JP5868777B2 - 目に優しい短焦点型プロジェクター用マーカーボード - Google Patents

目に優しい短焦点型プロジェクター用マーカーボード Download PDF

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Description

本発明は、表面に琺瑯層を形成してなる白板(マーカーボードともいう)に係り、とくに、優れた白板機能と優れたスクリーン機能とを兼備し、「目に優しい」琺瑯製白板に関する。なお、本発明でいう「優れた白板機能」とは、マーキングペン(以下、マーカーともいう)で文字、画像等を書き易く、見やすく、また書いた文字、画像等を消去しやすい機能を有することを意味する。また、「優れたスクリーン機能」とは、短焦点プロジェクターで文字等の映像を投影した際に、文字等の映像が鮮映に映写できる機能を有することを意味し、また「目に優しい」とは、プロジェクター等で外から投影された光によるハレーションが抑制されて、眩しさが軽減され、またマーカーで描いた文字等が鮮明で、目が疲れにくいことを意味する。
最近では、種々の講演、講義、説明等では、スライド、OHP等の各種プロジェクタを利用して、予め用意した資料をスクリーンに映写し、指示棒等で指しながら説明等を行う場合が一般的となってきたが、スクリーン以外に補助として、白板(マーカーボード)を利用する場合が多い。そのため、表面に文字、画像等をマーカーで消去可能に描ける白板機能を有し、かつ各種プロジェクタで映像を投影することができるスクリーン機能をも有する白板、あるいはスクリーン機能と白板機能とを兼備したスクリーン等が提案されている。
例えば、特許文献1には、ほうろう製マーカー・スクリーン兼用ボードが提案されている。特許文献1に記載された技術は、基板上に、表面の光沢度Gs(45°)を30〜60%の範囲にしたほうろう層を形成したことに特徴がある。特許文献1に記載された技術によれば、マーカーボードに要求される平滑性と映写スクリーンに要求される明るさおよび反射輝度とが良好で、マーカーによる描画性と消去性に優れ、ハレーション性が抑制された、マーカー・スクリーン兼用ボードが得られるとしている。
また、特許文献2には、投射スクリーン兼用筆記板が記載されている。特許文献2に記載された技術は、筆記面を、光沢度が70%以下、へース値が3.0%以上、中心線粗さRaが1μm以下の反射防止層を設けたことを特徴としている。これにより、筆跡消去性に優れ、かつ投影画像が鮮明で、筆記板としてもスクリーンとしても利用可能であるとしている。
また、特許文献3には、多目的筆記ボードが記載されている。特許文献3に記載された多目的筆記ボードでは、筆記面とするための加工を施し、筆記面を薄有色とし、表面粗さを最大高さRy:4.9〜10.5μmの範囲に設定した筆記ボードである。これにより、チョークボードとしてもマーカーボードとしても、さらにスクリーンとしても利用可能となるとしている。
最近では、プロジェクターの開発、とくに短焦点型のプロジェクターの開発が進み、例えば図1に模式的に示すように、プロジェクターをマーカーボード等に一体的に設置したプロジェクター付きマーカーボードが提案されている。
例えば、特許文献4には、ホワイトボードに転倒防止機構を取り付け、プロジェクターを付設することを可能にしたプロジェクター付きホワイトボードが提案されている。また、特許文献5には、移動可能な黒板スタンドにホワイトボード等の通常黒板を設置し、この通常黒板表面に投影するためのビデオプロジェクターを取付け枠に取り付けた黒板装置が記載されている。特許文献5に記載された技術によれば、黒板に一対的にビデオプロジェクターを設置したため、映像を直接、黒板表面に投影可能になるとしている。
特開平02―153080号公報 特開平04−229299号公報 特開2008−100401号公報 実用新案登録第3170483号公報 特開2009−172783号公報
従来のマーカーボードでは、描書時の文字認識性、文字消去性を考慮して白系で高光沢の表面を有しており、眩しく目が疲れる傾向となっていた。また、マーカーボードにスクリーン機能を付加した場合には、低光沢な表面とする傾向であるため、粗さが粗くなり文字消去性に問題を残していた。
また、特許文献4、5には、マーカーボード等に要求される、特別なスクリーン機能、マーカーよる文字認識性、消去性(筆記性)等についての言及はなく、特許文献4、5に記載された技術では、短焦点型のプロジェクターを使用した場合、必ずしも最適なスクリーン機能(映像認識性)を有しているとはいえないという問題を残していた。また、特許文献1、2、3に記載された技術では、短焦点型のプロジェクターを用いることは全く考慮されておらず、短焦点型のプロジェクターを用いた場合、映像認識性に問題を残していた。
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、短焦点型のプロジェクターを用いて映写した際に、映像を鮮明に認識でき、スクリーンとして映像認識性に優れ、かつマーカーで書いた文字、画像が着き易く鮮明でマーカー文字認識性に優れ、さらにマーカーで書いた文字、画像が容易に消去できマーカー文字消去性にも優れた、短焦点のプロジェクターの映写に適したスクリーン機能および白板(マーカーボード)機能とを兼備し、しかも眩しくなく、かつ疲れにくい、目に優しい短焦点型プロジェクター用マーカーボードを提供することを目的とする。ここでいう「短焦点型プロジェクター」とは、例えば図1に示すように、ボード面に近接した位置(例えばボード面から約500mm程度離れた位置)から、ボード面に対し傾いた角度(例えば光束の中心で約55°程度傾いた)で、投影可能なプロジェクターをいう。なお、本発明が目的とするマーカーボードは、金属基板の外表面に少なくとも1層の琺瑯層を有する琺瑯製マーカーボードとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、短焦点型のプロジェクターによる映写、およびマーカーによる描画、消去に影響するマーカーボードの各種特性について鋭意研究した。その結果、短焦点型のプロジェクターを取り付けて、マーカーボードに投影する際には、プロジェクターからの投影がマーカーボード面に対し斜めに傾いた角度で行われるため、従来のような、マーカーボード面に対し垂直に投影するプロジェクターを使って投影する場合に要求される特性とは異なる、短焦点型プロジェクター用として特別なマーカーボード面特性があることを知見した。
というのは、短焦点型のプロジェクターを取り付けてマーカーボードに映像を投影する場合には、マーカーボード面に相対して、投影された映像を観察する人にとっては、マーカーボード面からのハレーションが目に入らないことになり、マーカーボード面の反射特性についてはとくに考慮しなくてもよいことを知見したことによる。
そして、短焦点型プロジェクター用として好適な、琺瑯製マーカーボードとしては、表面琺瑯層を、JIS B 0601−2001に規定される表面粗さRaで0.20〜0.35μmである表面粗さとし、グレー系でかつJIS Z 8721−2001に規定される明度Vで7.8〜8.3である色調で、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)で50〜70%である表面光沢度に調整した表面琺瑯層とすることがよいことを見出した。これにより、短焦点型プロジェクターによる映像認識性が向上し、短焦点型プロジェクター映写に適した映像認識性と、かつマーカーによる文字認識性および文字消去性に優れ、しかも眩しくなく、かつ疲れにくい、目に優しいマーカーボードとすることが可能となることを知見した。
本発明はかかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)金属基板上に、少なくとも1層の琺瑯層を有するマーカーボードであって、前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が、JIS B 0601−2001に規定される算術平均高さRaで0.20〜0.35μmである表面粗さと、JIS Z 8721−2001に規定される明度Vで7.8〜8.3である色調と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)で50〜70%である光沢度と、さらにグレー系の色とを有し、短焦点型プロジェクターの映像認識性に優れ、かつマーカーによる文字認識性および文字消去性に優れ、目に優しいことを特徴とする短焦点型プロジェクター用マーカーボード。
(2)(1)において、前記金属基板が、冷延鋼板、あるいはアルミめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板であることを特徴とする短焦点型プロジェクター用マーカーボード。
本発明によれば、短焦点型プロジェクターによる投影に際して映像認識性に優れ、短焦点型プロジェクター映写に適した眩しくなく、目に優しいマーカーボードとなるとともに、マーカーによる文字認識性および文字消去性にも優れ、目が疲れにくく、目に優しいマーカーボードが得られ、産業上格段の効果を奏する。
マーカーボード等に、短焦点型のプロジェクターを一体的に取り付けた一例を模式的に示す説明図である。
本発明になるマーカーボード(白板)は、金属基板上に少なくとも1層の琺瑯層を有する琺瑯製マーカーボード(白板)である。本発明では、使用する金属基板の種類は、とくに限定されるものではないが、冷延鋼板とすることが好ましい。金属基板として使用する冷延鋼板には、金属基板と釉薬との密着性を向上させるために、Niめっきを施すことが好ましい。なお、冷延鋼板としては低炭素鋼板、ステンレス鋼板等が例示できる。低炭素鋼板のC含有量は、mass%で0.0200%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.0100%以下、さらに好ましくは0.0080%以下である。
また、金属基板としては、アルミニウムめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板としてもよい。Zn−Al合金めっき鋼板としては、Al含有量が4〜70mass%、残部Znおよび不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板が例示できる。なお、めっき層には、めっき皮膜特性向上のための添加物質を含有してもよいことは言うまでもない。
上記した金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層は、JIS B 0601−2001に規定される算術平均高さRaが0.20〜0.35μmである表面粗さと、JIS Z 8721−2001に規定される明度Vが7.8〜8.3である色調と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)が50〜70%である光沢度と、グレー系の色とを有する。なお、本発明でいう明度Vは、JIS Z 8722−2000に規定される色の測定方法に準拠して測定し、JIS Z 8721−2001に規定される色の表示方法に準拠して表示される値を用いるものとする。
本発明のマーカーボードは、まず従来のマーカーボードと同等程度の、マーカー文字認識性、マーカー文字消去性を有し、「目が疲れない」、さらに短焦点型のプロジェクターによる映写に際し、優れた映像認識性を有し「眩しくなく」、「目に優しい」マーカーボートであることを必要とする。
そのため、まず、マーカーで描書された文字、画像等が見えやすくなる、優れたマーカー文字認識性を確保するために、本発明では表面琺瑯層を、JIS Z 8721−2001に規定される明度Vが7.8〜8.3であるグレー系色調の琺瑯層とする。
明度Vが7.8未満では、暗くなりすぎて文字が不鮮明となり、目が疲れやすく、目に優しくなくなる。一方、明度Vが8.3を超えて大きくなると、明るくなりすぎて、眩しく目が疲れやすく、目に優しくなくなる。このようなことから、表面琺瑯層の明度Vは7.8〜8.3の範囲に限定した。また、表面琺瑯層をグレー系の色にすることにより、短焦点型のプロジェクターによる映写に際し、映し出された映像が鮮明となる。表面琺瑯層が白色系では、ハレーションが強くなり、眩しく目が疲れやすく、目に優しくなくなり、暗色系が強くなると、映像認識性が低下する。このようなことから、表面琺瑯層をグレー系の色に限定した。
なお、琺瑯層の色調、明度は、添加顔料の種類、添加量により調整することができる。明度Vを7.8〜8.3に調整するには、顔料として、青色系の顔料、好ましくはコバルト(Co)またはそれらの酸化物を単独あるいは複合して添加することが好ましい。
また、琺瑯層の色をグレー系とするためには、顔料として、青色系顔料、ピンク色系顔料、黒色系顔料、灰色系顔料、黄色系顔料、茶色系顔料をそれぞれ単独あるいは複合して添加することが好ましい。
また、本発明では、マーカーで描書された文字、画像等を書きやすくかつ消去しやすくなる、マーカー文字認識性、マーカー文字消去性を確保するため、表面琺瑯層の表面粗さを、JIS B 0601−2001に規定される算術平均高さRaが0.20〜0.35μmとなるように調整する。なお、好ましくはRaで0.22〜0.33μm、さらに好ましくは0.23〜0.24μmである。
表面琺瑯層の表面粗さRaが0.20μm未満では、平坦に近づきすぎ、ハレーションが大きくなり、映写性が低下し、眩しく目が疲れやすく、目に優しくなくなる。また、鏡面に近づくため、外影、すなわち周囲の景色や照明の残像の写り込みにより、文字認識性が低下する。一方、Raが0.35μmを超えると、表面の凹凸が大きくなりすぎて、マーカー文字消去性が低下する。なお、上記した表面琺瑯層の表面粗さは、金属基板に塗布する釉薬の組成と、釉薬塗布後の焼成条件の組み合わせを適正範囲とすることにより、達成できる。
また、本発明では、表面琺瑯層を上記した表面粗さ、上記した明度Vの範囲内とし、さらに光沢度を、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)が50〜70%となるように調整する。Gs(45°)が50%未満では、ハレーションが少なく目が眩しくなく疲れないが、マーカー文字消去性が低下する。一方、Gs(45°)が70%を超えると、ハレーションが激しくなり、短焦点型プロジェクターによる映写に際し、映像認識性が低下し、また、景色や照明の写り込みにより文字認識性が低下し眩しく目が疲れやすくなる。このようなことから、表面琺瑯層の光沢度を、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)で50〜70%に限定した。なお、短焦点型プロジェクターによる映像認識性の観点から、61〜69%とすることが好ましい。なお、より好ましくは63〜67%である。なお、表面琺瑯層の上記した範囲の光沢度は、フリット(釉薬)の組合せを調整することにより得られる。
上記した特性を有する表面琺瑯層は、白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)にさらに、白色系チタンマット釉薬(白色系チタンマットフリット)を配合した琺瑯上釉薬を用いて形成された琺瑯層とすることが好ましい。なお、表面琺瑯層の厚さは、剥離性の観点から200μm以下とすることが好ましい。なお、さらに好ましくは150μm以下である。
上記した琺瑯上釉薬を用いて形成された表面琺瑯層は、質量%で、SiO2:20〜50%、TiO2:10〜30%、さらに、Al2O3:0〜10%、Na2O、K2O、Li2Oから選ばれた1種または2種以上を合計:5〜30%、B2O3:0〜30%、P2O5:0〜10%、F2:0〜10%、ZrO2:0〜10%、MgO:0〜5%、CaO:0〜5%を含む、琺瑯層とすることが好ましい。なお、本発明では、表面琺瑯層には、所望の色を得るために、青色系顔料、ピンク色系顔料、黒色系顔料、灰色系顔料、黄色系顔料、茶色系顔料のうちから選ばれた1種またはそれ以上の顔料を合計で10質量%以下含むことは言うまでもない。
次に、本発明マーカーボードの好ましい製造方法について、説明する。
本発明のマーカーボードは、金属基板の表面に、琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成したのち、あるいは下地琺瑯層を形成することなく、ついで琺瑯上釉薬を塗布し、600〜850℃で焼成し表面琺瑯層を形成する製造方法で製造することが好ましい。なお、金属基板は、冷延鋼板、あるいはアルミめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板とすることが好ましい。なお、琺瑯上釉薬は、白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)に、白色系チタンマット釉薬(白色系チタンマットフリット)を配合した釉薬とすることが好ましい。
金属基板として冷延鋼板を用いる場合には、好ましくは冷延鋼板にNiめっきを施したのち、冷延鋼板(金属基板)表面に琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成する。琺瑯下釉薬としては、とくに限定されるものではなく、従来の琺瑯製マーカーボードで使用される琺瑯下釉薬がいずれも好適である。琺瑯下釉薬の塗布は、スプレー、ロールコータ等の公知の塗布方法がいずれも適用できる。
琺瑯下釉薬としては、なかでも、例えば、固形分全量に対する質量%で、SiO2:20〜80%含有し、残部として、TiO2:0〜15%、ZrO2:0〜20%、B2O3:0〜25%、Al2O3:0〜25%、Na2O:0〜20%、Li2O:0〜20%、K2O:0〜20%、PbO:0〜40%、ZnO:0〜50%、BaO:0〜15%、CaO:0〜15%、CaF2:0〜10%、CoO:0〜20%、NiO:0〜20%、MnO:0〜20%などを含有するグランドコート釉薬(グランドコートフリット)とすることが好ましい。
得られた下地琺瑯層の表面に、琺瑯上釉薬を塗布し、その後、600〜850℃で焼成し表面琺瑯層を形成する。琺瑯上釉薬の塗布は、スプレー、ロールコータ等の公知の塗布方法がいずれも適用できる。
琺瑯上釉薬は、白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)50〜90質量%に、白色系チタンマット釉薬(白色系チタンマットフリット)10〜50質量%を添加した釉薬とすることが好ましい。
上記した琺瑯上釉薬に、さらに必要に応じて各種添加物および顔料と、水とを混合し、得られた混合物を粉砕して泥状物(スリップ)として、基板に塗布することが好ましい。なお、顔料として、マーカーボードの所望の色調に合わせて、青色系顔料、ピンク色系顔料、黒色系顔料、灰色系顔料、黄色系顔料、茶色系顔料のうちから選ばれた1種または2種以上の顔料を複合して添加する必要がある。顔料の添加量としては、フリット:100重量部(焼成後の重量換算)に対し合計で10重量部以下とすることが好ましい。添加量が10重量部を超えて多くなると、スリップの流動性が低下する。
なお、白色系チタングロス釉薬(白色系チタンフリット)としては、固形分全量に対する質量%で、SiO2:20〜50%、TiO2:10〜30%、B2O3:5〜20%、K2O+Na2O+Li2O:5〜25%を含み、さらに、Al2O3:0〜5%、P2O5:0〜10%、MgO:0〜5%、CaO:0〜3%、F2:0〜10%などを含む釉薬とすることが好ましい。
また、白色系チタンマット釉薬(白色系チタンマットフリット)としては、固形分全量に対する質量%で、SiO2:20〜50%、TiO2:10〜30%、K2O+Na2O+Li2O:5〜20%含有し、さらに、Al2O3:0〜10%、B2O3:0〜5%、ZrO2:0〜10%、CaO:0〜3%、MgO:0〜5%、F2:0〜10%などを含む釉薬とすることが好ましい。
琺瑯上釉薬を塗布したのち、600〜850℃で焼成する。
焼成温度が、600℃未満では、表面粗さが粗くなりすぎる。一方、850℃を超えると、表面が平滑になりすぎて、マーカー文字認識性、マーカー文字描書・消去性が低下する。
また、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板を用いる場合には、金属基板表面に、琺瑯上釉薬を塗布し、400〜600℃で焼成し表面琺瑯層を形成することが好ましい。なお、この場合には、めっき層の溶融防止の観点から、低融点の琺瑯上釉薬を用いる必要がある。このため、上記した白色系チタンマット釉薬に代えてリン酸を配合した釉薬を配合してなる琺瑯上釉薬とすることが好ましい。リン酸を配合した釉薬中のリン酸の含有量は、40質量%以上、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70%以下とすることが好ましい。
リン酸を配合した釉薬(フリット)としては、P2O5:40〜80%を含有し、残部として、SiO2:0〜40%、Al2O3:0〜50%、B2O3:0〜25%、Na2O:0〜20%、K2O:0〜20%、Li2O:0〜20%、TiO2:0〜30%、Sb2O3:0〜25%、ZnO:0〜20%、BaO:0〜15%、CaO:0〜15%、MgO:0〜5%、PbO:0〜10%、SrO:0〜20%などを含む釉薬とすることが好ましい。
また、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板を用いる場合、焼成温度が、400℃未満では、琺瑯層の密着性が低下する。一方、600℃を超えると、めっき層が溶融するという問題が生じる。
金属基板としてC:0.0050質量%の低炭素冷延鋼板(KTM:板厚0.35mm×幅1190mm)を用いた。冷延鋼板表面には、硫酸ニッケル浴中でニッケルめっき層を形成した。ついで、ニッケルめっきされた冷延鋼板の両表面に、琺瑯下釉薬をロールコータ法で塗布したのち、800℃で焼成し乾燥厚さで30μmの下地琺瑯層(グランドコート)を形成した。
なお、琺瑯下釉薬は、SiO2系釉薬(グランドコートフリット)に、粘土、炭酸マグネシウム、硼砂、シリカ等と、さらに水を添加し、ボールミルで混合、粉砕してスリップとしたものを使用した。
ついで、得られた下地琺瑯層の一方の表面に、琺瑯上釉薬をスプレー法で塗布したのち、750〜850℃で焼成し乾燥厚さで70μmの表面琺瑯層(カバーコート)を形成し、マーカーボード(製品)とした。
なお、琺瑯上釉薬としては、白色系チタングロス釉薬(白色系チタングロスフリット)と白色チタンマット系釉薬(白色チタンマットフリット)とを表1に示す組成となるように混合した混合釉薬(表面琺瑯層No.a、c用)100重量部に、または白色系チタングロス釉薬(白色系チタングロスフリット)(表面琺瑯層No.b、d用) 100重量部に、添加物として粘土、塩化カリ、微粉シリカ、硝酸ソーダ、二酸化チタン、亜硝酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、モンモリロナイトから1種以上を選択して合計で15重量部以下配合し、顔料として、表2に示す表面琺瑯層の色となるように、青色系顔料、ピンク色系顔料、茶色系顔料、黄色系顔料のうちから選ばれた1種または2種以上をフリット100重量部(乾燥重量)に対し合計で2重量部以下添加したのち水を添加し、ボールミルで、混合、粉砕してスリップとしたものを使用した。なお、表面琺瑯層No.dでは、顔料として二酸化チタン被覆マイカをスリップ100重量部(乾燥重量)に対し20重量部添加した。
得られたマーカーボード(製品:サンプル板)の表面琺瑯層について、組成を調査し表2に示す。
Figure 0005868777
Figure 0005868777
また、得られたサンプル板の表面琺瑯層について、表面粗さ、色調、光沢度、反射特性を調査した。調査方法は次のとおりとした。
(1)表面粗さ
表面粗さの測定は、接触式表面粗度計を用い、JIS B 0601−2001の規定に準拠して、算術平均高さRaを求めた。
(2)色調
色調は、JIS Z 8722−2000の規定に準拠して測定し、JIS Z 8721−1993の規定に準拠して、各サンプル板の色調(H、V、C)を表示した。
(3)光沢度
光沢度は、JIS Z 8741−1997に準拠して45度鏡面光沢度Gs(45°)を求めた。
(4)マーカーの着きやすさ及び落ちやすさ
(4−a)マーカーの着きやすさ
試験用マーカー(黒)で普通に書いた線をボード面から1m離れた位置で見て、線にむらがあるかどうかを判定する。また、8m離れた位置で見て、線が鮮明かどうかを判定し、4段階(◎、○、△、×)で評価した。
(4−b)マーカーの落ちやすさ
(4−a)で書いた線を24時間放置したのち、水洗いし十分に乾燥したイレイザーで普通に消したとき、ボード面から1m離れた位置で見て、ボード面に筆記跡及び消しむらがあるかどうかを判定し、4段階(◎、○、△、×)で評価した。
(5)短焦点型プロジェクターによる反射特性
ボード面に対して55°の角度(光束中心で)から短焦点型プロジェクターで投影し、その映像をボード面に対して垂直方向から目視し、眩しさの程度をハレーション抑制度として4段階(◎、○、△、×)で評価した。
これらの評価を総合して、さらに眩しさおよび目の疲れ易さの観点を加えて、3段階(○、△、×)で評価した。
得られた結果を、表3に示す。
Figure 0005868777
本発明例(サンプルNo.1)は、従来のマーカーボード(サンプルNo.2)(比較例)と同等程度のマーカーの着きやすさ、消しやすさを有し、優れたマーカー文字認識性およびマーカー文字消去性を有し、眩しくなく目が疲れない優れた白板機能を有するとともに、短焦点型プロジェクターによる映写時のハレーションが抑制され、映像認識性に優れ、しかも眩しくなく目が疲れない、目に優しいマーカーボードとなっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、ハレーション抑制度が低く、眩しく目が疲れ目に優しくないか、あるいはマーカーで文字等を描画した際の消去性が低下している。
1 マーカーボード
2 取り付け枠
3 短焦点プロジェクター

Claims (2)

  1. 金属基板上に、少なくとも1層の琺瑯層を有するマーカーボードであって、前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が、
    JIS B 0601−2001に規定される算術平均高さRaで0.20〜0.35μmである表面粗さと、JIS Z 8721−2001に規定される明度Vで7.8〜8.3である色調と、JIS Z 8741−1997に規定される45度鏡面光沢度Gs(45°)で50〜70%である光沢度と、さらにグレー系の色とを有し、短焦点型プロジェクターの映像認識性に優れ、かつマーカーによる文字認識性および文字消去性に優れ、目に優しいことを特徴とする短焦点型プロジェクター用マーカーボード。
  2. 前記金属基板が、冷延鋼板、あるいはアルミめっき鋼板またはZn−Al合金めっき鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の短焦点型プロジェクター用マーカーボード。
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