JP5840874B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
そこで、ブロック分割部分の周方向剪断剛性の低下を抑制するべく、各ブロックに、オープンサイプではなく所謂クローズドサイプを追加することが考えられる。
この空気入りタイヤでは、クローズドサイプのトレッド幅方向長さは、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列のブロックに設けたクローズドサイプが最も短い。
また好ましくは、前記クローズドサイプを、トレッド周方向に屈曲して形成される屈曲点を有するものとし、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列を構成する各ブロックの前記屈曲点の数を、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列以外のブロック列を構成する各ブロックの前記屈曲点の数より少なくする。
そしてまた好ましくは、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列を構成する各ブロックの、トレッド幅方向に延びる横溝にて区画される辺縁に、凹部を形成する。
またここで、ブロックに設けたクローズドサイプの端縁と、ブロックの周方向溝に沿う辺縁との間の最短距離を、タイヤ赤道線側に向けて次第に大きくした場合は、タイヤ赤道線の近傍に位置することになるブロックの欠損の発生を有効に防止しつつ、トレッド幅方向中央部のブロックに比べ荷重負担の小さい、タイヤ赤道線から離れて位置するブロックでは、ブロックに欠損を生じさせることなく、サイプにそれ本来の機能を十分に発揮させることができる。
また、この発明の空気入りタイヤにおいて、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列を構成する各ブロックの、トレッド幅方向に延びる横溝にて区画される辺縁に、凹部を形成したときは、荷重負担の大きいトレッド幅方向中央部のブロックにおいて、屈曲点の数が少なくなったことにより減少した各方向のエッジ成分を補うことができる。
この発明に係る空気入りタイヤは、例えば、トラックやバス等の重荷重車両用のスタッドレスタイヤとしても用いることのできるものであり、図示はしないが、一対のタイヤビード部に配置されたビードコア、両ビードコア間にトロイダルに延びる少なくとも一枚のカーカスプライからなるカーカス、カーカスの外周側に配置されたベルト層、及びベルト層の外周側に配置されて表面に所定のトレッド踏面模様が形成されたトレッドゴムを有する。
これにより、6列の各陸部13a,13b,13cは、トレッド周方向に整列させて区画された複数のブロック15,25,30からなるブロック列を形成する。
一方、トレッド幅方向の略中央位置で、タイヤ赤道線CLを横切って延在するジグザグ周方向溝17は、タイヤ赤道線CLに沿う直線状部と、この直線状部に連続して、タイヤ赤道線CLに直線状に交差する屈曲部とを有してなり、直線状部で幅方向溝14aに連通する。
ここで、幅方向溝14aは、陸部13aのトレッド幅方向の中央位置よりタイヤ赤道線CL側で溝底が周方向溝12aのそれより浅くなるようにステップアップされて形成されている。
そしてまた、本実施形態では、それぞれの幅方向溝14aを、隣接する中央陸部13a間でトレッド幅方向に対して、ともに同じ方向の同じ角度で傾けて直線状に延在させて設けている。
ここで、「規定の空気圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧を言い、最大負荷能力とは、下記の規格で、タイヤに負荷することが許容される最大の質量を言う。また、「規定の質量」とは、上記の最大負荷能力を言う。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格を言い、例えば、アメリカ合衆国では“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOK”であり、欧州では“THE European Tyre and Rim Technical OrganisationのSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA YEAR BOOK”である。
この空気入りタイヤ10では、これら中央陸部13a内のサイプ18,19の全てを、トレッド幅方向に対して同じ方向(図では左上がりになるよう)に傾斜させて形成し、各ブロック15内にそれぞれ2本ずつ合計4本のサイプ18,19を配置している。
これに対し、2列の中央陸部13aの、トレッド幅方向両外側に区画した各中間陸部13b(図1参照)には、それぞれが略トレッド幅方向に延びる複数本の幅方向溝14bにて区分されるブロック25を形成し、各ブロック25に2種類のサイプ22,23を、トレッド周方向に所定のピッチで繰り返し配設する。
各中間陸部13bの各ブロック25内には、相互に平行な2本の直線状の幅方向サイプ22と、それらを挟んでトレッド周方向の両側に設けられ、トレッド周方向で屈曲するクローズドサイプ23とを配設する。幅方向サイプ22は、両側の端部が、それぞれの周方向12a,12bのそれぞれに開口する両端開口のオープンサイプであり、幅方向溝14bと平行に直線状に延びて、ブロック25を横断する。
このようなクローズドサイプ23は、それぞれ幅方向サイプ22と幅方向溝14bとの間のトレッド周方向の略中央部に、トレッド幅方向に対して、サイプ22及び幅方向溝14bと同じ方向に全体として傾斜して形成されている。
この各中間陸部13bのトレッド幅方向両外側のショルダ陸部13cには、それぞれ外側周方向溝12bと交差する方向に延びる複数本の幅方向溝14c,14dと、周方向細溝27、及び2種類のサイプ28,29が、トレッド周方向に所定のピッチで繰り返し設けられている。
また、各幅方向溝14c,14dは、溝内に外側主溝12bが若干入り込む形成態様で、陸部13cの、幅方向中央部の溝底が、外側周方向溝12bの溝底よりもステップアップするように形成されている。
これらのブロック30a,30bは、トレッド周方向に直線状に延びる周方向細溝27により、陸部13cのトレッド幅方向の略中央部で分離されたものであり、トレッド幅方向外側の小ブロック30aと、トレッド幅方向内側の小ブロック30bとからなる。
これに対し、内側の各小ブロック30bには、3本の幅方向サイプ29が配置されている。これらの各幅方向サイプ29は、一端が外側主溝12bに開口し、他端が内側の小ブロック30b内で閉じるように、相互に平行に、直線状に形成されている。
この空気入りタイヤ10では、これらの内側の小ブロック30b内のサイプ29の全てを、幅方向溝14c,14dと平行に、トレッド幅方向に沿わせて形成している。
つまり、クローズドサイプの屈曲点の数が、タイヤ赤道線CLに近付くに連れて少なくなっている。このクローズドサイプの屈曲点の数が、タイヤ赤道線CLに近付くに連れて少なくなるのに対応して、タイヤ赤道線CLに最も近いブロック列を構成する各ブロックに凹部(この例では、中央陸部13aのブロック15の凹部20)を形成して、ブロック内のトレッド幅方向に対するエッジ成分を増加させている。
なお、一対のオープンサイプ18及び一対のオープンサイプ22の周方向距離は、各一対のオープンサイプ18,22からブロック(ブロック15或いはブロック25)を挟んで隣接する幅方向溝(幅方向溝14a或いは幅方向溝14b)までの周方向距離に比して短い。また、各一対のオープンサイプ18,22によって1つのブロック(ブロック15或いはブロック25)が、2つの中ブロックと2つの中ブロックの間に挟まれた1つの小ブロックとに分割されており、センターブロック列で最も近接する小ブロック同士は、周方向に離れて位置している。
このため、トレッド幅方向中央部のブロックに設けたクローズドサイプの端縁からクラックが発生して進展したとしても、クラックがブロックの側縁に到達し難くして、ブロックへの欠損の発生を有効に防止することができる。このことは、トレッド幅方向中央部のブロックに欠損がより発生し易い傾向にある、荷重負担の大きいタイヤにおいても、有効に機能し、ブロックへの欠損の発生を有効に防止することができる。
つまり、クローズドサイプの屈曲点の数を、トレッド接地圧が高いタイヤ赤道線CLに近付くに連れて少なくして、ブロック欠けを防止しているが、屈曲点の数が少なくなったことにより減少したエッジ成分を補うために、タイヤ赤道線CLに最も近いブロック列を構成する各ブロックに凹部20を形成している。
実施例1、従来例の空気入りタイヤは、何れもタイヤサイズが11R22.5−16PRのトラック及びバス用ラジアルプライタイヤであり、リムサイズ7.50インチ幅の適用リムに組み付け、正規内圧900kPaで、2−D・4(前輪が2輪の1軸、後輪が駆動複2輪及び複2輪の2軸)の車両に取り付け、荷重条件を空車として行った。
また、正規内圧とは、タイヤに関する各規格がタイヤサイズ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”を言うものとする。
氷上トラクション性能試験は、テストコース(アイス路面)で、車両を停止状態から発進させて発進加速度を測定し、その測定結果を、従来品を基準に比較・評価した。また、氷上ブレーキ性能試験は、テストコース(アイス路面)で、所定速度で走行する車両をフル制動したときの制動距離を測定して減速度を求め、その結果を、従来品を基準に比較・評価した。一方、耐摩耗性能試験は、テストコース(ドライ路面)を新品の各タイヤで同一条件により走行し、そのときの摩耗ライフ(寿命)を実測して、その結果を、従来品を基準に比較・評価した。
11 トレッド部
12a,12b 周方向溝
13a,13b,13c 陸部
14a,14b,14c,14d 幅方向溝
15,25,30a,30b ブロック
17 ジグザグ周方向溝
18,22,29 オープンサイプ
19,23,24 クローズドサイプ
20 凹部
28 サイプ
30a,30b 小ブロック
CL タイヤ赤道線
a,b 最短距離
c 接地長
d エッジ成分
Claims (5)
- トレッド周方向に連続して延びる複数本の周方向溝と、周方向溝と交差する方向に延びて一対の周方向溝に開口する複数本の幅方向溝とで、トレッド踏面に複数本のブロック列を形成してなる空気入りタイヤであって、
前記複数本の幅方向溝のそれぞれは、2列のタイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列の相互間で、トレッド周方向に、ブロックのトレッド周方向長さを1ピッチとして約半ピッチ分ずらして配置し、
二列以上のブロック列の各ブロックに、トレッド幅方向に延在する少なくとも一本のクローズドサイプを設けると共に、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列のブロックに設けたクローズドサイプの端縁と、該ブロックの前記周方向溝に沿う辺縁との間の最短距離を、タイヤ赤道線から離隔して位置するブロック列のブロック内のクローズドサイプの同様の最短距離より大きくしてなる空気入りタイヤ。 - 前記クローズドサイプのトレッド幅方向長さは、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列のブロックに設けたクローズドサイプが最も短い請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ブロックに設けたクローズドサイプの端縁と、該ブロックの周方向溝に沿う辺縁との間の最短距離を、タイヤ赤道線側に向けて次第に大きくする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記クローズドサイプは、トレッド周方向に屈曲して形成される屈曲点を有し、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列を構成する各ブロックの前記屈曲点の数は、タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列以外のブロック列を構成する各ブロックの前記屈曲点の数より少ない請求項1から3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- タイヤ赤道線に最も近接して位置するブロック列を構成する各ブロックの、トレッド幅方向に延びる横溝にて区画される辺縁に、凹部を形成してなる請求項1から4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
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