JP5848474B1 - 光学部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力光に適用できる小型の光アイソレー夕などの光学部品およびその製造方法を提供する。【解決手段】光学素子12,14,16は、光路方向前後に設けられた前後面、及び前後面を取り囲む側面を有し、前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、隣接する光学素子12,14,16の対向する前記前後面の少なくとも一方には、側面につながる凹部19が設けられており、少なくとも2つの前記平板状の光学素子12,14,16を準備し、予め定められた順序に配置、隣接する前記光学素子12,14,16の前記前後面を互いに圧接、前記凹部19に対して、前記側面からエネルギー硬化型の接着剤を充填、前記接着剤に硬化エネルギーを加えて、前記接着剤を硬化させる製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、光通信装置などで使用される光学部品の製造方法に関する。
一般に、光通信用に使用される光学部品や光モジュールとしては、光コネクタ、光アイソレータや光信号を送信するためのLD(Laser diode)モジュールや光信号を受信するためのPD(Photo diode)モジュールが知られている。
光アイソレータは、光ファイバの戻り光を防止するために光通信システムで用いられる部品である。戻り光は、進行している光が、接触している材料間の屈折率の不整合またはファイバの位置ずれやモード不整合などによりおこり得る。戻り光はシステム性能の低下をもたらし、レーザ光等の送信源に悪影響を及ぼす。
偏光依存型光アイソレータでは、ファラデー回転子を挟み込むために偏光ガラスシートのような偏光子が用いられる。光が第1の偏光子を通り、次いでファラデー回転子を通り、次いで第2の偏光子を通って進む。そのアイソレータが、光ファイバとレンズの間、もしくは2つのレンズの間に配置される。
光源から発せられた信号光は第1の偏光子を通過する。次いで、第1の偏光子を通過した光の偏光はファラデー回転子により45°回転した後に、第1の偏光子に対して、偏光方向が45°ずらされた第2の偏光子を通過して出てくる。逆方向の場合、戻り光は、第2の偏光子によって偏光した後に、ファラデー回転子により同方向に45°回転して、第1の偏光子に対して90°ずれた偏光になる。したがって、信号が光源に戻されることはない。
偏光依存型アイソレータに対して、偏光無依存型の光アイソレータも知られている。偏光無依存型アイソレータは、くさび形または平板形の複屈折材料、あるいは薄膜コーティングが施されたプリズムとすることができ、2つのビームスプリッタの間に挟み込まれたファラデー回転子を有する。
ファラデー回転子は一般に、磁場を印加して結晶を光学活性化するように、ガーネット結晶片を磁石で囲むことによりつくられる。このタイプのガーネットは非ラッチ型と称される。別のタイプのファラデー回転子は、永久磁化されており外部磁場を必要としない。このタイプのガーネットはラッチ型と称されている。
偏光依存型光アイソレータ及び偏光無依存型光アイソレータの両者の様々な構成部品は一般に、機械的組立部品によるかあるいは高分子材接着剤によって接合される。また、他の代替方法として、大きな材料シートの接着剤による一括集成すなわち積層板化する方法も知られている。
光アイソレータのような光学部品は、上記のようにファラデー回転子や偏光子などの光学素子を組み合わせることにより構成される。光学素子の固定には固定部材や接着剤が用いられる。例えば、特開2007−309967号公報には、光学接着剤を用いて光学素子同士を接着し、一体化した光アイソレータが開示されている。光学接着剤は、光学素子の光通過部の面を含む面全体に亘って均一な厚さで塗布される。
この光アイソレータは、所定の面に反射防止膜を形成した第1の偏光子、第2の偏光子、両面に反射防止膜を形成したファラデー回転子を用意する、光学接着剤を第1および第2の偏光子のファラデー回転子側の面およびファラデー回転子の両面に塗布する、接着剤を塗布した面同士を合わせ、さらに第1および第2の偏光子の偏光面を適正に位置合わせして所定の圧力を加える、組み合わされた3枚の光学素子からなるブロックを所定の時間、所定の温度に加熱して接着剤を熱硬化させる、という手順で製造される。
光学接着剤としては、接着硬化時の収縮が小さく、熱による歪の影響が少なく、安定性の高い熱硬化型接着剤あるいは紫外線硬化型接着剤などが用いられる。
上記のような光アイソレータは、従来から用いられている光アイソレータであり、通常は出力が数十ミリワット程度の光を用いた光通信システムに多く用いられている。
一方、光アンプ等を用いる光通信システムにおいては、数百ミリワット程度の高出力のレーザ光が用いられている。光路面に光学接着剤を有する光アイソレータを高出力のレーザ光を用いる光通信システムで使用した場合には、接着剤の変質の可能性があり、信頼性に問題が生じる。
それに対して、特開2005−181760号公報には、光路面に接着剤が無い光アイソレータが開示されている。この光アイソレータは、板状の偏光子と、板状のファラデー回転子とを並べてその両端部を一対の基板で保持する構造であって、対向する2枚の取り付け基板にそれぞれ溝状の凹部を形成し、凹部に偏光子、ファラデー回転子の端部を保持して接着剤で固定した光アイソレータが開示されている。
この光アイソレータは、第1の偏光子、ファラデー回転子、第2の偏光子を保持する2枚の基板を準備し、2枚の基板の対向する面に凹部を形成して接着剤を塗布し、第1の偏光子、ファラデー回転子、第2の偏光子の、それぞれの両端部を2枚の基板の凹部に挟み込み、所定の時間、所定の温度に加熱して接着剤を硬化させる、という手順で製造される。
また、特開平4−333818号公報には、接着剤の代わりに低融点ガラスなどのガラス材を用いた光アイソレータが開示されている。この光アイソレータは、偏光子とファラデー回転子とをそれぞれの外周部において第1のガラス材で互いに固着すると共に、ファラデー回転子と検光子をそれぞれの外周部において第2のガラス材で磁石に固着して構成したものである。
この光アイソレータは、予め第1、第2のガラス材を格子状に形成したガラスタブレットとして用意しておき、偏光子とファラデー回転子の間、およびファラデー回転子と検光子との間にガラスタブレットを重ね合わせ、偏光子および検光子に形成した格子状の溝部に、それぞれガラスタブレットを挿入するように位置合わせした後、所定の温度でガラス材を加熱することにより光学素子を接合し、その後光学素子を個片に切断する手順で製造される。
特開2007−309967号公報 特開2005−181760号公報 特開平4−333818号公報
特許文献1に開示された光アイソレータは、光学接着剤を用いて光学素子同士を接着し、一体化したものであり、第1の偏光子とフアラデー回転子の接合面、フアラデー回転子と第2の偏光子の接合面に接着剤が塗布されている。従って、この光アイソレータは、出力が数十ミリワット程度の光を用いた光通信システムに使用する限りにおいては問題ないが、高出力のレーザ光を用いる通信システムで使用した場合には、接着剤の変質の可能性があり、信頼性に問題が生じる。
図10は、特許文献2に開示された従来の光アイソレー夕の構成を示す図である。この光アイソレー夕1は、2枚の対向する取り付け基板4の間に2個の偏光子2と、これらの各偏光子2の間に配置される一枚のファラデー回転子3の計3個の光学素子が、空隙5を介して積層して構成されている。
しかしながら、この構成では、積層された光学素子の光路方向(光軸方向)の距離(厚み)が増してしまう。また、光学素子を固着するための固定部材が邪魔になり光学部品の小型化の妨げとなるという問題点があった。
また、特許文献3に開示された光アイソレー夕によれば、理想的には、平板状ファラデー回転子と偏光子との間に空隙が形成されることはなくなることになる。しかしながら、実際には、ガラスタブレット及び溝部をいかに高精度に加工したとしても、格子状の溝部に低融点ガラスを過不足なく充填することは難しい。例えば、溝部に対してガラス材が多い場合には、溝から溢れて、平板状ファラデー回転子と偏光子との間に流れ出し、平板状ファラデー回転子と偏光子の間に隙間を生じることとなり、逆に、溝部に対してガラス材が少ない場合には、接合不足を生じることになる。
そこで、本発明は、高出力光に適用できる小型の光アイソレー夕などの光学部品及びその製造方法を提供する。また、汎用的な製造設備により製造可能で安価な光アイソレー夕などの光学部品の製造方法を提供する。
本願の第1の発明においては、
少なくとも2つの平板状の光学素子が積層された光学部品の製造方法であって、
前記それぞれの光学素子は、光路方向前後に設けられた前後面、及び前記前後面を取り囲む側面を有し、
前記前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、隣接する前記光学素子の対向する前記前後面の少なくとも一方には、前記側面につながる凹部が設けられており、以下のステップを備えたことを特徴とする。
(1)前記平板状の光学素子が少なくとも2つ取り出せる光学材料を少なくとも2つ準備し、予め定められた順序に配置するステップ、
(2)隣接する前記光学素子の前記前後面を互いに圧接するステップ、
(3)前記ステップ(2)の後に、前記凹部に対して、前記側面からエネルギー硬化型の接着剤を充填するステップ、
(4)前記ステップ(3)の後に、前記接着剤に硬化エネルギーを加えて、前記接着剤を硬化させるステップ、
(5)前記ステップ(4)の後に、前記光学材料を切断して個々の光学部品を得るステップ。
本願の第2の発明においては、第1の発明において、前記凹部は、前記前後面の非光路域に設けられていることを特徴とする。
本願の第3の発明においては、第1の発明または第2の発明の何れかの発明において、前記凹部は、少なくとも1つの溝から成り、前記溝の幅は0.005mm〜0.5mm、深さは0.001mm〜0.1mmであることを特徴とする。
本願の第4の発明においては、第1の発明乃至第3の発明の何れかの発明において、前記接着剤は、常温における粘度が10〜10mPa・sであることを特徴とする。
本願の第5の発明においては、第1の発明乃至第4の発明の何れかの発明において、前記少なくとも2つの平板状の光学素子の前記光路面を圧接する圧力は、10Pa〜10Paであることを特徴とする。
本願の第6の発明においては、第1の発明乃至第5の発明の何れかの発明において、少なくとも1つの前記平板状の光学素子に、反射防止膜を施すことを特徴とする。
本発明によれば、高出力光に適用できる小型の光アイソレー夕などの光学部品を提供できるようになる。また、汎用的な製造設備により製造可能で安価な光アイソレー夕などの光学部品を提供することができるようになる。
本発明の製造方法により製造される光学部品の一実施例の構成を示す図である。 平板状の光学素子を含む光学材料の準備工程を説明する模式図である。 図2の準備工程により製作される光学材料を示す図である。 本発明の光学部品の製造方法を示す工程図である。 圧接時の押圧力と圧接状態を評価した結果の関係を示す図である。 本発明の製造方法により製造される光学部品の他の実施例の構成を示す図である。 図1の光学部品の構成を適用した光アイソレータモジュールの構造を示す図である。 本発明の光学部品と比較例の光学部品の寸法を対比した図である。 本発明の製造方法により製造される光学部品を適用した光アイソレータモジュールの他の構造を示す図である。 従来の光アイソレータの構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図1〜図9を参照し実施例に基づいて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明の製造方法により製造される光学部品の一実施例の構成を示す断面図であり、図1(a)は光学部品10の平面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A断面図である。図1に示すように、光学部品10は、複数の平板状の光学素子12、14、16が積層されて構成される。光学部品10が光アイソレータの場合、通信光が透過する方向から順に偏光子(光学素子12)、ファラデー回転子(光学素子14)、検光子として機能する偏光子(光学素子16)を積層して構成する。
それぞれの光学素子12、14、16は、光路方向(図中矢印B方向)の前後に設けられた前後面12a、14a、16aと、それらの前後面12a、14a、16aを取り囲む側面12b、14b、16bと、を有し、前後面12a、14a、16aには、光が通過する光路域12c、14c、16cと、光が通過しない非光路域12d、14d、16dを有している。
ここで、光路域とは、ガウシアン形状の強度分布の光において、光の中心付近の最大強度eに対して、光の強度が1/e以上となっている領域(図中の点線で示した領域)のことである。
隣接する光学素子12、14、16のそれぞれ対向する前後面12a、14a、16aの少なくとも一方には、側面12b、14b、16bにつながる凹部19が設けられている。図1においては、光学素子14に対向する光学素子12と16の前後面12a、16aにそれぞれ側面12b、16bにつながる凹部19が設けられている。この凹部19には後述するようにエネルギー硬化型の接着剤18が充填される。また、光学素子12、14、16の両側面には、それぞれ平板20が設けられる。平板20はエネルギー硬化型の接着剤18により光学素子12、14、16の両側面に接着され、光学素子12、14、16が平板20に保持される。
このように本発明にかかる製造方法により製造される光学部品10は、少なくとも2つの平板状の光学素子が積層されたものであって、それぞれの光学素子は、光路方向前後に設けられた前後面、及び前後面を取り囲む側面を有し、前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、隣接する光学素子の対向する前後面の少なくとも一方には、側面につながる凹部が設けられているものである。
以下、上記のような光学部品10を製造する本発明にかかる製造方法の一実施例について説明する。
図2(a)に示すような基板を「基板状の光学材料」、図2(b)に示すような大板を「大板状の光学材料」、図2(c)に示すような短冊状に切断された光学材料を「短冊状の光学材料」という。短冊状の光学材料は更に切断され、個々の光学素子となる。
図2は、本発明の製造方法に用いられる平板状の光学素子を含む光学材料の準備工程を説明する模式図であり、図3は、図2の準備工程によって製作される短冊状の光学材料を示す図である。図2において(a)は偏光子、ファラデー回転子等の基板状の光学材料を示し、(b)は基板上の光学材料に凹部を形成した大板状の光学材料を示し、(c)は大板状の光学材料を短冊状に切断する切断工程を示す図である。図3において(a)は偏光子用である短冊状の光学材料を示し、(b)はファラデー回転子用である短冊状の光学材料示す図である。
図2(a)に示すように、基板状の光学材料312,316は、1片が11mmの方形で、厚さが0.2mmの平板状の偏光子用のガラス材であり、これらの基板状の光学材料312、316は、所定の平面度に研磨されている。研磨による平面度は、例えば、λ/2ないしλ/10(λ=633nm)である。
偏光子用である基板状の光学材料312、316には、図2(b)に示すように格子状に凹部219がダイシングマシンにより加工され、大板状の光学材料212,216となる。大板状の光学材料112、116は、図2(c)に示すように、短冊状に切断され、短冊状の光学材料112、116となる。ファラデー回転子用である基板状の光学材料314は、1片が11mmの方形で、厚さが0.4mmの平板状の永久磁化されたラッチ型のガーネット材である。このファラデー回転子用である基板状の光学材料314には、凹部は加工されずに、短冊状に切断され、短冊状の光学材料114となる。
図3(a)には、偏光子用である短冊状の光学材料112,116の平面図(上段)と側面図(下段)が示されており、図3(b)には、ファラデー回転子用である短冊状の光学材料114の平面図(上段)と側面図(下段)が示されている。
図4は、本発明の光学部品の製造方法を示す工程図であり、図中の(a)〜(i)は各製造工程における光学材料の状態を示す図である。なお、図4(a)〜(i)には理解を助けるため必要に応じて上段に平面図、下段に側面図を図示している。
偏光子用である短冊状の光学材料112,116、ファラデー回転子用である短冊状の光学材料114を、図4(a)に示すように、把持具24上に下から光学材料112、光学材料114、光学材料116の順にそれぞれの前後面が接するように重ねて配置する。次いで、図4(b)に示すように、重ねて配置された光学材料の112、114、116の上に把持具25を重ね、把持具24、25に所定の圧力(例えば、10Pa)を加え、光学材料の112、114、116を圧接する。
ここでいう圧接とは、隣接する光学材料又は光学部品の前後面を接触させて押圧することである。なお、本願発明では、圧接といえども、ナノメータレベルでの接触までを意図しているわけではなく、本願発明の光学部品の使用に影響を与えないレベルの非接触(例えば、0.01mm以下の光学材料間の微細な隙間や屈折率整合剤等の極薄膜の存在を含む)を排除するものではない。この圧接により、凹部に充填した接着剤を、隣接する光学材料又は光学部品の前後面との間に流れ出すことを防止することができる。
図5は、光学材料の112、114、116を圧接する際の押圧力と短冊状の光学材料の圧接状態を評価した結果を示す図である。図5に示すように、圧接時の押圧力が10 Pa以下では、側面より接着剤を塗布し、凹部119に接着剤を充填しようとするときに、接着剤の一部が、凹部119から隣接する短冊状の光学材料の前後面の界面へ流れ出しが確認されたため、良好な圧接状態とはいえない。2*10Pa以上では、光学材料112、114、116にクラックや欠けなどの微細な損傷が生じたため、良好な圧接状態とはいえない。10Pa〜10Paでは、接着剤の凹部からの流れ出しは無く、また光学材料の微細な損傷も確認されなかったので、良好な圧接状態と考えられる。
圧接を終えると、図4(c)に示すように圧接された光学材料の112、114、116の側面に接着剤18を塗布する。接着剤18は毛細管現象を利用して凹部119に充填される。凹部119に接着剤18を過不足なく充填するためには、接着剤18の粘度は常温(23±5°C)における粘度が10mPa・s〜10mPa・s(日本工業規格JIS K7117−2/対応国際規格ISO 3219による)であることが好ましい。本実施例で用いた接着剤の粘度は250mPa・sである。
図4(d)は、凹部119への接着剤18の充填が完了した状態を示している。ここで、凹部119に充填する接着剤18として本実施例では紫外線硬化型のエポキシ系接着剤を用いたが、他の硬化エネルギーで硬化する(熱硬化型等)エネルギー硬化型の接着剤でもよい。
凹部119への接着剤18の充填が完了すると、図4(e)に示すように、圧接された光学材料112、114、116の側面に平板120を配置する。光学材料112、114,116の側面と平板120を接着するには、光学材料112、114、116と平板120の間には、平板120全体に接着剤が広がる程度の接着剤の量があること必要である。
その後、図4(f)に示すように、圧接された光学材料112、114、116の反対側の側面にも接着剤18を塗布して平板120を配置する。平板120は、本実施例においては、ホウケイ酸ガラスを用い、接着剤18の厚さは1〜5μm程度とした。なお、平板120は金属やセラミックのような紫外線を通さない材質のものでもよい。
その後、図4(g)に示すように、平板120を貼り付けた光学材料112、114、116の一方の側面から紫外線を照射する。紫外線の照射条件は、10mW/cm、照射時間は5分とした。その後、平板120を貼り付けた光学材料112、114,116の他方の側面からも紫外線を照射する(図4(h)参照)。紫外線照射の条件は同じである。このように両側面から合計10分間、紫外線を照射にすることにより接着剤18を硬化させた。接着剤18が熱硬化型の場合には、所定の温度にて所定時間、硬化させる。所定の温度は、必ずしも高温である必要はなく、常温もしくはそれ以下の温度でもよい。
その後、図4(i)の平面図(i1)に示すように、個々の光学部品に切断し、図1の光学部品10を得る。図4(i)の側面図(i2)を参照すると、切断線21はやや傾斜している。傾斜角は垂直方向から6度ないし8度である。この傾斜は、光学部品が貼り付けられるフェルールの傾斜に合わせたものである。
光学部品10においては、光学素子12、14、16の両側には接着剤18により平板20が接合されている。
光学素子12,14,16の前後面(図1の12a、14a、16a参照)の一辺は1mm未満であることが好ましい。本実施例では、前後面の一辺の長さは0.7mm程度としている。
凹部19の幅は0.005mm〜0.2mm、深さは0.005mm〜0.05mmの範囲内であることが好ましく、本実施例では、凹部19の幅は0.05mm、深さは0.02mmとしている。
また、凹部19は種々の形状とすることができ、その断面形状がコの字状、U字状、弧状などであってよい。
図6は、本発明の光学部品の他の実施例の構成を示す図であり、(a)は光学部品100の平面図、(b)は光学部品100のC−C断面図である。図6の光学部品100は、光学素子12、14、16の4方の側面の全てに平板20を配置したものである。
光学素子12、14、16の平板20が設けられていないそれぞれの側面と平板20の間にエネルギー硬化型の接着剤を塗布し、その後、塗布された接着剤に硬化エネルギーを加えて硬化させる。これにより、光学素子10、12、14が4つの側面において平板20に保持される。平板20には、例えば、ガラス板を用いる。なお、図中に記載した寸法は一例であり図1の光学部品10も対応部分は同じ寸法であってよい。
また、図1、図6の構成と異なり、4方の側面の全てに平板20を設けない構成であってもよい。
図7は、本発明の光アイソレータモジュールの構造を示す図である。図7において(a)は光アイソレータモジュール40の上面図、(b)は光アイソレータモジュール40のD−D断面図である。この光アイソレータモジュール40は、フェルール44上にガラススペーサ42を介して、図1と同様の構成の光アイソレータ30が接着剤により接合されている。
フェルール44は、光ファイバ45を保持・保護するものであり、十分な機械的強度を有するジルコニアなどで形成される。光ファイバ45を通過するレーザ光は図中矢印Bのように光アイソレータ30に入射する。入射したレーザ光は点線46のように光アイソレータ内を進行する。進行するレーザ光のビーム径は、図示のようにその進行距離に応じて徐々に大きくなる。
光アイソレータ30は、図7(b)に示すように、偏光ガラス32、ファラデー回転子34、偏光ガラス36から構成されている。
偏光ガラス32、36、ファラデー回転子34は、図1において説明したと同様に、光路方向前後に設けられた前後面、及び前後面を取り囲む側面を有し、前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、隣接する光学素子の対向する前後面の少なくとも一方には、側面につながる凹部39が設けられている。
偏光ガラス32、ファラデー回転子34、偏光ガラス36は所定の順序に配置され、圧接された後、凹部39にはエネルギー硬化型の接着剤18を充填し、接着剤18に硬化エネルギーを加え、接着剤18を硬化することにより接合されている。また、偏光ガラス32、ファラデー回転子34、偏光ガラス36は、その両側面にエネルギー硬化型の接着剤18により固着されたたガラス材からなる平板20により保持されている。
図8は、本発明の光学部品と比較例の光学部品の寸法を対比した図である。(a)は図7に示す光アイソレータモジュールの構成を示し、(b)は比較例として、特許文献2の光アイソレータを用いた光アイソレータモジュールである。
図8(a)、(b)において、偏光ガラス12,16、ファラデー回転子14の厚みは同じ寸法として対比している。光アイソレータは光ファイバ45を保持したフェルール44の端面に接合されている。レーザ光が、光ファイバ45の端部から光アイソレータに入射され、偏光ガラス12、ファラデー回転子14、偏光ガラス16の屈折率に応じて屈折しながら光アイソレータ内を点線46のように進行する。レーザ光のビーム径は、図示のようにその進行距離に応じて徐々に大きくなる。
図8(a)に示す本発明の光アイソレータモジュールにおいては、偏光ガラス12、ファラデー回転子14、偏光ガラス16は、それぞれの光学素子の隣接する前後面が圧接されており、レーザ光の進行方向の長さL1は1mmである。この長さL1(1mm)を進行する間に拡大するレーザ光のビーム径を考慮して、偏光ガラス12、ファラデー回転子14、偏光ガラス16の一辺の幅x1は0.7mmとなる。
これに対して図8(b)に示す比較例においては、偏光ガラス12、ファラデー回転子14、偏光ガラス16の間にはそれぞれ空隙が存在し、図8(a)の本発明の光アイソレータモジュールと対比すると、レーザ光の進行方向の長さL2は1.4mmになる。この長さを進行する間に拡大するレーザ光のビーム径を考慮すると、偏光ガラス12、ファラデー回転子14、偏光ガラス16の一辺の幅x2は1.0mmとなる。
従って、本発明の光アイソレータと比較例の光アイソレータの寸法比を体積比に換算すると、0.7*0.7*1.0/(1.0*1.0*1.4)=0.35となり、本発明の光学部品の体積は、比較例の光学部品の約1/3になり、光学部品(光アイソレータ)の小型化を実現できることが分かる。
図9は偏光無依存型光アイソレータモジュールの構造の1例を示す図である。図9において、(a)は光アイソレータ50の上面図、(b)は光アイソレータモジュール60のE−E断面図である。この光アイソレータモジュール60は、フェルール63上にガラススペーサ70を介して、偏光無依存型光アイソレータ50が接着剤により接合されている。
片方の光ファイバ61から出射したレーザ光は図中矢印Cのように光アイソレータ50に入射する。入射したレーザ光は点線のように光アイソレータ内を進行する。光アイソレータ50から出射した光はレンズ64でコリメート光となりミラー65で反射され、再度レンズ64を通り、光アイソレータ50に入射、進行し、もう片方の光ファイバ62に入射する。
光アイソレータモジュール60は、図9に示すように、偏光子として機能する平板型の複屈折結晶52、偏光方向を回転させる機能を有する2枚の1/2波長板57と58、永久磁化されたラッチ型のガーネット結晶からなるファラデー回転子54、偏光子として機能する複屈折結晶56を積層して圧接することにより構成している。複屈折結晶52、ファラデー回転子54、1/2波長板57と58、複屈折結晶56の各光学素子は、先に述べたように、例えば、縦横11mmの平板から格子状に所定の大きさに切断されたものが1つの光学素子として用いられている。複屈折結晶としてはYVO4、1/2波長板としては水晶板などが用いられる。
複屈折結晶52、56、ファラデー回転子54は、光路方向前後に設けられた前後面、及び前後面を取り囲む側面を有し、前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、複屈折結晶52の1/2波長板57と58に対向する前後面、ファラデー回転子の1/2波長板57と58に対向する前後面、及び複屈折結晶56のファラデー回転子54に対向する前後面には、側面につながる凹部51が設けられている。
複屈折結晶52、1/2波長板57と58、ファラデー回転子54、複屈折結晶56は所定の順序に配置され、圧接された後、凹部51にはエネルギー硬化型の接着剤18を充填し、接着剤18に硬化エネルギーを加え、接着剤18を硬化することにより接合されている。また、複屈折結晶52、ファラデー回転子54、複屈折結晶56はその両側面に、1/2波長板57、58はその片側面に、エネルギー硬化型の接着剤18により固着されたガラス材等からなる平板59により保持されている。
以上の説明は、大板の光学材料を短冊状の光学材料に切断した後に、圧接、接着剤の充填、接着剤の硬化を行って接合し、最後に個々の光学素子に切断する例を説明したが、本発明はこれに限られない。大板の光学材料の状態、短冊状の光学材料の状態、個片の光学素子の状態、いずれの状態でも本発明にかかる製造方法を適用することができる。
また、短冊状に切断する光学材料の幅も、個々の光学素子の1列分を含むように切断してもよく、個々の光学素子の複数列を含むように切断してもよい。そのような場合でも、基本となる光学素子の圧接、接着剤の充填、接着剤の硬化の工程の間に、必要となる他の適切な工程を追加すればよい。
以上説明したように本発明によれば、高出力光に適用できる小型の光アイソレー夕などの光学部品を提供できるようになる。また、汎用的な製造設備により製造可能で安価な光アイソレー夕などの光学部品を提供することができるようになる。
上述した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
10、100・・・光学部品
12、14、16・・・光学素子
112、114、116・・・短冊状の光学材料
212、216・・・大板状の光学材料
312、314、316・・・基板状の光学材料
12a、14a、16a・・・光学素子における前後面
112a、114a、116a・・・短冊状の光学材料における前後面
12b、14b、16b・・・側面
112b、114b、116b・・・短冊状の光学材料における側面
12c、14c、16c・・・光路域
12d、14d、16d・・・非光路域
18・・・接着剤
19・・・光学素子における凹部
119・・・短冊状の光学材料における凹部
219・・・大板状の光学材料における凹部
20・・・光学素子の側面に配置される平板
120・・・短冊状の光学材料の側面に配置される平板
21・・・切断線
23・・・符号
24、25・・・把持具
30・・・偏光依存型光アイソレータ
32・・・偏光ガラス
34・・・ファラデー回転子
36・・・偏光ガラス
39・・・凹部
40・・・偏光依存型光アイソレータモジュール
45・・・光ファイバ
46・・・レーザ光を示す点線
50・・・偏光無依存型光アイソレータ
51・・・凹部
52・・・複屈折結晶
54・・・ファラデー回転子
56・・・複屈折結晶
57・・・1/2波長板
58・・・1/2波長板
59・・・平板
60・・・偏光無依存型光アイソレータモジュール
61・・・光ファイバ
62・・・光ファイバ
63・・・フェルール
64・・・レンズ
65・・・ミラー
70・・・ガラススペーサ

Claims (6)

  1. 少なくとも2つの平板状の光学素子が積層された光学部品の製造方法であって、
    前記それぞれの光学素子は、光路方向前後に設けられた前後面、及び前記前後面を取り囲む側面を有し、
    前記前後面には、光が通過する光路域と、光が通過しない非光路域を有し、
    隣接する前記光学素子の対向する前記前後面の少なくとも一方には、前記側面につながる凹部が設けられており、
    以下のステップを備えたことを特徴とする光学部品の製造方法。
    (1)前記平板状の光学素子が少なくとも2つ取り出せる光学材料を少なくとも2つ準備し、予め定められた順序に配置するステップ、
    (2)隣接する前記光学素子の前記前後面を互いに圧接するステップ、
    (3)前記ステップ(2)の後に、前記凹部に対して、前記側面からエネルギー硬化型の接着剤を充填するステップ、
    (4)前記ステップ(3)の後に、前記接着剤に硬化エネルギーを加えて、前記接着剤を硬化させるステップ、
    (5)前記ステップ(4)の後に、前記光学材料を切断して個々の光学部品を得るステップ。
  2. 前記凹部は、前記前後面の非光路域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光学部品の製造方法。
  3. 前記凹部は、少なくとも1つの溝から成り、前記溝の幅は0.005mm〜0.5mm、深さは0.001mm〜0.1mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の光学部品の製造方法。
  4. 前記接着剤は、常温における粘度が10〜10mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光学部品の製造方法。
  5. 前記少なくとも2つの平板状の光学素子の前記光路面を圧接する圧力は、10Pa〜10Paであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光学部品の製造方法。
  6. 少なくとも1つの前記平板状の光学素子に、反射防止膜を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光学部品の製造方法。
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