JP5842532B2 - 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法 - Google Patents

機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5842532B2
JP5842532B2 JP2011234232A JP2011234232A JP5842532B2 JP 5842532 B2 JP5842532 B2 JP 5842532B2 JP 2011234232 A JP2011234232 A JP 2011234232A JP 2011234232 A JP2011234232 A JP 2011234232A JP 5842532 B2 JP5842532 B2 JP 5842532B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
functional
coating film
film
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011234232A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013091711A (ja
Inventor
大屋 秀信
秀信 大屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2011234232A priority Critical patent/JP5842532B2/ja
Publication of JP2013091711A publication Critical patent/JP2013091711A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5842532B2 publication Critical patent/JP5842532B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

本発明は、機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法に関し、詳しくは、インクジェット法によって基材上に機能性材料をパターニングするための機能性インクジェットインク及び該機能性インクジェットインクを用いた機能性塗膜の形成方法に関する。
機能性材料を種々の基材上にパターニングすることが、例えば電子デバイス製造など多岐に亘る分野で必要とされている。
従来、機能性材料のパターニングには蒸着法が用いられてきたが、真空プロセスを用いる蒸着法は、装置コストが高いこと、材料の利用効率が低いことなどの問題があった。
これに対して、インクジェット法によって、機能性材料をダイレクトにパターニングする方法が検討されているが、塗膜の平坦化やインクジェットの吐出安定性が課題となっていた。
特許文献1は、インクジェット法において、ノズル詰まりと、基材に対するインクの濡れ広がり性の不足が、膜厚均一性を損なう原因になることに着目し、PEDOT/PSS等の材料に、イソプロピルアルコール、t‐ブチルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等の二級または三級アルコールを、インクに対して17.5重量%〜40重量%の範囲で添加した水性インクを用いることで、インク液滴の塗れ広がりが向上して平坦性の高い薄膜が形成されると共に、長時間インクを吐出してもノズル詰まりが発生しないことを開示している。
特許文献2は、まず、インクジェット法を用いた導電性膜の製造において、インク調合時から吐出時までの間にインク粘度が経時的に変化し、このことが導電性膜の平坦性を損なう原因になることに着目する。そして、PEDOT/PSS等の材料と、溶媒とからなり、粘度の変化率が調合30日後において±5%以下である組成物からなるインクを用いることで、導電性膜の平坦化が可能になることを開示している。ここで、溶媒としては、極性溶媒が好適であるとされ、具体的には、水、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びその誘導体、ジエチレングリコール、モノエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、およびそれらのグリコールエーテル類などが挙げられる、としている。
また、特許文献3は、インクジェット法を用いた導電性膜の製造において、PEDOT/PSS等の材料、溶媒、及び塩基性添加剤を含むインクを用いることによって、インクジェットヘッドの詰まりを防止することを開示している。ここで、溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコール又はグリコールエーテル、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトンなど、少なくとも部分的に水と混和性を有する溶媒である、としている。
特開2006−49174号公報 特開2004−127897号公報 特開2010−537019号公報
近年、非常に薄い膜厚の機能性塗膜をインクジェットで形成する場合にも、平坦性に優れた塗膜を形成する要請が強くなっている。
特許文献1〜3には、有機溶剤を含むインクジェット用のインクが開示されているが、本発明者らの研究によると、有機溶剤の選択によっては、塗膜中にスジ状の未塗布部分(スジ故障)が発生したり、塗膜端部における膜厚異常が発生したり、塗膜中にピンホール状の未塗布部分が形成される所謂はじき故障が発生する場合があることが判明した。
特に意外なことに、塗膜全体としては平坦化されている場合であっても、塗布端部のみにおいて著しい膜厚異常が発生する場合があった。
また、所定の印字領域を1回のヘッドスキャンで印字する所謂ワンパス印字法においては、これらの問題が特に顕著なものになることがわかった。
そこで、本発明の課題は、薄膜を形成する場合においても、インクジェット射出安定性にも優れ、塗膜全体としての平坦性に優れ、塗膜端部における膜厚異常の発生を防止でき、はじき故障が防止される機能性インク及び機能性塗膜の形成方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
導電性材料、絶縁性材料、半導体材料、光学フィルター材料及び誘電体材料から選ばれる少なくとも1種の機能性材料と、下記構成(a)、(b)及び(c)を具備する有機溶剤とを
含有することを特徴とする機能性インクジェットインク。
(a)炭素数2〜4の1価アルコールから選ばれる少なくとも1種を総量でインク中に3
0〜50重量%含有すること
(b)グリコール類のモノエーテルまたはジエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、25℃での表面張力25mN/m未満かつ、沸点140℃以上210℃以下の有機溶剤を総量でインク中に2〜15重量%含有すること
(c)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチル
フォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも
1種の有機溶剤を総量でインク中に5〜15重量%含有すること
2.
構成(a)の1価アルコールが、25℃での表面張力22mN/m未満のものから選ばれる少なくとも1種である前記1.に記載の機能性インクジェットインク。
3.
前記1.または2.に記載の機能性インクジェットインクを、インクジェットヘッドを用いたワンパス印字法によって基材に湿潤塗膜を付与し、次いで乾燥して塗膜を形成することを特徴とする機能性塗膜の形成方法。
4.
前記湿潤塗膜は、塗布時の湿潤膜厚が1μm〜100μmの範囲であることを特徴とする前記3.に記載の機能性塗膜の形成方法。
本発明によれば、薄膜を形成する場合においても、インクジェット射出安定性にも優れ、塗膜全体としての平坦性に優れ、塗膜端部における膜厚異常の発生を防止でき、はじき故障が防止される機能性インク及び機能性塗膜の形成方法を提供することができる。
光干渉法で得られた垂直方向の2次元プロファイルに基づく塗布端部における膜厚異常部の幅及び高さの測定例を示す図
本発明の機能性インクジェットインク(以下、単にインクという場合がある。)は、少なくとも機能性材料と、有機溶剤とを含有し、当該有機溶剤は、下記構成(a)〜(c)を具備する。
(a)炭素数2〜4の1価アルコールから選ばれる少なくとも1種を総量でインク中に3
0〜50重量%含有すること、
(b)グリコール類のモノエーテルまたはジエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、25℃での表面張力25mN/m未満かつ、沸点140℃以上210℃以下の有機溶剤を総量でインク中に2〜15重量%含有すること、
(c)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチル
フォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも
1種の溶剤を総量でインク中に5〜15重量%含有すること。
かかる本発明の機能性インクジェットインクは、本発明者の以下に説明する知見に基づいて成されたものである。
まず、塗膜全体の平坦性を大きく阻害する因子は、乾燥時の乾燥ムラに起因することが多い。乾燥ムラを防止するためには、乾燥時間を短縮することが有効である。乾燥時間を短縮するためには、インターリーブ等を用いてパターンを分割し、所定の印字領域を複数回のヘッドスキャンで印字する方法(マルチパス印字法)が考えられる。この方法では、先に着弾したインク滴を乾燥させながら次のインク滴を吐出してパターン印字することによって、インク滴ごとの乾燥時間の短縮を図ることができる。しかしながら、この方法では、先に乾燥した部分の形状が塗膜に残ってしまうため、塗膜全体の平坦性の向上には限界があることがわかった。
そのため、本発明者は、所定の印字領域を1回のヘッドスキャンで印字するワンパス印字法に着目した。
ワンパス印字法では、マルチパス印字法のようにインク滴ごとに乾燥時間の短縮を図ることが困難であるため、なるべく少ない湿潤膜厚で塗布する必要がある。
例えば塗布時の湿潤膜厚を5μm以下まで薄くする場合に、平坦性に優れた塗膜を形成するためには、塗布液が種々の基材に対して十分に濡れ広がることが必要とされる。もし、基材に対する濡れ性が不足すると、塗膜中に、スジ状の未塗布部分(スジ故障)が発生してしまう。
特許文献1のように、二級または三級アルコールを、インクに対して17.5重量%〜40重量%の範囲で添加した水性インクを用いることによって、インクの表面張力を下げ、基材への濡れ性をある程度向上することはできるが、種々の基材に対して、例えば5μm以下の湿潤膜厚でパターン形成する場合にも安定して未塗布のスジ故障を発生することなく薄膜塗布することはできない。
本発明者は、鋭意検討した結果、インクが含有する有機溶剤に係る上述した構成(a)及び(c)を満たすことにより、種々の基材に対して濡れ広がり性が際立って向上することを見出した。驚くべきことに、構成(a)及び(c)を満たすことにより、例えば5μm以下の湿潤膜厚でも安定に薄膜を形成できることを見出した。
構成(a)を満たすのみでは、炭素数2〜4の1価アルコールは沸点が低いため、塗膜が濡れ広がる過程において、該アルコールの蒸発が高速で進行し、濡れ性が得られ難いことが推定されるが、構成(c)を共に満たす場合は、炭素数2〜4の1価アルコール(構成(a)を満たす溶剤)と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも1種の溶剤(構成(c)を満たす溶剤)とが混合安定化し、濡れ性に寄与するアルコールの蒸発を遅らせることができ、濡れ性を継続できるものと考えられる。
次に、パターンを精度高く塗布するためには、塗膜形成後の乾燥過程の制御が重要である。
特に、ワンパス印字法においては、なるべく少ない湿潤膜厚に設定してもなお、乾燥過程での微小な乾燥ムラは発生してしまう。乾燥膜厚が数十nm程度以下の超薄膜形成では、その僅かな乾燥ムラも防止することが求められる。
本発明者は、インクの乾燥過程を以下のように推定している。
機能性塗膜を形成するためには、塗布液となるインク中の固形分は、通常数%程度と低いものとされるため、インクの粘度は低いものが多い。
そのため、乾燥過程において、まず、沸点の低い炭素数2〜4の1価アルコールが先に蒸発しても、塗膜はある程度の流動性を保持している。しかるに、炭素数2〜4の1価アルコールの蒸発に伴って、塗膜の基材に対する濡れ性は減少していく。
つまり、流動性が保持されたまま、基材に対する濡れ性が低下する状態が形成されることになる。
その結果、乾燥の速い塗膜端部では、塗膜が中央方向へ集まろうと変形し、端部の膜厚が中央部と異なる故障が発生する。
このような塗膜端部における膜厚異常は、ワンパス印字法において特に顕著である。ワンパス印字法では、レベリングが進行し易いことによって、塗膜全体に高い流動性が付与され、その結果、乾燥時に塗膜が大きく変形して、塗膜端部における膜厚異常が顕著化するものと推定される。
本発明者は、塗膜端部における膜厚異常が、上述した構成(a)及び(c)を満たすだけでは防止できないことを見出した。
更に、構成(a)及び(c)を満たすだけでは、塗膜中にピンホール状の未塗布部分が形成される所謂はじき故障が発生する場合があることもわかった。
本発明者は、更に鋭意検討し、構成(a)及び(c)に加えて、構成(b)を満たすことによって、特にワンパス印字法においても、乾燥過程での微小な乾燥ムラを防止して、塗膜端部における膜厚異常、及び、はじき故障の発生を防止できることを見出し、本発明に至った。
構成(b)に規定される溶剤によって、炭素数2〜4の1価アルコールが蒸発、減少した後も、塗膜の基材に対する濡れ性を維持できるためと推定される。
つまり、本発明の機能性インクジェットインクは、構成(a)を満たすことにより、種々の基材に対する濡れ性を向上することができるが、炭素数2〜4の1価アルコールがすぐ蒸発してしまうため濡れ性を継続できない。これに対して、構成(c)を満たす溶剤を共存させることによって、炭素数2〜4の1価アルコール(構成(a)を満たす溶剤)の蒸発を遅らせて、濡れ性の継続を実現する。更に、構成(b)を満たすことにより、炭素数2〜4の1価アルコールの蒸発中ないし蒸発後においても、構成(b)に係る特定の溶剤の作用によって、濡れ性が継続する。
つまり、構成(a)〜(c)を共に満たすことによって、各構成に規定される溶剤が各々有する特有の機能が相乗的に組み合わされ、その結果、特に薄膜を形成する場合においても、はじき故障が防止されて塗膜全体としての平坦性に優れ、またインクジェット射出安定性にも優れ、更に、塗膜端部における膜厚異常の発生を防止できるという、異質且つ際立った効果を奏するのである。
以下に、構成(a)〜(c)で規定する各溶剤について、更に詳述する。
<構成(a)>
構成(a)の有機溶剤は、炭素数2〜4の1価アルコールであり、好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(別名:イソプロパノール)、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールを挙げることができる。
中でも、表面張力が22mN/m未満のものが塗膜の均一性の観点から好ましく、2−プロパノール、t−ブタノールが好ましい。特に、2−プロパノールが、インクジェットの吐出安定性等の観点から最も好ましい。本発明において、表面張力は、協和界面科学社製の自動表面張力計CVBP−Z型を用いて、Wilhelmy法(プレート法)により25℃で測定した値である。
本発明において、炭素数2〜4の1価アルコールは、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、炭素数2〜4の1価アルコールの総量は、インク中に30〜50重量%とされる。30重量%未満では、スジ故障の発生が防止できず、50重量%を超えると、塗膜の濡れ広がりが過剰となる場合があり、非塗布領域にまでインクが濡れ広がって、ファインパターンを描画することが困難になる恐れがある。
<構成(b)>
構成(b)の有機溶剤は、25℃での表面張力25mN/m未満かつ、沸点140℃以上210℃以下の有機溶剤であり、好ましくはグリコール類のモノエーテルまたはジエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、具体的には、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルを好ましく例示できる。表面張力は、協和界面科学社製の自動表面張力計CVBP−Z型を用いて、Wilhelmy法(プレート法)により25℃で測定した値である。
これらは、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、25℃での表面張力25mN/m未満かつ、沸点140℃以上210℃以下の有機溶剤の総量は、インク中に2〜15重量%とされる。2重量%未満では、塗膜端部における膜厚異常の発生を防止できず、15重量%を超えると、はじき故障が生じ易くなり、また、射出安定性が大幅に劣化して、着弾ずれ等に起因するぬけ故障が頻発し、更には、乾燥速度が遅くなりすぎることにより、成膜が不安定化する。
<構成(c)>
構成(c)の有機溶剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも1種であり、かかる有機溶剤の総量は、インク中に5〜15重量%含有される。
上記構成(c)の有機溶剤を添加することで、構成(a)に係る炭素数2〜4の1価アルコールと相乗して、基材への濡れ性が向上する。
更に、上記構成(c)の有機溶剤は、何れも、多くの機能性材料との相溶性に優れており、特に、本発明のインク中に水を含む場合は、水に対する保湿剤としても機能するなど、インクジェット射出安定性に大きく寄与することが試験により確認されている。
本発明において、上記構成(c)の有機溶剤は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
<その他の溶剤>
本発明の機能性インクジェットインクには、発明の効果を損なわない範囲で上述した構成(a)〜(c)で規定される溶剤に該当しない他の溶剤を添加することができる。
本発明の機能性インクジェットインクは、水を含有することも好ましいことである。
なお、本発明において、構成(a)〜(c)で規定される溶剤以外に、水より沸点の高い溶剤を多量に添加することは、塗布後の乾燥が遅くなりすぎ、膜厚ムラが形成され易くなるため、好ましくない。構成(a)〜(c)で規定される溶剤以外に、水より沸点の高い溶剤を含まないことが好ましい。
<機能性材料>
本発明のインクが含有する機能性材料としては、格別限定されるものではないが、導電性微粒子、導電性ポリマー等の導電性材料、絶縁性材料、半導体材料、光学フィルター材料、誘電体材料等を好ましく例示できる。
導電性微粒子としては、格別限定されないが、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の微粒子を好ましく例示でき、中でも、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、且つ腐食に強い回路パターンを形成することができるので、より好ましい。コスト及び安定性の観点から、Agを含む金属微粒子が最も好ましい。これらの金属微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100nmの範囲、より好ましくは3〜50nmの範囲とされる。
また、導電性微粒子として、カーボン微粒子を用いることも好ましい。カーボン微粒子としては、グラファイト微粒子、カーボンナノチューブ、フラーレン等を好ましく例示できる。
導電性ポリマーとしては、格別限定されないが、π共役系導電性高分子を好ましく挙げることができる。
π共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、高い導電性と良好な精密パターニング特性が得られる点で、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンであることが最も好ましい。
本発明に用いられる導電性ポリマーは、より好ましくは、上述したπ共役系導電性高分子とポリアニオンとを含んで成ることである。こうした導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と、ポリアニオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
ポリアニオンは、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステル及びこれらの共重合体であって、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるものである。
このポリアニオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にF(フッ素原子)を有するポリアニオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、インク射出安定性が特に良好であり、かつ高い導電性が得られることから、より好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリアニオンは、導電性に優れるという効果を奏する。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
導電性ポリマーは市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT/PSSと略す)が、H.C.Starck社からCLEVIOSシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PASS483095、560598として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。
絶縁性材料としては、格別限定されないが、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiO;但しX>Y)、窒化酸化シリコン(SiN;但しX>Y)等のシリコン系材料、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の有機絶縁樹脂等を好ましく例示できる。
半導体材料としては、格別限定されないが、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレン等の有機半導体材料等を好ましく例示できる。
光学フィルター材料としては、格別限定されず、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドの色相を形成する材料が好ましく用いられ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各材料である。また、必ずしも可視光領域に光学特性を有する材料に限定されるものではなく、紫外光、赤外光等の不可視光領域に光学特性を有する材料を用いてもよい。また、特定波長領域の強度を変化させる機能を有する材料の他に、偏光特性を変化させる機能を有する材料であってもよい。また、励起エネルギーの付与によって発光等の光学特性を発現する材料であってもよい。
光学フィルター材料としては、顔料、染料等を好ましく用いることができる。
顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等いずれも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は水性インクの中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては自己分散、活性剤分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散のいずれでもよいが、ポリマー分散、マイクロカプセル分散が定着性の点から好ましい。
不溶性顔料としては特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
以上の顔料の他にレッド、グリーン、ブルー、中間色が必要とされる場合には、以下の顔料を単独あるいは併用して用いることが好ましく、例えば、C.I.Pigment Red;209、224、177、194、C.I.Pigment Orange;43、C.I.Vat Violet;3、C.I.Pigment Violet;19、23、37、C.I.Pigment Green;36、7、C.I.Pigment Blue;15:6等が用いられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Black;1、C.I.Pigment Black;6、C.I.Pigment Black;7等が挙げられる。
染料としては、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができ、その具体的化合物としては、例えば、特開2002−264490号公報に例示した染料を挙げることができる。
また、ポリマー等と共に着色微粒子を形成し着色材となる油溶性染料については、通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料、例えば、分散染料等が選ばれる。また、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれ、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。
誘電体材料としては、格別限定されないが、酸化ケイ素、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化スズ等を好ましく例示できる。
また、機能性材料の分散樹脂として、あるいは機能性材料のバインダーとして、各種高分子材料を用いることができる。
本発明の効果は、特に薄膜形成において顕著に発揮されるので、インク中の固形分は機能発現できる範囲で、なるべく少ないことが好ましい。具体的には、機能性材料を含むインク中の固形分量は、好ましくは0.1〜20重量%の範囲、より好ましくは0.1〜10重量%の範囲、最も好ましくは0.1〜5重量%の範囲とすることである。
<基材>
本発明において、機能性インクジェットインクが付与されて、塗膜が形成される基材は、格別限定されず、光透過性であっても、光不透過性であってもよい。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への導電層の形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルム等を好ましく例示できるが、軽量性及び可撓性に優れ、且つ安価である等の観点から、樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明において基材として用いられる樹脂フィルムは、格別限定されず、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を好ましく例示できる。
中でも、化学的に安定であり、製造時のばらつきが小さく、且つ安価であるという観点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミド樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることが、より好ましい。
本発明において、基材は、精密パターニング特性の観点から、前処理されていることも好ましいことである。前処理としては、接着層の塗設、撥水層の塗設、コロナ放電、プラズマ照射、UV照射等を好ましく例示できる。
<インクジェットヘッド>
本発明の機能性インクジェットインクによる塗膜形成に用いられるインクジェットヘッドとしては、ピエゾ方式、サーマル方式、コンティニュアス方式など既存の方式の何れを用いてもよいが、本願発明に係るインクを用いた際における射出安定性を更に好適に向上できる観点から、ピエゾ方式を用いることが好ましい。
ヘッドから射出するインク滴の体積は、0.5pl〜100plの範囲とすることが好ましい。塗布ムラが少なく、且つ印字速度を高速化できる観点から、2pl〜20plの範囲であることが、より好ましい。なお、インク滴の体積は、印加電圧の調整等によって適宜調整可能である。
印字解像度は、好ましくは180dpi〜10000dpiの範囲、より好ましくは360dpi〜2880dpiの範囲で、湿潤膜厚とインク滴の体積等を考慮して適宜設定することができる。
本発明において、インクジェット塗布時(塗布直後)における湿潤塗膜の湿潤膜厚は、適宜設定することができるが、好ましくは1μm〜100μmの範囲、より好ましくは1μm〜30μmの範囲、最も好ましくは1μm〜5μmの範囲において、本発明の効果がより顕著に奏される。なお、湿潤膜厚は、塗布面積、印字解像度及びインク滴の体積から算出できる。
<インクジェット法>
インクジェットによる印字方法には、ワンパス印字法とマルチパス印字法がある。
ワンパス印字法は、所定の印字領域を1回のヘッドスキャンで印字する方法である。対して、マルチパス印字法は、所定の印字領域を複数回のヘッドスキャンで印字する方法である。
本発明の機能性インクジェットインクは、上述した通り、ワンパス印字法を用いて塗膜形成する際に、より顕著な効果を奏する。
ワンパス印字法では、所望とする塗布パターンの幅以上の幅に亘ってノズルが並設された広幅のヘッドを用いることが好ましい。同一の基材上に、互いにパターンが連続していない独立した複数の塗布パターンを形成する場合は、少なくとも各塗布パターンの幅以上の広幅ヘッドを用いればよい。
なお、ノズルの並設幅が塗布パターンの幅に満たない場合は、1つの塗布パターンを複数の印字領域に分けて、各印字領域毎にワンパス印字を行うことになるが、この場合、従来のインクでは、隣接する領域間に未塗布のスジが形成されたり、あるいは、領域間で塗膜が重なり合って膜厚の均一性を損ない易い問題があった。これに対して、本発明に係る機能性インクジェットインクであれば、このような印字条件においても、膜厚の均一性を向上できる効果が得られることが確認されている。
本発明においては、印字時に、基材を加熱することも好ましいことである。これにより、塗膜の乾燥を促進して乾燥ムラを更に軽減する効果が得られる。加熱は、印字時における基材表面の温度が30℃〜70℃の範囲となるように行うことが好ましい。70℃を超える場合は、乾燥が促進されすぎて、塗布ムラを生じる恐れがある。
また、本発明においては、印字後に乾燥工程を設けることも好ましく、加熱乾燥、送風乾燥等を好ましく用いることができる。本発明において、塗布液の流動は、塗布後、数秒から数時間後も起こる場合があるので、塗布後になるべく速やかに乾燥して流動性を減じることも好ましいからである。
本発明において好ましい乾燥工程の一例としては、塗布後、室温〜70℃の範囲で乾燥を開始し、乾燥温度を後に上げ、80℃以上で完全に乾燥させることである。乾燥温度の上昇は、多段的又は連続的に上げてもよい。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されない。
(実施例1)
<機能性インクジェットインクNo.1〜35の調製>
表1に示す機能性材料及び有機溶剤に純水を加えて混合後、0.45μmのPTFEフィルターにて濾過して、得られた濾液をインクNo.1〜35とした。なお、濾過前後において、表1に示した組成は実質的に変化していないことを確認した。
各インクNo.1〜35における機能性材料及び有機溶剤のインク総量に対する重量%、及び、全有機溶剤のインク総量に対する重量%は、表1に示す通りである。
ここでは、表1に示す通り、機能性材料としてPEDOT/PSSを用い、構成(a)に係る有機溶剤は、イソプロパノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール又はt−ブタノールから選ばれ、構成(b)に係る有機溶剤は、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル又はエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれ、構成(c)に係る有機溶剤は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドンから選ばれた。
また、構成(b)を満たさない有機溶剤として、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルを、ここでは比較のために用いた。なお、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルは、構成(b)に規定する表面張力25mN/m以下を満たさず、リプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルは、構成(b)に規定する表面張力25mN/m以下及び沸点210℃以下を共に満たさない。
これら有機溶剤の表面張力(mN/m)及び沸点(℃)は、表1に示す通りである。なお、表面張力は、協和界面科学社製の自動表面張力計CVBP−Z型を用いて、Wilhelmy法(プレート法)により25℃で測定した値である。
調製された各々のインクNo.1〜35に対して以下の評価を行った。
<はじき故障の評価>
10cm角(10cm×10cm)ガラス上に、スパッタリングにてITO(酸化インジウムスズ)を0.8g/mの厚さでコーティングし、洗剤洗浄、純水洗浄後、更に、UV−オゾン洗浄機を用いて、低圧水銀灯(UV波長254nm、185nm)で30mmの距離から照度2mW/cmで10分間UV照射して処理を行い、基材を得た。
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512S」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット法により、上記作製された基材上に、上記調製されたインクを吐出して、2つのパターン膜(各36mm幅×90mm高さ;湿潤膜厚2.6μm)を形成した。インクジェット法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を10.0ngとし、解像度を360dpi×360dpiとし、パターン膜ごとにワンパス印字とした。また、基材の温度は、印字時においては25℃に保持された。印字後は、ホットプレート上で、80℃において30分間加熱して乾燥させた。
連続して5枚の基材に、計10のパターン膜を形成し、インクはじき、白ぬけ等の故障発生パターンを数え、下記の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
評価5:10パターンに故障なし
評価4:1パターンに故障あり
評価3:2パターンに故障あり
評価2:3〜5パターンに故障あり
評価1:6パターン以上に故障あり
<端部異常1の評価>
上記はじき故障の評価と同様にして形成されたパターン膜に、Pd蒸着(厚さ1mm)を均一に施し、光干渉型表面形状測定装置(日本ビーコ社製「WYKO NT9300」)を用いた光干渉法で得られた垂直方向の2次元プロファイルに基づいて、塗布端部における膜厚異常部の幅を測定し、下記の評価基準に従って評価した。なお、2次元プロファイルに基づく塗布端部における膜厚異常部の幅の測定例は図1に示した通りである。
〔評価基準〕
評価5:膜厚異常部の幅が50μm未満である
評価4:膜厚異常部の幅が50μm以上100μm未満である
評価3:膜厚異常部の幅が100μm以上150μm未満である
評価2:膜厚異常部の幅が150μm以上300μm未満である
評価1:膜厚異常部の幅が300μm以上である
<端部異常2の評価>
上記端部異常1と同様に、光干渉法による2次元プロファイルに基づいて、塗布端部における膜厚異常部の高さを測定し、パターン中央部膜厚(正常部)と比較し、下記の評価基準に従って評価した。なお、2次元プロファイルに基づく塗布端部における膜厚異常部の高さ(パターン中央部膜厚に対する突出高さ)、及び、パターン中央部膜厚の測定例は図1に示した通りである。
〔評価基準〕
評価5:膜厚異常部の高さが、中央部膜厚の15%未満である
評価4:膜厚異常部の高さが、中央部膜厚の15%以上30%未満である
評価3:膜厚異常部の高さが、中央部膜厚の30%以上45%未満である
評価2:膜厚異常部の高さが、中央部膜厚の45%以上60%未満である
評価1:膜厚異常部の高さが、中央部膜厚の60%以上である
<インクジェット吐出安定性の評価>
インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製「KM512S」)を搭載したインクジェット描画装置を用いて、インクジェット法により、インクジェット用光沢メディア(空隙型)上に、上記調製されたインクを吐出して、36mm幅×290mm高さのパターンを連続して印字した。インクジェット法の描画条件は、印加電圧調整により液適量を10.0ngとし、解像度を360dpi×360dpiとし、各パターン膜毎にワンパス印字とした。
連続して100パターンまで印字を行い、光学顕微鏡(100倍)により、着弾したインクを観察し、全ノズル(512本)中において、ノズル欠及びノズル曲がり(着弾位置ずれ)が発生したノズルの数を下記の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
評価5:ノズル欠、ノズル曲がりの発生なし
評価4:ノズル欠の発生はないが、ノズル曲がりの発生あり(25本未満)
評価3:ノズル欠の発生はないが、ノズル曲がりの発生あり(25本以上50本未満)
評価2:ノズル欠の発生あり(50本未満)
評価1:ノズル欠の発生あり(50本以上)
各々のインクNo.1〜35に対して以上の評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0005842532
<評価>
表1より、構成(a)に係る有機溶剤の重量%が、30重量%に満たないインクNo.1は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣り、一方、50重量%を超えるインクNo.7は、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣ることがわかる。
また、表1より、構成(b)に係る有機溶剤の重量%が、2重量%に満たないインクNo.14は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣り、一方、15重量%を超えるインクNo.18は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣ることがわかる。
また、表1より、構成(b)に係る有機溶剤を、構成(b)を満たさない有機溶剤に代えたインクNo.22〜25は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣ることがわかる。
更にまた、表1より、構成(c)に係る有機溶剤の重量%が、5重量%に満たないインクNo.26は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に劣り、一方、15重量%を超えるインクNo.29は、はじき故障、端部異常1及び端部異常2に劣ることがわかる。
これに対して、表1からもわかるように、有機溶剤が構成(a)、(b)及び(c)を具備する本発明に係るインクNo.2〜6、8〜13、15〜17、19〜21、27、28及び30〜35は、はじき故障、端部異常1、端部異常2及び射出安定性に優れることがわかる。

Claims (4)

  1. 導電性材料、絶縁性材料、半導体材料、光学フィルター材料及び誘電体材料から選ばれる少なくとも1種の機能性材料と、下記構成(a)、(b)及び(c)を具備する有機溶剤とを含有することを特徴とする機能性インクジェットインク。
    (a)炭素数2〜4の1価アルコールから選ばれる少なくとも1種を総量でインク中に3
    0〜50重量%含有すること
    (b)グリコール類のモノエーテルまたはジエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、25℃での表面張力25mN/m未満かつ、沸点140℃以上210℃以下の有機溶剤を総量でインク中に2〜15重量%含有すること
    (c)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチル
    フォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンから選ばれる少なくとも
    1種の有機溶剤を総量でインク中に5〜15重量%含有すること
  2. 構成(a)の1価アルコールが、25℃での表面張力22mN/m未満のものから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の機能性インクジェットインク。
  3. 請求項1または2に記載の機能性インクジェットインクを、インクジェットヘッドを用いたワンパス印字法によって基材に湿潤塗膜を付与し、次いで乾燥して塗膜を形成することを特徴とする機能性塗膜の形成方法。
  4. 前記湿潤塗膜は、塗布時の湿潤膜厚が1μm〜100μmの範囲であることを特徴とする請求項記載の機能性塗膜の形成方法。
JP2011234232A 2011-10-25 2011-10-25 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法 Active JP5842532B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011234232A JP5842532B2 (ja) 2011-10-25 2011-10-25 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011234232A JP5842532B2 (ja) 2011-10-25 2011-10-25 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013091711A JP2013091711A (ja) 2013-05-16
JP5842532B2 true JP5842532B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=48615106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011234232A Active JP5842532B2 (ja) 2011-10-25 2011-10-25 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5842532B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023163063A1 (ja) * 2022-02-22 2023-08-31 株式会社Dnpファインケミカル インク組成物、インクセット、インク組成物を基材上に塗布された記録物、記録方法、記録物の製造方法、及びインク組成物が充填された収容容器が搭載されたインクジェット記録装置
WO2023163064A1 (ja) * 2022-02-22 2023-08-31 株式会社Dnpファインケミカル インク組成物、インクセット、インク組成物を基材上に塗布された記録物、記録方法、記録物の製造方法、及びインク組成物が充填された収容容器が搭載されたインクジェット記録装置
WO2023163065A1 (ja) * 2022-02-22 2023-08-31 株式会社Dnpファインケミカル インク組成物、インクセット、インク組成物を基材上に塗布された記録物、記録方法、記録物の製造方法、及びインク組成物が充填された収容容器が搭載されたインクジェット記録装置

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3880079B2 (ja) * 1994-11-17 2007-02-14 キヤノン株式会社 水系分散インク、これを用いるインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジおよびインクジェット記録装置
CN100381513C (zh) * 2002-03-28 2008-04-16 富士胶片株式会社 喷墨记录用墨水集和喷墨记录方法
JP4239560B2 (ja) * 2002-08-02 2009-03-18 セイコーエプソン株式会社 組成物とこれを用いた有機導電性膜の製造方法
JP2004338361A (ja) * 2003-03-14 2004-12-02 Ricoh Co Ltd インクセットとそれを用いた画像形成方法、画像形成装置、カートリッジ及び記録物
JP2005029610A (ja) * 2003-07-08 2005-02-03 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット記録用インク及びインクセット
JP2005075849A (ja) * 2003-08-28 2005-03-24 Konica Minolta Holdings Inc インク、記録方法及びインクジェット記録方法
JP2006049174A (ja) * 2004-08-06 2006-02-16 Hitachi Displays Ltd 電子装置の製造方法及びこれに用いるインク組成物
CN101331625B (zh) * 2005-10-28 2016-03-09 日产化学工业株式会社 用于喷雾或喷墨涂覆的电荷传输性清漆
JP2007162003A (ja) * 2005-11-16 2007-06-28 Konica Minolta Holdings Inc インクジェット用インク、インクジェット用インクセット及びインクジェット記録方法
KR100768706B1 (ko) * 2006-06-08 2007-10-19 삼성전기주식회사 잉크젯용 금속 잉크 조성물
JP5311270B2 (ja) * 2008-01-22 2013-10-09 株式会社リコー 記録用マゼンタインク組成物、記録方法および記録物
JP2011178832A (ja) * 2010-02-26 2011-09-15 Dic Corp 紫外線硬化型インクジェット記録用インク、それから得られた絶縁膜、電子素子及び電子素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013091711A (ja) 2013-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2471117B1 (en) Organic electronic devices
Teichler et al. Inkjet printing of chemically tailored light-emitting polymers
US9793484B2 (en) Composition comprising polymeric organic semiconducting compounds
CN107532022B (zh) 适用于有机电子器件的非水性组合物
TW200946608A (en) Methods and compositions for ink jet deposition of conductive features
JP5842532B2 (ja) 機能性インクジェットインク及び機能性塗膜の形成方法
JP4812602B2 (ja) 有機薄膜素子及びその製造方法
CN111548708A (zh) 导电聚合物复合体及导电聚合物组合物
CN101933396A (zh) 色变换滤光片的制造方法
WO2006132128A1 (ja) 正孔注入輸送層用塗液、正孔注入輸送層の製造方法、有機エレクトロルミネセンス素子、及び、その製造方法
JP6426331B2 (ja) 透明導電性コーティング組成物、及び透明導電性膜
JP5984054B2 (ja) 有機導電膜
JP2001288416A (ja) 塗布液組成物、薄膜形成方法および薄膜
JP5838876B2 (ja) 機能性薄膜の形成方法及び機能性インク
KR101735915B1 (ko) 전도성 고분자 잉크 조성물
CN108711593B (zh) 氧化锌基纳米颗粒墨水及量子点发光二极管
WO2008035501A1 (fr) Solution de revêtement pour élément électroluminescent organique, cet élément et son procédé de production
JP4513800B2 (ja) 有機el素子の製造方法
CN115397916A (zh) 导电性高分子组合物、基板、及基板的制造方法
Liu et al. Improving film uniformity and interface solvent resistance to realize multilayer printing of OLED devices
JP6136551B2 (ja) パターン形成方法及び塗布液
US9601648B2 (en) Method of manufacturing pattern using trench structure and pattern manufactured thereby, and method of manufacturing solar battery using the manufacturing method and solar battery manufactured thereby
Nakamichi et al. Stackable spectral-sensitive conductive films based on cyanine aggregates via an inkjet method
KR102003625B1 (ko) 패턴 형성 방법, 투명 도전막을 구비한 기재, 디바이스 및 전자 기기
JP7306497B2 (ja) 非水系インク組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130417

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150224

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5842532

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150