JP5869490B2 - 地域密着型応答システム - Google Patents

Description

本書は、交通事故、心停止または他の急病などの緊急事態に対する応答を提供するためのコンピュータベースのシステムおよび技術に関係する。

事故により起こる突然の心停止および傷害などの突然の健康問題で、毎年多くの人が亡くなり、後遺障害を生じている。当該状況においてよい結果になるには迅速で的確な治療が極めて重要となり得る。例えば、突然の心停止で生き残る可能性は、効果的な処置が１分遅れるごとに１０パーセント低下するといわれている。

突然の心停止および事故などの緊急事態には、一般に救急車または消防隊などの組織的な緊急対応ユニット、および事件のすぐ近くにいて事件に居合わせるまたは支援を提供する一般人が対応する。しばしば、傷病者のすぐ近くにいる一般人は傷病者を処置する訓練を受けていないか、またはあまりに気後れして効果的な処置を施せない。他方で、組織的な緊急対応ユニットは傷病者から遠く離れていることがあるので、長時間現場に到着できない。

明細書は、一般応答者および専門応答者を含めた応答者に、緊急事態について警報を出すように使用できるシステムおよび技術を説明する。本書において、専門応答者とは、ある地域に任命されているＥＭＴ（救急救命士）および消防士など、救助緊急応答のために特定の地理的地域を担当するために任命されており、担当する責任を負う訓練を受けた組織的な応答者である。一般応答者とは、緊急事態の地域で臨機応変に対応できるが、その地理的地域で緊急サービスを提供する責任を負う機関の代理人ではない他の応答者である。一般応答者はＣＰＲ（心肺蘇生）認定を受けた普通の人などの比較的未熟な市民から、空き時間中に、通常自分の仕事の一部として任命されている担当地理的地域以外の緊急事態に対して呼び出しを受ける意思を示している高度な訓練を受けた医療専門家までの範囲であってもよい。

ここで述べるシステムおよび技術において、市民は一般応答者として公共オンラインシステムに登録してもよい。当該登録は、その携帯コンピューティング機器（例、スマートフォン／アプリフォン）から登録サービスにその位置を報告させる同意を含む。後で、９１１オペレータへ電話をかけるなどして、緊急呼び出しを緊急派遣サービスに入れてもよい。緊急派遣サービス（例、雇用されている緊急派遣要員を通じて）は呼び出し先の住所を入力してもよく、呼び出し周辺地域の地図を映像モニタに表示させてもよい。地図には、呼び出し周辺の地理的地域で、それぞれの携帯電子機器によってその位置が報告されている（本人の同意を得て）一般応答者を含め、登録応答者の位置を表すアイコンを装備してもよい。こうして、緊急派遣係は専門の応答隊員に通知する他に、一般応答者のうちの１人以上に通知する選択をしてもよい。地図および関連データベースは登録応答者の経歴または資格を示すようにして、緊急派遣係が、その地域にいる現在活動できる潜在的一般応答者全員から、その特定の事件に適した技能レベルを有する候補応答者のチームを選択できるようにしてもよい。

通知を受信すると、各候補一般応答者は、自分が呼び出しに対して手伝う気があるかどうか、手伝うことができるかどうかの意思表示を返信してもよい。一般応答者が手伝う気があると意思表示する場合、システムは彼らの携帯コンピューティング機器に、彼らの現在地、呼び出し位置（呼び出しが傷病者の位置の近くの場合）、彼らの位置と呼び出し位置との間を強調表示した案内ルート、およびおそらくは呼び出しの応答に役立つかもしれず、特定の一般応答者が呼び出し位置に行く途中で手に入れられる公共の場に設置されている器具（救急箱および自動体外式除細動器（ＡＥＤ））の位置を示すアイコンを表示する地図を自動送信してもよい。

ＶｏＩＰ（Ｖｏｉｃｅ Ｏｖｅｒ ＩＰ）または他の音声通信技術を使用して、システムは一般応答者および専門応答者両方の応答者各人に、応答者の他の人、緊急派遣係および傷病者または緊急時に最初に傷病者を目撃して電話をかけた人かもしれない第一通報者との音声接続をするための識別データも提供してもよい。このような接続はブロードキャスト接続として形成できるので、すべての応答者があらゆる他の応答者からのコメントを聞くことができ、そのため応答者たちは呼び出しの地域に結集しながらそれぞれの活動を調整することができる。また、（例、現場に向かおうとしている他の一般応答者について高度な訓練を受けた医師に通知するため）何人かの人は、緊急派遣係が一般応答者のうちの１人と直接個人的に話す選択をするなどして、接続の種類を制御することができる。

応答者がその携帯コンピューティング機器に、心拍数、血圧および他の同様なものを測定するためのセンサなど、患者のデータを収集するためのセンサを有している場合、その情報も他の応答者およびシステム全体に戻してもよい。さらに、ハイパーリンクなどの識別子を、患者を収容しそうな病院のスタッフに提供してもよく、病院のスタッフはリンクをクリックしてシステムに入り、患者の状態を測定しているセンサからデータを見る、応答者の１人からのリアルタイム映像を見る、および単に応答者らの話し合いを聞く（およびもしかすると、割り込んで応答者に指導および指示を与える）ことを含めて、リアルタイムで繰り広げられる活動を見る。

最後に、システムは緊急応答中に収集した様々な種類の情報をレポートにフォーマット化するようにプログラミングされてもよい。当該情報は応答者間の会話のデジタルファイル、応答者が呼び出し位置に到着するときにたどった道を示すデータ、傷病者の状態に関するセンサからのデータおよび同様な他のものを含めてもよい。レポートは、例えば、何がうまくいったかおよびどうすればもっとうまくできたかを判定するために、応答者へのチームのデブリーフィングを行うために使用してもよい。加えて、レポートは、頻繁に応答してうまく事を成し遂げる一定の応答者を奨励して、彼らを有能な応答者として緊急派遣係に指示し、それによって将来の呼び出しで緊急派遣係により選定される可能性を高めるように使用してもよい。

当該システムおよび技術は、一定の実施態様において、１つ以上の利点を提供できる。例えば、１人または複数人の傷病者の近くにいる一般応答者を特定することにより、システムおよび技術は緊急事態への応答時間を短縮でき、これは心停止の傷病者にとっては致命的に重要となり得る。また、応答者に既知の公共の場に設置されている器具を表示してもよいので、傷病者のところに向かう途中でそれを手に入れることができる。最初の一般応答者は専門応答者および病院のスタッフと通信してもよい。指示および指導を受け、また傷病者がいる位置を正確に専門応答者に伝えられてもよい。加えて、ここでのシステムおよび技術は適切な応答チームを召集するために使用してもよい。具体的には、緊急派遣係要員または自動緊急派遣係は互いに補完し合う技能を有することがわかっている潜在的応答者を選定してもよく、（特に、その応答者が、携帯機器の加速度計を採用する訓練実習により、胸部圧迫の施術が得意だと分かっている場合）できるだけ早く胸部圧迫を施すために第１応答者を任命し、除細動器および心停止の処置に必要な関連品を手に入れるために第２応答者を任命し、必要に応じて他の応答者を任命する（例、専門応答者が到着したときに会って案内するため）などして、現場に到着する前に各応答者にタスクを割り当ててもよい。加えて、多数の傷病者がいる緊急事態については、各応答者に、特定の傷病者の世話をするおよび任務に就く、あるいは特定の傷病者の世話をするまたは任務に就くよう任命してもよい。集団災害事態がある場合、訓練の少ない応答者をより多くの訓練を受けた応答者とともにグループにして、各チームがうまくバランスがとれるように、応答者をチームに編成してもよい。

また、特に集団災害システムにおいて、秩序の維持を助けるために、少なくとも専門応答者が現場に到着するまで、特定の応答者を指揮応答者として任命してもよい。現場から離れた場所に応答者の司令部も設けてもよい。緊急派遣係はこのような役割を果たし、または当該責任を別の人に渡して、緊急派遣任務に戻ることもできるであろう。システムの新たな管理者は、例えば、その事件に「緊急出動」でき、音声接続によって救助士に口頭指示を与えることができ、また傷病者の生存兆候など、現場からの重要な情報も受信できる、訓練を受けた医療指導者とすることができる。

緊急派遣係および医療指導者には、緊急事態に応答するときに応答者を配備して彼らを管理できる直感的なグラフィカル・インターフェースも提供してもよい。当該システムおよび技術は、傷病者の状態に関する情報を病院のスタッフに自動的に転送させて、傷病者が病院に到着次第処置を始めることができるようにしてもよい。さらに、応答に関する様々な情報を自動的に保存して管理し、応答活動を改善する方法についての教訓を得ることができるようにしてもよい。

当該システムおよび技術は、ユーザが個々に所有するスマートフォンなど、応答者が使用する電子機器にプログラミングされているＣＰＲフィードバックメカニズムにも依存してもよい。当該機器は、出力を測定して、二重積分し、応答者が患者の胸部を動かしている距離および胸部圧迫を繰り返している速度を判定する加速度計を含んでもよい。したがって、機器は「もっと早く押してください」もしくは「もっとゆっくり押してください」、または「もっと強く押してください」もしくは「もっと弱く押してください」などのメッセージをディスプレイに示してもよく、または聞こえるように発話してもよい。当該機能も、ユーザが自身の機器を包んで保護するために購入できるジャケットなど、応答者が使用するコンピューティングまたは通信機器に付属する機器に組み込んでもよい。例えば、力センサは、スマートフォンのスキンに２枚の金属板を、板がコンデンサとして作用し、救助士が胸部圧迫を行っているときに手の下で機器およびジャケットを押している場合、板間の距離が救助士が患者の胸部に加えている力の量を表すように配置することによって作成できるであろう。このような胸部圧迫測定機器がユーザの通信機器とは別に提供される場合、２つの機器は互いに通信しても、またはしなくてもよい。例えば、ジャケットまたはスキンは物理的な接続を介してスマートフォンまたは同様な通信機器（例、通信機能を有するメディアプレーヤ）と通信できる。また、通信機器はその後情報を中央システムに送信してもよい。

このような測定機器を使用する場合、応答者のＣＰＲの習熟度はこのような機器を使用して測定できる。さらに応答者の能力について判定を行ってもよく、応答者には応答者が機器を使用して行うことができる実習から技能ランキングを与えて、応答者がすぐに派遣されるか、もしくはあまり派遣されないように、もしくは応答者の技能セットに合った役割を各応答者に任命するようにしてもよい。

ある実施態様では、医療応答者に情報を通信するコンピュータ実装方法を開示する。方法は、複数の個人を医学的問題の潜在的応答者として登録すること、中央サービスで、ある人に医学的問題があることの通報を受信するとともに、その人の現在地を特定する情報を受信すること、登録されている複数の個人の中から、医学的問題がある人の現在すぐ近くにいる１人以上の登録個人を特定することを備える。方法は、１人以上の登録個人に、医学的問題を有する人の位置を特定する情報を送信することも備える。当該１人以上の個人は、傷病者の現在地周辺の地域で救命サービスを提供する責任を任命されていない一般応答者を含む。複数の潜在的応答者を登録することは、インターネットアクセス可能なサインアップソフトウェアアプリケーションに投稿すること、サインアップアプリケーションを使用して一般市民からボランティアを登録することを備えることができる。方法は、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格が与えられていることを第三者機関で検証することも含むことができる。方法は、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格が与えられていることを検証することが、ボランティアがＣＰＲ認定を受けていることを検証することを備えることも含むことができる。さらに、方法は、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格が与えられているかどうかを定期的に判定すること、所定の医療レベルを提供する資格がすでになくなっている場合に、ボランティアを医学的問題の応答者として、考慮の対象外とすることをさらに備えることができる。

いくつかの側面では、医学的問題を有する人の位置を特定する情報を送信することは、１人以上の登録個人に対応する機器識別子を特定すること、機器識別子に対応する機器に情報を送信することを備える。方法は、１人以上の登録ユーザに、医学的問題がある人の近くの登録医療器具の位置を特定する情報を送信することも含むことができる。加えて、方法は、１人以上のユーザのうちの最初の人からの応答を受信すること、１人以上の登録ユーザのうちの最初の人に対応する携帯電話と、１人以上の登録ユーザのうちの別の人または緊急派遣係との間の音声接続を自動的に行うことを含むことができる。方法は、１人以上の登録個人に、医学的問題がある人に応答する要請を送信すること、１人以上の登録個人のうちの最初の人が要請に肯定応答したかどうかを判定すること、最初の登録個人が肯定応答した場合に限り、最初の登録個人に医学的問題がある人の位置を特定する情報を送信することを含むことができる。

ある側面において、方法は、１人以上の登録個人に割り当てられている機器から、機器のセンサによって医学的問題がある人から収集したデータを受信すること、医学的問題に関する活動に対応するイベント識別子に関連して受信データを格納することをさらに備える。方法はまた、医学的問題に関する活動中に１人以上の個人から受信した情報を格納すること、格納された情報を分析のために提供することを含むことができる。加えて、方法は、１人以上の登録個人のうちの少なくとも１人の等級を、格納された情報に基づいて調整することを含むことができ、等級は医療呼び出しへの応答における個人の習熟度を示す。

さらに別の側面において、方法は、格納されたデータを分析することによって、緊急呼び出しに応答者を派遣する手順を変更することをさらに備えることができる。さらに、方法は、１人以上の登録個人に対応する機器に、医学的問題がある人の位置および１人以上の登録個人の位置を表示する地図を自動的に生成するためのデータを提供することを含むことができる。

別の実施態様では、緊急事態に対する応答者の行動を調整するためのコンピュータ実装システムを開示する。システムは、通報者から緊急事態の通知を受信して、専門応答者を派遣するように構成されている緊急派遣サーバと、報告された緊急事態の近くにいる一般応答者を特定して、その地域の緊急事態を担う救命機関によって責任を与えられていない一般応答者にその地域で緊急事態の報告があったことを通知する通知システムとを含む。システムは、緊急事態の専門応答者と通知システムからの通知に対応できると名乗り出ている一般応答者との間で自動電子音声接続を行うようにプログラミングされている応答者間通信システムも含む。システムは、ＣＰＲ胸部圧迫を練習するためのアプリケーションを利用できるようにし、一般市民のなかから通知システムにより一般応答者として特定されるボランティアを登録するための公開アプリケーションストアも含むことができる。

いくつかの側面において、通知システムは、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格を与えられていることを第三者機関で検証するようにさらにプログラミングされている。また、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格を与えられていることを検証することは、ボランティアがＣＰＲ認定を受けていることを検証することを含むことができる。通知システムは、ボランティアが所定の医療レベルを提供する資格を与えられているかどうかを定期的に判定し、所定の医療レベルを提供する資格がすでになくなっている場合には、ボランティアを医学的問題の応答者としての考慮の対象外とするようにさらにプログラミングされている。通知システムは、医学的問題がある人の位置を特定し、１人以上の登録個人に対応する機器識別子を特定し、機器識別子に対応する機器に位置を表すデータを送信するようにプログラミングされている応答者トラッカーを含むことができる。

一定の側面において、通知システムは、１人以上の登録ユーザに、医学的問題を有する人の近くの登録医療器具の位置を特定する情報を送信するようにさらにプログラミングされている。システムは、通知システムに１人以上の登録一般応答者に所属するものとして登録されている通信機器間の音声接続を自動的に行うための音声通信システムを含むこともできる。加えて、通知システムは、１人以上の一般応答者に緊急事態に応答する要請を送信し、１人以上の一般応答者のうちの最初の人が要請に肯定応答したかどうかを判定し、最初の一般応答者が肯定応答した場合に限り、最初の一般応答者に緊急事態の位置を特定する情報を送信するようにプログラミングすることができる。

特定の態様において、システムは、緊急事態を取り巻く活動中に一般応答者から受信する情報を格納し、格納された情報を分析のために提供するように整理されているイベントデータベースも含む。システムは、格納された情報に基づいて一般応答者の等級を調整するようにプログラミングされている評価モジュールも含み、等級は緊急事態への応答における一般応答者の習熟度を示す。さらに、システムは、一般応答者に対応する機器に、緊急事態の位置および１人以上の一般応答者の位置を表示する地図を自動的に生成するためのデータを提供するマッピングサーバを含むことができる。

一般応答者によるコンピュータ誘導型緊急応答を示す概念図である。 緊急事態に対する一般応答を調整するためのシステムのブロック図である。 緊急事態に対する一般応答を調整するための多数のサブシステムを有するシステムのブロック図である。 緊急応答システムのサブシステム間の例示的な情報のフローを示すブロック図である。 緊急呼び出しに対して応答者を編成するためのプロセスのフローチャートである。 緊急呼び出しに対して応答者を編成するためのプロセスのフローチャートである。 緊急事態に様々な種類の応答者を提供するためのプロセスのスイムレーンダイアグラムである。 緊急派遣係用の例示的なスクリーンショットを示す。 ここで説明する技術とともに使用してもよい汎用コンピュータ機器および汎用携帯コンピュータ機器の実施例を示す。 多数の異なる機器からのＥＭＳ（Ｅｍｅｒｇｅｎｃｙ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｓｅｒｖｉｃｅ）（緊急医療）データの高度データ管理、統合および提示を行うシステムを示す。 機器のディスプレイのメニューテンプレートの一実施例を示す。 ユーザが機器のナビゲーションボタンを選択するときに表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェースを示す。 データ送信インターフェースを示す。 ＥＭＳ通信インターフェースの送信処理のブロック図を示す。 ＥＭＳ通信インターフェース機器のクライアントアーキテクチャを示す。

１つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の説明に記載する。他の特徴および利点は説明および図面、並びに請求項から明らかになるであろう。
様々な図面において同じ参照記号は同じ要素を示す。

図１は、一般応答者によるコンピュータ誘導型緊急応答を示す概念図である。一般に、図面は都市部にある公園周辺地域を概念化した地図を示す。先ほど緊急事態が公園で発生しており、事件地域の様々な応答者（文字「Ｒ」で表示される）が事件の位置（文字「！」で表示される）を中心に示されている。地図には、傷病者１０２、様々な応答者１０４Ａ〜１０４Ｃ、並びに緊急応答器具１０６Ａ〜１０６Ｃおよび１０８を含め、地域の様々なオブジェクトを表すアイコンが重ねられている。図面は、地域の呼び出しに応答するボランティアに選ばれている一般応答者１０４Ａに提示してもよい例示的なグラフィカル・ユーザ・インターフェース（ＧＵＩ）を示すスマートフォン１１０の画面の表示も示す。この図に関する考察は、突然心停止になった人についての呼び出し、または応答者のコーディネーションが重要な多数の傷病者が出る集団緊急事態などの緊急事態に対する応答を改善するために、応答者をどのように編成して応答者にどのように通知するか、および応答者が互いにどのように通信するかを一般的な形で示すことを意図している。

図では、感嘆符で示される傷病者１０２（追加情報がなければ、傷病者の位置と、事件を通報する電話を発信した位置とは同じと想定している）は、公園の池付近の小道をランニング中に突然心停止を起こした。胸の痛みを感じた傷病者１０２は緊急事態を通報するために９１１番に電話をかけたか、または緊急サービスへの呼び出しを発動して、傷病者１０２の地理的な位置を示すデータを提供するようにプログラミングされている、傷病者のスマートフォンにインストールされているアプリケーションが起動させた。傷病者１０２は、以前に胸の痛みまたは、他の心臓病の兆候を感じたことがあれば、アプリケーションを（例、公開アプリストアから）インストールしていたかもしれない。アプリケーションは、実行されると、ユーザに、画面上のアイコンを選択し、さらにユーザが苦しんでいる状態を示すかなり単純な質問（例、「息切れがする」および／または「激しい胸の痛みを感じる」および／または「しびれを感じる」）に答えることを許可してもよい。

アプリケーションはさらに、９１１の受付および緊急派遣を管理するサービスなどの中央サービスに情報を報告するようにプログラミングされていてもよい。アプリケーションは、そうする場合、ユーザのスマートフォンの全地球測位システム（ＧＰＳ）から測定したユーザの現在地も報告してもよい。ユーザの大体の位置を、グーグルのマイロケーション（ＭＹ ＬＯＣＡＴＩＯＮ）サービスなど、基地局三角測量による中央サービスまたは同様なサービスによって追加で、または代わりに取得してもよい。

あるいは、傷病者１０２または傷病者１０２に遭遇して傷病者１０２が苦しんでいることに気付いた市民のいずれかによって、電話で中央サービスへの呼び出しを行ってもよい。電話呼び出しは９１１番に周知の方法で行ってもよく、発信者は９１１のオペレータに自分たちの現在地を提供してもよい。この例では、発信者は公園の名前を提供しており、自分たちが公園の小さな池の近くにいることを知らせている。それから、９１１のオペレータまたは緊急派遣係は、グーグルマップなどから地図を表示させるために公園の名前を入力し、それから事件の推定位置を割り当てるためにタッチスクリーン上で地図の小さな池付近を押すなどして、様々なツールを使用して、呼び出しのより具体的な位置識別子を作成してもよい。緊急派遣係は発信者が通報した地域に対応する地域の周りに円を描いて、発信者の位置に関して位置の不確定範囲を示すこともできるであろう（例、この例では小さな池の周り全体を囲む円）。当該不確定範囲は、例えば、発信者が特定の交差点を知らせるが、緊急派遣係が発信者のいるのが交差点のどの角か分からない場合、または発信者が特定の通りと交わる２本の横通りの間にいると知らせるが、緊急派遣係が発信者のいるのがブロックのどの位置か分からない場合にも示すことができるだろう。以下説明するように、さらに不確定範囲のレベルを応答者が見ている地図上で応答者に対して表示して、事件を探す必要のある位置を分かるようにしてもよい。緊急派遣係はさらに、緊急派遣係の裁量で、システムに登録されていて、公園周辺地域にいるかもしれない登録応答者に警報を出すことを選択してもよい。このような警報は、その地域を担当するよう任命されている専門応答者への警報と連動して送信してもよい。緊急派遣係は、専門応答者が一般応答者よりも緊急事態への応答に実質的に長くかかりそうなときには、専門応答者に加えて一般応答者に警報を出す選択をしてもよい。以下より詳細に述べるように、傷病者１０２の地域周辺の地図を引き出すとき、その地域の潜在的な登録応答者全員の地図に、オーバーレイまたはレイヤが見えるような選択をしてもよい。緊急派遣係が、応答者が低い訓練レベルであるか、高度な経験をもつ医療スタッフであるかどうかを判断できるように、各応答者の救命能力も表示してもよい。このようなインターフェースから、緊急派遣係は候補応答者として選ぶために一定の潜在的応答者を表すアイコンを押すことができ、さらに緊急事態に関してその候補応答者の各人に通知を送信させるために他の選択を行ってもよい。

通知は、候補応答者がそれぞれのスマートフォンに前もってインストールしていたクライアント側アプリケーションと連動して自動的に行われてもよく、または所定のディスプレイを各スマートフォンに表示させて、スマートフォンが候補応答者が緊急事態の呼び出しとして認識するような特定の通知音または振動を発するメッセージを各スマートフォンに送信してもよい。例えば、候補応答者１０４Ａのスマートフォン１１０は、応答者１０４Ａが警報を通常の着信とは区別でき、スマートフォン１１０で電話に出て呼び出しに応答する可能性を高めるように、救急車のサイレンの音を発するようにさせていてもよい。

一般応答者は他の通信機器も採用してもよい。例えば、一般応答者は基本的な携帯電話しか持っていなくてもよく、テキストメッセージによって通知を受けて応答してもよい。このような状況では、事件の位置に関する情報はテキスト形式であってもよく、応答者は周知の方法でメッセージに返信してもよい。また、このような基本的な電話のスキンは、加速度計または力センサなど、より高度な通信機器についてここで述べるもののような機能を電話に補足する。このような機器では、補足機能は単にユーザへのフィードバックを生成するが、直接中央システムにデータを送信することはできない。

図１の地図は、傷病者１０２の地理的地域にあり、緊急事態を助けることに同意している応答者が利用できる器具のアイコン表現も示している。例えば、雷が表示されているアイコンは、傷病者が突然の心停止に見舞われているときに応答者が手に入れて傷病者１０２に用いてもよいＡＥＤを表す。「＋」が表示されているアイコンは、応答者が事故の傷病者に包帯を巻くか、または他の処置をするように使用できる救急箱を表している。以下でより詳細に述べるように、様々な器具の存在および位置は、緊急事態で利用できるようにすることを望む器具の所有者によって最初に登録されてもよく、登録ボランティアが器具を配備して、それがまだそこにあること、作動できる状態であることおよび一般に利用できる状態であることを検証するために、様々な地域を定期的に調査してもよい。また、器具は、３Ｇインターフェース、ＷｉＦｉインターフェース、ウィスパーネット（Ｗｈｉｓｐｅｒｎｅｔ）型インターフェースおよび同様な他のものなどを介して、ネットワークに自己報告する無線機能を含んでもよい。このような機器の所有者はさらに、救命システムによる検査に機器を「公開」にしてもよく、これはさらに機器の現状についての報告を定期的に要求して受信してもよい。特定の事例では、このようなシステム（これは非営利団体によって運営することができるであろう）は、必要なときに公共利用するために機器を公開にすることに所有者が同意することと引き換えに、機器の状態を無料でモニタリングしてもよい。

器具は、利用できるスケジュール期間に関連付けて、システムが現在利用できない器具を表示しないように、器具のディスプレイをフィルタリングするようにしてもよい。一実施例として、公園付近の喫茶店はカウンター近くの盗難にあわない場所にＡＥＤを保管しているかもしれないが、善意のしるしとして、地域で必要なときには応答者が店舗に駆け込んでＡＥＤを借りることを了解することがある。このようなＡＥＤは、店舗の営業時間帯に緊急事態が発生した場合には応答者の機器に表示するが、時間外には表示しないようにしてもよい。

ここで応答者１０４Ａのスマートフォン１１０をさらに具体的に参照すると、スマートフォン１１０の画面は応答者１０４Ａが傷病者１０２の問題について通知を受けて、応答に参加したいと肯定応答した後に表示されるものの例を示しており、したがって応答者は候補応答者から確認済み応答者に切り替わる。

ユーザ１０４Ａがこのような意思表示を行うと、緊急派遣係および関連自動システム、あるいは緊急派遣係または関連自動システムは、スマートフォン１１０に応答者１０４Ａが傷病者１０２の所在を突き止めるための情報、傷病者１０２に向かう途中の地域にある関連器具を表示する情報、および傷病者１０２を助けようとしている他の応答者と通信するための情報をダウンロードしてもよい。当該情報は様々なやり方で応答者に提供されてもよく、この例では、傷病者１０２に関するカスタムテキスト、応答者１０４Ａがシステムと相互運用する選択可能なコントロール、および応答者１０４Ａを傷病者のところまで誘導する道案内付きの地図を含むウェブページ・マッシュアップ・ドキュメントの形態で提供されている。

当該情報は、非同期ＪＡＶＡ（登録商標）ＳｃｒｉｐｔおよびＸＭＬ（ＡＪＡＸ）などの周知の技術を使用して提供されてもよいので、応答者１０４Ａは応答者が追加情報を尋ね、またはディスプレイを変更するたびにウェブページを何度もダウンロードする必要なく（例、地図を移動またはズームすることにより）、豊富な情報と対話してもよい。また、情報は複数のソース（例、緊急派遣システム、音声通信システム、地図サーバ、ライブカメラの現場映像、および同様な他のもの）から、直接スマートフォン１１０にまたは他のサービスの１つを経由してのいずれかで提供されてもよい。

ここでスマートフォン１１０に表示される具体的な情報を参照し、スマートフォン１１０のディスプレイの一番上から始めると、傷病者の問題に関するテキストレポート１１６が表示されている。レポート１１６は、傷病者が心臓発作の可能性を通報して、救急車が呼ばれていることを示す。このレポート１１６のテキストは緊急派遣係が手入力して応答者通知システムに提供したものでもよく、または、傷病者１０２が傷病者のスマートフォンのアプリケーションに対し、自分が胸の痛みに襲われており、心臓発作かもしれないと思うと意思表示することに応答するなどして、自動的に生成されたものでもよい。加えて、傷病者または居合わせた人からの音声を音声ファイルまたは音声テキストコンバータを使用して音声から変換されるテキストファイルとして、応答者に直接送信することができる。応答者のうちの１人以上と傷病者１０２との間に直接音声チャネルも開設されてもよいので、例えば、傷病者からの（または傷病者１０２と一緒にいる人からの）指示を受信でき、傷病者１０２の状態に関する情報を取得でき（したがって、例えば、傷病者１０２に向かう途中で追加の応答者または追加の器具を得る必要があることを判断できる）、傷病者または傷病者と一緒にいる人に指導を提供できる。

最初に応答者１０４Ａが確認済み応答者になったときに、または後のいずれかで、追加テキストも提供してもよい。例えば、緊急派遣係は、傷病者に関する更新情報に関して、一般応答者および専門応答者両方の応答者全員に送信してもよい追加情報を入力してもよい。例えば、緊急派遣係は、傷病者が糖尿病であるか、または応答者が気づく他の問題があることを知ったかもしれない。その情報はレポート１１６のテキスト領域に提供して、応答者が傷病者１０２に駆けつけているときに、または傷病者１０２に向かっているときに機器を見ればすぐに確認できるようにしてもよい。追加テキストがレポート１１６に追加されると、前のテキストは上方にスクロールさせてもよく、緊急派遣係と応答者との間で多重方向通信をさせるために「チャット」ボックスを表示してもよい。チャットテキストは様々なユーザの入力によって、またはユーザが話して、話した言葉をテキストに変換することによって直接読み込んでもよい。事件に関わる人の間の当該通話はすべて同様に変換して、事件のサマリーレポートとともに格納してもよい。

レポート１１６の下は、２つの選択可能なコントロール１１２および１１４である。選択可能なコントロール１１２は、応答者１０４Ａによって選択されると、応答者１０４Ａと傷病者１０２との間の音声接続を確立する。このような接続は多様な方法で行ってもよい。例えば、スマートフォン１１０に提供される初期情報は、傷病者１０２または傷病者１０２に付き添っていて緊急事態を通報した人が使用するスマートフォン１１０と機器との間でボイス・オーバーＩＰ（ＶｏＩＰ）を形成するために必要なＵＲＬ、ＩＰアドレス、または他の情報を含んでもよい。機器１１０から緊急派遣センターに戻るＶｏＩＰ接続によって、さらに特に傷病者１０２（または応答者のいずれか）が使用する電話がＶｏＩＰ接続を作ることのできるスマートフォンまたは他の種類の携帯コンピューティング機器ではない場合、通常の電話接続によって傷病者１０２が使用する電話に、接続を作ってもよい。この音声接続は、応答者に傷病者１０２が直面している問題の概況を伝えられるように、または傷病者に付き添っている人に応答者１０４Ａを正しい位置まで誘導させるように使用してもよい。

選択可能なコントロール１１４は、選択されると、緊急派遣センターが派遣したどの専門応答者にも応答者１０４Ａを接続する。あるいは、選択可能なコントロール１１４は応答者を緊急派遣係に接続してもよい。したがって、応答者１０４Ａは自分の現在地（位置は応答者の通信機器のアプリケーションによって捕捉されるＧＰＳの読み取りから自動的に報告することもできるであろうが）、および、例えば事件に向かう途中で立ち寄ってＡＥＤ１０６Ａまたは１０６Ｂを手に入れる計画であることを報告してもよい。救急スタッフまたは専門応答者はこのような行動計画を確認してもよく、または音声通信チャネルを介して応答者１０４Ａに他のことをするよう指示してもよい。加えて、選択可能なコントロール１１４は、応答者が確認済み応答者になった場合に、応答者１０４Ａに応答者１０４Ｂおよび１０４Ｃとの通信を許可してもよい。このように、他の応答者（１０４Ｂおよび１０４Ｃ）に１０６Ｃで除細動器を回収するために寄り道しなくてもよいように、応答者１０４Ａは自分がＡＥＤを持っていくつもりであることを意思表示してもよい。当該通信はラジオ通信のように実施するように構成して、いずれの応答者も選択可能なコントロール１１４をホールドすることによって話すことができるようにし、緊急派遣センターによって確認された他の応答者全員がその人の言っていることを聞こえるようにしてもよい。このように、様々な応答者はなお迅速に移動しながら、傷病者１０２に対する注意の散漫を最小限にして、活動をすばやく調整できる。述べたように、通信は当事者の特定間のポイント・ツー・ポイントにしてもよく、様々な所定の通信リンクを自動的に確立するために追加のコントロールを設けてもよい。

スマートフォン１１０のディスプレイの一番下は、グーグルマップによるマッシュアップを作成するためのものなどの周知の技術を使用して、データソースの組み合わせから生成してもよい地図１１８で占められている。例えば、緊急派遣センターは応答者１０４Ａの緯度および経度並びに傷病者１０２の緯度および経度を、公開利用されるナビゲーションシステム（公開アプリケーション・プログラミング・インターフェース（ＡＰＩ）を介して）に提供してもよく、ナビゲーションシステムは地図に応答者１０４Ａの２点間の最適経路のために太い道案内線を重ねて描くためのデータを提供することによって応答してもよい。この経路は応答者１０４Ａに提示される地図１１８に重ね合わせてもよい。他の経路も同様に、応答者１０４Ｂおよび１０４Ｃに提示される地図に重ね合わせてもよい。加えて、応答者１０４Ａにその現在地と傷病者１０２との間の経路付近に関連器具がある位置を提示するために、実際のアイコン１２０および１２２が地図に重ね合わされる。地図に重ねられる情報の収集は、当該情報を様々なクライアント機器に送信する前にサーバシステムによってもよく、またはサーバシステムは情報をクライアント機器に送信して、それがさらに第三者のマッピングおよびナビゲーションサービスに自動的に連絡をとって（例、内蔵アプリケーションおよびサーバシステム、あるいは内蔵アプリケーションまたはサーバシステムがそれに提供するＪＡＶＡ（登録商標）Ｓｃｒｉｐｔを使用して）、ここで提示されるディスプレイを生成させてもよい。

応答者１０４Ａは、より詳細を見るために、または周辺地域をもっと見るために、パン（左右にカメラを回しながらの撮影）およびズームを含め、周知の方法で地図１１８と対話してもよい。例えば、図に示すように、応答者１０４Ａにズームインされすぎて、応答者１０４Ｂおよび１０４Ｃを見ることができない。そのため、応答者１０４Ａは周辺地域をもっと見て、傷病者１０２周辺で起こっていることの全体像をよりよく把握するためにズームアウトすることを望んでもよい。応答者１０４Ａに当初提示される特定のズームレベルは、応答者１０４Ａおよび地図１１８のアイコン１２４で表される傷病者１０２の両方の位置がスマートフォン１１０に表示されるように、システムによって自動的に選択されてもよい。

述べたように、一般応答者および専門応答者両方の応答者の各人には、少なくとも１１０に表示されるものと同様な提示を与えてもよく、ただし、星印のアイコンは各人の位置を表し、他の情報は適切な方法で各人に合わせてパーソナライズされる。また、専門応答者には一般応答者のものとは有意に異なるディスプレイまたはコントロールを提供してもよい。例えば、（例、一般応答者のうちの１人が、他の応答者を主導するために専門応答者が頼ることのできる特に経験豊富な医師として特定されている場合）専門応答者には一般応答者の各人と個別に話せる機能を提供してもよく、専門応答者は、他の一般応答者は聞けなくても、一般応答者のいずれかが行う通信を聞けるようにできる。

また、一般応答者の機器１１０はこの例ではスマートフォンとして表示されて説明されているが、多様な他の形態をとってもよい。例えば、機器はユーザがテキストメッセージを介して指示を受信できるように、テキストメッセージング機能を有する携帯電話とすることができる。機器は、メディアプレーヤーのアイポッド・タッチ（登録商標）または同様の機器など、直接電話通信機能を有していない携帯ネットワーク化機器とすることもできる。タブレット型ＰＣおよび他の携帯通信機器などの他の機器も使用してもよい。加えて、上記および以下に説明する機能のいくつかは、力センサ、体温センサ、加速度計、脈拍センサ、血圧センサ、または他のセンサを、ユーザがその電子通信機器のために購入できる、プラグインモジュールおよびジャケットに配置するなどして、あるいはプラグインモジュールまたはジャケットに配置するなどして（当該センサは適切な場合機器に組み込んでもよいが）、関連電子通信の付属品の一部として提供することができる。

加えて、スマートフォンまたは他の通信機器の他の通常のコンポーネントを関連センサとして使用することができる。例えば、感圧式タッチスクリーンは、機器のオペレーティングシステムを通して画面から入ってくる信号にアクセスすることによって、力センサとして使用できる。画面が容量性またはインピーダンスベースのタッチスクリーンの場合、感知された信号は脈拍測定のためにも使用できる。例えば、このような画面からの磁力線は画面の正面から外側に延びており、画面を傷病者（または他の人）の首の横に押し当てると、傷病者の頸動脈を流れる周期的な血液の脈により生じる変化を測定できる。タッチスクリーンセンサは二次元センサでもあるので、機器の正確な位置づけは決定的なものとはならず、位置づけのずれは機器のソフトウェアによって調整できるであろう。当該測定をさらに中央システムに自動的に送り返して、例えば、傷病者の生存兆候を専門応答者、または傷病者が搬送されそうな病院の医師を含め、一般応答者に助言できる遠隔の医療専門家に通信することができる。

中央システムは様々な他の方法で同様に現場の救助活動に統合してもよい。例えば、現場の救助士が病院が受け入れそうな傷病者の人数、および傷病者が到着するまでのおよその時間を特定できるように、地域の病院が通信セッションの一部をなしてもよい。このような状況において、通信セッション全体のメンバーは、自分に関係あるメッセージだけを見るまたは聞くように、ツイッターなどのソーシャルネットワークでの通信をフィルタリングするために使用される「ハッシュタグ」などのアイテムでタグ付けされるメッセージを有する「チャネル」への加入などの技術を使用して、通信をサブグループに選び出す選択をしてもよい。

加えて、中央システムは、特定の傷病者に関する電子カルテ（ＥＭＲ）を現場の救助士に提供するように使用してもよい。例えば、適用されるプライバシーに関する規制と矛盾がないように、傷病者の身元を確認してもよく、中央病院の医師は傷病者に関する一定の情報を救助士に提供させてもよい。一実施例として、医師は傷病者の血液型を救助士に明らかにし、または潜在的に危険なアレルギーもしくは薬物相互作用を明らかにしてもよい。当該情報はＥＭＲから自動的にフィルタリングされて、救助士に配信してもよい。

一定の状況において、傷病者のスマートフォンを使用して、傷病者に関するＥＭＲ関連情報を救助士に提供してもよい。例えば、スマートフォンのユーザは血液型、アレルギー、投薬および他の関連情報（例、肝炎または糖尿病である場合）に関する情報を自分の電話に入力してもよい。当該情報はさらに電子医療警告ブレスレットとして機能してもよい。その機器は、機器がロックされると（機器が現在時刻を示し、９１１および他の緊急番号にダイアルするのを許可する場合）ホーム画面に限られた情報（例、血液型および緊急事態があったときの連絡先）を表示し、ロックされていないときには（加えて、ロックされていないときの電話は遠隔サーバシステムから傷病者のＥＭＲ関連情報にアクセスできる）すべての情報を表示するなどして、データをフィルタリングしてもよい。情報は赤十字または他のアイコンでホーム画面に示してもよく、救助士によるアイコンの選択により関連情報のページを表示させてもよい。加えて、患者の医療情報は傷病者が身に着けている（ＲＦＤ技術を使用するなどして）お守りまたは他の物に格納してもよく、情報は、周知の近距離無線通信技術を使用するなどして、救助士の標準的なスマートフォンで読み取ってもよい。情報は、これらの方法のいずれかで電子的に格納される場合、ＥＭＴのタブレット型コンピュータなど、救助士の電子機器に自動的に転送でき、傷病者の治療にあたり様々な適切な方法で保存、転送（例、対象病院に）および使用してもよい。

加えて、傷病者は公開アクセス可能なサービスに基本的なカルテ情報を提供してもよく、情報は救助士が現場で検索できるように適切な方法で索引付けしてもよく、一実施例として、傷病者にはそのスマートフォン用の医療警告ラベルを提供し、救助士が傷病者の情報を取得するためにサービスに提出できるラベルに索引番号を書き込んでもよい。このような索引番号は傷病者の携帯電話の電話番号でもよく、その番号は電話のロックされたホーム画面に表示してもよい。

図２Ａは、緊急事態に対する一般応答を調整するためのシステム２００のブロック図である。一般に、システム２００は図１および以下について説明するものなどの機能を実装するために一実施例で使用できる様々な主要サブシステムを示している。サブシステムは一般に、人の応答者を必要とする事件の通知を受信し、事件の地域の一般応答者を特定し、一定の一般応答者に関与したいかどうかを確認するためにポーリングし、肯定応答する一般応答者に事件の応答を助ける情報を提供することを目的とする。サブシステムは一般応答者の活動を互いに、およびＥＭＴもしくは消防士などの専門応答者と調整するのも助ける。

システム２００の中央コンポーネントは緊急派遣センター２０２である。緊急派遣センター２０２は、人のオペレータが緊急事態に関する呼び出しを受けて、その呼び出しに関する情報を取得し、適切な専門応答者が呼び出しに応答できるように彼らに通知する従来の救急９１１緊急派遣センターであってもよい。この例では、緊急派遣センター２０２は、緊急事態への一般応答者の派遣を含め、拡張機能を提供するために追加のサブシステムで増強されている。緊急派遣センター２０２は、有人の緊急派遣センターとは別に、潜在的な一般応答者を自動的に特定して、参加を要請する自動化システムであってもよい。

緊急派遣センター２０２は通常、携帯電話２２２などの基本的な電話から電話網２０６を経由して呼び出しを受ける。このような電話による事件の通報は昔からありよく知られているため、ここでは詳細に説明しない。この例では、緊急派遣センター２０２はデータネットワーク２０４にも接続してもよく、これは緊急派遣センター２０２が携帯コンピューティング機器２２０などのコンピューティング機器からデータ伝送を受信し、それにデータ伝送を提供できるように、インターネットを含んでもよい。データネットワーク２０４は、ボイス・オーバーＩＰ技術を使用するなどして、システム２００の様々なコンポーネント間の音声会話を搬送するために使用してもよい。緊急派遣センター２０２はまた、電話２２２から電話網２０６を介して音声呼び出しを、データネットワーク２０４で通信する携帯コンピューティング機器２２２などの機器に橋渡ししてもよい。

呼び出しは潜在的な傷病者が身に着けている携帯医療機器を介して緊急派遣センター２０２に入ってきてもよい。例えば、心臓病のある人はゾール・ライフコア社製着用式心臓除細動器ライフベストを身に着けていることがあり、これは心臓発作をモニタリングし、心臓発作の処置を提供する。このような機器は、心臓発作など、着用者にとって不都合な事件を自動的に通報するために無線通信機能を備えていてもよい。このような通報は緊急派遣センター２０２などの緊急派遣システムへの呼び出しとして届いてもよく、応答者をここで説明するように召集してもよい。代わりに、または追加で、このような機器のユーザは、不都合な事件が起こる場合に特定の一般応答者を事前に指定しておいてもよく、機器が不都合な事件の通知を出すと、緊急派遣システムから自動的に当該応答者に連絡してもよい。例えば、ユーザはこのような機器をシステムに登録している場合家族の電話番号を提供してもよく、このような事件が起こると、その番号に自動的にダイアルされて、音声メッセージが自動的に生成されてもよい。

緊急派遣センター２０２は緊急通信システム２０３と従来の方法で通信して、緊急派遣係が呼び出しを発信した対象地域を担当するために任命されている関係専門応答者を特定して、その応答者を派遣して呼び出しに応答できるようにしてもよい。例えば、緊急派遣係は救急車の救急救命士を出動させてもよく、または消防隊を配備させてもよい。他の応答は特定の緊急派遣事務所の関係基準に従って緊急派遣係が調整を図ってもよい。加えて、専門応答者は音声およびデータを介して以下に説明する他のサブシステムに接続されてもよく、これはほとんどは一般応答者と同じ方法であるが、専門応答者に与えられる機能の方が性質上より多くより複雑であってもよい。

緊急派遣センター２０２は通知システム２０７と通信してもよく、これはそれらの地域で発生しており、その介入が要請される緊急事態について一般応答者（および専門応答者）に通知を出すように設計されている。通知システム２０８は、これらの動作を行うにあたり、当初は緊急派遣センター２０２の緊急派遣係と、携帯コンピューティング機器２２０などの機器を使用している様々な候補応答者および確認済み応答者との間のインターフェースとして機能してもよい。

通知システム２０８は、一般応答者が自身をシステム２０８に登録し、システム２０８によって管理される登録加入プロセスを管理してもよい。例えば、システム２０８は一般応答者による以前の応答を追跡して、傷病者に適切な処置が施されたことを確認し、当該追跡に従って一般応答者を評価して、一定の一般応答者を特に熟練した応答者として特定し、他の応答者をシステムでのランクを下げるもしくはシステム２０８から除名するようにしてもよい。専門応答者も同様に評価し、またはレベルを割り当ててもよい。例えば、ユーザが事件に応答するつもりであると確認したにも関わらず、応答しない場合、そのユーザはシステム２０８から除名してもよいだろう。等級は自動緊急派遣係または緊急派遣係要員により使用して、呼び出しに対する応答が要請される適切な応答者を選定してもよい。一般に、明細書中で説明するように、事件の地域にいる応答者は最初に潜在的応答者と言われ、応答を要請される応答者は候補応答者であり、要請に肯定応答する候補応答者が確認済み応答者である。システムは、確認済み応答者のみに地図情報を提供して、音声通信を許可するなどして、応答者の当該カテゴリそれぞれを別々に扱ってもよい。

通知システム２０８は、その機能を実行するとき、多数のデータソースに依存し、これを管理してもよい。例えば、システム２０８に登録されている様々な応答者が使用する機器から位置データ２１２を収集して、応答者の所在地を判定してもよい。このように、例えば、通知システム２０８は、緊急事態の位置を特定する緊急派遣センター２０２からの問い合わせを受信して、その後その位置を使用して、現在その同じ付近において、現在機器の電源が入っていて、その位置が報告されている登録応答者を特定する。当該情報は、応答者がシステムに登録している場合に、応答者によって任意に利用できるようにしてもよいので、所定の目的および所定の条件でその現在地の追跡を可能にする。このようなシステムにオプトインする前にユーザに通知して、このような操作を行うときは必ず「ピングを打った」というしるしを提供するなどして、適切なプライバシー管理を採用してもよい。

通知システム２０８は応答者データ２１４を格納してもよい。応答者データ２１４は、システム２０８に登録されている応答者全員の様々な特徴を反映してもよい。例えば、応答者データ２１４は、各応答者の氏名および自宅住所など、各応答者の識別データを含んでもよい。応答者データ２１４は、応答者が緊急事態に関する通知を受信できるように特定の応答者が使用している携帯コンピューティング機器に届く必要のある情報、および応答者の電子通信機器とのＶｏＩＰ接続を確立するために必要な情報も含め、各応答者の連絡情報も含んでもよい。加えて、通知システム２０８は様々な応答者の能力を追跡してもよく、各応答者の等級または他の同様な情報を格納してもよい。例えば、システム２０８に登録している医師を、特別な医療訓練をしていないまたはＣＰＲ認定しか有していない通常の一般人とは別のクラスの応答者として識別してもよい。応答者の能力に関する当該情報は、例えば、緊急派遣センター２０２または専門応答者に提供して、当該ユーザが訓練を受けた専門家が緊急事態に関係してどこにいるかを確認できるようにしてもよい。

地図データ２１６も通知システム２０８によって格納してもよく、またはその他アクセスしてもよい。地図データ２１６は、緯度／経度座標または他の当該情報を地図上の位置に関係づけるために必要な視覚的なマップタイルおよびデータの形式をとってもよい。地図データ２１６は地図上に道案内を生成するため、および英語（または他の人類言語）の住所を緯度／経度座標などのより技術的な地図識別子に変換するためにも必要なデータも含んでもよい。地図データ２１６および他のデータはこの例では通知システム２０８の一部として示されているが、公開されて一般に親しまれているＡＰＩを使用して、グーグル、ヤフー！、マップクエストおよびマイクロソフトなどの会社が提供する第三者サービスなど、他の場所からアクセスしてもよい。

応答者間通信システム２１０は、通知システム２０８の付属物として設けてもよい。応答者間通信システム２１０は、一般応答者間、応答者と傷病者間、および緊急応答業務に関わってもよい他の当事者間の音声通信を可能にするように設けてもよい。例えば、緊急派遣係は応答者が現場に向かうときに応答者全員に協調した行動をとり続けさせるためにシステム２１０を使用してもよい。応答者間通信システム２１０は、システム２００の異なるエンティティ間の音声通信チャネルを作るために応答者データ２１４から識別子（例、電話番号、ＩＰアドレスおよび同様な他のもの）にアクセスしてもよく、または連絡情報２１８から当該同様な情報にアクセスできる。当該接続は既存の技術を使用して周知の方法で行ってもよく、グランド・セントラル、またはグーグル・ボイスなどのシステムに依存することもできるであろう。

応答者間通信システム２１０は、緊急派遣係、または応答者によって行われる選択に応答してもよく、ユーザのうちの１人が他のユーザのうちの１人またはユーザのグループ全体に話すことを要求することになる。応答者間通信システム２１０は、要求するユーザの表明された意図を実行するために、当該状況でユーザ各人間の適切な音声接続を形成してもよい。

システム２００の操作の例として、９１１緊急通話回線によるなど、最初に電話２２２から緊急派遣センター２０２で呼び出しを受信してもよい。緊急派遣センター２０２の緊急派遣係は電話２２２の発信者と話して、発信者がメインストリートの６００ブロックで心臓発作を起こしている別の人を目撃していることを知ってもよい。緊急派遣係は、「メインストリートの５００ブロック」というテキストを含め、呼び出しに関する情報をコンピュータ端末に入力し始めてもよく、当該テキスト入力により緊急派遣係のコンピュータディスプレイに入力した住所を中心とした地図が表示されてもよい。

コンピュータディスプレイは、メインストリートの６００ブロックの地域にいることが現在わかっている（つまり、その機器がオンになっていて、それらの位置を通報する）潜在的応答者全員を表すアイコンも表示してもよい。当該情報は、通知システム２０８から情報にアクセスしてから、緊急派遣係のコンピュータモニタに潜在的応答者のアイコンをプロット化することにより、緊急派遣係のコンピュータ端末により取得してもよい。アイコンのそれぞれは、その地域にいる各人が訓練を受けた医師または比較的ＣＰＲの経験の浅いボランティアなどの応答者の種類を表示する小さなインジケータを補足してもよい。

緊急派遣係はさらに、タッチスクリーン・コンピュータ・インターフェースのアイコンに触れるなどして、その地域にいる特定された応答者のうちの数名を選定してもよく、さらに選定された応答者の各人について通知を生成させるコントロールを選択する（例、画面上のボタンをクリックする、または触れる）と、彼らが候補一般応答者になる。例えば、都市部では、画面は事件の周辺地域に２０人または３０人の一般応答者を表示することがあり、緊急派遣係は応答の候補者としてその応答者のうちから５人または６人を選定する判断をしてもよく、彼らが事件の通知を受信する。（特定の応答者をシステムにより自動的に選定してもよく、選定される応答者の種類および人数は、手動または自動的に、応答チームの所望の構成およびその特定の候補応答者が警報に対して肯定応答する確率に関する観察に依存してもよい）。また、大規模事件が発生しているとき、または当初の地域で表示される特定の技能レベルの応答者の人数が不十分なときなど、緊急派遣係は応答者を探す地域または緊急派遣係が表示させたい応答者のカテゴリを広げてもよい。

短期間に特定の小さな地理的領域から多数の呼び出しが殺到するときなど、システムは自動的に、または緊急派遣係の補助で大規模事件（例、大規模な自動車の玉突き事故、化学物質の放出、テロ攻撃、および同様な他のもの）も特定してもよい。このような状況では、多数の緊急派遣係が関わってもよく、各チームが特定の種類のタスク（例、交通規制、瓦礫の移動、傷病者のトリアージ、傷病者の処置、および同様な他のもの）を割り当てられる場合、応答者は多数の異なるチームに割り当てられてもよい。多数の緊急派遣係がいる場合、緊急派遣係は特定の責任および異なる権限レベルを割り当てられてもよい。例えば、低いレベルの緊急派遣係は救助士を特定のグループに割り当てることはできるが、高いレベルの緊急派遣係だけがグループ間で救助士を移動するか、またはグループもしくは個々の救助士に割り当てられる特定の任務を定義することができてもよい。

緊急派遣係の選択に応じて、通知システム２０８は候補応答者の各人および携帯コンピューティング機器２２２などその携帯機器それぞれに警報を送信させてもよい。機器は、警報音および視覚表示、あるいは警報音または視覚表示を生成してもよい。候補応答者のうちの数人は警報に返信しないことがあり、所定の期間後、彼らは候補応答者としてシステムから除名してもよい。他の応答者は、現時点で呼び出しに応答することができないと意思表示して、否定応答をするかもしれない。さらに他の応答者は呼び出しに応答したいと意思表示して肯定応答するかもしれず、当該応答を通知システム２０８に戻してもよい。これらの応答者をシステム２００内で確認済み応答者としてもよい。

通知システム２０８はさらに、図１のスマートフォン１１０の画面に表示されるようなディスプレイを生成するためのデータを、参加したいと意思表示した確認済み応答者の各人（および専門応答者）に提供してもよい。情報は電話２２２を使用している発信者の位置を示してもよい。発信者が自分が位置するブロック全体を特定した場合、または発信者の大体の位置を見つけるために基地局三角測量を使用する場合など、位置が不確かな場合、応答者に提供される地図は、傷病者の位置であったものとしてユーザの不確定範囲にサイズがほぼ等しい色付きの円を表示してもよい（グーグルのマイロケーションのインターフェースに表示される不確定範囲と同様な）。その結果、応答者は位置に関してはある程度の不確実性があるとすぐに分かり、特定の地点で傷病者を見つけられると期待しないので、周辺地域内で傷病者を探すつもりになる。

確認済み応答者が傷病者に向かって移動し始めると、その位置を各応答者のそれぞれの機器で更新して、他の応答者がどこにいるかを確認し、彼らが第一応答者かどうかを特定するとともに、到着したときに他の応答者を特定することができるようにしてもよい。当該情報は、確認済み応答者が器具または他の物を手に入れるために回り道をすべきかどうかを判断するために使用してもよい。

応答者間通信システム２１０を使用して、応答者はそれぞれの活動を調整するために互いにおよび専門応答者と音声およびテキストで、あるいは音声またはテキストで通信することもできる。例えば、ある応答者は訓練を受けた医師であることを他の応答者に話してもよく、現場に到着したときに一定の責任を引き受ける。このような通信は他の応答者に安心感を与え、彼らが現場に到着したときに行う作業の種類に優先順位を付けるのを可能にするだろう。応答者は自ら大体の到着時間を明らかにしてもよい専門応答者と通信してもよいので、後の応答者はどれくらいの時間傷病者を介護し続ける必要があるかを知ることができる。

通知システム２０８は、それ自体が、または他のサブシステムと連携して、事件の応答中に起こる活動を追跡してもよく、事件のフォローアップを行ってもよい。例えば、通知システム２０８は一定の応答者に何回通知したか、および彼らがどれくらいの頻度で肯定応答したかを追跡して、実際の応答者の大体の人数を把握し、どの潜在的応答者を候補応答者として特定するかを判定するために、どれくらいの人数の候補応答者を選定するべきかを判定するときに今後使用できるデータをシステム２００に提供するようにする（例、応答しないまたは肯定応答するが現れない応答者は抹消して、潜在的応答者として表示しない）。

また、応答者には、事件後に、システム２００のオペレータが今後システムおよび傷病者への応答をどのように改善するかを学習できるように、事件に対するコメントを投稿する機会を提供してもよい。

応答者にはまた、事件周辺地域の店のクーポンなどの感謝のしるしを提供するためなど、システム２００から連絡してもよい。適切な状況で患者のプライバシーと矛盾がないときには、応答者は自然な好奇心を示すために傷病者の状態に関して最新情報を与えられるために後でシステムにログインしてもよい。同時に、傷病者および応答者のプライバシーを維持するために適切な制限を課してもよい。一定の応答者には、半公共的な形で応答者に賛辞を述べるために、システムによりそのソーシャルメディアのページの１つにコメントが投稿されてもよく、その投稿にはユーザの名簿の友人が応答者になることができる情報を含めてもよい。

また、応答事件に関する情報の使用は、よりシステマチックに格納して調整されてもよい。例えば、評価モジュールは応答者のパフォーマンスを見直して、特定の応答者が示す能力および応答性に基づいて、応答者の等級を格上げまたは格下げしてもよい。このような等級はさらに、緊急派遣係要員または自動緊急派遣係が将来どの応答者を潜在的応答者から候補応答者に切り替えるかを判断するときに使用できる。

ここで述べるシステムおよび技術は、大事故（例、列車、バスまたは航空機の衝突）、テロ攻撃（例、爆撃またはガス拡散）、自然災害（例、地震または大規模な竜巻）、または公衆衛生の危機など、大量の負傷者がいる状況にも拡張できる。例えば、システムは最初に、ある期間（例、１時間）にわたり、特定の地域で異なる事件（例、救護の必要な異なる傷病者）についての多数の呼び出しが所定の閾値を超えたと判定するなどして、大規模事件が発生していることを手動、自動または半自動で判定してもよい。このような判定は、時間および地理的な位置で示されるようにつながっている呼び出しと、独立しているが空間的および時間的に関係して発生しているものとを区別するために、周知の自動クラスタリング分析技術を使用して行ってもよい。大規模事件の状態が認識されると、システムは事件のステータスを上げ始めるアラームを発してもよい。例えば、事件の種類および事件の範囲に関する情報を聞き出すために策定されている一連の質問を現場の発信者に尋ねるなどして（例、「呼吸が苦しいですか？」、「周囲に苦しんでいる人は他にいますか？」）、事件の性質を確認しようとする１人または複数人の緊急派遣係要員にアラームをまず与えてもよい。次の段階で、適切な機関に事件を通知する集団災害応答手順を発動し、予め確立された手順に従い進めてもよい。

加えて、現場にいる応答者はデジタル写真を撮って自動的にアップロードしてもよく、このデジタル写真は自動的にジオタグが付けられて、図５Ａに図示するようなディスプレイに提供してもよい。特に、写真それぞれのアイコンを地図（グーグルマップが提供するものなど）上に表示して、撮影者が向かっていた方向を示してもよい。当該画像は、適切な地域を担当する場合、マイクロソフト社のイメージ・コンポジット・エディターを使用するなどして、組み合わせてもよい。こうして中央管理スタッフは画像を使用して、その場の状況の感触をよりよくつかんでもよい。

第一応答者はシステムにメタデータを提供できてもよく、これを後の応答者が使用してもよい。例えば、大規模事件は、救急車両が現場に到着するときには交通渋滞および混乱を引き起こして、互いに邪魔し合っていることがある。緊急派遣係は、事件周辺地域を調査し、駐車および傷病者の搬送に十分な大きさの平らな位置を特定し、その地域に出入りする車両の交通パターン（これは地域の通常の交通の流れとは逆のことがある）を特定するために、第一応答者を任命することができよう。例えば、第一応答者は一方通行路から外れた広い一部埋まっている駐車場を特定し、レッカー車に駐車場内の少数の車を移動するよう命じ（緊急派遣係がレッカー車会社への通知をしてもよい場合）、対向車線として指定される道路の車線の半分を画定してもよい。当該情報はさらに地域の地図に追加してもよく、地図は消防車、救急車および他の車両のディスプレイに提示して、それらの車両の運転手が搬送場所をすぐに見つけ、互いに邪魔せずにそうできるようにしてもよい。

システムおよび技術は、当該大規模事件に対する応答を調整するように使用してもよい。例えば、一般応答者および専門応答者を、特定の傷病者または傷病者のグループなど、事件の特定の部分に割り当ててもよい。したがって、例えば、専門応答者に対するナビゲーション支援は、より広範囲の地域内で、向かうべき位置を応答者に表示して、緊急派遣係および他の管理者が救急現場で協力者を直接まとめて配備できるようにしてもよい。応答者は事件の下位区分に従ってグループ分けしてもよく、応答者の各グループはその通信機器で自分のグループの他の人をただ見るだけでもよく、自分のグループのメンバーだけに音声により連絡されてもよい。この点に関してＶｏＩＰ接続の使用は、当該グループ分けを比較的単純かつ便宜にしてくれるであろう。緊急派遣係の端末では、各グループの応答者のアイコンを別のグループの応答者とは異なる色にするなどして、グループは互いに区別されて表されてもよい。このように、（地図上でグループ分けされているため）緊急派遣係はグループのメンバーが連携して動いているかどうかをすぐに確認でき、正しい位置にいないように思われる応答者に直接話かけて、持ち場から離れているように思える理由を探ることができる。

上述のようなデータの追跡および格納は、大規模事件にとって特に重要である。具体的には、大規模事件はそれほど頻繁には発生しないので、それを学習して、救助サービスが当該事件に応答するやり方を改善する機会はほとんどない。位置追跡情報および応答者の会話の記憶音声ファイルは、この点に関して、当該状況をよりよく理解して、当該事件に対する応答を改善しようとしている研究者にとって価値あるツールを提供する。

加えて、一定の応答者には事件の傷病者の身元を登録する任務を割り当ててもよい。当該情報は、傷病者のその後の健康の追跡、傷病者への補償の提供、関連事件の潜在的な目撃者の割り出し、および同様な他のもののためなど、フォローアップの目的で使用してもよい。第一応答者による当該登録は、典型的な大規模事件のフォローアップスタッフがすぐに現場に到着できず、したがってすぐにその場を離れた目撃者または傷病者を見逃してしまう場合に特に有益である。一実施例として、緊急派遣係は事件周囲に境界線を設けて、境界線から立ち去る個人を記録するために特定の応答者を任命してもよい。大規模事件（例、ハリケーン）の現場で個人に関して収集される情報は、大規模事件の甚大さを報告するためなど、マス統計の生成のためにも使用できる。

図２Ｂは、緊急事態に対する一般応答を調整するための多数のサブシステムを有するシステム２３０のブロック図である。一般に、システム２３０は、ここでは機能を実行できるコンポーネントの追加の詳細を示しているが、上述のような機能を提供するように構成およびプログラミングされてもよい。

この例では、システム２３０は、インターネット２３４などの１つ以上のネットワークを介して通信する多数のコンポーネントを含む。例えば、携帯コンピューティング機器２３２は、多数の一般応答者または専門応答者が緊急または同様な事件に関する情報を受信して、事件に応答するように使用してもよい。通信機器２３２内部の様々なコンポーネントは当該機能を提供してもよく、また通常機器の一部であるコンポーネント、もしくはユーザによって後で機器に追加されてもよいコンポーネントを含んでもよい。

ある当該コンポーネントは入出力マネージャ２４０である。マネージャ２４０は、グラフィカルコンポーネントを機器２３２の画面に表示する方法を管理し、タッチスクリーン、トラックボールおよび物理的ボタンまたはソフトボタンなどで、機器２３２のユーザからの入力を受信することを含め、機器の通常の役割を果たす。マネージャ２４０は、例えば、ユーザが画面上で与えているコマンドおよび他の入力を判定するために、タッチスクリーンディスプレイ上でユーザがどこを選択したか、またはポインターを使ってどこの選択が行われたかを、画面上に表示されるものと連携して判定してもよい。

機器２３２の加速度計２４２は機器２３２の相対運動を感知する。機器２３２をＣＰＲ胸部圧迫を行っている人の手に固定する実施態様では、加速度計２４２で感知される加速度は二重積分し、およびその他の処理をして、機器の垂直方向の変位の計測値を生成してもよい。当該変位は胸部圧迫中の患者の胸部の変位レベルをほぼ正確に見積り、機器のアプリケーションに報告してシステム２３０の他のコンポーネントに通信してもよい。

機器２３２とともにウェブブラウザ２４４を含めてもよく、機器２３２で表示するために周知の方法でフォーマット化されたリモートサービスからコンテンツを受信してもよい。ウェブブラウザ２４４はリッチコンテンツの伝送および表示をサポートして、ユーザが図１について上述のような方法でコンテンツと対話できるようにしてもよい。地図／ナビゲーションアプリケーション２４６はウェブブラウザの一部として提供して、ウェブブラウザ２４４にダウンロードされるコンテンツを表示してもよく、または機器２３２に個別のスタンドアロン型アプリケーションであってもよい。地図／ナビゲーションアプリケーション２４６は、リモートサービスおよび機器２３２の一部であるＧＰＳモジュールなど機器２３２から位置情報を受信してもよく、ナビゲーション情報に重ねてもよい地図を生成してもよく、さらにユーザが緊急事態に向かって移動しているときにターンバイターン方式のナビゲーションを提供してもよい。

無線インターフェース２４８は、周知の方法でネットワークとのデータおよび音声通信を提供してもよいので、機器２３２のユーザは緊急事態に向かう他の応答者と話すことができ、また事件周囲で発生している事態および行動を説明するデータを送受信できる。イベントデータストア２５０は、加速度計２４２からの情報および他のセンサ２５２からの情報など、事件時刻頃に機器２３２のユーザによってとられた行動に関する情報を保存してもよい。他のセンサ２５２は、機器２３２のライトセンサもしくはタッチスクリーンなど機器２３２自体の一部であってもよく、または有線もしくは無線接続により機器２３２と通信してもよいアドオンとして提供されるセンサであってもよい。例えば、機器２３２のユーザは機器２３２に差し込んで従来の聴診器として機能できる電子聴診器を購入してもよい。ユーザはまた、傷病者のパラメータおよび特に生存兆候の読取値をネットワーク２３４を介してシステムの残りに容易にアップロードできるように、機器２３２に電子信号を提供できる血圧測定カフまたは他の当該センサを購入してもよい。

個別に、ＣＴＩコンピュータ／電話統合システム２３３を緊急派遣サービスに設けてもよく、ＣＧＩシステム２３３は緊急派遣係要員により使用される端末２３６に情報を通信してもよい。端末２３６は、緊急派遣係が使用してもよい電話ヘッドセットに加えて、コンピュータモニタおよびキーボードを含んでもよい。ＣＴＩシステム２３３は、着信および応答者からの音声情報、並びに呼び出しの地理的に近くで発生している呼び出しおよび活動に関する情報を表すデータを含めて、上記および以下に述べるもののような情報を統合してもよい。当該情報を緊急派遣係は、救助チームおよび一般応答者を呼び出しに出動させるように用いてもよい。あるいは、緊急派遣係は呼び出しの調整の責任を別の管理ユーザに移して、緊急派遣係が新たな呼び出しの受信に復帰して、他のユーザが長時間特定の呼び出しを聞き続けられるようにしてもよい。

ＣＴＩシステム２３３は、救急車の車庫または消防署など、専門対応施設２３５に接続される。このような接続により、緊急派遣係は、救急安全スタッフを呼び出しに派遣するようにアラームを発動できる。システム２３３からの情報は施設２３５および専門応答者のために呼び出しに応答している車両にも自動的にダウンロードしてもよい。

一般応答サーバ２３８は、潜在的な一般応答者への通知、応答者からの応答、並びに彼らが事件に応答するときの応答者の管理および調整を行う。例えば、応答者トラッカー２７４は、サーバ２３８に登録されているユーザの電子通信機器に関するＧＰＳまたは他のデータを取得するようにプログラミングされてもよい。当該データはサーバ２３８から直接取得してもよく、または当該データの取得に特化した機器トラッカー２５６に問い合わせて取得してもよい（例、これは機器の無線サービスプロバイダがプロバイダのネットワークで運営してもよい）。応答者トラッカー２７４は通常ユーザの位置を追跡せずに、単にＣＴＩシステム２３３または別のソースが特定の地域での緊急事態に関して通知するときの位置をチェックするだけでもよい。このような通知が発生すると、応答者トラッカー２７４は登録ユーザの位置を取得してもよく、適切なサブシステムに事件の所定の距離内にいるユーザの位置だけを渡してもよい。

応答者インストラクタ２７２は、システムにより特定の地域で特定された応答者に関する指示の生成を担う。例えば、応答者インストラクタ２７２には、ある地域の特定の応答者の身元を提供してもよく、その地域の事件への応答を要請する予めフォーマット化された依頼を応答者に配信してもよい。応答者インストラクタ２７２は、音声によりまたは文章形式で後で指示を与えて、事件に向かうことに同意する応答者の応答の調整を助けてもよい。

応答コーディネータ２７０はシステムの様々な応答者の位置および行動を追跡して、応答者インストラクタ２７２に指示を与えて、当該応答をさらに調整する。例えば、応答コーディネータ２７０は、特定の応答者が事件に向かう途中で除細動器を手に入れたことを判定してもよく、そのため他の応答者に同じことをする必要がないことを指示してもよい。例えば、当該指示は、様々な応答者の機器のディスプレイに表示される特定のユーザのアイコンにアイコンまたは除細動器を追加することによって与えてもよい。当該指示はより明示的でもよく、応答者の機器によって入力されるか、または話されることもできる。

音声通信コーディネータ２６８は、音声通信のために応答者に接続し、当該接続をＶｏＩＰサービス２５８などを介して開始するための情報を特定するよう、応答コーディネータ２７０などシステムの他のコンポーネントから指図されてもよい。例えば、応答コーディネータ２７０はユーザが機器の「トーク」ボタンをクリックすることに応答して機器２３２からメッセージを受信してもよく、音声通信コーディネータ２６８に機器２３２のユーザと別の応答者、他の応答者または緊急派遣係との間の音声接続を行わせてもよい。音声通信コーディネータ２６８はＶｏＩＰサービス２５８にコマンドを送信して、当該接続を有効にしてもよい。

サーバ２３８（これはシステム内でまとまって行為する１つ以上のサーバでもよい）は様々なデータソースを使用する。例えば、応答者データ２６０は、システムの登録応答者を特定する情報、各応答者が行う応答に関する履歴データ、各応答者の等級データおよび同様な他のものを含んでもよい。イベントデータ２６２は、サーバ２３８が応答を調整した各緊急事態ごとに整理し、応答者が収集した生存兆候データ、応答者の経路を示すデータ、および応答者間の音声通信の音声ファイルを含め、応答者の機器で収集してシステムに移したデータの一部もしくは全部を反映するデータを含んでもよい。

イベントデータ２６２は、調査目的で、大量の事件に関して格納する。例えば、調査は様々な事件の到着時間および応答を示すデータにアクセスしてもよく、緊急派遣係が事件を処理する方法の調整を許す判定を出してもよい。例えば、よりよい応答チームを組成するために様々な種類の応答者を判定してもよく、または様々な規模のチームを採用してもよい。また、当該情報を使用して、確認済み応答者の適切な人数を把握するために事件への応答を要請される必要のある応答者の人数を判定してもよい。

より包括的な臨床研究を当該データで行ってもよい。例えば、研究者はイベントデータ２６２と事件で治療された患者の結果データとを組み合わせることによって、最善の結果に至る緊急応答アプローチの仕方に関する研究を行ってもよい。例えば、当該研究は、特定の種類の一般応答者の採用が、心臓発作などの一定の緊急事態からの傷病者の生存確率を上昇または低下させることを立証することができる。また、携帯型除細動器などの一定の器具が傷病者に利用できたかどうかに関して、および当該器具が患者に届いた時期に関して結果を比較してもよい。

図２Ｃは、緊急応答システムのサブシステム間の例示的な情報のフローを示すブロック図である。ここに図示する特定のコンポーネントは、前の図面に図示したものの部分集合であるが、むしろ電話およびデータネットワーク、あるいは電話またはデータネットワークなどの１つ以上のネットワーク２８４を介して、コンポーネント間で渡されてもよいメッセージの例示的な種類に焦点を当てている。

この例の第１コンポーネントは緊急派遣システム２８８である。緊急派遣システム２８８は、一般応答者を事件に出動させる機能を増強した従来の緊急派遣システムであってもよい。システム２８８は、例えば、一般応答者および専門応答者を指揮し、事件で電話をかけた発信者に応答しようとしている緊急派遣係要員の音声ストリームを生成してもよい。緊急派遣システム２８８は事件のアドレス情報を含め、緊急派遣係が端末に入力できるデータ形式で指示を与えてもよい。緊急派遣係には、図１または図６Ａに図示するもののような地図を提供してもよいので、緊急派遣システムはユーザデータおよび地図データを受信してこのようなディスプレイを生成してもよい。

一般応答システム２９０は、緊急派遣システム２８８によって発動される事件に関して一般応答者に通知し、当該応答者を最初に登録し、応答者による応答を調整し、および他の同様な機能を担う。一般応答システムは応答を調整するための情報を生成してもよく、一般応答者が確認済み応答者であることを示すために一般応答者への確認、一般応答者への要請、および上記示すもののようなディスプレイを生成するための地図データを生成してもよい。一般応答システム２９０は、緊急ダイレクト呼び出し、応答者および傷病者または呼び出し位置を示すＧＰＳデータ、応答者が使用する電子機器からのセンサデータ、および発信者、応答者および緊急派遣係間の音声通信を含め、それが受信する多様なデータタイプを格納して、これに応答してもよい。

緊急応答車両２８６は周知の携帯コンピュータシステムを含んでもよく、隊員が文章指示および音声通信を一般応答者を含めたシステムの他の部分に提供できるようにしてもよい。車両２８６は、今度は、一般応答者の位置とともに、それらの位置および傷病者の位置を示す地図データを受信してもよい。車両２８６はまた緊急派遣係および一般応答者からの音声通信を受信してもよい。

応答者クライアント通信機器２８２は様々な応答者の各人が使用してもよく、多様な形態をとってもよいが、一般に電話通信機能、並びに好ましくはウェブベースのデータアクセスおよびディスプレイ機能を備えてもよい。機器２８２はある状況においては、アプリストアからカスタムアプリケーションをダウンロードして実行するように構成されてもよい。機器はＧＰＳデータ、機器２８２のユーザからの音声通信および、機器のタッチスクリーンで感知されるデータ（例、傷病者の脈をとるため）など、機器からのセンサデータを含むデータを他のコンポーネントに提供してもよい。機器２８２は、今度はシステム２８０の他の部分からの音声通信、緊急派遣係または専門応答者によって提供されるものなどの指示、および地図データなどの多様な情報を受信してもよい。

図３Ａは、緊急呼び出しに対して応答者を編成するプロセスのフローチャートである。一般に、プロセスは、システムに登録されていて、受信した緊急事態の近くにいる多数の一般応答者を特定することに関わる。プロセスはさらに、応答者が事件に近づいて、事件の位置で１人または複数人の傷病者の手当てをするときの応答者の行動を追跡する。

プロセスはボックス３０２から始まり、システムは緊急呼び出しに関する情報を受信する。ある事例では、呼び出しは９１１コールであってもよく、情報は呼び出しに対応したオペレータによってコンピュータ端末に入力されてもよい。別の事例では、呼び出しは携帯コンピューティング機器からのデータ伝送であってもよい。いずれの状況においても、緊急事態の位置は、オペレータが発信者により送信される住所を入力するか、またはデータ伝送で受信される位置情報（例、携帯コンピューティング機器からのＧＰＳデータ）などにより判定してもよい。情報は、携帯コンピューティング機器のＩＰアドレスもしくは電子メールアドレス、または電話番号（自動番号識別（ＡＮＩ（Ａｕｔｏｍａｔｉｃ Ｎｕｍｂｅｒ Ｉｄｅｎｔｉｆｉｃａｔｉｏｎ）サービスを使用して判定される）など、発信者の連絡情報を含んでもよい。当該連絡情報は後で、緊急派遣システムに関連するネットワークを介した当該通信を修正する（patching）ことを含め、応答者が発信者と話すために使用してもよい。

ボックス３０４で、システムの地理決定コンポーネントは、上述のような位置情報を取得して、それを緯度／経度座標または地域に変換する。例えば、緊急派遣係の端末は、緊急派遣係が入力するテキストを構文解析してもよく、テキストで特定される住所を、住所を緯度／経度座標に変換できる別のシステムに渡してもよい。応答して、別のシステムに、事件周辺地域の地図が緊急派遣係に表示されるように、データを緊急派遣係の端末に送信させてもよい。

ボックス３０６で、緊急事態の位置の近くにいて活動できる一般応答者が特定される。例えば、緊急派遣係の端末に地図データを送信した同じシステムは、プロセスに潜在的応答者として登録されており、緊急事態の近くにいて、その機器の電源が入っていて、その現在地を報告する全員の携帯コンピューティング機器の位置を把握するか、またはポーリングできる追跡サブシステムにアクセスしてもよい。

潜在的応答者は、（所定数の潜在的応答者が見つけられるまで円をだんだん大きくできる場合）事件を中心としたある特定の半径の円を引くなどして、事件からの距離のみに基づいて判定する。応答者は、別に応答者の種類に基づいて特定してもよい。例えば、医師は訓練程度の低い応答者の誰よりも遠くにいるとしても、最も近い３人の医師とともに最も近い１０人のＣＰＲ認定応答者が特定されてもよい。また、システムが応答者の現在の速度をみて応答者が自動車に乗っていると推測でき、そのため現在移動していない応答者よりも事件に速く到着できるのであれば、応答者はその予想応答時間に基づいて選択されてもよい。また、機器が自動車の中に入っているのかどうかを報告できるようなメカニズムをスマートフォンに備えてもよいので、システムが当該機器のユーザが呼び出しに応答するために他のユーザよりも遠くに移動できることを推測できる。加えて、スマートフォンは、リアルタイムＣＰＲフィードバックなどのツール、または応答者が事件の傷病者をよりよく支援できるようなコンテンツを有していてもよい。通信機器の種類および当該ツールが機器で利用できるかどうかも、グラフィカルディスプレイで緊急派遣係に示すことができる。

ボックス３０８で、プロセスは応答者、特に一般応答者に送信するための情報および地図データを送る。専門応答者には同じように連絡してもよく、または従来の方法で連絡してもよい。情報は緊急事態に関するある程度の基本情報および図１に図示するもののような注釈付き地図を生成するために必要な情報を含んでもよい。

ボックス３１０で、プロセスは応答者間の通信を調整する。前述したように、例えば、応答者を携帯用無線電話機の共同加入線通信の形態で互いに接続して、緊急事態を処理し、応答者が重複する作業を行う準備をすることがないようにそれぞれのアプローチを調整できるようにしてもよい。

ボックス３１２で、プロセスは緊急事態に関するレポートを生成する。このようなレポートは、傷病者が救急車に乗せられていること、または病院に収容されていることが示された後で、または事件がその他の形で終了した（例、誤報だった場合）後で生成してもよい。レポートは、様々な応答者の動き、（器具が正しい所有者に返されるように）応答者が手に入れた器具、応答者間の通信の音声トランスクリプト、ＣＰＲフィードバックおよびＣＰＲデータなどのツールのアプリケーションを示すデータ、および他の同様なものを含め、応答中に収集される様々な種類のデータを含んでもよい。加えて、応答者が見直して、コメントができるように、（例、レポートをリンク先としたハイパーリンク付き電子メールで）レポートの通知を各応答者に送ってもよい。

図３Ｂは、緊急応答システムに一般応答者を登録するプロセスのフローチャートである。一般に、プロセスは、その人の周辺で緊急事態が発生したときに応答者とみなされたい人から身元確認情報を得ること、およびおそらくはその人が応答者となる技能を検証することを含む。

プロセスはボックス３２０から始まり、一般応答者になりたい人から連絡を受信する。当該連絡は、一般応答者が適切なウェブサイトでサインアップ・ウェブページを訪れることによってもよい。また、ユーザがオンラインのアプリストアから特定のアプリケーションをダウンロードして、アプリケーションが連絡を行わせる時点で、連絡がとれてもよい。例えば、（フォームブロックまたは人体模型にＣＰＲを行うときに手に電話を巻く場合）ＣＰＲ訓練アプリケーションにより、ユーザはＣＰＲを練習して、その進行状況をそのスマートフォンの加速度計で追跡してもよい。訓練は、ユーザが訓練教材を見直して、１つ以上のテストまたはクイズを受けてそれに合格することを含んでもよい。ユーザの習熟度が実証されたら、アプリケーションは応答および救助活動を行うのに少なくとも最低の技能を有する人として登録される機会をユーザに与えてもよい。

ボックス３１２で、身元確認情報を一般応答者から受信する。当該情報は一般応答者が手入力で提供してもよく、または一般応答者の携帯コンピューティング機器に格納されている連絡データベースまたは一般応答者に対応するオンラインアカウントから自動的に取得してもよい。情報は特に応答者の氏名と住所、雇用主と役職、および電話番号と電子メールアドレスを含んでもよい。

ボックス３１４で、一般応答者の機器に登録される。当該登録は、その後の警報の送信先を把握できるように、単に応答者または機器に関する十分な情報を取得することを含んで、プロセスがその後の警報が確実に応答者に届くのを助けてもよい。

ボックス３１６で、プロセスは、一般応答者が提供した技能情報をチェックする。例えば、プロセスは、応答者がアプリストアから取得したアプリケーションによって出されたテストに応答者がうまく合格したことを判定するためにチェックするだけでもよい。応答者が医師であると報告するときなど、信頼性レベルを高めるために、プロセスは応答者が特定する雇用主に連絡して、雇用主から応答者が自称するとおりの人物であることの確認をとるなどして、標準的な本人確認技術に従ってもよい。確認されると、応答者は、緊急派遣係および専門応答者などのシステムの他のユーザに対して、その特定の技能レベルを有すると後で知らされてもよい。

応答者のチェックが無事終了すると、システムで有効化される（ボックス３３０）。当該有効化は応答者に様々な警告を与えて、応答者を緊急事態の応答に対応できると特定するために、応答者の位置を追跡する同意を取得することを含んでもよい。応答者をシステムで有効化する前に、他の適切な確認事項を求めて、応答者から受領してもよい。システムの有効化は、応答者の識別子を警報を出すシステムの部分に追加し、その後応答者の位置に関する情報をシステムで利用可能な場合は応答者の位置を追跡することを含んでもよい。

図４は、緊急呼び出しに対して応答者を編成するプロセスのスイムレーンダイアグラムである。図４は、一般に、位置情報が緊急派遣係により手作業でプロセスに入力される場合に、上述のようなプロセスで特定のコンポーネントが行ってもよい行動の例を示す。

プロセスはステップ４０２から始まり、（クライアントが一般に特定のユーザの機器であり、サーバが複数のクライアント機器に情報を提供する機器である場合）電話などのクライアント機器が緊急派遣サービスを呼び出して、発生している緊急事態を通報する。ボックス４０２で緊急派遣サービスは通報を受信し、緊急派遣係が発信者が通報したデータを入力して、緊急派遣係が通知を発動させる。通知を発動する前に、緊急派遣コンポーネントは通知ソフト／通信ハブと通信して、その地域に一般応答者がいるかどうか、どれくらいの人数がいるか、どの種類の一般応答者か、および発信者の位置にどれくらい近いかを判定してもよい。加えて、緊急派遣係は、どの事件でも、例えば、専門応答者がその位置の十分近くにいるので、一般応答者がそれほど追加の便益を与えられない場合、一般応答者に通知を発動するかどうかを判定してもよい。

ボックス４０８で、発信者の位置を表すデータを含む場合がある緊急派遣係が取得したデータは、ボックス４１０で専門応答者のクライアント機器に、ボックス４１２でハブに、どちらにも報告してもよい。専門応答者は従来の方法で派遣して、事件に向かい始めてもよい一方で、ハブは報告される事件周辺地域の機器および応答者データを収集して、様々な応答者の地図を生成してもよい。

ボックス４１４で、ハブは、緊急派遣係または自動プロセスで特定された専門応答者および候補一般応答者を含む応答者にデータを送信する。このデータは一般応答者および専門応答者のクライアント機器に地図を生成するために必要なデータを含んでもよい。ボックス４１６で、専門クライアントは、すでに事件の位置を彼らに提示したその標準緊急派遣から生成される画面を前から表示していたことを前提に、その画面を更新する。ボックス４１８で、一般応答者のクライアント機器（一般クライアント）は事件に関して通知される警報を受信する。この段階では、一般応答者の各人は候補応答者であり、まだ応答に同意していないかまたは応答を断ってはいない。ボックス４２０で、一般クライアントのそれぞれは警報に応答するが、この事例では、肯定応答しか示していない。システムは否定応答または無応答を受信してもよく、当該応答者はこの特定の呼び出しの対象から除かれる。

ボックス４２２で、ハブは様々な応答者を通信のために互いに接続する。例えば、通信は、各応答者の地図上で、他の応答者の位置を更新するなどして、それらの機器の視覚データによってもよい。通信は、ハブが様々な応答者全員の間でボイス・オーバーＩＰ接続を提供するなどして、音声によってもよい。ボックス４２４で、専門クライアントが接続情報を受信し、ボックス４２６で一般クライアントが接続情報を受信する。クライアントはその情報を使用して、互いに、または各クライアントとハブ間でボイス・オーバーＩＰリンクを確立するなどして、様々な必要な通信チャネルを確立してもよい。

ボックス４２８および４３０で、様々な応答者は互いに通信して、事件に対する応答を調整する。応答を通じて、ボックス４３４でハブは最新情報を様々な応答者に配信してもよく、ボックス４３２および４３０に示されるように応答者のクライアントが最新情報を提供してもよい。最新情報は、ハブが事件に関する新情報を提供するなど、多様な形態をとってもよい。例えば、ハブは自動車事故に関する情報を取得して、（最初に緊急派遣係に報告される）最初の１人の傷病者ではなく、実際には３人の傷病者がいることに気付くことがある。例えば、現場の２番目の発信者が９１１にダイアルして、最初の発信者よりも正確な情報を提供することがある。この情報を応答者が使用して、事件に対する応答をよりよく計画してもよい。例えば、応答者は散開することに合意して、ある一般応答者が３人の傷病者それぞれの世話をするとともに、後で到着する応答者は早く来た応答者がどの傷病者を担当しているかを伝えて、後の応答者はすぐにまだ世話を受けていない傷病者の世話をすることができる。ハブは、救急車、第２または第３の救急車、消防車の出動要請、またはとるべき他の行動など、すでにとった他の措置、および２回以上とるべきではないまたはその他応答者の時間をとる他の措置を応答者に知らせてもよい。

ここで述べるプロセスの初期のステップで、事件の位置に関する情報は発信者から口頭で受けたが、当該情報は、緊急派遣係要員を採用しないシステムを含め、自動的に取得してもよい。具体的には、着呼システムはマイロケーション（ＭＹ ＬＯＣＡＴＩＯＮ）などの基地局三角測量法を使用して、発信者の大まかな位置を特定する情報を使用してもよい。このようなシステムに機器のアプリケーションが連絡してもよく、アプリケーションは（例、機器のＧＰＳモジュールから判定されるように）通信機器の経度および緯度成分をシステムにもたらしてもよい。判定される位置はさらに、画定される事件地域内の潜在的応答者のリストを検索し、事件周辺地域、地域内の応答者および地域内の潜在的な応答器具を示す地図を作成するためのデータを生成するプロセスに自動的に送ってもよい。

図５は、緊急派遣係用の例示的なスクリーンショットを示す。一般に、このスクリーンショットは、緊急派遣係が電話で通報された緊急事態に応答する一般応答者を選定するときに緊急派遣係が見ることのできるデータの種類の例を提供する。

この例の画面は、主に地図領域とデータ領域とに分割される。地図領域はアイコン５０４で表される傷病者を中心としており、緊急派遣係がそのコンピュータ端末に位置を入力するとすぐに自動的に検索されたものであってもよい。傷病者のアイコン周辺に傷病者の位置の不確定範囲のゾーンを示す円５０６を表示してもよく、これは発信者の通信機器が正確な位置検出能力をもたないために引き起こされることがある。例えば、そのＧＰＳが人口密度が高い都市で機能できないので、基地局三角測量が不正確である。より広い円５０２は傷病者周辺の候補ゾーンを示す。この円はシステムが潜在的な一般応答者を探す地域を線引きしてもよく、最初の円の大きさは、所定の半径になるようになど自動的に選択されるか、または一般応答者が傷病者の元に到着する予想時間に基づいて選択されてもよい。例えば、リアルタイムの交通データをシステムが取得して、一般応答者がある位置から別の位置に到着するまでにかかる時間を判定してもよく、または一般応答者が位置に駆けつけるのにかかる時間を判定してもよい（一般応答者の仮想経路をプロット化するなどして）。緊急派遣係が円内に十分な一般応答者を確認できない場合、緊急派遣係はタッチスクリーンのディスプレイ上で円をドラッグインまたはドラッグアウトするなどして、円の大きさを変更するための入力をしてもよい。

画面５００のデータ割り当て部の一番上には、緊急情報領域５０８が示されており、傷病者の位置（普通の英語および緯度／経度で）、および緊急派遣係が呼び出しの受信時に入力した事件の詳細など、事件に関する様々な情報を表示してもよい。このような詳細はさらにシステムで確認されたあらゆる応答者に自動的に送ってもよく、または要請の中で潜在的応答者にも送ってよい。領域５０８は選択可能なボタンも含み、緊急派遣係がチームに指示を伝えたいときなど、緊急派遣係がこれを押して下げておくと、緊急派遣係の話を応答者全員（例、確認済み一般応答者全員および専門応答者全員）に伝える。他の同様なコントロールを必要に応じて設けてもよい。

データ領域の一番下のメッセージ領域５１６は、緊急派遣係が応答者に送るテキストメッセージを入力できる場所を提供する。緊急派遣係が管理しているシステムの状況に応じて現れる１つ以上のポップアップボックスに、他のデータの入出力を提供してもよい。

データ領域の残り３つの領域は、ある地域にいる様々な一般応答者の状態を示し、その一般応答者に提示する地図領域のアイコンと調整されている。例えば、このディスプレイでは、候補応答者領域５１４はまだ緊急派遣係に従って行動していない関連地域の応答者を示す。ここでは、クリス・ホフ（Ｃｒｉｓ Ｈｏｆｆ）という名前の当該応答者が１人いて、Ｂ２の下付き文字で呼ばれるが、地図上での応答者Ｂでレベル２の技量レベルであることを示しており、このレベルは正式なＣＰＲ認定を受けた一般応答者である。名前の隣に「Ｔ」アイコンが示されており、緊急派遣係はそのアイコンを選択して、彼と直接音声通話してもよい。また緊急派遣係はアイコンを押してからメッセージを入力することもでき、そのメッセージは直接ホフ（Ｈｏｆｆ）氏に送られる。

選定応答者領域は、応答の要請を受け取った応答者を示す。緊急派遣係はそのエントリを選択してからある領域から次の領域に上方にドラッグすることにより、誰かを領域５１４から領域５１２に移動させてもよい。ここでは、緊急派遣係はレベル１の応答者を選定しており、この人はダウンロードされたアプリケーションでＣＰＲの習熟度を証明されているが、ＣＰＲ認定は受けていない人である。そのユーザのトニー・オリオ（Ｔｏｎｙ Ｏｌｉｏ）はまだ応答していない。図示されていないが、エントリには応答者に要請してからの経過時間を表示するデジタルクロックも付加して、ある時間後に緊急派遣係がその要請を取り消して別の候補者に要請できるようにすることもできる。

確認済み応答者領域５１０は、要請されて肯定応答した２人の応答者を表示し、そのため傷病者に向かっている途中であることが推定される。これらの応答者はここでもレベル１の応答者と、（レベル６の応答者を救急救命室または集中治療医とする場合）一般医であるレベル４の応答者である。この例のランガンズ（Ｌａｎｇｈａｎｓ）医師は傷病者が位置する公園に比較的近くにおり、そのためそこにすぐ到着すると予想される。

ここでの様々な特徴は、ゾール・メディカル・コーポレーション社（Ｚｏｌｌ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）［米国コロラド州ブルームフィールド（Ｂｒｏｏｍｆｉｅｌｄ）所在］のＲｅｓｃｕｅＮｅｔ（商標）の製品およびサービスラインなど、既存の緊急応答システムおよびサービスの補足またはその一体的な部分として配備してもよい。例えば、ここに図示するスクリーンショット６００は、緊急派遣センターの効率を高めるために設計されたＥＭＳ ＣＡＤソリューションであるレスキューネット・ディスパッチ（ＲｅｓｃｕｅＮｅｔ ＤＩＳＰＡＴＣＨ）などのコンピュータ支援緊急派遣（ＣＡＤ）サービスによって生成してもよく、またはそれを増強してもよい。ディスパッチ（ＤＩＳＰＡＴＣＨ）製品は、将来の呼び出しをさらに効率的にできるように移動情報を収集するモジュールを使用して、応答時間を短縮しながら通話および緊急派遣を能率化するのを助ける。また、レスキューネット・ウェブ・ビューワ（ＲｅｓｃｕｅＮｅｔ ＷＥＢ ＶＩＥＷＥＲ）は緊急派遣係または他のユーザによる救急車両の状態のモニタリングを可能にし、ネットトランジット・ドット・コム（ＮＥＴＴＡＮＳＩＴ．ＣＯＭ）サービスは顧客にオンラインでの搬送要請および問い合わせをさせ、呼び出しの状態をモニタリングさせる。

レスキューネット・ナビゲータ（ＲｅｓｃｕｅＮｅｔ ＮＡＶＩＧＡＴＯＲ）は救急車両が使用するための移動式データコンピュータ（ＭＤＣ）を提供し、上述の様々な方法で専門応答者に情報を配信し、専門応答者から情報を受信するように使用できる。上述のプロセスとは別に、既存のナビゲータ（ＮＡＶＩＧＡＴＯＲ）システムは現場へのターンバイターン方式の指示付きの（ＲｅｓｃｕｅＮｅｔ ＣＯＭＭＣＡＤにより生成される）視覚地図を提供でき、定時到着率を測定し、事故のタイムスタンプを収集し、得られた情報を事故レポートに統合するように使用できる。

他のＲｅｓｃｕｅＮｅｔ（商標）サービスおよび製品は、隊員のスケジューリング、リソース計画、酸素吸入器および除細動器のコードのレビュー（Ｃｏｄｅ Ｒｅｖｉｅｗ）、緊急派遣システムの業務全体のレビュー（Ｉｎｓｉｇｈｔ）、記録管理（ＦｉｒｅＲＭＳ）および様々な他の機能の実施を提供できる。

図６は、ここで述べる技術とともに使用してもよい汎用コンピュータ機器６００および汎用携帯コンピュータ機器６５０の実施例を示す。コンピューティング機器６００は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナル・デジタル・アシスタンツ、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームおよび他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図されている。コンピューティング機器６５０はパーソナル・デジタル・アシスタンツ、携帯電話、スマートフォンおよび他の同様なコンピューティング機器など、様々な形態の携帯機器を表すことが意図されている。ここに図示するコンポーネント、その接続および関係、並びにその機能は、単に例示的なものであり、本書で説明および請求する発明の実施、あるいは本書で説明または請求する発明の実施を制限するものではない。

コンピューティング機器６００はプロセッサ６０２と、メモリ６０４と、記憶装置６０６と、メモリ６０４および高速拡張ポート６１０に接続している高速インターフェース６０８と、低速バス６１４および記憶装置６０６に接続している低速インターフェース６１２とを含む。コンポーネント６０２、６０４、６０６、６０８、６１０および６１２はそれぞれ様々なバスを使用して相互接続されており、共通のマザーボードにまたは適切な他の方法で実装されている。プロセッサ６０２は、高速インターフェース６０８に連結されているディスプレイ６１６などの外部入出力機器のＧＵＩの図形情報を表示するためにメモリ６０４または記憶装置６０６に格納されている命令を含め、コンピューティング機器６００内の実行のための命令を処理できる。他の実施態様では、適切なら、複数のプロセッサおよび複数のバス、あるいは複数のプロセッサまたは複数のバスを複数のメモリおよびメモリの種類とともに使用してもよい。また、複数のコンピューティング機器６００は、必要な動作の部分を提供する各機器（例、サーババンク、ブレードサーバ群またはマルチプロセッサシステムとして）に接続してもよい。

メモリ６０４はコンピューティング機器６００内に情報を格納する。ある実施態様では、メモリ６０４は１つまたは複数の揮発性メモリユニットである。別の実施態様では、メモリ６０４は１つまたは複数の不揮発性メモリユニットである。メモリ６０４は、磁気または光学ディスクなどの別の形態のコンピュータ読取可能媒体であってもよい。

記憶装置６０６はコンピューティング機器６００に大容量記憶装置を提供できる。ある実施態様では、記憶装置６０６は、フロッピー（登録商標）ディスク機器、ハードディスク機器、光学ディスク機器、もしくはテープ機器、フラッシュメモリもしくは他の同様なソリッドステートメモリ機器、またはストレージエリアネットワークもしくは他の構成の機器を含め、機器のアレイなど、コンピュータ読取可能媒体であってもよい、またはコンピュータ読取可能媒体を内蔵してもよい。コンピュータプログラム製品は情報担体に物理的に組み込むことが出来る。コンピュータプログラム製品は、実行したときに、上述のものなど、１つ以上の方法を行う命令を内蔵してもよい。情報担体は、メモリ６０４、記憶装置６０６、プロセッサ上のメモリ６０２または伝搬信号など、コンピュータもしくはマシン読取可能媒体である。

高速コントローラ６０８はコンピューティング機器６００の帯域幅を大量に使用する動作を管理する一方で、低速コントローラ６１２は帯域幅をあまり使用しない動作を管理する。当該機能の割り当ては単なる例示的なものである。ある実施態様では、高速コントローラ６０８は、メモリ６０４、ディスプレイ６１６（例、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを介して）、および様々な拡張カード（図示せず）を受け入れられる高速拡張ポート６１０に連結されている。この実施態様では、低速コントローラ６１２は記憶装置６０６および低速拡張ポート６１４に連結されている。様々な通信ポート（例、ＵＳＢ、ブルートゥース、イーサネット（登録商標）、無線イーサネット）を含む場合もある低速拡張ポートは、キーボード、ポインティング機器、スキャナ、または例えばネットワークアダプタを介してスイッチもしくはルータなどのネットワーキング機器など、１つ以上の入出力機器に連結してもよい。

コンピューティング機器６００は、図示するように、多数の異なる形態で実施してもよい。例えば、標準サーバ６２０または当該サーバのグループの複数倍として実施してもよい。ラックサーバシステム６２４の一部として実施してもよい。加えて、ラップトップコンピュータ６２２などのパーソナルコンピュータに実施してもよい。あるいは、コンピューティング機器６００からのコンポーネントを、機器６５０など、携帯機器（図示せず）の他のコンポーネントと組み合わせてもよい。当該機器のそれぞれは、コンピューティング機器６００、６５０のうちの１つ以上を内蔵してもよく、システム全体を互いに通信する複数のコンピューティング機器６００、６５０から作ってもよい。

コンピューティング機器６５０は、他のコンポーネントの中でも特に、プロセッサ６５２と、メモリ６６４と、ディスプレイ６５４などの入出力機器と、通信インターフェース６６６と、トランシーバ６６８とを含む。機器６５０には、マイクロドライブまたは他の機器などの記憶装置を備えて、追加の記憶装置を提供してもよい。コンポーネント６５０、６５２、６６４、６５４、６６６および６６８のそれぞれは様々なバスを使用して相互接続されており、コンポーネントのいくつかは共通のマザーボードにまたは適切な他の方法で実装されている。

プロセッサ６５２は、メモリ６６４に格納されている命令を含め、コンピューティング機器６５０内の命令を実行できる。プロセッサは、個別の多数のアナログおよびデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実施してもよい。プロセッサは、例えば、ユーザ・インターフェースの制御、機器６５０により実行されるアプリケーションおよび機器６５０による無線通信など、機器６５０の他のコンポーネントの調整のために備えてもよい。

プロセッサ６５２は、ディスプレイ６５４に連結されている制御インターフェース６５８およびディスプレイ・インターフェース６５６を通じてユーザと通信してもよい。ディスプレイ６５４は、例えば、ＴＦＴ ＬＣＤ（薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ）もしくはＯＬＥＤ（有機発光ダイオード）ディスプレイ、または他の適切なディスプレイ技術であってもよい。ディスプレイ・インターフェース６５６は、図形情報および他の情報をユーザに提示するようにディスプレイ６５４を駆動するために適切な回路を備えてもよい。制御インターフェース６５８はユーザからコマンドを受信して、それをプロセッサ６５２に提出するために変換してもよい。加えて、外部インターフェース６６２をプロセッサ６５２と通信状態で提供して、機器６５０と他の機器との近距離無線通信を可能にしてもよい。外部インターフェース６６２は、例えば、いくつかの実施態様では有線通信のために、別の実施態様では無線通信のために備えてもよく、多数のインターフェースを使用してもよい。

メモリ６６４はコンピューティング機器６５０内の情報を格納する。メモリ６６４は、１つまたは複数のコンピュータ読取可能媒体、１つまたは複数の揮発性メモリユニット、または１つまたは複数の不揮発性メモリユニットのうちの１つ以上として具体化できる。拡張メモリ６７４も設けて、例えばＳＩＭＭ（シングル・インライン・メモリ・モジュール）カードインターフェースを含む場合もある拡張インターフェース６７４を介して機器６５０に接続してもよい。当該拡張メモリ６７４は機器６５０に追加の記憶スペースを提供してもよく、または機器６５０のためにアプリケーションまたは他の情報を格納してもよい。具体的には、拡張メモリ６７４は上述のプロセスを実施もしくは補足するための命令を含んでもよく、また安全な情報を含んでもよい。したがって、例えば、拡張メモリ６７４は機器６５０のセキュリティモジュールとして備えてもよく、機器６５０の安全な使用を可能にする命令でプログラミングされてもよい。加えて、ＳＩＭＭカードに識別情報をハッカー行為ができないように配置するなど、安全なアプリケーションをＳＩＭＭカードを介して、追加情報とともに備えてもよい。

メモリは、後述するように、例えば、フラッシュメモリおよびＮＶＲＡＭメモリ、あるいはフラッシュメモリまたはＮＶＲＡＭメモリを含んでもよい。ある実施態様では、コンピュータプログラム製品は情報担体に物理的に組み込まれる。コンピュータプログラム製品は、実行したとき、上述のような１つ以上の方法を行う命令を内蔵する。情報担体は、メモリ６６４、拡張メモリ６７４、プロセッサ上のメモリ６５２、または例えばトランシーバ６６８または外部インターフェース６６２を介して受信できる伝搬信号など、コンピュータまたはマシン読取可能媒体である。

機器６５０は、必要な場合にはデジタル信号処理回路を含む場合もある通信インターフェース６６６を介して無線通信してもよい。通信インターフェース６６６は、特に、ＧＳＭ（登録商標）ボイスコール、ＳＭＳ、ＥＭＳもしくはＭＭＳメッセージング、ＣＤＭＡ、ＴＤＭＡ、ＰＤＡ、ＷＣＤＭＡ、ＣＤＭＡ２０００、またはＧＰＲＳなど、様々なモードまたはプロトコルでの通信のために備えてもよい。当該通信は、例えば、高周波トランシーバ６６８を介して行ってもよい。加えて、ブルートゥース、ＷｉＦｉまたは他の当該トランシーバ（図示せず）を使用するなどして、短距離通信を行ってもよい。加えて、ＧＰＳ（全地球測位システム）受信機モジュール６７０は機器６５０に追加のナビゲーションおよび位置関連の無線データを提供してもよく、これは機器６５０で実行するアプリケーションにより適切なように使用してもよい。

機器６５０はオーディオコーデック６６０を使用して可聴に通信してもよく、ユーザから通話情報を受信して、それを利用可能なデジタル情報に変換してもよい。オーディオコーデック６６０は同様に、例えば機器６５０の電話機のスピーカーを介すなど、ユーザに聞こえる音を生成してもよい。当該音は音声通話からの音を含んでもよく、記録された音（例、音声メッセージ、ミュージックファイル等）を含んでもよく、さらに機器６５０で動作するアプリケーションによって生成される音を含んでもよい。

コンピューティング機器６５０は、図示するように、多数の異なる形態で実施してもよい。例えば、携帯電話６８０として実施してもよい。スマートフォン６８２、パーソナル・デジタル・アシスタンツ、または他の同様な携帯機器の一部として実施してもよい。

ここで述べるシステムおよび技術の様々な実施態様は、デジタル電子回路、集積回路、特殊設計ＡＳＩＣ（特定アプリケーション向け集積回路）、コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および／またはその組み合わせで実現できる。これらの様々な実施態様は、記憶システム、少なくとも１つの入力機器および少なくとも１つの出力機器からデータおよび命令を受信して、それらにデータおよび命令を送信するために連結されており、特殊目的もしくは汎用であってもよい少なくとも１つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステムで実行可能および解釈可能な、あるいは実行可能または解釈可能な１つ以上のコンピュータプログラムの実施態様を含むことができる。

（プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーションまたはコードとしても知られる）これらコンピュータプログラムは、プログラマブルプロセッサのためのマシン命令を含み、高水準プロシージャ型および／またはオブジェクト指向型プログラミング言語、および／またはアセンブリ／マシン言語で実施できる。ここで使用される場合、「マシン読取可能媒体」、「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、マシン命令をマシン読取可能信号として受信するマシン読取可能媒体を含め、マシン命令およびデータを、あるいはマシン命令またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するように使用されるあらゆるコンピュータプログラム製品、装置および機器、あるいはコンピュータプログラム製品、装置または機器（例、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブル・ロジック・デバイス（ＰＬＤ））をいう。「マシン読取可能信号」という用語は、マシン命令およびデータを、あるいはマシン命令またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するように使用されるあらゆる信号をいう。

ユーザとの対話を提供するために、ここで述べるシステムおよび技術は、情報をユーザに表示するためのディスプレイ機器（例、ＣＲＴ（ブラウン管）またはＬＣＤ（液晶ディスプレイ）モニタ）と、ユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボードおよびポインティングデバイス（例、マウスまたはトラックボール）とを有するコンピュータに実施できる。他の種類の機器を使用して、同様にユーザとの対話を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックはあらゆる形態の感覚フィードバック（例、視覚フィードバック、聴覚フィードバックまたは触覚フィードバック）とすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声または触覚入力を含め、あらゆる形態で受信できる。

ここで述べるシステムおよび技術は、バックエンドコンポーネント（例、データサーバとして）を含む、またはミドルウェアコンポーネント（例、アプリケーションサーバ）を含む、またはフロントエンドコンポーネント（例、ユーザがここで述べるシステムおよび技術の実施態様と対話できるグラフィカル・ユーザ・インターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ）を含むコンピューティングシステム、または当該バックエンド、ミドルウェアもしくはフロントエンドコンポーネントのあらゆる組み合わせで実施できる。システムのコンポーネントはあらゆる形態もしくは媒体のデジタルデータ通信（例、通信ネットワーク）によって相互接続できる。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク（「ＬＡＮ」）、広域ネットワーク（「ＷＡＮ」）およびインターネットが含まれる。

コンピューティングシステムはクライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバとは一般に互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータで起動し、クライアント・サーバ関係を互いに有するコンピュータプログラムによって発生する。

多数の実施形態を説明してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更を行えることは理解されるであろう。例えば、明細書の大部分はスマートフォンおよび同様のクライアント機器に関して説明してきたが、ジャケットに今述べた機能の一部もしくは全部を備えている携帯機器のジャケットを含め、他の形態の機器を採用してもよい。例えば、スマートフォンのジャケットには、ジャケットに対の金属板を備えて、ユーザがＣＰＲ中に傷病者の胸部を押し下げる力を測定するために使用される大容量コンデンサを形成することができ、当該感知した力は、スマートフォンの物理的ポートもしくは無線接続を介すなどしてスマートフォンに渡してもよい。患者のモニタリングおよびレポーティングを処理してもよい。

加えて、図示する論理フローは、望ましい結果を達成するのに、示される特定の順番または連続した順番である必要はない。加えて、説明するフローに他のステップを設けてもよく、またはステップを削除してもよく、説明するシステムに他のコンポーネントを追加しても、またはそれから省いてもよい。したがって、他の実施形態も以下の請求項の範囲内にある。

図７に図示するように、システム７００は、多数の異なる機器からのＥＭＳデータの高度データ管理、統合および提示を行う。一般に、システム７００は、モバイル環境７０１と、エンタープライズ環境７０２と、アドミニストレーション環境７０３とを含む。様々な環境７０１、７０２、７０３内の機器は、例えばインターネットなどのネットワーク７２０を介して通信可能に連結されている。

ここで使用する場合、「通信可能に連結」という語句は、そのもっとも広い意味において、情報を渡せるあらゆる連結を言うために使用される。したがって、例えば、通信可能に連結には、例えばワイヤによる電気的連結、例えば光ケーブルによる光学的連結、および／または例えば高周波もしくは他の伝送媒体による無線連結を含む。「通信可能に連結」には、例えば、ネットワークを介すなどした間接的な連結、または直接的な連結も含む。

ネットワーク７２０は、メッシュネットワークなどのアドホック、自己構成、自己修復ネットワーク２４００の形態をとってもよい。無線メッシュネットワーク２４００は、機器が特に不利な状況でネットワークを介してパケットを送信するときに互いに支援するマルチホップシステムである。当該アドホックネットワークは最小の準備で実施してもよく、数千の機器に拡張できる信頼性がありフレキシブルなシステムを提供できる。

無線メッシュネットワークでは、多数のノードが連携してメッセージをその宛先に中継する。メッシュトポロジはネットワークの全体的な信頼性を高め、これは過酷な産業環境で動作するときには特に重要である。インターネットおよび他のピア・ツー・ピアのルータベースのネットワークのように、メッシュネットワークはネットワーク全体に多数の冗長通信パスを提供する。あるリンクが何らかの理由で障害を起こす場合（強いＲＦ干渉の導入を含む）、ネットワークは自動的に代替パスを経由してメッセージを送る。メッシュネットワークでは、ノード間の距離を短くでき、これがリンク品質を飛躍的に高める。距離が２倍短くなると、得られる信号は受信者側で少なくとも４倍強力になる。これにより、個々のノードの送信機のパワーを増強せずにリンクをより信頼性のあるものにする。メッシュネットワークの伝送距離は、より多くのノードを追加するだけで、拡張され、冗長性が追加され、全体的な信頼性が高まる。

ネットワークは自己構成および自己修復ネットワークにしてもよい。ネットワーク２４００はシステム・アドミニストレータに、メッセージをその宛先に向かわせる方法を伝えなくてもよい。メッシュネットワークは自己組織化にすることができ、手作業で構成する必要はない。このため、新たなギアの追加または既存ギアの再配置は、それを差し込んでオンにするだけである。ネットワークは新たなノードを発見でき、それを自動的に既存システムに組み込む。

メッシュネットワークは本質的に信頼性があるだけでなく、高い適応性をもつこともできる。例えば、タンクレベルセンサおよびデータロガーがロバストなＲＦ通信リンクにとってはあまりに離れて配置されている場合、１つ以上の中継ノードを追加してネットワークのギャップを埋めてもよい。

インターネット上では、あるルータが故障すると、メッセージは他のルータにより代替パスを経由して送られる。同様に、メッシュネットワークの機器またはそのリンクが障害を起こす場合、メッセージは他の機器を介してその周辺に送られる。１つ以上のノードの欠損は必ずしもネットワークの動作に影響しない。メッシュネットワークは、メッセージのリルーティングに人の介在が必要ないため自己修復型である。当該ネットワークは冗長性およびスケーラビリティを提供する。

メッシュネットワークでは、冗長性の程度は本質的にはノード密度の関数である。ネットワークは余分なノードを追加するだけで信頼性について敢えて過剰設計することができるので、各機器はデータ送信のために２つ以上のパスを有する。これはほとんどの他の種類のシステムで可能であるよりも、冗長性を得る単純な方法である。メッシュネットワークは拡張可能でもあり、数百または数千のノードを扱うことができる。ネットワーク２４００の動作は中央制御ポイントに依存しないため、多数のデータ収集ポイントまたはゲートウェイを追加すると便利であろう。

信頼性、適応性およびスケーラビリティは、産業用制御および感知アプリケーションにとって無線ネットワークの優れた属性である。ポイント・ツー・ポイントネットワークは信頼性を提供するが、１対より多いエンドポイントを扱うように拡張するには厄介なことが多い。ポイント・ツー・マルチポイントネットワークはより多くのエンドポイントを扱うことができるが、その信頼性はアクセスポイントおよびエンドポイントの配置に依存することがある。メッシュネットワークは本質的に信頼性があり、環境またはアーキテクチャ上の制約事項に容易に適応し、数千のエンドポイントを扱うように拡張できる。

再び図７を参照すると、モバイル環境７０１は救急車または他のＥＭＳ車両、例えば車両用モバイル環境（ＶＭＥ）である。モバイル環境はデータ入力機器のローカルネットワーク、並びにフィールド環境で１人または複数人の患者の処置時に確立される診断および治療機器、すなわち「現場患者モバイル環境（Ａｔ Ｓｃｅｎｅ Ｐａｔｉｅｎｔ Ｍｏｂｉｌｅ Ｅｎｖｉｒｏｎｍｅｎｔ）」（ＡＳＰＭＥ）であってもよい。モバイル環境は、ＶＭＥおよびＡＳＰＭＥ、あるいはＶＭＥまたはＡＳＰＭＥのうちの１つ以上の組み合わせであってもよい。モバイル環境は、運転手７１２がモバイル環境の位置７０１を追跡し、モバイル環境７０１および緊急事態の位置、あるいはモバイル環境７０１または緊急事態の位置を突き止め、および搬送先を突き止めるために使用されるナビゲーション機器７１０を含んでもよい。ナビゲーション機器７１０は例えば全地球測位システム（「ＧＰＳ」）を含んでもよい。ナビゲーション機器７１０は、車両の速度、位置間の移動時間および予想到着時間に関する計算を行うように構成してもよい。ナビゲーション機器７１０は、車両を運転する運転手７１２を支援するために救急車の前方に配置される。ナビゲーション機器７１０は、例えば、ゾール・データ・システムズ社（Ｚｏｌｌ Ｄａｔａ Ｓｙｓｔｅｍｓ）［米国コロラド州ブルームフィールド（Ｂｒｏｏｍｆｉｅｌｄ）所在］から入手できるＲｅｓｃｕｅＮｅｔ（登録商標）ナビゲータ車載電子データ通信システムであってもよい。

患者モニタリング機器７０６および患者カルテ記録機器７０８は、モバイル環境７０１で患者の介護のためにも使用されることが多い。ＥＭＳ隊員７１４は患者モニタリング機器７０６を患者７１６に装着して患者７１６をモニタリングする。患者モニタリング機器７０６は、例えば、心拍数をモニタリングするためおよび心電計（「ＥＧＧ」）を生成するために、あるいは心拍数をモニタリングするためまたは心電計（「ＥＧＧ」）を生成するために患者７１６に装着するように構成されている電極およびセンサ、あるいは電極またはセンサを備える除細動器であってもよい。患者モニタリング機器７０６は、他の患者の状態を検出するセンサ、または他の患者の状態を導出もしくは計算するプロセッサを含んでもよい。例えば、患者モニタリング機器７０６は、血圧、体温、呼吸数、血中酸素濃度、呼気終末二酸化炭素濃度、肺機能、血糖値および／または体重をモニタリング、検出、処置、および／または導出もしくは計算してもよい。患者モニタリング機器７０６は、ゾール・メディカル・コーポレーション社（Ｚｏｌｌ Ｍｅｄｉｃａｌ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）［米国マサチューセッツ州チェルムスフォード（Ｃｈｅｌｍｓｆｏｒｄ）所在］のゾールＥシリーズ除細動器であってもよい。患者モニタリング機器は患者治療機器、または患者モニタリングおよび患者治療機能、あるいは患者モニタリングまたは患者治療機能を含む別の種類の機器であってもよい。

患者カルテ記録機器７０８は、ＥＭＳ隊員７１４が患者７１６の状態および／または患者に施す治療に関する記録および／またはメモを生成するように使用される機器である。例えば、患者カルテ記録機器７０８はある時刻に患者７１６に投与する薬の投与量を記すように使用されてもよい。患者カルテ記録機器７０８および患者モニタリング機器７０６、あるいは患者カルテ記録機器７０８または患者モニタリング機器７０６は、ＥＭＳ隊員が治療または診察時刻を手入力しなくてもよいように（または治療を施してからずいぶん経ってカルテ記録のために治療時刻を概算しようとしなくてもよいように）、ネットワークまたは人工衛星などの外部時刻ソースと同期できるクロックを有してもよい。患者カルテ記録機器７０８は、患者に関する出生情報および／または基本情報および／または履歴情報、例えば、患者の氏名、ＩＤ番号、身長、体重および／または病歴を記録するように使用されてもよい。患者カルテ記録機器７０８は、例えばゾール・データ・システムズ社（Ｚｏｌｌ Ｄａｔａ Ｓｙｓｔｅｍｓ）［米国コロラド州ブルームフィールド（Ｂｒｏｏｍｆｉｅｌｄ）所在］から入手できるＲｅｓｃｕｅＮｅｔ（商標）ｅＰＣＲスイート（ｅＰＣＲ Ｓｕｉｔｅ）のタブレットＰＣＲコンポーネントなど、タブレット型ＰＣとすることができる。いくつかの実施形態によると、患者カルテ記録機器７０８は、アップル社のアイフォンまたはアイパッドなど、ＢＯＡ機器７０４に通信可能に接続されて、患者７１６をどのように、いつ処置したかを示すように入力されてもよいタッチスクリーンまたは音声認識データ入力などの対話型データ入力インターフェースを備えるリストバンドまたはスマートフォンである。

ナビゲーション機器７１０、カルテ記録機器７０８およびモニタリング機器７０６はそれぞれ、患者搬送前、搬送中および搬送後のＥＭＳ運転手７１２および隊員７１４にとって非常に便利である。「救急車後部」（「ＢＯＡ」）機器７０４は各機器７０８、７１０、７１２からデータを受信、整理、格納および表示して、各機器７０８、７１０、７１２の便利さを一層高め、ＥＭＳ隊員７１４が通常はＥＭＳ隊員７１４が各機器７０８、７１０、７１２それぞれに視覚的および手の注意を向けなおす必要のある一定のタスクをはるかにやり易くする。言い換えると、ＢＯＡ機器は通常分散されて体系的ではない情報を集中化および体系化する。

機器７０４はここではＥＭＳ隊員７１４がこのようなディスプレイ機器を救急車後部７５２に搭載することから通常最も多くの便益を得るので「救急車後部」機器というが、当業者は、ここで提供される開示に基づいて、ＢＯＡ機器７０４の一部または全部をモバイル環境７０１、ＥＭＳ車両およびＥＭＳ隊員７１４、あるいはモバイル環境７０１、ＥＭＳ車両またはＥＭＳ隊員７１４にとって便利な他の場所のいずれかの部分に配置してもよいことは認識する。例えば、ＢＯＡ機器７０４は、救急車前部７５０に配置してもよく、および携帯可能で患者の住居に持ち込むことができるコンポーネントを含んでもよい、あるいは救急車前部７５０に配置してもよく、または携帯可能で患者の住居に持ち込むことができるコンポーネントを含んでもよい。

ＢＯＡ機器７０４は、患者モニタリング機器７０６、患者カルテ記録機器７０８およびナビゲーション機器７１０に通信可能に連結されている。ＢＯＡ機器７０４は記憶媒体７１８にも通信可能に連結されている。ＢＯＡ機器７０４はタッチスクリーン、フラットパネルＰＣであってもよく、記憶媒体７１８はＢＯＡ機器７０４の内部または外部に配置されてもよい。ＢＯＡ機器７０４は、ユーザ（例、ＥＭＳ隊員７１４）が機器７０６、７０８、７１０から収集されるおよび／またはそれらに送られる情報の様々な部分集合および／またはディスプレイモードを選択できるグラフィカル・ユーザ・インターフェースとして機能するディスプレイ・テンプレートを含んでもよい。

図８は、ＢＯＡ機器７０４のディスプレイ用のメニュー・テンプレート８００の一実施例を示す。メニュー・テンプレート８００はナビゲーションボタン８０２と、患者モニタリング機器ボタン８０４と、患者カルテ記録機器ボタン８０６と、「パッチノート」ボタン８０８と、プロトコルボタン８１０とを含む。ボタンのうちの１つを押すと、ユーザ（例、ＥＭＳ隊員７１４）には機器７０６、７０８、７１０からの情報の全部もしくは部分集合を表示する特定のページが表示される。図は１つ以上のＥＭＳ機器７０６、７０８、７１０からの情報が表示される特定の情報テンプレートの例を示している。

図９は、ユーザがナビゲーションボタン８０２を選択するときに表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェースを示す。ディスプレイのある部分はステータスセクション９０２を含み、ディスプレイの別の部分は地図セクション９０４を含む。ステータスセクション９０２はＥＭＳ車両の運行に関する情報を特定する１つ以上のフィールドを含む。例えば、ステータスセクション９０２のフィールドは、情報が表示されるＥＭＳ車両の名称を特定するユニットフィールド９０６、ＥＭＳ車両の１人以上の隊員を特定する隊員ユニット９０８、運行の状況を特定するステータスユニット９１０（例、「搬送中」または「患者に向かう途中」）、目的地への到着予定時刻を特定するＥＴＡフィールド９１２、ＥＭＳ車両の目的地を特定する目的地フィールド９１４（例、病院）、ＥＭＳ車両の目的地（例、病院）に連絡するための電話番号または他の情報を特定するパッチ情報フィールド９１６のうちの１つ以上を含んでもよい。

地図セクション９０４は、発生地、目的地、経路識別および進行状況とともに、あるいは発生地、目的地、経路識別または進行状況とともに道路情報を表示する。ナビゲーション機器７１０はディスプレイに車両ステータス情報を供給してもよく、これは搬送がまだ始まっていないときにも便利である。ユーザは様々なディスプレイのうちの１つ以上の間でディスプレイを連続的に切り替えるために、順送りボタン９１８を選択してもよい。図９に図示される情報は通常救急車７０１の前方の運転手７１２にしか利用できないが、ＢＯＡ機器７０４はナビゲーション機器７１０に通信可能に連結されているため、ＢＯＡ機器７０４はナビゲーション機器７１０に利用できる情報の全部もしくは選択される部分集合を表示できる。

地図セクション９０４では、地域の応答者が名乗り出ているか、または緊急派遣係により特定されている。上記のシステムはＥＭＴなどの応答者に追加機能を提供できてもよい。例えば、ナビゲーション機器７１０と通信状態にあるＢＯＡ機器７０４は、追加のマッピングおよびナビゲーション情報を、あるいは追加のマッピングまたはナビゲーション情報を提供するように構成されていてもよい。ＢＯＡ機器７０４は病院の目的地に関するステータス情報を表示してもよく、救急車７０１を適切な目的地に向かわせるために迂回路または代替目的地を示してもよい。ＢＯＡ機器７０４は、病院の能力（例、心臓専門、火傷専門）、受け付けられる保険、患者収容人数および現在の患者収容状態など、病院および他の目的地に、あるいは病院または他の目的地に関する特徴を表示してもよい。ＢＯＡ機器７０４は、患者７１６の予備登録または部分的な予備登録を可能にするために、病院または他の目的地のエンタープライズ・ワークステーション７２２と通信状態にあってもよい。対応力のない病院は対応できないと救急車の運転手７１２に表示される。ＢＯＡ機器７０４は、目的地の選択を容易にするために、当該情報を地図と同時におよび運転中に、あるいは地図と同時にまたは運転中に表示するように構成されてもよい。この情報はエンタープライズ・サーバ７２６または７２８および／もしくはエンタープライズ・ワークステーション７２２および／もしくはナビゲーション機器７１０からネットワーク７２０を介して取得してもよい。

ＢＯＡ機器７０４は、ＥＭＳ運転手７１２およびＥＭＳ隊員７１４を含め、あるいはＥＭＳ運転手７１２またはＥＭＳ隊員７１４を含めユーザと様々な方法で通信するように構成されてもよい。例えば、ＢＯＡ機器７０４はオーディオプロンプト、アラーム、スケジューリング、計時、およびオーディオストリームを、あるいはオーディオプロンプト、アラーム、スケジューリング、計時、またはオーディオストリームをＥＭＳユーザに提供するように構成されてもよい。ＢＯＡ機器７０４はブルートゥース（ＢＬＵＥＴＯＯＴＨ（登録商標））の接続性または機能を備えて構成して、ユーザが固有のブルートゥース機器をＢＯＡ７０４に接続しもしくは組み合わせて、音声情報を受信するおよび音声プロンプトを通信するか、あるいは音声情報を受信するかまたは音声プロンプトを通信するようにしてもよい。アラームは事件が発動すると、例えばＢＯＡ機器７０４が検出パラメータが受け入れ可能な範囲もしくは値を超えることを示すセンサから非同期イベント信号を受信すると、音を発するまたは視覚的に表示するように構成されてもよい。ユーザに特定の投薬スケジュールを知らせるために、例えば薬の最初の投与から一定量の時間が経過するとビーッという音を出すなど、音声および視覚的な、あるいは音声または視覚的な合図を使用してもよい。当該アラームおよびスケジュールは、あるいは当該アラームまたはスケジュールは、ユーザによって設定されるかもしくはカスタマイズされてもよく、またはアラームおよびスケジューリングのオプションの所定のセットから選択してもよい。

ＢＯＡ機器７０４は、役割ベースのデータおよびオーディオストリーム、あるいは役割ベースのデータまたはオーディオストリームを提供してもよい。例えば、ＣＰＲを行う隊員は患者の心臓状態に関して音声および視覚的な情報、あるいは音声または視覚的な情報を受信してもよいが、ＢＯＡ機器７０４はそのユーザの情報をマッピングおよびルーティングするなどして、あるいはマッピングまたはルーティングするなどして、他の情報を取り除いてもよい。非公開でカスタマイズされたフィードバックおよび情報は、あるいは非公開でカスタマイズされたフィードバックまたは情報は、その役割に応じてＥＭＳユーザに提供してもよい。

ＢＯＡ機器７０４はさらに、ＥＭＳ隊員に決定支援を提供してもよい。隊員７１４が入力した情報（例、患者カルテ記録機器７０８を介して）および患者モニタリング機器７０６から受信した情報、あるいは隊員７１４が入力した情報（例、患者カルテ記録機器７０８を介して）または患者モニタリング機器７０６から受信した情報に基づいて、ＢＯＡ機器７０４はその情報を内部もしくは外部のデータベースと比較して、鑑別診断および予測診断、あるいは鑑別診断または予測診断を表示するか、または伝達してもよい（例、ベクトルまたはＥＫＧ情報に基づいて）。例えば、ＢＯＡ機器７０４はＥＭＳ隊員７１４に症状および治療に対する反応、あるいは症状または治療に対する反応に基づく決定マトリックスを提示して、ＥＭＳ隊員７１４が、例えば対話型フォーマットで、可能性のある診断を判断するのを助けてもよい。ＢＯＡ機器７０４は隊員７１４または通信状態にある機器のうちの１つのいずれかから受信した情報に基づいて、プロトコルを提供するか、またはプロトコルにリンクしてもよい。

ある実施形態では、ＢＯＡ機器７０４のモニタを介した患者の生理的計測で、患者の病歴に関するデータがＢＯＡ機器７０４を介して入力されてもよい。鑑別診断は患者の病歴、患者の検査所見、並びにＥＣＧ、カプノグラフィおよびパルスオキシメトリのようなモニタリングを介した患者の生理状態の計測値がともに必要であるが、これらのデータ要素はユーザ・インターフェースに統合されて、これが自動的にまたは半自動的に様々なデータ要素をＢＯＡ機器７０４のアプリケーション内の単一の鑑別診断画面に統合される。ＢＯＡ７０４のインターフェースは、例えば呼吸困難または呼吸障害などの患者の症状もしくは訴えを提示する共通のリストからの選択を救助士に求めることから始める。患者の病歴および身体検査の所見をＢＯＡ機器７０４に入力すると、鑑別診断ページは徐々に診断候補を絞るであろう。心臓音の測定および検出は、モニタリング機器７０６に組み込まれてＳ３およびＳ４の心臓音を検出して、自動的に鑑別を絞るか、または救助士に心臓麻痺もしくは肺水腫のソフトウェア診断との一致を確認するよう提案する。パルスオキシメトリおよびカプノグラフィも非常に役立つ計測値で、より正確な診断のアルゴリズムに自動的に組み込んでもよい。

ある実施形態では、救助士は候補として一覧表示される病歴または身体検査の所見にカーソルを当てるだけにしてもよいので、それによって不必要なキー入力は最小限になる。候補所見または病歴の各リストの一番下は、普通は現在の症状とは一致しない所見または病歴に関して、「その他」のデータ入力位置とすることができる。ある実施形態では、これらの追加の所見、病歴または生理的計測値はより大きな鑑別診断データベースと比較して、計算した確率に基づいて、または他に考えられる原因が排除された場合には、救助士に他の可能性を提案できる。

１２の誘導データ（twelve-lead data）および他のＢＯＡ７０４機器データをエンタープライズ環境７０２に送って、エンタープライズ・ワークステーション７２２またはウェブベースの環境で表示および検索するか、あるいは表示または検索するのとほとんど同じように、ＢＯＡ機器７０４はエンタープライズ環境７０２から同様な情報を受信、表示および格納するように、あるいは受信、表示または格納するように構成されてもよい。例えば、患者がある病院から専門的な医療を受けるために別の病院に搬送される場合、病院は患者のバイタルおよび／または病歴および／または医師の推奨事項に関する情報をＢＯＡ機器７０４に送ってもよい。あるいは、病院は遠隔ＥＭＳ隊員が当該情報が保管されているデータベースに問い合わせて、ＥＭＳ隊員７１４にＢＯＡ機器７０４インターフェースを使用して、受信したい情報および情報量の選択を可能にするための電子認証を付与してもよい。このように、救急車７０１の隊員は、例えば、病院で患者に何が起こっているかを確認できる。

ＢＯＡ機器７０４は、音声認識ソフトウェアおよびテキスト音声変換ソフトウェア、あるいは音声認識ソフトウェアまたはテキスト音声変換ソフトウェアを含んでもよい。このように、ＢＯＡ機器７０４は１つ以上の機器から受信するテキストまたは数値データを読み取って、データをＥＭＳ隊員７１４に聞き取れるように伝達する音声信号を提供してもよいので、ＥＭＳ隊員７１４は患者または別の作業から視覚的注意を逸らす必要はない。ＢＯＡ機器７０４は音声コマンドプロンプトを認識してもよいので、ユーザは患者または手元の作業から手の注意を逸らさなければならない代わりに、音声によりＢＯＡ機器７０４の操作が可能になる。

ＢＯＡ機器７０４は、治療または診断時に、ＥＭＳ隊員７１４を助けるためおよび記憶、隊員評価、品質管理または後の再生のために、あるいはＥＭＳ隊員７１４を助けるためまたは記憶、隊員評価、品質管理または後の再生のために、患者モニタリング機器７０６などの機器に格納されている音声データを検索するように構成してもよい。例えば、患者モニタリング機器７１４は連続的なオーディオストリームを記録する除細動器であってもよい。ＢＯＡ機器７０４は連続的なオーディオストリームにアクセスして、一定の部分の選択的な再生を許可し、およびリモートアクセスもしくは記憶のために、あるいは一定の部分の選択的な再生を許可し、またはリモートアクセスもしくは記憶のためにオーディオストリームまたは音声ファイルを送信してもよい。ＢＯＡ機器７０４は、ＥＭＳ隊員７１４が現場の準備をするのを助けるために、ＥＭＳ隊員７１４が患者の元に到着する前でも、患者モニタリング機器７０６または他の機器から音声情報を受信できるようにも構成してもよい。

ＢＯＡ機器７０４は、例えば、ＢＯＡ機器７０４が接続している別の機器に搭載されているかまたはその一部であるウェブカメラ、またはスタンドアロン型ビデオカメラ、および／またはビデオキャプチャ機器など、映像モニタリング機器に接続するように構成されてもよい。例えば、救急車７０１の後部に取り付けられているビデオカメラまたは静止カメラは、エンタープライズ環境７０２および／またはアドミニストレーション環境７０３に格納および／または送信および／または再送信するためにＢＯＡ７０４に視覚データを提供してもよい。このような映像配信により、例えば、病院で待機している医師は、患者が到着する前に患者の状態を見ることが可能である。

臨床および非臨床両方の多数のＥＭＳ関連機器に接続してインターフェースで接続し、多数の機器から当該ＥＭＳ情報（臨床および非臨床の両方）を総計することのできるＢＯＡ機器７０４は、在庫モニタリングおよび管理のために構成してもよい。例えば、ＢＯＡ機器７０４はバーコードスキャナ、無線ＩＤタグ（「ＲＦＩＤ」）受信機もしくはトランシーバ、または他の在庫モニタリング機器に通信可能に連結してもよい。ＢＯＡ機器７０４は、医療機器、消耗品、薬剤、人員または他のものかどうかを問わず、特定のセットの在庫品目を追跡するデータベースを維持するまたはデータベースと通信してもよい。

例えば、ＢＯＡ機器７０４は、特定の救急車７０１に搭載されている機器、消耗品および薬剤の在庫を追跡するデータベースを含んでもよい。救急車７０１に新たしい機器が配備されると、新しい機器にはタグまたはバーコードまたは何か他の固有識別子を装備して、（例えば、バーコードスキャナでバーコードをスキャンすることにより）ＢＯＡ機器７０４は新しい在庫品目の有無を自動的に判定するか、または判定するように指示されるように構成されてもよい。ＢＯＡ機器７０４はユーザに、例えば、新品の品目、取り出された品目、調合された品目、廃棄された品目、移動された品目のように、ステータス更新要求を促してもよい。そのため、救急車７０１のシフトの始めでは、隊員はＢＯＡ機器７０４に問い合わせて搭載されている機器、消耗品および薬剤の在庫、あるいは機器、消耗品または薬剤の在庫を表示してもよく、不足品目の在庫を補充してもよい。薬剤が投与されると、ＢＯＡ機器７０４システムにおいてスキャンされて、その薬剤が投与されたので、補充するべきだということが表示される。シフトの最後に、隊員はＢＯＡ機器７０４を介して在庫を点検して、必要な消耗品を補充し、および／または適切な補充、モニタリングおよび／または検証活動のために第三者に在庫状況を伝えてもよい。

当該在庫情報は、遠隔での利用および格納のために、あるいは遠隔での利用または格納のためにＢＯＡ７０４によって伝達されてもよい。例えば、除細動器患者モニタリング機器７０６は各救急車７０１の各隊員に貸し出されることがあり、この情報はＢＯＡ機器７０４からネットワーク７２０経由でエンタープライズ・ストレージ・サーバ７２６に送られて、ここで多数の救急車７０１全体の当該情報を集計してもよい。リモート・エンタープライズ・ワークステーション７２２を使用するシフト監督者は当該データベースに問い合わせて、どの除細動器がどの救急車７０１の現場に貸し出されているかを判断してもよい。このように、ＢＯＡ機器７０４は中央システムに在庫情報を自動アップロードしてもよい。

ＢＯＡ機器７０４はＥＭＳ隊員７１４および患者７１６の安全性を追跡する機器（臨床および非臨床、あるいは臨床または非臨床）と接続するように構成されてもよい。例えば、ＢＯＡ機器７０４は、加速度計および／またはタイヤ圧センサ、および／または運転状態、運転挙動、安全レベル、および／または事件発生を追跡する他の車両関連センサに接続するように構成してもよい。ある実施形態によると、ＢＯＡ機器７０４は、運転手および患者の、あるいは運転手または患者の血中アルコール濃度を感知および推定するように、あるいは感知または推定するように使用できる酒気検知器に接続するように構成されてもよい。ＢＯＡ機器７０４は当該データを収集して、それをフィードバックフォーマットでユーザに表示し、および／または当該データを格納および／または遠隔評価のためにネットワーク７２０を介して送ってもよい。ＢＯＡ機器７０４は車両の保守スケジュールをモニタリングして、保守が必要または推奨されるときにはユーザに知らせてもよい。

ネットワーク７２０および他の機器７０６、１０８、７１０とも接続されているため、ＢＯＡ機器７０４は外傷または大災害的状況において救急本部および一種の「中継器」としての役割、あるいは救急本部および一種の「中継器」としての役割を果たしてもよい。例えば、ＢＯＡ機器７０４は、救急車７０１に外部および別の救急車７０１内の機器、あるいは外部または別の救急車７０１内の機器を含めた多数の機器に接続し、ＢＯＡ機器７０４のユーザに、例えば応答処置を見て管理することを許可するように構成されてもよい。このような構成は多数の機器（例、多数の除細動器または他の患者モニタリング機器）からデータをネットワーク７２０を介してエンタープライズ環境７０２およびアドミニストレーション環境７０３に、あるいはエンタープライズ環境７０２またはアドミニストレーション環境７０３に伝達することも可能にする。別の例では、前述したＢＯＡ機器７０４システムを備える１台の救急車７０１を大災害または外傷的状況に配備してもよく、ＢＯＡ機器７０４を多数の患者モニタリング機器７０６に接続してそこから情報を集計してもよい。監督者または状況管理者はＢＯＡ機器７０４を使用して、治療状態をモニタリングし、患者の医療ニーズに優先順位を付け、関連情報を外部の選択された介助者、病院および治療センターに、あるいは介助者、病院または治療センターに送信し、それに応じて物資を配分してもよい。

いくつかの実施形態によると、ＢＯＡ機器７０４は、それに接続される機器に診断を行う、および機器の自己診断を開始するように、あるいはそれに接続される機器に診断を行う、または機器の自己診断を開始するように構成されている。ＢＯＡ機器７０４は、ディスプレイに利用できるプロトコルをダウンロードさせ、および医療緊急事態をシミュレートすることにより、あるいはディスプレイに利用できるプロトコルをダウンロードさせ、または医療緊急事態をシミュレートすることにより（例、医療緊急事態または搬送中に多数の臨床機器および非臨床機器からの機器フィードをシミュレートする）、ＥＭＳ隊員７１４の訓練および教育、あるいは訓練または教育のためにも使用してもよい。

いくつかの実施形態によると、ＢＯＡ機器７０４は、ナビゲーション機器７１０（または他の所定の機器）とのその接続がオンラインかまたはオフラインかを示す視覚表示を提供する。ユーザは現在の患者情報ではなく過去のものを見ることを選択できる。例えば、ユーザは前の１２の誘導のサムネイルを見ることを選択してもよく、１２の誘導データのスナップショット集をエンタープライズ環境７０２（例、病院）に、例えばそれぞれ固有の連続番号を付けて送ることができる。エンタープライズのユーザ７２４はＢＯＡ機器７０４からパッチノートも見てもよいので、ＥＭＳ隊員７１４は電話でそれを伝える必要がない。

ＢＯＡ機器７０４は、ＢＯＡ機器７０４が接続されている各機器とその接続状態を一覧表示するドロップダウンメニュー・インターフェースを含んでもよい。ＢＯＡ機器７０４は、指紋リーダーまたは網膜スキャナなどの生体認証機器、またはキーパッドなどの非生体認証機器にも接続して、患者の身元確認および患者の医療カルテへのアクセス認証、あるいは患者の身元確認または患者の医療カルテへのアクセス認証を支援してもよい。当該カルテは、例えば、リモートデータベースに格納し、および別のエンティティによって格納、あるいはリモートデータベースに格納するか、または別のエンティティによって格納してもよい。

図１０は、データ伝送インターフェースを示す。ザンゴ（Ｚａｎｇｏ）機器（１ａ）は、以下のような多数の機能を行うように構成できる。
・除細動器の事故データブロックをフレーム化する。
・フレーム化された事故データをストリームする。
・事故データフレームをザンゴデータベースに保存する。
・ザンゴデータベースでデータ管理サービスのセットをホストする。
○ある実施形態では、データ管理サービスは読取／消去のみである。事故データを修正するサービスは提供されない。

「ＥＭＳ通信インターフェースチャネル」（１ａ、１ｂ、１ｃ）は患者モニタリングデータ（例、Ｅシリーズのデータ）をＢＯＡ機器７０４に送信するメカニズムを提供する。このチャネルは機器２０００を使用してＢＯＡ１０４に接続する。

ＲＮＩザンゴ・クライアント（１ｃ）は、以下のような多数の機能を行うように構成できる。
・ストリームされる事故フレームデータを受信する（１ｂ）。
・事故フレームデータをモバイルリンク・ディスプレイ（１ｅ）に提示する（構文解析、レンダリング、１ｄ）。
・事故フレームデータをモバイルリンク・データベース（１ｆ）に格納する。
・モバイルリンク・データベース（１ｆ）でデータ管理サービスのセットをホストする。
○いくつかの実施形態では、データ管理サービスは読取／消去のみである。事故データを修正するサービスは提供されない。
・１２の誘導ＥＣＧおよびバイタルデータをフィールドリンク（１ｇ）に転送する。
・ザンゴデータ管理サービス（１ｂ）を消費する。

以下の表は、ある実施形態に関して説明する図１０の様々な要素を一覧表示して説明する。

図１１は、ＥＭＳ通信インターフェース伝送処理のブロック図を示す。Ｅシリーズはデータの連続バイトストリームをＰＣＭＣＩＡデータスロットに書き込む。バイトストリームはＥシリーズのデータブロックメッセージから構成され、その一部は定期的に送られ、一部は一時的に送られる。定期的メッセージの例はｅｃｇメッセージである。Ｅシリーズは現在表示されている誘導のｅｃｇ値を１００ｍｓに１回書き込み、メッセージは２５のデータ値を含む（２５０Ｈｚサンプル、４ｍｓ間隔）。

一時的メッセージの例は生存兆候メッセージである。Ｅシリーズは、特定の生存兆候パラメータ値が変化したときに特定の生存兆候メッセージを送る。非同期メッセージは特定の頻度なく送られる。

バイトストリームは、ザンゴカードへの入力側で２つに分岐する。１つの分岐は、Ｅシリーズのリニアフラッシュ動作のすべてを複製しながら、データをオンボード（１６ＭＢ）リニアフラッシュに格納する。書き込まれたすべてのデータはリニアフラッシュサブシステムに格納される。インターフェースはハードウェアレベルで、待ち時間なしですぐにＥシリーズのバイトストリームを受信してフラッシュサブシステムに保存する。

２番目のバイトストリームの分岐は、ザンゴカードのプロセッサ側に入る。ザンゴカードのプロセッサ側は、図１１に図示する論理動作を行うバイトストリームを処理するように機能する。障害のない場合には、バイトストリーム受信機はバイトをバイトブロックファクトリに渡す。バイトブロックファクトリはバイトストリームからのＥシリーズのデータブロックメッセージを再構築する。この動作で、１２の誘導ｅｃｇデータブロックは、事故パスに向かう個別のパスで再構築されて、管理される（１２の誘導データブロックのセットは１２の誘導メッセージ全体に集められる）。１２の誘導データは事例ストリームに全体的に保存される。これらを個別に格納する理由の一つは、サービスのユーザが、１２の誘導データを得るために事故全体にアップロードするのではなく、サービスチャネルで１２の誘導記録を見ることを要求することが可能なためである。

ブロックはさらに、データブロックの構成可能な時間間隔の量にフレーム化される。例えば、サイズが１秒のフレームは、１秒フレームに約１５のデータブロックを有するであろう。フレームは事例または事故の構成体に集められる。フレームはザンゴデータベースに格納される。完全な事故はそれが完了したときに事故としてマークされて（全事故フレームの集合体）、管理される。フレームはまた、図１２に関して以下述べるＲＮＬザンゴ・クライアントなどの許可クライアントアプリケーションによって受信できる場合、ＷｉＦｉにストリームされる。

図１１のボックスの上列は、発生したデータ障害のリスク管理のための検出およびエラー処理プロセスを表す。バイトストリーム、ブロック、フレーミング、１２の誘導、または事故のエラーはすべて以下の挙動を引き起こす。
・データは無効とマークされる。
・無効なデータは事故の救急治療フェーズ中ユーザが見るためにレンダリングされない。
・データはフォレンジック分析のための無効としてマークされた状態で格納される。
・これらの障害のどれも事故を無効とマークさせる。
・ＲＮＬへの接続性を前提として、救急医療スタッフにデータ障害が通知される。

これらは発生したデータ障害のハザード分析まで直接遡る管理手段および挙動である。
図１２は、ＥＭＳ通信インターフェース機器クライアントアーキテクチャを示す。場合によっては、ＲＮＬへのザンゴの接続性は、モバイル環境の無線通信の性質のために揮発性であってもよい。例えば、ザンゴカードが装備されるＥシリーズは、接続されていた無線アクセスポイントの範囲外に移動してもよい。機器が範囲内に戻って再接続すると、図示される処理を再開する。ＲＮＬに接続していないときにＥシリーズによって書き込まれたデータは、ザンゴデータベースに残され、再接続するとＲＮＬで取得できる。

図１２のボックスの上列は、発生したデータ障害および通信障害のリスク管理のための検出およびエラー処理プロセスを表す。ストリームされるデータで検出された完全性またはフレーミングの障害は以下の挙動を引き起こす。
・データは無効とマークされる。
・無効なデータは事故の救急治療フェーズ中にユーザが見るためにレンダリングされない。
・データはフォレンジック分析のための無効としてマークされた状態で格納される。
・これらの障害のどれも事故を無効とマークさせる。
・救急医療スタッフに、１２の誘導または事例フレームのいずれかについてデータ障害が通知される。
・救急医療スタッフに通信障害が通知される。
・救急医療スタッフにサービス障害が通知される。

サービス応答の妥当性が検証されて、無効なサービス応答はユーザに通知されて、無効なデータは表示されない。ザンゴとザンゴ・ストリームチャネルレシーバとの接続性ステータスはモニタリングされて、モバイルリンク・ディスプレイでユーザに報告される。ザンゴとＲＮＬとの間の接続性が失われても、接続状態に関係なくザンゴがデータをザンゴデータベースに格納するためデータは失われない。サービスチャネルの接続性は連続的にはモニタリングされず、サービス接続性が存在しない場合にはサービス要求は失敗する（応答無効）。

Claims (26)

1. 医療応答者に情報を通信するためのコンピュータ実装方法であって、
   複数の個人を医学的問題の潜在的応答者として登録すること、
   中央サービスで、緊急事態の発生を示す通報を受信し、かつ前記緊急事態の位置を特定する情報を受信すること、
   緊急派遣係にディスプレイを提供して、前記緊急事態の位置の地理的に近くにいる登録された複数の個人のうちの１人以上の位置を通知すること、
   前記登録された複数の個人のうちの１人以上から、前記緊急事態に応答するよう要請を受信する１人以上の登録個人を特定すること、
   前記１人以上の登録個人に、前記緊急事態の位置を特定する情報を送信することを備え、
   前記１人以上の登録個人は、前記緊急事態の周辺地域で救命サービスを提供する責任を割り当てられていない一般応答者を含み、
   緊急事態の専門応答者と、前記緊急事態に関する通知に応答して対応できると名乗り出た一般応答者との間で、電子音声接続を開始することをさらに備える方法。
2. 前記複数の潜在的応答者を登録することは、インターネットアクセス可能なサインアップソフトウェアアプリケーションに投稿すること、および前記サインアップソフトウェアアプリケーションを使用して一般市民からボランティアを登録することを含む、請求項１に記載の方法。
3. 第三者機関で、前記ボランティアが所定レベルの医療を提供する資格を有することを検証することを備える、請求項２に記載の方法。
4. 前記ボランティアが所定レベルの医療を提供する資格を有することを検証することは、前記ボランティアがＣＰＲ認定を受けていることを検証することを含む、請求項３に記載の方法。
5. 前記ボランティアは所定レベルの医療を提供する資格を有するかどうかを定期的に判定すること、および前記ボランティアのうちの１人または複数が前記所定レベルの医療を提供する資格がすでにない場合には、該１人または複数のボランティアを医学的問題の応答者として考慮の対象外とすることを備える、請求項４に記載の方法。
6. 前記緊急事態の位置を特定する情報を送信することは、前記１人以上の登録個人に対応する機器識別子を特定すること、および前記機器識別子に対応する機器に前記情報を送信することを含む、請求項１に記載の方法。
7. 前記１人以上の登録個人に、前記緊急事態の近くにある登録医療器具の位置を特定する情報を送信することを備える、請求項１に記載の方法。
8. 前記１人以上の登録個人のうちの最初の人から応答を受信すること、および前記１人以上の登録個人のうちの前記最初の人に対応する携帯電話と前記１人以上の登録個人のうちの別の人または緊急派遣係との間で音声接続を自動的に形成することを備える、請求項１に記載の方法。
9. 前記１人以上の登録個人のうちの最初の人が前記要請に肯定応答したかどうかを判定すること、および前記最初の登録個人が肯定応答した場合に限り、前記最初の登録個人に前記緊急事態の位置を特定する情報を送信することを備える、請求項１に記載の方法。
10. 前記１人以上の登録個人のうちの１人に割り当てられる機器から、前記機器のセンサによって収集したデータを受信すること、および前記受信したデータを、前記緊急事態を取り巻く活動に対応するイベント識別子に関連付けて格納することを備える、請求項１に記載の方法。
11. 前記緊急事態を取り巻く活動中に前記１人以上の登録個人から受信した情報を格納すること、格納された情報を分析のために提供することを備える、請求項１に記載の方法。
12. 前記１人以上の登録個人のうちの少なくとも１人の等級を前記格納された情報に基づいて調整することを備え、
    前記等級は医療呼び出しに対する応答における前記個人の習熟度を示す、請求項１１に記載の方法。
13. 前記格納された情報を分析することによって、応答者を緊急呼び出しに派遣する手順を変更することを備える、請求項１１に記載の方法。
14. 前記１人以上の登録個人に対応する機器に、緊急事態の位置および前記１人以上の登録個人の位置を示す地図を自動的に生成するデータを提供することを備える、請求項１に記載の方法。
15. 緊急事態に対する応答者の行動を調整するためのコンピュータ実装システムであって、
    通報者から緊急事態の通知を受信して、専門応答者を派遣するように構成されている緊急派遣サーバと、
    通報された緊急事態付近にいる一般応答者を特定して、前記一般応答者にその地域で緊急事態が通報されたことを通知する通知システムであって、前記一般応答者は救命機関によりその地域の緊急事態に対応する責任を割り当てられていない、前記通知システムと、
    緊急事態の専門応答者と、前記通知システムからの通知に応答して対応できると名乗り出た一般応答者との間で、自動電子音声接続を形成するようにプログラミングされている応答者間通信システムと、
    を備える、システム。
16. ＣＰＲ胸部圧迫を練習して、一般市民から前記通知システムによって一般応答者として特定されるボランティアを登録するためのアプリケーションを利用できるようにする公開アクセス可能アプリケーションストアを備える、請求項１５に記載のシステム。
17. 前記通知システムは、第三者機関により、前記ボランティアが所定レベルの医療を提供する資格を有することを検証するようにプログラミングされている、請求項１６に記載のシステム。
18. 前記ボランティアが所定レベルの医療を提供する資格を有することを検証することは、前記ボランティアがＣＰＲ認定を受けていることを検証することを含む、請求項１７に記載のシステム。
19. 前記通知システムは、前記ボランティアが所定レベルの医療を提供する資格を有するかどうかを定期的に判定して、前記ボランティアのうちの１人または複数が前記所定レベルの医療を提供する資格をすでに有していない場合、該１人または複数のボランティアを医学的問題に対する応答者として考慮の対象外とするようにプログラミングされている、請求項１８に記載のシステム。
20. 前記通知システムは、医学的問題を有する特定の人の位置を特定し、１人以上の登録ボランティアに対応する機器識別子を特定し、前記機器識別子に対応する機器に前記位置を表すデータを送信するようにプログラミングされている応答者トラッカーを含む、請求項１６に記載のシステム。
21. 前記通知システムは、１人以上の登録ボランティアに、医学的問題を有する特定の人の近くにある登録医療器具の位置を特定する情報を送信するようにさらにプログラミングされている、請求項１６に記載のシステム。
22. 前記通知システムに１人以上の一般応答者の所有物として登録される通信機器間の音声接続を自動的に行う音声通信システムをさらに備える、請求項１５に記載のシステム。
23. 前記通知システムは、１人以上の一般応答者に、緊急事態への応答要請を送信し、前記１人以上の一般応答者のうちの最初の人が前記応答要請に肯定応答したかどうかを判定し、前記最初の一般応答者が肯定応答した場合に限り、前記最初の一般応答者に前記緊急事態の位置を特定する情報を送信するようにさらにプログラミングされている、請求項１５に記載のシステム。
24. 緊急事態を取り巻く活動中に一般応答者から受信する情報を格納し、格納される情報を分析のために提供するように管理されるイベントデータベースをさらに備える、請求項１５に記載のシステム。
25. 一般応答者の等級を前記格納された情報に基づいて調整するようにプログラミングされている評価モジュールを備え、前記等級は緊急事態に対する対応における一般応答者の習熟度を示す、請求項２４に記載のシステム。
26. 一般応答者に対応する機器に、前記緊急事態の位置および１人以上の一般応答者の位置を示す地図を自動的に生成するためのデータを提供するマッピングサーバを備える、請求項１５に記載のシステム。