JP5863429B2 - 弾性体ローラの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真プロセスを利用した画像形成装置の、紙送り、帯電、転写、現像などのために用いることのできる高精度の弾性体ローラの製造方法に関する。
電子写真に用いられる弾性体ローラは、外径や、中心軸に対する振れ等の形状精度に関し、高精度が必要となる。感光体に圧接して用いられる帯電ローラや現像ローラ、転写ローラなどは、感光体に対する接触状態が不安定であると導電性の不均一に繋がるため画像不良となる場合がある。また、紙送りローラなどに用いられる場合には、紙の搬送が不安定となり、ジャムや斜行の原因となってしまう場合がある。
また、近年の画像形成装置は高速化、高耐久化に伴って、これらの不良に対し、さらなる弾性体ローラの高精度化が要求されてきている。
弾性体ローラの製造には、チューブ状に原料組成物を押出した後に芯金に圧入する方法や、クロスヘッドを用いて芯金と同時に原料組成物を押出す事で原料組成物によって芯金の周面を被覆する方法が利用されている。クロスヘッドを用いる方法において、芯金が原料組成物で被覆されたローラの外径、振れ精度が良いと、研磨等の後工程を簡略化或いは省略できるため、クロスヘッド法が良く用いられている。
クロスヘッド押出しを行う上では、芯金を通す円孔部内径或いはニップル内径と芯金外径の差の程度によってはガタとなって振れ精度が悪化する場合がある。特に、用いる芯金の外径公差が大きな場合や、芯金上にあらかじめ塗布された接着剤膜厚がばらつく場合などに、ニップル内径と芯金外径の差が大きくなる組合せにおいて、振れ精度の悪化が顕著であった。
これらの課題に対し、ばねやリング状の弾性体を用いて芯金をリップル内径に対してセンタリングする方法(特許文献1)知られている。
しかし、こうした手段を用いても、押出し出口までセンタリング効果を持続させるのは、構造上難しい場合があり、押出された弾性体ローラの押出し時の後端部分において、振れが悪化する場合が発生していた。
特開2005−227754号公報
本発明の目的は、その長手方向全域において振れ精度良い弾性体ローラを安定して製造することのできる弾性体ローラの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、以下の製造方法を新たに見出した。すなわち、本発明にかかる弾性体ローラの製造方法は、
芯金の周囲に弾性層を具備している弾性体ローラの製造方法であって、
(1)複数本の芯金を、該弾性層形成用の原料組成物の押出し機に接続されたクロスヘッドに順次供給して、該芯金を鉛直下方に通過させると共に、該クロスヘッドから該原料組成物を吐出させて、直列に配置された該芯金の複数本の周面を共通して被覆する該原料組成物の層を形成する工程と、
(2)該芯金の複数本の周囲を共通して被覆している該原料組成物の層を切断して、該原料組成物の層で周面が被覆された芯金の複数本のそれぞれを分離する工程と、
(3)各々の芯金の周面を被覆している該原料組成物の層を硬化せしめて弾性層を形成する工程と
を有し、
各芯金は両端部に、該芯金の中心軸と同心をなすテーパー面または球面が設けられており、
該工程(1)において、各芯金の鉛直下方への移動を、該クロスヘッドからの該原料組成物の吐出速度の鉛直下方成分よりも大きい速度で行い、かつ
該工程(1)における、各芯金の前記クロスヘッドへの順次の供給は、各芯金の両端部に設けられているテーパー面または球面の形状に対して相補的な形状を有する円盤状の弾性部材を各芯金間に、該弾性部材と該芯金のテーパー面または球面とが係合するようにして介在させて連続的に行う
ことを特徴とする弾性体ローラの製造方法である。
本発明により、弾性体ローラの長手全域において、安定して振れ精度良く製造することのできる弾性体ローラの製造方法が提供される。また、用いられる電子写真装置の安定性の向上にも寄与することができる。
本発明の押出成形装置の一例を模式的に表したものであり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 本発明の押出成形装置に用いることのできるクロスヘッドの一例を模式的に表した断面図である。 本発明の押出成形装置に用いることのできる円盤状の弾性部材の一例を模式的に示したものである。 本発明の押出成形装置に用いることのできる円盤状の弾性部材の一例を模式的に示したものである。 本発明の押出成形装置に用いることのできる円盤状の弾性部材の一例を模式的に示したものである。 本発明の押出成形装置に用いることのできる円盤状の弾性部材の一例を模式的に示したものである。 比較例で用いたキャップ1の形状を模式的に示したものである。 比較例で用いたキャップ2の形状を模式的に示したものである。 比較例で用いた絞り部と、ニップルの形状を模式的に示したものである。 実施例、比較例で用いた振れ測定装置の概要を模式的に示したものである。
本発明の製造方法に用いることのできる押出成形装置は、円柱体や円筒体の周囲に被覆層(被膜)を形成する押出成形装置であって、円筒体を通過させるための円孔部を有するクロスヘッドと、被覆層を形成するための材料をクロスヘッドに供給するための押出し機とを有する。弾性体ローラの製造においては、円柱状の芯金の周面に、弾性体層形成用の原料組成物の層を、クロスヘッドを用いた押出成形装置により被覆する。
芯金には、両端に芯金円柱周面と中心軸が同一であり、すなわち、芯金の中心軸と同心をなし、かつかかる中心軸に対して軸対象であるテーパー面(C面、或いはセンター穴)或いは球面(R面)の面取りを両端に備えたものとする。
図1に本発明にかかる押出成形装置の一形態の概要を示す。10は押出し機であり、下向きクロスヘッド11に接続され、クロスヘッドに弾性体層形成用の原料組成物を供給する。クロスヘッド11は芯金を長手方向に通過させるための円孔部を備え、芯金を挿入する円孔部の入り口には、連続的に所定の長さを有する芯金12を順次供給できるようにクロスヘッドの入り口側に芯金供給ユニット13を備える。芯金供給ユニット13には、芯金ストッカーから芯金12を取り出し、送りローラ14に供給する機構が備わる。図2に示すとおり、円孔部下端部はニップル20であり、ニップル20を出たのちに原料組成物と芯金は合流し、原料組成物が芯金の周面に円筒状に被覆される。
芯金を送りローラ14に供給した後、円盤状の弾性部材101を弾性部材供給ハンド102によって、芯金後端部に配置する。その後、さらに芯金を供給することで、芯金と円盤状の弾性部材を交互に隙間なく送り込んでいく。すなわち、円盤状の弾性部材を各芯金間に、円盤状の弾性部材と芯金のテーパー面または球面とが係合するようにして介在させて連続的に芯金と円盤状の弾性部材の供給を順次行う。なお、円盤状の弾性部材は芯金と芯金を同軸上に配置するために、芯金端部と相補的な形状を有している。つまり、円盤状の弾性部材の上下面にあって対向する二つの面が、対応する芯金端部のテーパー面または球面に係合する相補的な形状の部分を有している。この相補的な形状がテーパー面または球面である場合は円盤状の弾性部材の上下面におけるテーパー面または球面は中心軸が同一であることが好ましい。
芯金端部に備わるテーパー面或いは球面と、弾性部材に備わるテーパー面或いは球面を係合させることで、クロスヘッド内の複数の芯金を、各芯金の中心軸を同一軸上に保持したまま直列に押出すことが可能となる。
図3に円盤状の弾性部材の一形態の概要を示す。円盤状の弾性部材31は、その両側に対向した、底面を平面とするテーパー面を備えた形状を有し、このテーパー面は芯金の端面に備わるC面と相補的な形状となっている。円盤状の弾性部材は断面が円形であり、テーパー面の中心軸をニップル内径の中心軸方向とそろえた状態でニップル内を通過させる。図3における円盤状の弾性部材側のテーパー面は、装着される芯金32の端部方向に向かって断面の内径が増加するテーパー形状となっている。このテーパー形状における断面の内径の増加率は、目的とする芯金のセンタリング効果が得られる範囲で適宜設定することができる。
円盤状の弾性部材が有する「相補的な形状」とは、芯金端部に設けられたテーパー面または球面に対し、芯金中心軸を中心とするその垂直面での放射方向に位置する少なくとも一つ以上の曲面領域において円盤状の弾性部材側が接することができる形状である。なお、芯金側のテーパー面及び球面は、芯金端面(芯金中心軸に対して垂直な面)に接続する面として形成された面である。この芯金端部と円盤状の弾性部材とが接触する曲面領域は、芯金と円盤状の弾性部材のずれを防止するために必要とされる部分に配置される。このような相補的な形状を用いることにより、少なくとも押出し方向に対して垂直な方向のうち、多方向で位置ずれ防止の効果を得る事ができる。すなわち、上記した観点から芯金のテーパー面または球面と、円盤状の弾性部材との位置ずれ防止のための相補的形状の接触曲面は、独立した複数の接触曲面として、あるいは図3〜6に示すような連続した接触曲面として形成することができる。
ただし、好ましくは、芯金同士を中心軸が同一に保持できるように、この中心軸に対して軸対称のテーパー面或いは球面を円盤状の弾性部材に設けると良い。図3に示すように、芯金端部がテーパー面でC面である場合には、円盤状の弾性部材には凹状のテーパー面或いは球面を両側に設けると良い。また、図4に示すように、芯金42の端部側のテーパー面または球面がセンター穴である場合には、凸状のテーパー面或いは球面を円盤状の弾性部材41の両側に設けると良い。図6に示すように芯金端部が球面(R面)を有する場合にも、円盤状の弾性部材には凹状のテーパー面或いは球面を両側に設けると良い。
なお、図3及び図4に示す形態では、芯金側のテーパー面からなる部分と円盤状の弾性部材のテーパー面からなる部分とが全面にわたって、すなわち、上記の中心軸からの放射方向の全方向において接触可能となっている。また、図6に示す例では、芯金側の球面からなる部分と円盤状の弾性部材の球面からなる部分とが全面にわたって接触可能となっている。
円盤状の弾性部材の材質としては、弾性を持つ樹脂が好ましく、例えば、ナイロン(商品名)などのポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、例えばテフロン(商品名)等のフッ素樹脂、ポリアセタール等のPOM(ポリオキシメチレン)、ポリエチレンなどのポリオレフィン等が用いられる。
また、ニップル内径の中心軸に対して、正確に同一軸状に芯金を保持するためには、円盤状の弾性部材の最大外径部が芯金よりも大きく、ニップル内径との隙間が小さい方が好ましい。最大外径部の径としては、ニップル内径に対して−0.03mm〜+0.03mmで用いることが好ましい。
ただし、芯金はニップル内径と同寸法以上であると詰まってしまう場合には、ニップル内径よりも小さな外径を持つものが用いられる。
さらに、芯金径は通常設けられた公差の範囲でばらついている事が通常である。例えばφ(外直径)6mmに対して公差f8を適用した場合には、φ6−0.01mmからφ6−0.046mmの外径範囲となり、最大値と最小値とでは0.036mmの差が存在する。一方、ニップルの内径は芯金が詰まらないように芯金径に対して、通常、芯金径+0.05mmから芯金径+0.15mmの内径のものを用いる。従って、φ6f8の芯金とφ6.02mmの内径のニップルを用いた場合、芯金外径とニップル内径との間に最大で0.066mmのガタが存在することになり、ローラの振れとしてはそのガタに相当する程度でばらつく可能性がある。
それに対し、円盤状の弾性部材の最大外径は、ニップル内径に対してわずかに大きな場合でも、弾性部材が弾性を持つために、変形してニップル内を通過することができる。従って、最も正確な位置を保持できる効果が高い構成としては、通過できる範囲で、ニップル内径よりも大きな外径を持つものが良い。
ニップル内径よりも大きな外径を持つものを通過させやすくする手段としては、円盤状の外径部の一部に外径を凸状に大きくした出っ張り部を設けるとよい。一部が大きな外径を持つために、凸部が変形しやすく、通過しやすい。最大外径部の径としては、ニップル内径に対して、0〜0.02mm大きい事が特に好ましい。
ただし、凸部が大きい或いは全面太径部で円盤状の弾性部材が構成される場合などには、材料に弾性があったとしても、変形しづらいため、弾性部材の径が若干大きくなっただけで、詰まりが生じてしまうことがあり、円盤状の弾性部材の一部を中心軸に垂直な方向に突出させた構造が好ましい。かかる突出部の例として、図3〜6の構成を挙げることができる。
また、最大外径に対する円盤状の弾性部材の厚さ(最大厚さ)の比率としては小さい方が、ムダが少なくて良いが、安定性を考えると0.25倍から1.5倍程度が好ましい。
また、芯金と円盤状の弾性部材は、被覆層形成用の原料組成物の吐出に引っ張られて、間に隙間ができない様に、ゴムの吐出の吐出速度の鉛直下方成分よりも早い速度で送りローラ14によってクロスヘッド内に送りこむ。
芯金と円盤状の弾性部材は送りローラによって被覆層形成用の原料組成物の吐出の鉛直下方成分よりも早い速度で送り込まれる一方、クロスヘッド出口では、被覆層形成用の原料組成物の粘性によって送る方向に対して妨げる方向の抵抗を受けるため、芯金と円盤状の弾性部材の間に鉛直方向の押し付け力が発生する。
この押し付け力が、芯金と円盤状の弾性部材に設けられたテーパー面に伝わる事で、進行方向に対してずらす方向の外力に対して反発するセンタリング効果が得られ、押出される芯金の中心のずれを小さくすることができる。
進行方向に対してずらす方向の外力としては、ニップル出口からクロスヘッド出口までの間のゴムの流れの偏りによるもの、引取り機構の芯ずれによるもの、或いは切断時の衝撃によるものなどが挙げられる。特に、従来は芯金の後端が、ニップル出口を通過した後は、芯金の中心軸をニップル内径の中心軸と同一に保持するための力は得られないため、ゴムの流れの偏りなどの力をうけて、芯金後端部で被覆される円筒部の中心がずれてしまう場合があった。本発明によれば、ニップル出口を通過した後でも、芯金の前後端に配置した円盤状の弾性部材による保持力によって、外力に対して反発するセンタリング効果が得られるため、芯金後端部(押出し時の上部)でのずれによる外径精度の低下を大幅に小さくする事ができる。
芯金の各端部のみ独立したキャップで被覆した場合等では、キャップとキャップの界面、或いは芯金と芯金の界面で容易に滑りが生じるために、上記のようなセンタリング効果を得る事が困難である。また、このようなキャップの外径は、ニップル内径よりも小さくする必要があるため、ニップルとキャップにはガタがあり、振れのばらつきを発生しやすい。
また、円盤状の弾性部材を各芯金の前後端に配置することによって、ニップル出口を通過した後のずれの他、引取り機構の芯ずれによる外力や、切断時の衝撃による外力などを受ける場合にも効果があると考えられる。ニップル内部で芯金径とニップル内径にガタがあったとしても、円盤状の弾性部材とニップル内径のガタは小さく、かつ外力に対して反発するセンタリング効果が得られているため、芯金後端部だけでなく、長手方向の全域に渡って振れ精度が向上する。
一方、図1に示す装置において、連続的に送りローラ14によって供給される芯金12は、その周囲に原料組成物が円筒状(原料組成物の断面は環状)に被覆されながらクロスヘッド11から押出され、静止していた支持機構17に途中で接触する。支持機構17は押し出された芯金の進行方向に押されて移動する。支持機構17が所定の位置に到達した時点で、半円状に切りかかれた一対の切断刃16が、複数の芯金の周囲に共通して形成された円筒状の原料組成物を切断する。切断の後、支持機構17と切断刃16を芯金の押出し方向に芯金送り速度よりも速い速度で動かし、原料組成物を被覆した芯金(ここで未加硫ローラとする)に一本ずつに分離する。その後オートハンド18によってトレイ19に置かれ次工程に進む。
なお、切断の際には、芯金と円筒状の弾性部材をセットにした状態で切断、分離を行う。また、分離した状態で再度、切断を行い、円盤状の弾性部材を取り外し、未加硫弾性体ローラを得る。
共通して形成された円筒状の原料組成物により被覆された複数本の芯金、すなわち1回の複数本取りに用いる複数の芯金は、同一でもよいし、形状やサイズ等において異なるものがこれらに含まれていてもよい。
図2にはクロスヘッド11内部の詳細構造の例を模式的に示す。クロスヘッド内部には芯金12を通すための円孔部23が設けられ、原料組成物と芯金が合わさる部分にニップル20が備わる。また、ダイス21を芯金の進行方向に対し、直交二軸の方向に動かせるようにクロスヘッドの周囲に90度ピッチで配置された4本の調芯ボルト15を備える。円筒状の原料組成物被覆層と芯金との同心の調整はこの調芯ボルトの調整で行うことができる。
なお、送りローラ14の材質としては、芯金を傷つけることないように、例えば、ナイロン(商品名)などのポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、例えばテフロン(商品名)等のフッ素樹脂、ポリアセタール等のPOM(ポリオキシメチレン)等の樹脂を用いることが好ましいが、その他に、アルミ、真鍮、銅などやあるいはその合金など、硬度が低い金属でも良い。
また、芯金の長さに相当する周期で規則的に芯金送り速度を変化させる事で、円筒状原料組成物の外径をクラウン形状、あるいは逆クラウン形状に仕上げても良い。
個々の芯金に分離する手法は、切断刃による切断以外にも、ワークを回転させてねじ切ってもよく、また切断は押出し物を連続的に加硫した後に行っても良い。
弾性体ローラの弾性層形成用の原料組成物としては、この用途に用いられる公知の材料から適宜選んで用いることができる。例えば、弾性体用のポリマーに加硫剤やその他の充填物や添加物を加えたものを原料組成物として用いることができる。
上記原料組成物に用いる弾性体用のポリマーとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴム等、いずれでもよい。
加硫剤としては硫黄、金属酸化物、有機酸化物等が挙げられる。無機充填剤として炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー等が挙げられる。また、その他公知の加硫促進剤、プロセスオイル等が適宜添加される。
また、前記ポリマー中に導電材として、導電性カーボン等のカーボンブラック類、グラファイト、TiO2、SnO2、ZnO等の金属酸化物、SnO2とSb23の固溶体、ZnOとAl23の固溶体等の複酸化物、Cu、Ag等の金属粉、導電性の繊維等の導電粉を分散させてもよい。これらは前記ポリマー100質量部に対して例えば5〜200質量部添加される。
原料組成物が、未加硫状態で芯金の周面に押出しされ、加硫処理により硬化させるものである場合には、押出された後の未加硫組成物の加熱は、熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱等いずれの手法で行ってもよい。例えば、加熱温度は130℃〜250℃で、加熱時間は5分間〜240分間、好ましくは140℃〜220℃で、10分間〜60分間で行われる。この後、必要に応じて2次加硫することもできる。さらに、必要に応じて、その後研磨による外径の調整や、表面処理などを行い、弾性体ローラを得る事ができる。
芯金の材質としては、鉄、ステンレス、アルミなどや、その合金等の金属、或いはこれらの金属上にメッキなどの表面処理を施しても良い。
ニップルの材質としては、鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、銅などや、その合金等の金属、或いはこれらの金属上にメッキなどの表面処理を施したものでも良いが、芯金を傷つけることのないように、円孔部は芯金よりも硬度が低い金属で構成されることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、クロスヘッドを備えた押出し装置によって、振れなどが高精度の弾性体ローラを安定的に得ることができる。
さらに、本発明により、ローラの接触均一性も向上するため、製品としての安定性・高画質化も実現する。
〔実施例1〕
〈ゴムローラの作製〉
以下の原料を加圧式ニーダーで15分間混練した。
・アクリルニトリルブタジエンゴム(商品名「NIPOL N230SV」:JSR(株)製)100質量部に対して、
・カーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製、DBP吸油量87cm3/100g) 48質量部、
・ステアリン酸亜鉛1質量部、
・酸化亜鉛(酸化亜鉛二種 正同化学)5質量部
・炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」:丸尾カルシウム(株)製)40質量部、
更に、
・ジベンゾチアゾリルジスルフィド(商品名「ノクセラーDM−P」:大内新興化学(株)製) 1質量部
・テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTBZTD」:大内新興化学(株)製) 4.5質量部
・硫黄(加硫剤)1.2質量部
を加えて、15分間オープンロールで混練して未加硫ゴム組成物を作製した。
次いで、両端面にC0.5(図3に示す角度b=45°)の面取りが施され長さ252mmの芯金(材質:SUM-23L、表面処理:ニッケルメッキ)を用意し、弾性体層を被覆したい長さ234mmの部分に接着剤を塗布した。接着剤としては、導電性があるホットメルトタイプのものを厚さ約1μmの膜厚で塗布した。
得られた原料組成物を芯金の周囲に成形するために、図2に示す構造を有する押出成形装置(口径Φ70mm)に内径(直径)がΦ9.0mmであるダイス、内径Φ6.03mmのニップルをセットし、あらかじめ押出し機とクロスヘッドを80℃に温調した。なお、ニップル先端位置はダイス出口の面(ダイス下端面)から距離20mmの位置に調整した。
本実施例で用いた円盤状の弾性部材を図3に模式的に示した。円盤状の上下に芯金のC面と同一角度のテーパー面(円錐状の凹部 角度60°)を有し、芯金端部のC面に対して相補的な形状となっている。円盤状の部分で最大外径となり、最大外径は芯金径よりも大きいものである。最大外径寸法a、材質は表1に示した。
円盤状の弾性部材は芯金を送り込むローラ14に芯金を挟み込む前に芯金後端に弾性部材を乗せ、次に送り込む芯金をさらに上部から乗せ、隙間なく芯金送りローラに送り込んでいった。クロスヘッド11に送り込まれる芯金と芯金の間には全て円盤状の弾性部材が間に挟み込まれ、芯金と円盤状の弾性部材が常に係合した状態を保っている。
上記押出成形装置を用い芯金の送り速度を約40mm/secに設定した状態で原料組成物と同時に押出し、原料組成物の被膜が周囲に形成された未加硫弾性体ローラを得た。
未加硫ゴム組成物の吐出量(押出し機のスクリューの回転数)は、芯金と弾性部材の間に隙間が生じないように調整する。例えば、1本の芯金をクロスヘッドに送り込んだ後、送りローラを停止させた場合に成形されるローラよりも外径が細くなるように調整すれば良い。結果として、ゴムは押出される芯金に引っ張られるようにして成形され、送り込まれる方向に反力を発生させる。その反力が芯金と円盤状の弾性部材を圧接させる力となり、センタリング効果が大きく発生される。
用いた芯金径はφ5.96mmのものである。
その後160℃、1時間の加熱加硫を行い、さらにローラ両端の芯金部8mmずつを露出させるために弾性層の切断、除去作業を行い、30本の弾性体ローラを得た。
なお、偏心の調整はクロスヘッドに備える調芯ネジを用い、円盤状の弾性部材を用いずに、押出し物の振れ(長手方向中央部における)が30μm以下に1本でも入るまで調整を行った後、ローラの成形を行った。
得られた弾性体ローラ30本に対し振れの測定を行った。図10に測定装置の概略を示した。弾性体ローラ105の両端の芯金露出部は二つの薄い円盤状のコロ107に載せられており、弾性体ローラが上下に動かない様に上からもう一つの円盤状のコロ108で上側から加圧される。この上から加圧する円盤状のコロ108にはo−リング109が巻きつけられており、円盤状のコロをモータ110で回転駆動することで、弾性体ローラ105を滑らずに回転させることができる。振れの測定は、外形測定センサー106(Keyence社製。商品名:LS−7600)を弾性体ローラと直行し、かつローラ長手方向に可動できるように、配置した。このような装置を用いて弾性体ローラを、3rpmで回転させながら1周分測定を行い、外径測定センサーの上端からのローラ上端までの距離(T-Edge)の最大値−最小値を振れの値とした。なお、外径測定センサーの平均化回数は8回とした。
振れ測定位置は長手方向中央部1点と、中央部から両端に115mm離れた位置2点の計3点で行い、成形したローラ30本について中央部1点の振れの30本の平均値と、両端2点のうち大きな方の値を30本平均したものを表1に示した。
振れの値としては例えば帯電ローラなどに用いる場合に、接触状態の不安定さに起因する黒もや状の画像不良や、耐久時の汚れムラによる画像不良が発生しないようにするためには、0.05mm以下が良く、特に高速の出力速度の電子写真装置や高耐久機の電子写真装置においては0.03mm以下が特に好ましい。
比較例と比べて、振れが小さくなっている事が分かる。特に、端部における振れが低減できていることが分かる。
〔実施例2〜4〕
実施例1で用いた円筒状の弾性部材の代わりに、表1に示すような形状と材質である円盤状の弾性部材を用いた以外は、実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。比較例と比べて、振れが小さくなっている事が分かる。特に、端部における振れが低減できていることが分かる。
〔実施例5〜7〕
実施例1で用いた円筒状の弾性部材の代わりに、表1に示すような形状と材質である円盤状の弾性部材を用い、芯金として端面形状を表1に示すような寸法に変更した以外は、実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。なお、実施例5で用いた芯金は、芯金の両端面にセンタ−穴(JIS B 1011 B型 角度b=60°ΦD=3.35 mm)を設けたものであり、実施例7で用いた芯金は、芯金の両端面にR1のR面取りを施したものである。
実施例5では、芯金のセンター穴に対応した、円盤状の上下に芯金のセンター穴のテーパー面と相似の形状であるテーパー面(円錐状の凸部 角度60°)を有する弾性部材を用いた。実施例6では、外径部の凸部が出っ張りでなく、テーパー状の設けられたものを用いた。実施例7では、芯金のR面と相似の曲面(R1の曲面を持つ凹部)を上下面に有するものを用いた。比較例と比べて、振れが小さくなっている事が分かる。特に、端部における振れが低減できていることが分かる。
〔実施例8〜10〕
実施例1で用いた弾性部材の代わりに、表1に示すような寸法と材質である円盤状の弾性部材(形状は図3と同じ)を用いた以外は、実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。比較例と比べて、振れが小さくなっている事が分かる。特に、端部における振れが低減できていることが分かる。
〔比較例1〕
本比較例では円盤状の弾性部材を用いなかった以外は実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。振れは大きく、特にローラ端部で増大した。
〔比較例2〕
本比較例では図7に模式的に示すように、両端部8mm部がΦ3.96mmとなっている芯金72を用い、その部分に外径がΦ5.96mm、内径がΦ4.03mmのPOMからなる円筒状のキャップ71を被せて成形した以外は、比較例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。振れは、比較例1とほぼ同等の結果であり、ローラ端部において特に振れが増大した。
〔比較例3〕
本比較例では図8に模式的に示すように、Φ5.96mmの外径の芯金82を用い、両端8mmに、外径がΦ8.96mm、内径がΦ6.03mmのPOMからなる円筒状のキャップ81を被せ、内径Φ9.03mmのニップルを用いて成形した以外は、実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。振れに関しては、比較例1よりも増大した。
〔比較例4〕
本比較例では図9に模式的に示すような形状のニップルを用いた。91はoーリングであり、センタリングのための絞り部材として用いている。ニップル内径はΦ6.03mm、o−リングを配置した部分の内径はΦ5.6mmである。材質としてはNBR(JIA-A硬度 70)のものを用いた。なお、oーリングはニップル24の先端から15mm上部の位置に配置した。このニップルを用い、円盤状の弾性部材を用いなかった以外は実施例1と同様にローラの成形と振れの測定を行い、結果を表1に示した。中央部では振れ精度が良好であるが、押出し端部で振れが大きくなった。
Figure 0005863429
表中の略語詳細:
POM・・・ポリアセタール(ポリベンコアセタールPOM−HL ポリベンコ社製)
テフロン・・・ポリテトラフルオロエチレン(テフロンPTFE デュポン社製)
ナイロン・・・ナイロン(MCナイロン MC901 ポリベンコ社製)
PE・・・ポリエチレン(ノバテックHD HJ560 日本ポリエチレン社製)
10 押し出し機
11 クロスヘッド
12 芯金
13 芯金供給ユニット
14 送りローラ
15 調芯ボルト
16 切断刃
17 支持機構
18 反転用オートハンド
19 トレイ
20 ニップル
21 ダイス
31、41、51、61 円盤状の弾性部材の一例
32、42、52、62 芯金
71 キャップ1
72 段付き芯金
81 キャップ2
82 小径芯金
91 センタリング部材
92 芯金
25、101 円盤状の弾性部材
102 円盤状の弾性部材を移載用のオートハンド
105 弾性体ローラ
106 外径測定センサー
107 円盤状のコロ
108 円盤状のコロ
109 o―リング
110 モータ

Claims (2)

  1. 芯金の周囲に弾性層を具備している弾性体ローラの製造方法であって、
    (1)複数本の芯金を、該弾性層形成用の原料組成物の押出し機に接続されたクロスヘッドに順次供給して、該芯金を鉛直下方に通過させると共に、該クロスヘッドから該原料組成物を吐出させて、直列に配置された該芯金の複数本の周面を共通して被覆する該原料組成物の層を形成する工程と、
    (2)該芯金の複数本の周囲を共通して被覆している該原料組成物の層を切断して、該原料組成物の層で周面が被覆された芯金の複数本のそれぞれを分離する工程と、
    (3)各々の芯金の周面を被覆している該原料組成物の層を硬化せしめて弾性層を形成する工程と
    を有し、
    各芯金は両端部に、該芯金の中心軸と同心をなすテーパー面または球面が設けられており、
    該工程(1)において、各芯金の鉛直下方への移動を、該クロスヘッドからの該原料組成物の吐出速度の鉛直下方成分よりも大きい速度で行い、かつ
    該工程(1)における、各芯金の前記クロスヘッドへの順次の供給は、各芯金の両端部に設けられているテーパー面または球面の形状に対して相補的な形状を有する円盤状の弾性部材を各芯金間に、該弾性部材と該芯金のテーパー面または球面とが係合するようにして介在させて連続的に行う
    ことを特徴とする弾性体ローラの製造方法。
  2. 前記弾性部材の最大外径は、各芯金の最大外径よりも大きい請求項1に記載の弾性体ローラの製造方法。
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