JP5773832B2 - 導電性弾性ローラ製造用の装置及び導電性弾性ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
導電性弾性層を形成するための材料を芯金の外周面に被覆するためのクロスヘッドダイを有する導電性弾性ローラ製造用の装置であって、
該クロスヘッドダイは、
外側ダイと、
該外側ダイの内部に配置され、芯金を通過させる中心孔をする内側ダイと、
該外側ダイの内周面と該内側ダイの外周面とによって区画され、かつ該中心孔と同軸に配置され、該中心孔を通過する芯金の周囲に前記材料を流す環状流路と、
該環状流路に前記材料を導入するための導入口と、
を具備し、
該外側ダイには、該中心孔の軸方向に非平行な方向に延びる、該環状流路内の前記材料のウェルド部が生じる位置において該環状流路と連通するように該外側ダイの内周面に開口を生じさせてなる横孔が設けられてなり、
該横孔には、撹拌棒が挿入されており、
該攪拌棒は、該横孔の開口において該ウェルド部と接触可能であり、かつ、該環状流路を流れる材料の該開口からの漏出を防止でき、更に、該ウェルド部を攪拌するために該横孔内において回転可能である
ことを特徴とする導電性弾性ローラ製造用の装置である。
前記クロスヘッドダイの中心孔に芯金を供給すると共に、前記環状流路中に前記材料を供給し、該中心孔を通過した芯金の外周面に該環状流路から供給される該材料により被覆層を形成する工程と、
前記撹拌棒により前記環状流路内の前記材料に生じるウェルド部を撹拌する工程と、
を有することを特徴とする導電性弾性ローラの製造方法である。
本発明にかかるクロスヘッドダイを用いた、導電性弾性ローラ製造用の被覆押出し成形装置の模式図を図3に示す。被覆押出し成形装置は、押出し機5と、内側ダイ6および外側ダイ7によって構成される環状流路8を有するクロスヘッドダイ9と、円形状ダイリップ10と、を有して構成されている。
図3に示した装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法について以下に説明する。はじめに、押出し機5の投入口11に投入された、導電性弾性層を形成するための材料(例えば、導電性粒子およびバインダー樹脂を含む樹脂混合物)12はシリンダ13内にてシリンダ13とスクリュ14から受けるせん断力により可塑化および混練されて、押出し機シリンダ出口15へ搬送される。続いてブレーカプレート16を通過して、クロスヘッドダイ9の材料導入口17へ搬送される。クロスヘッドダイ9に導入された材料は、図4に示すように、内側ダイ6によって分流されたのち、再び合流して内側ダイ6と外側ダイ7で構成される環状流路8にて円筒状(断面は円環状)に形成されて導電性弾性円筒体となる。
[攪拌棒の配置]
攪拌棒を挿入する横孔は、クロスヘッドダイの図3における、環状流路の外壁面と接する位置においては、任意に設定できる。しかし、攪拌棒の回転による導電性円筒被膜体の外形に影響が及ぶため、クロスヘッドの環状流路の外壁面の円形状ダイリップ10が位置する位置よりも上流側に配置することが好ましい。更に、図3に示すとおり、環状流路8のテーパ構造部分に設けることがより好ましく、このテーパ構造部分の中心孔下端開口側に設けることがより好ましい。
攪拌棒の材質としては、ステンレス鋼、硫黄快削鋼等の鋼材、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属や強度や耐熱性のある合成樹脂等も挙げられる。また、強度や耐熱性を向上させるために、攪拌棒に表面処理を施してもよく、具体的にはクロームメッキ、窒化処理等の表面処理が挙げられる。
攪拌棒の回転数は、任意に設定できる。しかし、横孔と攪拌棒の隙間に材料が入り込む場合、回転数が大きすぎると、横孔と攪拌棒の接している部分において、攪拌棒に大きなねじれる力が生じる。また、混練する効果において、回転数が小さすぎると、ウェルドを十分に低減することができない場合がある。これにより、攪拌棒の回転数としては、2rpm〜60rpmの範囲内にすることが望ましい。
攪拌棒を設けることにより、導電性弾性円筒体の長手方向に垂直な断面において、ウェルドの部分とウェルド以外の領域の材料の混練が可能となり、ウェルドの攪拌ができる。すなわち、図3(c)A−A断面に対しても、ウェルドに応力が生じる。その応力は攪拌棒が回転する方向に生じるため、ウェルド以外の領域の材料をウェルドの部分内に流入させ、また、ウェルドの部分の材料をウェルド以外の領域に流出させるといった混練する効果が生じる。そして、攪拌棒が回転することにより、攪拌棒上のウェルドが流れる外壁面の経路上における位置から、攪拌棒の両端部に向けた応力が生じる。さらに溝を備えた攪拌棒が回転することにより、かかる応力をより効果的に形成することが可能となる。それによりウェルドの部分を膨張させるため、攪拌棒の回転によるウェルドの部分とウェルド以外の領域の材料の混練の効果が上がる。その結果、ウェルドの攪拌が可能となり、導電性弾性円筒体のウェルドが低減する。従って、得られる導電性弾性ローラは、ローラの周方向電気抵抗値のばらつきが、さらに小さくなる。
<芯金>
芯金は導電性を有し、その上に設けられる導電性弾性体層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
<導電性弾性層形成用の材料>
導電性弾性層形成用の材料としては、目的とする導電性弾性層の形成に利用できるものであればよい。このような材料としては、以下の構成の樹脂混合物を挙げることができる。
[樹脂混合物]
樹脂混合物としては、バインダー樹脂および導電性粒子を含有しているものを利用することができる。
〔実施例1〕
(樹脂混合物の調整)
下記に示す成分をオープンロールで混練しゴム組成物(樹脂混合物)を得た。
・バインダーとしてのNBR(商品名:Nipol DN3335;日本ゼオン社製):100質量部、
・加工助剤としてのステアリン酸亜鉛(商品名:ジンクステアレート;日本油脂社製):1質量部、
・加硫促進助剤としての酸化亜鉛(亜鉛化2種;堺化学工業社製):5質量部、
・充填剤としての炭酸カルシウム(商品名:ナノックス#30;丸尾カルシウム社製):20質量部、
・導電性粒子としてのカーボンブラック(商品名:トーカブラック#5500;東海カーボン社製):28質量部、
・架橋剤としての硫黄(商品名:サルファックスPMC;鶴見化学社製):1.0部;
・加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名:ノクセラーTBzTD;大内新興化学工業社製):4質量部
(導電性弾性ローラの作製)
芯金として、直径6mm、長さ251mmのステンレス棒を用意した。ゴム組成物を芯金の周囲に成形するために、図3に示す構造を有する押出し成形装置を用いた。押出し成形装置の押出し機はシリンダ直径が70mmで、L/D(シリンダの長さ/直径比)が20である脱気口付きの押出し機を用いた。
攪拌棒を突出率cが40%となるように配置した以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
〔実施例3〕
攪拌棒を突出率cが60%となるように配置した以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
〔実施例4〕
攪拌棒を、環状流路を流れる樹脂混合物の流れと逆方向に回転させた以外は実施例1と同様にして導電性弾性ローラを得た。
〔実施例5〕
実施例1で用いた攪拌棒を図7に示すような溝付きの撹拌棒に変更した。ウェルドと接触位置から攪拌棒の両端部に向けて長さiが9mmの溝を配置した。溝形状は曲率半径jが3mmの円弧形状、溝深さ率gを60%とし、溝の数を4、溝角度hを45°とした。それ以外は実施例4と同様にして導電性弾性ローラを得た。
実施例1で用いた成形方法において、図8のように横孔と攪拌棒を備えないローラ製造装置を用い、かつ、環状流路における内側ダイ外周面に円筒形の回転体24を設置した。回転体の外周面と環状流路の外壁面との間に形成された隙間の大きさは、回転体の外周面と環状流路の横断面の直径の20%にした。また、回転体の外周面の高さは、前記隙間の20倍の大きさにした。回転数は、毎分20回転にした。それ以外は実施例1と同様にして、導電性弾性ローラを得た。
〈電気抵抗値のばらつきの測定〉
図9に示す電子写真用導電性部材の電気抵抗測定装置を用いて導電性弾性ローラの周方向電気抵抗値のばらつきを測定した。導電性弾性ローラは円柱状のステンレスドラム21に圧接され、ステンレスドラム21の回転駆動に伴い従動回転する。この状態で、電子写真用導電性部材(導電性弾性ローラ)の芯金2に外部電源23を用いて直流電圧を印加し、ステンレスドラム21に直列に接続した基準抵抗22にかかる電圧から、導電性弾性ローラの電気抵抗を計算した。ステンレスドラムの直径は30mm、回転数は30rpmで行う。直流電源には小型電源PL−650−0.1(松定プレシジョン社製商品名)を、電圧計にはデジタルマルチメーターフルーク(フルーク製商品名)を使用した。
上述の実施例1〜5、比較例1で得られた導電性弾性ローラを、電子写真装置に帯電ローラとして、被帯電体(感光ドラム)と共に取り付けた。画像評価を行うために、電流値のばらつきが顕著にみられる電流値低めになるよう帯電ローラの電気抵抗を調節した。そのときの−200Vの電圧印加時の電流値が500μA以下になるようにした。そして、温度15℃、相対湿度10%の環境下においてハーフトーン画像(感光ドラムの回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を6000枚出力した後に、評価画像を出力した。このときに、帯電ローラの周方向電気抵抗値のばらつきに起因する帯状またはスジ状の「画像濃度むら」を評価した。その明部と暗部の濃度差から、以下の基準で評価した。
A:濃度差は無し。
F:はっきりとした濃度差が有り。
それらの間を順にB〜Eとした。
2‥‥芯金
3‥‥導電性弾性層
4‥‥ウェルド
5‥‥押出し機
6‥‥内側ダイ
7‥‥外側ダイ
8‥‥環状流路
9‥‥クロスヘッドダイ
10‥‥円形状ダイリップ
11‥‥投入口
12‥‥樹脂混合物
13‥‥シリンダ
14‥‥スクリュ
15‥‥シリンダ出口
16‥‥ブレーカプレート
17‥‥材料導入口
18‥‥横孔
19‥‥攪拌棒
20‥‥中心孔
21‥‥ステンレスドラム
22‥‥基準抵抗
23‥‥外部電源
24‥‥円筒回転体
Claims (3)
- 導電性弾性層を形成するための材料を芯金の外周面に被覆するためのクロスヘッドダイを有する導電性弾性ローラ製造用の装置であって、
該クロスヘッドダイは、
外側ダイと、
該外側ダイの内部に配置され、芯金を通過させる中心孔をする内側ダイと、
該外側ダイの内周面と該内側ダイの外周面とによって区画され、かつ該中心孔と同軸に配置され、該中心孔を通過する芯金の周囲に前記材料を流す環状流路と、
該環状流路に前記材料を導入するための導入口と、
を具備し、
該外側ダイには、該中心孔の軸方向に非平行な方向に延びる、該環状流路内の前記材料のウェルド部が生じる位置において該環状流路と連通するように該外側ダイの内周面に開口を生じさせてなる横孔が設けられてなり、
該横孔には、撹拌棒が挿入されており、
該攪拌棒は、該横孔の開口において該ウェルド部と接触可能であり、かつ、該環状流路を流れる材料の該開口からの漏出を防止でき、更に、該ウェルド部を攪拌するために該横孔内において回転可能である
ことを特徴とする導電性弾性ローラ製造用の装置。 - 前記攪拌棒は、前記環状流路中の材料の流れ方向に対して対向する方向に該撹拌棒の周面が移動するように回転可能である請求項1記載の導電性弾性ローラ製造用の装置。
- 請求項1または2に記載の導電性弾性ローラ製造用の装置を用いた導電性弾性ローラの製造方法であって、
前記クロスヘッドダイの中心孔に芯金を供給すると共に、前記環状流路中に前記材料を供給し、該中心孔を通過した芯金の外周面に該環状流路から供給される該材料により被覆層を形成する工程と、
前記撹拌棒により前記環状流路内の前記材料に生じるウェルド部を撹拌する工程と、
を有することを特徴とする導電性弾性ローラの製造方法。
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