(画像処理装置)
本発明の画像処理装置の一形態について図に基づいて説明する。図1は、本実施形態の画像処理装置1の主要構成を示すブロック図である。なお、以下の説明において、画像データは8ビット(画素値で0〜255)で表されるものとする。
画像処理装置1は、画像入力装置2が原稿を読み取って得た画像データに対して、画像処理を施し、プレビュー表示用の画像データを作成し、画像表示装置4に供給する装置である。画像入力装置2は、原稿を読み取り、RGB信号からなる画像データを生成する画像読取手段である。画像入力装置2は、例えば、CCDイメージセンサを備えたスキャナにより構成される。
画像処理装置1は、後述のように、画像入力装置2が原稿を読み取って得た画像データから印刷用やFAX送信用の画像データも作成するが、ここでは、プレビュー表示用の画像を作成する際の処理について説明する。その他の構成および処理については、後述の画像形成装置の説明内にて説明する。
図1に示すように、画像処理装置1は、第一マトリックス演算部(第一色変換処理部)11、有彩無彩信号算出部12、第二マトリクス演算部(第二色変換処理部)13、ガンマ処理部14、および変倍処理部15を備えている。
第一マトリクス演算部11は、原稿をスキャンして得られた画像データのRGB信号を入力として、原稿の色味に近くなるようにRGB信号の値を変換する処理(第一色変換処理)を実行するブロックである。原稿をスキャンして得られた画像データは、例えば、画像入力装置2にて今回読み取った原稿の画像データであってもよいし、以前に画像入力装置2にて読み取って図示しない記憶部に格納しておいた画像データであってもよい。
第一マトリクス演算部11に入力されたRGB信号は、画像入力装置2の色空間に適合しているデータである。第一マトリクス演算部11は、このRGB信号を画像表示装置4の色空間に適合するRGBの画像データへ変換する処理を行う。この変換処理は、下記の式(1)のマトリクス演算により行う。
上記式(1)の係数値としては、例えば下記の値を用いることができる。
係数値の求め方の例を以下に示す。画像入力装置2がカラー原稿を読み取れる装置である場合、まず、カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取ってRGBデータを求める。さらに、画像入力装置2で読み取ったカラーチャート原稿の各パッチを画像表示装置4に表示して測色器で測色してR’G’B’値を求める。このようにして得たRGB値とR’G’B’値を基に、両者を対応付けるための係数をニューラルネットワークや重回帰分析等により求める。なお、画像表示装置4は、事前にL*a*b*値に基づく基準色を表示して測色し、カラーキャリブレーションを行っておくのが好ましい。
あるいは、カラーチャート原稿の各色パッチを画像入力装置2で読み取って得られたRGBデータに対応するL*a*b*値を求める。これとともに、読み取ったカラーチャート原稿の各パッチを画像表示装置4に表示して測色器で測色してL*’a*’b*’値を求める。このようにして得たL*a*b*値とL*’a*’b*’値を基に、両者を対応付けるための係数をニューラルネットワークや重回帰分析等により求めるようにしてもよい。
有彩無彩信号算出部12は、ユーザにより2色カラーモードが選択された場合のみ2色カラー出力処理を実行する。それ以外の場合は、有彩無彩信号算出部12での処理はスルーされる。本実施形態における2色カラー出力処理とは、黒(グレー)およびユーザが指定した黒以外の単色(以下、選択色)の2色画像を出力する処理である。また、2色カラーモードには有彩色抽出モードと指定色抽出モードとの2種類のモードがある。有彩色抽出モードとは、原稿を読み取って形成した画像データから有彩色(黒(グレー)以外の色)を抽出し、ユーザが選択した選択色に変換して出力するモードである。指定色抽出モードとは、原稿を読み取って形成した画像データからユーザが選択した選択色以外の色を無彩色(黒(グレー))に変換して出力するモードである。なお、選択色は、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色が1つ選択される。
例えば、有彩色抽出モードにおいて、選択色として赤を選択すると、有彩色として抽出された色が全て赤に変換され、無彩色は黒(グレー)で表現される。一方、指定色抽出モードにおいて、選択色として赤を選択すると、赤系統以外の色(青や緑、無彩色など)は黒に変換される。選択色は、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色が1つ選択されるようになっている。
有彩無彩信号算出部12の詳細な構成を示すブロック図を図2に示す。有彩無彩信号算出部12は、輝度彩度算出部121、色判定部122、有彩無彩判定部123を備える。輝度彩度算出部121は、入力画像データの各画素について輝度情報(輝度信号)と彩度情報(彩度信号)とを計算する。有彩無彩信号算出部12に入力されるRGBデータはそのまま色判定部13に出力されるとともに、輝度情報(L)と彩度情報(C)とに変換され、色判定部13に出力される。
色判定部122は、入力画像データであるRGBデータを用いて、入力画像データが選択色であるか否かを判定する色判定処理を行う。
有彩無彩判定部123は、色判定情報と彩度情報、あるいは、彩度情報を用いて有彩無彩の判定が行い、有彩であるか無彩であるかを示す有彩無彩判定信号を出力する。
2色カラー画像データ(2色画像データ)の生成方法について、図3のフローチャート用いて詳細に説明する。まず、入力画像データ(RGBデータ)に対して輝度(Lum)と彩度(Chroma)を計算する(ステップ301、以下ではS301のように略す)。計算式としては例えば下記の式を用いればよい。
Lum =Coefficient_R×In_R+Coefficient_G×In_G+Coefficient_B×In_B
Chroma = Max(In_R, In_G, In_B)−Min(In_R, In_G, In_B)
ここで、In_R, In_G, In_Bは入力画像データのR値、G値、B値(画素値)である。Coefficient_R、Coefficient_G、Coefficient_Bは予め設定される係数であり、例えば、以下のような値を用いればよい。
Coefficient_R = 0.3、Coefficient_G = 0.6、Coefficient_B = 0.1
次に、指定色抽出モードが選択されているか否かを判定する(S302)。指定色抽出モードが選択されている場合(S302においてYES)、入力画像データに対して色判定処理を行う(S303)。指定色抽出モードが選択されていない場合(S302においてNO)、色判定処理は行われない。ここで、有彩無彩信号算出部12は、ユーザにより2色カラー出力が選択された場合のみ処理を実行し、選択されるモードは、有彩色抽出モードと指定色抽出モードとのどちらかである。よって、S302の判定において指定色抽出モードが選択されていない場合とは、言い換えれば、有彩色抽出モードが選択されている場合である。有彩色抽出モードが選択されている場合は、S303の色判定処理は不要であるため、実施されない。
色判定処理は、例えば入力RGB値の大小関係を比較することにより行えばよい。以下の表1は選択色における大小比較の方法を示したものである。選択色が赤色の場合、条件:In_R>R_JudgeRかつIn_G<R_JudgeGかつIn_B<R_JudgeBを満たせば、その画素が赤色であると判定する。
ここで、R_JudgeRは選択色が赤色時の入力値Rに対する閾値である。各閾値としては例えば以下の表2のような値を設定すればよい。
次に、有彩であるか無彩であるかの判定を行う(S304)。指定色抽出モードが選択されている場合には、S301で算出された彩度情報とS303で判定された色判定情報(色判定信号)とを用いて判定を行う。有彩と判定するのは、色判定処理(S303)にて選択色と判定され、かつ彩度値が一定値(例えば、20)以上の場合、無彩と判定するのは上記以外の場合とする。有彩色抽出モードが選択されている場合には、S301で算出された彩度情報用いて有彩であるか無彩であるかの判定を行う。
第二マトリクス演算部13は、ユーザにより出力色としてモノクロ、シングル、2色カラーが選択された場合のみ処理を行う。上記以外、つまりフルカラー出力が選択された場合は、第二マトリクス演算部13での処理はスルーされる。
モノクロ、またはシングルカラー出力が選択された場合には、第二マトリクス演算部13は、第一マトリクス演算部から出力されたRGB信号に対して、モノクロ、またはシングルカラーに変換する処理(第二色変換処理)を施す。変換は、下記の式(2)によって行う。
上記の式(2)の係数値は、モノクロ、および各種シングルカラーの選択色によって異なる値を用いる。係数の例を以下に示す。
モノクロ選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてレッド(R)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてグリーン(G)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてブルー(B)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてシアン(C)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてマゼンタ(M)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
シングルカラーとしてイエロー(Y)を選択時の係数の例は、以下の通りである。
2色カラー出力が選択された場合には、第二マトリクス演算部13は、有彩無彩信号算出部12から出力されたRGB信号に対して、有彩無彩判定信号に基づいて2色カラーに変換する処理(第二色変換処理)を施す。具体的には、無彩であると判定された画素に対しては上記のモノクロ選択時の係数を用いて処理を施す。他方、有彩であると判定された画素に対しては、上記のシングルカラー各色のうち、2色カラー出力選択時の選択色に対応する係数を用いて処理を施す。
ガンマ処理部14は、RGBそれぞれの信号に対して、ルックアップテーブル(LUT)を用いたガンマ処理を施し、原稿の下地かぶりを抑制する。用いるガンマ曲線の例を図4に示す。ガンマ曲線はRGBそれぞれの信号に対して同じものを用いてもよいし、異なっていてもよい。また、図1に示す画像処理装置1では、ガンマ処理部14は第二マトリクス演算部13の後に存在するが、第二マトリクス演算部13の前、もしくは、第一マトリクス演算部11の後にあってもよい。
変倍処理部15は、画像データに対して縮小処理を施す。縮小処理を施す理由を以下に示す。画像入力装置2において、原稿画像は通常、600dpiや300dpiのスキャン解像度で読み取られる。これに対して、画像表示装置4の表示解像度は75dpiや150dpi程度とスキャン解像度に比べて小さいことが多い。そのため、スキャン画像の全体像を画像表示装置4に表示しようとすると、非常に大きな画像表示装置4が必要になる。例えば、600dpiスキャン画像全体を75dpiの画像表示装置4に表示するには、原稿画像の8倍のサイズの画像表示装置4が必要となる。しかしながら、それほど大きな画像表示装置4を設けるのはコストがかかり、現実的ではない。
このような理由により、変倍処理部15にて、画像入力装置2でのスキャン解像度と画像表示装置4の表示解像度を考慮した縮小処理を施す。このときの縮小倍率は、以下の式によって求める。
縮小倍率=表示解像度/スキャン解像度
縮小の方法としては、例えばバイリニア法を用いる。縮小前の画像の画素値をf(x,y)、縮小後の画像の画素値をf'(x,y)、縮小倍率をAとすると、バイリニア法の計算式は以下のようになる。
なお、上式中の[]で囲まれた値は、小数点以下を切り捨てた整数であることを表している。また、縮小処理としてバイキュービック法を用いても良い。縮小前の画像の画素値をf(x,y)、縮小後の画像の画素値をf'(x,y)、縮小倍率をAとすると、バイキュービック法の計算式は以下のようになる。
上式中の[]で囲まれた値は、小数点以下を切り捨てた整数であることを表している。
画像表示装置4は、RGB信号からなる画像データを表示する装置であり、例えば、液晶パネルにより構成される。
図5に、本実施形態の画像処理装置1にて画像データに処理を施して画像表示装置4にて表示する際の処理の流れのフローチャートを示す。まず、画像データに対して第一マトリクス演算を施して、原稿に近い色味に変換する(S501)。次に、モノクロ、またはシングルカラー出力が選択されているか否かを判定する(S502)。モノクロ、またはシングルカラー出力が選択されている場合(S502においてYES)、第二マトリクス演算を施す(S505)。
モノクロ、またはシングルカラー出力が選択されていない場合(S502においてNO)、2色カラーが選択されているか否かを判定する(S503)。2色カラーが選択されている場合(S503においてYES)、有彩無彩信号を算出し(S504)、第二マトリクス演算を施す(S505)。第2マトリクス演算の後に、ガンマ処理を施し(S506)、その後、変倍処理を施し(S507)、画像表示装置4にて画像表示を行う(S508)。2色カラーが選択されていない場合には(S503においてNO)、第二マトリクス演算(S505)を飛ばして、ガンマ処理(S506)以降を実行する。
(画像形成装置)
次に、本実施形態の画像処理装置1を備えた、本実施形態の画像形成装置の一形態について図に基づいて説明する。図6は、本実施形態の画像形成装置100の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、コピーモード(複写モード)、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、およびイメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行するデジタルカラー複合機である。
コピーモードとは、画像入力装置2で原稿を読み込んで画像データを生成し、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、画像形成装置100に接続されているPC等の端末装置から送られてくる画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。
ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリ受信装置にて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って得られる画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って得られる画像データをユーザにより指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って得られる画像データを画像形成装置100に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。なお、本実施形態においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類している。しかし、モードの分類は上記に限定されない。
本実施形態の画像形成装置100では、コピーモードまたはプリントモードが選択されている場合、ユーザは、白黒画像を出力する白黒(モノクロ)モード,フルカラーの画像を出力するフルカラーモード,ユーザの所望する1色のみからなる単色画像を出力するシングルカラーモード,ユーザの所望する1色と黒色とからなる2色画像を出力する2色カラーモードのいずれかを選択できるようになっている。
例えば、コピーモードまたはプリントモードにおいて、ユーザがシングルカラーモードを選択した場合、上記単色画像が印刷されることになる。シングルカラーモードでは、ユーザは、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色を1つ選択することになる。また、コピーモードまたはプリントモードにおいて、ユーザが2色カラーモードを選択した場合、上記2色画像の画像データが印刷される。2色カラーモードについては、上記した通り有彩色抽出モードと指定色抽出モードとがあり、これらの説明は上記した通りである。
画像形成装置100は、図6に示されるように、画像処理装置1、画像入力装置2、画像出力装置(出力装置)3、画像表示装置(表示装置)4、記憶装置(出力装置)5、受信装置6、送信装置(出力装置)7、および制御部(モード受付部)8を有している。
画像入力装置2は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置2は、CCDイメージセンサを備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理装置1に入力する装置である。
なお、画像入力装置2は、上記のフルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。また、画像入力装置2は、画像処理装置1において後述する自動カラー判別処理が行われる場合であってもフルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
画像処理装置1は、画像入力装置2にて得られた画像データ(画像信号)、あるいは外部から受信した画像データ(画像信号)に対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成される。画像処理装置1は、以下の構成を有するが、上記で図1を用いて説明した構成については同じ番号を付し、上記で説明した内容については簡略する。画像処理装置1は、図6に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、原稿種別自動判別部24、領域分離処理部25、第一マトリクス演算部11、圧縮部26、領域分離信号圧縮部27、復号部28、領域分離信号復号部29、画質調整部30、有彩無彩信号算出部12、第二マトリクス演算部13、ガンマ処理部14、色補正部31、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、変倍処理部34、出力階調補正部35、および中間調生成部36の各ブロックを有している。画像処理装置1に含まれる各ブロックの処理内容については後で詳述する。
なお、画像処理装置1は、コピーモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置2から送信されてきた画像データに画像処理を行う。プリントモードにおいて、外部の端末装置から送信されてきた画像データに画像処理を行う。ファクシミリ受信モードにおいて、外部装置から受信した画像データに画像処理を行う。
そして、画像処理装置1は、コピアモード、プリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理を施した画像データを画像出力装置3に送信し、ファクシミリ送信モードにおいて画像処理を施した画像データを送信装置7に送信する。また、画像処理装置1は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のUSBメモリに送信する。
画像出力装置(プリンタ)3は、画像処理装置1から送られてきた画像データの画像を記録媒体(例えば、紙やシート等)に印刷(形成)する装置である。画像出力装置3として、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。なお、本実施形態においての「印刷」とは、プリントモードにおける印刷、コピーモードでの印刷、ファクシミリ受信モードでの印刷のいずれかを意味する。
画像表示装置4は、画像形成装置100の操作パネル(不図示)に備えられている液晶ディスプレイであり、カラー画像の表示が可能な表示手段である。また、画像表示装置4は、タッチパネルとして形成されており、画像形成装置100の入力インターフェイスとしての機能も有している。つまり、画像表示装置4には、画像形成装置100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
ここで、画像形成装置100では、コピーモードまたはファクシミリ受信モードにおいて、印刷実行前に、印刷対象となる画像のプレビューを画像表示装置4に表示することが可能になっている。さらに、画像形成装置100では、ファクシミリ送信モードまたはイメージ送信モードにおいて、送信実行前に、送信対象となる画像のプレビューを画像表示装置4に表示することが可能になっている。
ここで、コピアモードまたはイメージ送信モードにおいて、フルカラーモードが選択されている場合はフルカラー画像のプレビューが表示され、シングルカラーモードが選択されている場合は単色画像のプレビューが表示され、2色カラーモードが選択されている場合は2色画像のプレビューが表示されるようになっている。
なお、画像表示装置4は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ以外の表示手段(例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)であってもよい。
記憶装置5は、画像処理装置1にて扱われる画像データを一旦保存するためのメモリあるいはハードディスクである。
受信装置6は、電話回線やインターネットなどの通信ネットワークに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置7は、電話回線やインターネットなどの通信ネットワークに接続しており、画像入力装置2にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、画像形成装置100に備えられる各ブロックを統括的に制御する。また、制御部8は、画像形成装置100に備えられる各ブロック間のデータ転送を制御する機能も有する。
次に、コピーモードにおいて画像処理装置1の各ブロックにて実行される処理の内容を、詳細に説明する。
なお、画像処理装置1には、あるモードaが選択されている時は処理を実行する一方で、モードaとは異なるモードbが選択されている時は処理を実行しないブロックが存在する(モードa、モードbは、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)。また、画像処理装置1には、選択されているモードに応じて処理内容を変更するブロックも存在する。さらに、画像処理装置1には、選択されているモードが同じであっても、印刷用(送信用)の画像データの処理時は動作する一方でプレビュー用の画像データの処理時は動作しないようなブロックや、印刷用(送信用)の画像データの処理時とプレビュー用の画像データの処理時とで処理内容を変更するブロックが存在する。
そこで、以下では、画像処理装置1に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容について、コピーモードを例として説明すると共に、印刷処理時と画像データ表示時とで分けて説明する。
(1)コピーモードでの印刷時(画像印刷ジョブ)
以下では、図6に基づいて画像処理装置1について説明する。図6ではコピーモードかつフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像処理装置1内の画像データの流れを示している。シングルカラーモード、2色カラーモードでの印刷処理の際の画像データの流れは、図7(a),(b)に示す。図7(a)は、画像処理装置1の一部のブロック図であり、コピーモードかつシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像データの流れを示している。図7(b)は、画像処理装置1の一部のブロック図であり、コピーモードかつ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像データの流れを示している。
A/D(アナログ・デジタル)変換部21は、画像入力装置2から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部22は、A/D変換部21から送られてきた画像データに対して、画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部23は、シェーディング補正部22より送られてくるRGBデータのそれぞれに対して、γ補正処理などの階調変換処理を施すブロックである。
原稿種別自動判別部24は、RGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置2にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。
また、原稿種別自動判別部24は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。なお、原稿種別自動判別部24から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部25および圧縮部26に入力するようになっている。
領域分離処理部25は、原稿種別自動判別部24から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部25において判別される画像領域には、黒文字領域、色文字領域、網点領域等がある。なお、領域分離処理部25は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
圧縮部26は、原稿種別自動判別部24から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
領域分離信号圧縮部27は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部27における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて行われる。
第一マトリクス演算部11は、印刷処理時には動作(処理を実行)しない。以下では、動作しないで次のブロックに進むことをスルーと称する。
制御部8は、圧縮部26から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部27から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを一旦記憶装置5に保存し、ファイリングデータとして管理する。そして、制御部8は、コピー出力動作が指示された場合、記憶装置5から上記の符号化コードおよび当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部28、領域分離信号復号部29にそれぞれ引き渡す。
なお、制御部8は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部8は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行う。
復号部28は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部29は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、色補正部31、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、中間調生成部36に引き渡される。そして、色補正部31、黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33、中間調生成部36においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
画質調整部30は、復号部28から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部30は、ユーザによって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
有彩無彩信号算出部12は、上述したように、2色カラーモードが選択されている場合、画質調整部30から出力されたRGBの画像データをもとに、有彩・無彩を判定する有彩無彩判定信号を算出する。フルカラー、またはシングルカラーモードが選択されている場合、画質調整部30から出力されたRGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま第二マトリクス演算部13へ引き渡す(スルーする)。
第二マトリクス演算部13は、上述したように、シングルカラーモードが選択されている場合、RGB画像データをCMYのシングルカラーに変換する処理を行う。2色カラーモードが選択されている場合、有彩無彩信号算出部12の出力する有彩無彩判定信号に基づいて、RGB画像データをCMYの2色カラーに変換する処理を行う。フルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部31へ引き渡す(スルーする)。
ガンマ処理部14はプレビュー時に動作するため、印刷処理時はスルーされる。
色補正部31は、フルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施すブロックである。なお、上記色補正処理は、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値を参照することによって実現される。シングルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図7(a),(b)に示されるように、CMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部32へ引き渡す(スルーする)。
黒生成/下色除去部32は、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、色補正部31から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う一方、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行うブロックである。これにより、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図6および図7(b)に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部32によってCMYKの4色の画像データに変換される。
また、黒生成/下色除去部32は、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示されるように、色補正部31から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部33へ引き渡す(スルーする)。
なお、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部32の出力、および、黒生成/下色除去部32よりも後段の各ブロックの入出力は、図6のように、CMYKの画像データとなる。しかし、シングルカラーモードが選択されている場合、図7(a)に示されるように、黒生成/下色除去部32の出力、および、黒生成/下色除去部32よりも後段の各ブロックの入出力は、図6とは異なり、CMYの画像データとなる。
空間フィルタ部33は、黒生成/下色除去部32より出力されるCMYKまたはCMYの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行う。つまり、空間フィルタ部33では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
変倍処理部15は、操作パネル(不図示)を介してユーザによって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
出力階調補正部35は、変倍処理部15から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行うブロックである。中間調生成部36は、誤差拡散法やディザ法を用いて、画像出力装置3において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するブロックである。
中間調生成部36から出力されるCMYKまたはCMYの画像データは、画像出力装置3に引き渡され、画像出力装置3は、当該画像データの画像を、例えば紙等の記録媒体上に印刷する。
(2)コピーモードでのプレビュー表示時
次に、コピーモードにて、原稿を読み取って得た画像データのプレビュー表示を画像表示装置4にて行う場合のとして表示する場合において、画像処理装置1の各ブロックにて実行される処理の内容を、図8に基づいて説明する。図8は、図6で示した画像形成装置100と同じ画像形成装置100の構成を示すブロック図であり、コピーモードかつフルカラーモードにてプレビュー表示を行う際の画像データの流れを示している。シングルカラーモード、2色カラーモードの場合の画像データの流れは、図9(a)(b)に示す。図9(a)は、画像処理装置1の一部のブロック図であり、コピアモードかつシングルカラーモードにてプレビュー表示を行う際の画像データの流れを示している。図9(b)は、画像処理装置1の一部のブロック図であり、コピーモードかつ2色カラーモードにてプレビュー表示を行う際の画像データの流れを示している。
なお、A/D(アナログ/デジタル)変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、原稿種別自動判別部24、圧縮部26、復号部28、画質調整部30、および有彩無彩信号算出部12で実行される処理については、上記したコピーモードでの印刷処理時と同じであるため、その説明を省略する。
第一マトリクス演算部11は、図1を用いて上記で説明したように、画像データのRGB信号を入力として、原稿の色味に近くなるようにRGB信号の値を変換する。
第二マトリクス演算部13は、シングルカラーモードが選択されている場合、RGB画像データをR1G1B1のシングルカラーに変換する処理を行う。2色カラーモードが選択されている場合、有彩無彩判定信号に基づいて、R2G2B2の2色カラーに変換する処理を行う。フルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部31へ引き渡す(スルーする)。
ガンマ処理部14は、RGB、R1G1B1またはR2G2B2それぞれの画像データに対して、ガンマ処理を施し、原稿の色味はほとんど変えずに下地かぶりを抑制する。
色補正部31は、フルカラーモードが選択されている場合、ガンマ処理部14から出力されたRGBの画像データを、画像表示装置4の表示特性に適合したR3G3B3の画像データに変換する処理を行う。なお、RGBの画像データをR3G3B3の画像データに変換する処理は、入力値(RGB)と出力値(R3G3B3)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値を参照することによって実現することができる。シングルカラーモードおよび2色カラーモードが選択されている場合は、画像データをそのまま次へ引き渡す(スルーする)。
黒生成/下色除去部32、空間フィルタ部33は、図8,図9(a)および(b)に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモードのいずれのモードであっても、プレビュー表示時は処理を行わず、当該画像データをそのまま次の処理部へ引き渡す(スルーする)。
変倍処理部15は、図1を用いて上記で説明したように、画像データに対して画像表示装置4の表示解像度を考慮した縮小処理を施す。
出力階調補正部35、中間調生成部36は、プレビュー表示時は、変倍処理部15から出力される画像データに対して何も処理を行わず、画像データをそのまま後段の画像表示装置4に引き渡す。そして、画像表示装置4は画像処理装置1から引き受けた画像データを、プレビュー画像として表示する。
画像入力装置2が原稿から読み取って得る画像データは、彩度や階調の再現性が悪く、原稿に比べ、くすんだ色味となっている。しかし、本実施形態の画像処理装置1では、第一マトリクス演算部11により、画像表示装置4に供給される画像データに原稿の色に近づける処理(第一色変換処理)が施される。第一色変換処理により、画像データを、原稿の階調特性、彩度に近づけることができる。そして、画像出力装置3にて出力する画像の色の選択として、モノクロ、シングルカラー、あるいは2色カラーが選択されていると、第一色変換処理が施された後に、第二マトリクス演算部13により、モノクロ、シングルカラー、あるいは2色カラーに変換する処理(第二色変換処理)が施される。そのため、原稿が有している階調特性、彩度を維持してプレビュー表示することができる。
このように、上記第一色変換処理、上記第二色変換処理の順で処理することにより、画像出力装置3にて出力する画像の色の選択として、モノクロ、シングルカラーあるいは2色カラーが選択されている場合でも、原稿の階調特性、彩度を正確に反映することが可能となる。よって、ユーザは、画像出力装置3での出力前に、原稿の階調特性、彩度に近い画像を、画像表示装置4にて確認することができる。なお、画像出力装置3での出力前だけでなく、ファイリング、送信(e-mail送信、ファクシミリ送信)の前であっても、同様の処理を行うことで、同様の効果を得られる。つまり、ファイリングあるいは送信する画像の色の選択として、モノクロ、シングルカラーあるいは2色カラーが選択されると、原稿の階調特性、彩度を正確に反映したプレビュー表示を行うことが可能となる。よって、ユーザは、ファイリングあるいは送信の前に、原稿の階調特性、彩度に近い画像を、画像表示装置4にて確認することができる。
なお、画像出力装置3にて出力する画像の色の選択として、フルカラーが選択されている場合、フルカラーの画像データに対しても第一マトリクス演算部11での処理を施すことにより、同様の効果を得ることができる。つまり、原稿の階調特性、彩度に近いフルカラー画像をプレビュー表示できる。
上記の図6を用いた説明では、画像形成装置100は、圧縮画像データ(符号化コード)と領域分離信号コードとを対応付けて記憶装置5に格納している。しかし、画像入力装置2にて原稿を読み取って画像データを得た後、領域分離処理及び原稿種別判別処理を行う前に、読み取った画像データを符号化して一旦記憶装置5に格納しておき、記憶装置5から読み出して復号化した画像データについて原稿種別判別処理や領域分離処理を施すように構成してもよい。
また、図6に示した画像形成装置100は、コピーモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モード等のジョブの選択中に画像ファイリングモード(画像ファイリングジョブ)を実行可能としてもよい。この画像ファイリングモードとは、コピアモード等のジョブの選択中において、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データに基づいて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)を作成し、この画像ファイルを記憶装置5に保存するモードである。
ここで、画像ファイリングモードのファイリング時において、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置1にて画像ファイル(JPEG、TIFFファイル等)に変換され、その後、不図示のファイリング処理部(ジョブ装置)に送られ、このファイリング処理部が上記画像ファイルを記憶装置5に保存する。
また、各ジョブ(コピーモード・ファクシミリ送信モード等)の選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像入力装置2にて得られた画像データまたは外部から受信した画像データは画像処理装置1にて処理され、その後、画像表示装置4に送られる。さらに、各ジョブの選択中においてプレビューを行う場合、画像ファイリングモードの実行の有無に拘わらず、画像処理装置1にて実行される画像処理の内容は同一である。例えば、コピーモードにおけるプレビュー表示時には、画像ファイリングモードの実行の有無に関係なく、画像処理装置1の処理内容は、図8及び図9(a),(b)に示す処理となる。
画像形成装置100における、プリントモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードでの各処理については、説明を省略する。なお、これらのモードにおいて、出力前にプレビュー表示を行ってもよい。
(原稿種別判別処理の例)
原稿種別判別処理(原稿種別自動判別処理)とは、入力画像データに基づいて、読み取られた原稿の種類を判別する技術であり、例えば、特許文献2(特開2002−222708号公報)に記載の以下の(1)〜(7)の方法を用いることができる。
(1)画像データの各画素に対して、注目画素を含むn×m(例えば、7×15)のブロックにおける最小濃度値及び最大濃度値を算出する。
(2)算出された最小濃度値及び最大濃度値の差分である最大濃度差を算出する。
(3)隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(例えば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4)算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較、及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較、を行う。ここで、最大濃度差<最大濃度差閾値、及び、総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値となるとき、注目画素は下地・印画紙写真領域に属すると判定する。一方、前記条件を満たさないとき、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
(5)下地・印画紙写真領域に属すると判定された各画素について、注目画素が、最大濃度差<下地・印画紙写真判定閾値、という条件を充たすとき、注目画素は下地領域の画素(下地画素)であると判定する。一方、この条件を充たさないとき、注目画素は印画紙写真領域(連続階調領域)の画素(印画紙写真領域画素)であると判定する。
(6)文字・網点領域に属すると判定された各画素について、注目画素が、総和濃度繁雑度<最大濃度差に文字・網点判定閾値を乗算した値、という条件を充たすとき、注目画素は文字領域の画素(文字画素)であると判定する。一方、この条件を充たさないとき、注目画素は網点領域の画素(網点画素)であると判定する。
(7)下地領域、印画紙写真領域、文字領域及び網点領域に分類された画素数をカウントし、それぞれのカウント値と、予め定められている下地領域、印画紙写真領域、網点領域及び文字領域に対する閾値とを比較して原稿全体の種別を判定する。
例えば、文字、網点、印画紙写真の順に検出精度が高いとすると、文字領域の比率が全画素数の30%以上の場合には文字原稿、網点領域の比率が全画素数の20%以上の場合には、当該原稿が網点原稿(印刷写真原稿)であると判定する。一方、印画紙写真領域の比率が全画素数の10%以上の場合には、当該原稿が印画紙写真原稿であると判定する。また、文字領域の比率と網点領域の比率とが、それぞれ閾値以上であるとき、原稿が文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
なお、原稿の種類の判別は、原稿の種類が判別できれば十分であるので、例えば、画素の判別を行う際に、閾値付近の特徴量を有する画素を除外して確実に領域分離を行うことができる画素を選択して原稿の種別判定を行うようにしてもよい。
(プログラム・記録媒体)
本実施形態の画像処理装置1は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、画像処理装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像処理装置1の各制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、画像処理装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、PLD(Programmable logic device)等の論理回路類などを用いることができる。
また、画像処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
上記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置やコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法が実行される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、上述した実施形態において開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。