JP5856929B2 - 角形二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
注液口は封口板に設けられ、封口板の注液口の周囲は、段状の切り欠き部が形成されている。封止栓は、EPゴムで形成された突状部と平板状の押え板とから構成されている。突状部の先端部分の外周は、注液口の内面に圧接されてこの部分をシールする。また、突状部の押え板側には幅広のベース部分が形成されており、このベース部分が、注液口の周囲に設けられた封口板の切り欠き部をシールする(例えば、特許文献1参照)。
また、本発明の角形二次電池の製造方法は、電池容器の一側面に設けられた注液口から電解液を注入し、注液口を封止栓により封止する角形二次電池の製造方法において、注液口は、注液用貫通孔と、電池容器の外面側における注液用貫通孔の周囲に設けられた縁取り部とを備え、封止栓は、注液用貫通孔の内面と所定のギャップを存して注液用貫通孔に挿通される嵌入部と、嵌入部の外周に設けられた鍔状部と、嵌入部と鍔状部の中央部に設けられた中空部とを備え、中空部は、嵌入部に設けられた径小部分と、鍔状部に設けられた径大部分と、径小部分と径大部分との境界部に設けられたなだらかな稜線部とを有し、封止栓の嵌入部を注液用貫通孔内に挿通する工程と、稜線部を押圧して、稜線部に対応する封止栓の外周側における鍔状部と嵌入部の境界部分の少なくとも一部を注液口の縁取り部に当接する工程と、封止栓の鍔状部の外周側を注液口周囲の電池容器に接合する工程と、を備えることを特徴とする。
[角形二次電池の全体構造]
以下、この発明の角形二次電池およびその製造方法の一実施形態を図面と共に説明する。
図1は、この発明の角形二次電池の一実施の形態を示す外観斜視図であり、図2は、図1に示された角形二次電池の分解斜視図である。以下の説明では、角形二次電池をリチウムイオン二次電池として説明する。
図1に示すように、角形二次電池100Aは、電池缶101と電池蓋102とから構成される電池容器103を備えている。電池缶101および電池蓋102の材質は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などのアルミニウム系金属である。
図3を参照して、発電要素170について説明する。図3は、図2に図示された発電要素を、その捲回終端部側を展開した状態の斜視図である。
蓄電要素である発電要素170は、図3に示すように、長尺状の正極電極174および負極電極175を、セパレータ173を介在させて捲回軸Wの周りに扁平形状に捲回することで積層構造とされている。すなわち、発電要素170は、捲回方向の両端部に断面が半円弧形状の円弧部が形成され、両端部間がほぼ平坦な平坦部を有する扁平形状の電極捲回群である。
次に、封止栓120による注液口110の封止構造について説明する。
図4は、封止栓と、注液口周辺における電池蓋の外観斜視図であり、図5(a)は封止栓の断面図であり、図5(b)は注液口周辺における電池蓋の断面図である。
注液口110は、電池蓋102の厚さ方向に貫通して形成され、小径の注液用貫通孔111と、大径の溝部112とを有する段付き円筒形状を有している。注液用貫通孔111と溝部112とは同心円に形成され、溝部112は、電池蓋102の上面(表面)側に設けられている。溝部112は、例えば、座ぐり加工により形成される。
注液用貫通孔111の溝部112側の周縁部には、溝部112側に向かって径が拡大する傾斜面を有する縁取り部111aが形成されている。縁取り部111aは、傾斜面に代えて円弧状の湾曲面としてもよい。
封止栓120の嵌入部121の外形D0は、注液口110の注液用貫通孔111の直径d1よりも小さく形成されている。従って、封止栓120の嵌入部121は注液口110の注液用貫通孔111に挿通すると、封止栓120の嵌入部121と注液口110の注液用貫通孔111との間にはギャップG(図7(b)参照)が形成される。
次に、封止栓120により注液口110を封止する方法について説明する。
図6は、封止栓と拡開用の治具の関係寸法を説明するための図であり、図7(a)は封止栓による注液口の封止が完了した状態の断面図、図7(b)は図7(a)における一部の拡大図であり、封止栓と注液口との関係寸法を説明するための図である。
図6は、封止栓120を注液口110に挿通した状態を示している。上述した如く、封止栓120の嵌入部121の外形D0は、注液口110の注液用貫通孔111の直径d1よりも小さく形成されているため、嵌入部121を注液用貫通孔111に挿通する際、
嵌入部121と注液用貫通孔111との間には、圧接力が作用することがない。嵌入部121と注液用貫通孔111とが圧接により嵌合されると、嵌入部121および/または電池蓋102の表面が剥がれ、その材料であるアルミニウム金属等の金属粒子が電池容器103内に脱落する可能性が高い。これに対し、本発明の一実施の形態によれば、嵌入部121を注液用貫通孔111に挿通する際、嵌入部121および/または電池蓋102の表面の金属粒子が金属容器103内に脱落することはない。
また、封止栓120の稜部123は、注液口110の縁取り部111aの斜め上方に配置される。
なお、封止栓120の嵌入部121の周縁部には傾斜部121aが形成されているため、嵌入部121を注液用貫通孔111に挿通する工程が容易となる。
拡開用の治具60は、ほぼ円筒形状を有し、先端側が径小となる方向に傾斜する傾斜部61を有する。拡開用の治具60の先端部62の直径d2は封止栓120の中空部125の径小部分125aの直径d4より小さく、治具60の外径d3は中空部125の径小部分125aの直径d4より大きく形成されている。
従って、この治具60の先端側を封止栓120の中空部125内に挿入すると、治具60の傾斜部61が、封止栓120の稜部123に当接する。
封止栓120の稜部123は、注液口110の縁取り部111aの斜め上方に配置されているため、治具60の傾斜部61により封止栓120の稜部123は、図7(a)に図示されるように、注液口110の縁取り部111aに当接し、縁取り部111aの形状に倣って傾斜状に変形する。治具60による押圧は、封止栓120の稜部123が注液口110の縁取り部111aに当接する程度で止めてもよいが、さらに押圧して封止栓120の稜部123の肉厚が薄くなるように圧接してもよい。ここでは、「当接する」は、「圧接する」を含む用語として用いることとする。
ここで、封止栓120の嵌入部121と注液口110の注液用貫通孔111とのギャップGは、全周に亘って、均一であるとは限らない。一部の箇所では、嵌入部121と注液用貫通孔111が接触している場合もある。しかし、他の箇所、特に接触している一部の箇所の対向側では、封止栓120の嵌入部121と注液口110との間にはギャップGが存する。このような場合であっても、封止栓120の嵌入部121を注液用貫通孔111に挿通する際、両部材間に圧接力が作用することはないから、金属粒子の脱落を防ぐことができる。従って、本明細書では、少なくとも、一部の箇所にギャップGが存すれば、封止栓120の嵌入部121と注液口110の注液用貫通孔111との間にギャップGが存する構造であると定義する。
この状態で、治具60を上昇させ、封止栓120を電池蓋102に溶接する。
溶接による接合方法の一例としてレーザ溶接の場合で例示すると、図7(a)に図示された状態で、レーザビームを封止栓120の鍔状部122の外周部に照射する。照射位置は、鍔状部122の外周の僅か内側、例えば、0.05〜0.2mm程度、内側の領域とする。また、ビームの照射角度は、垂直から僅かに時計方向に傾斜した角度、5〜20°程度とする。
接合部分は、鍔状部122の外周のみでよいが、封止栓120の稜部123と注液口110の縁取り部111aが当接する部分に達してもよい。
図8は本発明の実施形態2を示し、図8(a)は拡開用の治具の側面図、図8(b)は注液口に封止栓を挿入した状態の断面図であり、封止栓と治具との関係寸法を説明するための図である。図9は、図8(a)に図示された、電池蓋の注液口を封止する状態の封止栓の平面図である。
実施形態1においては、封止栓120の稜部123の全周を変形させて注液口110の縁取り部111aに当接させる方法であった。
これに対し、実施形態2では、封止栓120の稜部123の一部を変形させて注液口110の縁取り部111aに当接させる方法である。
すなわち、図9に図示されるように、封止栓120は、その稜部123の一部である変形部123aのみが押し広げられて注液口110の縁取り部111aに当接している。
拡開用の治具60Aは、先端部62側に、一対の張出部63を有する。張出部63は、円周方向において所定の幅、すなわち、図9における封止栓120の稜部123の変形部123aの幅を有し、治具60Aに複数個所(本実施形態では2箇所)設けられている。
そこで、治具60Aを押し込むことにより、封止栓120の稜部123の変形部123aのみを拡開して注液口110の縁取り部111aに当接させることができる。
このように、封止栓120の稜部123の変形部123aのみを押し広げるようすると治具60Aにより押圧力を小さいものとすることができ、押圧力による電池容器103の変形や劣化に対して有利である。
なお、封止栓120の稜部123の変形部123aは、3箇所以上、適宜の数を設けるようにすることができる。
また、本発明の角形二次電池の製造方法は、嵌入部封止栓の嵌入部を、注液用貫通孔の内面と所定のギャップを存して注液用貫通孔に挿通し、封止栓の鍔状部の少なくとも一部を注液口の縁取り部に押圧し、封止栓の鍔状部の外周側を注液口周囲の電池容器に接合するものであればよい。
61、64 傾斜部
63 張出部
100A 角形二次電池
101 電池缶
102 電池蓋
103 電池容器
110 注液口
111 注液用貫通孔
111a 縁取り部
112 溝部
120 封止栓
121 嵌入部
122 鍔状部
123 稜部
123a 変形部
125 中空部
141 正極端子
151 負極端子
170 発電要素
G ギャップ
Claims (9)
- 電池容器内に発電要素が収容され、電解液が注入された角形二次電池において、
前記電池容器の一側面に設けられた前記電解液を注入するための注液口と、
前記注液口を封止する封止栓を備え、
前記注液口は、注液用貫通孔と、前記電池容器の外面側における前記注液用貫通孔の周囲に設けられた縁取り部とを備え、
前記封止栓は、前記注液用貫通孔に挿通される嵌入部と、前記嵌入部の外周に設けられた鍔状部と、前記嵌入部と前記鍔状部の中央部に設けられた中空部とを備え、前記中空部は、前記嵌入部に設けられた径小部分と、前記鍔状部に設けられた径大部分と、前記径小部分と前記径大部分との境界部に設けられたなだらかな稜線部とを有し、
前記稜線部が押圧されて、前記稜線部に対応する前記封止栓の外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分の少なくとも一部が前記電池容器の前記縁取り部に当接し、前記注液用貫通孔の内面と前記嵌入部の外面との間にギャップが存する状態で、前記封止栓の前記鍔状部の外周側が前記電池容器に溶接されていることを特徴とする角形二次電池。 - 請求項1に記載の角形二次電池において、前記電池容器は、一側部に開口を有し、内部に発電要素が収容される電池缶と、前記電池缶の前記開口を塞いで前記電池缶に接合される電池蓋とを備え、前記注液口は前記電池蓋に設けられていることを特徴とする角形二次電池。
- 請求項2に記載の角形二次電池において、前記注液口は、前記電池蓋の外面より陥没する溝部を有し、前記封止栓の前記鍔状部は、前記溝部内に配置されていることを特徴とする角形二次電池。
- 請求項2に記載の角形二次電池において、前記電池蓋および前記封止栓はアルミニウム系金属により形成されていることを特徴とする角形二次電池。
- 請求項1に記載の角形二次電池において、前記縁取り部は、傾斜面または湾曲面であることを特徴とする角形二次電池。
- 電池容器の一側面に設けられた注液口から電解液を注入し、前記注液口を封止栓により封止する角形二次電池の製造方法において、
前記注液口は、注液用貫通孔と、前記電池容器の外面側における前記注液用貫通孔の周囲に設けられた縁取り部とを備え、
前記封止栓は、前記注液用貫通孔の内面と所定のギャップを存して前記注液用貫通孔に挿通される嵌入部と、前記嵌入部の外周に設けられた鍔状部と、前記嵌入部と前記鍔状部の中央部に設けられた中空部とを備え、前記中空部は、前記嵌入部に設けられた径小部分と、前記鍔状部に設けられた径大部分と、前記径小部分と前記径大部分との境界部に設けられたなだらかな稜線部とを有し、
前記封止栓の前記嵌入部を前記注液用貫通孔内に挿通する工程と、
前記稜線部を押圧して、前記稜線部に対応する前記封止栓の外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分の少なくとも一部を前記注液口の前記縁取り部に当接する工程と、
前記封止栓の前記鍔状部の外周側を前記注液口周囲の前記電池容器に接合する工程と、を備えることを特徴とする角形二次電池の製造方法。 - 請求項6に記載の角形二次電池の製造方法において、前記封止栓の前記外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分の少なくとも一部を前記注液口の前記縁取り部に押圧する工程は、前記中空部内に、拡開用の治具を挿入して、少なくとも前記封止栓の前記外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分の少なくとも一部が前記注液口の前記縁取り部に当接されるように押し広げることを特徴とする角形二次電池の製造方法。
- 請求項7に記載の角形二次電池の製造方法において、前記拡開用の治具は、外周全体に先細状の傾斜部を有し、前記傾斜部により、前記封止栓の前記外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分が前記注液口の前記縁取り部に当接されるように、前記稜線部を押し広げることを特徴とする角形二次電池の製造方法。
- 請求項7に記載の角形二次電池の製造方法において、前記拡開用の治具は、先端に傾斜部を有する複数の張出部を有し、前記各傾斜部により、前記封止栓の前記外周側における前記鍔状部と前記嵌入部の境界部分の一部が前記注液口の前記縁取り部に当接されるように、前記稜線部の一部を押し広げることを特徴とする角形二次電池の製造方法。
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