JP2009265495A - ゴムローラおよびゴムローラの製造方法 - Google Patents

ゴムローラおよびゴムローラの製造方法 Download PDF

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晃久 山田
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伸 服部
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Abstract

【課題】本発明の目的は、ニッケルを含むメッキ皮膜を施した軸体上に硫黄系加硫剤を添加した未加硫ゴム組成物を配置し加熱加硫しても、加硫後のゴムが軸体上に強固に張り付くことがなく、又は付着しても容易に除去可能なゴムローラ及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を有する軸体と、該軸体の外周上に加硫ゴム弾性層と、を有することを特徴とするゴムローラ。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、プリンター及びファクシミリ等に代表される電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置に使用される帯電ローラ、現像ローラ、又は転写ローラ等のゴムローラ、及びその製造方法に関する。
プリンター及びファクシミリ等の電子写真装置には帯電ローラ、現像ローラ、又は転写ローラ等、多数のゴムローラが用いられている。これらのゴムローラは、軸体とその外周面上に形成される1層あるいは2層以上の加硫ゴム層で構成されるのが一般的である。
上記用途に用いられるローラの軸体は、通常、金属製で、表面にメッキが施される。メッキとしては、黄銅メッキ又は亜鉛メッキ等、多数存在するが、中でもニッケルメッキが多く使用されている。ニッケルメッキには、電気化学反応を利用した電解ニッケルメッキと、電気を使用せずメッキ液中に含まれる還元剤によって金属イオンを還元析出させる無電解ニッケルメッキがある。無電解ニッケルメッキの特徴の1つは、メッキ液中の還元剤の種類によって皮膜中に混入する元素が異なることである。例えば、次亜リン酸化合物を還元剤とした場合は、リンが混入し、水素化ホウ素化合物を還元剤とした場合は、ホウ素が混入する。一方、ヒドラジンやホルマリンのような還元剤を用いた場合には、ニッケル以外の元素がほとんど混入しない場合もある。これらのメッキは生産性やコスト、製品に要求される特性に応じて適したものが選ばれる。
ゴムローラの製造方法としては、例えば金型を用いる方法が挙げられる。また、中空チューブ状に押出成形した未加硫のゴム組成物を、熱風炉、高周波加硫炉、又は蒸気缶加硫炉等により加硫し、チューブ中空内に軸体を挿入・接着させることによりゴム層を有するゴムローラを製造する方法も挙げられる。その他にも、クロスヘッドダイを有する押出成形機等を用いて、軸体の外周面上に未加硫のゴム組成物を被覆して共押出し、次いで熱風炉等の加熱手段によって、軸体外周上の未加硫のゴム組成物を加硫してゴム層を形成し、ゴムローラを製造する方法等が挙げられる。これらのうち、押出成型機を用いる方法が製造工程の連続化に適しており、低コスト化や生産設備の小型化、省スペース化等の面から好ましく選ばれる。
このようにして製造されたゴムローラは通常、画像形成装置本体あるいはカートリッジ本体の軸受け部分に組み込んで回転させて使用されるため、両端に軸体露出部分が設けられている。また、その回転方向や回転精度に応じて、軸体の端部にC面あるいはR面を施したり、さらにはDカットやザグリ、ピン状の突起を設ける場合がある。
しかし、ニッケルメッキを施した軸体上にクロスヘッド等を用いて硫黄加硫又は有効硫黄加硫系の未加硫ゴム組成物を被覆し、これを加熱加硫させてゴムローラを得ようとする場合、メッキ中のニッケル成分と未加硫ゴム組成物中の硫黄成分が化学反応を起こしてしまう。その結果、軸体上にゴムが強固に張り付き、ゴムローラの両端に軸体露出部を設けることが非常に困難であった。また、端部形状が複雑になると、後工程で張り付いたゴムを軸体から除去することはほぼ不可能であった。
これらの課題を解決する方法として、例えば、軸体のゴム層非形成部に、熱硬化性離型剤を塗布して離型剤層を設け、ゴムの強固な張り付きを防止する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
また、無電解ニッケルメッキを施した軸体をクロム酸処理や熱処理等でメッキ皮膜を不活性化することでゴムがメッキ皮膜に強固に張り付くことを防止する方法が提案されている(例えば特許文献2)。
一方、特許文献3において、円筒軸体上に表面層としてフッ素樹脂粒子を分散させた無電解ニッケルメッキ層を設けた定着ロールが提案されている。しかし、軸体とその外周上に設けられた加硫ゴム層から構成されるゴムローラについては何ら検討されていない。
特許第3755850号 特許第2134656号 特開2006−276303公報
特許文献1の方法では、クロスヘッドを用いて軸体と前記未加硫ゴム組成物とを共押出ししたとき、離型剤塗布部でゴムすべりが生じて大きく収縮してしまい、正常なローラを形成することが困難であった。また、上記のように軸体端部の形状が複雑であると、離型剤塗布自体が困難となり、十分な効果を得ることが困難であった。
特許文献2の方法では、ニッケルメッキを施した軸体上に硫黄加硫又は有効硫黄加硫系の未加硫ゴム組成物を被覆し、これを加熱加硫させた場合に生じる強固なゴム張り付きは解決される。しかし、軸体と未加硫ゴム組成物との離型性に乏しく、未加硫ゴム組成物の被覆の際にゴムかすが付着した場合、これを除去する工程が必要となる場合があった。また、上記のように軸体端部の形状が複雑であるとゴムかすの付着量が増加し、除去工程がさらに煩雑となる問題があった。さらに、メッキ皮膜のクロム酸処理は環境上好ましくない。また、熱処理ではメッキ皮膜の変色や軸体の導電性に悪影響を及ぼす場合があり、熱処理条件の管理が困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ニッケルを含むメッキ皮膜を施した軸体上に硫黄系加硫剤を添加した未加硫ゴム組成物を配置し加熱加硫しても、加硫後のゴムが軸体上に強固に貼り付くことがなく、又は付着しても容易に除去可能なゴムローラ及びその製造方法を提供することにある。
[1]少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を有する軸体と、該軸体の外周上に加硫ゴム弾性層と、を有することを特徴とするゴムローラ。
[2]前記フッ素樹脂粒子は、前記メッキ皮膜の体積に対して7vol%以上25vol%以下の濃度で含まれていることを特徴とする[1]に記載のゴムローラ。
[3]前記メッキ皮膜は、無電解ニッケルメッキ法によりフッ素樹脂粒子を共析させて設けられたことを特徴とする[1]又は[2]に記載のゴムローラ。
[4)軸体上に弾性層が設けられたゴムローラの製造方法であって、
(1)軸体に少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を設ける工程と、
(2)前記メッキ皮膜が設けられた軸体の外周上に、硫黄系加硫剤を含む未加硫ゴム組成物層を配置する工程と、
(3)前記ゴム組成物層を加熱加硫する工程と、
を有することを特徴とするゴムローラの製造方法。
[5]前記工程(1)において、前記メッキ皮膜は、無電解ニッケルメッキ法によりフッ素樹脂粒子を共析させて設けられることを特徴とする[4]に記載のゴムローラの製造方法。
[6]前記無電解ニッケルメッキ法において用いるメッキ溶液中に、前記フッ素樹脂粒子が7vol%以上25vol%以下の共析量となる濃度で含まれていることを特徴とする[5]に記載のゴムローラの製造方法。
[7]前記工程(2)は、未加硫ゴム組成物を押出すと同時に前記軸体を押出成型機のクロスヘッドダイに連続的に通過させて該軸体の外周面上に該未加硫ゴム組成物層を形成する工程であることを特徴とする[4]乃至[6]のいずれかに記載のゴムローラの製造方法。
本発明のゴムローラは、上記のように軸体上に施されたメッキ皮膜中にフッ素樹脂粒子を混在させてあるので、軸体上で未加硫ゴム組成物を加硫してもメッキ皮膜にゴムが強固に張り付くことなく、高品質のゴムローラを提供することができる。さらに、ゴムローラ製造工程でゴムかす等の付着がなく、あるいは付着しても除去が非常に容易であるので、軸体の端部形状が複雑であっても、高品質のゴムローラを安定して提供することができる。
本発明に係るゴムローラは、少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を有する軸体と、該軸体の外周上に加硫ゴム弾性層と、を有することを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
(軸体)
メッキ皮膜形成前の軸体としては、特に制限されるものではなく、例えばゴムローラの軸体として公知のものを用いることができる。軸体は、中空状又は中実状のものであっても差し支えなく使用できる。また、軸体の材質についても特に制限されず、鉄製や鋼鉄製など、ゴムローラ用として従来公知のものが使用される。
(メッキ皮膜)
本発明において、軸体の表面には少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜が設けられる。軸体表面上に前記メッキ皮膜を設ける方法としては、特に制限されるものではないが、無電解ニッケルメッキ法が好ましく使用される。無電解ニッケルメッキ法は化学メッキとも呼ばれ、メッキ溶液中に含まれる還元剤によって金属イオンを還元析出させる純粋な化学反応に基づいた方法である。該メッキ法は電気を利用して行われる電解ニッケルメッキ法に比べ、メッキ皮膜の厚さが均一で高い寸法精度が得られ、かつピンホールが発生しにくいため耐食性に優れるといった利点がある。
無電解ニッケルメッキ法により、ニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を設ける方法について説明する。まず、フッ素樹脂粒子を分散した無電解ニッケルメッキ用のメッキ溶液を満たしたメッキ槽に、軸体を浸漬し、自己触媒作用によって軸体の表面にニッケルを析出させる。すると、ニッケルの析出と同時に、メッキ溶液中に懸濁しているフッ素樹脂粒子がニッケルの析出によって形成された皮膜中に取り込まれる。なお、この現象は共折と称されている。このように共折現象によって、フッ素樹脂粒子が取り込まれたニッケルの皮膜を軸体の表面に成長させ、所望の厚さになった段階で、軸体をメッキ槽から引き上げる。
また、このような無電解ニッケルメッキ法により形成されたメッキ被覆は、フッ素樹脂粒子がニッケル(ニッケル−リン合金)中に分散された構造を有している。そして、メッキ直後では、ニッケル合金中のリン含有量が高く、表面硬度や耐摩耗性が低いことが知られている。そこで、該メッキ被覆を350〜400℃の温度範囲で10〜30分熱処理して、合金中のリン含有量を減らし、表面硬度や耐摩耗性を向上させることが一般に行われる。但し、本発明の用途における軸体の表面露出部は、部材組付け時の把持部に相当する軸体両端部分のみであり、部材回転時の摩擦に耐えられれば上記のような熱処理を施すことなく使用しても何ら差し支えない。
また、メッキ皮膜の厚さは、軸体表面の防錆性を維持するという観点から、1〜20μmが好ましく、コストや管理面から3〜10μmがより好ましい。
(フッ素樹脂粒子)
本発明におけるメッキ皮膜中に混在されるフッ素樹脂粒子としては、フッ素原子を有する樹脂粒子であれば特に制限されるものではなく、従来公知のフッ素樹脂粒子が使用される。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、又はETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)等が挙げられる。それぞれ要求される離型性やメッキ加工性等に合わせて適宜選択することができる。
フッ素樹脂粒子の粒子径としては、特に制限されるものではなく、メッキ加工性や所望のメッキ皮膜の厚さ、表面粗さ等に合わせて適宜選択して用いることができる。一般的には粒子径(体積平均)0.1〜1.0μmのものが使用される。
メッキ皮膜中にフッ素樹脂粒子を混在させる方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法が使用される。例えば、無電解ニッケルメッキ浴中に適宜選択されたフッ素樹脂粒子を分散し、メッキ皮膜となるニッケルと同時に共析させる方法がとられる。例えば、ニッケルPTFEメッキ浴が、日本カニゼン株式会社より「カニフロン」の登録商標で市販されており、PTFEの共析量に応じて三種のグレードが用意されている。
メッキ皮膜中のフッ素樹脂粒子の含有量としては、軸体上のメッキ皮膜体積に対して7vol%以上25vol%以下の範囲であることが好ましく、8vol%以上23%以下の範囲であることがより好ましい。前記含有量が7vol%以上であれば、前記メッキ皮膜を施した軸体上で未加硫ゴム組成物を加硫させたときの強固な張り付きを防止するために必要な離型性が十分得られる。7vol%未満であっても、例えば前記未加硫ゴム組成物に添加する硫黄系加硫剤の量を減らす等により張り付きの防止が可能である。一方、25vol%以下の場合、例えばクロスヘッドを用いて軸体と未加硫ゴム組成物とを共押出ししたときに、未加流ゴム組成物が軸体に十分に密着し接着不良を引き起こすことがない。さらには、接着剤を塗布してもメッキ皮膜と接着剤層との接着性が損なわれることもなく、軸体上に未加流ゴム組成物層を安定して被覆することができる。なお、25vol%を超えても使用可能であるが、フッ素樹脂粒子の含有量があまりに多くなりすぎると、メッキ皮膜の皮膜硬度が低下し、実用に供さない場合がある。
(ゴム組成物)
本発明において、前記メッキ皮膜が施された軸体に被覆される未加硫ゴム組成物としては、硫黄系加硫剤を添加したものであれば特に制限されるものではない。また、ゴム組成物を構成するゴム主成分としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エピクロルヒドリン系ゴム(CO,ECO,GECO)、又はアクリルゴム(ACM)などを挙げることができ、どのようなポリマー種を主成分とするゴム組成物であっても差し支えなく使用でき、部材に要求される物理特性や導電性、コストに合わせて適宜選択でき、1種あるいは2種以上をブレンド使用することも可能である。。 前記硫黄系加硫剤としては、硫黄原子が含まれるものであれば特に制限されるものではなく、従来公知のものが使用される。硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄そのもの(粉末硫黄)の他、分子構造中に硫黄原子が含まれるものが挙げられる。例えば、ゴム組成物中に直接硫黄を添加するほか、硫黄供与体、トリアジンチオール、又は6-メチルキノキサリンー2,3-ジチオカーボネートを添加することができる。硫黄供与体は、分子中から硫黄原子が外れて加硫反応するものであり、特に限定されるものではないが、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(TRA)、又は2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)4,4’−ジチオジモルホリン等が挙げられる。これらの硫黄系加硫剤のうち、コストや貯蔵安定性という観点から、硫黄が好ましく選ばれるが、要求される特性に合わせて適宜選択しても差し支えない。添加量はゴムローラに要求される特性を満たしていれば特に制限されるものではないが、通常、ゴム主成分100質量部当たり0.05〜5質量部の間で好ましく使用される。
本発明におけるゴムローラの弾性層は、メッキ皮膜が施された軸体上に未加硫ゴム組成物を配置させた後、加硫して形成される。軸体上に未加硫ゴム組成物を配置させる手段としては、特に制限されるものではないが、製造ラインの連続化あるいは製造コストを抑えるといった観点から、押出成型機を用いることが好ましい。より具体的には、押出し機を用いて未加硫ゴム組成物を押出すと同時に、連続的に軸体を押出し機のクロスヘッドダイに通過させて軸体の外周上に未加硫ゴム組成物を配置させてローラ形状にする方法が特に好ましい。また、加硫方法については特に制限されるものではなく、熱風炉加硫や遠赤外線加硫等の従来公知の方法で行なうことができる。また、未加硫ゴム組成物を被覆した軸体を金型キャビティ内に充填して加硫させる方法でも差し支えない。
次に本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)軸体の作製
軸体としては、図1のような直径6mm、長さ250mm、面取り部C0.5の円柱状の鋼鉄製軸体を用いた。また、メッキ浴としては、「カニフロンA」(商品名、日本カニゼン(株)製、PTFE共析量:20vol%)を用いた。なお、「カニフロンA」中に含まれるフッ素樹脂粒子(PTFE)の粒径は約0.5μmである。このニッケルPTFEメッキ浴中(温度90℃)に軸体を30分浸漬し、表面に厚さ5μmのニッケルPTFEメッキ皮膜を設けた。次いで、両端から10mmの部分(端部)を除く軸体の外周面上に、接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所(株)製)を塗布した。なお、このメッキ浴を用いて軸体をメッキ処理することにより、メッキ皮膜中のPTFE粒子の含有量は20vol%となる。
(2)ゴムローラの作製
下記組成の材料を、密閉型混練機及びオープンロール機を用いて混練を行うことにより未加硫のゴム組成物を得た。
・NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム;主材)[商品名:Nipol DN219、日本ゼオン株式会社製];100質量部
・酸化亜鉛[商品名:酸化亜鉛2種、ハクスイテック株式会社製];5質量部
・ステアリン酸[商品名:ステアリン酸S、花王株式会社製];1質量部
・カーボンブラック[商品名:旭#70、旭カーボン株式会社製];40質量部
・炭酸カルシウム[商品名:シルバーW、白石工業株式会社製];15質量部
・ジベンゾチアジルジサルファイド[商品名:ノクセラーDM、大内新興化学株式会社製];1質量部
・テトラメチルチウラムモノスルフィド[商品名:ノクセラーTS、大内新興化学株式会社製];1質量部
・硫黄[商品名:サルファックス200S、鶴見化学株式会社製];1質量部。
未加硫ゴムローラの作製は、図2に示すような押出成形機を用いて行った。すなわち、メッキ皮膜が施された軸体を、複数本、互いの端面が接するように、図2のクロスヘッドダイ押出成形機の芯金ガイドに沿って連続的に通過させた。そして、これと共に、未加硫ゴム組成物を70mmの押出成形機内に投入した。そして、連続的にメッキ皮膜が施された軸体をクロスヘッド内に供給しながら、該軸体の外周上にゴム組成物層を被覆した後、共押出をした。この共押出後の軸体−ゴム組成物の一体物を、切断装置により、軸体長さに合わせて軸体の端面上で切断することにより、未加硫ゴムローラを得た。
これを、熱風炉に連続的に供給し、加熱加硫工程及び冷却工程を経て、未加流ゴム組成物層を弾性層とした後、順次排出した。この時、加熱工程の設定温度は170℃、冷却工程の設定温度は30℃とした。このローラの弾性層の両側の端面から10mmの位置に、軸体に接触しないようにカッター刃を入れた後、両側の端面から10mmまでの弾性層を引張って除去することにより、最終的にゴムローラを得た。
(3)評価方法
(a)ゴムかすの付着・張り付き
図1の押出成形機を用いて連続して100本ゴムローラを作製し、端面を含めた両端の軸体露出部に対して、目視でゴムかすの付着の有無を観察した。そして、以下の基準に基づいて評価した。
◎…ゴムかすの付着があるゴムローラがなかった。
○…1本以上のゴムローラにゴムかすの付着が認められたが、ナイロン製ブラシで簡単に除去できた。
△…1本以上のゴムローラにゴムかすの付着が認められ、真鍮製ブラシを使用しないと除去できなかった。
×…1本以上のゴムローラにおいてゴムかすが強固に張り付いており、真鍮製ブラシでも完全に除去できなかった。
(b)押出し加工性
図1の押出成形機を用いて連続して100本ゴムローラを作製し、押出し時のゴム収縮による軸体からのゴム層浮き・はがれを目視で観察した。そして、以下の基準に基づいて評価した。
〇…軸体からのゴム層浮き・はがれがなかった。
△…100本中、1〜5本に軸体からのゴム層浮き・はがれがあった。
×…10本以上に軸体からのゴム層浮き・はがれがあった。
(実施例2)
メッキ浴として「カニフロンA」:「カニフロンB」(商品名、日本カニゼン(株)製、「カニフロンB」のメッキ時のPTFE共析量:5vol%)=1:4の割合で調製したものを使用したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。なお、このメッキ浴を用いて軸体をメッキ処理することにより、メッキ皮膜中のPTFE粒子の含有量は8vol%となる。
(実施例3)
メッキ浴として「カニフロンA」:「カニフロンS」(商品名、日本カニゼン(株)製、「カニフロンS」のメッキ時のPTFE共析量:30vol%)=7:3の割合で調製したものを使用したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。なお、このメッキ浴を用いて軸体をメッキ処理することにより、メッキ皮膜中のPTFE粒子の含有量は23vol%となる。
(実施例4)
軸体形状として、片端部の形状がDカット状のもの(図3)を使用したこと以外は実施例1と同様にゴムローラを得た。
(実施例5)
軸体形状として、片端部の端面中央から軸体長手方向にφ2のピンを有するもの(図4)を使用したこと以外は実施例1と同様にゴムローラを得た。
(実施例6)
軸体形状として、両端部の端面にテーパー状のザグリを有するもの(図5)を使用したこと以外は実施例1と同様にゴムローラを得た。
(実施例7)
軸体上のメッキ皮膜中のPTFE粒子含有量が5vol%となるように、メッキ浴として「カニフロンB」を使用し、軸体形状として、片端部の形状がDカット状のもの(図3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。
(実施例8)
軸体上のメッキ皮膜中のPTFE粒子含有量が30vol%となるように、メッキ浴として「カニフロンS」を使用し、軸体形状として、片端部の形状がDカット状のもの(図3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。
(比較例1)
軸体上にPTFE粒子を含まない無電解ニッケルメッキ皮膜を設けるため、メッキ浴として「シューマーSE−660」(商品名、日本カニゼン(株)製)を使用し、軸体形状として、片端部の形状がDカット状のもの(図3)を使用したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。
(比較例2)
形状が片端部の形状がDカット状(図3)の軸体に対し、比較例1と同様にPTFE粒子を含まない無電解ニッケルメッキを施し、熱風炉を用いて300℃で60分かけてメッキ皮膜を熱処理した。この軸体を用いて、実施例1と同様にゴムローラを得た。
(比較例3)
比較例1と同様にTPFE粒子を含まない無電解ニッケルメッキ皮膜を設けた軸体に対し、ゴムローラとして使用する際に軸受け部に相当する両端部分(両端面からそれぞれ10mm)にフッ素系離型剤(商品名:ダイフリーME313、ダイキン工業(株)製)を塗布したこと以外は、実施例1と同様にゴムローラを得た。
(結果まとめ)
結果を表1にまとめる。
実施例1〜3はフッ素樹脂粒子を8〜23vol%含有するニッケルメッキを施した軸体を用いてゴムローラを作製した場合である。フッ素樹脂含有量に応じて軸体両端部におけるゴム張り付きの様子が異なり、実施例2ではナイロン等のブラシによる清掃が必要となる場合があった。しかし、その清掃作業は容易であり、また押出し加工性においてはいずれの場合も良好であったことから、実用上、問題なく使用できる。
実施例4〜6はニッケルメッキ皮膜中のフッ素樹脂粒子を20vol%に固定し、複雑な端部形状を有する軸体を用いた場合である。いずれの場合もゴムの張り付きは確認されず、押出し加工性も良好であったことから、実用上好ましく使用できると思われる。
実施例7および8はニッケルメッキ皮膜中のフッ素樹脂粒子が7vol%未満あるいは25vol%を越えるものを使用した場合である。フッ素樹脂粒子が7vol%未満である実施例7では押出し加工性には問題ないものの、フッ素樹脂による離型効果が不十分なために両端部のゴム張り付きが発生し、真鍮製ブラシを使用しないと完全に除去できない場合があった。一方、フッ素樹脂粒子が25vol%を越える実施例8では、離型効果が高いために、押出し工程で軸体とゴムを共押出ししたとき、軸体両端部でゴム収縮によるゴム剥離が生じる場合があった。いずれの場合も、例えばニッケルメッキ皮膜へのゴム張り付きの要因である、ゴム中の硫黄系加硫剤の添加量の調整や、押出し時にゴムローラの両端部を把持しながら引き取る等の加工方法の改良により実用可能である。しかし、これらの結果からメッキ皮膜中のフッ素樹脂粒子の好ましい濃度は7〜25vol%であると言える。
比較例1はフッ素樹脂を含まないニッケルメッキ皮膜を設けた軸体を用いた場合である。この場合ではメッキ皮膜中のニッケルとゴム中の硫黄系加硫剤との化学反応により、非常に強固なゴム張り付きがゴムローラ全数に発生し、ブラシ等の清掃では全く除去できなかった。
比較例2は比較例1で使用した軸体を熱処理したものを使用した場合である。この場合、比較例1のようなメッキ皮膜とゴム組成物中の硫黄系加硫剤との化学反応は生じないため、強固なゴム張り付きは発生しないが、加硫後のゴムローラの両端部にカッター刃を入れる工程で発生するゴム切粉(ゴムかす)が軸体の金属面に付着しやすかった。また、軸体端部形状が複雑なため、清掃作業性も困難となり、完全にゴムかすを除去することができなかった。
比較例3では比較例1と同様の軸体に対し、軸体両端部分に離型剤を塗布した場合である。しかし、軸体端部の形状が複雑なために離型剤を均一に塗布することが困難であり、塗布ムラの部分で強固なゴム張り付きが発生した。また、押出し加工性についてもゴム収縮による接着不良が発生したため、実用的ではないと思われる。
Figure 2009265495
実施例1で使用した軸体の端部形状の概念図である。 本発明に係るゴムローラの製造方法の例を示す概略図である。 実施例4で使用した軸体の端部形状の概念図である。 実施例5で使用した軸体の端部形状の概念図である。 実施例6で使用した軸体の端部形状の概念図である。
符号の説明
1 メッキ皮膜が設けられた軸体(接着剤塗布済み)
2 軸体供給機構
3 ゴム押出し機
4 クロスヘッドダイ
5 ゴムローラ引き取り・切断機構
6 未加硫ゴムローラ
7 未加硫ゴムローラの把持・搬送機構
8 連続加硫・冷却炉
9 ゴムローラ両端部のゴム切断機構
10 ゴムローラ

Claims (7)

  1. 少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を有する軸体と、該軸体の外周上に加硫ゴム弾性層と、を有することを特徴とするゴムローラ。
  2. 前記フッ素樹脂粒子は、前記メッキ皮膜の体積に対して7vol%以上25vol%以下の濃度で含まれていることを特徴とする請求項1に記載のゴムローラ。
  3. 前記メッキ皮膜は、無電解ニッケルメッキ法によりフッ素樹脂粒子を共析させて設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴムローラ。
  4. 軸体上に加硫ゴム弾性層が設けられたゴムローラの製造方法であって、
    (1)軸体に少なくともニッケル及びフッ素樹脂粒子を含むメッキ皮膜を設ける工程と、
    (2)前記メッキ皮膜が設けられた軸体の外周上に、硫黄系加硫剤を含む未加硫ゴム組成物層を配置する工程と、
    (3)前記未加硫ゴム組成物層を加熱加硫する工程と、
    を有することを特徴とするゴムローラの製造方法。
  5. 前記工程(1)において、前記メッキ皮膜は、無電解ニッケルメッキ法によりフッ素樹脂粒子を共析させて設けられることを特徴とする請求項4に記載のゴムローラの製造方法。
  6. 前記無電解ニッケルメッキ法において用いるメッキ浴中に、前記フッ素樹脂粒子が7vol%以上25vol%以下の共析量となる濃度で含まれていることを特徴とする請求項5に記載のゴムローラの製造方法。
  7. 前記工程(2)は、未加硫ゴム組成物を押出すと同時に前記軸体を押出成型機のクロスヘッドダイに連続的に通過させて該軸体の外周面上に該未加硫ゴム組成物層を形成する工程であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のゴムローラの製造方法。
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