JP5773832B2 - 導電性弾性ローラ製造用の装置及び導電性弾性ローラの製造方法 - Google Patents

導電性弾性ローラ製造用の装置及び導電性弾性ローラの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は電子写真装置に用いられる導電性弾性ローラ製造用の装置及びそれを用いた導電性弾性ローラの製造方法に関する。
電子写真方式のプリンター、複写機および静電記録装置等の画像形成は、帯電、露光、現像、転写、定着プロセスから成り立っている。そこで用いられる導電性弾性ローラは感光ドラムに押圧されて使用されることが多い。このような導電性弾性ローラに対しては、感光ドラムと導電性弾性ローラとの間で均一なニップを得ること、感光ドラムを均一に帯電するために均一な電気抵抗値であること、感光ドラムの汚染が少ないことなどが求められている。
導電性弾性ローラは、少なくとも芯金からなる支持軸とその外周面に導電性の弾性層を有する構成からなり、感光ドラムと導電性弾性ローラとの間で均一なニップを得るために弾性層が低硬度であることが必要とされる。そのため、導電性の弾性層は、ゴム、エラストマー等の樹脂と導電性粒子とを含む混合物から構成される導電性弾性ローラが使用されることが多い。
導電性弾性ローラの製造方法として、クロスヘッドダイによる被覆押出し成形を用いる方法が知られている。
しかし、クロスヘッドダイを用いる製造方法においては、図1に示すように導電性弾性ローラ1の芯金2の外周面に設けられた弾性層3にウェルド4と呼ばれる樹脂混合物の合わせ目が発生する場合がある。ウェルドの部分は、電気抵抗値が他の領域と異なるため、ウェルドを有する弾性層を用いて形成された導電性弾性ローラは、軸に沿う方向に、電気抵抗値が周囲とは異なる領域を有することとなる。このような導電性弾性ローラを例えば帯電ローラに用いた場合、感光体に帯電ムラを生じさせ、電子写真画像上に帯電ムラに起因するスジ状の画像欠陥を生じる場合があった。
ウェルドがもたらす上記の課題に鑑み、特許文献1では、環状流路を有するクロスヘッドダイの内側ダイ外周面、外側ダイ内周面につる巻線状溝を設けることによりウェルドを拡散させる方法を開示している。また、特許文献2では、円周方向に沿って回転する攪拌手段を設けることによりウェルドを拡散させる方法を開示している。
特開2008−000946号公報 特開2001−353766号公報
しかしながら、特許文献1、及び特許文献2に係る方法では、図2に示すようにウェルドを構成する樹脂混合物を引き延ばすことができるが、撹拌が不十分なため、周方向の電気抵抗値のばらつきの低減が十分でなく、画像不良を発生させる場合があった。そこで、本発明は、ウェルドに起因する電気抵抗値のムラを抑制した導電性弾性ローラを製造するための装置及びそれを用いた導電性弾性ローラの製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる導電性弾性ローラ製造用の装置は、
導電性弾性層を形成するための材料を芯金の外周面に被覆するためのクロスヘッドダイを有する導電性弾性ローラ製造用の装置であって、
クロスヘッドダイは、
外側ダイと、
該外側ダイの内部に配置され、芯金を通過させる中心孔をする内側ダイと、
外側ダイの内周面と内側ダイの外周面とによって区画され、かつ中心孔と同軸に配置され、中心孔を通過する芯金の周囲に前記材料を流す環状流路と、
環状流路に前記材料を導入するための導入口と、
を具備し、
該外側ダイには、該中心孔の軸方向に非平行な方向に延びる、該環状流路内の前記材料のウェルド部が生じる位置において該環状流路と連通するように該外側ダイの内周面に開口を生じさせてなる横孔が設けられてなり、
該横孔には、撹拌棒が挿入されており
攪拌棒は、該横孔の開口においてウェルド部と接触可能であり、かつ、環状流路を流れる材料の該開口からの漏出を防止でき、更に、ウェルド部を攪拌するために該横孔内において回転可能である
ことを特徴とする導電性弾性ローラ製造用の装置である。
また、本発明にかかる導電性弾性ローラの製造方法は、上記の導電性弾性ローラ製造用の装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法であって、
前記クロスヘッドダイの中心孔に芯金を供給すると共に、前記環状流路中に前記材料を供給し、該中心孔を通過した芯金の外周面に該環状流路から供給される該材料により被覆層を形成する工程と、
前記撹拌棒により前記環状流路内の前記材料に生じるウェルド部を撹拌する工程と、
を有することを特徴とする導電性弾性ローラの製造方法である。
本発明によれば、ウェルドに起因する導電性弾性ローラの周方向電気抵抗値のばらつきを低減させ、電子写真式画像形成装置に用いた場合に画像不良を低減可能な導電性弾性ローラの製造方法及びそのための装置が提供される。
導電性弾性ローラの外観を示す模式図である。 従来例を用いた場合における、ウェルドの変形を説明する図である。 本発明にかかるクロスヘッド押出成形装置の断面模式図であり、(a)は装置の模式縦断面図であり、(b)は撹拌棒が挿入されていない状態を示すA−A模式断面図であり、(c)は撹拌棒が挿入された状態を示すA−A模式断面図である。 クロスヘッドダイにおける樹脂混合物の分流及び合流を説明するための模式図である。 攪拌棒の環状流路内の位置を説明する図である。 攪拌棒を説明する図である。 攪拌棒の溝を説明する図である。 比較例1で用いたクロスヘッド押出成形装置の模式図である。 導電性弾性ローラ電気抵抗測定装置の模式図である。 中心孔と横孔との位置関係を示す図である。
以下、本発明にかかる導電性弾性ローラの製造方法及びそのための装置について、詳細に説明する。
<被覆押出し成形装置の構成>
本発明にかかるクロスヘッドダイを用いた、導電性弾性ローラ製造用の被覆押出し成形装置の模式図を図3に示す。被覆押出し成形装置は、押出し機5と、内側ダイ6および外側ダイ7によって構成される環状流路8を有するクロスヘッドダイ9と、円形状ダイリップ10と、を有して構成されている。
内側ダイ6は中心孔20を有する管状部材からなり、外壁を構成する外側ダイ7の内部に挿入配置されている。環状流路8は、外側ダイ7の内周面と内側ダイ6の外周面とによって区画されている。内側ダイ6の外周面と外側ダイの内周面とはともに、中心孔20と同軸に配置されており、このことによって環状流路8も中心孔20と同軸に配置されたものとなる。中心孔20の上端開口は芯金の供給口となっており、下端開口は芯金の出口となっており、環状流路8の下端部がその周囲を取り囲む位置に配置されている。
環状流路8は、その上部に押出し機5の先端に位置するシリンダ出口と接続する材料の導入口17が設けられており、その下端部は、中心孔20の下端開口に向けてその内径及び外径が中心孔20の内径まで絞り込まれたテーパ構造となっている。この構造によって中心孔20の下端開口を通過する芯金の外周面に環状流路から供給される材料が被覆される。
外側ダイ7には、横孔18が設けられている。この横孔18は、撹拌棒が挿入されていない状態を示す図3の(b)A−A断面図に示すとおり、中心孔20の中心軸に対して非平行に伸び、かつその内周面の一部に開口18aが設けられている構造を有する。この開口18aにより横孔18と環状流路8とが連通している。撹拌棒が挿入された状態を示す図3の(c)A−A断面図に示すように、横孔18には撹拌棒19が挿入される。撹拌棒19と横孔18とは、撹拌棒19が横孔18に挿入した状態において、撹拌棒19がその軸中心に回転可能であり、かつ環状流路8内の材料の横孔18を介した外部への漏出がない構造となっている。例えば、適当なシーリング材や撹拌棒19と横孔18との擦り合わせ構造などによって、このような構造を採ることができる。適当な回転駆動手段を撹拌棒19に接続することによって撹拌棒19を回転させることができる。開口18aにおいて撹拌棒19の外周面が環状流路8に対して露出することで、環状流路8を流れる材料と撹拌棒19とが接触可能となる。
撹拌棒19も横孔18に挿入されることによって中心孔20の軸方向に対して非平行に配置され、撹拌棒の長手方向に伸びる軸と中心孔20の軸との角度は、目的とする効果が得られるように設定することができる。図3の装置構成では、横孔が設けられた側から装置を見た場合、図10に示すように中心孔20の軸Xに対して横孔18の軸Yが直交する方向にこれらが配置されており、かかる配置とすることが好ましい。
<導電性弾性ローラの製造方法>
図3に示した装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法について以下に説明する。はじめに、押出し機5の投入口11に投入された、導電性弾性層を形成するための材料(例えば、導電性粒子およびバインダー樹脂を含む樹脂混合物)12はシリンダ13内にてシリンダ13とスクリュ14から受けるせん断力により可塑化および混練されて、押出し機シリンダ出口15へ搬送される。続いてブレーカプレート16を通過して、クロスヘッドダイ9の材料導入口17へ搬送される。クロスヘッドダイ9に導入された材料は、図4に示すように、内側ダイ6によって分流されたのち、再び合流して内側ダイ6と外側ダイ7で構成される環状流路8にて円筒状(断面は円環状)に形成されて導電性弾性円筒体となる。
ここで、電気抵抗値のムラの原因となるウェルドは、分流された樹脂混合物が、再び合流する部分で発生する。そこで、本発明においては、クロスヘッドダイ9の環状流路8の外側内周面を構成する外壁としての外側ダイ7に、中心孔20の軸方向に対して非平行な方向に延びる横孔18が環状流路8と連通するように設けられている。その横孔18に攪拌棒19が環状流路8を流れる樹脂混合物のウェルド部と開口18aにおいて接触可能に挿通されている。攪拌棒19を回転させ、ウェルド部を撹拌することにより、導電性弾性円筒体上のウェルドが低減される。
次に、導電性弾性円筒体は、あらかじめ内側ダイ6内部の中心孔20に設置された芯金2上に被覆されて被覆層を形成し、円形状のダイリップ10にて所望の外形寸法に調整される。このようにして芯金2の周面に導電性弾性円筒体を有する導電性弾性円筒被覆体が得られる。材料としての樹脂混合物が架橋性ゴムを含む混合物の場合は、こうして得られた導電性弾性円筒被覆体の架橋工程を経て導電性弾性層を有する導電性弾性ローラ1が得られる。あるいは、材料としての樹脂混合物が熱可塑性エラストマーを含む混合物の場合は、冷却工程を経て導電性弾性層を有する導電性弾性ローラ1が得られる。
得られた導電性弾性ローラを必要に応じて外周面を研磨したり、抵抗調整や表面性の調整のために、さらに外周に層を設けたり、表面処理を施すなどして帯電ローラや搬送ローラとすることができる。
<攪拌棒によるウェルドを攪拌する工程>
[攪拌棒の配置]
攪拌棒を挿入する横孔は、クロスヘッドダイの図3における、環状流路の外壁面と接する位置においては、任意に設定できる。しかし、攪拌棒の回転による導電性円筒被膜体の外形に影響が及ぶため、クロスヘッドの環状流路の外壁面の円形状ダイリップ10が位置する位置よりも上流側に配置することが好ましい。更に、図3に示すとおり、環状流路8のテーパ構造部分に設けることがより好ましく、このテーパ構造部分の中心孔下端開口側に設けることがより好ましい。
攪拌棒と横孔の隙間は、10μm〜200μmの範囲内にすることが望ましい。攪拌棒と横孔の隙間が上記範囲より小さくなると攪拌棒の回転をスムーズに行うことが難しくなり、また攪拌棒と横孔の隙間が上記範囲より大きくなると樹脂混合物が隙間から流出し易くなる場合がある。
次に、図5を用いて撹拌棒の環状流路内への配置態様について説明する。図5におけるaは、攪拌棒の中心を通る環状流路の外壁面に垂直な直線上における環状流路の内側ダイ6側の内周面と外側ダイ7側の内周面との距離である。図5におけるbは、攪拌棒の中心を通る環状流路の外側ダイ7側の内周面に垂直な直線上における環状流路の外側ダイ7側の内周面と攪拌棒の周面までの距離である。aに対するbの割合を、突出率cと定義する。突出率は任意に設定できるが、20%〜80%の範囲内にするのが好ましい。突出率cが上記範囲より小さくなると十分にウェルドと接することができなくなり混練する効果が低下する場合がある。また突出率が上記範囲より大きくなると攪拌棒と環状流路の内壁面側との間隔が狭くなりクロスヘッド内の圧力が大きくなってしまう場合がある。
[攪拌棒]
攪拌棒の材質としては、ステンレス鋼、硫黄快削鋼等の鋼材、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属や強度や耐熱性のある合成樹脂等も挙げられる。また、強度や耐熱性を向上させるために、攪拌棒に表面処理を施してもよく、具体的にはクロームメッキ、窒化処理等の表面処理が挙げられる。
攪拌棒の断面形状としては、図6のB−B断面において、円または多角形等任意に設定できる。しかし、撹拌棒全体を多角形にした場合、攪拌棒と横孔との間に隙間が生じ、環状流路を流れる材料が流出しやすくなる場合があるため、撹拌棒が環状流路に露出しない部分について少なくとも断面を円形状とすることが好ましい。
攪拌棒の直径dとしては、任意に設定できるが、2〜50mmの範囲内にすることが望ましい。攪拌棒の径が上記範囲より小さくなると十分に攪拌棒の回転による応力が伝わらなくなる場合があり、また直径が上記範囲より大きくなるとウェルド以外の領域の材料をウェルド部に巻き込んで撹拌する効果が低下する場合がある。また、攪拌棒の長さeについても任意に設定できるが、環状流路の外壁を貫通する長さ以上にすることが好ましい。
また、混練の効果を高めるため、攪拌棒の周面上に溝を任意に設定できる。攪拌棒の溝の断面形状は、例えば半円形状、半楕円形状、多角形状(例えば、三角形、矩形、台形等)等にすることができる。中でも、材料の滞留防止の観点から半円形状、半楕円形状など隅角部の無い流線形状が望ましい。
半円形状の溝を有する攪拌棒の一例を図7に示す。図7C−C断面において、攪拌棒の直径dに対する溝深さfの割合を、溝深さ率gとして、溝深さ率g=(溝深さf)/(攪拌棒の直径d)と定義する。このときの溝深さfは、攪拌棒の長手方向と垂直な断面において、攪拌棒の軸心と攪拌棒の溝の面との最小距離である溝の面上の点から、攪拌棒の周面までの距離とする。溝深さ率gは任意に設定できるが、大きすぎると攪拌棒の強度が低下し、小さすぎると溝による効果が低下するため、20%〜90%の範囲内にすることが望ましい。
攪拌棒の周面上への溝の配置は任意に設定できる。しかし、図7に示す攪拌棒の長手方向に対する周面の展開図のウェルドが流れる外側ダイ7側の内周面の経路上において、攪拌棒の長手方向から回転方向に傾斜する溝を、攪拌棒の両端部に向けて配置することが好ましい。溝と攪拌棒の長手方向とのなす角度を溝角度hと定義する。溝角度は任意に設定できるが、大きすぎても、または小さすぎてもウェルドに対して攪拌棒の溝による混練する効果が得られない場合があるため、10°〜80°の範囲内にすることが望ましい。
攪拌棒の溝の数としては、攪拌棒の長手方向に向かってひとつづきになっている溝の本数とする。攪拌棒の溝の数は任意に設けることを許容する。
[攪拌棒の回転]
攪拌棒の回転数は、任意に設定できる。しかし、横孔と攪拌棒の隙間に材料が入り込む場合、回転数が大きすぎると、横孔と攪拌棒の接している部分において、攪拌棒に大きなねじれる力が生じる。また、混練する効果において、回転数が小さすぎると、ウェルドを十分に低減することができない場合がある。これにより、攪拌棒の回転数としては、2rpm〜60rpmの範囲内にすることが望ましい。
また、攪拌棒は、環状流路中の材料の流れに対して逆方向に回転すること、すなわち、撹拌棒の長手方向の中心軸を中心とした回転によりその外周面が環状流路中の材料の流れに対して対向する方向に移動するように回転させることがより好ましい。攪拌棒が材料の流れに対して逆方向に回転することにより、ウェルドが流れる方向(材料の流れ方向)と攪拌棒の回転することにより生じる応力の方向がぶつかり合うため、ウェルドの部分とウェルド以外の領域の樹脂混合物の混練の力が増大し、ウェルドがより攪拌される。
[攪拌棒による混練効果]
攪拌棒を設けることにより、導電性弾性円筒体の長手方向に垂直な断面において、ウェルドの部分とウェルド以外の領域の材料の混練が可能となり、ウェルドの攪拌ができる。すなわち、図3(c)A−A断面に対しても、ウェルドに応力が生じる。その応力は攪拌棒が回転する方向に生じるため、ウェルド以外の領域の材料をウェルドの部分内に流入させ、また、ウェルドの部分の材料をウェルド以外の領域に流出させるといった混練する効果が生じる。そして、攪拌棒が回転することにより、攪拌棒上のウェルドが流れる外壁面の経路上における位置から、攪拌棒の両端部に向けた応力が生じる。さらに溝を備えた攪拌棒が回転することにより、かかる応力をより効果的に形成することが可能となる。それによりウェルドの部分を膨張させるため、攪拌棒の回転によるウェルドの部分とウェルド以外の領域の材料の混練の効果が上がる。その結果、ウェルドの攪拌が可能となり、導電性弾性円筒体のウェルドが低減する。従って、得られる導電性弾性ローラは、ローラの周方向電気抵抗値のばらつきが、さらに小さくなる。
<芯金>
芯金は導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性体層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
<導電性弾性層形成用の材料>
導電性弾性層形成用の材料としては、目的とする導電性弾性層の形成に利用できるものであればよい。このような材料としては、以下の構成の樹脂混合物を挙げることができる。
[樹脂混合物]
樹脂混合物としては、バインダー樹脂および導電性粒子を含有しているものを利用することができる。
バインダー樹脂としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、塩素ゴムを含むゴムや熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。
導電性粒子としては、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、および、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンを用いることができる。ゴム用カーボンとして、具体的には、Super Abrasion Furnace(SAF:超耐摩耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF:準超耐摩耗性)、High Abrasion Furnace(HAF:高耐摩耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF:良押し出し性)、General Purpose Furnace(GPF:汎用性)、Semi Rein Forcing Furnace(SRF:中補強性)、Fine Thermal(FT:微粒熱分解)およびMedium Thermal(MT:中粒熱分解)などの各ゴム用カーボンが挙げられる。
また、天然グラファイトおよび人造グラファイトなどのグラファイトを用いることもできる。また、TiO2、SnO2、ZnOなどの金属酸化物、ZnOとAl23の固溶体などの複酸化物、Cu、Agなどの金属粉等を始めとして、公知の各種のものが使用でき、それらの単体もしくは複数種をブレンドして使用してもよい。
また、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、導電剤、帯電制御剤、可塑剤、老化防止剤等を適宜に添加することもできる。さらに、帯電防止剤、紫外線吸収剤、補強剤、充填剤、滑剤、離型剤、顔料、染料、難燃剤等を必要に応じて適宜に添加することもできる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(樹脂混合物の調整)
下記に示す成分をオープンロールで混練しゴム組成物(樹脂混合物)を得た。
・バインダーとしてのNBR(商品名:Nipol DN3335;日本ゼオン社製):100質量部、
・加工助剤としてのステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレート;日本油脂社製):1質量部、
・加硫促進助剤としての酸化亜鉛(亜鉛化2種;堺化学工業社製):5質量部、
・充填剤としての炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30;丸尾カルシウム社製):20質量部、
・導電性粒子としてのカーボンブラック(商品名:トーカブラック#5500;東海カーボン社製):28質量部、
・架橋剤としての硫黄(商品名:サルファックスPMC;鶴見化学社製):1.0部;
・加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名:ノクセラーTBzTD;大内新興化学工業社製):4質量部
(導電性弾性ローラの作製)
芯金として、直径6mm、長さ251mmのステンレス棒を用意した。ゴム組成物を芯金の周囲に成形するために、図3に示す構造を有する押出し成形装置を用いた。押出し成形装置の押出し機はシリンダ直径が70mmで、L/D(シリンダの長さ/直径比)が20である脱気口付きの押出し機を用いた。
内側ダイと外側ダイで構成されるクロスヘッドダイの環状流路の外側ダイ側の内周面に開口を有し、中心孔の軸方向に対して非平行で、且つウェルド部において環状流路と連通するように、直径12.06mmの横孔を設けた。そして、直径dが11.93mmのステンレス製円柱状の攪拌棒を突出率cが20%となるように横孔に挿通した。
押出し成形温度は、シリンダ、スクリュ、クロスヘッドダイ、ダイリップにおいて100℃とした。スクリュ回転数は毎分10回転とした。攪拌棒の回転数は、環状流路内の樹脂混合物の流れと同じ方向に毎分30回転とした。これらの条件を採用して、芯金上に樹脂混合物を被膜して直径9mmの導電性弾性円筒被膜体を得た。このときの、測定する導電性弾性円筒被膜体は押出し成形装置にて安定した押出し本数でのローラを用いた。得られた導電性弾性円筒被膜体を160℃の熱風炉で1時間架橋して、導電性弾性ローラを得た。
本実施例では導電性弾性ローラの導電性弾性体の長さが230mmになるように導電性弾性体の両端部を切断した。さらに、導電性弾性体を回転砥石で研磨し、導電性弾性体を端部直径8.3mm、中央部8.5mmのクラウン形状とした。
〔実施例2〕
攪拌棒を突出率cが40%となるように配置した以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
〔実施例3〕
攪拌棒を突出率cが60%となるように配置した以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
〔実施例4〕
攪拌棒を、環状流路を流れる樹脂混合物の流れと逆方向に回転させた以外は実施例1と同様にして導電性弾性ローラを得た。
〔実施例5〕
実施例1で用いた攪拌棒を図7に示すような溝付きの撹拌棒に変更した。ウェルドと接触位置から攪拌棒の両端部に向けて長さiが9mmの溝を配置した。溝形状は曲率半径jが3mmの円弧形状、溝深さ率gを60%とし、溝の数を4、溝角度hを45°とした。それ以外は実施例と同様にして導電性弾性ローラを得た。
以上の各実施例の条件を表1に一覧として示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いた成形方法において、図8のように横孔と攪拌棒を備えないローラ製造装置を用い、かつ、環状流路における内側ダイ外周面に円筒形の回転体24を設置した。回転体の外周面と環状流路の外壁面との間に形成された隙間の大きさは、回転体の外周面と環状流路の横断面の直径の20%にした。また、回転体の外周面の高さは、前記隙間の20倍の大きさにした。回転数は、毎分20回転にした。それ以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
上述の実施例1〜5、比較例1で得られた導電性弾性ローラについて周方向の電気抵抗値のばらつき測定を実施した。
〈電気抵抗値のばらつきの測定〉
図9に示す電子写真用導電性部材の電気抵抗測定装置を用いて導電性弾性ローラの周方向電気抵抗値のばらつきを測定した。導電性弾性ローラは円柱状のステンレスドラム21に圧接され、ステンレスドラム21の回転駆動に伴い従動回転する。この状態で、電子写真用導電性部材(導電性弾性ローラ)の芯金2に外部電源23を用いて直流電圧を印加し、ステンレスドラム21に直列に接続した基準抵抗22にかかる電圧から、導電性弾性ローラの電気抵抗を計算した。ステンレスドラムの直径は30mm、回転数は30rpmで行う。直流電源には小型電源PL−650−0.1(松定プレシジョン社製商品名)を、電圧計にはデジタルマルチメーターフルーク(フルーク製商品名)を使用した。
上記導電性弾性ローラの電気抵抗は、温度23℃、相対湿度50%環境下で、導電性弾性ローラを500gで圧接した状態で芯金とステンレスドラムの間に直流―200Vの電圧を印加して0.1秒ごとに5秒間測定した。そして、その測定値の最大÷最小値を電気抵抗値のばらつきとして算出した。
〈画像評価〉
上述の実施例1〜5、比較例1で得られた導電性弾性ローラを、電子写真装置に帯電ローラとして、被帯電体(感光ドラム)と共に取り付けた。画像評価を行うために、電流値のばらつきが顕著にみられる電流値低めになるよう帯電ローラの電気抵抗を調節した。そのときの−200Vの電圧印加時の電流値が500μA以下になるようにした。そして、温度15℃、相対湿度10%の環境下においてハーフトーン画像(感光ドラムの回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を6000枚出力した後に、評価画像を出力した。このときに、帯電ローラの周方向電気抵抗値のばらつきに起因する帯状またはスジ状の「画像濃度むら」を評価した。その明部と暗部の濃度差から、以下の基準で評価した。
A:濃度差は無し。
F:はっきりとした濃度差が有り。
それらの間を順にB〜Eとした。
実施例1〜5、比較例1で得られた導電性弾性ローラの電気抵抗値のばらつきと画像評価の結果を表2に示す。
Figure 0005773832
Figure 0005773832
以上説明されたように、本発明にかかるローラ製造方法によれば、被覆押出し成形時のウェルドを低減させて、周方向電気抵抗値のばらつきの小さな導電性弾性ローラを得ることができる。
1‥‥導電性弾性ローラ
2‥‥芯金
3‥‥導電性弾性層
4‥‥ウェルド
5‥‥押出し機
6‥‥内側ダイ
7‥‥外側ダイ
8‥‥環状流路
9‥‥クロスヘッドダイ
10‥‥円形状ダイリップ
11‥‥投入口
12‥‥樹脂混合物
13‥‥シリンダ
14‥‥スクリュ
15‥‥シリンダ出口
16‥‥ブレーカプレート
17‥‥材料導入口
18‥‥横孔
19‥‥攪拌棒
20‥‥中心孔
21‥‥ステンレスドラム
22‥‥基準抵抗
23‥‥外部電源
24‥‥円筒回転体

Claims (3)

  1. 導電性弾性層を形成するための材料を芯金の外周面に被覆するためのクロスヘッドダイを有する導電性弾性ローラ製造用の装置であって、
    クロスヘッドダイは、
    外側ダイと、
    該外側ダイの内部に配置され、芯金を通過させる中心孔をする内側ダイと、
    外側ダイの内周面と内側ダイの外周面とによって区画され、かつ中心孔と同軸に配置され、中心孔を通過する芯金の周囲に前記材料を流す環状流路と、
    環状流路に前記材料を導入するための導入口と、
    を具備し、
    該外側ダイには、該中心孔の軸方向に非平行な方向に延びる、該環状流路内の前記材料のウェルド部が生じる位置において該環状流路と連通するように該外側ダイの内周面に開口を生じさせてなる横孔が設けられてなり、
    該横孔には、撹拌棒が挿入されており
    攪拌棒は、該横孔の開口においてウェルド部と接触可能であり、かつ、環状流路を流れる材料の該開口からの漏出を防止でき、更に、ウェルド部を攪拌するために該横孔内において回転可能である
    ことを特徴とする導電性弾性ローラ製造用の装置。
  2. 前記攪拌棒は、前記環状流路中の材料の流れ方向に対して対向する方向に該撹拌棒の周面が移動するように回転可能である請求項1記載の導電性弾性ローラ製造用の装置。
  3. 請求項1または2に記載の導電性弾性ローラ製造用の装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法であって、
    前記クロスヘッドダイの中心孔に芯金を供給すると共に、前記環状流路中に前記材料を供給し、該中心孔を通過した芯金の外周面に該環状流路から供給される該材料により被覆層を形成する工程と、
    前記撹拌棒により前記環状流路内の前記材料に生じるウェルド部を撹拌する工程と、
    を有することを特徴とする導電性弾性ローラの製造方法。
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