JP5868241B2 - 拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材および拡散接合製品の製造方法 - Google Patents

拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材および拡散接合製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はステンレス鋼材同士をインサート材なしで直接拡散接合するためのフェライト系ステンレス鋼材、およびそれを用いた拡散接合製品の製造方法に関する。
ステンレス鋼材同士を拡散接合する手法は、熱交換器、機械部品、燃料電池部品、家電製品部品、プラント部品、装飾品構成部材、建材など、種々の用途で利用されている。拡散接合にはインサート材挿入法と直接法がある。インサート材挿入法は、接合するステンレス鋼材と馴染みがよい異別の金属材料からなるインサート材を接合界面に挿入し、固相拡散または液相拡散により双方のステンレス鋼材を接合する手法である。直接法は、インサート材を用いずに双方のステンレス鋼材の表面同士と直接接触させ、固相拡散により接合する手法である。
インサート材挿入法としては、例えば2相ステンレス鋼をインサート材に使用する方法(特許文献1)、NiとAuをめっきしたステンレス鋼箔をインサート材に用いて液相拡散により接合する方法(特許文献2)、Siを多量に含むオーステナイト系ステンレス鋼をインサート材に使用する方法(特許文献3)をはじめ、種々の手法が知られている。また、ニッケル系や銅系のろう材をインサート材に用いる「ろう付け」も液相拡散による拡散接合の一種と見ることができる。これらの技術は比較的簡便に、しかも確実に拡散接合を行うことができる点で優位性がある。しかし、インサート材を用いることによるコスト増や、接合箇所に異種金属が存在することによる耐食性の低下が問題となりやすい。
インサート材を用いない直接法としては、例えば鋼中のS量を0.01%以下としたステンレス鋼を非酸化雰囲気中の特定温度域に加熱することで変形を回避する方法(特許文献4)、酸洗処理により表面に凹凸を付与したステンレス鋼箔を拡散接合して自動車排ガス浄化装置用触媒担体を得る方法(特許文献5)、拡散接合の阻害要因となるアルミナ皮膜の生成を抑えるためにAl含有量を不純物レベル〜0.8%に抑えたステンレス鋼を用いて触媒用ハニカムを得る方法(特許文献6)、冷間加工によるひずみを付与したステンレス鋼を用いて拡散接合性を向上させる方法(特許文献7)、クロム炭窒化物の形成を軽減するためにTiやNbを所定量添加したフェライト系ステンレス鋼箔を重ねて巻回して触媒用メタル担体を得る方法(特許文献8)、特定の組成を有する直接拡散接合用のフェライト系ステンレス鋼を用いる方法(特許文献9)などが知られている。
特開昭63−119993号公報 特開平4−294884号公報 特公昭57−4431号公報 特開昭62−199277号公報 特開平2−261548号公報 特開平7−213918号公報 特開平9−279310号公報 特開平9−99218号公報 特開2000−303150号公報
ステンレス鋼材の直接法による拡散接合については上述のように種々の技術が提案されている。しかし工業的には、直接法はステンレス鋼材の拡散接合方法の主流として定着するには至っていない。その主たる理由は、接合性(接合強度や密封性に対する信頼性)の確保と、製造負荷抑制の両立が難しいことにある。従来の知見によると、直接法により接合性を確保するためには接合温度を1100℃を超える高温としたり、ホットプレスやHIP等により高い面圧を付与したりする負荷の大きい工程を採用する必要があり、それによるコスト増大が避けられない。一方、ステンレス鋼材の直接法による拡散接合を通常のインサート材挿入法と同等の作業負荷にて実施すると、接合性を十分に確保することは難しい。
また、ステンレス鋼の拡散接合製品においては、材料特性等の観点からフェライト単相鋼を適用したい場合もある。しかし、発明者らの検討によれば、このような鋼種については直接法により接合性に優れた健全な拡散接合部を得ることは一層難しい。
本発明は、従来のインサート材挿入法と同等の作業負荷による「直接法」によって拡散接合部の接合性に優れたフェライト系ステンレス鋼拡散接合製品を得ることができる技術を提供しようというものである。
上記目的は、Cr含有量が18.0〜35.0質量%好ましくは20.0〜35.0質量%、TiとAlの合計含有量が0〜0.15質量%であり、1200℃以下の温度域でフェライト単相組織となる組成を有し、拡散接合に供する表面の表面粗さRaが0.30μm以下好ましくは0.25μm以下であり、その表面についてのGDSによる深さ方向への分析において、最表面からO(酸素)濃度がピーク値の1/2に低下する位置までの深さで定義される酸化皮膜厚さが10nm以下であり、かつ最表面から15nm深さまでの表層部にCr濃度が40原子%以上となるCr濃化域を有する直接拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材によって達成される。最表面から15nm深さまでの表層部にCr濃度が50原子%以上となるCr濃化域を有するものがより好ましい対象となる。
成分組成範囲を例示すると、質量%で、Cr:18.0〜35.0%、TiとAlの合計:0〜0.15%、C:0.001〜0.050%、N:0.001〜0.050%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.05〜3.00%、P:0.001〜0.100%、S:0.0005〜0.010%、Ni:0〜1.00%、V:0〜0.15%、Cu:0〜2.00%、Mo:0〜4.00%、W:0〜4.00%、Nb:0〜1.00%、B:0〜0.0100%、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成範囲を挙げることができる。
また本発明では、上記フェライト系ステンレス鋼材同士を接触面圧0.1〜1.0MPaで直接接触させた状態とし、圧力10-2Pa以下、露点−40℃以下の炉内で950〜1150℃に加熱することにより拡散接合を進行させる、フェライト系ステンレス鋼拡散接合製品の製造方法が提供される。
本発明に従えば、優れた接合性(接合強度や密封性に対する信頼性)を有するフェライト系ステンレス鋼拡散接合製品をインサート材挿入法と同等負荷の真空拡散接合法により得ることができる。その拡散接合製品はインサート材を使用していないので、適用するステンレス鋼種本来の特性(耐食性等)を活かすことができる。したがって本発明はフェライト系ステンレス鋼を用いた拡散接合製品の普及に貢献しうる。
最表面から深さ方向へのGDS分析プロファイル(試料記号b)。 図1の低濃度部分を拡大して表示した図。 最表面から深さ方向へのGDS分析プロファイル(試料記号e)。 図3の低濃度部分を拡大して表示した図。
ステンレス鋼材の直接法による拡散接合(これを本明細書では「直接拡散接合」と呼んでいる)は、従来の手法に従えば、(i)接合面の凹凸が変形して密着し、接合した箇所の接合面積が増大する過程、(ii)密着した箇所で接合前鋼材の表面酸化物皮膜が消失する過程、(iii)ボイド内の残留ガスが母材と反応する過程、が並行して進行することにより完了すると考えられる。しかし、このような従来のメカニズムで拡散接合させる場合、特に(ii)の反応を完全に終了させるために高温、高面圧、長時間を要し、これが直接拡散接合を工業的に生産性良く実施するためのネックとなっていることがわかった。
発明者らは、直接拡散接合でステンレス鋼材同士を接合する際に、特に上記(ii)の過程がネックとなる生産性の低下を回避すべく、種々研究を重ねてきた。その結果、対象材料がフェライト系ステンレス鋼材の場合、以下の手法が極めて有効であることを見出した。
(1)拡散接合に供する表面の酸化皮膜をできるだけ薄くする。
(2)その酸化皮膜中に易酸化性元素であるTiやAlの酸化物ができるだけ含まれないようにする。
(3)拡散接合に供する表面の表面粗さを小さくする。
上記(1)および(3)の要件を満たすためには例えば酸洗後に調質圧延を施すことが有効である。
上記(2)の要件を満たすためには例えば鋼中のTiおよびAlの含有量が過大とならないように規制することが有効である。鋼中のCr含有量を高めることも有効である。酸化皮膜中にTi酸化物やAl酸化物が多く存在すると真空拡散接合の熱処理雰囲気でそれらの酸化物は還元されにくいので、上記(ii)の過程の障害となる。鋼中のTiおよびAlの含有量が少なければ、それに伴って酸化皮膜中のTi酸化物およびAl酸化物の量は減少する。また、鋼中のCr含有量が高くなれば酸化皮膜中のCr酸化物の割合が増大し、その分、TiやAlの酸化物の量は減少する傾向となることがわかった。TiやAlはCrより酸化されやすい元素であるが、Crはステンレス鋼の主成分として鋼中にTiやAlより多量に含まれているので、Cr含有量が高くなるほど酸化皮膜中の酸化物はCr酸化物リッチとなる。真空拡散接合の熱処理条件下(例えば圧力10-2Pa以下、露点−40℃以下、温度950〜1150℃)においてTi酸化物やAl酸化物は還元されにくいが、Cr酸化物は還元されるので、上記(ii)の過程を進行させるためには酸化皮膜をできるだけCr酸化物リッチとすることが有利となる。
〔成分組成〕
Crは、耐食性を確保する上で重要なステンレス鋼の主要成分である。また、酸化皮膜中のCr酸化物の割合を増大させるためには、鋼中のCr含有量を十分に確保する必要がある。種々検討の結果、Cr含有量を18.0質量%以上としたとき、Cr濃度が40原子%以上のCr濃化域を持つ酸化皮膜状態とすることが容易となり、真空拡散接合時の酸化皮膜の還元性を向上させるうえで有利となる。またCr含有量を20.0質量%以上とすることによってCr濃度が50原子%以上のCr濃化域を持つ酸化皮膜状態とすることが可能となり、真空拡散接合時の酸化皮膜の還元性は更に向上する。ただし、Cr含有量が過剰となると耐食性向上効果や酸化皮膜への還元性付与効果は飽和する一方、加工性や製造性を損なう要因となるので、Cr含有量は35.0質量%以下の範囲とする。
Tiは、C、Nを固定する作用を有するため耐食性や加工性を改善するうえで有効な元素であり、ステンレス鋼にはしばしば添加される。Alは、脱酸剤として添加されることが多い。ただし、TiおよびAlは易酸化性元素であるため、酸化皮膜中に含まれるTi酸化物やAl酸化物は上述のように真空拡散接合の熱処理において還元されにくい。そのためTi酸化物やAl酸化物の存在量が多い場合は上記(ii)の過程の進行が妨げられる。種々検討の結果、Crを18.0質量%以上含有するフェライト系ステンレス鋼において、鋼中のTiとAlの合計含有量が0〜0.15質量%の範囲であれば、Ti酸化物やAl酸化物による拡散接合性の低下は回避できることがわかった。
Cr、Ti、Al以外の成分元素については、拡散接合性の観点からは特にこだわる必要はなく、用途に応じて種々の成分組成を採用することができる。ただし、本発明では1200℃以下の温度域でフェライト単相組織となる化学組成を有する鋼を対象とする。発明者らの検討によると、1200℃以下の温度域でフェライト+オーステナイトの2相組織となるような特定組成範囲の鋼では、拡散接合時にフェライト相からオーステナイト相が生成するときの変態による駆動力を利用して、比較的容易に良好な拡散接合性を実現することができる。しかし、フェライト単相系ステンレス鋼ではそのような駆動力が利用できず、上記(1)〜(3)に示した手法を適用することによって従来のインサート材挿入法と同等の作業負荷による直接拡散接合が可能となる。
本発明で適用対象となるフェライト系ステンレス鋼の具体的な成分組成範囲として以下のものを例示することができる。
質量%で、Cr:18.0〜35.0%、TiとAlの合計:0〜0.15%、C:0.001〜0.050%、N:0.001〜0.050%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.05〜3.00%、P:0.001〜0.100%、S:0.0005〜0.010%、Ni:0〜1.00%、V:0〜0.15%、Cu:0〜2.00%、Mo:0〜4.00%、W:0〜4.00%、Nb:0〜1.00%、B:0〜0.0100%、残部Feおよび不可避的不純物。
〔表面粗さ〕
拡散接合に供する表面はできるだけ平滑であることが望ましい。表面粗さが大きくなると、上記(ii)の過程における酸化皮膜の消失が遅くなり、従来のインサート材挿入法と同等の作業負荷によって接合性の良好な直接拡散接合を実現することが難しくなる。種々検討の結果、拡散接合に供する表面の表面粗さRaは0.30μm以下とする。0.25μm以下とすることがより好ましい。なお、Raは圧延方向に直角の方向に測定した値が採用される。
〔酸化皮膜厚さ〕
拡散接合に供する表面の酸化皮膜厚さは、上記(ii)の過程を迅速に進行させるために、できるだけ薄いことが望ましい。ステンレス鋼の表面は不動態皮膜に覆われているので、具体的には上述のように、酸洗後に調質圧延を施すことが特に有効である。発明者らの検討によれば、拡散接合に供する表面についてのGDSによる深さ方向への分析において、最表面からO(酸素)濃度がピーク値の1/2に低下する位置までの深さで定義される酸化皮膜厚さが10nm以下であることが極めて有効である。
〔酸化皮膜中のCr濃化域〕
拡散接合に供する表面の酸化皮膜は、できるだけCr酸化物リッチであることが良好な接合性を得るうえで効果的である。上述のようにCr酸化物リッチであるほどTi酸化物やAl酸化物の存在割合が減少する傾向となる。拡散接合時の熱処理において還元されにくいTi酸化物およびAl酸化物の存在割合が少ないほど、上記(ii)の過程が円滑に進行する。一方、Cr酸化物は拡散接合時の熱処理において還元消失しやすいので多量に存在しても構わない。発明者らの詳細な検討によれば、Cr含有量が18.0質量%以上のフェライト系ステンレス鋼を適用すれば、例えば2B仕上げ材において上記のGDSによる深さ方向への分析での最表面から15nm深さまでの表層部における平均Cr濃度が40原子%以上となるCr濃化域を形成することが可能であり、その場合に従来のインサート材挿入法と同等の作業負荷によって接合性の良好な直接拡散接合を実現することができる。また、Cr含有量が20.0質量%以上のフェライト系ステンレス鋼を適用すれば、上記のGDSによる深さ方向への分析での最表面から15nm深さまでの表層部における平均Cr濃度が50原子%以上となるCr濃化域を形成することが可能となる。その場合にはさらに拡散接合性が向上する。ただし、これらいずれの場合においても、鋼中のTi、Al含有量が上述の適正範囲を満たすことが条件である。
図1、図2に後述表2の試料記号bの試料についての最表面から深さ方向へのGDS分析プロファイルを例示する。また図3、図4に後述表2の試料記号eの試料についての最表面から深さ方向へのGDS分析プロファイルを例示する。図2および図4はそれぞれ図1および図2の低濃度部分を拡大して表示したものである。Fe、Cr、Oについては部分的に縦軸目盛の上端をオーバーしている箇所がある。これらいずれの試料においても、最表面からO(酸素)濃度がピーク値の1/2に低下する位置までの深さで定義される酸化皮膜厚さは10nm(0.010μm)以下となっている。最表面から15nm深さまでの表層部における平均Cr濃度については、図3、図4の試料(試料記号e)の方が図1、図2の試料(試料記号b)より高い。後述表3からわかるように、前者(試料記号e)を用いた場合の方が後者(試料記号b)を用いた場合より接合性に優れる。
〔拡散接合製品の製造方法〕
上述の本発明の規定に従うフェライト系ステンレス鋼材同士を直接法による真空拡散接合に供することにより、接合性の良好な拡散接合製品を得ることができる。具体的には、例えば接触面圧0.1〜1.0MPaで直接接触させた状態とし、圧力10-2Pa以下好ましくは10-3Pa以下、露点−40℃以下の炉内で950〜1150℃に加熱保持することにより拡散接合を進行させる。保持時間は0.5〜3hの範囲で調整すればよい。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、熱間圧延にて板厚3〜4mmの熱延板とし、焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上焼鈍、酸洗、調質圧延の工程により、板厚1mmの供試材(2B仕上げ材)とした。一部の鋼(鋼No.a)については仕上焼鈍後の酸洗仕上のままの試料も作製し、板厚1mmの供試材(2D仕上げ材)とした。その2D仕上げ材の一部の試料において酸洗時間を変えることで表面粗さおよび酸化皮膜の状態を異なるものとした。
〔GDS分析〕
各供試材の拡散接合に供する表面についてGDS(理学電機工業社製;GDA750)による深さ方向の分析を行った。そのプロファイルにより、最表面からO(酸素)濃度がピーク値の1/2に低下する位置までの深さで定義される酸化皮膜厚さを求めた。酸化皮膜厚さが10nm以下のものを○、それ以外を×と表示した。また、上記プロファイルにより最表面から15nm深さまでの表層部におけるCr濃度を求め、その表層部における平均Cr濃度が50原子%以上となるCr濃化域を有するものを◎、平均Cr濃度が40原子%以上50原子%未満となるCr濃化域を有するものを○、それ以外を×と表示した。
〔表面粗さRaの測定〕
各供試材の拡散接合に供する表面について表面粗さ測定装置(東京精密社製;SURFCOM2900DX)により圧延方向に対し直角方向の表面粗さRaを測定した。
これらの結果を表2に示す。
〔拡散接合製品の作製〕
2枚の供試材(鋼材1および鋼材2)同士を積層して0.1〜1.0MPaの範囲に設定した所定の接触面圧を付与した状態とし、その積層体を真空炉に装入して10-2Pa以下の圧力となるまで真空引きした後、さらに真空引きを継続しながら950〜1150℃の範囲に設定した拡散接合温度まで昇温してその温度に2h保持し、その後、炉中で放冷する手法にて拡散接合製品の作製を試みた。保持温度における到達真空度は10-3Pa程度である。
〔拡散接合性の評価〕
得られた拡散接合製品の板厚方向に垂直な断面について、接合界面上を合計長さL0=0.3mmにわたって顕微鏡で観察して、その観察部分に存在する未接合部(点在するボイド存在箇所を含む)の合計長さL1(mm)を測定し、下記[1]式により定まる接合率A(%)を求めた。
A=(L0−L1)/L0×100 …[1]
この接合率Aが50%以上であれば拡散接合製品として種々の用途で実用的な接合強度を有すると判断できる。また接合率Aが90%以上であれば接合強度や密封性において極めて優れた性能を発揮すると判断できる。したがって、以下の基準で接合性を評価し、○評価以上を合格とした。
◎:接合率Aが90%以上(接合性;優秀)
○:接合率Aが50%以上90%未満(接合性;良好)
×:接合率Aが50%未満(接合性;不良)
表3に鋼材1と鋼材2の組合せ、表研粗さ(表2に記載の値)、拡散接合条件、接合性評価を示す。
本発明例のものは従来のインサート材挿入法と同等の作業負荷(接触面圧、拡散接合保持温度)によって接合性の良好な直接拡散接合を実現することができた。このうち表面粗さRaが0.25μm以下であり、かつ最表面から15nm深さまでの表層部にCr濃度が50原子%以上となるCr濃化域を有する供試材同士を接合した場合には、特に優れた接合性(◎評価)が得られた。
これに対し、比較例No.2、3はCr含有量が低い鋼を用いたので酸化皮膜表層部のCr濃化が不十分となり、結果的に接合性に劣った。No.8、9はTi+Alの合計含有量が過大である鋼を用いたので接合性に劣った。No.24は酸化皮膜厚さが過大であり、また表面粗さRaが過大である鋼を用いたので接合性に劣った。

Claims (4)

  1. Cr含有量が18.0〜35.0質量%、TiとAlの合計含有量が0〜0.15質量%であり、1200℃以下の温度域でフェライト単相組織となる組成を有し、拡散接合に供する表面の表面粗さRaが0.30μm以下であり、その表面についてのGDSによる深さ方向への分析において、最表面からO(酸素)濃度がピーク値の1/2に低下する位置までの深さで定義される酸化皮膜厚さが10nm以下であり、かつ最表面から15nm深さまでの表層部にCr濃度が40原子%以上となるCr濃化域を有する直接拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材。
  2. 質量%で、Cr:18.0〜35.0%、TiとAlの合計:0〜0.15%、C:0.001〜0.050%、N:0.001〜0.050%、Si:0.01〜1.00%、Mn:0.05〜3.00%、P:0.001〜0.100%、S:0.0005〜0.010%、Ni:0〜1.00%、V:0〜0.15%、Cu:0〜2.00%、Mo:0〜4.00%、W:0〜4.00%、Nb:0〜1.00%、B:0〜0.0100%、残部Feおよび不可避的不純物からなり、1200℃以下の温度域でフェライト単相組織となる組成を有する請求項1に記載の直接拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材。
  3. Cr含有量が20.0〜35.0質量%であり、拡散接合に供する表面の表面粗さRaが0.25μm以下であり、その表面についてのGDSによる深さ方向への分析において、前記酸化皮膜厚さが10nm以下であり、かつ最表面から15nm深さまでの表層部にCr濃度が50原子%以上となるCr濃化域を有する請求項1または2に記載の直接拡散接合用フェライト系ステンレス鋼材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のフェライト系ステンレス鋼材同士を接触面圧0.1〜1.0MPaで直接接触させた状態とし、圧力10-2Pa以下、露点−40℃以下の炉内で950〜1150℃に加熱することにより拡散接合を進行させる、フェライト系ステンレス鋼拡散接合製品の製造方法。
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