JP5854508B2 - 山留壁の支持構造 - Google Patents
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Description
まず、親杭としてH鋼を所定間隔置きに打設するとともに、控え杭としてH鋼を所定箇所に打設する。
次に、親杭の内側を掘削しながら親杭に横矢板を取り付けて、その後、親杭の掘削面側に水平方向に延びる腹起しを架設する。次に、山留壁の背面の地盤に、腹起しから控え杭に至る溝を掘り、この溝の内部にタイロッドを配置する。そして、タイロッドの両端を腹起しと控え杭とに連結し、溝を埋め戻す。
例えば、取付け金物を製作し、この取付け金物を控え杭に固定するとともに、タイロッドを取付け金物に固定する方法がある。
また、控え杭のフランジ部に貫通孔を開けて、この貫通孔にタイロッドを挿通してボルトで締め付ける方法がある。
また、溶接によりタイロッドを控え杭に固定する方法がある。
また、取付け金物を製作した場合には、金物の製作にコストがかかり、コスト高となっていた。
また、控え杭にタイロッドをボルト固定した場合には、貫通孔を開ける作業が必要であり、作業手間がかかっていた。さらに、貫通孔の位置は控え杭の中心軸からずれるため、タイロッドの引張力によって控え杭に回転モーメントが発生して、控え杭が捻れてしまい、タイロッドに導入した緊張力が低下するおそれもあった。
また、係合部材はU字形状であり、簡易な構造であるので、低コストとなるうえに、控え杭に巻き付けるだけで取り付けできるので、作業が容易となる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る山留壁の支持構造1の縦断面図である。
この山留壁の支持構造1は、比較的小規模な山留壁10に作用する側圧を、タイロッド30を介して控え杭20で支持するものである。
山留壁10は、親杭横矢板工法を採用しており、所定間隔置きに打設されたH鋼である親杭12と、隣り合う親杭12の掘削面側のフランジ同士の間に架設された図示しない横矢板と、略水平に延びて親杭12の掘削面側のフランジ面に当接する腹起し13と、を備える。
控え杭20は、H鋼であり、山留壁10の背面の地盤2に所定箇所に複数本打設されている。この控え杭20は、山留壁10の親杭12のうちの1本である親杭15に対向する位置に、フランジ面が山留壁10に略平行となるように配置される。
この位置決め部材50は、水平方向に延びて一対の貫通孔51が形成されたアングル材であり、控え杭20の山留壁10側のフランジ面に溶接固定されている。係合部材40の接続部42の先端側は、位置決め部材50の貫通孔51に挿通されて、山留壁10側に突出している。
これらタイロッド30は、山留壁10の親杭15を挟んで略平行に配置されている。
すなわち、長ナット43の一端側には、タイロッド30の雄ねじ31が螺合しており、長ナット43の他端側には、係合部材40の接続部42の雄ねじ421が螺合している。
まず、地盤2において、掘削対象部分を囲むように親杭12を打設し、さらに掘削対象部分の外側に控え杭20を打設する。
次に、腹起し13を取付け可能な深さまで、掘削対象部分を掘削する。このとき、掘削しながら親杭12に横矢板を取り付ける。
次に、親杭12の掘削面側に腹起し13を架設するとともに、山留壁10の背面の地盤に腹起し13から控え杭20に至る溝を掘り、この溝の内部にタイロッド30を配置する。
次に、腹起し13に反力をとって、タイロッド30に緊張力を導入してダブルナット14を締め付ける。
その後、横矢板を取り付けながら、掘削対象部分を床付面11まで掘削する。
(1)タイロッド30と控え杭20とを機械式で連結したので、現場溶接を用いないから、タイロッド30が破断するのを防止できる。また、タイロッド30を一対の棒状部材とし、これら一対のタイロッド30のそれぞれを控え杭20の両側面に連結したので、控え杭20に回転モーメントが作用しないから、控え杭20のねじれを防止できる。以上より、タイロッドに導入した緊張力が低下するのを防止できる。
また、係合部材40はU字形状であり、簡易な構造であるので、低コストとなるうえに、控え杭に巻き付けるだけで取り付けできるので、作業が容易となる。
図4は、本発明の第2実施形態に係る山留壁の支持構造1Aの縦断面図である。
本実施形態では、山留壁10Aおよび控え杭20Aの構造が、第1実施形態と異なる。
すなわち、山留壁10Aは、段差山留壁であり、上段の床付面61を囲んで立設された上段山留壁60と、下段の床付面71を囲んで立設された下段山留壁70と、で構成される。
上段山留壁60の一部の親杭12は、控え杭としての役割も果たしており、この親杭12を控え杭20Aとする。
控え杭20Aには、係合部材40が取り付けられており、この係合部材40の両端側は、長ナット43に螺合している。また、位置決め部材50Aはアングル材であり、長ナット43は、この位置決め部材50Aを介して、係合部材40が螺合した状態で控え杭20Aに溶接固定されている。
予め、親杭である控え杭20Aに、係合部材40および長ナット43を取り付けて、さらに、この長ナット43のタイロッド30が螺合されるボルト穴を、仮ボルトで塞いでおく。
次に、地盤面から、掘削対象部分を囲むように、控え杭20Aを含む親杭12を打設する。
次に、腹起し13を取付け可能な深さまで、掘削対象部分を掘削する。このとき、掘削しながら親杭12に横矢板を取り付ける。これにより、床付面61付近では、控え杭20Aの長ナット43が露出する。
次に、長ナット43に取り付けた仮ボルトを取り外して、タイロッド30をこの長ナット43に螺合して連結し、腹起し13に反力をとって、タイロッド30に緊張力を導入してダブルナット14を締め付ける。
その後、横矢板を取り付けながら、掘削対象部分を床付面61まで掘削を行う。
(3)腹起し13を取付け可能な深さまで掘削した後に、直ちにタイロッド30を控え杭20Aに連結できるので、掘削作業の効率を向上できる。
図6は、本発明の第3実施形態に係る山留壁の支持構造1Bの横断面図である。図7は、山留壁の支持構造1Bの係合部材40Bの斜視図である。
本実施形態では、控え杭20Bおよびタイロッド30Bの配置、ならびに、係合部材40Bの構造が、第2実施形態と異なる。
また、位置決め部材50Bは、控え杭20のフランジの内側に溶接固定されたU字フックとなっている。
(3)タイロッド30同士の間隔を、控え杭20Bから山留壁10Aの腹起し13に向かうに従って拡がるようにしたので、タイロッド30と腹起し13との連結箇所同士の間隔は、控え杭20Bの幅よりも大幅に大きくなるので、腹起し13の特定の箇所に応力が集中するのを防止でき、腹起し13の曲げ耐力を向上できる。
例えば、上述の第2、第3実施形態では、親杭横矢板工法で構築した上段山留壁60の一部の親杭12を、控え杭20A、20Bとしたが、これに限らず、SMW(Soil Mixing Wall)工法で構築した山留壁の一部の芯材を、控え杭として用いてもよい。
2…地盤
10、10A…山留壁
11…床付面
12…親杭
13…腹起し
14…ダブルナット
15…控え杭に対向配置される親杭
20、20A、20B…控え杭
21…アングル材
30、30B…タイロッド
31…雄ねじ
40、40B…係合部材
41…係合部材の本体
42…接続部
43…長ナット(連結部材)
50、50A、50B…位置決め部材
51…貫通孔
60…上段山留壁
61…上段山留壁の床付面
70…下段山留壁
71…下段山留壁の床付面
131、132…チャンネル材
421…雄ねじ
Claims (1)
- 山留壁と、当該山留壁の背面の地盤に構築された控え杭と、前記山留壁から延びて係合部材を介して前記控え杭に連結されるタイロッドと、を備える山留壁の支持構造であって、
前記タイロッドは、一対の棒状部材であり、当該各タイロッドの係合部材側には、雄ねじが刻設されており、
前記係合部材は、前記控え杭の三方の側面を囲むように配置されて、両端側に雄ねじが刻設された略U字形状の棒状部材であり、
前記タイロッドと前記係合部材とは、連結部材を介して連結され、
前記連結部材は、前記係合部材が螺合した状態で、前記控え杭に溶接固定されていることを特徴とする山留壁の支持構造。
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