JP5854253B2 - 半導体リソグラフィー用高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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特に、光学定数である屈折率および消衰係数は、高分子化合物に大きく影響されることから、高分子化合物の化学構造変化を極力抑えつつ、金属イオン不純物の除去をすることが要求されている。
一方、特許文献1および2においては、いずれも陰イオンのみならず、陽イオン交換性樹脂を含むフィルターを用いて濾過処理を行っている。しかしながら、このような従来の金属イオン不純物を除去するために用いられてきた手法では、これらのイオン交換性基との化学反応によりフォトレジスト組成物中の保護基の脱離またはポリマー側鎖に架橋剤が付加した高分子化合物を含む反射防止膜組成物の架橋反応が進行するといった問題があった。
(a)酸触媒の存在下で、高分子化合物を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた高分子化合物溶液、または、前記高分子化合物溶液を貧溶媒中で再沈澱精製した高分子化合物を再溶解した溶液を、各金属イオン不純物濃度2.0ppb以下の陰イオン交換樹脂に接触させる工程、
(c)前記陰イオン交換樹脂に接触させた高分子化合物溶液を、貧溶媒中で再沈澱し、高分子化合物を製造する工程
<(a)高分子化合物を得る工程>
本発明において、半導体リソグラフィー用高分子化合物は、半導体リソグラフィー工程で使用される活性光線を吸収する部位を有する高分子化合物であって、酸触媒の存在下で製造されるものであればよい。
特に制限されないが、エッチング速度等の観点から、ポリエステル系高分子化合物であることが好ましい。
この架橋剤付加反応は、50℃以下、好ましくは15〜30℃、更に好ましくは18〜22℃の範囲が望ましい。架橋剤付加反応の効率的な進行と分子量の精密な制御の両方の観点から、前記範囲での架橋剤付加反応を行うことが好ましい。
特に、反射防止膜性能に優れる観点から、グリコールウリル系が好ましい。更に、非芳香族の特徴を併せ持つことにより、エッチングレートを向上させることができる。
本発明において、前記溶液中の酸不純物を除去するために、前記溶液を、陰イオン交換樹脂に接触させることにより処理される。
これにより、酸不純物等を除去することができ、前記高分子化合物を酸との反応による化学構造等の変化を抑えることができる。
なお、本発明において、「接触」とは、カラム中またはバッチプロセスにおいて、前記陰イオン交換樹脂に、前記高分子化合物中の残存酸触媒をイオン交換反応によって吸着させる工程である。
また、前記陰イオン交換樹脂の量は、残存酸触媒の除去効率や金属溶出量の観点から、前記高分子化合物溶液に対して0.05〜0.5倍量(質量比)が好ましく、さらに0.〜0.2倍量(質量比)が好ましい。
また、前記接触時間は、残存酸触媒の除去効率や工業的観点から、0.1〜10時が好ましく、さらに0.5〜7時間が好ましい。
各不純物濃度が前記範囲内の陰イオン交換樹脂を得る方法としては、例えば、陰イオン交換樹脂を超純水等で洗浄し乾燥する方法等が挙げられる。
各不純物濃度が前記範囲内の陰イオン交換樹脂に、前記高分子化合物を溶解した溶液に通すことで、前記陰イオン交換樹脂から溶出する金属イオン不純物濃度を最小限に抑えた上、酸不純物を非常に低い濃度まで除去することができる。
本発明の製法は、前記陰イオン交換樹脂に接触させた高分子化合物溶液を、貧溶媒中で
再沈殿する工程を含む。
再沈殿工程において、前記陰イオン交換樹脂に接触させて得られた溶液を、良溶媒で適当な濃度に希釈した後、溶媒中に滴下することで高分子化合物を析出させる。
良溶媒としては、例えば、アニソール、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
貧溶媒としては、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、水、ヘキサン、ヘプタン等、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
再沈殿工程後、その析出物を濾別し、十分に乾燥してフォトリソグラフィー用組成物に使用するのに好適な成膜性樹脂を得ることができる。
また、濾別した後、乾燥工程を含まずに湿粉のまま使用することも可能である。
しかし、これらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に利用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈されるべきものではない。また、特に断りがない場合、全ての部および百分率は重量に基づく値である。
また、実施例および比較例で用いた陰イオン交換樹脂は、前記洗浄方法等により、各金属イオン不純物濃度を低減させた。
下記合成例等において得られた高分子化合物の重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:東ソー製HLC8220GPC)により、ポリスチレン換算で求めた(測定条件;測定サンプル:乾粉50mg/溶離液5mL、溶離液:1.7mMリン酸/THF、分離カラム:昭和電工社製、Shodex GPC K−805L(商品名)、測定温度:40℃、検出器:示差屈折率検出器)。
陰イオン交換樹脂中の各金属イオン不純物濃度は、次のようにして求めた。
陰イオン交換樹脂2.0gを2%硝酸60gに5時間浸漬した後の溶液を、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer):Agilent Technologies製7500cs)により金属分析し、各金属イオン不純物濃度(Na、Fe)を求めた。また、高分子化合物溶液中の各金属イオン不純物濃度も、前記高周波誘導結合プラズマ質量分析計により金属分析し、各金属イオン不純物濃度(Na,Fe)を求めた(測定サンプル: 高分子化合物溶液または高分子化合物の乾粉1.5gを蒸留精製したN-メチル-2-ピロリドンで100倍希釈したサンプル、測定法:標準添加法)。
高分子化合物の乾粉1.0gをアセトニトリル21ml、水9mlの混合溶液に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:島津理化製LC−20A、分離カラム:GL Science Intersil ODS−2)にて、残pTSAの定量を行った。
1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(67.12g,0.258mol)、デカヒドロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(65.36g, 0.258mol)、p−トルエンスルホン酸−水和物(pTSA)(2.606g,13.7mmol)、およびアニソール(79.60g)を三口フラスコに充填し、Dean-Starkトラップを用いて脱水および脱メタノール反応を行いながら130℃で9時間重合させた後、50℃まで冷却し、トリエチルアミン(1.386g,13.7mmol)を加えて反応を停止させた。その後、テトラヒドロフラン(THF)(89.4g)で希釈し、ヘキサン(580.0g)とIPA(1740.0g)の混合物に再沈殿し、下記式(1)に示すポリエステル系高分子化合物(重量平均分子量:7,260、収率:約43%)を得た。
尚、再沈殿する前の重合液中の金属イオン不純物濃度は、Na50ppm、Fe40ppmであった。
1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(67.12g,0.258mol)、デカヒドロ−2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(65.36g, 0.258mol)、p−トルエンスルホン酸−水和物(pTSA)(2.606g,13.7mmol)、およびアニソール(79.60g)を三口フラスコに充填し、Dean-Starkトラップを用いて脱水および脱メタノール反応を行いながら130℃で9時間重合した。その後、テトラヒドロフラン(THF) (89.4g)で希釈して、テトラメトキシグリコールウリル(TMGU)(25.64g,80.55mmol)を添加し、20℃で6時間反応させてトリエチルアミン(1.386g,13.7mmol)を加えて反応を停止させた。この反応液を、ヘキサン(580.0g)とIPA(1740.0g)の混合物に再沈殿し、下記式(2)に示す側鎖に架橋剤が付加されたポリエステル系高分子化合物(重量平均分子量:8,520、収率:約41%)を得た。
尚、再沈殿する前の重合液中の金属イオン不純物濃度は、Na40ppm、Fe30ppmであった。
各金属イオン不純物濃度1.5ppb以下の陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例1で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、残存酸触媒(pTSA)の除去を行った。陰イオン交換樹脂とのスラリー溶液を濾別して得られた濾液(該高分子化合物溶液)を、ヘキサンと2−プロパノールの混合物(ヘキサン/2−プロパノール=1/3質量比)の貧溶媒にて再沈殿し、ポリエステル系高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物を、40℃で60時間減圧乾燥し、高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度1.5ppb以下の陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例2で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
合成例1で得られた高分子化合物(9.00g)を、THF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を、陰イオン交換樹脂に接触させずに、ヘキサンと2−プロパノールの混合物(ヘキサン/2−プロパノール=1/3質量比)の貧溶媒にて再沈殿し、ポリエステル系高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物を、40℃で60時間減圧乾燥し、高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
合成例2で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を、陰イオン交換樹脂に接触させずに、ヘキサンと2−プロパノールの混合物(ヘキサン/2−プロパノール=1/3質量比)の貧溶媒にて再沈殿し、ポリエステル系高分子化合物を得た。
得られた高分子化合物を、40℃で60時間減圧乾燥し、高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度2.5ppbの陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例1で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度3.5ppbの陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例1で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度2.5ppbの陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例2で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度3.5ppbの陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例2で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
各金属イオン不純物濃度3.5ppbの陰イオン交換樹脂(ORGANO Amberlyst B20−HG・Dry)(5.00g)をTHFにて洗浄し、乾燥した。この陰イオン交換樹脂に、合成例2で得られた高分子化合物(9.00g)をTHF(21.00g)に溶解した高分子化合物溶液を加えて5時間攪拌し、酸触媒(pTSA)の除去を行った。さらに、陰イオン交換樹脂とのスラリー溶液を濾別して得られた濾液(該高分子化合物溶液)を、あらかじめ超純水、THFにて洗浄した陽イオン交換樹脂(ダウエックスTM 50Wx8)(5.00g)に加えて、5時間攪拌し、金属イオン不純物の除去を行った。その後、実施例1と同様の方法で処理し、得られた高分子化合物乾粉の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)、金属イオン不純物濃度、残pTSAを測定した。
一方、比較例1および2の場合には、陰イオン交換樹脂との接触させる工程が無いため、残pTSA量が低減されていない。
また、比較例3〜6の場合には、金属イオン不純物濃度が高い陰イオン交換樹脂を使用しているため、残pTSA量は低減しているものの、各金属イオン不純物濃度が、陰イオン交換樹脂処理前と比較して大幅に増加している。
さらに、比較例7の場合には、高分子化合物溶液中の金属イオン不純物を除去するために陽イオン交換樹脂と接触させたために、高分子化合物の側鎖に付加している架橋剤が反応し、架橋反応が進行(MwおよびMzの増加)していることが判断できる。
以上より、本発明によって、金属イオン不純物濃度が100ppb以下かつ酸不純物濃度が100ppm以下となる、半導体リソグラフィー用高分子化合物、および該高分子化合物の製造方法を提供することが可能である。
Claims (3)
- 下記工程(a)〜(c)を含む各金属イオン不純物濃度が100ppb以下かつ酸不純物濃度が100ppm以下となる半導体リソグラフィー用高分子化合物の製造方法。
(a)酸触媒の存在下で、高分子化合物を得る工程、
(b)前記工程(a)で得られた高分子化合物溶液、または、前記高分子化合物溶液を貧溶媒中で再沈澱精製した高分子化合物を再溶解した溶液を、各金属イオン不純物濃度2.0ppb以下の陰イオン交換樹脂に接触させる工程、
(c)前記陰イオン交換樹脂に接触させた高分子化合物溶液を、貧溶媒中で再沈澱し、高分子化合物を製造する工程 - 前記陰イオン交換樹脂に接触させる溶液が、各金属イオン不純物濃度が50ppb以下
である請求項1記載の半導体リソグラフィー用高分子化合物の製造方法。 - 高分子化合物が側鎖に架橋剤が付加された高分子化合物である、請求項1または2記載の半導体リソグラフィー用高分子化合物の製造方法。
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