JP2018049055A - 感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光性導電フィルムにおいて、現像後に形成される導電層が含まれない感光層の部分と導電層が含まれる感光層の部分とのヘーズ差が大きいため、それらのどちらかの部分に白化現象が目立つ傾向にあった。そのため、その白化現象を解消することができる感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の形成方法を提供する。
【解決手段】本発明は、導電層2と感光性樹脂層3とを有する感光性導電フィルムであって、感光性導電フィルムの現像によって導電層2が除かれる部分8と導電層2が含まれる部分9とのヘーズ差が、絶対値で0.1以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明は、導電層2と感光性樹脂層3とを有する感光性導電フィルムであって、感光性導電フィルムの現像によって導電層2が除かれる部分8と導電層2が含まれる部分9とのヘーズ差が、絶対値で0.1以下であることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、感光性導電フィルムとその導電パターンの形成方法及び導電パターン基板に関し、特に液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ、タッチスクリーン、太陽電池、照明等の装置の電極配線として用いられる感光性導電フィルムと、これを用いた導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の形成方法に関する。
パソコンやテレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA、FA機器等の表示機器では、液晶表示素子やタッチスクリーンが使用されているものが普及している。これら液晶表示素子やタッチスクリーン、更には太陽電池や照明等のデバイスでは、透明であることが要求される配線、画素電極又は端子の一部に透明導電膜が使用される。
従来、透明導電膜用材料には、可視光に対して高い透過率を示すことから、ITO(Indium−Tin−Oxide)、酸化インジュウム及び酸化スズなどが用いられている。液晶表示素子用基板等の電極では、上記の材料からなる透明導電膜をパターニングしたものが主流になっている。
透明導電膜のパターニング方法としては、透明導電膜を形成後、フォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成し、ウエットエッチングにより導電膜の所定部分を除去して導電パターンを形成する方法が一般的である。ITO及び酸化インジュウム膜の場合、エッチング液は塩酸と塩化第二鉄の2液よりなる混合液がよく用いられている(例えば特許文献1参照)。
ITO膜や酸化スズ膜は一般にスパッタ法により形成されるが、スパッタ方式の違い、スパッタパワーやガス圧、基板温度、雰囲気ガスの種類等によって透明導電膜の性質が変わりやすい。スパッタ条件の変動による透明導電膜の膜質の違いは、透明導電膜をウエットエッチングする際のエッチング速度のばらつきの原因となり、パターンニング不良による製品の歩留り低下を招きやすい。また、上記の導電パターンの形成方法は、スパッタ工程、レジスト形成工程及びエッチング工程を経ていることから、工程が長く、コスト面でも大きな負担となっている。
最近、上記の問題を解消するために、ITO、酸化インジュウム及び酸化スズなどに替わる材料を用いて透明な導電パターンを形成する試みがなされている。例えば、下記特許文献2には、支持基板上に、銀繊維などの導電性繊維を含有する導電層を形成した後、導電層上に感光性樹脂層を形成し、その上からパターンマスクを介して露光し、現像する導電パターンの形成方法が開示されている。
また、簡便に導電パターンを形成する方法として、下記特許文献3に記載の感光性導電フィルムを用いた導電パターンの形成方法が開示されている。下記特許文献3の方法では、1回目の露光を真空下で、2回目の露光を酸素下で行う、2段露光の方法を用いることにより、マスクで遮光した部分を感光性樹脂層(以下、感光層)を、マスクで遮光せずに光照射する部分を導電層としたパターンを形成することが可能である。この方法により、導電層が含まれる感光層の部分と導電層が除かれる感光層の部分との高低差を最小限にし、回路形成が容易になる。さらに、両者の部分の高低差が小さくなるため、段差の高い部分が形成され難くなるという利点があった。
しかしながら、この方法では、導電層が含まれる感光層の部分と導電層が含まれない感光層の部分とのヘーズの差が大きく、後者に比べてヘーズが大きくなる傾向にある前者において白化が目立つという問題点があった。
しかしながら、この方法では、導電層が含まれる感光層の部分と導電層が含まれない感光層の部分とのヘーズの差が大きく、後者に比べてヘーズが大きくなる傾向にある前者において白化が目立つという問題点があった。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑みてなされたものであり、導電層と感光性樹脂層とを有する感光性導電フィルムを用いて、前記感光性フィルムを現像したときに、前記導電層が除かれる部分と前記導電層を含む部分とのヘーズ差が小さく、白化現象を抑制可能な感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、導電層と感光性樹脂層とを有する感光性導電フィルムであって、前記感光性導電フィルムの現像によって前記導電層が除かれる部分と前記導電層が含まれる部分とのヘーズ差が、絶対値で0.1以下であることを特徴とする感光性導電フィルムを提供する。
本発明の感光性導電フィルムでは、現像後に形成される前記導電層が除かれる部分と前記導電層が含まれる部分とのヘーズ差を絶対値で0.1以下にするときに前記導電層が含まれる部分の白化を抑制することができる。この効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、感光性樹脂フィルム中の光開始剤により、導電層が含まれる部分のフィルムの表面硬化性が向上し、感光層のヘーズ差が小さくなると推察される。この結果、透明導電フィルムの白化現象の解消に寄与すると考えられる。
本発明の感光性導電フィルムは、前記導電層と前記感光性樹脂層との積層体の膜厚を1〜10μmとしたときに、前記積層体の450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましい。導電層及び感光性樹脂層がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
また、本発明の感光性導電フィルムは、形成される導電パターンの導電性を容易に調整できる点で、銀繊維の導電性繊維を含有することが好ましい。
また、本発明の感光性導電フィルムは、支持基板と導電パターンとの接着性及び導電パターンのパターンニング性を更に向上させる観点から、上記感光性樹脂層が、バインダーポリマー、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含有することが好ましい。
また、本発明の感光性導電フィルムは、光重合開始剤としてオキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物を含有することが好ましい。それにより、導電層が含まれる部分のフィルムの表面硬化性が向上する。
本発明は、また、前記感光性導電フィルムを用いて、前記感光性導電フィルムを作製するラミネート工程と、前記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、前記感光性樹脂層を現像することにより導電パターンを形成する工程を備える導電パターンの形成方法を提供する。
本発明は、また、支持基板上に本発明の導電パターンの形成方法により導電パターンを形成する導電パターン基板の製造方法を提供する。
本発明の導電パターン基板の製造方法において、上記導電パターンの表面抵抗率が2000Ω/□以下であることが好ましい。
本発明によれば、導電層と感光性樹脂層とを有する感光性導電フィルムを用いて、前記感光性フィルムを現像したときに、前記導電層が除かれる部分と前記導電層が含まれる部分とのヘーズ差が小さく、白化現象を抑制可能な感光性導電フィルム7、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の形成方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
図1は、本発明の感光性導電フィルムの模式断面図である。図1に示す感光性導電フィルム5は、第一のフィルム1と、第一のフィルム1上に設けられた導電性繊維を含む導電層2と、導電層2上に設けられた感光性樹脂層3(以下、感光層)と、感光層3上に設けられた第二のフィルム4を備える。図1に示す感光性導電フィルム5は本発明の代表的な感光性導電フィルムの一例であり、基本構造として導電性繊維が含まれる導電層2と感光性樹脂層3とを有するものである。
図2は、本発明の感光性導電フィルムと樹脂フィルム基板(支持基板)の2層積層構造をもつ導電パターン基板を示す構造模式図である。図2に示す導電パターン基板7は、導電性繊維を含有する導電層2と感光層3との積層体5a、及び積層体5aを樹脂フィルム基板6(支持基板6)に張り合わせた構造を備える。図2には、現像によって形成される導電層2が除かれる部分8と導電層2が含まれる部分9を示している。本発明において特定する「導電層が除かれる部分」及び「導電層が含まれる部分」は、図2において、それぞれ感光性樹脂フィルムの符号8及び9で示す部分に相当する。
本明細書中における「層」とは、第一のフィルム上に導電層2が形成され、次いで上記導電層2上に感光層3が形成されて感光性導電フィルム5が製造されることに由来して、便宜的に用いているに過ぎない。即ち、感光性導電フィルム5は、導電層2と感光層3が必ずしも2層に明確に分かれていることを意味するものではなく、導電層中には感光層中の組成物が含浸されたり、感光性樹脂組成物が導電層の表層部に存在していたりしてもよい。
以下、感光性導電フィルム5を構成する第一のフィルム1、導電性繊維、該導電性繊維を含有する導電層2、感光層3及び第二のフィルム4のそれぞれについて詳細に説明する。
第一のフィルム1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムが挙げられる。これらのうち、透明性や耐熱性の観点からは、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。なお、本発明は、第二のフィルム4が第一のフィルム1より優先的にはく離することを特徴とする。そのためには、第一のフィルム1と導電層2の接着強度が、感光性樹脂層3と第二のフィルム4の接着強度よりも大きいことが好ましい。従って、これらの重合体フィルムは、第二のフィルム4よりもはく離され難いように、厚みの調整、材質の選択及び表面処理が施されたものであることが好ましい。
また、第一のフィルム1の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、15〜25μmであることが特に好ましい。第一のフィルムの厚みが5μm未満であると、機械的強度が低下し、導電層2を形成するために導電性繊維分散液若しくは感光層3を形成するために感光性樹脂組成物を塗工する工程において、第一のフィルム1が破れやすくなる傾向がある。一方、第一のフィルム1の厚みが100μmを超えると、第一のフィルム1を介して活性光線を感光性樹脂層に照射する場合にパターンの解像度が低下する傾向があり、また価格が高くなる傾向にある。
また、第一のフィルム1のヘーズ値は、感度及び解像度を良好にできる観点から、0.01〜5.0%であることが好ましく、0.01〜3.0%であることがより好ましく、0.01〜2.0%であることがさらに好ましく、0.01〜1.0%であることが特に好ましい。なお、ヘーズ値はJIS K 7105に準拠して測定することができ、NDH−1001DP(日本電色工業株式会社製、商品名)等の市販の濁度計などで測定が可能である。
導電層2に含有される導電性繊維としては、金、銀、白金などの金属繊維、及びカーボンナノチューブなどの炭素繊維が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。導電性の観点からは、金繊維又は銀繊維を用いることが好ましい。金繊維及び銀繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、形成される導電パターンの導電性を容易に調整できる観点からは、銀繊維がより好ましい。
上記の金属繊維は、例えば、金属イオンをNaBH4等の還元剤で還元する方法、又は、ポリオール法により調製することができる。また、上記カーボンナノチューブは、Unidym社のHipco単層カーボンナノチューブなどの市販品を使用することができる。
上記導電性繊維の繊維径は、1〜50nmであることが好ましく、2〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることが特に好ましい。また、上記導電性繊維の繊維長は、1〜100μmであることが好ましく、2〜50μmであることがより好ましく、3〜10μmであることが特に好ましい。繊維径及び繊維長は、走査型電子顕微鏡により測定することができる。
上記導電性繊維の厚みは、本発明の感光性導電フィルムを用いて形成される導電パターン又はその用途や求められる導電性によっても異なるが、1μm以下であることが好ましく、1nm〜0.5μmであることがより好ましく、5nm〜0.1μmであることが特に好ましい。上記導電性繊維の厚みが1μm以下であると、450〜650nmの波長域での光透過率が高く、パターン形成性にも優れ、特に透明電極の作製に好適なものとなる。
上記導電性繊維は、導電性繊維同士が接触してなる網目構造を有することが好ましい。このような網目構造を有する導電性繊維は、第一のフィルム1側表面に形成されていてもよいが、第一のフィルムを剥離したときに露出する表面においてその面方向に導電性が得られるのであれば、第一のフィルム1側表層に含まれる形態で形成されていてもよい。なお、網目構造を有する導電性繊維の厚みは、走査型電子顕微鏡写真によって測定される値を指す。
導電性繊維を含有する導電層2は、例えば、第一のフィルム1上に、上述した導電性繊維を水及び/又は有機溶剤、必要に応じて界面活性剤などの分散安定剤などを加えた導電性繊維分散液を塗工した後、乾燥することにより形成することができる。塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。また、乾燥は、30〜150℃で1〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。導電層2において、導電性繊維は界面活性剤や分散安定剤と共存していてもかまわない。乾燥後、第一のフィルム1上に形成した導電層2は、必要に応じて感光層3とラミネートされる。
感光層3としては、(A)バインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び(C)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物から形成されるものが挙げられる。本発明の感光性樹脂層3は、特に(C)成分に特徴を有する。
上記(A)バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記(A)バインダーポリマーは、重合性単量体をラジカル重合させること等により製造することができる。
上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のα−位又は芳香族環において置換されている重合可能なスチレン誘導体;ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド;アクリロニトリル;ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエーテル類;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモアクリル酸、α−クロルアクリル酸、β−フリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、マレイン酸シクロヘキシル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
上記重合性単量体としては、その他には例えば、2官能の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、(A)成分は、(a)(メタ)アクリル酸、及び(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を含有する共重合体が好適である。
(A)成分であるバインダーポリマーの重量平均分子量(GPCを用いて、標準ポリスチレン換算で測定した値)は、10000〜200000であるが、解像度の見地から、15000〜150000であることが好ましく、30000〜150000であることがより好ましく、30000〜100000であることがさらに好ましい。
(B)成分である光重合性化合物としては、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を用いることができる。
エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、例えば一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーが挙げられる。
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられるモノマーとして例示した(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びそれらと共重合可能なモノマーが挙げられる。
上記二官能ビニルモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エトキシ基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの);ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート(2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート;多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物が挙げられる。上記のビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレートとしては、例えば、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAペンタオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAペンタオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレートが挙げられる。
上記少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価アルコールにα,β−不飽和飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート等のグリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物が挙げられる。
(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−フェニル,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等のオキシムエステル化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9´−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキサゾール系化合物が挙げられる。また、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。
これらの中でも、形成する保護膜の透明性、及び膜厚を10μm以下としたときのパターン形成能から、オキシムエステル化合物又はホスフィンオキサイド化合物が好ましい。さらに、導電層2とラミネートされる感光性樹脂層3の硬化性を向上させるために、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物を含有することがより好ましい。
前記(A)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましい。
この配合量が40質量部未満では塗膜性に劣り、エッジフュージョンと呼ばれる樹脂が感光性エレメント端部から染み出す傾向があり、80質量部を超えると感度が低下し、機械強度が弱くなる傾向がある。
この配合量が40質量部未満では塗膜性に劣り、エッジフュージョンと呼ばれる樹脂が感光性エレメント端部から染み出す傾向があり、80質量部を超えると感度が低下し、機械強度が弱くなる傾向がある。
前記(B)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましい。
この配合量が20質量部未満では感度が低下し、機械強度が弱くなる傾向があり、60質量部を超えると塗膜性に劣り、樹脂が感光性エレメント端部から染み出すエッジフュージョンと呼ばれる現象が起こる傾向がある。
この配合量が20質量部未満では感度が低下し、機械強度が弱くなる傾向があり、60質量部を超えると塗膜性に劣り、樹脂が感光性エレメント端部から染み出すエッジフュージョンと呼ばれる現象が起こる傾向がある。
前記(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜12質量部であることがより好ましい。この配合量が0.1質量部未満では感度が不充分となる傾向があり、20質量部を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
本発明における感光性樹脂組成物には、必要に応じて、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモメチルフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
感光層3は、導電層2を形成した第一のフィルム1上に、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解した、固形分10〜60質量%程度の感光性樹脂組成物の溶液を塗布、乾燥することにより形成できる。但し、この場合、乾燥後の感光性樹脂層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するため、2質量%以下であることが好ましい。
塗工は、例えば、ロールコート法、コンマコート法、グラビアコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、バーコート法、スプレーコート法等の公知の方法で行うことができる。塗工後、有機溶剤等を除去するための乾燥は、70〜150℃で5〜30分間程度、熱風対流式乾燥機等で行うことができる。
感光層3の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで0.05〜50μmであることが好ましく、0.05〜15μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることがさらに好ましく、0.1〜8μmであることが特に好ましく、0.1〜5μmであることが極めて好ましい。この厚みが0.05μm未満では塗工が困難となる傾向があり、50μmを超えると光透過の低下による感度が不充分となり転写する感光性樹脂層の光硬化性が低下する傾向がある。
第二のフィルム4としては、第一のフィルム1で例示されたフィルムを用いることが出来る。その際、第二のフィルム4のはく離が常に第一のフィルムより優先するように、第一のフィルム1及び第二のフィルム4の膜厚及び/又は表面処理を調節することが好ましい。
第二のフィルム4の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましく、15〜100μmであることが特に好ましい。第二のフィルム4の厚みが10μm未満であると、機械的強度が低下する。一方、第二のフィルム4の厚みが200μmを超えると、導電層2と第二のフィルム4のはく離強度が高くなり、はく離し難くなる傾向がある。
本実施形態では、上記導電層2及び上記感光層3の積層体5aは、両層の合計膜厚を1〜10μmとしたときに450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。導電層2及び感光性樹脂層3がこのような条件を満たす場合、ディスプレイパネル等での高輝度化が容易となる。
感光性導電フィルムは、第一のフィルム上に、接着層、ガスバリア層等の層を更に有していてもよい。
感光性導電フィルムは、例えば、そのままの平板状の形態で、又は、円筒状などの巻芯に巻きとりロール状の形態で貯蔵することができる。
巻芯としては、従来用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックが挙げられる。またロール状に巻き取られた感光性導電フィルムの端面には、端面保護の観点から端面セパレータを設置することが好ましく、加えて耐エッジフュージョンの観点から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、感光性導電フィルムを梱包する際には、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
<導電パターンの形成方法>
本発明の導電パターンの形成方法は、第一のフィルム1と、第一のフィルム1上に設けられる導電性繊維を含有する導電層2と、導電層2上に設けられる感光性樹脂層3と、感光性樹脂層3上に設けられる第二のフィルム4と、備える感光性導電フィルム5を、第二のフィルム4の剥離後、図2に示すように、反転した状態で支持基板6上に密着するようにラミネートするラミネート工程と、支持基板6の上の感光性樹脂層3の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、感光性樹脂層3を現像することにより導電パターンを形成する工程を備える。
本発明の導電パターンの形成方法について説明する。
本実施形態に係る導電パターンの形成方法は、上述した感光性導電フィルム5から第二のフィルム4を剥離し、支持基板6上に感光層3が密着するようにラミネートする工程と、支持基板6上の感光層3の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、第一のフィルム1を剥離し、露光した感光層3を現像することにより、導電パターンを形成する工程を備える。これらの工程を経ることにより、支持基板6上に導電パターン5a、3を備える導電パターン基板が得られる。
本実施形態に係る導電パターンの形成方法は、上述した感光性導電フィルム5から第二のフィルム4を剥離し、支持基板6上に感光層3が密着するようにラミネートする工程と、支持基板6上の感光層3の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、第一のフィルム1を剥離し、露光した感光層3を現像することにより、導電パターンを形成する工程を備える。これらの工程を経ることにより、支持基板6上に導電パターン5a、3を備える導電パターン基板が得られる。
支持基板6としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板が挙げられる。プラスチック基板としては、ポリカーボネート基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板等のフィルム状のもの(「樹脂フィルム基板」ということがある。)を使用してもよい。支持基板6は、450〜650nmの波長域での最小光透過率が80%以上であるものが好ましい。
ラミネート工程は、例えば、感光性導電フィルムの第二のフィルム4を除去した後、加熱しながら感光性樹脂層側を支持基板に圧着して積層する方法により行なわれる。なお、この作業は、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。感光性導電フィルムの積層は、導電層並びに感光性樹脂層及び/又は支持基板を70〜130℃に加熱することが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。また、導電層や感光性樹脂層を上記のように70〜130℃に加熱すれば、予め支持基板を予熱処理することは必要ではないが、積層性をさらに向上させるために支持基板の予熱処理を行うこともできる。
露光工程では、活性光線を照射することによって感光性樹脂層が硬化され、この硬化物によって導電層が固定されることで、支持基板上に導電パターンが形成される。露光工程での露光方法としては、アートワークと呼ばれるネガマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射する方法(マスク露光法)が挙げられる。活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。また、Arイオンレーザ、半導体レーザ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものも用いられる。更に、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いられる。また、レーザ露光法などを用いた直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
感光性樹脂層上の第一のフィルム1が活性光線に対して透明である場合には、第一のフィルム1を通して活性光線を照射することができ、第一のフィルム1が遮光性である場合には、第一のフィルム1を除去した後に感光性樹脂層に活性光線を照射する。
なお、上述したように、本発明に用いる感光性導電フィルムは、第二のフィルム4が第一のフィルム1よりも先にはく離されるように第一のフィルム1及び第二のフィルム4の膜厚及び/又は材質及び/又は表面処理を調節すればよい。即ち、「第一のフィルム」と「第二のフィルム」は、感光性導電フィルムの構成を便宜上区別するために用いているのみである。
また、支持基板が活性光線に対して透明である場合には、支持基板側から支持基板を通して活性光線を照射することができるが、解像度の点で、感光性樹脂層側から感光性樹脂層に活性光線を照射することが好ましい。
このように、本発明の導電パターンの形成方法によれば、ガラスやプラスチックなど支持基板上に容易に透明な導電パターンを形成することが可能である。
本実施形態の現像工程では、感光性樹脂層の露光部以外の部分が除去される。具体的には、感光性樹脂層上に透明な第一のフィルム1が存在している場合には、まず、第一のフィルム1を除去し、その後、ウェット現像により感光性樹脂層の露光部以外の部分を除去する。これにより、所定のパターンを有する樹脂硬化層3上に導電性繊維を含有する導電層2が残り、導電パターンが形成される。
ウェット現像は、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等の感光性樹脂に対応した現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により行われる。
現像液としては、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが用いられる。上記アルカリ性水溶液の塩基としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ;リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウム水溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウム水溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウム水溶液等が好ましい。また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
また、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる水系現像液を用いることができる。ここで、アルカリ水溶液に含まれる塩基としては、上述の塩基以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、モルホリンが挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、3−アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
有機溶剤としては、例えば、3−アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
水系現像液は、有機溶剤の濃度を2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調製することができる。さらに、水系現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量添加することもできる。
有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加することが好ましい。以上の現像液は、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
現像の方式としては、ディップ方式、バトル方式、高圧スプレー方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。これらのうち、高圧スプレー方式を用いることが、解像度向上の観点から好ましい。
本実施形態の導電パターンの形成方法においては、現像後に必要に応じて、60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm2程度の露光を行うことにより導電パターンを更に硬化してもよい。
このように、本発明の導電パターンの形成方法によれば、ITOなどの無機膜のようにエッチングレジストを形成することなく、ガラスやプラスチックなどの支持基板上に容易に透明な導電パターンを形成することが可能である。
<導電パターン基板の製造方法>
本発明の導電パターン基板の製造方法は、支持基板上に上述した導電パターンの形成方法により導電パターンを形成することにより得られるが、透明電極として有効に活用できる観点から、導電パターンの表面抵抗率が2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがより好ましく、500Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、導電性繊維分散液の濃度又は塗工量によって調整することができる。
本発明の導電パターン基板の製造方法は、支持基板上に上述した導電パターンの形成方法により導電パターンを形成することにより得られるが、透明電極として有効に活用できる観点から、導電パターンの表面抵抗率が2000Ω/□以下であることが好ましく、1000Ω/□以下であることがより好ましく、500Ω/□以下であることが特に好ましい。表面抵抗率は、例えば、導電性繊維分散液の濃度又は塗工量によって調整することができる。
また、本発明の導電パターン基板は、450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(導電性繊維分散液1(銀繊維分散液))
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mlの3口フラスコに、エチレングリコール500mlを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意したPtCl22mgを50mlのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、AgNO35gをエチレングリコール300mlに溶解した溶液と、重量平均分子量が4万のポリビニルピロリドン(和光純薬工業株式会社製)5gをエチレングリコール150mlに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で滴下し、その後160℃で60分間攪拌した。
[ポリオール法による銀繊維の調製]
2000mlの3口フラスコに、エチレングリコール500mlを入れ、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながらオイルバスにより160℃まで加熱した。ここに、別途用意したPtCl22mgを50mlのエチレングリコールに溶解した溶液を滴下した。4〜5分後、AgNO35gをエチレングリコール300mlに溶解した溶液と、重量平均分子量が4万のポリビニルピロリドン(和光純薬工業株式会社製)5gをエチレングリコール150mlに溶解した溶液とを、それぞれの滴下ロートから1分間で滴下し、その後160℃で60分間攪拌した。
上記反応溶液が30℃以下になるまで放置してから、アセトンで10倍に希釈し、遠心分離機により2000回転で20分間遠心分離し、上澄み液をデカンテーションした。沈殿物にアセトンを加え攪拌後に前記と同様の条件で遠心分離し、アセトンをデカンテーションした。その後、蒸留水を用いて同様に2回遠心分離して、銀繊維を得た。得られた銀繊維を光学顕微鏡で観察したところ、繊維径(直径)は約5nmで、繊維長は約5μmであった。
[銀繊維分散液の調製]
純水に、上記で得られた銀繊維を0.2質量%、及び、ドデシル−ペンタエチレングリコールを0.1質量%の濃度となるように分散し、導電性繊維分散液1を得た。
純水に、上記で得られた銀繊維を0.2質量%、及び、ドデシル−ペンタエチレングリコールを0.1質量%の濃度となるように分散し、導電性繊維分散液1を得た。
<感光性樹脂組成物の溶液の調製>
<アクリル樹脂の合成>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに、溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。
さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製し、(A)成分としてのバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記の通りである。
<アクリル樹脂の合成>
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下ロート及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、メチルセロソルブとトルエンとの混合液(メチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)、以下、「溶液s」という)400gを加え、窒素ガスを吹き込みながら撹拌して、80℃まで加熱した。一方、単量体としてメタクリル酸100g、メタクリル酸メチル250g、アクリル酸エチル100g及びスチレン50gと、アゾビスイソブチロニトリル0.8gとを混合した溶液(以下、「溶液a」という)を用意した。次に、80℃に加熱された溶液sに、溶液aを4時間かけて滴下した後、80℃で撹拌しながら2時間保温した。
さらに、100gの溶液sにアゾビスイソブチロニトリル1.2gを溶解した溶液を、10分かけてフラスコ内に滴下した。そして、滴下後の溶液を撹拌しながら80℃で3時間保温した後、30分間かけて90℃に加熱した。90℃で2時間保温した後、冷却してバインダーポリマー溶液を得た。このバインダーポリマー溶液に、アセトンを加えて不揮発成分(固形分)が50質量%になるように調製し、(A)成分としてのバインダーポリマー溶液を得た。得られたバインダーポリマーの重量平均分子量は80000であった。これをアクリルポリマーAとした。なお、重量平均分子量を測定したGPCの測定条件は下記の通りである。
<GPC測定条件>
機種:日立L6000(株式会社日立製作所製)
検出:L3300RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M(日立化成株式会社製)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのTHFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
機種:日立L6000(株式会社日立製作所製)
検出:L3300RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R440 + GL−R450 + GL−R400M(日立化成株式会社製)
カラム仕様:直径10.7mm × 300mm
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度:NV(不揮発分濃度)50質量%の樹脂溶液を120mg採取、5mLのTHFに溶解
注入量:200μL
圧力:4.9MPa
流量:2.05mL/min
表1に示す材料を同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
(実施例1)<感光性導電フィルムの作製−1>
前記導電性繊維分散液1を、第一のフィルム1である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社製、商品名「A−1517」)上に25g/m2で均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、室温(25℃)において10kg/cmの線圧で加圧することにより、第一のフィルム上に導電性繊維を含有する導電層を形成した。なお、導電層の乾燥後の膜厚は、約0.01μmであった。
前記導電性繊維分散液1を、第一のフィルム1である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡株式会社製、商品名「A−1517」)上に25g/m2で均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥し、室温(25℃)において10kg/cmの線圧で加圧することにより、第一のフィルム上に導電性繊維を含有する導電層を形成した。なお、導電層の乾燥後の膜厚は、約0.01μmであった。
次に、感光性樹脂組成物の溶液を、第二のフィルム4として使用する30μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、王子フィルム株式会製、商品名「ES−201」)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥して感光性樹脂層(以下、感光層)を形成した。なお、感光層の乾燥後の膜厚は5μmであった。
次に、上記で得られた2枚のフィルムの導電層と感光層が向かい合うように配置し、 120℃、0.4MPaの条件でラミネートし感光性導電フィルム5を作製した。
次に、上記で得られた2枚のフィルムの導電層と感光層が向かい合うように配置し、 120℃、0.4MPaの条件でラミネートし感光性導電フィルム5を作製した。
支持基板6である125μm厚のPETフィルム基板6を110℃に加温し、その表面上に上記で得られた感光性導電フィルム5の第二のフィルム4(30μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離しながら、感光層3をPETフィルム基板6に対向させて、110℃、0.5MPaの条件でラミネートした。ラミネート後、PETフィルム基板6を冷却し、PETフィルム基板6の温度が23℃になった時点で、PETフィルム基板6の半分部分を遮光した状態で、第一のフィルム1側から高圧水銀灯ランプを有する露光機(株式会社オーク製作所製、商品名「EXM−1201」)を用いて、40mJ/cm2の露光量で、光照射した。続いて、第一のフィルム1であるPETフィルムを剥離し、露光機のマイラー上酸素雰囲気下で、100mJ/cm2の露光量を光照射した。
次に、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を40秒間スプレーすることにより現像した。さらにUV露光機により、1J/cm2の露光量を光照射した。
以上の操作により、PETフィルム基板6(支持基板6)の上に、銀繊維が露出した導電層2と、銀繊維が除去された感光層3の2種類のパターン領域をもつフィルム状の導電パターン基板7を作製した。ここで、作製した導電パターン基板7において、導電層2が現像によって除かれる部分8と導電層2が含まれる部分9のヘーズを測定した。
<ヘーズの測定>
装置は、NDH−5000(日本電色工業株式会社製、商品名)を用い、JIS K 7105に準拠して測定した。入射光は、導電層2の上部から感光層3に向けて照射した。
装置は、NDH−5000(日本電色工業株式会社製、商品名)を用い、JIS K 7105に準拠して測定した。入射光は、導電層2の上部から感光層3に向けて照射した。
表2に実施例及び比較例におけるヘーズ測定の結果をまとめる。
表2に示すように、実施例は現像によって導電層2が含まれる部分と導電層2が除かれる部分とのヘーズの差が絶対値で非常に小さく0.1以下であり、導電層2が含まれる部分には白化現象が全く発生しないことが確認された。それに対して、比較例は、両者のヘーズの差が絶対値で0.1を超えるため、導電層2が含まれる部分に顕著な白化がみられた。
本発明の導電パターンの形成方法によれば、導電層と感光性樹脂層とを有する感光性導電フィルムにおいて、現像後に形成される前記導電層が除かれる部分と前記導電層が含まれる部分とのヘーズ差を小さくすることにより、タッチパネル上における白化現象の抑制につながる。
1…感光性導電フィルムの第一のフィルム、
2…導電層
3…感光性樹脂層(感光層)
4…感光性導電フィルムの第二のフィルム
5…感光性導電フィルム
5a…導電層と感光性樹脂層との積層体
6…支持基板、樹脂フィルム基板又はPETフィルム基板
7…導電パターン基板
8…導電層2が除かれる部分
9…導電層2が含まれる部分
2…導電層
3…感光性樹脂層(感光層)
4…感光性導電フィルムの第二のフィルム
5…感光性導電フィルム
5a…導電層と感光性樹脂層との積層体
6…支持基板、樹脂フィルム基板又はPETフィルム基板
7…導電パターン基板
8…導電層2が除かれる部分
9…導電層2が含まれる部分
Claims (8)
- 導電層と感光性樹脂層とを有する感光性導電フィルムであって、前記感光性導電フィルムの現像によって前記導電層が除かれる部分と前記導電層が含まれる部分とのヘーズ差が、絶対値で0.1以下であることを特徴とする感光性導電フィルム。
- 前記感光性導電フィルムは、前記導電層と前記感光性樹脂層との積層体の膜厚を1〜10μmとしたときに、前記積層体の450〜650nmの波長域における最小光透過率が80%以上である、請求項1に記載の感光性導電フィルム。
- 前記導電層が、銀繊維の導電性繊維を含有する、請求項1又は2に記載の感光性導電フィルム。
- 前記感光性樹脂層が、バインダーポリマー、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性導電フィルム。
- 前記光重合開始剤が、オキシムエステル化合物及びホスフィンオキサイド化合物を含有することを特徴とする請求項4に記載の感光性導電フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性導電フィルムを作製するラミネート工程と、前記感光性樹脂層の所定部分に活性光線を照射する露光工程と、前記感光性樹脂層を現像することにより導電パターンを形成する工程を備える、導電パターンの形成方法。
- 支持基板上に請求項6に記載の導電パターンの形成方法により導電パターンを形成する導電パターン基板の製造方法。
- 前記導電パターンの表面抵抗率が2000Ω/□以下である、請求項7に記載の導電パターン基板の製造方法。
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JP2016182894A Pending JP2018049055A (ja) | 2016-09-20 | 2016-09-20 | 感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法及び導電パターン基板の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018049055A (ja) |
-
2016
- 2016-09-20 JP JP2016182894A patent/JP2018049055A/ja active Pending
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