JPH08319133A - 鉛不含ガラスフリット、それを含有するセラミックエナメル組成物およびエナメル塗装したガラス基体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲の改善された性能特性を示す、鉛不含
のガラス組成物を提供する。 【解決手段】 重量％で下記の組成を有する鉛不含ガラ
スフリット： ＺｎＯ ２５〜３５ ＳｉＯ_２ １０〜１７ ＺｒＯ_２ ０〜２ Ａｌ_２Ｏ_３ ０〜４ Ｎａ_２Ｏ ８〜１２ Ｂ_２Ｏ_３ ２０〜３０ Ｂｉ_２Ｏ_３ ６〜２５ Ｆ^−１ １〜５ は、セラミックエナメル組成物の配合組成において有用
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックエナメ
ル中に使用するための鉛不含ガラスフリットに関する。
さらに、本発明は該フリットを含有するセラミックエナ
メル組成物ならびに該組成物が焼成されたガラス基体、
殊に自動車用ガラスにも関する。

【０００２】

【従来の技術】セラミックエナメル中に使用されるガラ
スフリットは、代表的には低融点ガラスである。一般に
セラミックエナメル用フリットの組成物は、高パーセン
トの酸化鉛を含有し、ホウケイ酸鉛ガラスである。組成
物中の酸化鉛は、主としてフリットの低融点に責任があ
る。酸化カドミウムも若干のセラミックエナメル中に存
在し、カドミウム顔料を含有するエナメルに色の安定性
を与える。鉛およびカドミウム酸化物の毒性に関する懸
念のため、どちらかの成分を含有しないフリットを開発
することが望ましい。

【０００３】低い融点範囲（エナメルが適用される基体
の変形を避けるために要求される）を有することに加え
て、セラミックエナメル中に使用されるフリットは他の
要求を満足することが必要である。満足すべき付加的基
準の１つは、フリットの熱膨張が適用される基体の熱膨
張に密接に調和することである。これは、エナメルのク
レージングを避けかつ基体の強度の低下を避けるために
必要である。

【０００４】満足すべき他の条件は、フリットがある程
度の化学的耐久性を有することである。この要求は、フ
リットの使用により変化し、酸性およびアルカリ性媒体
の両方に対する耐久性を包含する。フリットの発達とと
もに、フリットの最終的性質に関して妥協が存在する。
一般に、低い融点範囲を有するフリットは平均的な化学
的耐久性および比較的高い熱膨張を有し、高い融点範囲
を有するフリットは平均以上の卓越した耐久性および比
較的低い熱膨張を有する。

【０００５】多数の鉛不含フリット組成物が記載されて
いる。

【０００６】実例として、米国特許４５５４２５８号
は、Ｂｉ_２Ｏ_３Ｂ_２Ｏ_３ＳｉＯ_２およびアルカリ金属酸
化物の存在を要求し、酸化ビスマスが必然的に大きい濃
度で存在するフリットを記載し；米国特許４３７６１６
９９号は、アルカリ酸化物、Ｂ_２Ｏ_３，Ａｌ_２Ｏ_３，Ｓ
ｉＯ_２，Ｆ，Ｐ_２Ｏ_５，ＺｎＯおよびＴｉＯ_２の存在を
要求しかつ臨界的組成範囲を有するフリットを記載し；
米国特許４４４６２４１号は、他の酸化物のうちＬｉ_２
Ｏ、Ｂ_２Ｏ_３およびＳｉＯ_２の存在を要求するフリット
を記載し；米国特許４５３７８６２号は、Ｂ_２Ｏ_３，Ｓ
ｉＯ_２，ＺｒＯ_２および希土類酸化物の存在を要求し、
ＺｒＯ_２対希土類酸化物の重量比が重要であるフリット
を記載し；かつ米国特許４５９０１７１号は、ｌｉ
_２Ｏ，Ｎａ_２ＯＢａＯ，Ｂａ_２Ｏ_３，Ａｌ_２Ｏ_３，Ｓｉ
Ｏ_２，ＺｒＯ_２およびＦの存在を要求するフリットを記
載する。米国特許４０８４９７６号、米国特許４２２４
０７４号、米国特許４３１２９５１号、米国特許４３４
０６４５号および米国特許４３６１６５４号もこの一般
的領域における付加的特許として参照される。

【０００７】米国特許５３４２８１０号は、亜鉛含有、
鉛およびカドミウム不含のガラスフリットおよび６３０
℃以下で貯蔵することのできる鉛不含エナメルの形成に
おけるそれの使用を記載する。必須成分はモル％で，Ｚ
ｎＯ ３１〜５０、ＳｉＯ_２１０〜４４、Ｂ_２Ｏ_３ １
１〜３５およびＮａ_２Ｏ １１〜２５である。

【０００８】米国特許５３０６６７４号は、約１１００
゜Ｆ〜１３００゜Ｆの温度で焼成することのできるガラ
スフリットを記載する。このフリットは、重量％で次の
組成範囲を有する：ＺｎＯ ２０〜４０、Ｂ_２Ｏ_３ ２
０〜３２、ＳｉＯ_２ １０〜３０およびＮａ_２Ｏ ４〜
１２。

【０００９】低いシリカ含量を特徴とする鉛不含ガラス
フリットは、米国特許５２５２５２１号に記載されてい
る。重量％での組成範囲は、Ｂｉ_２Ｏ_３ ３５〜７７、
Ｂ_２Ｏ_３ １０〜３０およびＺｎＯ １０〜３２を包含
する。

【００１０】米国特許４８９２８４７号は、重量％で次
の組成範囲を有するビスマス主体のホウケイ酸塩を記載
する：ＳｉＯ_２ ２５〜３５、Ｂｉ_２Ｏ_３ ２５〜４
５、Ｂ_２Ｏ_３ １０〜２５、Ｒ_２Ｏ ４〜１９およびＺ
ｒＯ_２／ＴｉＯ_２ ０．３〜８。

【００１１】米国特許５３０８８０３号派、モル％で次
の組成範囲を有するガラスフリットを記載する：ＳｉＯ
_２ ３５〜７５、Ｂｉ_２Ｏ_３ ０．１〜１５、Ａｌ_２Ｏ
_３０．１〜１０、Ｂ_２Ｏ_３ １〜３０およびＲ_２Ｏ ５
〜３０。

【００１２】付加的に、米国特許４９７０１７８号は、
モル％で次の組成範囲を有する、良好な化学酸抵抗を有
する鉛不含ガラスフリットを記載する：Ｎａ_２ ５〜１
４、ＺｎＯ ８〜２５、Ｂ_２Ｏ_３ ６〜１３、ＳｉＯ_２
４５〜６０およびＢｉ_２Ｏ_３ ０〜１０。

【００１３】従って、ガラスフリットの配合組成は、許
容しうるフリット配合組成を提供する意図で、酸化物成
分の種類および濃度を変えたことが認められる。かかる
フリットは、多種多様な所望の性質を示すと主張される
が、これらはなお１以上の性能領域において欠陥を示
す。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第一
の目的は、広範囲の改善された性能特性を示す鉛不含ガ
ラス組成物を提供することである。

【００１５】

【課題を解決するための手段】意外にも、上記の目的
は、ＺｎＯ，ＳｉＯ_２，Ｎａ_２Ｏ，Ｂ_２Ｏ_３およびＦ
^−１を適当量含有する鉛不含ガラス組成物により満足さ
れることが決定された。本発明に記載されたフリット
は、許容しうる化学的耐久性および熱膨張を有する。フ
リットが異常に低い融点範囲を有することはとくに顕著
である。その結果として、このフリットは多種多様の印
刷法によって適用することができる。

【００１６】本発明のガラスフリットは、本質的に下記
の組成からなる：成分 重量％範囲 ＺｎＯ ２５〜３５ ＳｉＯ_２ １０〜１７ ＺｒＯ_２ ０〜２ Ａｌ_２Ｏ_３ ０〜４ Ｎａ_２Ｏ ８〜１２ Ｂ_２Ｏ_３ ２０〜３０ Ｂｉ_２Ｏ_３ ６〜２５ Ｆ^−１ １〜５ フリットは、周知の酸化物生成材料を一緒に混合するこ
とによって製造される。こうして、酸化物、硝酸塩およ
びフッ化物粉末のバッチを十分に混合し、約２１００゜
Ｆ（１１５０℃）の温度のガラス溶融炉中に装入して溶
融液を形成する。次に、溶融液を水に注入することによ
り迅速に冷却（急冷）する。次に、ガラスを通常の粉砕
技術により微細な粉末に粉砕する。

【００１７】本発明のフリットは、改善されたガラスエ
ナメル組成物の形で使用することができる。これらのガ
ラスエナメル組成物は、、主成分として、ガラスフリッ
トおよびビヒクルを含有し、場合により顔料、たとえば
金属酸化物顔料が存在する。

【００１８】使用されるビヒクルは、最終的適用に基づ
いて選択される。ビヒクルは粒子を適当に懸濁しかつ組
成物を焼成する際完全に燃焼することが重要である。ビ
ヒクルは、代表的には有機物であり、パイン油、植物
油、鉱油、低分子量石油留分、トリデシルアルコール等
を基礎とする組成物を包含する。ビヒクルは、ビニル樹
脂のような種々の樹脂、溶剤、セルロース材料のような
皮膜形成剤等によって変性することができる。

【００１９】場合により存在する金属酸化物顔料は、当
業者に周知である。適用可能な酸化物は、たとえばクロ
ム、コバルト、鉄、ニッケル、銅、マンガン等を包含す
る。後者の金属酸化物は、好まれる黒色スピネル顔料を
形成し、他の金属酸化物は異なる顔料および他の色を生
成するために同様に考慮される。顔料成分は、一般に指
示されたガラスフリットの１０〜４０重量％含有する。

【００２０】エナメル塗料を適用する方法は、当業者に
周知である。分散された組成物は、スクリン印刷、転写
適用、吹き付け、刷毛塗り、ローラー塗装等のような技
術により適用することができる。スクリン印刷は、組成
物をガラス基体に適用するために好まれる。

【００２１】ガラスエナメルペイント組成物は、たとえ
ば自動車のバックライトおよび風防ガラス用の霜取り回
路として使用するための導電塗料を提供するために金属
銀が配合される。かかる実用領域においては、色のメン
テナンス、付着強さ、ハンダ付け力、銀移行の不存在お
よび耐摩耗性は、要求される性能特性である。発明によ
るフリットを含有する組成物は上記の実用領域に対し、
かかる導電塗料と関連して使用するために適用しうる。
導電塗料を発明によるフリットと重ねて適用する場合に
は、熱処理後に観察される性能の改善は、エナメル中へ
の銀移行に対する良好な抵抗、母線の好ましくないブル
ーヘイズの実質的減少（線は霜取り回路の個々の水平な
導電素子の末端に結合）およびハンダ結合の耐久性を包
含する。

【００２２】下記にさらに、本発明の種々の実施形を例
につき説明する。これらの実施形においては、適当な原
バッチガラス組成物を混合し、それを一般に約１１５０
℃で約４５分溶融し、次いで組成物をフリットにするた
めに公知技術を利用する。

【００２３】試験はガラスフリット４．０ｇをパイン油
ベースの媒体１．５ｃｃに加え、得られる分散液をスラ
イドガラス上に２ミルの湿潤厚さにスクリーン印刷す
る。スライドガラスを“焼成温度”を決定するために幾
つかの温度で焼成する。焼成温度は、ガラスが１５分火
炎内で流れるにに十分な時間を有し、光沢のある平滑な
表面を生じる温度である。

【００２４】耐酸性は、クエン酸の１０重量％溶液を使
用し、ＡＳＴＭ Ｃ７２４−９２を利用することにより
評価した。焼成した被検体を１０％のクエン酸溶液に室
温で１５分間曝露し、下記の等級によりランク付けす
る： 等級１−外見の腐食なし 等級２−４５゜の角度で観察した場合暴露面上に真珠光
または目に見える汚点の出現、しかし３０゜以下の角度
では見えない 等級３−反射像はぼやけずかつ３０゜以下の角度で見え
る明確な汚点 等級４−３０゜以下の角度で見える強い真珠光表面また
は著しい変色を有する明確な汚点、反射像はぼやけてい
る 等級５−チョーキング可能な曇ったまたは艶なし表面 等級６−明白なピンホールを有するエナメルの重大な除
去 等級７−暴露面におけるエナメルの完全な除去 フリットの熱膨張は、２５℃から３２５℃まで測定し、
１０^−７℃^−１の単位を有する。

【００２５】本発明の代表的なフリット配合組成および
その付随する性能特性は、下記の表に認められる：

【００２６】

【表１】

【００２７】これらの結果は、本発明のガラスフリット
の優れた性能特性、とくに低い温度焼成特性および十分
な耐酸性および熱膨張特性を証明する。

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記組成：成分 重量パーセント ＺｎＯ ２５〜３５ ＳｉＯ_２ １０〜１７ ＺｒＯ_２ ０〜２ Ａｌ_２Ｏ_３ ０〜４ Ｎａ_２Ｏ ８〜１２ Ｂ_２Ｏ_３ ２０〜３０ Ｂｉ_２Ｏ_３ ６〜２５ Ｆ^−１ １〜５ を有する鉛不含ガラスフリット。
2. 【請求項２】 本質的にＺｎＯ ３３．９重量％、Ｓｉ
   Ｏ_２ １４．９重量％、ＺｒＯ_２ ０．９重量％、Ａ
   ｌ_２Ｏ_３ ３．３重量％、Ｎａ_２Ｏ １１．１重量％、
   Ｂ_２Ｏ_３ ２６．０重量％、Ｂｉ_２Ｏ_３ ７．３重量％
   およびＦ^−１２．６重量％からなる、鉛不含ガラスフリ
   ット。
3. 【請求項３】 本質的にＺｎＯ ３１．６重量％、Ｓｉ
   Ｏ_２ １３．９重量％、ＺｒＯ_２ ０．９重量％、Ａｌ
   _２Ｏ_３ ３．０重量％、Ｎａ_２Ｏ １０．３重量％、Ｂ
   _２Ｏ_３ １３．６重量％、およびＦ^−１ ２．５重量％
   からなる、鉛不含ガラスフリット。
4. 【請求項４】 本質的にＺｎＯ ２９．６重量％、Ｓｉ
   Ｏ_２ １３．０重量％、ＺｒＯ_２ ０．８重量％、Ａｌ
   _２Ｏ_３ ２．８重量％、Ｎａ_２Ｏ ９．７重量％、Ｂ_２
   Ｏ_３ ２２．７重量％、Ｂｉ_２Ｏ_３ １９．１重量％、
   およびＦ^−１２．３重量％からなる、鉛不含ガラスフリ
   ット。
5. 【請求項５】 請求項１記載のガラスフリットおよびそ
   のビヒクルを含有する、セラミックエナメル組成物。
6. 【請求項６】 さらに金属酸化物顔料を含有する、請求
   項５記載のセラミックエナメル組成物。
7. 【請求項７】 ガラスフリットが請求項２に記載された
   ものである、請求項５記載のセラミックエナメル組成
   物。
8. 【請求項８】 ガラスフリットが請求項３に記載された
   ものである、請求項５記載のセラミックエナメル組成
   物。
9. 【請求項９】 ガラスフリットが請求項４に記載された
   ものである、請求項５記載のセラミックエナメル組成
   物。
10. 【請求項１０】 請求項５に記載されたようなセラミッ
    クエナメル組成物が焼成されたガラス基体。
11. 【請求項１１】 自動車用ガラスである、請求項１０記
    載のガラス基体。