JP6102590B2 - スコロダイトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スコロダイトの製造方法に関し、より詳しくは、低濃度の砒素含有溶液から結晶性及び洗浄性に優れたスコロダイトを製造することができるスコロダイトの製造方法に関する。
銅鉱石中には不純物である砒素が含まれている。自溶炉を用いた乾式法で銅を製錬する場合、砒素はマット又はスラグに分配されるが、一部は揮発して排ガスに分配される。
このうち、マットに分配される砒素は、電解精製時における浄液工程にて発生する脱銅スライムに移行し、排ガスに分配される砒素は、硫酸製造時におけるガス精製工程で発生する廃酸に移行する。さらに、廃酸中に移行した砒素は、重金属除去のための硫化処理によって硫化澱物となる。
ここで、砒素が含まれるようになった脱銅スライムや硫化澱物は、有価物(有価金属)を含んでいるため、通常、製錬プロセスに繰り返すことによってその有価物を回収している。そのため、製錬プロセス内において不純物である砒素が蓄積しないようにするためには、製錬プロセスに繰り返す前にこれらの澱物から砒素を分離しておくことが望ましい。
そして、分離した砒素は、毒性があることから、長期間に亘って保管管理する場合には、不溶性であって且つ洗浄性が良いことが望まれる。
一般的には、鉄と砒素の化合物である結晶性スコロダイトが安定的な化合物であることが知られている。結晶性スコロダイトは、加圧及び加熱条件下で製造できることが知られており、オートクレーブを用いてスコロダイトを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、オートクレーブのような加圧設備を用いる場合、製造装置のコストが高くなるといったデメリットがある。
また、最近では、常圧で結晶性の良いスコロダイトを製造する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。常圧でスコロダイトを作成する場合、砒素濃度は高い方が望ましいとされ、特許文献2では15g/L以上の砒素濃度が望ましいとされている。なお、原料水溶液のpH条件としては、pHを1.2以下とすることによって、結晶性の高いスコロダイトを得ることができるとしている。
ところが、上述した硫化澱物を原料としてスコロダイトを製造する場合には、高い濃度の砒素浸出液が得られないことがあり、この場合には、砒素濃度を上げるために濃縮処理等の前処理を行うことが必要となり、スコロダイトの製造が煩雑化するとともにコスト増加の原因となる。
このような状況から、低濃度の砒素含有溶液からでも結晶性が良好であって、しかも洗浄性に優れたスコロダイトを製造する方法を確立することが望まれている。
特開2000−219920号公報 特許第4185541号公報
そこで、本発明は、砒素濃度の低い原料溶液からであっても、結晶性が良好であって、しかも洗浄性に優れ、長期間に亘って安定的に保管することが可能なスコロダイトを製造することができるスコロダイトの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、5価の砒素を含む酸性溶液に2価の鉄を添加して得られた砒素と鉄の混合溶液に対して加熱しながら酸化剤を加えてスコロダイトの沈殿を形成させるに際して、所定時間以上に亘って加熱及び酸化剤添加の処理を行って結晶を成長させることで、砒素濃度の低い原料溶液からでも結晶性が良好であって、しかも結晶子径の大きなスコロダイトを製造することができ、洗浄性にも優れたスコロダイトを製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係るスコロダイトを製造方法は、5価の砒素を含有する酸性溶液のpHを1.3以上1.9以下に調整し、完全に溶解させた2価の鉄を共存させて得られた5g/L以上15g/L未満の砒素と鉄の混合溶液に対して、上記混合溶液に種晶を添加せずに、酸化剤として空気を添加し、9時間以上に亘って加熱してスコロダイトを成長させることを特徴とする。
本発明によれば、濃縮処理等の前処理を行うことなく、砒素濃度の低い原料溶液から、結晶性及び洗浄性の良好なスコロダイトを製造することができる。そして、このようなスコロダイトによれば、長期間に亘って安定的に保管することができる。
(A)は、9時間以上に亘って加熱と酸化剤添加を行うことでスコロダイトを成長させて得られたスコロダイトのSEM写真であり、(B)は、3時間の加熱と酸化剤添加によって得られたスコロダイトのSEM写真である。 実施例1において得られたスコロダイトのSEM写真である。 実施例2において得られたスコロダイトのSEM写真である。 実施例3において得られたスコロダイトのSEM写真である。 比較例1において得られたスコロダイトのSEM写真である。 比較例2において得られたスコロダイトのSEM写真である。
以下、本発明に係るスコロダイトの製造方法の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することができる。
本実施の形態に係るスコロダイトの製造方法は、5価の砒素を含有する酸性溶液からスコロダイト(FeAsO・2HO)の結晶を成長させる方法であり、溶液中の砒素濃度が低濃度(例えば15g/L未満)であっても結晶性が良好なスコロダイトを製造することができ、しかも洗浄性にも優れたスコロダイトとすることができる方法である。
ここで、『結晶性が良好』とは、非晶質の割合が少なく、また溶解度が低いことにより濾過性が高いとともに砒素の流出の少ないものであることをいう。また、『洗浄性が良好(優れる)』とは、結晶に付着した付着液(砒素濃度の高い母液)を洗い落とし易いことをいう。この洗浄性に優れる結晶では、洗浄水を用いて複数回の洗浄処理を施したときに、複数回の洗浄後の洗浄水に含まれる砒素濃度が効果的に減少していき、洗浄時における結晶からの砒素流出量が少なくなる。このように、結晶性及び洗浄性が良好なスコロダイトでは、環境中への砒素の流出が抑制され、長期間に亘って安定的に保管することができる(保管性が良い。)。
具体的に、このスコロダイトの製造方法は、5価の砒素を含有する酸性溶液に2価の鉄を共存させて得られた砒素と鉄の混合溶液に対して、酸化剤を加えながら9時間以上に亘って加熱してスコロダイトを成長させることを特徴とする。
スコロダイトの原料となる酸性溶液中の砒素の価数は5価であり、この5価の砒素を含有する酸性溶液に対して、例えば常温の状態で鉄源を添加する。酸性溶液の砒素濃度としては、特に限定されないが、本実施の形態に係るスコロダイトの製造方法では、後述するように9時間以上に亘って加熱及び酸化処理を施すようにしているので、砒素濃度が低濃度の溶液であっても、結晶性が良好で、しかも洗浄性に優れたスコロダイトを製造することができる。具体的には、例えば、砒素濃度15g/L未満の溶液であっても結晶性及び洗浄性が良好なスコロダイトを製造することができる。なお、原料溶液の砒素濃度の下限値としては、特に限定されないが、濃度が低すぎると、生成するスコロダイトの量と比較して処理する液量が増えることから、5g/L程度以上の濃度であることが好ましい。
また、この原料となる酸性溶液のpHとしては、特に限定されないが、pH1.3〜1.9の範囲に調整することが好ましい。
ここで、スコロダイトの製造においては、スコロダイトの生成反応と溶解反応とが競合して生じており、原料溶液のpHが低いほどスコロダイトが溶け易くなる(溶解反応が優位になる)ことが知られている。このことから、pHが低すぎると、スコロダイトの製造効率(収率)が悪くなる。一方で、原料溶液のpHが高くなると、結晶性が良好なスコロダイトを製造することが困難となる。本実施の形態に係るスコロダイトの製造方法では、好ましくは、その原料酸性溶液のpHを1.3〜1.9の範囲に調整してスコロダイトを生成させる。本実施の形態においては、このようなpH条件とすることで、スコロダイトの生成反応を有効に生じさせて高い収率でスコロダイトを製造できる。また、pH1.3以上であっても、後で詳述するように9時間以上に亘る十分な結晶成長時間(熟成時間)でもって結晶を成長させていることから、結晶性の点においても優れた結晶性スコロダイトを効果的に製造することができる。
なお、pHが1.2未満であると、スコロダイトの収率が低下して非効率になるとともに、後述する鉄源の添加と、加温並びに酸化剤添加によるスコロダイトの沈殿生成において、結晶性が良好なスコロダイトの沈殿が生じない可能性がある。一方で、pHが1.9を超えると、結晶性が悪くなるとともに、ジャロサイトが発生し易くなり好ましくない。
砒素を含有する酸性溶液に対して添加して溶液中に共存させる鉄源としては、2価の価数をする鉄の化合物を用いる。具体的には、例えば硫酸第一鉄等を用いることができる。3価の鉄化合物を添加した場合には、微細な粉末状のスコロダイトが生成し、結晶性及び洗浄性が悪くなる。
また、鉄源の添加量としては、原料となる酸性溶液中の砒素濃度で決まり、その溶液中の砒素量と等量以上の添加量で添加することが必要であるが、添加量が多すぎると鉄源が無駄になって非効率となる。そのため、鉄源の添加量としては、Fe/Asで表されるモル比で1.0〜2.0の範囲となるように添加することが好ましい。なお、鉄源を添加するに際しても、酸性溶液に対してpH調整剤等を添加することで、その溶液のpHが1.3〜1.9の範囲になるように調整することが好ましい。
このようにして、砒素を含有する酸性溶液に対して鉄源を添加し、その鉄化合物を完全に溶解させた後、その混合溶液を加温し、また空気や酸素等の酸化剤を添加して攪拌混合することによって、スコロダイトの沈殿を生成させる。なお、鉄化合物が完全に溶解せずに粉末のまま残った状態で加温及び酸化剤の添加を行うと、スコロダイトの微粉末が多量に発生してしまい、結晶性及び洗浄性の良好なスコロダイトを得ることができない可能性がある。
そして、本実施の形態に係るスコロダイトの製造方法においては、砒素を含有する酸性溶液に鉄源を添加した混合溶液に対して、酸化剤を加えながら所定時間以上に亘って加熱処理を施して、沈殿生成するスコロダイトを成長させるようにする。具体的には、加温及び酸化剤の添加を9時間以上に亘って行うことでスコロダイトを成長させるようにすることが重要となり、より好ましくは15時間以上に亘って行うようにする。
本実施の形態においては、このようにして9時間以上に亘って砒素と鉄とを含む混合溶液に対して加熱及び酸化剤の添加を行うようにすることで、スコロダイトの結晶を成長させて、溶液中の砒素濃度が低濃度であっても結晶性の良好なスコロダイトを製造することができる。また、9時間以上の処理を行うことによって、結晶をいわゆる熟成させることができ、結晶子径の大きなスコロダイトを生成させることができる。これにより、洗浄性に優れたスコロダイトを製造することができ、砒素の流出を抑制しながら長期間に亘って安定的に保管することが可能となる。
ここで、図1(A)に、砒素と鉄とを含む混合溶液に対して9時間以上に亘って加熱と酸化剤添加を行うことでスコロダイトを成長させて得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、図1(B)に、9時間未満の時間で加熱と酸化剤添加を行って得られたスコロダイトのSEM写真を示す。なお、製造条件については、後述の実施例にて詳述する。
これらのSEM写真から分かるように、9時間以上に亘って熟成させて得られたスコロダイト(図1(A))はその結晶表面が滑らかな球状となっており、またXRDにより分析される結晶子径も大きい。これに対して、9時間より少ない時間で処理して得られたスコロダイト(図1(B))は、その結晶表面がひだ状になっていることが分かる。また、XRDにより分析される結晶子径も非常に小さく、図1(B)に示されるようなひだ状のスコロダイトは、小さな結晶粒子が集まって構成されたものであると推測される。このように、9時間未満の短時間での加熱及び酸化剤添加処理では、結晶が十分に成長せずに結晶性が不良になるとともに、十分な大きさの結晶子が形成されず、微細な粉末が多数形成されることによって、このような表面がひだ状となったスコロダイトが生じるものと考えられる。
そして、このようなひだ状のスコロダイトの場合、その洗浄性は極めて不良なものとなる。すなわち、表面がひだ状のスコロダイトの場合、そのひだ状の部分(ひだ部)に母液が容易に付着する。その母液には、結晶として構成されなかった砒素が含まれていることから、ひだ部には砒素を含んだ母液が多量に付着するようになる。このようにしてひだ部に砒素を含んだ母液が付着すると、水等の洗浄水でスコロダイトを洗浄した場合に、付着した母液に含まれる砒素が洗浄水中に流出する。また、そのひだ部は、比表面積が増加していることから母液を介した砒素量も多くなり、幾度の洗浄によっても継続的に砒素が洗浄水中に流出してしまうことになる。このように、ひだ状のスコロダイトでは、砒素を含んだ母液が付着し易くなることから、洗浄によって砒素が流出し易くなり、長期間に亘って安定的に保管することが困難となる。
これに対して、9時間以上に亘って熟成させて得られたスコロダイトでは、その十分な成長時間(熟成時間)によって、砒素濃度の低い酸性溶液(原料溶液)であっても結晶性の良好なスコロダイトを製造することができる。そして、そのスコロダイトでは、結晶が熟成されていることから、結晶子径が大きな結晶子によって構成されるようになり、図1(A)に示したような平滑な表面を有し、中身の詰まったサイコロ形状のような結晶となる。このようなスコロダイトでは、砒素を含んだ母液の付着を抑制することができ、洗浄した場合でも洗浄後の洗浄水中への砒素(付着した母液に含まれる砒素)の流出を効果的に抑制して、洗浄性に優れたものとなる。
スコロダイトの沈殿を生成させる際の加温条件としては、特に限定されないが、60℃以上に加温することが好ましく、75℃以上に加温することがより好ましい。
また、スコロダイトの沈殿生成に際しては、予め砒素と鉄とを含有する混合溶液中にスコロダイトの結晶を種晶として添加して、その種晶に基づいて結晶成長させることもできる。ただし、種晶を添加した場合、細かな結晶粒子が生成され易くなり、結晶子径が小さい結晶が生じ易くなる。そのため、種晶を添加せずにスコロダイトを成長させるようにすることが、より好ましい。
以上詳述したように、本実施の形態に係るスコロダイトの製造方法では、5価の砒素を含有する酸性溶液に2価の鉄を共存させて得られた砒素と鉄の混合溶液に対して、酸化剤を加えながら加熱する処理を9時間以上に亘って行うようにする。このような方法によれば、原料溶液を濃縮するといった処理を施すことなく、砒素濃度の低い原料溶液であっても、沈殿生成するスコロダイトを効果的に成長させることができ、結晶性が良好なスコロダイトを製造することができる。
しかも、9時間以上に亘って熟成させることで、その結晶子径を大きくすることができ、砒素を含んだ母液の付着の少ないスコロダイトを製造することができる。このようなスコロダイトでは、洗浄水で洗浄した場合でも洗浄後の洗浄水中への砒素の流出が効果的に低減され、洗浄性に優れたスコロダイトとなる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
砒素(As)を5g/L含む硫酸酸性のpH1.7の水溶液2Lに、鉄濃度が5.6g/Lになるように硫酸第一鉄の七水和物を添加して、砒素と鉄の混合硫酸水溶液を作製した。この水溶液を80℃に加温しながら、空気を吹き込むことによってスコロダイトを沈殿生成させた。この加温及び空気吹き込みの処理は9時間に亘って行った。
図2に、得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、得られたスコロダイトをXRDで分析した結果、その結晶子径は666Å(オングストローム)であった。
続いて、この得られたスコロダイトの乾燥粉末0.73gを100mlの水でレパルプ洗浄した。そして、洗浄後、固液分離を行って洗浄水を回収し、その洗浄水に含まれる砒素濃度を分析した。また、回収後の粉末に対しては、100mlの新しい水で2回目のレパルプ洗浄を行った。洗浄後には、1回目のレパルプ洗浄と同様に固液分離を行い、洗浄水を回収して砒素濃度を分析し、回収後の粉末に対しては100mlの新しい水で3回目のレパルプ洗浄を行った。以後、同様の方法で7回のレパルプ洗浄を行った。
下記表1に、各レパルプ洗浄にて回収された洗浄水中の砒素濃度を示す。なお、洗浄水中の砒素濃度は、0.1mg/L以上の場合はICP−AES発光分析を用いて分析し、0.1mg/L未満の場合はICP−MS質量分析を用いて分析した(以下の実施例2、
3、並びに比較例1、2においても同様。)。
[実施例2]
砒素を5g/L含む硫酸酸性のpH1.7の水溶液2Lに、鉄濃度が5.6g/Lになるように硫酸第一鉄の七水和物を添加して、砒素と鉄の混合硫酸水溶液を作製した。この水溶液を80℃に加温しながら、空気を吹き込むことによってスコロダイトを沈殿生成させた。実施例2では、この加温及び空気吹き込みの処理の処理時間を15時間とした。
図3に、得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、得られたスコロダイトをXRDで分析した結果、その結晶子径は813Åであった。
続いて、この得られたスコロダイトの乾燥粉末0.73gを100mlの水でレパルプ洗浄した。そして、洗浄後、固液分離を行って洗浄水を回収し、その洗浄水に含まれる砒素濃度を分析した。また、回収後の粉末に対しては、100mlの新しい水で2回目のレパルプ洗浄を行った。洗浄後には、1回目のレパルプ洗浄と同様に固液分離を行い、洗浄水は回収して砒素濃度を分析し、回収後の粉末に対しては100mlの新しい水で3回目のレパルプ洗浄を行った。以後、同様の方法で7回のレパルプ洗浄を行った。
下記表1に、各レパルプ洗浄にて回収された洗浄水中の砒素濃度を示す。
[実施例3]
砒素を5g/L含む硫酸酸性のpH1.7の水溶液2Lに、鉄濃度が5.6g/Lになるように硫酸第一鉄の七水和物を添加して、砒素と鉄の混合硫酸水溶液を作製した。この水溶液を80℃に加温しながら、空気を吹き込むことによってスコロダイトを沈殿生成させた。この実施例3では、混合硫酸水溶液に種晶としてスコロダイト(乾燥粉末で0.5〜1g程度)を添加し、また加温及び空気吹き込みの処理の処理時間を9時間とした。
図4に、得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、得られたスコロダイトをXRDで分析した結果、その結晶子径は619Åであった。
続いて、この得られたスコロダイトの乾燥粉末0.73gを100mlの水でレパルプ洗浄した。そして、洗浄後、固液分離を行って洗浄水を回収し、その洗浄水に含まれる砒素濃度を分析した。また、回収後の粉末に対しては、100mlの新しい水で2回目のレパルプ洗浄を行った。洗浄後には、1回目のレパルプ洗浄と同様に固液分離を行い、洗浄水は回収して砒素濃度を分析し、回収後の粉末に対しては100mlの新しい水で3回目のレパルプ洗浄を行った。以後、同様の方法で7回のレパルプ洗浄を行った。
下記表1に、各レパルプ洗浄にて回収された洗浄水中の砒素濃度を示す。
[比較例1]
砒素を5g/L含む硫酸酸性のpH1.7の水溶液2Lに、鉄濃度が5.6g/Lになるように硫酸第一鉄の七水和物を添加して、砒素と鉄の混合硫酸水溶液を作製した。この水溶液を80℃に加温しながら、空気を吹き込むことによってスコロダイトを沈殿生成させた。比較例1では、この加温及び空気吹き込みの処理の処理時間を3時間とした。
図5に、得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、得られたスコロダイトをXRDで分析した結果、その結晶子径は130Åであった。
続いて、この得られたスコロダイトの乾燥粉末0.73gを100mlの水でレパルプ洗浄した。そして、洗浄後、固液分離を行って洗浄水を回収し、その洗浄水に含まれる砒素濃度を分析した。また、回収後の粉末に対しては、100mlの新しい水で2回目のレパルプ洗浄を行った。洗浄後には、1回目のレパルプ洗浄と同様に固液分離を行い、洗浄水は回収して砒素濃度を分析し、回収後の粉末に対しては100mlの新しい水で3回目のレパルプ洗浄を行った。以後、同様の方法で7回のレパルプ洗浄を行った。
下記表1に、各レパルプ洗浄にて回収された洗浄水中の砒素濃度を示す。
[比較例2]
砒素を5g/L含む硫酸酸性のpH1.7の水溶液2Lに、鉄濃度が5.6g/Lになるように硫酸第一鉄の七水和物を添加して、砒素と鉄の混合硫酸水溶液を作製した。この水溶液を80℃に加温しながら、空気を吹き込むことによってスコロダイトを沈殿生成させた。比較例2では、この加温及び空気吹き込みの処理の処理時間を6時間とした。
図6に、得られたスコロダイトのSEM写真を示す。また、得られたスコロダイトをXRDで分析した結果、その結晶子径は253Åであった。
続いて、この得られたスコロダイトの乾燥粉末0.73gを100mlの水でレパルプ洗浄した。そして、洗浄後、固液分離を行って洗浄水を回収し、その洗浄水に含まれる砒素濃度を分析した。また、回収後の粉末に対しては、100mlの新しい水で2回目のレパルプ洗浄を行った。洗浄後には、1回目のレパルプ洗浄と同様に固液分離を行い、洗浄水は回収して砒素濃度を分析し、回収後の粉末に対しては100mlの新しい水で3回目のレパルプ洗浄を行った。以後、同様の方法で7回のレパルプ洗浄を行った。
下記表1に、各レパルプ洗浄にて回収された洗浄水中の砒素濃度を示す。
表1に示される洗浄水中の砒素濃度の結果から明らかなように、水溶液に対する加熱及び空気の吹き込み処理時間(結晶成長時間)を9時間以上に亘って行った実施例1及び2では、数回の洗浄で洗浄水中の砒素濃度が0.1mg/L以下となることが分かる。また、実施例3においても、7回の洗浄で洗浄水中の砒素濃度が0.1mg/L以下となることが分かる。一方で、水溶液に対する加熱及び空気の吹き込み処理時間を9時間未満とした比較例1及び2では、7回の洗浄を行っても洗浄水中の砒素濃度は0.1mg/L以下には到底達しないものであった。
このような比較例1及び2の結果は、沈殿生成されたスコロダイトの結晶成長が十分なものではなく、結晶性が悪く、溶解度が高くなって、結晶を構成する砒素が流出してしまったためと考えられる。
また、結晶成長が十分ではなく、結晶子径の小さなスコロダイトが生成したためであると考えられる。すなわち、実施例にて得られたスコロダイトの結晶は、その結晶子径がそれぞれ、666Å(実施例1)、813Å(実施例2)、619Å(実施例3)と非常に大きいものであったのに対して、比較例にて得られたスコロダイトの結晶の結晶子径はそれぞれ、130Å(比較例1)、253Å(比較例2)であり、比較例のスコロダイト結晶は、実施例に比べると明らかに小さな結晶子から構成されたものであることが分かる。このことは、図2〜6の各スコロダイト結晶のSEM写真からも明確に分かり、比較例1及び2のスコロダイトは、小さな結晶粒子が集まることで表面がひだ状になっていると推測される。
このようにして結晶表面がひだ状になると、そのひだ状の部位に砒素を含有した母液が付着し易くなり、その結果として、幾度の洗浄を行ったとしても、その洗浄水中には所定量の砒素(付着した母液に含まれる砒素)が流出されるようになり、すなわち洗浄性の不良なスコロダイトになると考えられる。
以上のことから、結晶成長時間を9時間以上にすることで、例えば5g/L程度の砒素濃度の低い溶液(原料溶液)からであっても、結晶性及び洗浄性の良好なスコロダイトを製造することできることが分かった。

Claims (3)

  1. 5価の砒素を含有する酸性溶液のpHを1.3以上1.9以下に調整し、
    完全に溶解させた2価の鉄を共存させて得られた5g/L以上15g/L未満の砒素と鉄の混合溶液に対して、
    上記混合溶液に種晶を添加せずに、酸化剤として空気を添加し、9時間以上に亘って加熱してスコロダイトを成長させることを特徴とするスコロダイトの製造方法。
  2. 前記鉄の添加量として、Fe/Asで表されるモル比で1.0〜2.0の範囲とすることを特徴とする請求項1に記載のスコロダイトの製造方法。
  3. 前記加熱する温度は、60℃以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスコロダイトの製造方法。
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