JP2023083873A - チョークボード - Google Patents

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Abstract

【課題】チョークによる板書物の高い視認性を維持しつつ、板書物の高い消去性を可能にする。【解決手段】属基板上に、少なくとも一層の琺瑯層を有するチョークボードであって、琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が以下の条件1及び条件2のうち少なくとも1つの条件と、条件3とを満たすことを特徴とする。条件1:表面琺瑯層の界面の展開面積率(Sdr)が30%以下である。条件2:表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が4000μm-1以下である。条件3:表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が17%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、チョークボードに関する。
表面に琺瑯層が形成された黒板(以下、「チョークボード」ともいう)が知られている。チョークボードは、表面にチョークによる筆記及びチョークにより筆記された文字等が消去可能に形成されているとともに、スライド、OHPなどの各種プロジェクタを利用して、予め、用意した資料を映写するスクリーンとしても使用される。優れた黒板機能及び優れたスクリーン機能を兼備する琺瑯製のチョークボードが広く流通している(例えば、特許文献1参照)。
このようなチョークボードは、学校等の教育施設における授業や公共施設の集会や会議等において表示媒体として広く使用されている。そのため、チョークボードは、JIS S 6007に規定されているように、チョ-ク(白墨)によりボードへの筆記、描画等(以下、単に「板書」ともいう)し易くして、ボード上にチョークにより板書された線、文字、図形等(以下、単に「板書物」ともいう)を鮮明に残すために、表面を適正に粗くするようになっている。
特許第4771880号公報
ところで、チョークボードの最表面が所定の範囲の表面粗さを有していることにより、チョークボードの凹部にチョークの粉末が堆積することになる。チョークの粉末が凹部に堆積すると、イレーザによる板書物の消去性が低下してチョークボードの著しい汚染に繋がることになる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、チョークによる板書物の高い視認性を維持しつつ、板書物の高い消去性を可能にする技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係るチョークボードは、金属基板上に、少なくとも一層の琺瑯層を有するチョークボードであって、前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が以下の条件1及び2のうち少なくとも1つの条件及び条件3を満たすことを特徴とする。
条件1:前記表面琺瑯層の界面の展開面積率(Sdr)が30%以下である。
条件2:前記表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が4000μm-1以下である。
条件3:前記表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が17%以上である。
本発明の一態様に係るチョークボードにおいて、前記表面琺瑯層の界面の展開面積率(Sdr)が20%以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係るチョークボードにおいて、前記表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が3000μm-1以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係るチョークボードにおいて、前記表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が20%以上であることが好ましい。
本発明の一態様に係るチョークボードにおいて、前記条件1、前記条件2及び前記条件3を満たすことが好ましい。
本発明により、チョークによる板書物の高い視認性が維持され、かつ板書物の高い消去性が可能になる。
本発明に係るチョークボードは、板書機能及びプロジェクタからの映像の映写機能を兼ね備える板書・映写兼用の黒板である。チョークボードは、金属基板上に、少なくとも一層の琺瑯層を有するチョークボードである。チョークボードは、琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が以下の条件1~3のうち少なくとも1つの条件を満たすことを特徴とする。
条件1:表面琺瑯層の界面の展開面積率率(Sdr)が30%以下である。
条件2:表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が4000μm-1以下である。
条件3:表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が17%以上である。
以下に本発明に係るチョークボードについて具体的に説明する。
本発明に係るチョークボードは、金属基板上に少なくとも一層の琺瑯層を有する黒板である。本発明では、使用する金属基板の種類は、特に限定されるものではないが、冷延鋼板とすることが好ましい。金属基板として使用する冷延鋼板には、金属基板と釉薬との密着性を向上させるために、Niめっきを施すことが好ましい。なお、冷延鋼板としては低炭素鋼板、ステンレス鋼板等が例示される。低炭素鋼板のC含有量は、質量%において0.0200%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.0100%以下、さらに好ましくは0.0050%以下である。
金属基板は、アルミニウムめっき鋼板、又はZn-Al合金めっき鋼板であってよい。Zn-Al合金めっき鋼板としては、Al含有量が4~70質量%、残部Zn及び不可避的不純物からなるめっき層を有するめっき鋼板が例示できる。なお、めっき層には、めっき皮膜特性向上のための添加物質を含有してもよい。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるISO 25178に規定される界面の展開面積率(Sdr)の上限は、例えば、30%であり、好ましくは25%であり、より好ましくは20%であり、さらに好ましくは15%である。さらに、界面の展開面積率(Sdr)の下限は、例えば、2%であり、好ましくは5%であり、さらに好ましくは10%である。展開面積率(Sdr)は、金属基板を平面視した面積に対して、実際の界面の面積がどの程度大きくなっているかを示す指標である。
展開面積率(Sdr)は、微小な凹凸が多い場合や凹凸の傾斜が急な場合に大きくなる傾向がある。上記上限及び下限の範囲内に展開面積率(Sdr)を収めることにより、板書時にチョークがチョークボードの山頂点へ引っかかる抵抗を少なくすることができ、板書不良を抑制して板書物の視認性を高めるとともに、板書時にチョーク粉末が凹部に堆積することを抑制し、板書物の消去性を高めることができる。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるISO 25178に規定される山頂点の主曲率の平均(Spc)の上限は、例えば、4000μm-1であり、好ましくは3500μm-1であり、さらに好ましくは3000μm-1である。さらに、表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)の下限は、例えば、500μm-1であり、好ましくは1000μm-1であり、さらに好ましくは1500μm-1である。主曲率の平均(Spc)は、突起の頂点の曲率を表す指標である。主曲率の平均(Spc)の値が大きいほど頂点が尖っており、値が小さいほど頂点が滑らかであることを示す。
表面琺瑯層における山頂点の主曲率の平均(Spc)が、上記上限及び下限の範囲内にあれば、板書時にチョークがチョークボードの山頂点へ引っかかる抵抗を少なくすることができる。これにより、板書不良を抑制して板書物の視認性を高めるとともに、板書時にチョーク粉末が過度に山頂部に付着することを抑制し、板書物の消去性を高めることができる。
なお、界面の展開面積率(Sdr)及び山頂点の主曲率の平均(Spc)は、粒度分布の目安として、乾燥残渣(後述する仕上げ用の琺瑯上釉薬100CCを325MESHの篩にかけて残渣を乾燥させたもの)の重量範囲が0.5g~2.5gとし、好ましくは0.8g~1.7g、より好ましくは1.0g~1.5gとなることにより、適正範囲に調整することができる。また、主曲率の平均(Spc)の算出の際、用いるソフトウエアにより負の値となることがあるが、上記の範囲は絶対値として当てはめればよい。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるISO25178に規定される表面性状に関する、表面の平均面に対する各点の高さの差の絶対値の平均を表した算術平均高さ(Sa)の上限は、例えば、3.000μmであり、好ましくは2.500μmであり、さらに好ましくは2.350μmである。さらに、算術平均高さ(Sa)の下限は、例えば、1.000μmであり、好ましくは1.250μmであり、より好ましくは1.500μmである。
表面琺瑯層における算術平均高さ(Sa)が、上記上限及び下限の範囲内にあれば、防塵性に優れる。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるISO25178に規定される最大高さ(Sz)の上限は、例えば、20.000であり、好ましくは19.700であり、さらに好ましくは19.500である。さらに、最大高さ(Sz)の下限は、例えば、13.000であり、好ましくは、13.250であり、より好ましくは13.500である。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるISO25178に規定される表面性状の等方性及び異方性に関するアスペクト比(Str)の上限は、例えば、0.700であり、好ましくは0.650である。さらに、アスペクト比(Str)の下限は、例えば、0.605であり、好ましくは0.610である。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるJIS Z 8721-1993に規定される明度Vは、例えば、3.0~7.0である。表面琺瑯層は、好ましくは黒色系、灰色系、緑色系、茶色系、紺色系のうちのいずれか、さらに好ましくは黒色系、緑色系、茶色系のいずれかの暗色系色調の琺瑯層である。明度Vが上記した範囲を下方に外れると、暗くなりすぎて映像を投影したときに映像認識性が低下し、一方、明度Vが上記した範囲を上方に外れると、明るくなりすぎてチョーク文字認識性が低下する。
なお、表面琺瑯層の色調、明度は、添加顔料の種類、添加量により調整することができる。明度Vを3.0~7.0に調整するには、顔料として、Co、Cr、Tiの金属又はそれらの酸化物を単独あるいは複合して添加することが好ましい。また、さらに好ましくは、明度Vは、4.0~6.0である。
なお、チョークボードにハンターLab表色系により表示した場合、明度Lは、例えば、40~60とすることが好ましい。さらに好ましくは、明度Lは4.0以上5.0未満、ハンターLab表色系で表示した場合には、明度Lは40以上50未満である。
また、本発明に係るチョークボードにおいては、さらにチョークによる板書性及び板書物の消去性を確保するために、表面琺瑯層の表面特性を、JIS B 0601-2001に規定される表面粗さRzが、例えば、5~25μmとなるように、好ましくは10~22μm、さらに好ましくは14~20μmになるように調整する。
表面琺瑯層の表面粗さRzが上記した範囲を外れ、平坦に近づくと、チョークがすべり、チョークによる板書性が低下するとともに、板書物の視認性が低下する。一方、上記した範囲を外れ凹凸が大きくなりすぎると、チョークによる板書物の消去性が低下するとともに、板書物の視認性が低下する。なお、上記した表面琺瑯層の表面特性は、後記するように、金属基板に塗布する釉薬の組成と、釉薬塗布後の焼成条件の組み合わせを適正範囲とすることにより達成できる。
本発明に係るチョークボードにおいては、表面琺瑯層が上記した表面特性及び色調を有し、板書物の優れた消去性及び板書物の視認性を維持するとともに、ピークゲインが、例えば、0.28以上で、好ましくはハーフゲインが13以上である反射特性を有する。
ピークゲインが0.28未満では、投影した映像が暗く、映像の視認性に劣ることになり、チョークボードが備える映写機能に対する要求を満足することができなくなる。そのため、本発明に係るチョークボードにおいては、例えば、0.28をピークゲインの下限値としている。なお、ピークゲインは、例えば、好ましくは0.35~1.0であり、より好ましくは0.35~0.60である。また、広い視野角を得るために、ハーフゲインを、例えば、13以上とすることが好ましい。このため、本発明においては、例えば、0.28以上のピークゲインと、好ましくは13以上のハーフゲインを有する反射特性の表面琺瑯層としている。
なお「ピークゲイン」とは、標準白板(完全拡散板:硫酸バリウムを焼き付けた純白板)に光を当てたときの反射輝度に対する、同一条件で測定した被測定黒板の反射輝度の比率をいう。この場合、通常、視野角5°での反射輝度を用いる。また、本発明における「ハーフゲイン」は、反射特性曲線における反射輝度がピークの1/2となった場合の視野角幅(度)をいう。
上記の金属基板上に形成される琺瑯層のうち、最外層の表面琺瑯層におけるJIS Z 8471-1997に規定される75度表面光沢度(Gs(75°))の下限は、例えば、17%であり、好ましくは17.5%であり、さらに好ましくは18%である。さらに、75度表面光沢度(Gs(75°))の上限は、例えば、25%であり、好ましくは24%であり、さらに好ましくは23.5%である。
75度鏡面光沢度(Gs(75°))が17%未満では、チョークによる板書物の消去性が低下するとともに、反射輝度が小さくなり、板書物及び映写された像が不鮮明となる。一方、75度鏡面光沢度(Gs(75°))が25%を超えると、チョークによる板書性が低下するとともに、ハレーションを起こし易く視野角が狭くなる。
75度鏡面光沢度(Gs(75°))は、後述するように、金属基板に塗布する釉薬に、適正粒径分布を有する酸化チタン被覆粒子、好ましくは酸化チタンを被覆した雲母粒子、を適正量添加し、焼成温度を適正範囲に調整することにより達成できる。
表面琺瑯層は、使用する釉薬を、通常のチョークボード釉薬である透明マット釉薬に、少なくとも適正量の酸化チタン被覆粒子と、あるいはさらに酸化チタン釉薬を配合した釉薬とし、焼成条件を適正範囲に調整することにより生成されている。表面琺瑯層は、酸化チタン被覆粒子を含有しており、これにより、チョークボードにおける鮮映性が向上するとともに、表面に凹凸が形成され拡散反射性が向上し、ハレーションが抑制され、反射特性が向上する。
本発明では、表面琺瑯層には、酸化チタン被覆粒子を表面琺瑯層全量に対する質量%で2~40%、さらに好ましくは3~20%含有させることが好ましい。酸化チタン被覆粒子が2質量%未満では反射特性の向上効果が少ない。酸化チタン被覆粒子が40質量%を超えて含有させると、表面粗さRzが過剰に大きくなり、チョ-クによる板書物の消去性が悪化すると共に、明度が大きくなりすぎて、チョ-クによる板書の視認性が低下する。
また、酸化チタン被覆粒子は、例えば、100μm以下の平均粒径を有することが好ましい。さらに好ましくは、酸化チタン被覆粒子は、5~80μmである。酸化チタン被覆粒子の平均粒径が5μm未満では拡散反射性が低下し、一方、酸化チタン被覆粒子の平均粒径が100μmを超えると、表面琺瑯層の表面粗さが過剰に大きくなり、チョークによる板書物の消去性が低下する。なお、ここでいう粒子の平均粒径とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を利用して測定した、50%累積粒子径とする。また、酸化チタン被覆粒子は、雲母粒子の表面に酸化チタンを被覆した粒子とすることが好ましく、雲母粒子は薄板状雲母粒子とすることがより好ましい。
上記特性を有する表面琺瑯層は、透明マット釉薬に、少なくとも酸化チタン被覆粒子を、あるいはさらに酸化チタン釉薬を、あるいはさらには透明グロス釉薬を配合した琺瑯上釉薬を用いて形成された琺瑯層とすることが好ましい。なお、表面琺瑯層の厚さは、剥離性の観点から、例えば、200μm以下とすることが好ましく、より好ましくは150μm以下である。
上記琺瑯上釉薬を用いて形成された表面琺瑯層は、質量%で、酸化チタン被覆粒子の酸化チタンを含む酸化チタンの合計量をTiOとして、例えば、TiO:0.5~15%、より好ましくは0.5~10%未満、さらに好ましくは2~5%を含み、さらに、SiO:15~45%、Al:5~30%、NaO、KO、LiOから選ばれた1種または2種以上を合計:2~20%、B:2~20%を含む琺瑯層とすることが好ましい。なお、本発明では、黒板の表面琺瑯層には、所望の色を得るために、黒色系顔料、灰色系顔料、緑色系顔料、茶色顔料、黄色系顔料、紺色系顔料のうちから選ばれた顔料を合計で40質量%以下含んでいてもよい。
次に、本発明に係るチョークボードの好ましい製造方法について説明する。本発明のチョークボードは、金属基板の表面に、琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成する。下地琺瑯層を形成した後又は下地琺瑯層を形成することなく、透明マット釉薬に少なくとも酸化チタン被覆粒子又はさらに酸化チタン釉薬又はさらに透明グロス釉薬を配合した琺瑯上釉薬を、金属基板の表面に塗布し、例えば、400~850℃において焼成し表面琺瑯層を形成する。なお、金属基板は、例えば、冷延鋼板、アルミめっき鋼板、Zn-Al合金めっき鋼板等とすることが好ましい。
例えば、金属基板として冷延鋼板を用いる場合、好ましくは冷延鋼板にNiめっきを施した後、冷延鋼板(金属基板)表面に琺瑯下釉薬を塗布し、焼成して下地琺瑯層を形成する。琺瑯下釉薬としては、特に限定されず、従来の琺瑯製黒板で使用される琺瑯下釉薬がいずれも好適である。琺瑯下釉薬の塗布は、スプレー、ロールコータ等の公知の塗布方法がいずれも適用できる。
琺瑯下釉薬としては、とりわけ、例えば、固形分全量に対する質量%で、SiO:20~80%含有し、残部として、TiO:0~15%、ZrO:0~20%、B:0~25%、Al:0~25%、NaO:0~20%、LiO:0~20%、KO:0~20%、PbO:0~40%、ZnO:0~50%、BaO:0~15%、CaO:0~15%、CaF:0~10%、CoO:0~20%、NiO:0~20%、MnO:0~20%などを含有するSiO系釉薬とすることが好ましい。
得られた下地琺瑯層の表面に琺瑯上釉薬を塗布し、その後、600~850℃で焼成し表面琺瑯層を形成する。琺瑯上釉薬の塗布は、スプレー、ロールコータ等の公知の塗布方法がいずれも適用できる。
琺瑯上釉薬は、透明マット釉薬(フリット)に、あるいは、透明マット釉薬(フリット)100重量部に対し、酸化チタン釉薬(フリット)を100~20重量部、あるいはさらに透明グロス釉薬(フリット)20重量部以下を添加した釉薬に、適正量の酸化チタン被覆粒子を添加した釉薬とすることが好ましい。また、酸化チタン被覆粒子の添加量は、透明マット釉薬又は混合した釉薬(スリップ):100重量部(焼成後の重量換算)に対し、1~25重量部とすることが好ましい。
琺瑯上釉薬は、透明マット釉薬のフリットと、あるいは、透明マット釉薬、酸化チタン釉薬、あるいはさらに透明グロス釉薬のフリットと、必要に応じて各種添加物及び顔料と、水との混合物の粉砕で得られた泥状物(スリップ)に、適正量の酸化チタン被覆粒子粉末を添加し、回転粉砕しながら混合して粘性のある液体として得られる。表面琺瑯層に使用される上記琺瑯上釉薬100CCを325MESHの篩にかけて乾燥させた場合、重量範囲が0.5~1.5gの乾燥残滓が得られるようになっている。
琺瑯上釉薬から得られる乾燥残渣が上記重量範囲を外れると、琺瑯上釉薬を調製する際の材料同士の溶け具合が十分でなく、例えば、界面の展開面積率(Sdr)、山頂点の主曲率の平均(Spc)、75度鏡面光沢度(Gs(75°))等の表面性状が本発明の範囲から外れることになる。琺瑯上釉薬における乾燥残渣の重量範囲は、回転粉砕による工程時間により調整される。
なお、顔料として、チョークボードの所望の色調に合わせて、黒色系顔料、灰色系顔料、緑色系顔料、茶色系顔料、黄色系顔料、紺色系顔料のいずれか単独あるいは複合して添加する必要がある。顔料の添加量としては、スリップ:100重量部(焼成後の重量換算)に対し合計で20重量部以下とすることが好ましい。添加量が20重量部を超えて多くなると、スリップの流動性が低下する。
なお、透明マット釉薬(フリット)としては、固形分全量に対する質量%で、SiO:30~45%、Al:20~35%、B:5~15%、KO:5~15%、NaO:10~25%を含み、残部として、BaO:0~15%、CaO:0~15%、F:0~10%、TiO:0~10%などを含む釉薬とすることが好ましい。
酸化チタン釉薬(フリット)としては、固形分全量に対する質量%で、TiOを10~30%含有し、残部として、SiO:0~80%、Al:0~20%、B:0~25%、NaO:0~20%、KO:0~20%、LiO:0~20%、P:0~10%、ZrO:0~20%、BaO:0~15%、CaO:0~15%、MgO:0~5%、PbO:0~40%、ZnO:0~50%、CaF:0~10%などを含む釉薬とすることが好ましい。なお、酸化チタン釉薬の顔料である酸化チタンに代えて、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛のうちの1種または2種以上の顔料としてもよい。
透明グロス釉薬(フリット)としては、固形分全量に対する質量%で、SiO:40~65%を含み、残部として、B:5~20%、NaO、KO、LiOのいずれか1種以上を合計で5~40%、F:0~10%、Al:0~10%、CaO:0~10%、TiO:0~10%、ZnO:0~10%、MgO:0~5%などを含む釉薬とすることが好ましい。なお、酸化チタン釉薬の顔料である酸化チタンに代えて、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛のうちの1種または2種以上の顔料としてもよい。
焼成温度が、600℃未満では、表面粗さが粗くなりすぎて、反射特性が低下する。一方、850℃を超えると、表面が平滑になりすぎて、チョークによる板書の視認性、チョークによる板書性及び板書物の消去性が低下する。
また、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn-Al合金めっき鋼板を用いる場合には、金属基板表面に、琺瑯上釉薬を塗布し、例えば、400~600℃で焼成し表面琺瑯層を形成することが好ましい。
なお、この場合には、めっき層の溶融防止の観点から、低融点の琺瑯上釉薬を用いる必要がある。このため、上記した透明マット釉薬に代えてリン酸を配合した釉薬に、酸化チタン被覆粒子を、あるいはさらに酸化チタン釉薬を、配合してなる琺瑯上釉薬とすることが好ましい。リン酸を配合した釉薬中のリン酸の含有量は、例えば、40質量%以上であり、好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下である。
リン酸を配合した釉薬(フリット)としては、固形分全量に対する質量%で、P:40~80%を含有し、残部として、SiO:0~40%、Al:0~50%、B:0~25%、NaO:0~20%、KO:0~20%、LiO:0~20%、TiO:0~30%、Sb:0~25%、ZnO:0~20%、BaO:0~15%、CaO:0~15%、MgO:0~5%、PbO:0~10%、SrO:0~20%などを含む釉薬とすることが好ましい。
なお、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn-Al合金めっき鋼板を用いる場合には、めっき層の溶融防止の観点から、低融点の琺瑯上釉薬を用いるため、密着性が向上し、琺瑯下釉薬の塗布は必須ではない。また、金属基板としてアルミニウムめっき鋼板またはZn-Al合金めっき鋼板を用いる場合、焼成温度が、400℃未満では、琺瑯層の密着性が低下する。一方、600℃を超えると、めっき層が溶融するという問題が生じる。
表面琺瑯層における展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び75度鏡面光沢度(Gs(75°))がそれぞれ、上記の上限及び下限の範囲内にあるサンプル(実施例1,2)と、上記の上限及び下限の範囲外にあるサンプル(比較例1~3)を準備して、チョークボードのサンプルそれぞれの表面琺瑯層における展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び75度鏡面光沢度(Gs(75°))と消去性との関係について調査した。実施例1,2は、上記実施の形態に記載した重量範囲における乾燥残渣が得られるように調製された琺瑯上釉薬を用いて製造されている。
(1)展開面積率(Sdr)
各サンプルにおける展開面積率(Sdr)は、キーエンス社製の白色干渉計搭載レーザ顕微鏡(VK-X300)を用い、ISO 25178に準拠して求めた。
(2)主曲率の平均(Spc)
各サンプルにおける山頂点の主曲率の平均(Spc)は、キーエンス社製の白色干渉計搭載レーザ顕微鏡(VK-X300)を用い、ISO 25178に準拠して求めた。
(3)75度表面光沢度(Gs(75°))
各サンプルにおける75度表面光沢度(Gs(75°))は、村上色彩技術研究所製の携帯用光沢度計GMX203を用い、JIS Z 8471-1997に準拠して求めた。
各サンプルの表面琺瑯層における展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び75度鏡面光沢度(Gs(75°))並びに各サンプルの消去性に関する評価を下記表1に示す。
各サンプルに、JIS B 6007の規定に準拠して、白、黄、赤の各チョークを横に寝かせて軽く各サンプルの表面をこすり3列の線を板書した。次いで、フェルト製のイレーザを備えた所定の機械により700gの荷重をかけて各チョークの線を交差するように3往復して擦って、消去性について判定した。一往復ごとに各チョークボードから1m離れた位置でチョークボードを見て、各サンプルにおけるチョークごとの線が完全に消えている場合を「3点」、線のエッジが視認できる場合を「2点」、線全体がうっすらと視認できる場合を「1点」、線が残っていることを視認できる場合を「0点」として、消去性を数値化した。
消去性の総得点が「20」を越えるサンプルを「○」とし、総得点が「15~19」であるサンプルを「△」とし、総得点が「14」以下であるサンプルは「×」と評価した。
Figure 2023083873000001
表1から分かるように、本発明に係る実施例1,2については、消去性の総合点がいずれも「24点」であり「20点」を越え、評価としても「○」となり、板書によるチョークの線の消去性に関して優れていることが証明された。特に、実施例1,2は、それぞれ、一往復後の評価が白、黄、赤いずれのチョークにおいても「2点」を獲得しており、二往復以降の評価は、いずれの線においても「3点」であった。つまり、実施例1,2においては、二往復目においてチョークの線が完全に消えていた、という評価であった。
これに対して、比較例1においては、一往復後の評価が白、黄、赤いずれのチョークにおいても「1点」、二往復後の評価は、いずれの線においても「2点」となり、三往復後の評価は、いずれの線においても「3点」となり、総合点は「18」であり、評価としては「△」であった。二往復までの消去性が実施例1,2と比べて劣っており、チョークごとの板線が完全に消えるまでに三往復を要した。
また、比較例2においては、一往復後の評価が白、黄、赤いずれのチョークにおいても「0点」、二往復後の評価は、いずれの線においても「2点」となり、三往復後の評価は、白線が「2点」、黄線及び赤線のいずれにおいても「3点」となり、総合点は「14点」であり、評価としては「×」であった。二往復までの消去性が実施例1,2と比べて劣っており、三往復目において黄線及び赤線は消えていたが、白線がうっすらと残っていた。
また、比較例3においては、一往復後の評価が白、黄、赤いずれのチョークにおいても「0点」、二往復後の評価は、いずれの線においても「1点」となり、三往復後の評価は、いずれの線においても「2点」となり、総合点は「9点」であり、評価としては「×」であった。二往復までの消去性が実施例1,2と比べて劣っており、三往復目においても全ての線がうっすらと残っており、実施例1,2の消去性に対して大きく劣っていた。
上述のように、展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び光沢度(Gs(75°))が本発明の範囲内にある実施例1,2は、本発明の範囲を外れる比較例1~3に比して、板書物の消去性の点において優れていた。
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態等について説明したが、本発明は上記の実施の形態等に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態等における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、上記実施の形態におけるチョークボードは、板書・映写兼用のチョークボードであったが、特に、表面琺瑯層における展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び光沢度(Gs(75°))について本発明の範囲内にあれば板書専用のチョークボードであってもよい。
また、チョークボードにおいては、表面琺瑯層における展開面積率(Sdr)、主曲率の平均(Spc)及び光沢度(Gs(75°))の少なくとも1つが本発明の範囲内にある実施の形態であってもよい。

Claims (5)

  1. 金属基板上に、少なくとも一層の琺瑯層を有するチョークボードであって、
    前記琺瑯層のうち最外層の表面琺瑯層が以下の条件1及び条件2のうち少なくとも1つの条件及び条件3を満たすことを特徴とするチョークボード。
    条件1:前記表面琺瑯層の界面の展開面積率(Sdr)が30%以下である。
    条件2:前記表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が4000μm-1以下である。
    条件3:前記表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が17%以上である。
  2. 前記表面琺瑯層の界面の展開面積率(Sdr)が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載のチョークボード。
  3. 前記表面琺瑯層の山頂点の主曲率の平均(Spc)が3000μm-1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のチョークボード。
  4. 前記表面琺瑯層の75度鏡面光沢度(Gs(75°))が20%以上であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のチョークボード。
  5. 前記条件1、前記条件2及び前記条件3を満たすことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のチョークボード。
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