JP5843196B2 - 多機能ペン - Google Patents
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Description
一方、各リフィルは通常、コイルスプリングの内部空間に挿入されている。このコイルスプリングは、前記ノック操作機構と上記ガイド部材との間に介装される場合が多い。そして、ノック操作機構の押圧操作は、このコイルスプリングの付勢力に抗して行われ、ノック操作機構がたとえば軸筒の内部と係合することで、軸筒の先端からリフィルの先端が突出した状態が保たれることとなっている。そしてこの係合が解かれると、ノック操作機構はコイルスプリングの付勢力により後方へ押し戻され、リフィルの先端は軸筒の内部へ没入することとなる。
さらに、コイルスプリングの軸心とリフィル挿通孔の軸心とはできるだけ一致していることが望ましい。なぜなら、これらの軸心がずれていると、多機能ペン製造の際にコイルスプリングをガイド部材にセットするときにコイルスプリングの一部がリフィル挿通孔にはみ出すことがある。そしてこの状態でリフィルをリフィル挿通孔へ挿通させると、リフィルの先端がこのはみ出た部分に当たってしまい、そのままリフィルを押し込むとコイルスプリングを変形ないし損傷させることがあった。
上記の問題点に鑑み、本発明は、多機能ペンにおいて、リフィルのガイド部材にコイルスプリングの外周を保持する部分を設けつつ、この部分と軸心方向へ移動してきたリフィルの外周面との間でコイルスプリングが挟まれることによるリフィルとコイルスプリングとの干渉から生ずるリフィルの繰り出しを阻害するなどの不具合を解消することを課題とする。
前記軸筒10内部には、前記シャープペンシルリフィル30及び前記複数本のボールペンリフィル50の前後方向への移動を誘導するために各々に対応する誘導孔21が設けられたガイドスペーサ20が設けられ、
前記シャープペンシルリフィル30の後端は、前記軸筒10内の後方に設けられたシャープペンシルノック機構40に連結され、該シャープペンシルノック機構40の前後方向の移動によって該シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が該軸筒10先端の開口部11から出没するとともに、
前記各ボールペンリフィル50の後端は、前記軸筒10内の後方に設けられたボールペンノック棒60に連結され、該ボールペンノック棒60の前後方向の移動によって該ボールペンリフィル50の筆記先端51が前記開口部11から出没するように形成され、
前記軸筒10内部には、前記シャープペンシルリフィル30の筆記先端31が前記開口部11から突出している状態を維持するために前記シャープペンシルノック機構40を係止するための軸筒側係止部15が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構40には、前記軸筒側係止部15と係合するためのノック機構側係止部45が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構40と前記ガイドスペーサ20の間には、前記シャープペンシルリフィル30を後方へ付勢するスプリング41が介在し、
前記各ボールペンノック棒60と前記ガイドスペーサ20の間には、前記ボールペンリフィル50を後方へ付勢するスプリング61がそれぞれ介在し、
前記シャープペンシルリフィル30及びシャープペンシルノック機構40の前記軸筒10内の平面位置は、前記軸筒10内で前記複数本のボールペンリフィル50及びボールペンノック棒60の平面位置よりも軸心寄りであり、
前記シャープペンシルノック機構40の後端はノック部42として前記軸筒10後端の開口部12から突出しているとともに、
前記ボールペンノック棒60のスプリング61には、前記ボールペンリフィル50が挿通され、
前記ガイドスペーサ20には、前記ボールペンリフィル50が挿通されるボールペン挿通孔28と、前記ボールペン挿通孔28の後方に位置するとともに該ボールペン挿通孔28より大径で前記ボールペンノック棒60のスプリング61を受けるボールペンスプリング受け26と、が設けられ、
前記ボールペンスプリング受け26の後方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径は、該ボールペンスプリング受け26の前方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径より大きく形成されていることを特徴とする。
「ガイドスペーサ20」とは、軸筒10内部のほぼ中心部分に嵌挿される略円筒状の部材であって、シャープペンシルリフィル30及び複数本のボールペンリフィル50にそれぞれ対応した「誘導孔21」をこれらリフィルと同数だけ有しているものである。
「軸筒側係止部15」と「ノック機構側係止部45」とは、互いにそれぞれ軸筒10側の構造及びシャープペンシルノック機構40が備える構造であって、互いに係合可能な形状を有することで、シャープペンシルの筆記状態を保つためのものである。軸筒側係止部15はたとえば、軸筒10内部の肉厚を異ならせることで長手方向に沿って設けられた段状のレール様構造の所定位置に、周方向に沿って設けられた段部、凹部又は凸部として形成することができる。また、ノック機構側係止部45はたとえば、この段部、凹部又は凸部として設けられた軸筒側係止部15と係合し得る段部、凸部又は凹部としてそれぞれ形成することができる。
そして、前記ガイドスペーサ20のボールペン挿通孔28の後方には、このボールペンノック棒60のスプリング61を受けるボールペンスプリング受け26が設けられている。このボールペンスプリング受け26は、たとえば、ボールペン挿通孔28の径より大きな曲率半径を有する筒状構造あるいは筒状構造の一部として形成することができる。
このボールペンスプリング受け26の曲率半径はまた、ボールペンスプリング受け26の前方部分と後方部分とで異なることとなっている。すなわち、その後方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径は、その前方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径より大きく形成されている。すなわち、その前方部分でスプリング61先端の座巻き部分をしっかりと保持できる。そして、その後方部分の空間に、ボールペンノック棒60に押圧されたボールペンリフィル50がその周囲にあるスプリング61とともに軸心寄りに逃げることが可能となっている。また、筆記に供されているボールペンリフィル50の筆記先端51を収容する際には、その後方部分の空間に逃げていたボールペンリフィル50及びその周囲のスプリング61が元の位置にスムーズに戻り得ることとなっている。よって、ボールペンスプリング受け26とボールペンリフィル50外周との間にスプリング61が挟まれることにより生ずる不具合が回避されることとなっている。
(1)外観
本発明の実施の形態に係る多機能ペンPは、図1に示すような外観を呈する。すなわち、軸筒10は、前方に位置する先軸16と、後方に位置する後軸17とが、互いに螺合して形成される(図1(A)〜(C))。軸筒10内部には、後述するように、1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50が内蔵されている。そして、軸筒10の先端及び後端にはそれぞれ開口部11,12が設けられている。軸筒10先端の開口部11(図1(A)〜(D))は、該シャープペンシルリフィル30の筆記先端31又は該ボールペンリフィル50,50の筆記先端51,51のいずれかが筆記のために突出し、また没入するためのものである。一方、軸筒10後端の開口部12からは、シャープペンシルリフィル30の繰り出し操作及び芯繰り出しのためのノック操作に用いられる、ノック42部が突出している(図1(A)〜(C)、(E))。非筆記状態においては、図1(E)に示すように、ノック部42は軸筒10後端の開口部12の中でやや正面側に偏心している。
軸筒10の背面における後端付近には、前後方向の一対のスリットが設けられている。これをスライドスリット13,13と称する(図1(A)、(B))。各スライドスリット13,13の前端部分は互いに向かって切り欠かれており、この部分を係合切欠13a,13aと称する(図1(A)、(B))。これらのスライドスリット13a,13aの中には、後述のボールペンノック棒60,60の一部であるスライド突起62,62が前後に移動可能に位置している(図1(B)、(C))。
図2は、図1の多機能ペンPを各断面図で示したものである。
軸筒10内には、1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50が内蔵されている(図2(A)〜(C))。また、軸筒10内のほぼ中間(やや後端寄り)には、ガイドスペーサ20が嵌挿されている(図2(A)、(B))。このガイドスペーサ20には、図2(C)に示すように、前記1本のシャープペンシルリフィル30及び2本のボールペンリフィル50,50の前後方向への移動を誘導するための3個の誘導孔21,21,21が設けられている。具体的には、これらの誘導孔21,21,21のうち、ほぼ軸心側に位置する1個がシャープペンシルリフィル30を挿通させ誘導するためのシャープペンシル挿通孔24である。また、これより背面側に位置する2個が、ボールペンリフィル50,50を挿通させ誘導するためのボールペン挿通孔28,28である。また、シャープペンシル挿通孔24の正面(図2(A)中における上方。以下同)寄りには、後方に突出する小突起が形成されており、これをシャープペンシルスプリング受け25と称する(図2(A)、(C))。ガイドスペーサ20の構造の詳細についてはさらに後述する。
シャープペンシルノック機構40の後端の正面側からは、前記ガイド突起48が突出し、軸筒10後端付近のガイドスリット18の中に位置している(図2(A)、(D))。
シャープペンシルノック機構40の先端側であって、シャープペンシルリフィル30より正面寄りの位置からはスプリング押し棒47が突出している(図2(A))。このスプリング押し棒47と、先述のガイドスペーサ20のシャープペンシルスプリング受け25との間には、スプリング41が介装され、これによりシャープペンシルノック機構40は常に後方へ付勢されている(図2(A))。すなわち、シャープペンシルノック機構40を後方へ付勢するスプリング41には、シャープペンシルリフィル30自体は挿通されていない。これにより、圧縮されたスプリング41がシャープペンシルリフィル30と干渉することが回避できている。
ボールペンリフィル50,50の後端はそれぞれ、軸筒10内後方に位置するボールペンノック棒60,60に連結されている(図2(B))。各ボールペンノック棒60,60の先端と、ガイドスペーサ20の後端面との間には、ボールペンリフィル50,50が挿入されているスプリング61,61が介装されている(図2(B))。このスプリング61,61によりボールペンノック棒60,60は常に後方へ付勢されている。
(3)ガイドスペーサ20
ガイドスペーサ20は、図3に示すように、略円筒状の外観を呈し、先述の誘導孔21,21,21として、ほぼ軸心に位置するシャープペンシル挿通孔24と、2個のボールペン挿通孔28,28(ただし、図中では1個だけ視認できる)とが設けられている。
そして、シャープペンシル挿通孔24の両側から後端へ、柱状のリフィルガイド22,22が後方へ突出している。このリフィルガイド22,22の後端の、ボールペンリフィル50,50に面した側(すなわち背面側)は斜めに削ぎ落とされた形状の傾斜面を形成している。この傾斜面を、固定カム23と称する。この固定カム23は,シャープペンシルノック機構40の移動を誘導するための構成であるが、詳しくは後述する。
図2に示す非筆記状態においては、シャープペンシル解除カム43及びボールペン解除カム63,63はいずれも、軸筒10内部の最後方に位置している。この状態では、図4の断面図に示すように、シャープペンシル解除カム43の稜線43cと、2つのボールペン解除カム63,63の各稜線63c,63cとは互いに近接した位置を保持している。この状態において、シャープペンシルリフィル30は軸心よりやや正面寄り(同図中における上方寄り)に偏心した位置にある。
(5)シャープペンシルリフィル30の繰り出し
以下、本実施形態に係る多機能ペンPにおけるシャープペンシルリフィル30の繰り出しについて、図5の一部側面断面図、図6及び図7を適宜参照しつつ説明する。
また、軸筒10内側に一対設けられているガイドレール14,14(図2(D)、図4参照)は、図5(A)に示すように、軸筒10後端縁から所定距離を隔てたところで背面側にずれている。この所定距離とは、シャープペンシルリフィル30の繰り出しに要する距離である。このずれた部分により形成された段差が、軸筒側係止部15,15としての係合段差15,15である(ただし、図中では手前側のみを表している。)。
そして、前記所定距離だけ移動したところで、図5(B)に示すように、移動カム46と固定カム23とが互いの傾斜面を接するようにして当接することとなる。それと同時に、ノック機構側係止部45,45は、係合段差15,15のところでガイドレール14,14からは一旦外れることとなる。この状態からさらに押圧を続けると、移動カム46は固定カム23の傾斜面に沿って背面側へ滑り、それによりシャープペンシルノック機構40がシャープペンシルリフィル30とともに軸心側へ移動し始める。
(6)ボールペンリフィル50の繰り出し
図6に示すシャープペンシルリフィル30の筆記状態から、ボールペンノック棒60,60のスライド突起62,62のいずれかを操作すると、スライド突起62は軸筒10のスライドスリット13に沿って、スプリング61を圧縮しつつ、前方へ移動する。
この状態においては、図9に示すように、繰り出されたボールペンリフィル50側のボールペン解除カム63は、もう一方のボールペン解除カム63及びシャープペンシル解除カム43の前方へ位置することとなっている。
そして、この状態では、図8(E)に示すように、ボールペンリフィル30はガイドスペーサ20の位置で屈曲した状態を取りつつ筆記先端31は軸心に位置している。このとき、ガイドスペーサ20の後方におけるボールペンスプリング受け26の後方内壁26b(図3参照)が、屈曲したボールペンリフィル30により軸心方向に押しつけられたスプリング61が逃げるためのスペースとして確保されており、この状態におけるスプリング61の損傷が回避できることとなっている。
10 軸筒 11 先端の開口部 12 後端の開口部
13 スライドスリット 13a 係合切欠 14 ガイドレール
15 軸筒側係止部(係合段差) 16 先軸
17 後軸 18 ガイドスリット
20 ガイドスペーサ 21 誘導孔 22 リフィルガイド
23 固定カム 24 シャープペンシル挿通孔
25 シャープペンシルスプリング受け 26 ボールペンスプリング受け
26a 前方内壁 26b 後方内壁 27 スプリング受け段差
28 ボールペン挿通孔
30 シャープペンシルリフィル 31 筆記先端
40 シャープペンシルノック機構 41 スプリング
42 ノック部 42a ノックキャップ 43 シャープペンシル解除カム
43a 先端解除斜面 43b 後端解除斜面 43c 稜線
44 芯補充孔 45 ノック機構側係止部 46 移動カム
47 スプリング押し棒 48 ガイド突起
50 ボールペンリフィル 51 筆記先端
60 ボールペンノック棒 61 スプリング 62 スライド突起
63 ボールペン解除カム 63a 先端解除斜面 63b 後端解除斜面
63c 稜線
Claims (1)
- シャープペンシルとして機能するシャープペンシルリフィルと、ボールペンとして機能する複数本のボールペンリフィルとが軸筒に収納される多機能ペンであって、
前記軸筒内部には、前記シャープペンシルリフィル及び前記複数本のボールペンリフィルの前後方向への移動を誘導するために各々に対応する誘導孔が設けられたガイドスペーサが設けられ、
前記シャープペンシルリフィルの後端は、前記軸筒内の後方に設けられたシャープペンシルノック機構に連結され、該シャープペンシルノック機構の前後方向の移動によって該シャープペンシルリフィルの筆記先端が該軸筒先端の開口部から出没するとともに、
前記各ボールペンリフィルの後端は、前記軸筒内の後方に設けられたボールペンノック棒に連結され、該ボールペンノック棒の前後方向の移動によって該ボールペンリフィルの筆記先端が前記開口部から出没するように形成され、
前記軸筒内部には、前記シャープペンシルリフィルの筆記先端が前記開口部から突出している状態を維持するために前記シャープペンシルノック機構を係止するための軸筒側係止部が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構には、前記軸筒側係止部と係合するためのノック機構側係止部が設けられ、
前記シャープペンシルノック機構と前記ガイドスペーサの間には、前記シャープペンシルリフィルを後方へ付勢するスプリングが介在し、
前記各ボールペンノック棒と前記ガイドスペーサの間には、前記ボールペンリフィルを後方へ付勢するスプリングがそれぞれ介在し、
前記シャープペンシルリフィル及びシャープペンシルノック機構の前記軸筒内の平面位置は、前記軸筒内で前記複数本のボールペンリフィル及びボールペンノック棒の平面位置よりも軸心寄りであり、
前記シャープペンシルノック機構の後端はノック部として前記軸筒後端の開口部から突出しているとともに、
前記ボールペンノック棒のスプリングには、前記ボールペンリフィルが挿通され、
前記ガイドスペーサには、前記ボールペンリフィルが挿通されるボールペン挿通孔と、前記ボールペン挿通孔の後方に位置するとともに該ボールペン挿通孔より大径で前記ボールペンノック棒のスプリングを受けるボールペンスプリング受けと、が設けられ、
前記ボールペンスプリング受けの後方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径は、該ボールペンスプリング受けの前方部分における軸心寄りの内壁部分の断面の曲率半径より大きく形成されていることを特徴とする多機能ペン。
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