以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本実施形態では、既設の貯蔵装置を異なる形式に改造した貯蔵装置、および既設の貯蔵装置を異なる形式の貯蔵装置に改造する改造方法について説明する。
まず、既設の貯蔵装置について説明する。図1は、既存の貯蔵装置の側面図である。図2は、図1に示す貯蔵装置を垂直方向と直交する方向で切った断面模式図である。図3は、図1に示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図1~図3に示すように、既存の貯蔵装置は、気体を貯蔵するものである。既設の貯蔵装置は、外形が円筒状の貯蔵部本体1を有する。貯蔵部本体1は、基礎4(図3参照)上に円筒状に立設された側板2と、側板2の頂部に設けられた屋根3とを有している。また、図には明示しないが、貯蔵部本体1は、基礎4上に配置された円板状に形成され側板2により囲まれる底板を有している。側板2は、回廊5と基柱6とにより補強されている。
回廊5は、図1および図3に示すように、側板2の外壁面に取り付けられている。回廊5は、側板2の円筒状の周方向に沿って円環状に設けられ、かつ側板2の上下方向に複数設けられている。
基柱6は、図2に示すように、側板2に沿って円周方向に複数配列されている。基柱6は、側板2の内側に突出する突起部である基柱6Aと、側板2の外側に接して側板2の内側には突出しない基柱6Bとを有している。基柱6Aは、貯蔵部本体1の中央と点対称の位置にある。
既存の貯蔵装置は、貯蔵部本体1の下部に気体出入口管7を有する。この気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体(例えば、ガス)Gを供給または排出する。気体出入口管7は、図3に示すように、一部が後述するピストンサポート11を貫通して貯蔵部本体1の内部に延びた延出部7aを有している。延出部7aは、ピストン8に設けられた後述する甲板8eの下側に位置する。
既存の貯蔵装置は、貯蔵部本体1の内部にピストン8を有する。ピストン8は、貯蔵部本体1の内部を上下に区画するもので、気体出入口管7からの気体Gの流出入に応じて側板2の内面に沿って上下に円滑に昇降移動し、気体Gを貯蔵または排出する。この構造により、既存の貯蔵装置は、ピストン8で区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
ピストン8は、その外周部の上面に、支持フレーム8aが固定されている。支持フレーム8aは、図2に示す基柱6Bの位置の側板2、または基柱6Aに当接する上部ガイドローラ8bおよび下部ガイドローラ8cを有している。ピストン8は、上部ガイドローラ8bおよび下部ガイドローラ8cによって傾斜が抑制されている。
ピストン8は、図3に示すように、円周方向に設けられたフートリング8dを有する。このフートリング8dに支持フレーム8aが固定されている。フートリング8dは、ピストン8の重量を調整するため、その内部にバランスコンクリートが充填されている。ピストン8は、バランスコンクリートで重量を調整されつつ自重で降下し(図3に二点鎖線で示す)、ピストン8の下部に貯留される気体Gの圧力で上昇する(図3に実線で示す)。既存の貯蔵装置は、ピストン8が重量をバランスコンクリートなどで調整されることにより、気体Gの圧力を所定の圧力に調整することができる。ピストン8は、図3に示すように、上側に凸となるドーム型に形成され、円周方向と半径方向の梁で組み合わされた骨組み上に甲板(デッキ)8eが張られている。
既存の貯蔵装置は、図2に示すように、回転防止装置9を有する。回転防止装置9は、ピストン8が円周方向に回転することを防止する。回転防止装置9は、フートリング8dに設けられ、側板2の内側に突出する基柱6Aである突起部に係合することでピストン8の回転を防止する。
既存の貯蔵装置は、図3に示すように、側板2とピストン8との間に、シール装置10を有する。シール装置10は、内部に貯留している気体Gの漏洩を防止する。シール装置10は、ピストン8のフートリング8dに設けられて円周方向に連続して配置され、例えば、油の静圧力によりシール材を側板2に押し付ける。シール材は、ゴムや鉄板が用いられる。また、シール装置10は、油の静圧力以外に弾性力などでシール材を側板2に押し付けるものもある。
既存の貯蔵装置は、図3に示すように、ピストンサポート11を有する。ピストンサポート11は、貯蔵部本体1の内部を下降したピストン8におけるフートリング8dが載置され、最下降位置でピストン8を支持する。
既存の貯蔵装置は、図3に示すように、油回収装置12を有する。油回収装置12は、シール装置10の油の一部が側板2の内面に沿って流下した場合、この油を回収する。油回収装置12は、底部油溝12aと、油循環装置12bと、油上昇管12cと、予備油タンク12dと、を有する。底部油溝12aは、貯蔵部本体1の内部の下側に設けられて、側板2の内面に沿って流下した油を溜める。油循環装置12b、油上昇管12c、および予備油タンク12dは、貯蔵部本体1の外部に設けられており、底部油溝12aに溜まった油に混入している水を油循環装置12bで分離し、分離後の油を循環ポンプにより油上昇管12cを介して上方の予備油タンク12dに押し上げる。そして、予備油タンク12dから図示しないスリットを経て側板2の内面へ油が流下され、シール装置10に戻される。
既存の貯蔵装置は、図1および図3に示すように、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を有する。非常用排気装置13は、例えば、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。
なお、本実施形態において、上述した、ピストン8、回転防止装置9、シール装置10、ピストンサポート11、および油回収装置12を、ピストン8に関わる構成としてピストン部と言う。
[実施形態1]
次に、上述した既存の貯蔵装置を改造した貯蔵装置および改造方法の実施形態1について説明する。図4は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示すフローチャートである。図5は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す側面図である。図6は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。図7~図10は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を垂直方向と直交する方向で切った一部拡大断面図である。図11は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
始めに、図4および図5に示すように、側板2に開口部20を設ける(ステップS1)。開口部20は、貯蔵部本体1の外部に撤去すべき部材を搬出したり、貯蔵部本体1の内部に設置すべき部材を搬入したりするものである。また、開口部20は、必要に応じて貯蔵部本体1の内部に重機を搬入したり、貯蔵部本体1の外部に重機を搬出したりすることもできる。
続いて、図4および図6に示すように、ピストン部を撤去する(ステップS2)。ピストン部は、ピストン8、回転防止装置9、シール装置10、ピストンサポート11、および油回収装置12であり、これらを解体・撤去し、貯蔵部本体1の内部の構成を開口部20から貯蔵部本体1の外部に搬出する。また、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)。なお、ステップS2において、回転防止装置9が係合する基柱(突起部)6Aは残す。
続いて、図7および図10に示すように、基柱(突起部)6Aに加工部30を設ける。基柱6Aは、貯蔵部本体1の内面において上下方向に沿って連続して設けられており、上述したように回転防止装置9が係合することで、ピストン8が昇降したどの位置にあってもピストン8が円周方向に回転することを防止する。基柱6Aは、図7に示すように、断面が略矩形状に形成されて、貯蔵部本体1の内側に向く平坦な内面部6Aaと、貯蔵部本体1の周方向に向く平坦な2つの端面部6Abと、内面部6Aaおよび各端面部6Abで形成されて貯蔵部本体1の内側に突出する2つの角部6Acと、を有している。この基柱6Aは、回転防止装置9が各端面部6Abに係合して、ピストン8が円周方向に回転することを防止することのため、貯蔵部本体1の内側に突出する2つの角部6Acの断面角度が90度以下に形成されている。そして、改造に当たり、このような基柱6Aをそのままにすると、後に設置するゴム膜24が角部6Acに接触して損傷するおそれがある。加工部30は、このような事態を防ぐために設けられている。加工部30は、図7~図10に示す形態がある。
図7に示す加工部30は、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側を覆うカバー部材31である。カバー部材31は、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側を覆うように山形に屈曲された被覆片31Aと、被覆片31Aの両側に設けられて貯蔵部本体1の側板2に固定される固定片31Bと、を有し、基柱6Aの上下方向に沿って上下方向に連続して設けられている。被覆片31Aの屈曲は1箇所であり、貯蔵部本体1の内側に突出する角31Cが形成されている。角31Cは、断面角度θが90度を超える鈍角に形成されている。角31Cは、頂部が尖っていても円弧で形成されていてもよく、その鈍角は、角31Cを形成する被覆片31Aがなす屈曲角度である。固定片31Bは、貯蔵部本体1の側板2の内面に沿って配置され溶接などにより側板2に固定される。
図8に示す加工部30は、基柱6Aと貯蔵部本体1の内面である側板2とを連接する補助部材32である。補助部材32は、断面が三角形状に形成されて、基柱6Aの各端面部6Abの位置にそれぞれ設けられており、基柱6Aの端面部6Abに当接する側面32Aと、貯蔵部本体1の側板2の内面に当接する底面32Bと、側面32Aと底面32Bとを繋ぎ基柱6Aの内面部6Aaと連接する斜面32Cと、を有し、基柱6Aの上下方向に沿って上下方向に連続して設けられている。補助部材32は、基柱6Aの内面部6Aaと貯蔵部本体1の側板2の内面とを斜面32Cで連接する。このため、補助部材32は、側面32Aと斜面32Cとがなす角を基柱6Aの角部6Acに加えて、互いにより貯蔵部本体1の内側に突出する角32Dをなし、その断面角度θが90度を超える鈍角に形成されている。補助部材32は、基柱6Aおよび側板2に溶接などにより固定される。
図9に示す加工部30は、基柱6Aの角部6Acを削ることで貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adの断面角度θが90度を超える鈍角をなす斜面部6Aeと、斜面部6Aeと貯蔵部本体1の内面である側板2とを連接する補助部材33と、を含む。角6Adは、基柱6Aの内面部6Aaと斜面部6Aeとで形成され、基柱6Aの上下方向に沿って上下方向に連続して設けられている。補助部材33は、断面が三角形状に形成されて、基柱6Aの各端面部6Abの位置にそれぞれ設けられており、基柱6Aの端面部6Abに当接する側面33Aと、貯蔵部本体1の側板2の内面に当接する底面33Bと、側面33Aと底面33Bとを繋ぎ基柱6Aの斜面部6Aeと連接する斜面33Cと、を有し、基柱6Aの上下方向に沿って上下方向に連続して設けられている。補助部材33は、基柱6Aの斜面部6Aeと貯蔵部本体1の側板2の内面とを斜面33Cで連接し、基柱6Aの斜面部6Aeと同一平面で連接する。補助部材33は、基柱6Aおよび側板2に溶接などにより固定される。
図10に示す加工部30は、基柱6Aの角部6Acを削ることで貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adの断面角度θが90度を超える鈍角をなす斜面部6Aeである。角6Adは、基柱6Aの内面部6Aaと斜面部6Aeとで形成され、基柱6Aの上下方向に沿って上下方向に連続して設けられている。
続いて、図4および図11に示すように、レベルウエイト装置22を設置する(ステップS5)。レベルウエイト装置22は、ウエイト22aと、ワイヤ22bと、を有する。ワイヤ22bは、一端がウエイト22aに接続され、他端が後述する新設ピストン27に接続される。ワイヤ22bは、途中がプーリ22cで支持されて張力が付与された状態で一端と他端が上下に移動可能に設けられている。そして、レベルウエイト装置22は、新設ピストン27の昇降に伴ってワイヤ22bを介して貯蔵部本体1の外部に配置されたウエイト22aが昇降することで新設ピストン27の昇降を補助する。本実施形態のステップS5において、レベルウエイト装置22は、ワイヤ22b、プーリ22c、およびワイヤ22bに接続されたウエイト22aが設置される。
続いて、図4および図11に示すように、新設非常用排気装置23を設置する(ステップS6)。新設非常用排気装置23は、その機能は、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13と同様であり、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。
続いて、図4および図11に示すように、貯蔵部本体1にゴム膜24を取り付ける本体側固定具25aを設置する(ステップS7)。ゴム膜24は、円環状に形成されたゴム性のシートであり、貯蔵部本体1の内面と新設ピストン27の外周との間であって円周方向に連続して設置されることで、新設ピストン27と共に貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。本体側固定具25aは、ゴム膜24を貯蔵部本体1の内面に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、貯蔵部本体1の内面に対して気密性を確保する。
続いて、図4および図11に示すように、気体出入口管7の貯蔵部本体1の内部への延出部7aを切断して撤去し、吸引防止網26を設置する(ステップS8)。吸引防止網26は、気体出入口管7により貯蔵部本体1の内部から気体Gを排出するとき、ゴム膜24の吸引を防ぐ。
続いて、図4および図11に示すように、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS9)。新設ピストン27は、フェンダ27aと、甲板(デッキ)27bと、を有する。フェンダ27aは、貯蔵部本体1の内面に沿って上方に延び、かつ円周方向に沿って円環状に形成されている。フェンダ27aは、新設ピストン27の昇降時に、膨らんだゴム膜24を支持してゴム膜24に掛かる内圧を受ける。甲板27bは、円周方向と半径方向と上下方向との梁で組み合わされた骨組み上に張られて、上側に凸となるドーム型に形成される。新設ピストンサポート28は、貯蔵部本体1の内部を下降した新設ピストン27が載置され、最下降位置で新設ピストン27を支持する。新設ピストンサポート28には、いくつかの形態がある。例えば、図11では、ドーム型の新設ピストンサポート28を示している。ドーム型の新設ピストンサポート28は、甲板27bの下側を支持するドーム部28aと、ドーム部28aを支持するサポート部28bと、を有している。また、図には明示しないが、新設ピストンサポートは、サポート部28bが甲板27bに差し込まれたものや、図3に示すピストンサポート11のように、貯蔵部本体1の内部を下降した新設ピストン27における後述の重量調整コンクリート29が載置され、最下降位置で新設ピストン27を支持する架台型がある。本実施形態において設置する新設ピストンサポートは、上述したいずれかの形態を採用できる。
続いて、図4および図11に示すように、新設ピストン27にゴム膜24を取り付けるピストン側固定具25bを設置する(ステップS10)。ピストン側固定具25bは、ゴム膜24を新設ピストン27の外周に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、新設ピストン27の外周に対して気密性を確保する。
続いて、図4および図11に示すように、新設ピストン27に重量調整コンクリート29を打設する(ステップS11)。
続いて、図4および図11に示すように、ゴム膜24を設置する(ステップS12)。
続いて、図4および図5に示すように、ステップS1にて開放した開口部20を閉塞する(ステップS13)。開口部20を閉塞する場合、開口部20の蓋となる閉塞部20aを、側板2に溶接にて接合し、開口部20を密閉する。開口部20を閉塞することで貯蔵部本体1を機能させることができる。
続いて、図4および図11に示すように、レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS14)。即ち、ワイヤ22bの他端を新設ピストン27に接続する。
続いて、図4に示すように、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS15)。例えば、新設ピストン27に接続する他端の長さ位置を変えることで、ワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整できる。試運転は、例えば、ブロワー接続用ノズル等から試験用気体をブロワーで供給することで実施できる。
ところで、本実施形態の貯蔵装置の改造方法は、上述したステップの順でなくてもよい。ただし、側板2に開口部20を設ける(ステップS1)、ピストン部を撤去する(ステップS2)、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS9)、ゴム膜24を設置する(ステップS12)、開口部20を閉塞する(ステップS13)は、この順とする。
非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)は、ピストン部を撤去する(ステップS2)ことと同時期であってもよい。基柱6Aに加工部30を設ける(ステップS4)は、貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS7)前であれば限定はない。レベルウエイト装置22を設置する(ステップS5)は、レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS14)前であれば限定はない。新設非常用排気装置23を設置する(ステップS6)は、試運転を行う(ステップS15)前であれば限定はない。貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS7)は、ゴム膜24を設置する(ステップS12)の前であれば限定はない。気体出入口管7の貯蔵部本体1の内部への延出部7aを切断して撤去し、吸引防止網26を設置する(ステップS8)は、新設ピストン27を設置する(ステップS9)前であることが好ましい。新設ピストン27にゴム膜24のピストン側固定具25bを設置する(ステップS10)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS9)後であってゴム膜24を設置する(ステップS12)前であれば限定はない。新設ピストン27に重量調整コンクリート29を打設する(ステップS11)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS9)後であって開口部20を閉塞する(ステップS13)の前であれば限定はない。レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS14)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS9)後であってレベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS15)前であれば限定はない。なお、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)を行わず、残置し、新設非常用排気装置23を設置(ステップS6)してもよい。
改造した実施形態1の貯蔵装置は、気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体を供給または排出する。新設ピストン28と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。新設ピストン28は、気体出入口管7からの気体の流出入に応じてゴム膜24を伴って昇降移動し、気体を貯蔵または排出する。この構造により、貯蔵装置は、新設ピストン28と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
このように、実施形態1の貯蔵装置および貯蔵装置の改造方法は、貯蔵部本体1を利用しつつ、シール装置10を使用する貯蔵装置を、ゴム膜24を使用する貯蔵装置に改造できる。この結果、実施形態1の貯蔵装置の改造方法によれば、全てを新設することと比較して基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期を削減できる。
以上、説明したように、実施形態1の貯蔵装置は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置された新設ピストン27と、新設ピストン27と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24と、を備える貯蔵装置であって、貯蔵部本体1の内面に上下方向に沿って基柱(突起部)6Aが設けられ、基柱6Aは、貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adが鈍角に形成された加工部30を有する。
基柱6Aは、貯蔵部本体1の内側に突出しており、ゴム膜24が引っ掛かるおそれがあり、実施形態1では、加工部30により、貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角に形成している。従って、実施形態1,2の貯蔵装置によれば、ゴム膜24が基柱6Aに引っ掛かる事態を防ぎ、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態1の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側を覆い角31Cをなすカバー部材31である。
従って、加工部30にカバー部材31を適用し、カバー部材31で基柱6Aを覆うことで、貯蔵部本体1の内側に突出する角31Cを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態1の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aと貯蔵部本体1の内面とを連接して角32Dをなす補助部材32である。
従って、加工部30に補助部材32を適用し、補助部材32を設けることで、貯蔵部本体1の内側に突出する角32Dを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態1の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aを削って角6Adをなす斜面部6Aeと、斜面部6Aeと貯蔵部本体1の内面とを連接する補助部材33と、を含む。
従って、加工部30に斜面部6Aeと補助部材33とを適用し、斜面部6Aeを加工し、補助部材33を設けることで、貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態1の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aを削って角6Adをなす斜面部6Aeである。
従って、加工部30に斜面部6Aeを適用し、斜面部6Aeを加工することで、貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態1の貯蔵装置の改造方法は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン8と、ピストン8と共に昇降可能にピストン8の周りに取り付けられて貯蔵部本体1とピストン8との間の気密性を確保するシール装置10と、貯蔵部本体1の内面に上下方向に沿って突出する基柱(突起部)6Aに係合してピストン8の周方向の回転を防止する回転防止装置9と、を備える貯蔵装置の改造方法であって、ピストン8、シール装置10および回転防止装置9を貯蔵部本体1の外部に撤去する工程と、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角にする加工部30を設ける工程と、新設ピストン27を貯蔵部本体1の内部に昇降可能に配置する工程と、新設ピストン27と貯蔵部本体1の側板2との間にゴム膜24を設置する工程と、を含む。
この実施形態1の貯蔵装置の改造方法によれば、シール装置10および回転防止装置9を備える貯蔵装置をゴム膜24を備える貯蔵装置に改造するにあたり、回転防止装置9が係合する基柱6Aにおいて貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角にする加工部30を設けることで、ゴム膜24が基柱6Aに引っ掛かる事態を防ぎ、ゴム膜24の損傷を防止できる。
[実施形態2]
以下、上述した既存の貯蔵装置を改造した貯蔵装置およびする改造方法の実施形態2について説明する。図12は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示すフローチャートである。図13は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。図14は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
始めに、図5および図12に示すように、側板2に開口部20を設ける(ステップS21)。開口部20は、貯蔵部本体1の外部に撤去すべき部材を搬出したり、貯蔵部本体1の内部に設置すべき部材を搬入したりするものである。また、開口部20は、必要に応じて貯蔵部本体1の内部に重機を搬入したり、貯蔵部本体1の外部に重機を搬出したりすることもできる。
続いて、図12および図13に示すように、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)。即ち、ピストン部において、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を解体・撤去し、貯蔵部本体1の内部の構成を開口部20から貯蔵部本体1の外部に搬出する。従って、ステップS22は、ピストン部において、ピストン8を構成するフートリング8dおよび甲板8eと、ピストンサポート11とを残す。また、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)。なお、ステップS22において、回転防止装置9が係合する基柱(突起部)6Aは残す。
続いて、図12に示すように、フートリング8dに充填されているバランスコンクリートの重量調整を行う(ステップS24)。即ち、バランスコンクリートを一部除去または増設することでバランスコンクリートの重量を調整し、これによりピストン8の重量を調整する。
続いて、基柱(突起部)6Aに加工部30を設ける(ステップS25)。加工部30は、実施形態1と同様であり、説明を省略するが、図7~図10に示す形態がある。
続いて、図12および図14に示すように、ピストン8にフェンダ21を設置する(ステップS26)。フェンダ21は、貯蔵部本体1の内面に沿って上方に延び、かつ円周方向に沿って円環状に形成される。フェンダ21は、ピストン8の昇降時に、後述するゴム膜24の膨らんだ形態を支持してゴム膜24に掛かる内圧を受ける。
続いて、図12および図14に示すように、レベルウエイト装置22を設置する(ステップS27)。レベルウエイト装置22は、ウエイト22aと、ワイヤ22bと、を有する。ワイヤ22bは、一端がウエイト22aに接続され、他端がピストン8に接続される。ワイヤ22bは、途中がプーリ22cで支持されて張力が付与された状態で一端と他端が上下に移動可能に設けられている。そして、レベルウエイト装置22は、ピストン8の昇降に伴ってワイヤ22bを介して貯蔵部本体1の外部に配置されたウエイト22aが昇降することでピストン8の昇降を補助する。本実施形態のステップS27において、レベルウエイト装置22は、ワイヤ22b、プーリ22c、およびワイヤ22bに接続されたウエイト22aが設置される。
続いて、図12および図14に示すように、新設非常用排気装置23を設置する(ステップS28)。新設非常用排気装置23は、その機能は、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13と同様であり、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。
続いて、図12および図14に示すように、貯蔵部本体1にゴム膜24を取り付ける本体側固定具25aを設置する(ステップS29)。ゴム膜24は、円環状に形成されたゴム性のシートであり、貯蔵部本体1の内面とピストン8の外周との間であって円周方向に連続して設置されることで、ピストン8と共に貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。本体側固定具25aは、ゴム膜24を貯蔵部本体1の内面に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、貯蔵部本体1の内面に対して気密性を確保する。
続いて、図12および図14に示すように、ピストン8にゴム膜24を取り付けるピストン側固定具25bを設置する(ステップS30)。ピストン側固定具25bは、ゴム膜24をピストン8の外周に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、ピストン8の外周に対して気密性を確保する。
続いて、図12および図14に示すように、ゴム膜24を設置する(ステップS31)。
続いて、図12および図13に示すように、ステップS21にて開放した開口部20を閉塞する(ステップS32)。開口部20を閉塞する場合、開口部20の蓋となる閉塞部20aを、側板2に溶接にて接合し、開口部20を密閉する。開口部20を閉塞することで貯蔵部本体1を機能させることができる。
続いて、図12および図14に示すように、レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS33)。即ち、ワイヤ22bの他端をピストン8に接続する。
続いて、図12に示すように、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS34)。例えば、ピストン8に接続する他端の長さ位置を変えることで、ワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整できる。試運転は、例えば、ブロワー接続用ノズル等から試験用気体をブロワーで供給することで実施できる。
ところで、本実施形態の貯蔵装置の改造方法は、上述したステップの順でなくてもよい。ただし、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)、ゴム膜24を設置する(ステップS31)は、この順とする。
非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)は、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)と同時期であってもよい。バランスコンクリートの重量調整を行う(ステップS24)は、ゴム膜24を設置する(ステップS31)前であれば限定はない。基柱6Aに加工部30を設ける(ステップS25)は、回転防止装置を撤去する(ステップS22)の後であり、貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS29)前であれば限定はない。フェンダ21を設置する(ステップS26)は、ゴム膜24を設置する(ステップS31)前であれば限定はない。レベルウエイト装置22を設置する(ステップS27)は、レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS33)前であれば限定はない。新設非常用排気装置23を設置する(ステップS28)は、試運転を行う(ステップS34)前であれば限定はない。貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS29)は、ゴム膜24を設置する(ステップS31)の前であれば限定はない。ピストン8にゴム膜24のピストン側固定具25bを設置する(ステップS30)は、ゴム膜24を設置する(ステップS31)前であれば限定はない。レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS33)は、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS34)前であれば限定はない。なお、開口部20が不要な場合は、ステップS21およびステップS32は行わない。なお、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)を行わず、残置し、新設非常用排気装置23を設置(ステップS28)してもよい。
改造した実施形態2の貯蔵装置は、気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体を供給または排出する。ピストン8と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。ピストン8は、気体出入口管7からの気体の流出入に応じてゴム膜24を伴って昇降移動し、気体を貯蔵または排出する。この構造により、貯蔵装置は、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
このように、実施形態2の貯蔵装置および貯蔵装置の改造方法は、貯蔵部本体1を利用しつつ、シール装置10を使用する貯蔵装置を、ゴム膜24を使用する貯蔵装置に改造できる。この結果、実施形態2の貯蔵装置の改造方法によれば、全てを新設することと比較して基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期を削減できる。特に、実施形態2では、シール装置10を使用する貯蔵装置において、ピストン8のフートリング8dおよび甲板8eを残し、かつピストンサポート11を利用しており、基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期をより削減できる。
以上、説明したように、実施形態2の貯蔵装置は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン8と、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24と、を備える貯蔵装置であって、貯蔵部本体1の内面に上下方向に沿って基柱(突起部)6Aが設けられ、基柱6Aは、貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adが鈍角に形成された加工部30を有する。
基柱6Aは、貯蔵部本体1の内側に突出しており、ゴム膜24が引っ掛かるおそれがあり、実施形態2では、加工部30により、貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角に形成している。従って、実施形態1,2の貯蔵装置によれば、ゴム膜24が基柱6Aに引っ掛かる事態を防ぎ、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態2の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側を覆い角31Cをなすカバー部材31である。
従って、加工部30にカバー部材31を適用し、カバー部材31で基柱6Aを覆うことで、貯蔵部本体1の内側に突出する角31Cを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態2の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aと貯蔵部本体1の内面とを連接して角32Dをなす補助部材32である。
従って、加工部30に補助部材32を適用し、補助部材32を設けることで、貯蔵部本体1の内側に突出する角32Dを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態2の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aを削って角6Adをなす斜面部6Aeと、斜面部6Aeと貯蔵部本体1の内面とを連接する補助部材33と、を含む。
従って、加工部30に斜面部6Aeと補助部材33とを適用し、斜面部6Aeを加工し、補助部材33を設けることで、貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態2の貯蔵装置では、加工部30は、基柱6Aを削って角6Adをなす斜面部6Aeである。
従って、加工部30に斜面部6Aeを適用し、斜面部6Aeを加工することで、貯蔵部本体1の内側に突出する角6Adを鈍角に形成でき、ゴム膜24の損傷を防止できる。
また、実施形態2の貯蔵装置の改造方法は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン8と、ピストン8と共に昇降可能にピストン8の周りに取り付けられて貯蔵部本体1とピストン8との間の気密性を確保するシール装置10と、貯蔵部本体1の内面に上下方向に沿って突出する基柱(突起部)6Aに係合してピストン8の周方向の回転を防止する回転防止装置9と、を備える貯蔵装置の改造方法であって、シール装置10および回転防止装置9を貯蔵部本体1の外部に撤去する工程と、基柱6Aの貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角にする加工部30を設ける工程と、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2との間にゴム膜24を設置する工程と、を含む。
この実施形態2の貯蔵装置の改造方法によれば、シール装置10および回転防止装置9を備える貯蔵装置をゴム膜24を備える貯蔵装置に改造するにあたり、回転防止装置9が係合する基柱6Aにおいて貯蔵部本体1の内側に突出する角31C,32D,6Adを鈍角にする加工部30を設けることで、ゴム膜24が基柱6Aに引っ掛かる事態を防ぎ、ゴム膜24の損傷を防止できる。