硬化性に優れる点では、10mJ/cm2以上であることが好ましく、解像性の点では200mJ/cm2以下であることが好ましい。
本実施形態においては、支持フィルム1を剥離せずに感光層4が露光されることにより、酸素の影響が小さくなり硬化させやすくなる。
ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により行われる。
現像液としては、安全かつ安定であり、操作性が良好なため、アルカリ性水溶液が好ましく用いられる。アルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
また、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、例えば、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1、3−ジアミノプロパノール−2、モルホリン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
水系現像液は、有機溶剤の濃度を2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。さらに、水系現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。
上述した現像液は、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッビング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
本実施形態の導電パターンの形成方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより導電パターンをさらに硬化してもよい。
このように、本実施形態に係る導電パターンの形成方法によれば、ITOなどの無機膜のようにエッチングレジストを形成することなく、ガラス、プラスチック等の基板上に容易に透明な導電パターンを形成することが可能である。
本実施形態に係る導電パターンは、静電気放電(ESD)電圧が導電ライン幅200μmにおいて800V以上であると好ましい。静電気放電電圧は、例えば、本明細書の実施例の方法により、測定することが出来る。
本実施形態に係る導電パターン基板は、上述した本実施形態に係る導電パターンの形成方法により得ることができる。透明電極として有効に活用できる観点から、導電パターンの表面抵抗が200Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、50Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗は、例えば、導電性繊維の種類、導電性繊維の分散液又は溶液の濃度又は塗工量によって調整することができる。
導電パターン基板は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。導電パターン基板が、このような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
本実施形態に係る導電パターン基板は、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル、液晶ディスプレイ、太陽電池、照明等の電子部品に用いるこができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<銀繊維分散液の調製>
精製水1kgにCambrios社製、銀ナノインク「G4−04 InkA」350gをスリーワンモーター回転数300rpmで攪拌しながら、さらに銀ナノインク500gを少しずつ追加し、さらに、導電性繊維(銀繊維)100質量部に対して0.5質量部の割合でナノアルミナ(株式会社テツタニ製、商品名「NanoBYK−3600」)を添加した。その後約3分間攪拌し、導電性繊維分散液(導電液)を得た。得られた導電液を支持フィルムである16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「A1517」)上に50g/m2で均一に塗布し、50〜100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して水分が揮発したことを確認後、10kg/cmの線圧で加圧することにより、支持フィルム上に導電膜を形成した。なお、導電膜の乾燥後の膜厚は、約0.02μmであった。表面抵抗値は50.1Ω/□であった。導電膜におけるナノアルミナの含有量を表2に示す。
<銀繊維分散液の調製>
精製水1kgにCambrios社製、銀ナノインク「G4−04 InkA」350gをスリーワンモーター回転数300rpmで攪拌しながら、さらに銀ナノインク500gを少しずつ追加し、さらに、導電性繊維(銀繊維)100質量部に対して0.5質量部の割合でナノアルミナ(株式会社テツタニ製、商品名「NanoBYK−3600」)を添加した。その後約3分間攪拌し、導電性繊維分散液(導電液)を得た。得られた導電液を支持フィルムである16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、帝人株式会社製、商品名「A1517」)上に50g/m2で均一に塗布し、50〜100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して水分が揮発したことを確認後、10kg/cmの線圧で加圧することにより、支持フィルム上に導電膜を形成した。なお、導電膜の乾燥後の膜厚は、約0.02μmであった。表面抵抗値は50.1Ω/□であった。導電膜におけるナノアルミナの含有量を表2に示す。
<感光性樹脂組成物の溶液の調製>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量はGPCによる標準ポリスチレン換算で80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記のとおりである。
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量はGPCによる標準ポリスチレン換算で80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記のとおりである。
[GPC測定条件]
機種:日立L6000(株式会社日立製作所製)
検出:L3300RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400
M(日立化成株式会社製)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのT
HFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
機種:日立L6000(株式会社日立製作所製)
検出:L3300RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400
M(日立化成株式会社製)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのT
HFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
表1に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、感光性樹脂組成物の溶液(感光液)を調製した。トリメチロールプロパントリアクリレートとしては、新中村化学工業株式会社製の商品名「TMPTA」を用いた。2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドとしては、BASF製の商品名「LUCIRIN TPO」を用いた。オクタメチルシクロテトラシロキサンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名「SH−30」を用いた。メチルエチルケトンとしては、東燃化学株式会社製のメチルエチルケトンを用いた。
調製した感光性樹脂組成物の溶液を撹拌後、支持フィルム上に形成された上記導電膜上に均一に塗布し、40〜90℃の熱風対流式乾燥機で2分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。その後、感光性樹脂層を、ポリプロピレン製の保護フィルム(王子エフテックス株式会社製、商品名「ES−201」)で覆い、感光性導電フィルムを得た。なお、感光性樹脂層の乾燥後の膜厚は5μmであった。
[透過率及びヘーズ値の測定]
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて、波長380〜780nmにおける感光性導電フィルムの透過率を測定した。また、JIS K 7105に準拠して、感光性導電フィルムのヘーズ値を測定した。なお、透過率及びヘーズは、感光性フィルムの保護膜をはがし、感光性樹脂層を1mm厚のポリカーボネートフィルムに以下の条件でラミネート下サンプルを用いて測定した。評価結果を表2に示す。
ラミネート条件:110℃/0.6m/min、0.4MPa(HLM−3000、日立エレクトロニクス株式会社製)、露光条件1000mJ(EXM−1201、株式会社オーク製作所製)。
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて、波長380〜780nmにおける感光性導電フィルムの透過率を測定した。また、JIS K 7105に準拠して、感光性導電フィルムのヘーズ値を測定した。なお、透過率及びヘーズは、感光性フィルムの保護膜をはがし、感光性樹脂層を1mm厚のポリカーボネートフィルムに以下の条件でラミネート下サンプルを用いて測定した。評価結果を表2に示す。
ラミネート条件:110℃/0.6m/min、0.4MPa(HLM−3000、日立エレクトロニクス株式会社製)、露光条件1000mJ(EXM−1201、株式会社オーク製作所製)。
図4の導電パターン基板を作製するために以下に記載の方法を用いた。
PET基板(東洋紡株式会社製、商品名「A4300」)に、上記で得られた支持フィルム、導電膜、感光性樹脂層、保護フィルムがこの順に積層された感光性導電フィルムの保護フィルムを剥離しながら、感光性樹脂層をPET基板に密着させて、110℃、0.4MPa、0.6m/分の条件でラミネートした。
ラミネート後、PET基板を冷却し、PET基板の温度が23℃になった時点で、超高圧水銀ランプを有する露光機(オーク株式会社製、商品名「HMW−201B」)を用いて任意のフォトマスクを介し、60mJ/cm2の露光量で導電膜及び感光性樹脂層に対して支持フィルム側から紫外線を照射した(第一露光)。室温(25℃)で15分間放置した後、支持フィルムであるPETフィルムを剥離し、酸素の存在下、100mJ/cm2で導電膜及び感光性樹脂層に対して支持フィルム剥離側から光照射した(第二露光)。露光後、室温(25℃)で15分間放置した後、スプレー現像機を用いて30℃、1%の炭酸ナトリウム水溶液で40秒間現像し、導電パターン基板を得た。
PET基板(東洋紡株式会社製、商品名「A4300」)に、上記で得られた支持フィルム、導電膜、感光性樹脂層、保護フィルムがこの順に積層された感光性導電フィルムの保護フィルムを剥離しながら、感光性樹脂層をPET基板に密着させて、110℃、0.4MPa、0.6m/分の条件でラミネートした。
ラミネート後、PET基板を冷却し、PET基板の温度が23℃になった時点で、超高圧水銀ランプを有する露光機(オーク株式会社製、商品名「HMW−201B」)を用いて任意のフォトマスクを介し、60mJ/cm2の露光量で導電膜及び感光性樹脂層に対して支持フィルム側から紫外線を照射した(第一露光)。室温(25℃)で15分間放置した後、支持フィルムであるPETフィルムを剥離し、酸素の存在下、100mJ/cm2で導電膜及び感光性樹脂層に対して支持フィルム剥離側から光照射した(第二露光)。露光後、室温(25℃)で15分間放置した後、スプレー現像機を用いて30℃、1%の炭酸ナトリウム水溶液で40秒間現像し、導電パターン基板を得た。
[サンプル作製方法]
図4に示すように、得られた導電パターン基板の両端に直径2mmφの銀ペースト(DW−117H−41、東洋紡株式会社製)を塗布し、恒温槽にて130℃、30分で加熱乾燥を行って評価用サンプルを作製した。図4に示すように、評価用サンプル30は、幅0.2mm(200μm)の導電ライン32、及び銀ペースト部34を有する。
図4に示すように、得られた導電パターン基板の両端に直径2mmφの銀ペースト(DW−117H−41、東洋紡株式会社製)を塗布し、恒温槽にて130℃、30分で加熱乾燥を行って評価用サンプルを作製した。図4に示すように、評価用サンプル30は、幅0.2mm(200μm)の導電ライン32、及び銀ペースト部34を有する。
[測定方法]
静電気放電試験では、静電破壊試験器HCE−5000(阪和電子工業株式会社製)を使用した。測定方法は銀ペースト部をクリップで挟み、500Vより10Vずつ昇圧した。印加電圧を10Vずつ昇圧するごとに、リーク測定を実施した。リーク値から10%の変化量があった電圧値を破壊判定の基準として記録した。結果を表2に示す。
静電気放電試験では、静電破壊試験器HCE−5000(阪和電子工業株式会社製)を使用した。測定方法は銀ペースト部をクリップで挟み、500Vより10Vずつ昇圧した。印加電圧を10Vずつ昇圧するごとに、リーク測定を実施した。リーク値から10%の変化量があった電圧値を破壊判定の基準として記録した。結果を表2に示す。
(実施例2)
導電液におけるナノアルミナの添加量を導電性繊維100質量部に対して1.0質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
導電液におけるナノアルミナの添加量を導電性繊維100質量部に対して1.0質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
(実施例3)
導電液におけるナノアルミナの添加量を導電性繊維(銀繊維)100質量部に対して2.0質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
導電液におけるナノアルミナの添加量を導電性繊維(銀繊維)100質量部に対して2.0質量部とした以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
導電液にナノアルミナを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
導電液にナノアルミナを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、実施例1と同様の方法により、静電気放電試験、透過率及びヘーズ値を測定した。結果を表2に示す。
本発明は、ナノアルミナを添加することで感光性導電フィルムの静電気放電を向上させることが可能となり、加工時の静電気による断線が軽減されることにより生産性が向上し、また実使用時に発生する静電気による誤作動及び性能低下も抑制されるためタッチパネルディスプレイへの展開が期待される。
1…支持フィルム、2…導電膜、2a…導電パターン、3…感光性樹脂層、3a…樹脂硬化層、10…感光性導電フィルム、20…基板、40…導電パターン基板、L…活性光線、30…評価用サンプル、32…導電ライン、34…銀ペースト部。
Claims (9)
- 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電膜及び該導電膜上に設けられた感光性樹脂層を備える感光性導電フィルムであって、
前記感光性樹脂層は、(a)バインダーポリマー、(b)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(c)光重合開始剤を含有し、
前記導電膜は、導電性繊維及び非導電性無機フィラを含有する、感光性導電フィルム。 - 前記非導電性無機フィラは、ナノアルミナを含む、請求項1に記載の感光性導電フィルム。
- 前記導電性繊維は、銀繊維を含む、請求項1又は2に記載の感光性導電フィルム。
- 450〜650nmの波長域における光線透過率が80%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性導電フィルム。
- 基板と前記感光性樹脂層とが密着するように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性導電フィルムを前記基板上にラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネート工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する露光工程と、
前記露光工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。 - 基板と前記感光性樹脂層とが密着するように、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性導電フィルムを前記基板上にラミネートするラミネート工程と、
前記ラミネート工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層にパターン状に活性光線を照射する第一露光工程と、
前記第一露光工程の後、酸素存在下で、前記第一露光工程における前記導電膜及び前記感光性樹脂層の未露光部の一部又は全部に活性光線を照射する第二露光工程と、
前記第二露光工程の後、前記導電膜及び前記感光性樹脂層を現像する工程と、を備える、導電パターンの形成方法。 - 基板と、
前記基板上に設けられた請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂層の硬化物からなる層と、
当該硬化物からなる層上に設けられた導電パターンと、を有し、
前記導電パターンが、パターン化された請求項1〜4に記載の導電膜である、導電パターン基板。 - 前記導電パターンの静電気放電電圧が、導電ライン幅200μmにおいて800V以上である、請求項7に記載の導電パターン基板。
- 請求項7又は8に記載の導電パターン基板を含む、タッチパネル。
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2016
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