JPH10317381A - 擁壁による法面の保護構造及びその構築方法 - Google Patents

擁壁による法面の保護構造及びその構築方法

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JPH10317381A
JPH10317381A JP14320297A JP14320297A JPH10317381A JP H10317381 A JPH10317381 A JP H10317381A JP 14320297 A JP14320297 A JP 14320297A JP 14320297 A JP14320297 A JP 14320297A JP H10317381 A JPH10317381 A JP H10317381A
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retaining wall
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JP14320297A
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Inventor
Mitsuo Kimura
光男 木村
Akihiko Yasuda
晃彦 安田
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Tenryu Industries Co Ltd
Original Assignee
Tenryu Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構築作業中に法面が崩壊するのを有効に防止
するとともに、構築作業の省力化・工期の短縮化をし、
さらに、法面前方の用地幅が狭い場合でも構築できる擁
壁による法面の保護構造及びその構築方法を提供するこ
と。 【解決手段】 擁壁24となるコンクリート13を打設
するときの裏型枠として機能するとともに、擁壁24の
構築中に法面1の崩壊を防止するための仮土留として機
能する仮土留裏型枠21が法面1と擁壁24との間に埋
設された擁壁による法面の保護構造であって、仮土留裏
型枠21は、鉄筋格子製の傾斜した前壁部6と水平な底
壁部7とからなり法面1の前方に設置された格子枠柵5
と、格子枠柵5と法面1との間に充填された盛土材9と
により一つの段が構成され、該段が下から上へ所定段数
積まれることにより構築されたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、法面の前面と擁壁
の裏面との間に設けられ、擁壁となるコンクリートを打
設するときの裏型枠として機能するとともに、前記擁壁
の構築中に前記法面の崩壊を防止するための仮土留とし
て機能する仮土留裏型枠を備えた擁壁による法面の保護
構造及びその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、法面を保護するための擁壁の構築
方法は、図8に示すように、まず、法面50の前方に間
隔をおいて裏型枠52を組立て、さらに該裏型枠52の
前方に間隔をおいて前型枠51を組み立て、両型枠5
1,52の間に裏型枠52から前型枠51まで下りなが
ら延びる排水管55を配設する。次いで、両型枠51,
52の間にコンクリート54を打設し、コンクリート5
4の養生後に両型枠51,52を解体する。次いで、法
面50の裏面と擁壁53の前面との間に盛土を充填する
と、擁壁53の一段が形成される。以上を繰り返して、
擁壁53の段が下から上へ積まれることにより多段に構
築される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の擁壁
の構築方法では、裏型枠52を組立・解体するときに、
作業者が裏型枠52と法面50との間に入って作業する
必要があるが、この間は狭いため作業性が悪かった。ま
た、裏型枠52の解体後に、法面50の裏面と擁壁53
の前面との間に盛土材を充填するときも同様に作業性が
悪かった。
【0004】また、法面50は、擁壁53の段が構築さ
れた後、該擁壁53の段の裏面と法面50との間に盛土
材が充填されて初めて押さえられるため、それまでは法
面50が不安定な状態にある。特に、作業者が裏型枠5
2と法面50との間に入って裏型枠52の組立・解体作
業をしているときに法面50が崩壊すると逃げ場がない
ため、注意深くかつ慎重に作業を行う必要があった。
【0005】また、コンクリート54の養生を待ってか
ら、裏型枠52を解体し盛土材を充填する必要があるた
め、工期がかかっていた。
【0006】さらに、擁壁53は法面50の土圧に加え
て、法面50の裏面と擁壁53の前面との間に充填され
た盛土材の土圧をも負担する必要があるため、その分擁
壁53の厚さを厚くしなければならなかった。このた
め、法面50の前方に、擁壁53を構築するための用地
幅を広くとる必要があった。
【0007】本発明の目的は、上記課題を解決し、構築
作業中に法面が崩壊するのを有効に防止するとともに、
構築作業の省力化・工期の短縮化をし、さらに、法面前
方の用地幅が狭い場合でも構築できる擁壁による法面の
保護構造及びその構築方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の擁壁による法面の保護構造は、擁壁となる
コンクリートを打設するときの裏型枠として機能すると
ともに、前記擁壁の構築中に法面の崩壊を防止するため
の仮土留として機能する仮土留裏型枠が前記法面の前面
と前記擁壁の裏面との間に埋設された擁壁による法面の
保護構造であって、前記仮土留裏型枠は、鉄筋格子製の
傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなり前記法面の前
方に設置された格子枠柵と、格子枠柵と法面との間に充
填された盛土材とにより一つの段が構成され、該段が下
から上へ所定段数積まれることにより構築されたことを
特徴とする。
【0009】ここで、「法面」の種類は、特に限定され
ず、岩盤法面、切土法面、盛土法面等を例示できる。
【0010】「盛土材」は、盛土材単独でもよいが、盛
土材に岩石、クリンカアッシュ、フライアッシュ、アス
ファルト廃材等を混合したものでもよい。盛土材は、施
工現場の土が好ましいが、他所から運んだ土でもよい。
岩石の寸法は、特に限定されず、大型の破砕岩石から2
〜75mm程度の礫まで含む。
【0011】前記仮土留裏型枠は、前面に突アンカーが
突設されることが好ましい。この突アンカーの態様とし
ては擁壁を定着することができるものであれば特に限定
されないが、突アンカーの先端を折曲したり、該先端に
板を固定したりすることによって擁壁からの引き抜き抵
抗を増大させることが好ましい。
【0012】格子枠柵の前壁部の後面に透水シートを配
設することが好ましい。この透水シートは、格子枠柵の
前壁部からコンクリートが盛土材へ流出することを防止
する一方、コンクリート内の余分な水分を排出させるこ
とができ、透水性のあるものであれば特に限定されず、
目のやや粗い布、水溶性紙等を例示できる。
【0013】また、必要に応じて、格子枠柵の底壁部の
下に強化シートを敷くこともできる。強化シートは充填
材の安定化機能と排水機能とを果たすものである。さら
に、強化シートの端部を法面に固定することもでき、こ
の場合の強化シートは、次のアンカーと同様の作用を奏
する。
【0014】前記格子枠柵は、法面に固定されたアンカ
ーに連結材によって連結されることが好ましい。これに
より、格子枠柵の移動を強力に防止することができる。
アンカーの形状や長さは、法面に応じて適宜決定でき
る。連結材は、格子枠柵をアンカーに連結保持するのに
十分高強度のものであれば、特に限定されず、金属ワイ
ヤ、金属鎖、合成樹脂ロープ、ガラス繊維ロープ等を例
示できる。アンカーと連結材との接続の仕方は、特に限
定されないが、アンカーに係止部を設け、連結材の一端
を該係止部に直接的に接続する態様でも、法面に沿って
延びる取付材をアンカーに固定し、連結材の一端を該取
付材に接続することによりアンカーに間接的に接続する
態様でもよい。取付材としては、棒材、管材、アングル
材、レール材、シート材等を例示できる。
【0015】また、格子枠柵の前壁部が底壁部となす傾
斜角は、全段で一定でもよいが、一段毎に又は複数段毎
に上段側ほど大きく設定することもできる。具体的に
は、次の態様(a)(b)(c)を例示できる。 (a)一段目(最下段)の前壁部の傾斜角を例えば60
度とし、二段目以上の前壁部の傾斜角を順に62度、6
4度、66度、68度…とする等、一段毎に0.5〜1
0度ずつ大きくなるよう設定した態様。傾斜角の増加分
は、各段間で一定でもよいし、途中で変化させてもよい
(例えば同例で、60度、64度、67度、69度、7
0度…とする)。 (b)一段目〜三段目の前壁部の傾斜角を例えば60度
とし、四段目〜六段目の前壁部の傾斜角を64度とする
等、複数段毎に1〜10度ずつ大きくなるよう設定した
態様。傾斜角の増加分は、各段間で一定でもよいし、途
中で変化させてもよい。 (c)上記態様(a)と態様(b)とを混在させた態
様。
【0016】また、格子枠柵を構成する一部(例えば特
に強度が必要な部分)の鉄筋に、他の鉄筋より太いもの
を使用することもできる。これにより、鉄筋の一部が充
填材の圧力等によって正面側に湾曲変形する現象を防止
することができる。
【0017】また、本発明の擁壁による法面の保護構造
の構築方法は、擁壁となるコンクリートを打設するとき
の裏型枠として機能するとともに、前記擁壁の構築中に
法面の崩壊を防止するための仮土留として機能する仮土
留裏型枠が前記法面の前面と前記擁壁の裏面との間に埋
設された擁壁による法面の保護構造の構築方法であっ
て、鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とから
なる格子枠柵を法面の前方に設置する工程と、前記格子
枠柵と前記法面との間に盛土材を充填する工程とを下か
ら上へ所定段数繰り返して前記仮土留裏型枠を構築する
工程と、該仮土留裏型枠の前方に間隔をおいて前型枠を
組み立てる工程と、前記仮土留裏型枠と該前型枠との間
にコンクリートを打設する工程と、該コンクリートの養
生後に前記前型枠を解体する工程とを含んでいる。
【0018】
【発明の実施の形態】
《第一実施形態》図1及び図2は本発明の第一実施形態
に係る擁壁による法面の保護構造を示し、同保護構造は
以下の工程で構築されている。なお、岩盤法面は例えば
約60度の急斜面である。
【0019】[格子枠柵の設置工程] 岩盤法面1の下
端前方の用地2に強化シート3を敷き、強化シート3の
上に必要数の格子枠柵5を横に並べて設置する。図1に
示すように、格子枠柵5は傾斜した前壁部6と水平な底
壁部7とを備え、製造方法の一例としては、鉄筋を縦横
格子状に溶接(具体的にはアーク溶接による溶着)して
なる鉄筋格子をその中央部で折曲して形成される。そし
て、前壁部6の上端部と底壁部7の後端部との間をフッ
ク付き連結棒10で連結している(連結棒10は例示で
あって、これに限定されない。連結棒10を省くことも
できる。)。強化シート3は、特定の素材に限定され
ず、厚手の不織布、織布、ネット等を例示できる。強化
シート3は、底壁部7の後端を越えて岩盤法面1側へ広
げられ、連結材としての機能をも果すように、杭15に
より格子枠柵5の底壁部7に固定されている。そして、
アンカーとしての押え板11及び杭12で岩盤法面1に
固定され、格子枠柵5の移動を強力に防止するようにな
っている。格子枠柵5の前壁部6と岩盤法面1との間隔
は、特に限定されず、本実施形態では例えば約2000
〜5000mmである。
【0020】本実施形態において使用した格子枠柵5の
寸法等は次の通りであるが、例示にすぎず、この寸法等
は施工現場に応じて適宜変更されるものである。 前壁部6が底壁部7となす傾斜角: 約60度 前壁部6の傾斜長: 約500mm 底壁部7の奥行: 約500mm 前壁部6及び底壁部7の左右長: 約2000mm 鉄筋の直径: 約6mm 鉄筋格子の格子ピッチ: 100〜300mm
【0021】[突アンカー取り付け工程] 格子枠柵5
に突アンカー16を取り付ける。突アンカー16は、両
端に雄ネジが刻設され、両端側がそれぞれU字状に折曲
された鉄筋17と、該鉄筋17のU字平行部が挿通され
る二つの透孔を備えた一対の押え板18と、前記雄ネジ
に螺合するナット19と、格子枠柵5の幅と略同じ長さ
の押え鋼棒20とで構成されている。突アンカー16の
一端側U字部は、格子枠柵5の折曲部に固定された横鉄
筋5aに引っ掛けられ、さらに押え鋼棒20がU字部内
に横鉄筋5aと平行に配された状態で、U字部の開口に
押え板18が嵌められ、U字部先端の雄ネジにナット1
9が螺合されて締結されている。また、突アンカー16
の他端側は、U字部の開口に押え板18が嵌められ、U
字部先端の雄ネジにナット19が螺合されて締結されて
おり、該押え板18は突アンカー16のコンクリートか
らの引き抜き抵抗を増大させるようになっている。
【0022】[透水シート敷設工程] 格子枠柵5の前
壁部6の後面と底壁部7の上面とに、目のやや粗い透水
シート8を敷く。透水シート8の上端を少し余らせて、
前壁部6の前面に一時的に垂らしておくとよい(図示
略)。透水シート8は、特定の素材に限定されず、織
布、不織布等を例示できる。
【0023】[盛土材充填工程] 格子枠柵5と岩盤法
面1との間に現場の土等を利用して盛土材9を充填す
る。盛土材9を衝撃ローラー等で転圧して締め固める。
余らせておいた前記透水シート8の上端を盛土材9の上
面に被せる。最上部の鉄筋の端部を後方に折り曲げ、こ
の透水シート8の上端を押さえ付けてもよい。これで一
段目が形成される。
【0024】[仮土留裏型枠の多段繰り返し工程] 盛
土材9の上面に対し、上記の格子枠柵の設置工程から盛
土材充填工程までを行なって、二段目を形成する。この
作業を下から上へ繰り返して、格子枠柵5及び盛土材9
を多段(図1では四段)に構築する。これによって、仮
土留裏型枠21を構築する。
【0025】[前型枠組立工程] 仮土留裏型枠21の
前方に間隔をおいて、仮土留裏型枠21の高さ及び幅と
略等しい高さ及び幅の前型枠22を組み立てる。前型枠
22の法面側の面には、発泡性コンクリートブロック2
3が配設されており、擁壁24の前面を整えるようにな
っている。なお、コンクリートブロック23の表面に模
様を刻設しておくことにより、擁壁24の前面に所望の
模様を形成させることもできる。
【0026】[排水管配設工程] 格子枠柵5前面の底
壁部7の位置から前型枠22まで下りながら延びる排水
管25を配設する。この排水管25は、底壁部7の上下
に配された透水シート8と強化シート3とに導かれて仮
土留裏型枠21の前面にしみ出してくる水を排水するた
めのものである。なお、排水管25は、格子枠柵5ごと
に設けても、複数の格子枠柵5ごとに設けてもよい。
【0027】[コンクリート打設工程] 前型枠22と
仮土留裏型枠21との間にコンクリート13を打設す
る。ここで、コンクリート打設前に、型枠の取り外し
を容易にするために前型枠22の法面側の面に型枠剥離
剤を塗布したり、仮土留裏型枠21の前壁部の透水シ
ート8がコンクリート13から急激に水分を吸収しない
ようにするために透水シート8に水分を与えたりしてお
くとよい。
【0028】[前型枠解体工程] コンクリート13を
ある程度硬化させ、さらに所定時間養生することにより
十分に硬化させてから、前型枠22を解体する。養生に
際しては、湿潤養生、水分の蒸散を防止するための被膜
養生等の公知の養生法を適用できる。これによって、擁
壁24の一段が形成される。
【0029】[擁壁の多段繰り返し工程] 以上により
形成した擁壁24及び盛土材9の上面に対し、上記の格
子枠柵の設置工程から前型枠解体工程までを行なって、
二段目を形成する。この作業を下から上へ繰り返して、
多段に構築することによって擁壁24を構築する。な
お、前型枠解体工程の前に、コンクリート13がある程
度硬化した段階で次の段の仮土留裏型枠の構築を開始す
ることもでき、これによりコンクリート13の養生を待
つ時間を有効利用できる。また、擁壁24の最上部に対
応する格子枠柵5では、前壁部6の縦鉄筋の上端を後側
下方へ折り曲げて仕上げる(図示略)。
【0030】以上の工法で構築された擁壁24による岩
盤法面1の保護構造によれば、次の効果を得ることがで
きる。 (1)仮土留裏型枠21を構築するときに、従来のよう
に法面と裏型枠との間のような狭い所に入って作業する
必要がないため、作業性がよい。
【0031】(2)本発明の擁壁の構築方法は、まず、
岩盤法面1の前面に仮土留裏型枠21を構築することに
より早期に法面下部を押さえるので、岩盤法面1の崩壊
を有効に防止することができる。また、仮に岩盤法面1
が崩壊しても、狭い所での作業がないため、容易に逃れ
ることができる。
【0032】(3)仮土留裏型枠21を擁壁24の裏面
側に埋設してしまうため、従来のように裏型枠解体のた
めの養生期間が不要で、裏型枠を解体する作業もなく、
作業の省力化・工期の短縮化が可能である。
【0033】(4)仮土留裏型枠21は、岩盤法面1と
盛土材9とによる土圧の一部を負担するため、擁壁24
への土圧が軽減され、その分擁壁24の厚さを減ずるこ
とができる。このため、法面前方の用地幅が狭い場合で
も構築できる。
【0034】(5)仮土留裏型枠21に格子枠柵5を使
用したことにより、急勾配でも施工できる、施工に
重機を必要とせず、人力作業が可能であり、施工が簡
単で、多くの人手を要しない、施工効率が良く、工期
を短縮できる、カーブした岩盤法面1にも容易に対応
できる、現場の土を盛土材9として利用できる等の多
くの効果が得られる。
【0035】(6)強化部材としての強化シート3は、
底壁部7を越えて盛土材9中に広がり、格子枠柵5を盛
土材9に係留するとともに、盛土材9を安定化させる作
用を奏する。特に、厚い不織布よりなる強化シート3
は、強度が高いため土圧によっても切れにくく、強力な
補強作用を奏する。また、厚い不織布よりなる強化シー
ト3は、繊維材料による毛細管現象により、盛土材9に
含まれた水を正面に導いて排水する作用を奏するので、
たとえ大量の降雨があっても、盛土材9から水を効率的
に排水することができる。
【0036】《第二実施形態》次に、第二実施形態に係
る擁壁による岩盤法面1の保護構造を説明すると、図3
は該保護構造における仮土留裏型枠を示しており、格子
枠柵の設置工程における連結材27と、突アンカー取り
付け工程における突アンカー28とを変更した点におい
てのみ、第一実施形態と相違している。
【0037】連結材27は、強化シート3と同様のシー
ト材33と、該シート材33の一端側を格子枠柵5の底
壁部7の後端部に固定する固定部材34とにより構成さ
れている。固定部材34は、Uボルト35と、Uボルト
35の両先端が挿入される二つの透孔を備えた押え板3
6と、Uボルト35に螺合する一対のナット37と、格
子枠柵5の幅と略同じ長さにされた押え鋼棒20及び抱
き鋼棒38とで構成されている。
【0038】シート材33は、格子枠柵5の底壁部7の
後ろ側に配設され、その一端側が折り返され、該折り返
し部の内側に抱き鋼棒38が配される。この折り返し部
は格子枠柵5の底壁部7の後端側の横鉄筋5bを越えて
その前方に配される。そして、横鉄筋5bの少なくとも
左右二箇所の下側から横鉄筋5bの両側を挟むようにU
ボルト35が配される。さらに押え鋼棒20が横鉄筋5
b及びシート材33の上側からUボルトのU字部内に配
され、該U字部の開口に押え板36が嵌められ、二つの
ナット37が螺合されて締結されることにより、シート
材33の一端が格子枠柵5に固定されている。なお、シ
ート材33の他端側は、アンカーとしての押え板11と
杭12とで岩盤法面1に固定されている。
【0039】突アンカー28は、Uボルト31と、Uボ
ルト31の両先端が挿入される二つの透孔を備えた押え
板18と、Uボルト31の雄ネジに螺合するナット32
と、一端に雄ネジが刻設されたU字状鉄筋29と、Uボ
ルト31の雄ネジ及びU字状鉄筋29の雄ネジに螺合す
る長ナット30とで構成されている。Uボルト31は、
格子枠柵5の折曲部に固定された横鉄筋5aに引っ掛け
られ、さらに、該鉄筋と略同じ長さの押え鋼棒20がU
字部内に横鉄筋5aと平行に配された状態で、U字部の
開口に押え板18が嵌められ、Uボルト31の一端の雄
ネジにナット32が螺合されて締結されている。そし
て、Uボルト31の他端の雄ネジと、U字状鉄筋29の
雄ネジとは長ナット30で連結されている。このように
突アンカー28は、先端がU字状に形成されており、コ
ンクリートからの引き抜き抵抗を増大させるようになっ
ている。
【0040】本実施形態によっても、第一実施形態と同
様の効果を得ることができる。
【0041】《第三実施形態》次に、第三実施形態に係
る擁壁による岩盤法面1の保護構造を説明すると、図4
は該保護構造における仮土留裏型枠40を示しており、
岩盤法面1にアンカー42を固定し、該アンカー42に
格子枠柵5を連結材44により連結した点と、格子枠柵
5の前壁部6が底壁部7となす傾斜角を上段側ほど大き
く設定した(具体的には、一段目(最下段)の傾斜角を
例えば約50度とし、二段目以上の傾斜角は一段毎に1
〜5度ずつ大きくする。)点においてのみ、第一実施形
態と相違している。
【0042】本実施形態では、岩盤法面1に多数の取付
孔41を縦横に間隔をおいてあけ、各取付孔41に金属
棒よりなるアンカー42を挿入し、モルタル、接着剤、
樹脂等の充填材43で固定する。アンカー42の手前端
部にはリング形状の係止部が形成されている。
【0043】格子枠柵5を設置した後、該格子枠柵5を
アンカー42に連結材44により連結する。連結材44
はアセンブリ化されたもので、金属厚板製の二つのフッ
ク45と、両フック45を繋ぐ金属撚り線よりなるワイ
ヤ46とからなる。各フック45を格子枠柵5とアンカ
ー42の係止部に引っ掛ければ、容易に格子枠柵5をア
ンカー42に連結できる。格子枠柵5の連結箇所は、前
壁部6でも底壁部7でもよいが、前壁部6の下部の横鉄
筋や底壁部7の横鉄筋が適当であり、格子枠柵5毎に少
なくとも二箇所とすることが好ましい。
【0044】本実施形態によれば、第一実施形態による
効果に加え、盛土材9の奥行きを2000mm以下(例
えば約500mm)と小さくしても、アンカー42に連
結材44で連結された格子枠柵5が盛土材9を抱持して
その土圧を負担する。従って、岩盤法面1の下端のすぐ
前方に側溝、道路、所有地境界等があって、擁壁24の
用地2の幅が狭い場合でも、簡単に施工することができ
る。
【0045】また、上記のように前壁部6の傾斜角を設
定することにより、土圧が大きい下段側において前壁部
6の傾斜角を小さくでき、盛土材9の土圧に耐える力を
確保できる。また、土圧が小さい上段側ほど前壁部6の
傾斜角を大きくでき、上端の法肩(図示略)が前進し
て、天端面の有効面積を広げることができる。
【0046】なお、本発明は前記実施形態の構成に限定
されず、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しな
い範囲で適宜変更して具体化することもできる。 (1)各実施形態では、下段の格子枠柵5の前壁部6に
対して上段の格子枠柵5の前壁部6が後側に重なるよう
に配置されているが、図5に示すように、下段の格子枠
柵5の前壁部6に対して上段の格子枠柵5の前壁部6が
前側に重なるように配置することもできる。なお、図5
では、便宜上、格子枠柵5以外の各部の図示を省略して
いる。
【0047】(2)各実施形態では、下段の格子枠柵5
の前壁部6と、上段の格子枠柵5の前壁部6とを結合し
ていないが、下段の格子枠柵5の前壁部6の縦鉄筋の上
端側と、上段の格子枠柵5の前壁部6の縦鉄筋の下側と
を結合することもできる。このときの結合の態様として
は、特に限定されないが、図5及び図6に示すように針
金47で結びつける態様や、スポット溶接等により溶接
固定して結合する態様を例示できる。
【0048】(3)図7に太線で示すように、格子枠柵
5を構成する一部(例えば特に強度が必要な部分)の鉄
筋に、他の鉄筋より太いものを使用すること。これによ
り、鉄筋の一部が充填材の圧力によって正面側に湾曲変
形する現象を防止することができる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の擁壁によ
る法面の保護構造及びその構築方法によれば、構築作業
中に法面が崩壊するのを有効に防止するとともに、構築
作業の省力化・工期の短縮化をし、さらに、法面前方の
用地幅が狭い場合でも構築できる。
【0050】上記効果に加え、請求項2の発明によれ
ば、仮土留裏型枠に擁壁を確実に定着することができ
る。
【0051】請求項1の効果に加え、請求項3の発明に
よれば、擁壁の用地幅が狭い場合でも、簡単に施工する
ことができる
【0052】また、請求項4の発明に係る擁壁による法
面の保護構造の構築方法によっても、請求項1の発明と
同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る擁壁による岩盤法
面の保護構造を示す断面図である。
【図2】同保護構造の仮土留裏型枠を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明の第二実施形態に係る擁壁による岩盤法
面の保護構造の仮土留裏型枠を示す部分断面図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る擁壁による岩盤法
面の保護構造の仮土留裏型枠を示す断面図である。
【図5】各実施形態における格子枠柵の配置等の変更例
の斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線部分断面図である。
【図7】各実施形態における格子枠柵の変更例の斜視図
である。
【図8】従来の擁壁による法面の保護構造を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 岩盤法面 3 強化シート 5 格子枠柵 6 前壁部 7 底壁部 9 盛土材 11 押え板 12 杭 13 コンクリート 15 杭 16 突アンカー 21 仮土留裏型枠 22 前型枠 24 擁壁 28 突アンカー 33 シート材 34 固定部材 40 仮土留裏型枠 42 アンカー 44 連結材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 擁壁となるコンクリートを打設するとき
    の裏型枠として機能するとともに、前記擁壁の構築中に
    法面の崩壊を防止するための仮土留として機能する仮土
    留裏型枠が前記法面の前面と前記擁壁の裏面との間に埋
    設された擁壁による法面の保護構造であって、 前記仮土留裏型枠は、鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水
    平な底壁部とからなり前記法面の前方に設置された格子
    枠柵と、格子枠柵と法面との間に充填された盛土材とに
    より一つの段が構成され、該段が下から上へ所定段数積
    まれることにより構築されたことを特徴とする擁壁によ
    る法面の保護構造。
  2. 【請求項2】 前記仮土留裏型枠は、前面に突アンカー
    が突設された請求項1記載の擁壁による法面の保護構
    造。
  3. 【請求項3】 前記格子枠柵は、法面に固定されたアン
    カーに連結材によって連結された請求項1記載の擁壁に
    よる法面の保護構造。
  4. 【請求項4】 擁壁となるコンクリートを打設するとき
    の裏型枠として機能するとともに、前記擁壁の構築中に
    法面の崩壊を防止するための仮土留として機能する仮土
    留裏型枠が前記法面の前面と前記擁壁の裏面との間に埋
    設された擁壁による法面の保護構造の構築方法であっ
    て、 鉄筋格子製の傾斜した前壁部と水平な底壁部とからなる
    格子枠柵を法面の前方に設置する工程と、前記格子枠柵
    と前記法面との間に盛土材を充填する工程とを下から上
    へ所定段数繰り返して前記仮土留裏型枠を構築する工程
    と、 該仮土留裏型枠の前方に間隔をおいて前型枠を組み立て
    る工程と、 前記仮土留裏型枠と該前型枠との間にコンクリートを打
    設する工程と、 該コンクリートの養生後に前記前型枠を解体する工程と
    を含む擁壁による法面の保護構造の構築方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1457603A3 (de) * 2003-03-14 2005-11-30 Huesker Synthetic GmbH Verfahren zur Herstellung einer Erdböschung und danach hergestellte Erdböschung
KR101006900B1 (ko) * 2008-06-16 2011-01-14 한국철도기술연구원 강성 구조체의 뒷채움 보강구조의 시공방법
JP2014005650A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Taisei Corp 山留壁の支持構造
KR101508590B1 (ko) * 2013-01-22 2015-04-14 주식회사 라온이앤지 친환경 옹벽 축조를 위한 옹벽프레임과 이를 이용한 식생옹벽 시공방법
JP2015151753A (ja) * 2014-02-14 2015-08-24 大成建設株式会社 もたれ擁壁の施工方法
JP2020012310A (ja) * 2018-07-19 2020-01-23 松六コンクリート工業株式会社 擁壁の施工方法及び裏込層構築部材

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