JP5859623B1 - 炭素繊維用ピッチの製造方法及びそれによって製造された炭素繊維用ピッチ - Google Patents

炭素繊維用ピッチの製造方法及びそれによって製造された炭素繊維用ピッチ Download PDF

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Abstract

【課題】特定のラジカルソースを用いた石油工程残渣油内の各分子のラジカル架橋を通じて酸化安定性及び引張強度を向上させることができ、キノリン不溶性(QI)含量が低い、高軟化点炭素繊維用ピッチの製造方法及びそれによって製造された炭素繊維用ピッチを提供する。【解決手段】石油工程残渣油にペルオキシド系化合物とオゾンを装入し、これを熱処理して反応させることを特徴とする炭素繊維用ピッチの製造方法を構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、炭素繊維用ピッチに関し、より詳細には、ラジカル架橋(Crosslinking)を通じて高軟化点を有する炭素繊維用ピッチを製造する方法及びそれによって製造された炭素繊維用ピッチに関する。
炭素繊維は、原料物質によってPAN(Polyacrylonitrile)系、セルロース系、ピッチ系、フェノール樹脂系に区分され、このうち、ピッチ系炭素繊維は、前駆体であるピッチの種類によって、液晶(Mesophase)ピッチ系炭素繊維と、等方性(Isotropic)ピッチ系炭素繊維とに大きく分けられる。
前記液晶ピッチ系炭素繊維は、前駆体として光学的に異方性である液晶ピッチを使用して製造し、等方性ピッチ系炭素繊維は、前駆体として光学的に等方性である等方性ピッチを使用して製造する。炭素繊維の機械的物性は、液晶ピッチ系炭素繊維が一般に高強度及び高弾性を示す一方、等方性ピッチ系炭素繊維は低強度及び低弾性の汎用的な物性を示す。
しかし、液晶ピッチ系炭素繊維は、超高温材料などの制限された範囲に応用されているので、汎用炭素繊維の製造のための等方性前駆体ピッチの製造がさらに要求されている。このような汎用炭素繊維は、価格が低い一方、高強度及び高弾性を必要とするので、物性を向上させるためには初期原料と製造工程の研究がさらに必要な実情にある。
ピッチ系炭素繊維は、前駆体であるピッチを放射器を使用して溶融・放射して繊維化した後、繊維化されたピッチを150℃〜350℃の温度範囲の酸化性雰囲気で一定時間酸化安定化処理した後、700℃〜3000℃の温度範囲の不活性雰囲気で用途に応じて一定時間処理して製造することが一般的である。
炭素繊維の製造時、繊維の製造原価は、原料である前駆体ピッチの価格、前駆体ピッチの放射性、酸化安定化の速度、炭化処理後の炭化収率などによって影響を受け、製造工程別所要時間においては長時間の反応が必須な酸化安定化工程が最も長い時間を要すると知られており、酸化安定化性能に優れた前駆体ピッチの開発が重要な技術として知られている。
等方性ピッチ系炭素繊維の原料として使用される、軟化点が200℃以上である等方性ピッチの製造方法としては、石炭系ピッチから真空蒸留及び溶剤抽出によって低分子量成分を除去する方法、単純熱縮合によって原料中の低分子量成分を縮合して高分子成分に変える方法、及び前記二つの方法を並行して製造する方法を挙げることができる。しかし、このような方法では、広い分子量分布を有する原料から比較的狭い範囲の分子量分布を有する等方性ピッチを製造することはできるが、収率が低いだけでなく、加熱時に容易に液晶化される成分が残るなど、製造したピッチの均質性及び放射性などの面で短所がある。
最近は、価格が低いと共に、弾性率と熱及び電気伝導性に優れた石油精製残留物を等方性ピッチ系炭素繊維の原料として用いる研究が活発に進められている。このうち、特に石油系対象原料として、 FCC―DO(fluidized catalytic cracking decant oil)、PFO(pyrolized fuel oil)は、芳香族化度が高く、硫黄と不溶分の含量が少ないことから、高強度炭素繊維やニードルコークス(needle coke)、人造黒鉛などの高付加炭素材料に適した原料として注目されている。
特許文献1(1999.02.25.公開)には、石油系物質を炭素源として用いて、ハロゲン化合物とラジカル開始剤を石油系物質と反応させることによって炭素繊維の前駆体として使用可能なピッチを製造する高軟化点光学的等方性ピッチの製造方法が開示されている。
大韓民国登録特許公報0244912号
本発明の目的は、特定のラジカルソースを用いた石油工程残渣油内の各分子のラジカル架橋を通じて酸化安定性及び引張強度を向上させることができ、キノリン不溶性(QI)含量が低い、高軟化点炭素繊維用ピッチの製造方法及びそれによって製造された炭素繊維用ピッチを提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の実施例に係る炭素繊維用ピッチの製造方法は、石油工程残渣油にペルオキシド系化合物とオゾンを装入し、これを熱処理して反応させることを特徴とする。
また、前記目的を達成するための本発明の一実施例に係る炭素繊維用ピッチは、250℃〜320℃の高軟化点、1,000〜10,000の重量平均分子量及び106%以下の酸素飽和度を有することを特徴とする。
また、前記目的を達成するための本発明の他の実施例に係る炭素繊維用ピッチは、キノリン不溶性(QI)含量が5重量%以下であることを特徴とする。
本発明に係る炭素繊維用ピッチの製造方法は、次のような効果を有する。
一つ目、ペルオキシド系化合物とオゾンをラジカルソースとして用いて、ヒドロキシルラジカル(・OH)の生成による新規のピッチ製造方法を提供する。
二つ目、ラジカル架橋を通じて分子量を増加させることによって、各ピッチ分子の酸素飽和度の減少によって酸化安定化時間を短縮させることができる。
三つ目、ラジカル架橋を通じてσ―結合からなる各縮合芳香族が繊維方向に配向されることによって、炭素繊維の引張物性を向上させることができる。
四つ目、高温重合によるアスファルテンの凝集を防止し、原料の酸化による不融化成分の形成を抑制することができ、繊維適用性が高い。
五つ目、ペルオキシド系化合物とオゾンを用いたラジカル重合反応の副産物として水(H2O)とアルコールが発生するので、環境にやさしい工程構築が可能である。
六つ目、別途の触媒が必要でなく、100℃〜200℃の低温で比較的高い収率を得ることができる。
本発明によると、高軟化点及び高強度を有しながらも酸化安定性及び酸化不融化性に優れ、キノリン不溶性(QI)含量が低い炭素繊維用ピッチを提供することができる。
実施例3及び比較例1によって収得されたピッチに対する空気中でのTG(Thermogravimetric)曲線を示したグラフである。 実施例3及び比較例1によって製造されたピッチを用いて製造された炭素繊維の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真である。
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に説明している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を称する。
以下、本発明に係る炭素繊維用ピッチの製造方法について詳細に説明する。
本発明の実施例に係る炭素繊維用ピッチの製造方法は、石油工程残渣油にペルオキシド系化合物とオゾンを装入し、これを熱処理してラジカル重合反応させることを特徴とする。
ここで、前記石油工程残渣油は、炭素繊維用ピッチの炭素源であって、ナフサ分解工程の副産物として得られる残渣油、すなわち、ナフサ分解残渣油(Naphtha Cracking Bottom Oil;NCB Oil)であることが好ましい。
前記ナフサ分解残渣油は、熱分解燃料油(Pyrolized Fuel Oil;PFO)を含むことが好ましい。前記熱分解燃料油(PFO)は、ナフサクラッキング工程(naphtha cracking center;NCC)の塔底で生成されるものであって、芳香族化度が高く、樹脂の含量が豊富であり、本発明の炭素繊維用ピッチの製造方法に適している。
前記熱分解燃料油(PFO)は、多様な芳香族炭化水素類を含んでおり、ナフタレンとメチルナフタレン誘導体が約25%〜35%を占める。前記ナフタレンとメチルナフタレン誘導体の具体例としては、エチルベンゼン、1―エテニル―3―メチルベンゼン、インデン、1―エチル―3―メチルベンゼン、1―メチルエチルベンゼン、2―エチル―1,3―ジメチルベンゼン、プロピルベンゼン、1―メチル―4―(2―プロペニル)―ベンゼン、1,1a,6,6a―テトラヒドロ―シクルロプロパ[a]インデン)、2―エチル―1H―インデン、1―メチル―1H―インデン、4,7―ジ―メチル―1H―インデン、1―メチル―9H―フルオレン、1,7―ジメチルナフタレン、2―メチルインデン、4,4'―ジメチルビフェニル、ナフタレン、4―メチル―1,1'―ビフェニル、アントラセン、2―メチルナフタレン、1―メチルナフタレンなどを挙げることができる。
本発明において、前記石油工程残渣油、すなわち、炭素源は、低沸点物が除去されたものであってもよい。低沸点物は、ほとんどが揮発されて反応に参加しないので、ピッチ収率が極めて低いものであって、C4〜C20の炭化水素がこれに属する。本発明では、このような低沸点物を除去した炭素源を使用する場合、炭素源をより高い収率で高軟化点ピッチに製造することができる。
本発明において、ペルオキシド系化合物とオゾン(ozone、O3)は、ラジカルソースであって、熱分解(thermal cracking)によってヒドロキシルラジカル(Hydroxyl Radical、・OH)を生成する。
一例として、前記ペルオキシド系化合物は、ジクミルペルオキシド(dicumylperoxide;DCP)、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert―ブチルヒドロペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシドのうち1種以上を含んでもよい。
前記ペルオキシド系化合物は、前記石油工程残渣油100重量部に対して5重量部〜50重量部の比率で装入されることが好ましい。また、前記オゾンは、ガス状態で供給されてもよく、20g/m2〜100g/m2、好ましくは、25.8g/m2の部分圧の条件で装入されてもよい。
前記ペルオキシド系化合物が5重量部未満で装入されるか、前記オゾンが20g/m2未満の部分圧で装入される場合、反応に参加するラジカルの生成量が少ないので、要求するピッチの製造が難しくなる。
その一方、前記ペルオキシド系化合物が50重量部を超えて装入されるか、前記オゾンが100g/m2を超える部分圧で装入される場合、ラジカルは多量発生するが、原料の酸化による不融化成分が形成される。
下記の[ターゲット反応式1]を通じて本発明に係るラジカル重合反応を具体的に説明する。
[ターゲット反応式1]
Figure 0005859623
まず、本発明は、炭素源として石油工程残渣油などの原料物質に、ラジカルソースであるペルオキシド系化合物とオゾンを装入する。
この過程で、石油工程残渣油とペルオキシド系化合物を反応器に装入して混合した後、ガス状態のオゾンを一定の部分圧に維持しながら反応器に装入することがより好ましい。石油工程残渣油とペルオキシド系化合物とを混合したり、オゾンが装入された状態で撹拌をさらに実施することもできる。
その後、オゾンが装入された状態で熱処理を実施し、ラジカル重合反応を誘導する。
熱処理が実施されると、まず、石油工程残渣油内で熱分解反応が起こり、ガス、硬質油分が系外に放出されると同時に、ペルオキシド系化合物とオゾンからヒドロキシルラジカル(・OH)が生成される。
その後、芳香族構造を有する石油工程残渣油内の各分子が生成されたヒドロキシルラジカル(・OH)によってラジカル架橋結合を形成するようになり、各石油工程残渣油内の各分子の鎖延長反応が起こりながら、重縮合高分子化(polycondensation)が生じる。これによって、最終的に250℃以上、好ましくは250℃〜320℃の高温の軟化点を有する等方性ピッチが合成され、これは、表1及び図1〜図2を通じて確認した。
本発明では、ラジカル架橋を通じた重縮合反応が進められながら、長い鎖の下側に多数の芳香族構造を有する縮合多環芳香族群を形成するようになる。
ラジカル加硫(Radical Vulcanization)は、主に高分子の架橋に用いられるが、これは、分岐型芳香族(Branched Aromatic)の場合、高分子より共鳴安定性(Resonance Stabilization)が強いことから、ラジカルが鎖内の水素原子と結合及び除去される反応がより容易であるためである。
本発明は、上述したラジカル加硫の原理を適用して、ヒドロキシルラジカル(・OH)を通じて石油工程残渣油内の芳香族炭化水素の結合を誘導し、線形分子シリーズ(linear molecule series)形成ピッチの重量平均分子量を約1,000〜10,000程度に増加させることができる。
一方、本発明で製造されたピッチは、重量平均分子量が1,000〜10,000程度と既存に比べて高いと共に、キノリン不溶性(QI)含量が5重量%以下と低いので(好ましくは0%)、放射性に優れると共に、これから製造される炭素繊維の引張強度及びモジュラスに優れるという特徴を有する。
ピッチ分子量の増加は、各ピッチ分子の酸素飽和を少なくし、酸化安定化時間を短縮できるという効果を提供するので、結果的に、酸化安定性に優れた前駆体ピッチの製造を可能にする。ピッチの分子量増加による酸化飽和度の減少は、表1を通じて確認した。
また、ラジカル架橋を通じた重縮合反応が進められながら生成された芳香族化合物間のσ―結合からなる各縮合多環芳香族の線形分子は、繊維方向に配向されるようになる。したがって、このピッチを用いると、炭素繊維の引張強度などの物性を向上させることができ、これは、表2を通じて確認した。
ここで、ヒドロキシルラジカル(・OH)の生成及びラジカル架橋を通じたラジカル重合反応の誘導のために、熱処理は100℃〜200℃の温度で実施されることが好ましい。
加熱温度が100℃未満である場合は、ペルオキシド系化合物とオゾンからのヒドロキシルラジカル(・OH)の形成が不可能になる一方、加熱温度が200℃を超える場合は、鎖延長反応が終結され、要求する分子量を有するピッチの製造が難しくなり得る。
また、反応時間は1時間〜10時間であることが好ましい。反応時間が1時間未満である場合は、十分な反応が不可能になる一方、反応時間が10時間を超える場合は、反応中に固化が起こり得るという問題がある。
以上では、オゾンを装入した状態で熱処理を実施することを説明したが、オゾンを装入・熱処理して反応させるという意味には、オゾンを装入(供給)しながら熱処理を同時に実施することも含まれることは当然である。
このように、本発明は、別途の触媒が必要でなく、100℃〜200℃の低温でヒドロキシルラジカル(・OH)を用いたラジカル重合反応を通じたピッチの分子量増加を通じて、表1に記載したように20%以上の比較的高い重合収率を得ることができた。
また、図2のように、高温重合によるアスファルテンの凝集を防止し、原料の酸化による不融化成分の形成を抑制することができ、酸化不融化性に優れるので、繊維適用性が高いという長所を有する。
さらに、図面には示していないが、本発明のピッチ製造方法によると、ペルオキシド系化合物とオゾンをラジカルソースとして用いることによって、ラジカル重合反応の副産物として水(H2O)とアルコールが発生するが、このような反応副産物は人体に無害な成分であるので、環境にやさしい工程構築が可能である。
一方、本発明において、石油工程残渣油が、低沸点物が除去されていない状態で使用される場合、反応が完了した結果物を昇温することによって低沸点物を除去する2次熱処理をさらに実施してもよい。
この場合、反応が完了した結果物を昇温することによって到逹する2次熱処理温度は、300℃〜400℃であることが好ましい。2次熱処理温度が300℃未満である場合は、低沸点物の十分な除去が難しくなる一方、2次熱処理温度が400℃を超える場合は、分解反応及び急速なコーキング反応による反応物遺失及びコーキングの問題がある。
また、低沸点物を除去するための2次熱処理は、1/2時間〜10時間実施されることが好ましい。2次熱処理時間が1/2時間未満である場合は、低沸点物の十分な除去が不可能である一方、2次熱処理時間が10時間を超える場合は、コーキング及び分解反応の問題がある。
上述したように、本発明のピッチ製造方法によると、高軟化点及び高強度などを有すると共に、酸化安定性及び酸化不融化性に優れた炭素繊維用ピッチを提供することができる。
したがって、本発明に係るピッチは、炭素繊維、活性炭素繊維、炭素―炭素複合体のバインダー物質、リチウムイオン2次電池負極用炭素材などの高機能性炭素材の原料及び前駆体として使用されてもよい。
実施例
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであって、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。ここに記載していない内容は、この技術分野で熟練した者であれば十分に技術的に類推可能であるので、それについての説明は省略する。
(1)ピッチの製造
実施例1〜10
熱分解燃料油(PFO)とジクミルペルオキシド(dicumylperoxide;DCP)あるいは過酸化水素を反応器に装入して混合した後、オゾン(O3)ガスを装入しながら熱処理し、ラジカル重合反応を進めた。
ラジカル重合反応の終了後、一定時間にわたって流量2L/minの窒素ガスを結果物に通過させることによって未反応または低反応分子を除去し、実施例1〜10によって製造されたピッチを収得した。
各実施例の反応条件は、下記の表1に示した通りである。
比較例1
熱分解燃料油(PFO)を反応器に装入した後、窒素雰囲気で熱処理することによって熱重合反応を進めた。
熱重合反応の終了後、5時間にわたって流量2L/minの窒素ガスを結果物に通過させることによって未反応または低反応分子を除去し、ピッチを収得した。
比較例の反応条件は、下記の表1に示した通りである。
(2)ピッチの物性評価
前記実施例1〜10及び比較例1によって収得されたピッチの軟化点、分子量、酸素飽和度、トルエン不溶性(TI)含量、キノリン不溶性(QI)含量、ベータレジン(TI―QI)含量及び収率を測定し、下記の表1に示した。
前記実施例3及び比較例1によって収得されたピッチに対する空気中でのTG(Thermogravimetric)を分析し、これを図1に示した。
ここで、収率は、反応の重合度を意味する。
図1は、実施例3及び比較例1によって収得されたピッチに対する空気中でのTG曲線を示したグラフである。
Figure 0005859623
表1及び図1を参照すると、DCP及び過酸化水素のうちいずれか一つとO3をラジカルソースとして用いた実施例1〜10は、いずれも軟化点と収率の面で目標とした物性を満足しており、熱重合反応を用いた比較例1より著しく増加した分子量によって酸素飽和度が著しく低下し、収率も向上したことが分かる。
また、実施例1〜3を比較した結果、PFO改質において反応時間が5時間である場合に収率が最適化され、分子量は反応時間に比例して増加することが分かる。
また、実施例3、5、7を比較した結果、オゾン濃度が増加しても収率及び分子量の変化が大きくないので、反応に必要なオゾン濃度以上になる必要はないことが分かる。
また、実施例3と実施例9を比較した結果、DCPを用いる場合、分子量と収率は、熱処理温度が増加すると減少することが分かる。これは、DCPの温度に応じた分解速度による差のため、170℃では分解速度が非常に速いので、DCPが反応に十分に参加できないためである。
また、実施例3と実施例4を比較した結果、過酸化水素とオゾンが同時に存在するとき、DCPとオゾンが同時に存在する場合より収率が大きく増加することが分かる。
また、実施例4、6、8を比較した結果、過酸化水素も、オゾン濃度が増加しても収率及び分子量変化が大きくないので、反応に必要なオゾン濃度以上は必要でないことが分かる。
また、実施例4と実施例10を比較した結果、熱処理温度が増加するほど過酸化水素分解を促進し、収率が増加することが分かる。
また、実施例1〜10を通じて、ピッチの収率が増加するほど分子量が増加することが分かる。
また、表1を参照すると、DCP及び過酸化水素のうちいずれか一つとO3をラジカルソースとして用いた実施例1〜10は、いずれもキノリン不溶性(QI)含量が低い物性を示すので、放射性に優れることが分かる。
(3)炭素繊維の製造
前記実施例3及び比較例1によって製造されたピッチを用いて、通常の方法である放射、酸化、炭化過程を経て炭素繊維を製造した。
その後、製造された炭素繊維のそれぞれの正面と断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)で観察した。
図2は、実施例3及び比較例1によって製造されたピッチを用いて製造された炭素繊維のSEM写真である。
図2に示したように、本発明で提示した合成条件を満足する実施例3によって製造されたピッチを用いた場合、球状の不融化成分がほとんど形成されなく、最終的に製造された炭素繊維が等方性を有することを確認することができた。
その一方、熱重合反応を用いた比較例1によって製造されたピッチを用いた場合、最終的に製造された炭素繊維も等方性を有するが、球状の不融化成分が多量形成されることを確認することができた。
(4)炭素繊維の引張強度及びモジュラス評価
前記実施例3によって製造されたピッチを用いた炭素繊維A1〜A10及び比較例1によって製造されたピッチを用いた炭素繊維B1〜B10のそれぞれの引張強度及びモジュラスを評価し、その結果を表2に示した。
このとき、モジュラスは、引張強度に対する弾性係数(ヤング率)を意味する。
Figure 0005859623
表2を参照すると、本発明の実施例3によって製造されたピッチを用いた炭素繊維の場合、比較例1によって製造されたピッチを用いた炭素繊維に比べて平均引張強度及び平均モジュラスがいずれも高く、平均引張強度0.7416GPaの高強度と平均モジュラス44.0803GPaの高弾性を有することを確認することができた。
以上では、本発明の実施例を中心に説明したが、これは例示的なものに過ぎなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する技術者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることを理解するだろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下で記載する特許請求の範囲によって判断すべきであろう。

Claims (15)

  1. 石油工程残渣油にペルオキシド系化合物とオゾンを装入し、これを100℃〜200℃の温度で熱処理して反応させることを特徴とする炭素繊維用ピッチの製造方法。
  2. 前記ペルオキシド系化合物は、ジクミルペルオキシド(dicumylperoxide;DCP)、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert―ブチルヒドロペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシドのうち1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  3. 前記オゾンは、20g/m2〜100g/m2の部分圧で装入されることを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  4. 前記反応は、1時間〜10時間実施されることを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  5. 前記炭素繊維用ピッチの製造方法は、
    熱分解反応によって前記ペルオキシド系化合物と前記オゾンからラジカル(Hydroxyl Radical、・OH)が生成される熱分解ステップと、
    前記石油工程残渣油内の各分子が前記ヒドロキシルラジカル(・OH)を通じてラジカル架橋結合を形成し、鎖延長反応を起こす架橋及び重縮合反応ステップと、を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  6. 前記石油工程残渣油は、ナフサ分解残渣油を含むことを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  7. 前記ナフサ分解残渣油は、熱分解燃料油(pyrolized fuel oil;PFO)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  8. 前記ペルオキシド系化合物は、前記石油工程残渣油100重量部に対比して5重量部〜50重量部の比率で装入されることを特徴とする、請求項1、2またはに記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  9. 前記石油工程残渣油は、低沸点物が除去されたものを含むことを特徴とする、請求項1、またはに記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  10. 前記反応が完了した結果物を昇温することによって低沸点物を除去する熱処理をさらに含むことを特徴とする、請求項1またはに記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  11. 前記低沸点物を除去する熱処理は、300℃〜400℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項10に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  12. 前記低沸点物を除去する加熱処理は、
    1/2時間〜10時間にわたって実施されることを特徴とする、請求項10に記載の炭素繊維用ピッチの製造方法。
  13. 重量平均分子量が1,175〜10,000であることを特徴とする炭素繊維用ピッチ。
  14. 酸素飽和度が106%以下であることを特徴とする炭素繊維用ピッチ。
  15. 重量平均分子量が1,175〜10,000で、キノリン不溶性(QI)含量が5重量%以下で、酸素飽和度が106%以下であることを特徴とする炭素繊維用ピッチ。
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