本発明にかかる実施の一形態について図に基づいて説明する。本実施形態の画像処理装置を備えた本実施形態の画像形成装置は、コピーモード、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行するデジタルカラー複合機である。
コピーモード(複写モード)とは、画像データを読み込み(原稿を読み取って画像データを生成し)、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、画像形成装置100に接続されているコンピュータから送られてくる画像データの画像を記録シートに印刷するモードを意味する。プリントモードには、デジタルカメラやUSBメモリ、SDカード等から読み込まれた画像データを用紙に印刷するモードも含まれる。コピーモード、プリントモードにおいては、利用者にて、モノクロ画像を出力するモノクロモード、フルカラーの画像を出力するフルカラーモードのいずれかが選択される。
ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリにて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。
イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って生成した画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って生成した画像データをユーザにより指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って生成した画像データを画像形成装置に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。
なお、本実施形態においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類しているが、モードの分類は上記に限定されるものではない。
本画像形成装置おける注目すべき構成は、画像データの画像を用紙に印刷する印刷装置として、文字の再現に優れ印刷コストも安価な電子写真方式の印刷装置と、写真の印刷に適した昇華型の印刷装置との両方を搭載しており、原稿が写真である場合に、昇華型の印刷装置を用いて写真を印刷し、写真の焼き増しができる点である。
以下、この点を中心に、本画像形成装置について詳細に説明する。図1、図2に、本実施形態の画像処理装置を備えた本実施形態の画像形成装置の機能ブロック図を示す。このうち、図1は、コピーモードにおいて、画像入力装置1から読み取られた画像データが、電子写真方式の印刷装置である第1画像出力装置3に入力されてその画像が印刷される場合の画像データの流れを示している。一方、図2は、コピーモードにおいて、画像入力装置1から読み取られた画像データが、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4に入力されてその画像が印刷される場合の画像データの流れを示している。
画像形成装置100は、図1、図2に示すように、画像入力装置1、画像処理部2、第1画像出力装置3、第2画像出力装置4、受信装置7、送信装置8、記憶装置6、制御部5、操作パネル11、データ入力端末9、ソフトウェア処理部10を有している。本発明の画像処理装置は、画像処理部2と制御部5とで構成される。
画像入力装置(原稿読取装置)1は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取装置である。画像入力装置1は、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理部2へ入力させる。なお、画像入力装置1は、フルカラーモード,モノクロモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
第1画像出力装置(印刷装置)3、第2画像出力装置(印刷装置)4は、画像処理部2から送られてきた画像データの画像を例えば用紙等の記録シート上に印刷(形成)するものである。本実施の形態では、上述したように、第1画像出力装置3は電子写真方式の印刷装置であり、第2画像出力装置4は昇華型の印刷装置である。
電子写真方式の印刷装置は、負に帯電させた感光体の表面をレーザー或いはLED(発光ダイオード)を使って露光させ、感光体の表面上にトナーを付着させてトナー像を形成し、該トナー像を用紙に転写した後、加熱・圧力して定着させる。この方式では、1画素の階調が十分ではないため、画像処理部2の後述する中間調生成部40にて、複数画素に分解して階調を再現する必要がある。
一方、昇華型の印刷装置は、インクを加熱して昇華させ、用紙に付着させることで画像を形成する。この方式では、加える熱量を制御することで、1画素で多くの階調を表現でき、写真に近い画質を得ることができる。
電子写真方式は、写真を印刷した場合に、その画質という点では昇華型に劣るが、文字の再現や印刷コストという点では勝っている。逆に、昇華型は、印刷コストという点では劣るが、写真を印刷した場合に、その画質は勝っている。画像形成装置100においては、利用者の意図によって、使用する画像出力装置を切り替えることができ、より高画質な印刷物を利用者へ提供することができる。
第1画像出力装置3は、原稿が写真でない場合のコピーモード、写真プリントでない場合のプリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理部2から供給された画像データに基づいて画像を形成する。
第2画像出力装置4は、原稿が写真である場合のコピーモード、写真プリントである場合のプリントモードにおいて、画像処理部2から供給された画像データに基づいて画像を形成する。原稿が写真であるか否か、写真プリントであるか否かによって、使用する画像出力装置を切り替える処理は、後述する制御部5にてなされる。詳細については後述するが、制御部5は、画像データに対して写真用の処理を行うか否かを判定し、該処理を行う場合に、画像処理部2の所定のブロックにおける動作を、写真に適した動作に変更すると共に、使用する画像出力装置として第2画像出力装置4を選択する。
画像処理部2は、画像データ(画像信号)に対して画像処理を施すものである。本実施の形態においては、画像処理部2は、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるハードウェア部2Aと、CPUを搭載したコンピュータで構成されるソフトウェア部2Bとからなる。なお、ソフトウェア部2Bの機能を全てASICに載せることも可能である。逆に、ハードウェア部2Aの機能を全て、コンピュータで構成させることも可能である。
画像処理部2は、図1に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、原稿種別自動判別部24、YCC変換部25、第1空間フィルタ部26、RGB変換部27、領域分離処理部29、圧縮部30、領域分離信号圧縮部31、復号部32、領域分離信号復号部33、画質調整部34、色補正部35、黒生成/下色除去部36、第2空間フィルタ部37、第1変倍部38、第1出力階調補正部39、中間調生成部40、アンシャープマスク処理部41、第2変倍部42、第2出力階調補正部43の各ブロックを有している。このうち、アンシャープマスク処理部41、第2変倍部42、第2出力階調補正部43が、ソフトウェア部2Bにて構成されており、残りのブロックはハードウェア部2Aに搭載されている。画像処理部2に含まれる各ブロックの処理内容については後述する。
画像処理部2は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置1から送られてきた画像データに画像処理を行う。画像処理部2は、コピーモード、イメージ送信モード、ファクシミリ送信モードのインターネットファクシミリモードにおいて、写真用の処理を行う場合は、画像入力装置1から送られてきた画像データに写真用の処理の1つとしてノイズを低減する処理を、第1空間フィルタ部26にて行う。
また、画像処理部2は、コピーモードにおいては、画像入力装置1から送られてきた画像データに、第1画像出力装置3または第2画像出力装置4の何れか選択された方の特性に応じた画像処理を施す。第2画像出力装置4の特性に応じた画像処理が、写真用の処理の1つである。画像処理部2は、画像処理を施した画像データを第1画像出力装置3または第2画像出力装置4のいずれか選択された方に出力する。
プリントモードにおいては、ソフトウェア処理部10から記憶装置6に一旦保存された画像データに画像処理を行う。プリントモードにおいても、第1画像出力装置3または第2画像出力装置4の何れか選択された方の特性に応じた画像処理を施す。プリントモードにおいては、操作パネル11にて写真プリントが選択された場合に、第2画像出力装置4を選択し、それ以外は第1画像出力装置3を選択する。
ファクシミリ受信モードにおいては、外部装置から受信装置7が受信した画像データに画像処理を行う。画像処理部2は、ファクシミリ受信モードにおいては、画像処理を施した画像データを画像出力装置3に送信し、ファクシミリ送信モードにおいては、画像処理を施した画像データを送信装置8に送信する。
また、画像処理部2は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいては、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データをデータ入力端末9に接続したUSBメモリに送信する。
受信装置7は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置8は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置1にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
記憶装置6は、画像処理部2にて扱われる画像データを一旦保存するための装置であり、例えばハードディスクである。
データ入力端末9は、プリントモードで印刷する画像データを入力するための装置である。USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital Memory Card)カードなどのデータ記憶機器を接続するインタフェースを有し、データ記憶機器に保存されている画像データを取得し、ソフトウェア処理部10に画像データを渡す。
ソフトウェア処理部10は、データ入力端末9から送られてきた画像データに対して、画像処理を施す装置であり、例えばCPUを搭載したコンピュータで構成される。データ入力端末9のUSB端子に接続されたデジタルカメラやUSBメモリ、SDカードに記憶されているデジタル画像を読み出して画像処理を施す。ソフトウェア処理部10は、画像処理部2の後述する原稿種別自動判別部24、YCC変換部25、第1空間フィルタ部26、RGB変換部27、色補正部35、第2空間フィルタ部37、アンシャープマスク処理部41、第2変倍部42、第2出力階調補正部43と同等の処理を実現する。ソフトウェア処理部10にて処理が施された画像データは、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4に送られる。なお、ソフトウェア処理部10において、原稿種別自動判別部24の処理はなくてもよい。
操作パネル11は、画像形成装置100の入力インタフェースである。本実施形態では操作パネル11は、タッチパネルとして設けられており、画像形成装置100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。操作パネル11には、図3に示すような、出力用紙サイズに対応したボタンが表示される。利用者は、ボタンを操作して画像を出力する用紙サイズを選択できる。
制御部(写真処理判定部)5は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、画像形成装置100に備えられる各種ブロックを統括的に制御するものである。また、制御部5は、画像形成装置100に備えられる各ブロッック間のデータ転送を制御する機能も有する。
ここで、制御部5は、上述したように、コピーモード、イメージ送信モード、ファクシミリ送信モードのインターネットファクシミリモードにおいては、画像入力装置1から送られてきた画像データに対して写真用の処理を行うか否かを判定し、写真用の処理を行う場合は、ノイズを低減する処理を、第1空間フィルタ部26にて行う。
また、制御部5は、コピーモードと、プリントモードにおいては、写真用の処理を行う場合は、使用する画像出力装置として第2画像出力装置4を選択し、画像処理部2における所定のブロックの動作を、第2画像出力装置4の特性に対応したものとなるように切り替える。写真用の処理を行わない場合は、使用する画像出力装置として第1画像出力装置3を選択し、画像処理部2における所定のブロックの動作を、選択された第1画像出力装置3の特性に対応したものとなるように切り替える。
制御部5が、写真用の処理を行うか否かを判定する手法として、例えば、利用者に「写真プリント」を指定させる手法がある。これは、操作パネル11を用いて、写真の印刷を希望する場合は「写真プリント」を選択するように利用者に促すものである。制御部5は、利用者が操作パネル11より「写真プリント」を選択すると、写真用の処理を行うと判定する。
また、利用者に「出力用紙サイズ」を指定させる手法もある。これは、操作パネル11を用いて、出力用紙サイズを選択するように利用者に促すものである。写真の印刷には、L判もしくは2L判のような写真の定形サイズの用紙が使われ、文書の印刷には、A4、A3などのA版、B5、B4などB版といった記録紙の定形サイズの用紙が使われる。
そこで、制御部5は、利用者が操作パネル11より選択して出力用紙サイズに基づいて、L版、2L版、四切等、写真の規格サイズが選択されると、写真用の処理を行うと判定する。一方、出力用紙サイズとして、A系、B系の用紙が選択された場合は、制御部5は、文書の印刷(写真用の処理を行わない)と見なして、写真用の処理を行わないと判定する。
なお、以下の説明においては、本画像形成装置100において第1画像出力装置3を用いた印刷がデフォルトである場合を想定し、第2画像出力装置4を用いた印刷はデフォルトからの変更として「切り替える」「変更する」といった表現を用いる。
また、利用者に「出力用紙のサイズ」の入力を促す際、「出力用紙の種類」を指定させるようにしても良い。これは、操作パネル11を用いて、出力用紙の種類を選択するように利用者に促すものである。通常のオフィス等で使用される文書をコピーするには光沢度の低い普通紙を使い、写真をコピーする場合には紙の厚さが厚く光沢度の高い紙を使用する。そこで、制御部5は、図10のような、「普通紙」あるいは「写真用紙」を選択させる画面を表示する。利用者が出力用紙サイズについて慣れていない場合、出力用紙サイズの選択操作に戸惑うことがあり得る。しかし、最初に、出力用紙の種類を選択するように促すことにより、利用者の意図を反映させ、入力操作を速やかに行うことができる。
図10の画面において、「出力用紙の種類」として、「写真用紙」が選択されると、L判もしくは2L判のような写真の定形サイズが表示される。利用者は、表示された選択肢の中から、意図する用紙サイズを選択すれば良い。また、図10の画面において、「普通紙」を選択すると、A4、A3などのA版、B5、B4などB版といった記録紙の定形サイズが表示される。利用者は、上記と同様に、表示された選択肢の中から、意図する用紙サイズを選択すれば良い。
また、コピーモード、出力用紙サイズを指定させる方法に代えて、原稿台にセットされた原稿サイズを読み出すようにしてもよい。原稿として、L版、2L版等、写真の定型サイズが検知された場合に、写真用の処理を行うと判定する。原稿サイズの検出は、複数のセンサ(例えば、フォトトランジスタ)を原稿台上に設けることで可能である。
さらに、制御部5は、画像処理部2の原稿種別自動判別部24による判別結果を用いて、印画紙写真原稿、印刷写真原稿と判定されると、写真用の処理を行うと判定するようにしても良い。また、出力用紙サイズの選択と原稿種別自動判別部24による判別結果とを組み合わせて、原稿種別の判別結果が印画紙写真原稿、または印刷写真原稿であり、原稿サイズがL版、2L版等の写真の規格サイズが選択されている場合に、写真用の処理を行うと判定してもよい。或いは、原稿種別が印画紙写真原稿、または、印刷写真原稿と判定されると、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4で印刷を行うか否かを利用者に指摘させるようにしても良い。
次に、画像処理部2の各ブロックにて実行される処理の内容を詳細に説明する。画像処理部2には、選択されているモード(コピーモード、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)によって、動作したり動作しなかったりするブロックが存在する。動作しない場合、ブロックは入力された信号をスルーさせる。また、同じモードであっても、写真用の処理を行うか否かで、動作したり動作しなかったり、処理内容を変更したりするブロックも存在する。
以下においては、図1、図2の両方を参照しながら、画像処理部2に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容として、コピーモードが選択された場合であって、写真用の処理を行う場合(図2)と、写真用の処理を行わない場合(図1)とを、処理内容が異なるブロックに重きをおいて説明する。なお、処理が異なることを特に断らないブロックについては、写真用の処理を行う場合(図2)と、写真用の処理を行わない場合(図1)とで処理の内容は共通である。
A/D(アナログ・デジタル)変換部21は、画像入力装置1から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換する。シェーディング補正部22は、A/D変換部21から送られてきた画像データに対して、画像入力装置1の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を除く。入力処理部23は、シェーディング補正部22より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してγ補正処理などの階調変換処理を施す。
原稿種別自動判別部(原稿種別判別部)24は、入力処理部23にてγ補正等の処理がなされたRGB信号の画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置1にて読み取られた原稿の種別を判定する。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。
原稿種別自動判別部24による判別方法としては、例えば、特開2002−232708に記載の方法を用いることができる。以下にその手順を記載する。
(1) 注目画素を含むn×m(例えば、7×15)のブロックにおける最小濃度値および、最大濃度値を算出する。
(2) 算出された最小濃度値及び最大濃度値を用いて最大濃度差を算出する。
(3) 隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(例えば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4) 算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行う。
最大濃度差<最大濃度差閾値および総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値のとき、注目画素は下地・印画紙写真領域に属すると判定する。
上記条件を充たさないとき、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
(5) 下地・印画紙写真領域に属すると判定された画素
注目画素が、最大濃度差<下地・印画紙写真判定閾値を充たすとき、下地画素であると判定し、上記条件を充たさないとき、印画紙写真(連続階調領域)画素であると判定する。
(6) 文字・網点領域に属すると判定された画素
注目画素が、総和濃度繁雑度<最大濃度差に文字・網点判定閾値を掛けた値の条件を充たすとき、文字画素であると判定し、上記条件を充たさないとき、網点画素であると判定する。
(7) 下地領域、印画紙写真領域、文字領域および網点領域に分類された画素数をカウントし、それぞれのカウント値と予め定められている下地領域、印画紙写真領域、網点領域及び文字領域に対する閾値と比較して原稿全体の種別を判定する。例えば、文字、網点、印画紙写真の順に検出精度が高いとすると、文字領域の比率が全画素数の30%以上の場合には文字原稿、網点領域の比率が全画素数の20%以上の場合には網点原稿(印刷写真原稿)、印画紙写真領域の比率が全画素数の10%以上の場合には印画紙写真原稿であると判定する。また、文字領域の比率と網点領域の比率とが、それぞれ閾値以上であるとき、文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
また、原稿種別自動判別部24は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。また、原稿種別自動判別部24は、入力処理部23より入力されたRGB信号の画像データを、YCC変換部25、領域分離処理部29に送る。
YCC変換部25およびRGB変換部27は、制御部5が写真用の処理を行うと判断した場合にのみ動作する(図2参照)。YCC変換部25は、写真用の処理を行わない場合は、原稿種別自動判別部24より入力されたRGB信号からなる画像データをそのまま第1空間フィルタ部26に出力する(図1参照)。
一方、写真用の処理を行う場合は、YCC変換部25は、原稿種別自動判別部24より入力されたRGB信号からなる画像データを、輝度信号Y、色差信号Cb、CrからなるYCC信号の画像データに変換する。変換には、例えば、以下に示す数式1のマトリクス演算式を用いて行うことができる。
ただし、上記のマトリクス演算式で算出した値が0以下の場合は0、255以上の場合は255とする。YCC変換部25は、変換したYCC信号の画像データを第1空間フィルタ部26に出力する(図2参照)。
第1空間フィルタ部26は、写真用の処理を行う場合と行わない場合とで、使用するフィルタ係数を異ならせる。写真用の処理を行わない場合は、RGB信号に対して図4(b)に示すフィルタ係数を用いて平滑化処理を行い、干渉縞(モアレ)の発生を抑制する(第1空間フィルタ処理A)。第1空間フィルタ部26は、平滑化した画像データ(RGB信号)をRGB変換部27に出力する(図1参照)。
一方、写真用の処理を行うとき、第1空間フィルタ部26は、YCC色空間に変換されたYCC信号(Y:輝度信号、CC:色度信号)の画像データのうち、色度信号に、図4(a)に示すようなフィルタ係数を用いて平滑化処理を行う(第1空間フィルタ処理B)。このようなフィルタ係数を用いることで、輝度信号をぼかさず色度信号を平滑化することができ、見た目の先鋭度を劣化させずにノイズを低減することができる。第1空間フィルタ部26は、平滑化した画像データ(YCC信号)をRGB変換部27に出力する(図2参照)。
RGB変換部27は、写真用の処理を行わない場合、第1空間フィルタ部26から入力された画像データ(RGB信号)をそのまま圧縮部30に出力する(図1参照)
一方、写真用の処理を行う場合は、RGB変換部27は、YCC信号からなる画像データをRGB信号からなる画像データに変換する。この変換には、例えば以下に示す数式2のマトリクス演算式を用いて行うことができる(図2参照)。RGB変換部27は、変換した画像データ(RGB信号)を圧縮部30に出力する。
なお、JPEGフォーマットではYCC信号に基づいて処理がなされるため、画像データを一旦JPEGフォーマットで記憶する場合は、RGB変換部27は、YCC信号からなる画像データをRGB信号からなる画像データに変換することなく圧縮部30に送る。
圧縮部30は、RGB変換部27から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行う。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
領域分離処理部29は、写真用の処理を行わない場合に、原稿種別自動判別部24より入力されたRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する(図1参照)。領域分離処理部において判別される画像領域には、黒文字領域,色文字領域,網点領域等がある。なお、領域分離処理は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
領域分離処理としては、上記(1)〜(6)の方法を用いることができる。原稿種別の判別を行う場合、原稿の種別が判定できれば良いので、例えば、(1)画像データの解像度を低解像度化して行う、(2)各領域に判別を行う閾値として確実に判定できる閾値を用い、確実に領域分離されたデータを用いて行う。領域分離処理部29は、生成して領域分離信号を領域分離信号圧縮部31に出力する(図1参照)。なお、写真用の処理を行う場合は、既に原稿が写真であることが分かっているので、領域分離処理部29は領域分離処理を実施しない(図2参照)。
領域分離信号圧縮部31は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施す。なお、領域分離信号圧縮部31における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて行われる(図1参照)。
制御部5は、圧縮部30から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部31から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを一旦記憶装置6に保存し、ファイリングデータとして管理する。そして、制御部5は、コピーモードの場合、記憶装置6から上記の符号化コードおよび当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部32、領域分離信号復号部33にそれぞれ引き渡す。
なお、制御部5は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部5は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
復号部32は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。
また、領域分離信号復号部33は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部36、第2空間フィルタ部37、中間調生成部40に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部36、第2空間フィルタ部37、中間調生成部40においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切り替えが行われる(図1参照)。
画質調整部34は、復号部32から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部34は、ユーザによって操作パネル11から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
色補正部35および黒生成/下色除去部36は、写真用の処理を行う場合と行わない場合とで、使用する色補正テーブルを変更し、黒生成下色除去を行う際のパラメータも変更する。
色補正部35は、フルカラーモードが選択されている場合に、RGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに色再現性を高める処理を施す。なお、上記の色補正処理は、色補正テーブルとして、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)が予め作成されており、該LUTから入力値に応じた出力値をルックアップすることによって実現される。
写真用の処理を行わない場合、色補正部35は、第1画像出力装置3の出力特性に応じた色補正テーブルを用いる(色補正処理A)。一方、写真用の処理を行う場合は、色補正部35は、第2画像出力装置4の出力特性に応じた色補正テーブルを用いる(色補正処理B)。色補正部35は、補正した画像データを、黒生成/下色除去部36に出力する。
黒生成/下色除去部36は、フルカラーモードが選択されている場合であって、かつ、写真用の処理を行わない場合に、以下に示す数式3を用いてCMY信号をC'M'Y'K信号に変換する(黒生成/下色除去処理A)。黒生成/下色除去部36は、変換したC'M'Y'K信号を第2空間フィルタ部37に出力する。(図1参照)。
α、βについては、実際に第1画像出力装置3を用いて、様々な値で画像を出力し、適切な値を求めておく。電子写真方式では、領域分離信号により値を切り替える。例えば、文字領域に対しては、例えばα=1、β=1と設定し、黒生成量を増加させてCMYの使用量を減らす処理を行う。これにより黒文字を、CMY量を減少させて色のにじみを低減し、文字のよりくっきりと再現する。
電子写真方式の印刷装置である第1画像出力装置3では、Kトナーを使用するため、CMYK信号へ変換するが、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4においては、カラーインクのみを使用しているため、黒生成下色除去処理は不要である。そこで、写真用の処理を行う場合、黒生成/下色除去部36は、以下に示す数式4を用いて、α=0、β=0として処理する(黒生成/下色除去処理B)。黒生成/下色除去部36は、色補正後のCMY信号をそのままC'M'Y'信号として第2空間フィルタ部37に出力する(図2参照)。この場合、中間調生成部40での処理はスルー(何も処理が行われない)となる。
また、変形例の構成として、色補正部35が、写真用の処理を行う場合に、図5に示すように、第2画像出力装置4の出力特性に応じてR’G’B’信号に変換するようにしても良い。この場合は、後段の黒生成/下色除去部36、第1出力階調補正部39、中間調生成部40の処理はスルーとなる。
また、別の変形例の構成として、色補正部35において、色補正テーブルを用いる代わりに、カラーマスキング法により色補正処理を行うようにしても良い。カラーマスキング法の場合、あるCMY信号を画像出力装置に与えた場合に出力される色のL*a*b*値(CIE1976L*a*b*信号(CIE: Commission International de l’Eclairage :国際照明委員会。L*: 明度、a*,b*: 色度))と同じL*a*b*をもつカラーパッチをスキャナが読み込んだときのRGBデータと、画像出力装置に与えたCMYデータの組を多数用意し、それらの組み合わせから、以下に示す数式5のa11からa33までの変換行列の係数を算出する。これらの係数を用いて色補正処理を行う。より精度を高めたい場合は、二次以上の高次の項を加えればよい。
第2空間フィルタ部37は、黒生成/下色除去部36より出力されるC'M'Y'K信号またはC'M'Y'信号の画像データに、デジタルフィルタによる強調処理や平滑化処理などの空間フィルタ処理を行う。
第2空間フィルタ部37は、写真用の処理を行う場合と行わない場合とで、使用するフィルタ処理を変更し、写真用の処理を行わない場合は、さらに、領域分離信号を基にフィルタ処理を変更する。
電子写真方式の印刷装置は、1画素の階調数が十分ではないため、組織的ディザ法のような複数画素を使って階調を再現する階調再現処理を行う(第2空間フィルタ処理A)。この場合、入力画像が網点で構成され周期性を持つ場合、ディザマトリックスの周期と干渉して干渉縞が発生する。そのため、第2空間フィルタ部37は、写真用の処理を行わない場合、網点領域に図6(b)のような強い平滑化処理を行い、干渉縞の発生を抑制する。
一方、昇華型の印刷装置の場合、1画素で多くの階調を表現でき画素毎に階調の表現を行うので干渉縞が発生しずらい。そこで、網点領域よりなる印刷写真に対しては、図6(a)のような弱い平滑化処理を行い、ぼけ過ぎることを防ぎつつ網点成分の除去を行う。また、銀塩写真(印画紙写真。連続階調よりなる写真)に対しては、図6(c)に示すような、図6(a)よりも弱い平滑化処理を行う(第2空間フィルタ処理B)。
さらに、第2空間フィルタ部37においては、画像データの濃度(画素値)に応じてフィルタ処理を切り替えるようにしても良い。例えば、高濃度領域においては平滑化特性を有するフィルタ処理を、低濃度領域においては、強調特性と平滑特性を有するフィルタ処理を、高濃度と低濃度の間の領域は、平滑化特性を有するフィルタ処理と強調特性と平滑特性を有するフィルタ処理に対して、濃度に応じた係数を求めて夫々乗算して加算することにより得られるフィルタ処理を行う(高濃度領域の平滑特性と、低濃度領域における強調特性と平滑特性を混合した特性を有するフィルタ処理。特開2009−118338参照)。これにより、シャドウ部のノイズを低減することができる。また、写真用の処理を行う場合は、電子写真方式で印刷するよりも、上記平滑化特性として弱い平滑化特性を有するフィルタ係数を使用する。写真原稿には、ディザマトリクスによる周期性が無くモアレの発生がないため、ぼかし過ぎないようにする。電子写真方式の印刷装置である第1画像出力装置3に対応した高濃度領域、低濃度領域のフィルタ係数の例を図7(a)(b)に、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4に対応した高濃度領域、低濃度領域のフィルタ係数の例を図8(a)(b)に示す。
第1変倍部38は、操作パネル11を介してユーザによって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行う。変倍処理は、一般的に公知である、二アレスとネイバー、バイリニア、バイキュービック等の補間方法を用いて行う。写真用の処理を行わない場合は、第1変倍部38は、変倍が縮小であっても拡大であっても処理する。
一方、写真用の処理を行う場合、第1変倍部38は、変倍が縮小である場合に、処理を行い、拡大である場合は、第1出力階調補正部39へとそのまま画像データを出力し、変倍処理は、後段の第2変倍部42にて行う。これにより、アンシャープマスク処理の対象となる画像サイズを小さくし、処理の高速化を図ることができる。第1変倍部38もしくは後段の第2変倍部42において、画像データは、出力画像データがL版、2L版等選択された出力用紙サイズになるように変倍処理される。
第1出力階調補正部39は、写真用の処理を行わない場合に、第1変倍部38から出力された画像データに、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理等の、第1画像出力装置3の出力特性に応じた出力階調補正を行う(出力階調補正処理A)。写真用の処理を行う場合は、第1出力階調補正部39は、処理を行わず、中間調生成部40へとそのまま画像データを出力し、後段の第2出力階調補正部43にて第2画像出力装置4の出力特性に応じた出力階調補正を行う(出力階調補正処理B)。
中間調生成部40は、写真用の処理を行わない場合に、誤差拡散法やディザ法を用いて、第1画像出力装置3において画像を印刷するために必要な中間調生成処理を実行する。上記した組織的ディザ法のような複数画素を用いて階調再現処理を行う。このとき、領域分離処理結果に基づいて、文字領域として分離された領域は、特に黒文字または色文字の再現性を高めるために、高域周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化または多値化処理を行う。領域分離処理部にて網点領域として分離された領域に関しては、階調性を重視したスクリーンで二値化または多値化処理される。領域分離処理部にて写真領域として分離された領域に関しては、で階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理が行われる。中間調生成部40は、中間調生成処理を施した画像データを第1画像出力装置3に出力する(図1参照)
写真用の処理を行う場合は、中間調生成部40は、第1出力階調補正部39より入力された画像データをそのままアンシャープマスク処理部41に出力する(図2参照)。
アンシャープマスク処理部41、第2変倍部42、第2出力階調補正部43は、写真用の処理を行う場合にのみ動作する(図2参照)。
アンシャープマスク処理部41は、入力された画像データにソフトウェアにより強調処理を行う。アンシャープマスク処理とは、画像データと平滑化を施した画像データとの差分を求め、求められた差分が閾値以上の場合、上記差分を元の画像データに加算する処理である。このように、画像データと平滑化を施した画像データとの差分を用いるため、周囲の画素と大きな差異のある画素のみを強調し、周囲の画素との差異が小さいノイズを除いて輪郭の強調処理を行うことができる。アンシャープマスク処理部41は、ハードウェアで実装すると複雑になるため、ここではソフトウェアで構成している。アンシャープマスク処理部41は、処理した画像データを第2変倍部42に出力する(図2参照)。
第2変倍部42は、操作パネル11を介してユーザによって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大処理を行う。拡大処理が不要の場合は、入力された画像データをそのまま第2出力階調補正部43に出力する(図2参照)。
第2出力階調補正部43は、写真用の処理を行う場合に、第1変倍部38から出力された画像データに、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理等の、第2画像出力装置4の出力特性に応じた出力階調補正を行う(出力階調補正処理B)。中間調生成処理を施した画像データを第1画像出力装置3に出力する(図2参照)。
図9に本画像形成装置における画像処理のフローチャートを示す。まず、制御部5は、写真用の処理を行うか否かを示すフラグをクリアした後(S1)、写真用の処理を行うか否かを判定する。制御部5は上述したように、出力用紙サイズとして写真の定型サイズが選択された場合や、写真プリントが選択された場合、或いは、検出した原稿サイズが写真の定型サイズである場合に、写真用の処理を行うと判定し、昇華型の印刷装置である第2画像出力装置4を使用すると判定する(S2)。写真用の処理を行うと判定すると、フラグに1をたてる(S3)。
画像処理部2は、画像入力装置1より入力された画像データに、シェーディング補正、入力処理、原稿種別自動判別処理等の前段処理を行った後(S4)、フラグを確認し(S5)、フラグが1であれば、S6に移行して、読み取った原稿が写真である場合にのみ行うYCC変換処理、第1空間フィルタ処理B(S7)、およびRGB変換処理を行う(S8)。この場合、既に原稿が写真であることはわかっているので、S10の領域分離処理はスルーして圧縮処理を行う(S11)。
一方、S5において、フラグが1でない場合は、画像処理部2は、画像データに、干渉縞を抑制する第1空間フィルタ処理A(S9)、領域分離処理(S10)を行ったのち、圧縮処理を行う(S11)。
画像処理部2は、圧縮した画像データに対し、複合処理(S12)、画質調整処理(S13)を行った後、再度、フラグを確認し(S14)、フラグが1であれば、S19に移行して、昇華型の印刷装置に適した色補正処理B、黒生成/下色除去処理B(S20)、および第2空間フィルタ処理B(S21)を行ったのち、変倍が必要でそれが縮小であれば変倍処理を行う(S18)。
一方、S14において、フラグが1でない場合は、S15に移行して、電子写真方式の印刷装置に適した色補正処理A、黒生成/下色除去処理A(S16)、および第2空間フィルタ処理A(S17)を行ったのち、変倍が指定されていれば変倍処理を行う(S18)。
その後、再度、フラグを確認し(S22)、フラグが1であれば、S21に移行して、昇華型の印刷装置に適したシャープマスク処理、および出力階調補正処理B(S23)を行ったのち、第2画像出力装置4に画像データを出力し、印刷を実行する(S26)。なお、変倍が必要でそれが拡大である場合は、S21と23との間で変倍処理(S22)を行う。
一方、S22において、フラグが1でない場合は、S24に移行して、電子写真方式の印刷装置に適した出力階調補正処理A、および中間調生成処理(S25)を行ったのち、第1画像出力装置3に画像データを出力し、印刷を実行する(S26)。
なお、本発明の別の実施形態として、写真をコピーする場合に、利用者より、昇華型プリンタか電子写真方式かを選択して印刷するように構成するようにしても良い。出力用紙のサイズについて、コピーの原稿サイズと同様に図3の選択肢を利用者に提示し、サイズの選択を促す。A系、B系の用紙が出力用紙として選択された場合は、原稿のサイズが写真定形サイズであっても、A系、B系で出力可能な印刷装置である第1画像出力装置3を用いて印刷を行う。
そこで、図11に示すような、写真定形サイズのままコピーするか(等倍)、出力用紙サイズまで拡大してコピーするか(用紙サイズへ拡大)を、利用者に指定することを促すことで、A4サイズのような通常の写真定形サイズより大きな用紙に写真をコピーできるようにすることが可能となる。この場合の処理は、出力用紙サイズの指定および等倍、拡大の選択を除いては、前述の第1画像出力装置3でのコピー処理と同じである。この場合、写真に近い画質を得るために、出力用紙として光沢紙を使用するのが好ましい。また、L判、2L判の用紙を出力用紙として選択された場合は、前述の第2画像出力装置4での印刷と同様の処理を行う。
この場合のフローチャートは、事前の出力用紙サイズの指定および等倍、拡大の選択を除いては、図9のフローチャートと同様のため省略する。
上記した画像処理部2は、上述したように、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、画像処理部2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理部2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像処理部2に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、画像処理部2を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。