JP5840920B2 - 非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、非鉄製錬煙灰と水とを混合してスラリーを作製し、当該スラリーへのアルカリ剤添加により、所定pH値範囲内に制御し、浸出反応により、銅を含む浸出液と、ヒ素を含む浸出残渣とを得る方法である。そして、当該ヒ素を含む浸出残渣を酸で再浸出してヒ素溶液を得、当該ヒ素溶液を硫化してヒ素を硫化砒素として回収し、当該硫化砒素を結晶性ヒ酸鉄生成用のヒ素原料源とするものである。
1.非鉄製錬煙灰に含有されるヒ素を、硫化ヒ素とする為に硫化剤が必要となる。また、当該生成した硫化ヒ素を浸出するコストが発生し、さらに、結晶性ヒ酸鉄製造に必要な鉄源を外部から供給する必要がある。すなわち、薬剤コストが高くなる場合がある。
2.非鉄製錬煙灰に含有されるヒ素を硫化ヒ素として回収する工程と、硫化ヒ素を浸出して再度ヒ素溶液を製造する工程とが必要である。さらに、生成する硫化ヒ素は3価ヒ素が殆どである。この為、当該3価ヒ素を5価ヒ素に酸化する工程も必要となる。この結果、非鉄製錬煙灰投入から、結晶性ヒ酸鉄生成用の原料液元液として適した液質のヒ素含有溶液回収までのプロセス全体が長くなる。
3.回収するヒ素溶液の銅濃度をより低くしたい。これは、煙灰中に含有する銅を早期の段階で回収し、当該ヒ素溶液の銅濃度を低くすることである。
ヒ素と銅と鉄とを含む非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法であって、
前記非鉄製錬煙灰をスラリーとする工程と、
前記スラリーに酸を添加し、当該スラリーのpH値を0.1以上0.5以下として浸出する1次浸出工程と、
前記1次浸出工程終了後のスラリーを固液分離し、得られた1次浸出液へ中和剤を添加して中和後液を得る中和工程と、
前記中和後液へ中和剤を添加してpH値を1.5以上3以下とし、さらに酸化剤を投入した後に、固液分離して酸化殿物を得る酸化工程と、
前記酸化殿物を2次浸出し、2次浸出液として結晶性ヒ酸鉄生成用原料のヒ素溶液を得る工程と、を有することを特徴とする非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記2次浸出とは、前記酸化殿物をスラリーとし、当該スラリーへ酸を添加して浸出する工程と、
当該浸出終了後のスラリーを2次浸出液と2次浸出残渣とに分離し、当該2次浸出液として結晶性ヒ酸鉄生成用原料の5価ヒ素溶液を得る工程と、を有することを特徴とする第1の発明に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記酸化工程で用いる酸化剤が過酸化水素、および/または、酸化性ガスと二酸化硫黄(SO2)との混合ガスであることを特徴とする第1または第2の発明に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記酸化性ガスが、酸素(O2)、空気、酸素と空気との混合ガス、から選択されるいずれかであることを特徴とする第3の発明に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記2次浸出工程で得られる2次浸出液中に溶存する鉄とヒ素とのモル量が、Fe/As=1〜1.5になるように、予め鉄源を、1次浸出工程から酸化工程までのいずれかの工程で添加しておくことを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記2次浸出工程にて得られた2次浸出液を、2次浸出工程における用水として繰り返し、当該2次浸出液中のヒ素を濃縮することを特徴とする第1から第5の発明のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
前記中和剤が、カルシウムを含むアルカリ剤、マグネシウムを含むアルカリ剤から選択される1種以上であることを特徴とする第1から第6の発明のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法である。
煙灰は、非鉄製錬における乾式製錬、特に銅製錬の各工程からから発生する。当該煙灰には、ヒ素以外にも有価な銅や亜鉛、さらに、鉄、ビスマス、錫、アンチモン、鉛等の元素が含まれることが多い。
本発明は、これら各種の煙灰に適用可能である。
本発明に係る1次浸出工程とは、煙灰へ、水、工程水、酸等の液体を加えて攪拌してスラリーとし、当該煙灰に含有されるヒ素、銅および鉄等を可能な限り浸出する工程である。
具体的には、当該スラリーのpH値を0.1以上0.5以下とし、さらに加温して当該スラリー温度を50℃以上として浸出を行うものである。尚、pH調整に用いる酸としては、非鉄製錬工程で生成し汎用的に用いられている硫酸の使用が好ましい。
本発明に係る中和工程とは、1次浸出工程で生成した1次浸出液の酸分を減じる工程である。具体的には、当該1次浸出液にアルカリ剤を添加し中和を行って、中和完了スラリーを得る工程である。
当該アルカリ剤には、カルシウムを含むアルカリ剤、マグネシウムを含むアルカリ剤を好ましく使用することが出来る。中でも、炭酸カルシウム(CaCO3)は安価であるので好ましい。
一方、本発明に係るヒ素の回収方法を示す工程フロー全体の物量バランスを考える観点、中和析出物を再利用し易くする観点から、1次浸出液の中和後のpH値は0.8以上であることが好ましい。
中和工程における1次浸出液の温度は特に限定しないが、濾過性の良い石膏を得るためには40℃以上であることが好ましい。
上述したように、中和剤としてカルシウムを含むアルカリ剤を用いた場合は、石膏を主成分とする中和析出物と、中和後液とが得られる。一方、マグネシウムを含むアルカリ剤を用いた場合は中和析出物が殆ど析出しない。
中和後液は、次工程である酸化工程へ送る。ここで、中和工程を経ても、中和終了スラリーが中和析出物が殆ど析出しない場合は、中和終了スラリーを固液分離することなく、次工程へ送ることも出来る。
本発明に係る酸化工程は、中和後液、または、中和析出物を殆ど含まない中和終了スラリー中に存在する3価ヒ素を5価ヒ素へ酸化し、酸化スラリーを得る工程である。具体的には、中和後液へ中和剤を添加して酸性度を減じ、pH値を1.5〜3、好ましくは2前後とした後、酸化剤を添加し、酸化スラリーを得る工程である。
得られた酸化殿物は次工程である2次浸出工程へ送られる。
当該酸化殿物には、ヒ素が5価ヒ素として濃縮されている。一方、銅は大半が酸化後液へ移行している。その結果、当該酸化殿物に含有される銅は、付着水分として含まれる酸化後液の銅分である。したがって、当該酸化殿物を用水で十分洗浄することで、付着する銅分が除去された洗浄酸化殿物を得ることが出来る。当該洗浄酸化殿物を、次工程の2次浸出工程へ供ずることで、銅を殆ど含まない2次浸出液が得られることになる。
上述した酸化工程における操作条件を設定する為、本発明者らは以下のような検討を行った。
まず、上述した中和後液中には、ヒ素以外に、鉱石由来の雑多な重金属元素類、例えば、ビスマス、鉛、アンチモン、錫、モリブデン等、軽金属元素類、例えば、ナトリウム、カリウム等のイオンが含まれている。
本発明者等の検討によれば、これら雑多なイオン類が共存する下で3価ヒ素を酸化させようとした場合、酸化効率が非常に悪いだけではなく、当該3価ヒ素を完全(99質量%以上)に5価ヒ素まで酸化させることは困難であるとの知見を得ている。
本発明者等は、当該方法に関して種々検討を行った。その結果、所定の条件を備えた操作により、上述した雑多なイオン類の濃度を急激に減少させることが出来る特異な現象を知見した。この知見について説明する。
1.銅製錬熔錬炉煙灰へ純水を加えて攪拌し、パルプ濃度500g/Lのスラリーを調製した。
2.当該スラリーへ硫酸を添加し、pH値0.25、温度75℃を維持しながら1時間浸出した。次いで、当該スラリーを、上述したスラリー調製に用いたのと同量の純水で希釈して再度75℃に加温し、さらに10分間攪拌した後、浸出を終了した。当該浸出スラリーを濾過に供じ浸出液を得た。
3.次いで、当該浸出液へ濃度200g/LのMg(OH)2水溶液を添加しpH値を1.0とした。ここで当該スラリーを少量サンプリングした。
4.次いで、当該スラリーへ濃度200g/LのCa(OH)2水溶液を加えて、所定pH値の3.0まで、1.25、1.5、1.75、2.0、2.5、3.0と段階的に中和し、その都度サンプリングを実施した。尚、当該サンプリングは、スラリーが所定pH値に到達して10分間後に行った。
5.各サンプルは、孔径が0.2μmのMCE製フィルターを介して濾過し、得られたろ液を分析へ供じた。当該分析結果を表1に記載する。
尚、本発明において、全ヒ素とは、3価ヒ素と5価ヒ素とをトータルで考えたヒ素量のことである。
以上より、pH値が2前後の領域にあるスラリーの液層部分中には、酸化抑制剤として作用する雑多なイオン類が共存せず、被酸化の対象となる3価ヒ素が存在することになる、従って、酸化工程における3価ヒ素の5価ヒ素への酸化は、効率良くほぼ完全に行うことが可能となる。
鉄の添加は、煙灰からのヒ素の浸出を促進するためで、必要に応じて行う。
具体的には、鉄の添加は1次浸出工程から結晶化工程までの間であれば、どの段階でも添加可能である。これは、添加された鉄は、最終的に結晶化工程にてスコロダイト結晶の鉄源として転換されるからである。
尤も、1次浸出工程や酸化工程における鉄添加は、当該鉄の共存が酸化工程における5価ヒ素の殿物化を促進するので、好ましい構成である。鉄の添加量は、溶存しているヒ素量に応じて設定すれば良く、Fe/Asのモル比で1〜1.5であることが好ましい。生産コストを抑える観点からも、この範囲内が好ましい。
尚、煙灰の性状により、中和工程で得られる中和後液中のFe/Asのモル比が既に1以上の場合は、鉄の添加は不要である。
本発明に係る2次浸出工程は、上述した酸化工程で得られた酸化殿物を硫酸等の酸により溶解した後、固液分離して5価ヒ素と鉄とを含む2次浸出液と、2次浸出残渣とを得る工程である。
当該2次浸出の際のpH値は、当該酸化殿物が易溶性であるため、特に低pH値での浸出を行う必要はない。具体的にはpH値0.3〜0.9で良い。
当該2次浸出の時間は、当該酸化殿物に含まれるヒ素が易溶性である為、30分間程度で浸出を完了することが出来る。
当該2次浸出工程を終えた浸出スラリーは固液分離して、2次浸出液と2次浸出残渣とが得られる。
2次浸出液は、溶存する銅濃度が低い5価ヒ素溶液となる。加えて、結晶性ヒ酸鉄の生成に必要な鉄も含まれるので、結晶性ヒ酸鉄生成用の原料液として最適である。
尚、2次浸出液を、当該2次浸出工程へ繰り返すことにより、当該2次浸出液中のヒ素を濃縮することが出来、好ましい構成である。
そして、ヒ素が移行した酸化殿物からは、ナトリウムやカリウムを含まず結晶性スコロダイトの生成方法に適した5価ヒ素溶液を、容易に浸出することが出来る。
さらに、結晶性スコロダイトの生成に用いる5価ヒ素溶液において、銅溶出量を従来法の1/3以下(銅濃度としては5g/L以下)とすることが出来、煙灰中に含有される銅を早期に回収出来ることで、銅のロスを極力防ぐことが出来る。
得られた結晶性ヒ酸鉄生成用の原料ヒ素溶液は、鉄と5価ヒ素を含むため、公知の結晶化工程を行って、結晶性ヒ酸鉄(スコロダイト)を生成させることができる。例えば、原料ヒ素溶液にアルカリを添加して3価鉄と5価ヒ素を結晶化させる方法や、鉄を2価に還元し、酸化剤を添加して結晶化させる方法などの公知な方法が適用できる。
<煙灰>
ヒ素5.2質量%、銅17.4質量%を含む非鉄製錬炉煙灰A試料を、400dry・g準備した。尚、当該成分分析はICPにより行った(以下の実施例、比較例においても、成分分析はICPにて行った。)。
当該煙灰A試料400dry・gを、2リットルビーカー容器に装填して純水1000mLを添加し、4枚邪魔板を備えた2段タービン撹拌羽根を用いて10分間撹拌し、スラリーを調製した。
酸として試薬95質量%硫酸を準備した。
前記調製したスラリーを加温しながら試薬95質量%硫酸を加え、温度75℃に加温維持しながらpH値を0.2とした。当該時点からさらに60分間撹拌を継続して1次浸出を完了し、濾過に供じた。
濾過は、まず、濾過器を用いて浸出終了スラリーの濾過を行い、1次浸出液を得た。引き続き濾過器内の1次浸出残渣に対し、150mLの純水を用い当該濾過器内で通水洗浄を行った。当該通水洗浄の操作を2回行い、1次浸出液と2回の通水洗浄水との混合1次浸出液を得た。
当該混合1次浸出液は1326mLであった。当該混合1次浸出液から10mLのサンプリングを行い分析へ供じた。当該混合1次浸出液の分析値を表2に示す。
一方、洗浄された1次浸出残渣は137wet・gであり、水分は29.6%であった。
次いで、前記混合溶液全量を3Lビーカーに移し、60℃に加温維持しながら濃度200g/LのCaCO3水溶液を添加してpH値1.0に調製した。当該pH値を20分間維持した後、当該中和操作を終了し中和終了スラリーを得た。当該中和終了スラリーを、濾過器を用いて濾過に供じ中和後液を得た。引き続き濾過器内の中和析出物(石膏)に対し、300mLの純水を用い濾過器内で通水洗浄を行った。当該通水洗浄の操作を2回行い、中和後液と2回の通水洗浄水の混合中和後液を得た。
当該混合中和後液は2123mLであった。当該混合中和後液から10mLサンプリングを行い分析へ供じた。当該混合中和後液の分析値を表3に示す。
一方、洗浄中和析出物(石膏)は289wet・gであり、水分は55.0%であった。
前記中和工程で得られた混合中和後液全量を3Lビーカーに移し、75℃に加温維持しながら濃度200g/LのCa(OH)2水溶液を添加してpH値2.0に中和してスラリーとした。その後、当該スラリーに過酸化水素水を添加した。
一方、濾過器内の酸化殿物は、1000mLの純水を用いた濾過器内での通水洗浄の後、洗浄酸化殿物として回収した。
回収した当該洗浄酸化殿物は230wet・gであった。当該洗浄酸化殿物から10wet・gをサンプリングし水分測定に供じた結果、水分が32.0質量%であることが判明した。
前記酸化工程で得られた洗浄酸化殿物全量を、濃度が400dry・g/Lのスラリーとして2次浸出を行った。
具体的には、1Lリットルビーカーに洗浄酸化殿物220wet・gを移し、当該洗浄酸化殿物が含有する水分量を考慮して、純水303mLを加えて攪拌し濃度400dry・g/Lのスラリーを調製した。
当該浸出により得られたスラリーを、濾過機を用いて濾過に供じ、2次浸出液370mLと、2次浸出残渣113wet・gとを回収した。尚、当該2次浸出残渣の付着液分は、測定の結果23.8質量%であることが判明した。
得られた2次浸出液の組成を表5に示す。
また、上述した洗浄酸化殿物の途中サンプル10wet・gも当該2次浸出へ供じ、且つ、当該2次浸出残渣に付着する2次浸出液分量も考慮した結果、当該2次浸出工程では、当初の原料煙灰A試料中に含有されていたヒ素の約78質量%が浸出されていることも判明した。
(煙灰)
ヒ素を5.2質量%、銅を17.4質量%含む非鉄製錬煙灰A試料を400dry・g準備した。尚、成分の分析はICPにより行った。
酸として95質量%硫酸、アルカリとして濃度200g/LのCa(OH)2水溶液(ミルク)を準備した。
また、攪拌装置には、4枚邪魔板を備えた2段タービン攪拌羽根を準備した。
2リットルビーカーへ1000mLの純水と、煙灰A試料400dry・gとを投入し、10分間攪拌し煙灰のスラリーを調製した。この時のスラリーのpH値は1.32(40℃)を示した。
1次浸出液を回収した後、引き続き濾過器内の1次浸出残渣に対し、400mLの純水を用い濾過器内で通水洗浄を行った。当該通水洗浄の操作を2回行い、洗浄1次浸出残渣を回収した。回収した洗浄1次浸出残渣は497wet・gであった。ここから10wet・gをサンプリングし水分測定を行った結果、含有する水分は48.1質量%であった。
表6に示すろ液組成と、浸出液量のバランスとより、煙灰中の銅の約80%が1次浸出液に移行し、ヒ素は約97%が1次浸出残渣に入れ込まれていることが判明した。
前記1次浸出工程で得られた洗浄1次浸出残渣全量を、濃度が400dry・g/Lのスラリーとして2次浸出を行った。
具体的には、1リットルビーカーに洗浄1次浸出残渣487wet・gを装填し、当該洗浄1次洗浄残渣に含有する水分量を考慮し、これに純水398mLを加え、400gry・g/Lのスラリーを調製した。
次いで、当該スラリーへ95%硫酸を添加し、pH値を0.2に維持しながら75℃恒温下で60分間浸出を行った後、濾過を実施し、2次浸出液と2次浸出残渣とを得た。
得られた2次浸出液は620mLであった。これから少量サンプリングを行い分析へ供じた。当該2次浸出液の組成を表7に示した。
本発明に係る非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法は、以下の効果を発揮した。
1.銅とヒ素とを含有する煙灰に鉄源を添加し中和浸出することで、銅/ヒ素分離性が向上した。具体的には、従来法における銅溶出量に比して1/3以下となり、銅濃度としては5g/L以下となった。
2.銅とヒ素との分離が困難な煙灰であっても、銅とヒ素との分離が可能となった。
3.ナトリウム、カリウム等を含む、どのような煙灰であっても、1次浸出において銅、ナトリウム、カリウムを浸出液に移行させ、ヒ素は残渣に入れ込むことが可能となった。この結果、銅とヒ素とを効率よく固液分離でき、且つ、ナトリウムカリウムがほとんど含まれないヒ素溶液を得ることが出来た。
4.複雑な工程がなく、添加薬剤も汎用的な薬剤で可能であり、特別な装置も必要としない為、低コストで5価ヒ素溶液の回収が出来た。
5.ヒ素を含有する2次浸出液は、結晶性スコロダイトの生成に適したものとなり、ヒ素の安定化した保管を可能とした。
Claims (7)
- ヒ素と銅と鉄とを含む非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法であって、
前記非鉄製錬煙灰をスラリーとする工程と、
前記スラリーに酸を添加し、当該スラリーのpH値を0.1以上0.5以下として浸出する1次浸出工程と、
前記1次浸出工程終了後のスラリーを固液分離し、得られた1次浸出液へ中和剤を添加して中和後液を得る中和工程と、
前記中和後液へ中和剤を添加してpH値を1.5以上3以下とし、さらに酸化剤を投入した後に、固液分離して酸化殿物を得る酸化工程と、
前記酸化殿物を2次浸出し、2次浸出液として結晶性ヒ酸鉄生成用原料のヒ素溶液を得る工程と、を有することを特徴とする非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。 - 前記2次浸出とは、前記酸化殿物をスラリーとし、当該スラリーへ酸を添加して浸出する工程と、
当該浸出終了後のスラリーを2次浸出液と2次浸出残渣とに分離し、当該2次浸出液として結晶性ヒ酸鉄生成用原料の5価ヒ素溶液を得る工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。 - 前記酸化工程で用いる酸化剤が過酸化水素、および/または、酸化性ガスと二酸化硫黄(SO2)との混合ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。
- 前記酸化性ガスが、酸素(O2)、空気、酸素と空気との混合ガス、から選択されるいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。
- 前記2次浸出工程で得られる2次浸出液中に溶存する鉄とヒ素とのモル量が、Fe/As=1〜1.5になるように、予め鉄源を、1次浸出工程から酸化工程までのいずれかの工程で添加しておくことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。
- 前記2次浸出工程にて得られた2次浸出液を、2次浸出工程における用水として繰り返し、当該2次浸出液中のヒ素を濃縮することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。
- 前記中和剤が、カルシウムを含むアルカリ剤、マグネシウムを含むアルカリ剤から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の非鉄製錬煙灰からのヒ素の回収方法。
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