JP6673595B2 - 弾性ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
セルと気泡は外観によっても区別できる。具体的には、発泡弾性層と軸体の境界にスキン層が形成されている場合、スキン層中の中空領域を気泡と判断する。
(1)筒状本体及び該筒状本体の少なくとも一端部に前記筒状本体よりも小径の端部を有する軸体と、前記筒状本体の外周に弾性層とを有する弾性ローラの製造方法であって、
前記弾性層を形成するゴム組成物で少なくとも前記筒状本体の端面を密閉状態に被覆する工程と、
前記ゴム組成物のうち、前記端面から前記端部の先端方向に0.5mm以上5mm以下の領域を被覆する基端側被覆部分よりも先端側を被覆する先端側被覆部分を除去して前記密閉状態を解放し、次いで前記基端側被覆部分を除去する工程と、
前記基端側被覆部分を除去する前又は後に前記ゴム組成物を硬化する工程と
を有する弾性ローラの製造方法。
(2)前記被覆する工程は、前記軸体の全体を被覆する(1)に記載の弾性ローラの製造方法。
(3)前記除去する工程は、前記基端側被覆部分及び前記先端側被覆部分を、それぞれ、1回又は複数回で除去する(1)又は(2)に記載の弾性ローラの製造方法。
(4)前記被覆する工程は、前記ゴム組成物と複数の前記軸体とを連続して押出成形する(1)〜(3)のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
(5)前記被覆する工程は、前記筒状本体の外周を被覆する前記ゴム組成物の厚さを1mm以上20mm以下にする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
(6)前記軸体は、前記筒状本体と前記端部との外径差が0mmを超え15mm以下である(1)〜(5)のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
(7)前記弾性ローラは、外径が20mm以上60mm以下である(1)〜(6)のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
また、本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の弾性ローラは、軸体と弾性層とを有していればよく、その他の構成は特に限定されない。例えば、弾性層の外周にコート層又は表面層を有していてもよく、軸体と弾性層の間又は層間に接着層又はプライマー層を有していてもよい。
弾性ローラの外径は、画像形成装置に用いられる場合、通常、20〜30mm程度であるが、近年の要請に応えるべく大径化する場合には例えば30〜60mmである。したがって、大径化も可能とする本発明においては、弾性ローラの外径は20〜60mmとすることができる。軸線長さは、通常、A3サイズ又はA4サイズ(共に日本工業規格参照)に適合する長さに設定される。
筒状本体2Aは、発泡弾性層3が形成される部分であり、軸線方向に均一な外径を有している。端部2Bは、軸線方向に均一で筒状本体2Aよりも小さな外径を有している。筒状本体2A及び端部2Bの形状は、いずれも特に限定されず、例えば、筒状又は柱状(棒状)が挙げられる。
筒状本体2A及び端部2Bの寸法は、用途等に応じて適宜に設定される。軸体2において、筒状本体2Aと軸体2Bとの外径差が、0mmを超え15mm以下であるのが好ましく、1〜15mmであるのがより好ましく、1〜10mmであるのが特に好ましい。外径差が上記範囲内にあると、筒状本体2Aと小径の端部2Bとの間に空気が残りにくく、弾性層の端部近傍における気泡の発生を抑えることができる。
発泡弾性層3は、その内部及び/又は外表面にセル(図1において、図示しない。)を有する所謂「スポンジ状」になっている。ここで、セルは、後述する発泡ゴム組成物に含有される発泡剤の発泡又は分解等によって生じる発泡弾性層3内又は表面に開口する中空領域をいい、上述のように、気泡とは異なる。
すなわち、硬度が15〜60であるのが好ましく、20〜50であるのがさらに好ましい。これにより、ニップ幅の確保、印字特性の向上という効果が得られる。硬度は硬度計アスカーC定圧荷重機を用いて測定できる。
ゴム組成物で被覆する手段は、いかなる手段でもよいが、押出成形(分出し)であるのが好ましい。押出成形は、ストレートヘッド押出機又はクロスヘッド押出機を用いて、行うことができる。押出形成は、軸体を1本ずつ間欠的に送出して成形してもよく、複数の軸体を軸線方向に配列して連続的に成形してもよい。生産性を考慮すると、連続的に押出成形するのが好ましい。
この工程においては、成形されたゴム組成物6のうち筒状本体2A上以外に配置された余剰部分を、基端側被覆部分6aと先端側被覆部分6bとの少なくとも2つに分ける。すなわち、基端側被覆部分6aは、筒状本体2Aの端面2Cから先端方向に0.5〜5mmまでの領域を被覆する部分とし、先端側被覆部分6bはこの基端側被覆部分6aよりも先端側を被覆する部分とする。なお、図2において、基端側被覆部分6aを破線で示した。
ゴム組成物6の除去方法は、特に限定されず、例えば、手動カット、自動カット法等が挙げられる。特に、第2ステップは、除去すべき余剰のゴム組成物6が筒状本体2Aの端面2Cより円錐台状(リング状)に突出した状態で安定していないから、除去方法は上記の中でも回転させながら鋭利な刃でカットする自動カット法が好ましい。
硬化する工程は、特に限定されないが、通常、ゴム組成物を一次加硫し、次いで二次加硫する方法が好適に挙げられる。
このように気体の侵入を防止できる本発明の製造方法は、大径の弾性ローラを製造する方法として、また筒状本体2Aと端部2Bとの外径差が大きな軸体2を有する弾性ローラ1を製造する方法として、好適である。
無電解ニッケルメッキ処理が施された、両端面2Cに端部2Bが連設された筒状本体2Aからなる下記寸法の軸体(SUM22製)2を準備した。
筒状本体2Aの寸法:外径18mm、軸線長さ312mm
端部2Bの寸法:外径9mm、軸線長さ8.5mm
筒状本体2Aと端部2Bとの外径差:9mm
次いで、この軸体2をエタノールで洗浄し、筒状本体2Aの表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業社製)を塗布した。プライマー処理した軸体2を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、筒状本体2Aの表面にプライマー層を形成した。
このようにして、外径が28mmと58mmの2種類の弾性ローラを製造した。
実施例1において、先端側被覆部分6bを切断する切断位置を、3.5mmから、3mm、4mm、2mm又は2.5mmにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の弾性ローラ(2種類)をそれぞれ製造した。
実施例1において、筒状本体2Aの外径を12mm(端部2Bとの外径差:3mm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の弾性ローラ(2種類)を製造した。
実施例1において、切断位置を5mmに変更し、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物の切断面から筒状本体2Aの端部にかけて外径0.6mmの針で貫通穴をあけた以外は実施例1と基本的に同様にして比較例1の弾性ローラを製造した。
実施例1において、切断位置を0.3mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の弾性ローラを製造した。
実施例1において、切断位置を7mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の弾性ローラを製造した。
上記方法により、発泡弾性層についてセル径及び硬度を測定した。結果を表1に示す。
各例で製造した弾性ローラにおいて、以下のようにして発泡弾性層の端部に存在する気泡を確認した。すなわち、マイクロスコープVH−5000(キーエンス社製)による画像解析にて、発泡弾性層の端部に存在する中空領域の直径を算出し、上記判断基準により、気泡の有無を判断した。
製造した各弾性ローラの耐久性を、図3に示す耐久性試験装置70を用いて、以下のようにして評価した。
この耐久性試験装置70は、筐体内部の下面に固定され、内部ヒータ72を備えた加熱ローラ71と、この加熱ローラ71の軸方向に沿って、その両側に設けられた保温材73と、加熱ローラ71と対向するように、筐体内部の上面に上下動可能に設けられた試験ローラ装着部74と、試験ローラ装着部74を上下に移動可能な押圧力調整手段75、例えば、押圧調整用マイクロメータとを備えている。なお、加熱ローラ71として、直径20mmの金属(ステンレス鋼、SUS304)製ローラを用いた。
各弾性ローラを、試験ローラ装着部74のベアリングに装着し、押圧力調整手段75を操作して、装着した弾性ローラ76を加熱ローラ71に圧接した。このとき、加熱ローラ71と弾性ローラ76との圧接部において、弾性ローラ76における発泡弾性層が内部に2mm凹陥するように、弾性ローラ76を固定した(すなわち、弾性ローラ76の外径と加熱ローラ71との外径の和よりも2mm短くなるように、弾性ローラ76の中心軸と加熱ローラ71の中心軸との距離dを調節した。)
次いで、外部ヒータ73及び内部ヒータ72を起動し、加熱ローラ71の表面温度を180℃に調節した。その後、試験ローラ装着部74に装備された駆動手段(図示しない)により、回転速度126rpmで50時間連続稼動し、弾性ローラ76における発泡弾性層の凹陥状態を解除後、弾性ローラ76を常温で24時間放置した。24時間放置後に、発泡弾性層端部の気泡の成長、すなわち気泡の大きさの変化を確認した後、さらに同条件で連続稼動した。連続稼働中、50時間ごとに、計200時間になるまで、発泡弾性層端部の気泡の成長を経過観察した。
耐久性は、上記(気泡の発生)試験と同様にマイクロスコープで発泡弾性層の端部を観察して、下記基準により、評価した。200時間稼働後においても、気泡の成長がない又は気泡がない場合を「○」(合格)とし、50時間ごとに観察した結果、200時間稼働前に、気泡の成長が確認できた場合を「×」(不合格)とした。
これに対して、貫通孔を設けた比較例1、並びに、切断位置を0.3mm又は7mmに設定した比較例2及び3は、ともに、気泡が発生し、耐久性が劣っていた。
2 軸体
2A 筒状本体
2B 端部
2C 端面
3 発泡弾性層
5 内部空間
6 ゴム組成物
6a 基端側被覆部分
6b 先端側被覆部分
70 耐久性試験装置
71 加熱ローラ
72 内部ヒータ
73 保温材
74 試験ローラ装着部
75 押圧力調整手段
Claims (7)
- 筒状本体及び該筒状本体の少なくとも一端部に前記筒状本体よりも小径の端部を有する軸体と、前記筒状本体の外周に弾性層とを有する弾性ローラの製造方法であって、
前記弾性層を形成するゴム組成物で少なくとも前記筒状本体の端面を密閉状態に被覆する工程と、
前記ゴム組成物のうち、前記端面から前記端部の先端方向に0.5mm以上5mm以下の領域を被覆する基端側被覆部分よりも先端側を被覆する先端側被覆部分を除去して前記密閉状態を解放し、次いで前記基端側被覆部分を除去する工程と、
前記基端側被覆部分を除去する前又は後に前記ゴム組成物を硬化する工程と
を有する弾性ローラの製造方法。 - 前記被覆する工程は、前記軸体の全体を被覆する請求項1に記載の弾性ローラの製造方法。
- 前記除去する工程は、前記基端側被覆部分及び前記先端側被覆部分を、それぞれ、1回又は複数回で除去する請求項1又は2に記載の弾性ローラの製造方法。
- 前記被覆する工程は、前記ゴム組成物と複数の前記軸体とを連続して押出成形する請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
- 前記被覆する工程は、前記筒状本体の外周を被覆する前記ゴム組成物の厚さを1mm以上20mm以下にする請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
- 前記軸体は、前記筒状本体と前記端部との外径差が0mmを超え15mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
- 前記弾性ローラは、外径が20mm以上60mm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性ローラの製造方法。
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