JP4280691B2 - ローラ部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真プロセスを利用した画像形成装置に用いる帯電・転写ローラ、現像ローラ、或いは搬送ローラ、定着ローラ、中間転写ローラ等の電子写真装置に好適に用い得る導電性(半導電性)の弾性層を備えたローラ部材と、その製造方法に関するものである。
図1は接触帯電手段及び接触転写手段を有する電子写真装置の構成を模式的に示す図である。1は、例えばアルミニウムなどの導電性の支持体の外周面に光導電層を有するドラム型の感光体である。2はこの感光体に接し、該感光体の表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラである。
この帯電ローラは、バネ等の圧接手段(不図示)で感光体1に所定の圧接力をもって圧接され、感光体1の矢印A方向の回転にともない従動回転する。また、この帯電ローラに直流+交流(又は、直流のみ)バイアスを印加することで感光体1を所定の電位に帯電させる。つまり、良好なコピー画像を得るために、帯電ローラ2には、感光体1との均一な接触状態と、導電性が必要になる。帯電ローラ2によって所定の電位に帯電された感光体1の表面が、レーザー、LED等の露光手段(不図示)から出力される画像変調された露光光3によって露光されることによって、目的の画像情報に対応した静電潜像が感光体1上に形成される。
次いで、現像ローラ401を具備した現像手段4によってその潜像をトナー画像として可視像化する。感光体1の表面に形成されたトナー画像は、転写ローラ5によって転写材6の裏からトナーと逆極性の帯電を行うことで転写材6の表面側に転写される。トナー画像の転写を受けた転写材6は感光体1から分離され、転写材6上のトナー像は定着部材7によって熱、圧力で転写材に固着される。また、トナー像転写後の感光体1の表面はクリーニング部材8で転写時における残留トナー等の付着物の除去を受けて清浄面化され、感光体1はくり返し作像に供される。なお、図1中の9はトナーを示す。
こうした一連の電子写真プロセスに用いられる帯電ローラ2、転写ローラ5、現像ローラ401等のローラ部材は、少なくとも両端において回転可能に支持される芯金と、芯金の外周面に設けられた、体積固有抵抗率が1×10〜1×1010Ω・cm程度の導電性(半導電性)を有する弾性層によって構成されている。このような弾性層は、導電性のゴム或いは導電性粒子を分散させたゴムと、加硫剤と、必要に応じて加硫促進剤等と、を含むゴム組成物を用い、これを芯金の周面を被覆するように押し出してローラ状に成形した後、ゴムを加硫することによって製造される。しかし、加硫時の熱によってゴムやゴム組成物中に取り込まれている水分が蒸発し、弾性層に気泡(以降「ボイド」と略)が生じることがあった。このようなボイドが弾性層表面に露出し、弾性層表面に凹部を有するローラ部材は、電子写真プロセスに適用した場合、画像不良を招く場合がある。例えばそのようなローラ部材を帯電ローラに用いた場合、当該凹部で帯電不良が生じ、その結果として画像不良が発生することがあった。このようなボイド由来の画像不良は、弾性体表面に紫外線や電子線の照射、表面処理液等の含浸等の改質処理を行った場合でも生じることがあった。また、特に弾性層表面に表面被覆層を塗布して形成した場合においては、弾性層表面に露出したボイドが微小であってもそれが弾性層表面に存在することにより、そこが核となって表面被覆層上に大きなクレータ状の欠陥が発生する現象が見られた。そしてこのボイドの発生は、極性基を分子内に有するイオン導電性ゴムを用いた場合に特に顕著であった。これは、極性基が水分子を吸着しやすいことによるものと考えられる。
このような課題に対し、未加硫ゴムの水分を除去する脱水剤、例えば酸化カルシウムをゴムに配合し、弾性層中へのボイドの発生を防止する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、酸化カルシウム等の脱水剤はゴムへの分散性が悪く、また脱水剤を配合した場合、弾性層の硬度が上昇してしまうことがある。
特開平9−297454号公報(第2〜4頁)
そこで本発明の目的は、弾性層中のボイドの存在を許容しつつ、表面性の良好なローラ部材を得ることにある。そして係る目的に対し、本発明者が種々の検討を重ねた結果、芯金の周囲に押し出し成形したゴム組成物表面に型を押し当てつつ該ゴム組成物中のゴムを加硫せしめることによって、該弾性層中にボイドが存在していてもそれがローラ部材の表面性に影響を与えることがなく、表面性が極めて良好なローラ部材を得ることができることを見出し、本発明を為すに至ったものである。
本発明は下記の[1]ローラ部材及び[2]その製造方法を提供する。
[1]本発明の一態様に係るローラ部材は、芯金と、該芯金の外周面上に、導電性の弾性層を少なくとも有するローラ部材であって、該ローラ部材表面のRzjis94が0.5〜10μmであり、且つ、該ローラ部材は表面近傍にボイドを含み、該ボイドの実質的に全てが10〜400μmの平均内径および1.3以上10.0以下のアスペクト比を有し、且つ、該ボイドの最大内径を取る軸が、該ボイドの中心に於ける該ローラ部材の同心円との接線となす角度(θ)が0°以上45°以下であることを特徴とする。
[2]本発明の他の態様に係るローラ部材の製造方法は、所定の表面粗さを有している導電性の弾性層を芯金の周囲に具備しているローラ部材の製造方法であって、
(i)芯金の周囲に未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層を有する未加硫ゴムローラを製造する工程と、
(ii)該未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対して、該所定の表面粗さに対応する表面粗さを有している型を押し当てながら該未加硫の導電性ゴム組成物中のゴムを加硫して該弾性層を形成する工程とを含み、
前記工程(ii)は、該導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対する該型の押し当て場所を変化させつつ行うことを特徴とする。
また上記のローラ部材の製造方法の好ましい態様としては、下記[3]及び[4]が挙げられる。
[3]前記工程(i)におけるゴム組成物のムーニー粘度が15〜55である上記[2]のローラ部材の製造方法。
[4]前記工程(ii)に用いる型の幅が、該弾性層の幅よりも広い上記[2]に記載のローラ部材の製造方法。
上記したように本発明の一態様によれば、ボイドが弾性層中に存在していてもそれが表面性に実質的に影響を与えない、優れた表面性を備えた弾性層を有する、種々の電子写真用部材に好適に用い得るローラ部材を得ることができる。
また、本発明の一態様によれば、弾性層へのボイドの存在を許容しつつ、表面性が当該ボイドの影響を受けず、電子写真用部材に好適に用い得るローラ部材を低コストで製造することができる。
以下、各発明について更に詳細に説明する。
(1)ローラ部材について
図2(a)は本発明に係るローラ部材の正面図であり、同図において、11が芯金、12が芯金11の周面に形成されてなる、ローラ部材の表面層を構成している弾性層である。図2(b)は図2(a)に示したローラ部材を芯金11に直交する方向に切断したときの断面図、図2(c)は、図2(b)に示す切断面の弾性層の部分拡大図であり、図2(c)中、13が弾性層12を芯金に直交する方向に切断したときの断面に露出しているボイドである。更に図2(d)は、図2(c)のボイド13−1とその近傍の拡大図である。
そして、本発明の第一の態様に係るローラ部材は、芯金と、該芯金の外周面上に、導電性の弾性層を少なくとも有するローラ部材であって、該弾性層表面のRzjis94が0.5〜10μmであり、該弾性層は、その表面近傍にボイドを含み、該ボイドの実質的に全てが、平均内径10〜400μm、アスペクト比が1.3以上10.0以下であり、且つ該ボイドの最大内径を取る軸(図2(d)の線分141)が、該ボイドの中心に於ける該ローラ部材と同心の円(図2(d)の円弧16)との接線(図2(d)の線分17)となす鋭角側の角度(θ)が0°以上45°以下である。
ここで、ローラ部材の弾性層の表面の粗さを規定するRzjis94は、日本工業規格(JIS)B 0601(1994)に準拠して求められる値であり、本発明においては、Rzjis94の算出のための基準長さは8mm、カットオフ波長は0.8mmとする。弾性層の「表面近傍」とは、弾性層の厚さに対し表面から33%内側までの領域(図2(c)における領域121)を指す。またボイドとは、該弾性層を芯金に対して直交する方向に切断したときの該弾性層の切断面に表れている空隙を指し、ボイドの「平均内径」とは、ボイドの最大内径(図2(c)における14)とボイドの最小内径(図2(c)における15)との和を1/2倍することによって求められる値とする。またボイドの「中心」とは、ボイドを楕円に近似したときの、当該楕円の長軸と短軸の交点を指すものとする。ここでボイドの楕円への近似は、例えばボイドを非接触のレーザ顕微鏡(1LM−21、レーザーテック製)等を用いて拡大した画像から境界点の座標を読み取り最小二乗法を用いることによって行ったものである。なお、境界点の座標データは、10点以上用いることが好ましい。
尚、本発明における弾性層は、発泡剤などを用いて意図的にボイドを発生させた発泡層を包含するものではなく、空孔率が10%以下の中実の弾性層であることを前提としているものである。
そして本発明に係る弾性層の表面近傍に含まれる実質的に全てのボイドは、その平均内径が10μm以上400μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下であり、アスペクト比は、1.3以上10.0以下、好ましくは1.3以上4.0以下、特には1.8以上3.2以下である。また、本発明に係るボイドの最大内径をとる軸(図2(d)中、線分141)が、該ボイドの中心位置を通る芯金外周面の同心円、即ち該ボイドの中心を通る該ローラ部材と同心の円(図2(d)中、円弧16)の該ボイド中心に於ける接線(図2(d)中、破線17)となす鋭角側の角度(θ)が、0°以上45°以下、好ましくは0°以上30°以下である。このような構成を採用することで、弾性層の表面近傍にボイドが存在した場合であっても、ボイドの形状並びに配向状態が規定されていることにより、当該ボイドがローラ部材の表面粗さに与える影響を大幅に緩和することができ、Rzjis94が0.5μm〜10μmといった良好な表面性を備えたローラ部材とすることができるという効果が奏されるものである。尚、本発明において、「実質的に全てのボイド」が、上記の各種パラメータを満たすとは、ローラ部材の弾性層の全幅に対し、等間隔に9箇所で、芯金に直交する方向に切断し、10箇所の切断面において観察される弾性層の表面近傍に含まれている全てのボイドを測定したときに、全てのボイドが上記のパラメータ条件を満たすことをいう。
また、弾性層の表面近傍のボイドを、この様に制御された形状、配向状態とすることにより、弾性層表面にボイドの開口部が存在していたとしても、そのボイドは、潰されているので、ボイドに起因する画像不良の発生を減らすことができる。さらに研磨などによって表面近傍に存在していたボイドが露出した場合でも、同様に潰されている扁平なボイドが露出するに過ぎず、ボイドに起因する表面開口部の深さは浅いため当該開口部に起因する画像不良の発生を減らすことができる。
また、弾性層の外周面上に抵抗や表面性を調整する層を設ける場合、特に塗液をディッピング等の手法で塗布することによってボイドが外周面に存在する上に層を設ける場合には、加熱硬化時にボイドの部分に突沸した跡のような塗工欠陥が発生しやすい。このような塗工欠陥は、ボイドの深さが深いほど発生しやすいが、本発明に係るローラ部材は、上記の理由により塗工欠陥を減らすことも可能になる。
また、ボイドが存在する弾性層の外周面上に抵抗や表面性を調整するための層を設けてもよいし、ボイドが存在する弾性層の内周面側に硬度などを調整する基層があっても良い。また、圧接回転後に紫外線や、オゾン、電子線照射などを用いた表面処理を行っても良い。
本発明に係るローラ部材において、好ましいボイドの位置はローラ部材表面から深さ100μm以下であって、より好ましくはローラ部材表面から深さ30μm以下である。上記条件を満たしたローラ部材であれば、感光体に接触配置して用いる帯電ローラとして用いることができる。
従って、大きな欠陥等がなく、均一な表面を持つ本発明のローラ部材を帯電ローラとして用いれば、画像不良等がない、均一な画像を安定して得ることができる。
(2)ローラ部材の製造方法について
次に上記(1)で説明したような、弾性層表面近傍のボイドの形状並びに配向を所定の状態に制御し、また所定の表面性を備えたローラ部材を得ることができる、本発明の第2の態様に係るローラ部材の製造方法について説明する。
本発明に係る、芯金の周囲に導電性弾性層を有しているローラ部材の製造方法は、基本的に下記(i)及び(ii)の工程を有する:
(i)芯金の周囲に未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層を有する未加硫ゴムローラを製造する工程と、
(ii)該未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対して、該所定の表面粗さに対応する表面粗さを有している型を押し当てながら該未加硫の導電性ゴム組成物中のゴムを加硫して該弾性層を形成する工程。
そして前記工程(ii)は、該導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対する該型の押し当て場所を変化させつつ行う。
(工程i)
まず、ポリマー原料と添加剤を配合し混練して調製された未加硫ゴム組成物を、芯金とともに押し出すことで芯金上に未加硫ゴム組成物を被覆させる。図3(a)は本工程(i)を模式的に示した説明図である。押出し機18は、クロスヘッド19を備える。クロスヘッド19には、矢印B方向に回転している芯金送りローラ20によって送られた芯金11を後ろから挿入し、芯金11と同時に円筒状の未加硫のゴム組成物を一体的に押出すことにより周囲を未加硫ゴム組成物を含む層301で被覆された芯金11−1が得られる。ここでは、得られた芯金11−1の芯金周囲の未加硫ゴム組成物の層301の端部を定尺で切り取ったものを、未加硫ローラ22とした(図3(b)参照)。
本発明で使用されるポリマー原料としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッソゴム、塩素ゴムなどのゴムがある。
さらには、熱可塑性の材料や、熱可塑性の材料とゴム材料と混合されたものでも良い。その場合、加硫の進行は関係ないため軟化点以上の温度で圧接回転させれば表面粗さと形状精度の良いローラを得ることができる。
また、未加硫ゴム組成物には、導電性フィラーを分散させる手法や、導電性ポリマー、イオン導電剤などを用いて導電性を付与しても良い。
前記ポリマー原料中に分散させる導電性フィラーとしてはカーボンブラック、導電性カーボン等のカーボン類、グラファイト、TiO、SnO、ZnOなどの金属酸化物、SnOとSbの固溶体、ZnOとAlの固溶体などの複酸化物、Cu、Agなどの金属粉等が挙げられ、前記ポリマー原料100質量部に対して5〜200質量部添加される。
加硫剤としては硫黄、金属酸化物、有機酸化物など、無機充填剤としてカーボンブラック、タルク、クレーなどがあげられ、その他公知の加硫促進剤、プロセスオイルなどが適宜添加される。
(工程ii)
工程(i)で得られた未加硫ローラ22の、芯金の周囲を被覆している未加硫ゴム組成物層301の表面に対して、型を押し当て、且つ該未加硫ゴム組成物層301の表面に対する該型の押し当て場所を変化させつつ、該未加硫のゴム組成物中のゴムを加硫せしめ、該弾性層を形成する。ここで、型とは、弾性層が有するべき所定の表面粗さに対応した表面粗さを有するものであって、当該工程において該型の表面性を未加硫ゴム組成物の層に転写する。また、該型を所定の圧力で該未加硫ゴム組成物層に対して押し当て、且つ該未加硫ゴム組成物層に対する該型の押し当て場所を変化させつつゴムの加硫を行うことで、該弾性層の表面近傍にボイドが生じたとしても、そのボイドの形状及び配向を制御することができる。即ち、加硫工程では、未加硫のゴム組成物は加熱され、それに伴って粘度が低下したタイミングで未加硫ゴムに圧力がかかるため、表面の荒れた部分や、ボイドの開口部も容易に潰される。さらには、外径も該型の押し当て場所を変化させることで、押出し時の端部の膨れなどもなくすことができる。従って、押出しのみの場合と比較して、表面粗さが大幅に改善され、表面欠陥のない高精度のローラ部材を得る事が可能となる。
図4(a)は、当該工程(ii)に用いられる、回転可能に保持されている円筒状の型(圧接部材)を有する圧接加硫装置の正面図、図4(b)はその側面図を示す。
回転している円筒状の圧接部材23と、未加硫ローラ22の中心軸は平行に保持され、未加硫ローラ22の両端部の芯金11の露出部に加圧のための保持部材25を圧接させ、軸が左右にずれることないように保持している。
圧接部材23は、中にヒータを内蔵して、あらかじめ加硫温度に温めても良く、或いは装置全体を恒温槽の中に構築するなどして全体を加硫温度に保ってもよいし、両者を同時に行っても良い。また、圧接部材の温度を雰囲気の温度より高くするなどして、圧接部材23と雰囲気の温度に差があっても良い。
なお、加硫を同時に進行させるために、加熱温度はゴムの加硫が進行しやすい140℃以上220℃以下が好ましい。
さらに、モータ26によって圧接部材23を回転させる事で、未加硫ローラ22を従動回転させることができる。芯金11への保持部材25は上下方向に容易に可動するレール27に支持され、未加硫ローラ22の外径の変化に追従する事が可能である。また、加圧力は重り28の重量を変更する事で調整可能である。
また、未加硫ゴム組成物層の厚さが0.25mmよりも小さい場合には、加圧に伴う未加硫ゴム組成物層の変形によって、未加硫ゴム組成物層を支持する芯金と圧接部材が干渉する場合や、ボイドの潰れ代が十分取れないことがあるので、未加硫ゴム組成物層の厚さは、0.25mm以上であることが好ましい。また、弾性体ローラの小型化のためにも、未加硫ゴム組成物層の厚さは、20mm以下であることが好ましい。
未加硫ゴム組成物の粘度が低すぎると、圧接時に変形が大きくなりすぎて回転に伴って未加硫ローラが円筒形状を維持できなくなる。また、未加硫ゴムの粘度が高くなりすぎると、圧接回転に伴うボイドの潰れが十分発生しないため、本発明の効果を十分得ることができない。
従って、精度良く、かつ表面に欠陥等ないローラ部材を得るためには、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度が15以上55以下であることが好ましい。ここで、未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は、JISK6300に基づいてムーニー粘度試験を行った。このとき、ムーニー粘度試験にはL形のロータを用いて、予熱時間1分間及びロータの回転時間4分間、試験温度100℃で行った。
次に圧接部材について説明する。
圧接部材の材質としては、熱伝導性の良い金属類が好ましい。また、圧接部材は、型としてその表面性を未加硫のゴム組成物の層に転写せしめることから、ローラ部材の表面が有するべき表面粗さに対応した表面粗さを有する。
尚、表面粗さの測定はJISB0601における十点平均粗さ(Rzjis)評価に則した方法で行った。このとき圧接部材の表面粗さとしては、Rzjisで0.5μm以上3.2μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上0.8μm以下である。また、所望の粗さを得るために所望の粗さと同程度に粗くしても良い。
また、圧接部材には表面処理を施してもよく、前記工程(ii)において、圧接部材に未加硫ゴムが付着し難いように、クロームメッキ、ニッケルメッキ、フッ素含有ニッケルメッキ等のメッキ類の他に、フッ素コーティング、フッ素樹脂・シリコーン樹脂等をコーティングしたものや、フッ素系・シリコーン系の離型剤を塗布したもの、その他公知の金属の表面処理を用いることができる。
圧接部材の幅は、図4に示した様に、未加硫ローラのゴム部分、即ち後の弾性層の幅よりも長い部材を用いることが好ましい。
即ち、圧接部材として未加硫ローラ22の未加硫ゴム組成物を含有する層301の長さよりも長い円筒状の部材を用いて、加硫しながら未加硫ローラ22に圧接部材を圧接させれば、圧接部材をローラ部材から引き剥がす時点では表面の加硫が進行しているため、引き剥がす瞬間にできる跡が残る事がない。
なお、円筒状の圧接部材としては、未加硫ローラの外径よりも大きい内径をもつ中空円筒形状のものを用い、内周面に圧接させながら回転して加硫しても良い。
また未加硫ローラのゴム部分、即ち後の弾性層の幅よりも小さい幅を有する圧接部材を用いる場合には、芯金及び圧接部材の少なくとも一方を回転させながら相対的に長手方向に移動させ、未加硫ローラのゴム部分の圧力をかける場所を連続的にずらしていくことで加硫後の弾性層に加圧の痕跡が残らないようにすることが好ましい。
この場合、圧接部材と芯金との相対的な送り速度としては、加熱によって未加硫ローラ表面の加硫が進行して跡が残らないように移動速度を調整すると良く、或いは送り速度を早くして往復運動させても良い。
押出し時に同時に多層を成形した未加硫ローラを用いて、圧接回転させてもよく、多層ローラを得ることもできる。また、加硫後のローラ部材の最外層に未加硫ゴムを被覆したものを用いて、圧接回転させてもよい。
図4では、圧接部材として円筒状の型を用いたことにより、型と未加硫ゴム組成物層との圧接面が曲面形状となる形態を示したが、型として平面状のものを用い、型と未加硫ゴム組成物層との圧接面が平面形状となる形態としても良い。
具体的に圧接部材と未加硫ゴム組成物層との圧接面を平面形状にするためには、圧接部材として平板状の部材を用いることなどがある。圧接部材として、未加硫ローラのゴム長の長さより幅広い平板を用い、未加硫ローラ22を圧接しながらその上を転がすことによって、連続的に位置を変えながら圧力を加える事ができる。本発明の圧接治具の転がす方向の長さを長くすれば、連続的に多数本のローラを圧接することができるため量産性を向上させることができる。このような構成について図5を用いて更に詳細に説明する。
図5(a)は平板状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図、図5(b)はその側面図である。
圧接部材29は芯金の周囲に成形した未加硫のゴム組成物の層よりも幅広い平板であり、未加硫ローラ22を圧接させながら、長手方向に転がしていくことができるように両側にガイド31が設けられている。未加硫ローラの両端の芯金露出部には、保持部材33によって加圧されており、保持部材をささえる支持板を長手方向に移動させていくものである。
圧接部材29は、中にヒータを内蔵して、あらかじめ加硫温度に温めても良いし、装置全体を恒温槽の中に構築するなどして全体を加硫温度に保ってもよいし、両者を同時に行っても良い。また、圧接部材と装置を構築する雰囲気の温度に差があっても良い。
また、ガイド31には、各圧接ユニットが両端のガイドに沿って稼動できるように、圧接部材29に平行なスリット32があけられている。この圧接ユニットを圧接部材29に平行に動かす事によって、未加硫ローラ22は従動回転し加硫と表面平滑化が進行する。なお、このスリット部には一定の間隔を置いて、複数のユニットを設ける事が可能であり、多数本を連続で処理する場合に向いている。なお、ガイド31には左右に芯金が動かないように、保持部材33によって規制されている。芯金を支持する部材は未加硫ローラの外径変動によって、容易に上下することが可能である。なお、図5中の34は規制部材、35は重りである。
重りは材料の粘度などによって適宜調整でき、芯金の重量によっては自重のみでも良いが、安定性の面からも、片側100g以上の荷重をかける事が好ましい。荷重はエアー圧などのいずれの手段で加えてもよく、多数本のローラに同時に荷重しても良い。
また、圧接部材が複数存在し、芯金上の未加硫ゴム組成物層がその複数の圧接部材によって挟んでいてもよく、このように圧接部材を多方向から未加硫ローラに圧接させる場合には、芯金端部に加圧力をかけなくても良く、位置がずれないように保持できれば良い。
複数の圧接部材によって未加硫ローラに圧接した場合、圧接部材との接触面積がさらに増えるため、未加硫ローラの温度をより早く上昇させることができる。多方向の選び方としては、対称性を考慮して、上下或いは水平対向などがよい。対向した二本の圧接部材で圧接回転を行う場合には、芯金の両端に加圧した場合に発生する芯金の曲がりや、芯金の撓みに起因する外径不良等の発生を押さえられることから、より高精度なローラを得ることができる。
図6は、図4に示した圧接加硫装置の変形例であり、2本のローラ状の型(圧接部材)36及び37を用いた点において、図4に示した圧接加硫装置と異なっている。図6(a)は正面図、図6(b)は、側面図である。
当該圧接加硫装置においては、未加硫ローラ22は、圧接部材36、37によって上下から挟み込み圧接部材の自重で加圧を行う。芯金が上下方向以外にずれないように保持するための保持部材38によって位置を定める。
圧接部材36は、上下に容易に可動し、その他の方向にはずれないように両端が上下方向のスリット39で保持されている。駆動は、圧接部材37をモータ40によって回転させ、未加硫ローラ22が従動回転し、さらにその未加硫ローラ22の回転によって圧接部材36が従動回転するものである。なお、図6の中の42は規制部材である。
図5及び図6にも示したように、圧接部材によって加圧を行う場合には、未加硫ローラ22が規定の寸法以上に変形しないように、規制部材を設けることが好ましい。圧接部材が円筒状の場合には、規制部材である中空円筒状のコロを芯金両端部に挿入して加圧することにより、より外径寸法を安定して得ることができる。圧接部材が平板状の場合には、両端に圧接部材の平面に平行な段差を設けることで芯金が圧接部材に一定以上近接しないようにでき、外径寸法をより安定して得ることができる。
次にクラウン形状のローラ部材の製造方法について説明する。
得られるローラ部材を長手方向で径が異なるクラウン形状や逆クラウン形状にするためには、芯金両端面の中心を通る芯金の中心軸から圧接部材への最短距離が、芯金の長手方向の位置によって異なる圧接部材を用いればよい。圧接回転に伴い、圧接部材との最短距離に従うようにローラ長手方向の径が変形し、所望の外径形状を得ることができる。
具体的には、圧接部材が円筒状の場合、逆クラウン形状(中央部の径が端部の径よりも小さい)、或いはクラウン形状(中央部の径が端部の径よりも大きい)の圧接部材を用いて加硫を行えば良い。
図7(a)は円筒状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図、図7(b)は平板状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。
図7(a)に示した様に、円筒状の圧接部材43は、中央で細く、両端部で太い逆クラウン形状である。また、図7(b)に示した様に平板状の圧接部材44は、ローラの長手方向の圧接部材の断面において、長手方向の位置によって厚さが異なっている。
さらに、圧接部材の形状を変えるほかに、ローラの中心軸と圧接部材の中心軸に角度を設けて圧接させる方法などを用いても良い。
未加硫ゴム組成物の流動性が低い場合には、図7(a)や図7(b)に示した圧接加硫装置を用いても、精度良くクラウン形状或いは逆クラウン形状のローラが形成できない場合がある。
その場合には、未加硫ゴム組成物を芯金の周囲に被覆させるときに、あらかじめ長手方向で外径差を付け、芯金の両端に荷重しながら未加硫ローラを圧接回転させることで精度良くクラウン形状を形成することができる。
クラウン形状が得られるのは、あらかじめ外径差を付けた未加硫ローラを用い、芯金の両端に荷重することによって、芯金が撓み、撓んだ形状に相当した形状を得ることができるためである。従って圧接部材は長手方向に略同一な径を持つ部材で良く、クラウン形状は、芯金にかける荷重を増減させることで調整することができる。
また、形成する弾性体に導電性を持たせ、電子写真感光体表面に接触配置されて該電子写真感光体表面を帯電する帯電ローラとして用いる場合には、感光体に圧接する加圧力に対し、前記圧接部材への加圧力が0.5倍〜2倍の範囲とし、実際の使用状態に近い接触状態で未加硫ローラを圧接回転させることによって、感光体への圧接時においても均一な接触状態を容易に得ることができる。
さらには、本手法を用いれば、クラウン形状或いは逆クラウン形状を得るために圧接部材に外径差を設ける必要がないので、装置構成を簡略化できる。
あらかじめ外径差をつけた未加硫ローラを成型するには、図3に示した未加硫ローラの成形工程において、押出し機18のクロスヘッド19に芯金11を挿入する送りローラ20の回転数を周期的に変化させる方法や、押出し機の回転数を周期的に変化させる方法など、いずれでも良い。
未加硫ゴム組成物の流動性が低く、精度良くクラウン形状のローラが形成できない場合には、その場合には、未加硫ゴム組成物層を芯金の周囲に形成するときに、あらかじめ長手方向で外径差を付けて押出したものを、芯金の両端に荷重しながら圧接回転させる事で精度良くクラウン形状を形成することができる。
圧接部材の形状は、平板状の圧接部材に芯金からの距離を変えるなどして凹凸など設けなくてもよく、平らでよい。特に精度良くクラウン形状或いは逆クラウン形状を得る為には、予め所望の形状に近い未加硫ローラを成形し、所望の形状の型で両側、或いは三方向など対称に荷重を加えることが好ましい。
ローラ部材を多数本同時に作る場合には、円筒状の圧接部材を用いる際には、その数だけ円筒状の圧接部材を用意しなくてはならなく、また平板形状の圧接部材を用いる際には、回転しながら加硫に掛かる時間分の距離を用意しなくてはならないため、装置が大きくなってしまう場合がある。
本発明においては、圧接部材としてベルト状の部材を用い、ローラ等で駆動して回転させている所に、多数本の未加硫ローラを押し付ければ良く、装置を簡略化できる。
ベルト状の部材の材質としては、懸架に耐える強度があればどのような材質でもよいが、熱伝導の良いSUS、ニッケルなどの金属が特に好ましい。
本発明に用いられる圧接部材がベルト状の部材を懸架したものである圧接加硫装置を図8に示した。ベルト45の剛性が低いため、図8に示すような補強部材47などを用いても良い。また、駆動ローラ48や補強部材47等の形状を変化させることでクラウン形状、或いは逆クラウン形状などのローラ部材も得ることができる。
圧接部材に突起物等なく、平滑な面の中に小さな穴が多数空いていても、ローラ表面に対し回転に伴って穴が存在しない部分に周期的に接触するように穴を配置すれば、最終的には表面粗さが比較的良いものを得ることができる。
熱風によって圧接加硫装置を加熱する場合などに、圧接面に穴が空いている圧接部材を使用することで通気性が良くなり、温度を早く上昇させる事ができるため、好ましい場合がある。
未加硫ローラの加熱に関しては、圧接回転加硫と共に熱風炉加熱、加硫缶加熱、熱盤加熱、遠・近赤外線加熱、誘導加熱などいずれ手法を併用しても良く、140℃以上220℃以下の温度で10分以上120分以下加熱することが好ましい。
また、未加硫ローラは加硫の最後まで圧接回転させつづけなくてもよく、加硫が進行し形状が保持されるまで行えば、その後は熱風炉の中などで圧接回転しない状態で加熱しても良い。
尚、本発明の第2の態様に係る上記ローラ部材の製造方法は、本願の第1の発明に係るような、弾性層中にボイドを有する可能性のあるローラ部材の製造にのみ用いられるものではなく、未加硫ゴム組成物の構成や、未加硫ゴムローラの成形方法等の工夫により弾性層中にボイドが生じる可能性が排除されてなるローラ部材の製造にも用いることができる。そのようなローラ部材の製造に、本発明の第2の態様に係るローラ部材の製造方法を適用することの効果の一つとしては、未加硫ローラの加硫後に、弾性層周面を改めて研摩する必要がないことが挙げられ、これによりローラ部材の製造コストの低減を図ることが可能となる。
(4)多層ローラ部材について;
次に二層以上の弾性層を具備するローラ部材の成形に関して本発明における手法を適用する場合に関して説明する。
未加硫のゴム組成物を含有する層を二層以上持つ未加硫ローラの場合にも、単層の場合と同様にして圧接しながら回転加硫する事で表面にボイドの開口部等の欠陥が無く、表面粗さの良い高精度なローラ部材を得る事ができる。二層以上の弾性層を有するローラ部材を本手法を用いて製造した場合には、複数の層に異なる材質を用いる事で、表面粗さ、外径精度が良いまま、硬度・抵抗等の特性を容易に制御する事が可能であるため、ローラ部材としての特性も向上する。
芯金上に二層の未加硫ゴム組成物を含む層を形成するには、二層押出し機とクロスヘッドを用いて同時に二層を形成する方法や、単層の未加硫ゴム組成物を形成した後に、改めてクロスヘッドを用いて二層のゴム層を形成する方法が用いられる。
図10に模式的に二層押出し機とクロスヘッドの例を示す。
図10において、49、50は押出し機であり、外側の上層用と内側の下層用とでそれぞれ用いる。二層押出し機はクロスヘッド51を備え、クロスヘッド後方から送りローラ53で連続的に送られた芯金52を挿入する事ができる。クロスヘッド51は上層用と下層用の押出し機から送られたゴムが芯金の周囲に円筒形状に被覆される流路を備え、未加硫層を二層備えたローラ54が図示される方向に押出される。押出された後は適宜芯金毎に切断・分離され、圧接加硫工程に送られる。
さらに、高精度が必要な場合は、未加硫のゴム層を二層以上設け、内側の下層のムーニー粘度よりも外側の上層のムーニー粘度が小さい配合を用いる事で、ムーニーの小さい上層に流動が集中して生じやすいため、ボイドの潰れも発生し易く、表面の粗さと外径精度を向上させる事ができる。
また、特に低硬度のローラ部材を得るためには、発泡層が必要であるが、発泡体は表面にセルが露出するなどして粗さが粗くなる場合がある。
しかし、低硬度の発泡体を扱う場合には、発泡開始時の未加硫物の剛性が弱く、特に高発泡の場合などには形状が崩れてしまう場合がある。そこで、加熱しながら圧接回転させる工程を経る場合では、発泡層の外周面に非発泡層を備える事で表面粗さが良く、低硬度な発泡ローラを得る事ができる。つまり、あらかじめ二層の未加硫ローラを形成し、圧接しながら回転加硫させる事によって、下層の未発泡層は発泡し、上層の非発泡層の表面粗さの調整とローラの外径補正を同時に行う事で二層の発泡ローラを形成できる。
さらに、発泡後の外径を安定させるために、圧接部材と芯金との距離を規制する部材を用いる事ができる。
図11(a)、(b)に模式的に規制部材55の例を示す。同図中、芯金保持部材56が一定以上圧接部材から離れないように規制する事で、芯金と圧接部材の距離を規制するものである。また、規制部材によって、未発泡の状態では未発泡ローラと圧接部材は接触せず、発泡後に初めて接触するように外径を規制しても良い。
以下実施例に従って本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において、「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
未加硫ゴム組成物としては、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル3元共重合体(ダイソー製、CG102)100部に対して、酸化亜鉛(酸化亜鉛JIS2、正同化学製)5部、炭酸カルシウム(白石カルシウム製、シルバーW)60部、カーボンブラック(東海カーボン製、シーストSO)10部、イオン導電剤としてテトラブチルアンモニウムパークロレート1部、加工助剤としてステアリン酸1部、可塑剤としてアジピン酸エステル(大日本インキ化学工業製、ポリサイザーW305ELS)5部、加硫剤として硫黄0.5部、架橋助剤としてジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(大内新興化学工業製、ノクセラーTRA)2部をオープンロールにて混合した。未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は42であった。
得られた未加硫ゴム組成物の層を芯金の周囲に成形するために、図3に模式的に示す押出し機に内径がφ12mmであるダイをセットし、あらかじめクロスヘッドを60度に温調した。次に直径がφ6mmの芯金を用意してゴムととともに押出すことで、芯金の周囲に円筒状の未加硫ゴム組成物層を成形した。その後、未加硫ゴム組成物層の長さを224mmになるように端部の余分な未加硫ゴム組成物層を切断、除去処理を行い、未加硫ローラを2本調製した。
次に、各々の未加硫ローラを、図4に模式的に示す圧接加硫装置を用いて、加硫を行った。圧接加硫装置はモータ部分を除いて周りを断熱板で覆った状態で、熱風により180℃の雰囲気にあらかじめ全体が加熱したものを用い、30分の圧接加硫を行い、弾性層12を形成して2本のローラ部材を得た。なお、圧接加硫装置においては、片側1kgの重りを用いて両端を荷重した。また圧接部材としては、SUS製で、幅は240mm、直径は30mm、Rzjis94は1.6μmのローラ型を用いた。また図4中、図番28で示した重りの重さは片側1kgとしてローラ型の未加硫ローラへの加圧力とした。
得られた2本のローラ部材の一方を用いて、ボイドの観察、測定を行った。ボイドの平均内径及びアスペクト比の測定は、弾性層をローラ部材の幅方向の中央と、該中央から両端に向かい20mm間隔で4箇所との計9箇所において、ローラ部材長手方向と直交する方向に鋭利な刃物で切断し、切断面において観察されるボイドのうち表面近傍に位置しているもの全てについて寸法を測定した。
その結果、ローラ部材の表面から該弾性層の厚さの33%内側までにあるボイドの全てが、平均内径10〜400μm、アスペクト比が1.3〜10.0の範囲内であり、また角度θも30°以下であった。またこれらのパラメータについて全てのボイドの平均は、各々以下の通りであった。

平均内径 アスペクト比 角度(θ)
(42)μm (2.0) (21)°
また、他方のローラ部材に対し、表面粗さ、外径精度及び振れ精度の測定を行った。外径精度としては、非接触のレーザー外径測定機(LS−5000)を用いて、ローラ部材の長手方向中央から両側に20mmピッチで4点ずつ外径の測定を行った。振れ精度に関しては、同一の測定機を用い、弾性体ローラの長手方向中央部において、ローラと平行に設けられた基準棒との距離をローラを回転させながら測定した。それらの結果を下記表1及び表2に示す。尚、外径精度並びに振れ精度については、(最大値)−(最小値)で示した。
次に、本実施例に係るローラ部材を帯電ローラとして用いるために、表面の粘着性を減少させる目的で、波長250nm近傍の紫外線ランプで3分間照射し、表面処理した上で、以下に示すような装置を用いて画像評価を行った。なお、紫外線の照射はローラをコンベアで回転した状態で送り、上下からローラと平行に設けたランプで行った。
本試験で使用した電子写真式レーザープリンターはA4縦出力用の装置で、記録メディアの出力スピードは、94mm/secで画像解像度は600dpiである。感光体はアルミシリンダーに膜厚18μmの感光層をコートした反転現像方式の感光ドラムであり、最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層である。トナーは、ワックスを中心に電荷制御剤と色素等を含有するスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更に表面にポリエステル薄層を重合させシリカ微粒子を外添した。このトナーのガラス転移温度は63℃、体積平均粒子径6μmの重合トナーである。
画像の評価はハーフトーン(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)画像を出力し、帯電ローラピッチで黒い点として現れるボイド起因の画像不良や、汚れに起因する画像不良を以下の評価基準にて評価した。
評価基準
○:黒い点状の画像不良は、確認できない、
△:大きさ0.3mm以下の不良であり、かつ数が3個より少ない、
×:大きさ0.3mmより大きい不良があるか、大きさ0.3mm以下の不良が3個以上ある。
また、汚れに起因する画像不良は、ハーフトーン画像を500枚通紙後の画像で、黒もや状に発生する画像不良の程度を確認した。
その結果、ボイドに起因する画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。評価結果を表2に共に示す。
(実施例2)
未加硫ゴム組成物としては、実施例1の未加硫ゴム組成物中、炭酸カルシウム(白石カルシウム製、シルバーW)の量を45部、及びカーボンブラック(東海カーボン製、シーストSO)の量を5部に代えた以外は、実施例1と同様とした。未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は32であった。
その後は実施例1と同様にしてローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にしてボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果並びに評価結果を表1及び表2に示す。
(実施例3)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図4に模式的に示す圧接加硫装置を用い、芯金両端に図9の49に模式的に示す円筒状の規制部材を付加して圧接加硫する以外は、実施例1と同様にしてローラ部材を作成した。なお円筒状の規制部材の外径はφ11.5mmとした。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様に、ボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例4)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図5に模式的に示す圧接加硫装置を用い、芯金の両端にあたる部分に厚さ2.75mmの平面状の規制部材を置いて加硫する以外は、実施例2と同様にしてローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様に表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例5)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図6に模式的に示す2つの圧接部材36及び37によって未加硫ローラを同時に圧接加硫する圧接加硫装置を用い、芯金両端に図6(a)の42に模式的に示すような外径はφ11.5mmの円筒状の規制部材を付加して圧接加硫を行ってローラ部材を得た。なお、上圧接部材36の重量は2kgに調整した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例6)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図7に模式的に示す長手方向で径が異なる圧接部材43を用いた圧接加硫装置を用い、芯金両端に図7(a)に模式的に示すような外径φ11.5mmの円筒状の規制部材42を付加して圧接加硫を行ってローラ部材を得た。
なお、圧接部材43は長手方向と直角をなす、いずれの断面をとっても同心をなしており、未加硫ローラのゴム層が接触する部分の中央と端部で0.1mmの外径差を設けてあり、中央部で細い。中央から両端部にかけての径は、なめらかな一つの円弧で結ばれた形状を取っている。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。得られたローラ部材の外径精度を測定すると、中央部よりも端部の径が細いクラウン形状の弾性体ローラが得られていた。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。なお、本実施例の外径精度の値についてはクラウン形状を有しており、他の実施例と同一に比較できないため、表2には示していない。
(実施例7)
本実施例では、押出し時に芯金の押出し速度を変化させて外径に差をつけたクラウン形状にしたこと以外は実施例3と同様にして未加硫ローラを作成した。
未加硫ローラにつけられた外径差は、中央を中心として、両端にかけて径が減少している形状であり、その中央と端部の外径差は約0.1mmとした。
得られた未加硫ローラを用い実施例3と同様にしてローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。得られたローラ部材の外径精度を測定すると、中央部から端部にかけて外径がなめらかに減少しているクラウン形状となっており、未加硫時に見られた小さな外径ムラなどは無くなっていた。
また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。なお、本実施例の外径精度の値についてはクラウン形状を有しており、他の実施例と同一に比較できないため、表2には示していない。
(実施例8)
本実施例では、押出し時に芯金の押出し速度を変化させて外径に差をつけたクラウン形状にしたこと以外は実施例4と同様にして未加硫ローラを作成した。
未加硫ローラにつけられた外径差は、中央を中心として、両端にかけて径が減少している形状であり、その中央と端部の外径差は約0.1mmとした。
得られた未加硫ローラを実施例4と同様にしてローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。得られたローラ部材の外径精度を測定すると、中央部から端部にかけて外径がなめらかに減少しているクラウン形状となっており、未加硫時に見られた小さな外径ムラなどは無くなっていた。
また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。なお、本実施例の外径精度の値についてはクラウン形状を有しており、他の実施例と同一に比較できないため、表2には示していない。
(実施例9)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図8に模式的に示したように圧接部材としてベルトを使用した圧接加硫装置を用いた以外は、実施例1と同様にしてローラ部材を作成した。図8において、圧接部材45はSUSを材料とした厚さ50μmの金属ベルトであり、47はベルトを駆動する駆動ローラであり、48は補強部材である。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例10)
本実施例では実施例1と同様にして未加硫ローラを作成した。
次に、図4に模式的に示す圧接加硫装置を用い、圧接部材として直径がφ2mmの穴がピッチ約3mmで一様に存在する板を円筒状に加工したものを用いた以外は、実施例3と同様にしてローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例11)
未加硫ゴム組成物として、カーボンブラックを用いず、また炭酸カルシウム(白石カルシウム製、シルバーW)を30部、可塑剤としてアジピン酸エステル(大日本インキ化学工業製、ポリサイザーW305ELS)を20部とした以外は、実施例1と同様とした。未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は14であった。
その後は、実施例1と同様にして、ローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。表面粗さ、外径精度が比較例1と比べて向上しているものの、6000枚通紙後に横筋状にローラ部材がトナー等で汚れていたものの実用上問題のないレベルであった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例12)
未加硫ゴム組成物として、可塑剤のアジピン酸エステル(大日本インキ化学工業製、 ポリサイザーW305ELS)を用いず、また炭酸カルシウム(白石カルシウム製、シルバーW)を90部、カーボンブラック(東海カーボン製、シーストSO)を20部とした以外は実施例1と同様とした。この未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は56であった。
その後は実施例1と同様にして、ローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。実施例1と同様に画像評価を行ったところ、6000枚通紙後にわすかに濃度ムラが発生したものの実用上問題のないレベルであった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例13)
未加硫ゴム組成物層を芯金の周囲に成形するために、図3に模式的に示す押出し機に内径がφ13mmであるダイを用いたこと以外は実施例1と同様にしてローラ部材を作成した。
この得られたローラ部材を円筒研磨機を用いて、外径をφ12mmに調整することで、ローラ部材を得た。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良が1から2個確認されたが、大きさが小さく実用上問題のないレベルであった。また、6000枚通紙後も黒もや状の画像不良の発生は無かった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例14)
本実施例では、押出し時に芯金の押出し速度を変化させて外径に差をつけたクラウン形状にしたこと以外は実施例3と同様にして未加硫ローラを作成した。未加硫ローラにつけられた外径差は、中央を中心として、両端にかけて径がなめらかに減少している形状であり、その中央と端部の外径差は約0.1mmとした。
次に、図6に模式的に示す圧接加硫装置を用いて、加硫を行った。ただし、加圧部材は円筒形状であり、円筒形状部分の径が中央で細く、端部で太い、逆クラウンの形状のものを用いた。なお、その中央と端部の外径差は0.1mmとした。
圧接加硫装置はモータ部分を除いて周りを断熱板で覆った状態で、熱風により180℃の雰囲気にあらかじめ全体が加熱したものを用い、30分の圧接加硫を行い、ローラ部材を得た。なお、加圧ドラムの重さを2kgに調整し、上から圧接させて荷重を行った。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1、表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例15)
本実施例では二層の弾性層を備えたローラ部材を製造した。二層の弾性層の外側となる上層用の未加硫ゴム組成物としては、実施例1の未加硫ゴム組成物と同じものを用いた。
また、内側となる下層用の未加硫ゴム組成物としては、可塑剤のアジピン酸エステル(大日本インキ化学工業製、 ポリサイザーW305ELS)を10部とした以外は、実施例1の未加硫ゴム組成物と同じ組成とした。この未加硫ゴム組成物のムーニー粘度は32であった。
各々の未加硫ゴム組成物層を芯金の周囲に成形するために、図10に模式的に示す二層押出し機に内径がφ12mmであるダイをセットし、あらかじめヘッドを60度に温調した。次に、上層の膜厚が約0.5mmとなるように押出し機の二つの押出し機の速度を設定し、直径がφ6mmの芯金をゴムととともに押出すことで、芯金の周囲に円筒状の未加硫ゴム組成物を成形した。その後、未加硫ゴム組成物層の長さを224mmになるように端部の余分な未加硫ゴム組成物を切断、除去処理を行い、未加硫ローラを得た。
また本実施例では、押出し時に芯金の押出し速度を変化させて外径に差をつけたクラウン形状の未加硫ローラを作成した。未加硫ローラにつけられた外径差は、中央を中心として、両端にかけて径が減少している形状であり、その中央と端部の外径差は約0.1mmとした。
その後は、実施例14と同様にして圧接回転加硫を行い、二層のローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様に表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。なお、ボイドのアスペクト比の測定は最外層で行った。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1、表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例16)
実施例15に於ける上層用の未加硫ゴム組成物、及び下層用の未加硫ゴム組成物を、各々下層用、上層用とした以外は、実施例15同様にしてローラ部材を製造した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。なお、ボイドのアスペクト比の測定は最外層で行った。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1、表2に示し、評価結果を表2に共に示す。本実施例に係るローラ部材は、実施例15よりも精度、表面粗さが向上していた。
(実施例17)
本実施例においては下層が発泡層である二層の発泡ローラを作成した。外側となる上層用の未加硫ゴム組成物は、実施例15の上層用の未加硫ゴム組成物と同じものを用いた。
内側となる下層用の未発泡ゴム組成物としては、エチレンープロピレンージエン三元共重合体(EPT8075E 三井石油化学(株)製)120部、導電剤としてケッチェンブラック(ケッチェンブラックEC 三菱化学社製)8部、SRFカーボンブラック(旭#35 旭カーボン社製)50部、軟化剤としてパラフィンオイル20部、発泡剤としてアゾジカルボンアミド(ADCA)4部とオキシビスベンゼンスルホン酸ヒドラジド(OBSH)4部、加硫促進助剤として、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、架橋剤として硫黄2部、加硫促進剤としてメルカプトベンゾチアゾール2部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)1部、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)1部をオープンロールを用いて混合した。この未発泡ゴム組成物のムーニー粘度は36であった。
これらの未発泡ゴム組成物、及び未加硫ゴム組成物の層を芯金の周囲に成形するために、図10に模式的に示す二層押出し機に内径がφ9.8mmであるダイをセットし、あらかじめヘッドを60度に温調した。次に、上層の膜厚が約0.5mmとなるように押出し機の二つの押出し機の速度を設定し、直径がφ6mmの芯金をゴムととともに押出すことで、芯金の周囲に円筒状の未発泡ゴム組成物層並びに未加硫ゴム組成物層を成形した。その後、未加硫ゴム組成物の長さを224mmになるように端部の余分な未発泡ゴム組成物と未加硫ゴム組成物を切断、除去処理を行い、未加硫ローラを得た。
次に、図4に模式的に示す圧接加硫装置を用いて、加硫を行った。ただし、加圧部材は円筒形状であり、円筒形状部分の径が中央で細く、端部で太い、逆クラウンの形状のものを用いた。なお、その中央と端部の外径差は0.1mmとした。
圧接加硫装置はモータ部分を除いて周りを断熱板で覆った状態で、熱風により160℃の雰囲気にあらかじめ全体を加熱したものを用い、片側の重り300gで30分の圧接加硫を行い、ローラ部材を得た。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。なお、ボイドのアスペクト比の測定は最外層で行った。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1、表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(実施例18)
本実施例においても下層が発泡層である二層の発泡ローラを作成した。上層用の未加硫ゴム組成物としては、炭酸カルシウム(白石カルシウム製、シルバーW)を30部、可塑剤のアジピン酸エステル(大日本インキ化学工業製、ポリサイザーW305ELS)を10部とした以外は実施例1の未加硫ゴム組成物と同様とした。下層用の未発泡ゴム組成物としては、発泡剤であるADCAを8部、OBSHを8部とした以外は、実施例17の下層用の未発泡ゴム組成物と同じとした。この未発泡ゴム組成物のムーニー粘度は37であった。
これらの未発泡ゴム組成物、及び未加硫ゴム組成物の層を芯金の周囲に成形するために、図10に模式的に示す二層押出し機に内径がφ10.5mmであるダイをセットし、あらかじめヘッドを60度に温調した。次に、上層の膜厚が約0.5mmとなるように押出し機の二つの押出し機の速度を設定し、直径がφ6mmの芯金をゴムととともに押出すことで、芯金の周囲に円筒状の未発泡ゴム組成物層、及び未加硫ゴム組成物層を成形した。その後、未加硫ゴム組成物層の長さを224mmになるように端部の余分な未発泡ゴム組成物層、及び未加硫ゴム組成物層を切断、除去処理を行い、未加硫ローラを得た。
次に、図11に模式的に示す圧接加硫装置を用いて、加硫を行った。図11において、規制部材55は発泡後の外径が一定以上大きくならないように芯金支持部材56の位置を圧接部材から一定以上離れないようにする役割を備える。なお、規制部材55は取り外し時などに作業しやすいように左右にずらす事ができる。なお、圧接部材は円筒形状であり、円筒形状部分の径が中央よりも端部で0.1mm太い逆クラウンの形状のものを用いた。
圧接加硫装置はモータ部分を除いて周りを断熱板で覆った状態で、熱風により160℃の雰囲気にあらかじめ全体を加熱したものを用い、片側の重り200gで30分の圧接加硫を行い、ローラ部材を得た。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。なお、ボイドのアスペクト比の測定は最外層で行った。また、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、ボイド起因の画像不良も黒もや状の画像不良も発生は確認されなかった。測定結果を表1、表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(比較例1)
本比較例では実施例13と同様にして、未加硫ローラを作成した。その後、圧接加硫装置も用いずに、180℃にあらかじめ温められた熱風炉内にて30分加熱を行い、弾性体ローラを作成した。さらに得られた弾性体ローラを円筒研磨機を用いて、外径をφ12mmに調整することで、ローラ部材を得た。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。その後、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、大きさ0.3mm以上の黒い点状の画像不良が多く確認された。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
(比較例2)
本比較例では実施例1と同様にして、未加硫ローラを作成した。その後、圧接加硫装置も用いずに、180℃にあらかじめ温められた熱風炉内にて30分加熱を行い、ローラ部材を作成した。
得られたローラ部材に対し、実施例1と同様にボイドの状態、表面粗さ、外径精度、振れ精度を測定した。外径精度に関しては、ゴム部分の両端部において、外径が0.5mm以上大きくなっており、外径精度不良であった。なお、中央部における振れ精度は69μmであった。
その後、実施例1と同様に画像評価を行ったところ、外径の精度が悪いため接触できない部分が黒い画像不良となり、詳細な画像評価を行うことはできなかった。測定結果を表1及び表2に示し、評価結果を表2に共に示す。
Figure 0004280691
Figure 0004280691
接触帯電・転写部材を用いた電子写真装置の模式図である。 (a)本発明に係るローラ部材の正面図である。(b)図2(a)のローラ部材を芯金に直交する方向に切断したときの断面図である。(c)図2(b)に示すローラ部材の弾性層部分の拡大図である。(d)図2(b)に示すローラ部材の弾性層の表面近傍に位置するボイドの拡大説明図である。 (a)本発明を実施するための押出し機の一例を示す模式図である。(b)未加硫ローラ部材の正面図である。 (a)本発明を実施するための円筒状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。(b)図4(a)に示した装置の概略側面図である。 (a)本発明を実施するための平板状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。(b)図5(a)に示す装置の概略側面図である。 (a)本発明を実施するための圧接部材を2つ有する圧接加硫装置の正面図である。(b)図6(a)に示す装置の概略側面図である。 (a)本発明を実施するための円筒状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。(b)本発明を実施するための平面状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。 (a)本発明を実施するためのベルト状の圧接部材を有する圧接加硫装置の正面図である。(b)図8(a)に示す装置の側面図である。 本発明を実施するための規制部材を有する圧接加硫装置の正面図である。 本発明の他の態様に係るローラ部材の製造に用いる二層押し出し機の概略断面図である。 (a)本発明を実施するための発泡を規制する部材を有する圧接加硫装置の正面図である。(b)図11(a)に示す装置の概略側面図である。
符号の説明
1感光体
2帯電部材
3露光光
4現像部材
5転写部材
6転写材
7定着部材
8クリーニング部材
9トナー
10回転軸
11、21芯金
12弾性層
13ボイド
14ボイドの最大内径
15ボイドの最小内径
16ボイドの位置での外周面の同心円
17ボイドの位置での外周面の同心円の接線
18押出し機
19、51クロスヘッド
20芯金送りローラ
22、41未加硫ローラ
23、29、43、44圧接部材
25、33、38保持部材
26、40モータ
27レール
28、35重り
31ガイド
32、39スリット
34、42、55規制部材
36上圧接部材
37下圧接部材
45ベルト
47補強部材
48駆動ローラ
49、50押出し機
52芯金
53送りローラ
54ローラ
56芯金保持部材

Claims (4)

  1. 芯金と、該芯金の外周面上に、導電性の弾性層を少なくとも有するローラ部材であって、該ローラ部材表面のRzjis94が0.5〜10μmであり、且つ、該ローラ部材は表面近傍にボイドを含み、該ボイドの実質的に全てが10〜400μmの平均内径および1.3以上10.0以下のアスペクト比を有し、且つ、該ボイドの最大内径を取る軸が、該ボイドの中心に於ける該ローラ部材の同心円との接線となす角度(θ)が0°以上45°以下であることを特徴とするローラ部材。
  2. 所定の表面粗さを有している導電性の弾性層を芯金の周囲に具備しているローラ部材の製造方法であって、
    (i)芯金の周囲に未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層を有する未加硫ゴムローラを製造する工程と、
    (ii)該未加硫の導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対して、該所定の表面粗さに対応する表面粗さを有している型を押し当てながら該未加硫の導電性ゴム組成物中のゴムを加硫して該弾性層を形成する工程とを含み、
    前記工程(ii)は、該導電性ゴム組成物を含有する層の表面に対する該型の押し当て場所を変化させつつ行うことを特徴とするローラ部材の製造方法。
  3. 前記ゴム組成物のムーニー粘度が15以上55以下である請求項2に記載のローラ部材の製造方法。
  4. 前記型の幅が該弾性層の幅よりも広い請求項2に記載のローラ部材の製造方法。
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